Disc. 久石譲 『Melodyphony メロディフォニー ~Best of JOE HISAISHI〜』

久石譲 『メロディフォニー』

2010年10月27日 CD発売
2CD+DVD(初回限定盤A)UMCK-9386
CD+DVD(初回限定盤B)UMCK-9387
CD(通常盤)UMCK-1369
2018年4月25日 LP発売 UMJK-9079/80

 

一般アンケートで上位に選ばれた楽曲を中心に 「誰もが知っている久石譲メロディー」 を久石譲の指揮・ピアノと世界最高峰のオーケストラ、ロンドン交響楽団の演奏で贈るベストアルバム。

 

 

Joe Hisaishi “Melodyphony” に寄せて

スピーカーからオープニングを飾る「Water Traveller」が流れ出してすぐに僕はその見事なオーケストレーションに唸らされた。以前から映画音楽からCM音楽、自身のアルバム、それにコンサート活動、イベント制作に至るまで驚くべき仕事量をどれも高いクオリティでこなしてきた久石譲は3年ほど前からさらにそのレベルを上げ、創作活動を拡大、かつ加速させている感があるが、聴き進めていくうちに『Melodyphony』と題されたこの新作には久石譲の音楽を創ることの喜びと自信がみなぎっているとはっきりと思った。

収録されているのは映画『水の旅人~侍KIDS』のメインテーマである「Water Traveller」から映画『となりのトトロ』のエンディング曲「My Neighbor TOTORO」まで全9曲。僕はこれまでにも幾度となく、久石譲の手になる曲がまるで魔法のように形を変え、新たな魅力を持った作品になってしまうのをコンサート会場で目撃、またCDでも耳にしてきたが、一般のファンからの投票も受けつけて選ばれた曲は、ロンドン交響楽団という世界最高峰と称賛されているオーケストラと久石譲の完璧ともいえるコラボレーションによって、時空を超えたマジカルな作品になっている。

同じロンドン交響楽団とロンドンのアビー・ロード・スタジオでレコーディングされた『ミニマリズム』が深い森のような、とても入り組んだ構造を持ち、神秘的ともいえる雰囲気を漂わせていたのに対し、この『Melodyphony』はこれまでに本当に多くの人に感動と夢を与えてきた久石メロディが大きな客船や帆船になり、大海原を航海しているような印象を受ける作品。完成したばかりのCDと一緒に手元に届けられたDVDにはロンドン交響楽団とのレコーディング風景とともにインタビューも収録されていたが、「2度目であるということもあって非常にいい協調する関係ができ、去年よりもお互いに理解しあえた。1回目より2回目、2回目より3回目とうまくいってれば、音楽の上でもすごくコミュニケーションがとれる。ほぼ去年と同じメンバーの人たちがマリンバとかすごく難しいところがあるとか、去年と同じとか、デジャ・ヴとか言ってけっこう楽しみながら演奏してたから自分が書いている音楽のスタイルが理解してもらえたっていうのがある」と満足気に話す久石譲のロンドン交響楽団についてのコメントは何故彼が多忙なスケジュールをさいてロンドンまで出かけ、ロンドン交響楽団と一緒にレコーディングするのかの解答にもなっていると思う。

そして「こういうセッションのレコーディングっていうのは、1曲1時間半ぐらいであげていかなきゃならないんですけど、それにしては音符の数とか難易度は非常に高い。でも、そのレベルをこなしてしまうというロンドン交響楽団の奥深さというか、弦はどんな高い所であってもヒリヒリはしてこないし、豊かで下まで響いている音を作ってくれる。それからホルンも含めて難しいものを難しいように演奏するのではなく、音楽的に表現する。やはりこの辺で世界最高峰のオケなんだなとすごく思いました。」というコメント。

このコメントはそのままメロディとシンフォニーという言葉の造語である『Melodyphony』というアルバムの魅力、聴きどころを言い当ててもいる。

「難しいものを難しいように演奏るのではなく、音楽的に表現する」という言葉は作曲家、編曲家、ピアニスト、プロデューサーという肩書きに数年前から指揮者という肩書も加わり、昨年にはクラシックの指揮者デビューまで果たしてしまった久石譲の作り出す作品全てに共通する魅力であり、久石譲がアルバムのレコーディング・エンジニアであるピーター・コービンも口にしていた通り”Special Musician”であることの大きなポイントでもあるが、音楽の構築力ということでは世界でも有数のアーティストではないだろうか。

軽い思いつきや簡単なひらめきなどから生まれた音楽とは全く次元が違う、十分に練り上げられ、精密な作業を続けた結果として高みに位置している久石譲の音楽。この『Melodyphony』制作の動機についても「昨年『ミニマリズム』ってアルバムを作って、長い間の夢だったミニマル・ミュージックが出来上がったんですが、同時に自分がやってきたメロディアスなオーケストラを録りたいと思っていたんです。ミニマリズムは出来たけれど、その作家性の部分と、メロディ・メイカーというか、メロディを作っていく自分というのを両方出したい。それを昨年ここでレコーディングが終わった時から思っていて、年が明けてこれはやはり両方あって自分ではないかという思いがどんどん強くなった。ミニマリズムっていうのはミニマルとリズムという言葉の合成語だったんだけど、今回はメロディとシンフォニックなオーケストラ、メロディとシンフォニー、これが合体することでメロディフォニーっていうアルバムを作る、これで全て自分が表現できる、そう思えた」と話しているが、その思い、発想は完璧かつ理想的な形で1枚のCDに結実している。

「昔の作品はもっと編成が小さかったので、それを今回用に直したりすることと、映像音楽として書いた曲はそのままになっていてコンサート・ピースとしては完成させていないものが多かったので、それを今回まとめて作品として聴けるようにすることを考えた。例えば『坂の上の雲』もものすごい量があるわけですよ。それを11~2分にきっちり作品としてまとめる。あるいは『魔女の宅急便』、個人的には1回もレコーディングしていない。武道館で演ったりはしたけれど、CDとしてはないので、今回きちんと弦とピアノでやるとか、そういうことで今、現在としてのメロディとシンフォニック・オーケストラが一番合体する方法、それを一番気をつけました。ただ選ぶ段階で、インターネットなどでみなさんに投票してもらって、何が聴きたいのか、それも参考にして上位に入っているものはほとんど網羅しましたね」という言葉はそれをはっきりと裏付けているし、今やオーケストラを自由自在に操る才能ということでは、かけがえのない音楽家になっているのではないだろうか。ピーター・コービンが口にしていた”Best musician in the World”という言葉もとても現実味をおびている。

だから、僕は出来る限りの音量でこの『Melodyphony』を聴いて欲しいと思う。20年以上の時を超えて、メロディがシンフォニー・オーケストラと合体した作品群が聴く者にもたらしてくれる高揚感は”良い音楽”の力と永遠性を実感させてくれるし、聴き慣れた曲がまるで魔法のように変化していく様は久石版”ファンタジア”と形容してもいいかも知れない。

僕はこの『Melodyphony』を聴くときに、久石譲がクラシックの指揮者デビューを果たした記念すべきアルバム「JOE HISAISHI CLASSICS 1 ドヴォルザーク 交響曲第9番 《新世界より》/シューベルト 交響曲第7番 《未完成》」のライヴ録音の際に語った「ドヴォルザークはチェコの偉大な作曲家だ。彼は今でいう最も優れたキャッチーな作曲家だろう。スコアを追っていくとよくわかるのだが、とても緻密に、色々なモチーフ(音型)を散りばめ、沢山構築している。ところが、幸か不幸か、あまりにもメロディがキャッチーすぎるため、我々はその裏側に隠された彼の緻密さになかなか気づくことができないのである」という言葉の”ドヴォルザーク”をそのまま”久石譲”に置きかえると、久石ワールドを聴き手に十分に堪能させながら新しいアプローチや様々な仕掛けをしているこのアルバムの”凄さ”がわかることをつけ加えておきたい。「シューベルトの一番わかりやすい天才的な部分は、ハーモニー感覚の凄さだ。普通は、ある調からある調に移るには正当な手続きを踏んで新たなキーに転調するように書くのだが、シューベルトはたった一音で次の調に自然に転調してしまう。これほどの天才は他に見たことがない」という言葉もそこにつながっていく。

そして、もしまだ久石譲の原点ともいえる「MKWAJU」から「自分の中のクラシック音楽に重点を置き、音楽的な意味での、例えば複合的なリズムの組み合わせであるとか、冒頭に出てくる四度、五度の要素をどこまで発展させて音楽的な建築物を作るか、ということを純粋に突き詰めていった。」…と本人が書いている「Sinfonia」、「The End of the World」といった魅力的な作品が収録された『ミニマリズム』をお持ちでない人がいたら、すぐ手に入れて、連続して聴いて欲しいと思う。僕はこの原稿を書くため、以前久石譲も出演してくれたことがある彫刻の森美術館でのコンサートの仕事をするべく箱根に向かう車の中で久しぶりに『ミニマリズム』を聴き、クラクラするくらいの魅惑的空間に連れていかれたが、ラストの「DA・MA・SHI・絵」が終わってすぐに流れ始めた「Water Traveller」を聴いた時に、この2枚のアルバムは完全に一対のものであることがよくわかった。

その音楽性の幅広さと完成度の高さ。僕は今回の『Melodyphony』を初めて聴いた時、一体この人はどこまで飛翔していくのだろうかと思わされたが、「サントリー 1万人の第九」の25周年記念序曲として2007年に作曲された「Orbis」はメロディとシンフォニー・オーケストラの合体に、さらに現代音楽の要素が大胆に盛り込まれた久石譲ならではの作品に仕上がっていることも最後につけ加えておきたい。

『ミニマリズム』にも参加していたロンドンでは由緒ある合唱団、London Voicesとパイプオルガンを加えて出来上がった華やかな祝典序曲。ラテン語の”Orbis”には”環”や”輪”などの意味もあり、本人は生命の起源となる水の小さな水泡が繋がって、やがて大きな環となるようなイメージで作ったようだが、それはミニマル・ミュージックに対する久石譲の思いそのものでもあり、もし図形で表すとすると、この曲が『ミニマリズム』をつなぐポイントになると思う。

久石譲自身が『Melodyphony』の核になっていると感じているというのも納得できる。DVDの中で久石譲は「ひとつひとつの仕事を区切りにしながら挑戦して解消し、次のことを考えていく…」という言葉も口にしていたが、『Melodyphony』はその姿勢が見事に反映したアルバムであり、これからもその歩みは決して止まることがないだろう。その歩みを追いかけることは今や僕の楽しみになっている。

2010年夏 箱根にて 立川直樹

(CDライナーノーツより 抜粋)

 

 

『ミニマリズム』 『メロディフォニー』 久石譲インタビュー内容(Web/DVD収録)

音楽業界では、世界で最高峰の機材を英国人たちが作っているんですよ。「ロード・オブ・ザ・リング」も「ハリー・ポッター」も、サウンド・トラックはロンドンで録音していますよね。ハリウッド映画だって、一番大事な音楽はほとんどロンドンで録ってるんですよ。すると、やはりここは世界で一番良い音楽環境ということになる。ロンドンでのレコーディングを続けていると、そのレベルを絶えず意識させられます。

ロンドン交響楽団とは、15年くらい前に、「水の旅人 -侍KIDS」という映画のテーマ音楽を録ったんですね。また昨年には、前作となる「ミニマリズム」の録音も行いました。日本以外で音楽を表現できる場として、ロンドンでの活動がまた復活したというのがうれしいですね。

私には、大きな夢が2つありました。一つは、芸術家としての自分が追い求める、ミニマル・ミュージックをテーマとしたアルバムを完成させること。この目標は、昨年の時点で「ミニマリズム」というアルバムを完成させることで実現しました。ただそれだけではなくてもう一つ、これもやはり自分が長年続けてきた映画音楽やテレビ・ドラマのサウンド・トラックに代表されるメロディアスな音楽を、オーケストラを使って録りたいと去年からずっと思っていたんですよ。つまり、作家としての自分と、メロディー・メーカーとしての自分の両方を生かしたいというか。去年の「ミニマリズム」の録音時に書いていたノートを引っくり返してみると、両方の種類の音楽についてのメモを残しているんですね。年が明けて考えてみて、やはりこれは両方あってこそ自分の姿ではないか、と強く思うようになって。「ミニマリズム」と「メロディフォニー」の2つを持って、自分をすべて表現できるという気持ちです。

レコーディングでこちらに来る直前まで編曲作業などを行っていたので、ピアノを触る時間が1日に1時間もなかったんですよ。ピアノは間違いなく練習量が比例してくる楽器ですから。通常だと1日7、8時間は練習するのに、今回は1時間くらいしかできなかった。

3日間にわたってオーケストラとのレコーディングがあり、その後に迎えたピアノ演奏の収録の日は、朝から別の録音作業を始めて、午後は50人くらいのコーラスを指揮して、疲労もピーク。それからピアノの演奏をするのは少し厳しいんじゃないかと思っていたんですが、その中でも実は起きていたんで。限界を超えているときは、変に休まない。確か夜中に4時間くらいぶっ通しでピアノを弾いてました。疲れているときは、ピークを超したらひたすら集中する。休まずにもうひたすらそこに向かったのが、良い結果になったのではないかと思いますね。

もっと完成されたものを考えたい、もっとレベルの高いものをという思いはいつも根底にはあるのですが、結局はディテールの積み重ねなんですよ。一つひとつの仕事を区切りにしながら、一個一個調整をしていく。指揮者としてもきちんとしたものができるようになりたい。もちろん作曲家としても。そういうようなことを僕は考えちゃいますね。

Blog. 久石譲 「ミニマリズム」「メロディフォニー」 Webインタビュー内容

 

 

 

【楽曲解説】

1. Water Traveller
1993年、大林宣彦監督の映画『水の旅人 ~侍KIDS』よりメインテーマ。身長約17センチの水の精霊と主人公の少年の交流を描いた末谷真澄原作の『雨の旅人』を映画化したSFXファンタジー映画。サウンドトラック収録も、ロンドン交響楽団の演奏で行った。当時のオリジナル楽譜のホルン6本の編成を甦らせ、壮大な世界観が見事再現されている。

2. Oriental Wind
2004年より放映中のサントリー緑茶・京都福寿園「伊右衛門」CM曲。今やお茶の間でお馴染みとなった美しい旋律は、黄河のようなアジアの大河の悠々とした流れをイメージしてつくられた。朗々とした格調高い優雅なメロディの裏では、繊細なリズムや激しいパッセージの複雑な内声部が繰り広げられ、より深い味わいを加えている。

3. Kiki’s Delivery Service
1989年、宮崎駿監督の映画『魔女の宅急便』より。「海の見える街」を本アルバムのために、ピアノとヴァイオリン、弦楽オーケストラを主体に書き下ろした楽曲。愛くるしさいっぱいの軽やかなリズムと可憐なメロディ、中間部の大人びたジャジーな曲調は、大人へと成長をとげる魔女の子・キキのように、様々な表情を魅せてくれる。

4. Saka No Ue No Kumo
NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』より。司馬遼太郎の同名長編小説をもとに映像化され、2009年より足掛け3年間にわたり放映。明治時代の過渡期を生きた人々を描く壮大なスケールの物語。重厚なオーケストレーションは日本の五音階と西洋のモダンな音階を融合させ、独自の世界観を引き出している。”凛として立つ”美しき姿をイメージしたというメインテーマ「Stand Alone」を含む、「時代の風」「蹉跌」「戦争の悲劇」の4つのテーマを組曲形式で再構築した。

5. Departures
2008年、米国アカデミー賞外国語映画賞に輝いた滝田洋二郎監督作品、映画『おくりびと』のサウンドトラックより、メインテーマを含む複数の主要テーマを組曲として書き直した。元チェリストの主人公が納棺師になる設定から、チェロをメインに据える楽曲の構想が練られた。楽器の特性を最大限に活かしたメロディは、時には優しく、時には激しく、時折コミカルさも覗かせながら、心の揺れ動きを表現している。

6. Summer
1999年に公開された北野武監督の映画『菊次郎の夏』より、メインテーマ「Summer」。軽快な弦のピッツィカートからはじまる冒頭部と、中間部の美しいピアノの旋律が印象的な楽曲は、ひと夏の冒険を描いた映画の世界を爽やかにうたいあげている。トヨタ「カローラ」のCMでも起用された楽曲。

7. Orbis
「サントリー 1万人の第九」の25周年記念委嘱曲として2007年制作。初演時には、大阪城ホールとサントリーホールとを衛星中継で同時演奏し話題を呼んだ。パイプオルガンとオーケストラ、1万人の合唱から成る華やかな祝典序曲を、フルオーケストラ用に書き直した。散文的なキーワードを組み込んだ歌詞を世界有数の合唱団London Voicesが歌う。生命の起源となる水の小さな水泡が繋がって、やがて大きな環となる…。Orbisとはラテン語で「環」「輪」などの意。

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「Orbis」 ~混声合唱、オルガンとオーケストラのための~
曲名はラテン語で”環”や”繋がり”を意味します。2007年の「サントリー1万人の第九」のために作曲した序曲で、サントリーホールのパイプオルガンと大阪城ホールを二元中継で”繋ぐ”という発想から生まれました。祝典序曲的な華やかな性格と、水面に落ちた水滴が波紋の”環”を広げていくようなイメージを意識しながら作曲しています。歌詞に関しては、ベートーヴェンの《第九》と同じように、いくつかのキーワードとなる言葉を配置し、その言葉の持つアクセントが音楽的要素として器楽の中でどこまで利用できるか、という点に比重を置きました。”声楽曲”のように歌詞の意味内容を深く追求していく音楽とは異なります。言葉として選んだ「レティーシア/歓喜」や「パラディウス/天国」といったラテン語は、結果的にベートーヴェンが《第九》のために選んだ歌詞と近い内容になっていますね。作曲の発想としては、音楽をフレーズごとに組み立てていくのではなく、拍が1拍ずつズレていくミニマル・ミュージックの手法を用いているので、演奏が大変難しい作品です。

「Orbis」ラテン語のキーワード

・Orbis = 環 ・Laetitia = 喜び ・Anima = 魂 ・Sonus, Sonitus =音 ・Paradisus = 天国
・Jubilatio = 歓喜 ・Sol = 太陽 ・Rosa = 薔薇 ・Aqua = 水 ・Caritas, Fraternitatis = 兄弟愛
・Mundus = 世界 ・Victoria = 勝利 ・Amicus = 友人

Blog. 「久石譲 第九スペシャル」 コンサート・プログラムより
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8. One Summer’s Day
2001年公開、宮崎駿監督の映画『千と千尋の神隠し』より「あの夏へ」。神々の住まう不思議な世界に迷い込んでしまった10歳の少女・千尋が、湯屋「油屋」で下働きしながら次第に生きる力を取り戻していく物語。郷愁をかきたてる美しいメロディと、ピアノをフィーチャーした繊細なオーケストレーションは秀逸。

9. My Neighbour TOTORO
1988年の宮崎駿監督作品、映画『となりのトトロ』より、エンディングテーマ曲「となりのトトロ」。父親とともに郊外に引っ越してきたサツキとメイの幼い姉妹が、森で不思議な生き物・トトロと出会う。心躍るファンタジーの要素をふんだんに取り入れたアレンジとシンプルなメロディは、久石譲の代表作の一つ。

(【楽曲解説】 ~CDライナーノーツより)

 

 

【補足】
DVD収録内容について

本作品より選ばれた楽曲のレコーディング映像を編集したものである。またドキュメンタリーなどとは違い、レコーディング映像中心で楽曲も省略されたり途中で終わることなく一曲通して聴くことができるのもありがたい。CDと同じように音楽だけが響いている。CD同様に楽曲を楽しみ、かつパートごとに映し出される楽器や奏者を映像で楽しむことによって、臨場感や緊張感が伝わりより深く作品を味わうことができる。

インタビューに関しては本作品ライナーノーツでの楽曲解説や久石譲インタビューと重複内容も多く、言葉として文章として参考にされたい。

また久石譲インタビューの前に、レコーディング・エンジニアであるピーター・コービンのインタビューも収められている。ここではその内容を一部抜粋して紹介する。海外からみた久石譲、世界屈指の一流音楽家たちからみた久石譲を垣間見ることができる貴重な証言である。

 

「彼は完成された音楽家です。作曲家としてももちろん尊敬していますし、オーケストラにとっては、実際に作曲する指揮者と共に演奏する事が最も幸せな事なのです。言語の違いはあるけれど、コミュニケーションも問題なく、オーケストラの中でも尊敬されています。自分の音楽を誰よりも把握しているし、具体的な指揮をしているからです。リズムとメロディーを通じて、明確な指揮をしていると感じます。」

「去年収録した『ミニマリズム』と今回のアルバムの違いは、前回はリズムが特徴的でしたが、今回のアルバムではメロディーが中心になっています。楽曲から映像が想像できる美しいメロディーが存在しています。映像的なメロディーは、彼の卓越した感性と技術から成るものです。メロディーとリズムを絶妙に組み合わせるのが上手いのです。」

(ピーター・コービン DVD収録インタビューより 書き起こし)

 

 

「つくり終わって大変満足しています。やっとこれでトータルな自分の音楽が完成したなと。なぜかと言うと去年『ミニマリズム』という作家性の強い作品をつくって。その制作中から今回のようなエンタテインメントのメロディー中心の曲をオーケストラで録りたいと思っていたんです。だから2年がかりでひとつのコンセプトが完成したという感じ。自分の持っている内生的な部分と外に向かって人を楽しませたいという部分。その両面をこれで表現できたなと思います。やはりどちらかだけではダメなんですよね。」

「それはですね、映像の仕事の場合、基本的には監督にインスパイアされて、すごく一所懸命曲を書くわけです。ところがやはり映像の制約というものもある。『このシーンは3分です』だとか。だから映像の中のドラマ性に合わせなくてはいけなくて。映像と音楽合わせて100パーセント、もしくは音楽がちょっと足りないくらいがいいときもある。そこから解放されて音楽自体で表現、音楽だけで100に。つまり本来曲がもっている力を音楽的にすべて表現できる。そこが今作なんです。」

Blog. 「週刊アスキー 2010年11月9日号」「メロディフォニー」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「サビの部分で日本のオーケストラは『トトロ…』と歌を知っているので楽譜の音符ではなく、言葉のリズムで弾くんですが、LSOは譜面に忠実に演奏するので、イントネーションが違ってきたんです」

Blog. 「モーストリー・クラシック 2010年12月号 vol.163」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「昨年、ストイックに現代音楽を追求した「ミニマリズム」という作品を作って長年の夢をかなえた。でも、実はその時から対になるメロディーを重視したアルバムを出したいという構想があったんだ。「ミニマリズム」に続いてロンドン交響楽団に演奏してもらったのは、「となりのトトロ」など、僕の曲をほとんど聴いたことがないであろうオーケストラが演奏するとどうなるか興味があったんだ。結果はとても面白いことになった。「トットロ トットーロ」というフレーズも、彼らは元の歌を知らないのであくまでシンフォニーを支えるモチーフの一つとして捉えて演奏していたんだ。」

Info. 2010/10/13 ベストアルバム「メロディフォニー」を発売 久石譲さんに聞く(読売新聞より) 抜粋)

 

 

 

久石譲が全曲を編曲、監修した作曲家自身によるオフィシャルスコア。久石の映画音楽の楽譜がオーケストラ・スコアの形で公表されることは、これまでほとんどありませんでした。久石サウンドの秘密を探る絶好の楽譜となっています。

 

 

 

2018年4月25日 LP発売 UMJK-9079/80
完全生産限定盤/重量盤レコード/初LP化

 

 

 

久石譲 『メロディフォニー』

1. Water Traveller (映画『水の旅人』メインテーマ)
2. Oriental Wind (サントリー緑茶「伊右衛門」CM)
3. Kiki’s Delivery Service (映画『魔女の宅急便』より「海の見える街」)
4. Saka No Ue No Kumo (NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』より)
5. Departures (映画『おくりびと』より)
6. Summer (映画『菊次郎の夏』メインテーマ / トヨタ・カローラCM)
7. Orbis (サントリー「1万人の第九」25回記念序曲 委嘱作品)
8. One Summer’s Day (映画『千と千尋の神隠し』より「あの夏へ」)
9. My Neighbor TOTORO (映画『となりのトトロ』より「となりのトトロ」)

指揮・ピアノ:久石譲
演奏:ロンドン交響楽団 London Symphony Orchestra
コーラス:ロンドン・ヴォイシズ London Voices 7.

録音:アビーロード・スタジオ(ロンドン・イギリス)

 

初回限定盤
レコーディング映像とインタビューを収録したDVD付豪華デジパック仕様

《初回限定盤DVD》 (メロディフォニー映像)
Melodyphony Recording Video
・Departures
・One Summer’s Day
・Kiki’s Delivery Service
・Interview

 

【初回限定盤A】
CD2+DVD
CD ~「Melodyphony」 / 「Minima_Rhythm」
DVD ~「Melodyphony映像」「Minima_Rhythm映像」
※「Minima_Rhythm」CDおよびDVD内容は同作品初回限定盤に同じ
スペシャル・ブックレット

【初回限定盤B】
CD+DVD
CD ~「Melodyphony」
DVD ~「Melodyphony映像」「Minima_Rhythm映像」
※「Minima_Rhythm」CDおよびDVD内容は同作品初回限定盤に同じ

【通常版】
CD
CD ~「Melodyphony」

 

Disc. Kazumi Tateishi Trio 『GHIBLI meets JAZZ ~Beautiful Songs~』

2010年7月14日 CD発売 VICL-63644

 

Kazumi Tateishi TrioによるJAZZトリオによるスタジオジブリ作品カバーアルバム

 

有名なジブリソングたちを原曲の持ち味を活かしながらおしゃれなJAZZに。いろんなシーンで重宝されている数あるジブリ・アレンジ、カバーアルバムのなかでも秀逸。

 

 

GHIBLI meets Jazz~Beautiful Songs

1. いつも何度でも(千と千尋の神隠し)
2. となりのトトロ(となりのトトロ)
3. 崖の上のポニョ(崖の上のポニョ)
4. Arrietty’s Song(借りぐらしのアリエッティ)
5. 海の見える街(魔女の宅急便)
6. さくらんぼの実る頃(紅の豚)
7. アシタカとサン(もののけ姫)
8. 君をのせて(天空の城ラピュタ)
9. 風の通り道(となりのトトロ)
10. ナウシカレクイエム(風の谷のナウシカ)
11. 風の伝説(風の谷のナウシカ)
12. 帰らざる日々(紅の豚)
13. カントリーロード(耳をすませば)
14. 愛は花、君はその種子(おもひでぽろぽろ)
15. テルーの唄(ゲド戦記)
16. さくらんぼの実る頃 レトロバージョン(紅の豚)

 

Disc. 井上あずみ 『ジブリ名曲セレクション Dear GHIBLI』

井上あずみ ジブリ名曲セレクション

2010年5月12日 CD発売 FRCA-1221

 

井上あずみの歌手生活25周年を記念したスタジオジブリ作品の楽曲をカバーしたカバーアルバム

 

 

オリジナル主題歌を担当した「天空の城ラピュタ」や「となりのトトロ」も久石譲のアレンジとは違い、歌い直し、セルフカバーとなっている。

全曲新しいアレンジとなっているが、やはり歌声は井上あずみ。ジブリ作品のイメージが強い声だけに違和感はない。原曲のイメージを損なわず、優しく明るい軽やかな仕上がりになっている。アレンジもシンプルな生楽器を中心に上品な佳曲たち。

「千と千尋の神隠し」や「崖の上のポニョ」など近年のジブリ作品まで網羅し往年のジブリファンや彼女の美声ファンには、うれしい作品。新しいけれど、懐かしい。そんなタイムスリップを体験できるような作品。

 

 

井上あずみ ジブリ名曲セレクション

1. めぐる季節 (映画「魔女の宅急便」より)
2. となりのトトロ (映画「となりのトトロ」より)
3. もののけ姫 (映画「もののけ姫」より)
4. カントリー・ロード (映画「耳をすませば」より)
5. 世界の約束 (映画「ハウルの動く城」より)
6. 愛は花、君はその種子 (映画「おもひでぽろぽろ」より)
7. 君をのせて (映画「天空の城ラピュタ」より)
8. 風の谷のナウシカ (映画「風の谷のナウシカ」 イメージソング)
9. いつも何度でも (映画「千と千尋の神隠し」より)
10. さんぽ (映画「となりのトトロ」より)
11. やさしさに包まれたなら (映画「魔女の宅急便」より)
12. 崖の上のポニョ (映画「崖の上のポニョ」より)
13. 時には昔の話を (映画「紅の豚」より)
14. ナウシカ・レクイエム (映画「風の谷のナウシカ」より)

 

Disc. 『崖の上のポニョ』(Blu-ray)

2009年12月8日 Blu-ray発売 VWBS-1076
2011年11月16日 Blu-ray発売 VWBS-1290

 

ジブリがいっぱいCOLLECTION
宮崎駿監督作品『崖の上のポニョ』

 

5歳の少年・宗介とさかなの子・ポニョの約束、それを見守る大人たちの織りなす物語が、宮崎駿監督の目指した「人間が手で描いた驚き」とともに幅広い世代に支持された『崖の上のポニョ』。2008年の興行収入No.1を記録した本作は、すでに世界60カ国以上で公開され、2009年8月14日には900スクリーン以上という日本映画としては破格の規模で北米公開されました。

『崖の上のポニョ』ブルーレイディスクは、本編映像をより高画質、より高音質に収録したのに加えて、ブルーレイディスクならではの容量を最大限に生かした、豪華映像特典の数々を収録しました。ケイト・ブランシェット、マット・デイモンら豪華声優陣を起用し、8月14日に全米公開された北米版を完全収録。

スタジオジブリ作品のDVDではお馴染みの絵コンテ映像はブルーレイディスクの特徴を生かした「ピクチャー・イン・ピクチャー」を採用。絵コンテ映像と本編映像を同時に楽しむことが出来ます。また、予告編、TVスポットはもちろん、メイキング映像や記者会見、初日舞台挨拶、そして宮崎駿監督、鈴木プロデューサーのインタビュー映像等々、作品資料としても貴重な映像の数々を一挙収録。大ヒットした「藤岡藤巻と大橋のぞみ」による主題歌のミュージックビデオと、本邦初となる韓国語版ミュージックビデオも特別収録するなど、ブルーレイディスクの容量を最大限に生かした映像特典の数々をお楽しみいただけます。

 

 

特典映像の「主題歌発表記者会見」にて久石譲も同席した様子や会見インタビューが収録されている。また、「日本テレビ NEWS ZERO スピンオフ『崖の上のポニョ』密着!5人の天才職人」にて、ホールでのレコーディング風景を垣間見ることができる。楽曲は「浦の間」「クミコちゃん」。同番組はテレビ放送特番(2008年8月)である。

※Blu-ray / 2011年版の特典映像をもとに

 

 

(Blu-ray / 2009)

 

(Blu-ray / 2011)新パッケージ

 

【商品仕様詳細】

<仕様>
BD50/1枚/ピクチャーディスク/MPEG-4AVC/複製不能、マクロビジョン

<画面サイズ>
16:9 1920×1080 FULL HD

<音声>
日本語(2.0chステレオ/リニアPCM)
日本語(6.1ch/DTS-HDマスターオーディオ(ロスレス))
フランス語/イタリア語/スペイン語/韓国語/北京語/広東語(2.0chサラウンド/ドルビーデジタル)

<字幕>
日本語/英語/フランス語/イタリア語/スペイン語/韓国語/中国語(繁体字・北京語)/中国語(繁体字・広東語)

<映像特典>
◯絵コンテ(本編映像とのピクチャー・イン・ピクチャー)
◯北米版 本編(音声:英語/字幕:日本語)
◯劇場予告編・2種
◯TVスポット・11種
◯タイアップTVスポット・3種
◯日テレちん・2種
◯ノンクレジット・エンディング(ロングバージョン)
◯主題歌発表記者会見
◯アフレコ収録風景
◯公開初日 舞台挨拶
◯宮崎駿監督インタビュー
◯対談 鈴木敏夫(スタジオジブリ・プロデューサー)☓ 土屋敏男(第2日本テレビ編集長)
◯日本テレビ NEWS ZERO スピンオフ『崖の上のポニョ』密着!5人の天才職人
◯資料映像 宮崎駿監督名言集
◯資料映像 ベネチア国際映画祭
◯主題歌ミュージックビデオ
◯韓国版主題歌ミュージックビデオ

※Blu-ray / 2011年版

 

Disc. 久石譲 『久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~』

久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~ DVD

2009年7月3日 DVD/Blu-ray発売
DVD VWDZ-8130
BD VWBS-1078

 

~ナウシカからポニョまで 宮崎アニメと共に歩んだ25年間~
久石譲×宮崎駿 25年の軌跡のコンサート
『久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~』

 

 

2008年8月4日,5日 日本武道館

作曲・指揮・ピアノ:久石譲
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
合唱:栗友会合唱団、東京少年少女合唱隊、一般公募コーラス隊
マーチングバンド:京華女子中学高等学校マーチングバンド部、中央区立日本橋中学校吹奏楽部、川崎市立橘高等学校吹奏楽部、川崎市立高津高等学校吹奏楽部
ゲストヴォーカリスト:藤岡藤巻と大橋のぞみ、林正子、平原綾香、麻衣

 

2008年夏、日本武道館で開催されたコンサート「久石譲 in 武道館」を全曲収録。久石譲が音楽を手がけた、宮崎駿監督作品『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『魔女の宅急便』『紅の豚』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』の名曲30曲余りを、アンコールまで含めて全曲収録。

200名の大オーケストラ、800人の大合唱団、160人のマーチングバンド、そして素晴らしいゲストヴォーカリストと、総勢1160人もの超大規模編成による演奏と、巨大スクリーンに映し出される宮崎アニメが織りなすスペクタクルな世界を完全収録。

(メーカーインフォメーションより)

 

 

 

「武道館公演ではいろんなバランスについて悩みました。まずは『風の谷のナウシカ』から『崖の上のポニョ』まで、9作品もあるので、それをどうやって構成しようかということ。『ナウシカ』で始まって、『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『魔女の宅急便』というふうに年代順というのが一番単純で安心感もあるんだろうけど、その通りにやっていたら、『もののけ姫』くらいのときに、”今、中ごろだな”って観客が予想できちゃうじゃないですか。そうではなく、観客の予測を裏切っていくために必要なのが”構成”です。映画を一本撮るのと同じように、構成することで感動が残るんですよ。映画の魅力って”サスペンデッド”なんです。”宙づり”っていう意味ですけど、観客を”どうなるの?”って引っ張っていくドキドキ感が必要だと思うんです。あとは映像と音楽のバランス。スクリーンが大き過ぎても駄目なんです。人間って映像の印象を強く受けるから、映像に音楽がくっついてるっていう感じになるんだったら、コンサートをやる意味がないんですよね。かといって、小さ過ぎると映像がオマケになっちゃうからそれも駄目。88メートル×約162メートル、巨大ですけどちょうどバランスのいい大きさのスクリーンだったと思いますよ」

「通常、僕のコンサートは、サントリーホールとかで行うときには一般的なクラシックコンサートと同じように年齢制限を設けているんですけど、今回は子ども連れ、赤ちゃん連れでも来てもらえるようにしました。今までやったことにない大規模なコンサートだし、その場に居合わせたことで、この体験がどこかに残ったりしたらいいなって思ったんです。このコンサートがきっかけで音楽をもっと好きになってくれる人がいたり、将来音楽家になりたいって思う人がいたらうれしいですからね。音楽っていいなって思ってくれただけでも、このコンサートを開催した意味があったと思うんです。出演者の中に、公募で選んだ合唱の人たちがいるんですけど、皆さん喜んでくれたみたいです。一般公募の合唱隊が参加することは、僕が”どうしても入れたい”ってこだわったことだったんですよ。終わった後、彼らが寄せ書きした冊子をもらったんですけど、それがうれしくてね。いやぁ、このコンサートをやってホントに良かったです」

Blog. 「別冊カドカワ 総力特集 崖の上のポニョ featuring スタジオジブリ」(2008) 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

2008年夏、1200人を超える出演者(オーケストラ、コーラス、マーチングバンド、歌手)を率い武道館3回公演を満席、大成功に収めたコンサートの話です。中でも印象的なマーチングバンドのシーンですが、これを2時間の合間に入れたことに関して、実は災い転じて福となった「ワザテン」パターンのひとつとのこと。アイディアの根底は企画当初からありましたが、鼓笛隊だけでやろうと構想していたそうです。でも鼓笛隊だけだと5、6分くらいしか場がもちそうもないと思い、プログラム構成もほぼ固まってきた頃、諸事情からオーケストラのために20分休憩が欲しいという話が急浮上しました。でも、武道館規模の会場で休憩時間を挟むとなると20分では自席に戻れないお客さんが出てきてしまう問題が伴います。しかしオーケストラは休ませなければならない…。それをどうまとめるか、というときに、久石はアイディアを膨らませて、吹奏楽のマーチングバンドだったら1コーナー15分程度をもたせることができる。そこに前後を付ければ20分!という発想に至り、この中間部が決まったそうです。コンサート終了後もこの「天空の城ラピュタ」のコーナーには沢山の方が感動し涙したとう声を聞いています。背景にこんな逸話があったとは。感動の「ワザテン」です。

Info. 2009/10/25 金沢工業大学「工大祭」公開講座 第83回創造学「JOE HISAISHI TALKS」開催 より抜粋)

 

 

 

 

 

2008年8月2日&3日、幕張メッセ展示ホールにてリハーサルが行われている。総勢1200名が一同に会してリハーサルできるスペースとして選ばれ、本番さながらのステージを組み、コンサートのために特注で作られた88m x 約162m の巨大スクリーンも用意されている。約6時間x2日間におよぶリハーサルが行われた。

このコンサートのために大規模な編成用に新たにスコアを書き、6管編成・弦24型という大編成オーケストラである。「風の谷のナウシカ」の冒頭ティンパニも2奏者によるダブル・ティンパニとなるなど、パーカッションも多彩な楽器(和太鼓・締め太鼓・チャンチキ等も)含め大所帯である。

開演前に会場BGMとして流れていた楽曲は、三鷹の森ジブリ美術館BGMとして使用されている「Musica del Museo」「Birthday 15+」「La neve è rimossa」の3曲。宮崎駿監督の誕生日にプレゼントされている楽曲で美術館オリジナルBGM、CD化などはされていない。

「帰らざる日々」(紅の豚)は、久石譲ピアノとサックス、トロンボーン、チューバというJazzyな編成。

「Cave of Mind」(ハウルの動く城)は、1階スタンド最前列からトロンボーンとトランペットのバンダによる演出。

 

 

2025.02 update

 

 

 

久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~ DVD

 

曲目

『風の谷のナウシカ』
オープニング「風の伝説」
ナウシカ・レクイエム
メーヴェとコルベットの戦い
ナウシカ・レクイエム(遠い日々)
鳥の人

『もののけ姫』
アシタカせっ記
タタリ神
もののけ姫

『魔女の宅急便』
海の見える街
傷心のキキ
かあさんのホウキ

『崖の上のポニョ』
深海牧場
海のおかあさん
波の魚のポニョ
フジモトのテーマ
ひまわりの家の輪舞曲(ロンド)
母の愛
いもうと達の活躍〜母と海の讃歌
崖の上のポニョ

『天空の城ラピュタ』
ハトと少年
君をのせて
大樹

『紅の豚』
帰らざる日々

『ハウルの動く城』
Symphonic Variation “Merry-go-round”(交響変奏曲「人生のメリーゴーランド」)
Cave of Mind
“Merry-go-round” (人生のメリーゴーランド)

『千と千尋の神隠し』
あの夏へ vocal version 「いのちの名前」
ふたたび

『となりのトトロ』
風のとおり道
さんぽ
となりのトトロ

—–アンコール—–
Madness (「紅の豚」より)
アシタカとサン (「もののけ姫」より)

 

構成・演出:久石譲

except アレンジ:
長生 淳 (「天空の城ラピュタ」「ふたたび」)
山下康介 (「崖の上のポニョ」)
宮野幸子 (「魔女の宅急便」)

作詞:
「あの夏へ」 覚和歌子
「ふたたび」 鈴木麻実子
「アシタカとサン」 麻衣

 

【特典映像】
●メイキング
コンサートの舞台裏にカメラが密着。リハーサル風景などを久石譲ほかのインタビューを交えて綴る。

●スクリーン・アニメ
武道館の巨大スクリーンに映し出された宮崎アニメの名シーン。その”スクリーン・アニメ”のうち5作品7曲分をコンサートの演奏に合わせてそのまま収録。

風の谷のナウシカ・・・メーヴェとコルベットの戦い~ナウシカ・レクイエム(遠い日々)
もののけ姫・・・タタリ神
魔女の宅急便・・・傷心のキキ~かあさんのホウキ
紅の豚・・・帰らざる日々
ハウルの動く城・・・Cave of Mind

 

制作:NHKエンタープライズ

 

Disc. 『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ 九十九の言葉』

2009年6月10日 DVD発売 VWDZ-8122

 

絵のないDVD
― 見えないからこそ届く言葉がある。
≪ジブリがいっぱいCOLLECTIONスペシャル≫
『鈴木敏夫のジブリ汗まみれ 九十九の言葉』

「みんな自分のことばかり考えていますよね。
人のことを考えないと
自分のことなんて解決できないのにね。」
鈴木敏夫

 

スタジオジブリ・プロデューサーの人気ラジオ番組の音源を再編集し、「DVD」にまとめた究極の1枚。

メガヒット作品を生み出し続ける、日本映画界屈指のプロデューサーの一人、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーがメインパーソナリティとして贈る「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」。TOKYO FMをキーステーションに、JFN系列全国38局ネットで2007年10月から放送されているラジオ番組です。鈴木プロデューサーの隠れ家であり、室内の壁面がレンガで造られている通称、「れんが屋」で主な収録を行うという、従来のラジオ番組とは一線を画した手法で制作され、毎回迎える豪華ゲストの本音を、独特の“鈴木節”に巻き込みながら聞き出しています。

収録される絢爛たる豪華ゲストは、総勢49名(予定)。鈴木プロデューサーと交わした言葉の数々を集めた音声収録時間は、なんと 40時間以上。番組ではオンエアできなかった会話も収録されています。映像部分は、背景を静止画のみで構成・演出しています。静止画として使用される「レンガ」の画像は、人々の集う「れんが屋」をイメージさせ、実際にそこで共に話を聞いているかのような感覚を呼び起こします。“99の言葉”は、鈴木プロデューサー自身が書いた文字が表示され、“声の響き”とともにその意味を理解する助けとなります。

絢爛たる豪華ゲストを収録!
行定 勲、太田光代、中村正人 他(順不同/敬称略)

阿川佐和子/浅尾 克巳/浅岡 揺/浅川 遥/安保有希子/荒川 格/石川 元/伊勢伸平/板谷愼一/市川 南/井上一夫/伊平容子/石上和敬/内野友美/浦沢直樹/太田光代/大塚康生/大西健丞/大橋のぞみ/小川洋之/奥田誠治/押井 守/落合博満/柏木吉一郎/叶井俊太郎/亀渕昭信/川人献一/岸本 卓/きたやまおさむ/國田博史/小松季弘/齋藤優一郎/佐久間俊治/佐多美保/佐藤直樹/宍倉幸雄/渋谷陽一/しまおまほ/ジョージ・ルーカス/鈴木知津子/スティーヴン・ソダーバーグ/関 晃範/関 慎太郎/関 正顕/田居 因/高草木 恵/高橋 望/高柳義人/田家秀樹/谷島正之/谷山浩子/種田陽平/CHAGE/塚越隆行/手嶌 葵/内藤 究/中沢新一/永見弥映子/中村正人/橋口亮輔/濱野 茂 /林 正子/柊 瑠美/久石 譲/藤岡藤巻/藤巻直哉/古川典子/星野康二/細川朋子/堀田百合子/水木雄太/村上 隆/矢野顕子/矢部 勝/行定 勲/吉岡秀隆/依田謙一/リリー・フランキー/渡邊隆史 (※五十音順)

※このDVDは音声を長時間収録した作品です。画像は静止画のみで構成され、出演者の映像や写真等は収録されておりません。

(メーカーインフォメーションより)

 

 

鈴木敏夫のジブリ汗まみれ DVD

 

Disc. 東京佼成ウインドオーケストラ 『スタジオジブリ吹奏楽作品集 風の谷のナウシカ』

2009年3月25日 CD発売 BOCD-7194

 

「スタジオジブリ」のアニメーション映画の音楽をもとに構成・編曲した吹奏楽作品を全6曲を東京佼成ウインドオーケストラの演奏による完全新録音。

どの作品も、久石譲氏のファンタジー溢れるロマンティックなメロディーの数々が、吹奏楽を知りつくした森田一浩氏・後藤洋氏の見事なオーケストレーションでドラマティックに演出されており、このCDを聴いたあなたの胸に感動の渦を巻き起こします! 全収録作品の楽譜も取り扱い中!

 

 

 

 

交響組曲「風の谷のナウシカ」3章(編曲:森田一浩)
1.風の伝説
2.戦闘
3.はるかな地へ

4.「ラピュタ」─キャッスル・イン・ザ・スカイ─(編曲:森田一浩)
空から降ってきた少女─スラッグ渓谷の朝─ハトと少年
─ロボット兵─竜の穴─君をのせて

5.「となりのトトロ」─コンサート・バンドのためのセレクション─(編曲:後藤洋)
さんぽ─五月の村─すすわたり─風のとおり道
─ねこバス─となりのトトロ

6.「魔女の宅急便」セレクション(編曲:森田一浩)
海の見える街─仕事はじめ─傷心のキキ─突風─旅立ち

7.「もののけ姫」セレクション(編曲:森田一浩)
アシタカせっ記─TA・TA・RI・GAMI─アシタカとサン

8.吹奏楽のための交響的ファンタジー「ハウルの動く城」(編曲:後藤洋)
暁の誘惑─さすらいのソフィー─陽気な軽騎兵
─星をのんだ少年─人生のメリーゴーランド

 

Disc. 平原綾香 『朱音 あかね』

朱音 平原綾香

2009年2月25日 CDS発売 MUCD-5148

 

カップリング曲「ふたたび」は、映画「千と千尋の神隠し」の同名劇中曲に鈴木麻實子(スタジオジブリプロデューサー鈴木敏夫の娘)が作詞したもの。

2008年の「久石譲 in 武道館」でも披露された同曲は、そのコンサートでのフルオーケストラサウンドとは違い、久石譲本人がリアレンジした古楽器のシンプルなものとなっている。バロックリコーダー、バロックハープ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴィオラ・ダモーレ、リュートといった古楽器による、どこか懐かしい温かな音色となっている。

 

 

朱音 平原綾香

1. 朱音 あかね
2. ふたたび
3. 朱音 あかね ~Vocal-less Track~
4. ふたたび ~Vocal-less Track~

 

Disc. 久石譲 『Another Piano Stories ~The End of the World~』

久石譲 『Another Piano Stories』

2009年2月18日 CD発売
CD+DVD(初回限定盤)UMCK-9260
CD(通常盤)UMCK-1294

 

あのPiano Storiesから新たな物語が生まれる。話題の楽曲から新曲までを全新録にて収録。久石譲のピアノはもとより、12名のチェリスト、2台のハープ、コントラバス、マリンバ、パーカッション編成で魅了したコンサートツアーを元に新たにレコーディングされたアルバム。

 

 

【楽曲解説】

1. Woman
婦人服ブランド「レリアン」のCMテーマ曲として作曲。今作品はヨーロピアンテイストをそのままに新たな作品に仕上げた。マリンバの軽快なリズムや、ピアノとハープの織り成す旋律によってますます華やかさと洗練された都会のイメージをまとい、凛とした力強さが加わった。”欧州の街並みを背に、颯爽と歩く現代の女性像”を想起させる楽曲である。

補足)
CMに使用されたオリジナルバージョンは、オリジナル・アルバム『Asian X.T.C.』(2008)のボーナストラックとして収録されている。オリジナル版「Woman ~Next Stage~」では旋律をバンドネオンが奏でている。

 

2. Love Theme of Taewangsashingi
韓国ドラマ『太王四神記』より、スジニのテーマを書き直した。若き聡明な王が真の王へと成長する一大叙事詩の愛のモティーフとして描かれている。前世の夫であった王に恋心を抱くスジニの切ない想いをのせ、恋の行方を暗示するがごとく、哀しくも美しいメロディーが印象的である。

補足)
同作品オリジナル・サウンドトラック(2007)では、フルオーケストラ・バージョンやピアノ・ソロ、そしてシンセサイザーを絡めた神秘的なバージョンまで、多彩なアレンジにてひたることができる。それだけこのドラマ作品において重要な役割を果たしている楽曲であることがわかる。

 

3. Les Aventuriers
男女3人の愛と友情の物語、アラン・ドロン出演の仏映画『冒険者たち』(1967年)にインスピレーションを受けて作られた楽曲。冒険ならではの昴揚感と緊張感を味わえるこの曲は、久石のお気に入りでもある。5拍子が生み出す攻撃的なビートと、メロディアスな主題が交錯しながらエンディングへとなだれ込む、スリル満載な楽曲。

補足)
オリジナル版は『Piano Stories II』(1996)に収録されている。サクソフォンによる旋律、隠し味としてシンセサイザーも効果的に使われている。ノンタイアップの楽曲にもかかわらずオリジナルから13年を経てリメイクされるという稀な楽曲。楽曲解説中の「久石譲お気に入り」というのもうなずける。

 

4-6. Departures
2008年秋に公開され、モントリオール世界映画祭グランプリにも輝いた映画『おくりびと』のサウンドトラックから複数のモティーフを抜粋し、約14分の組曲に再構築。元チェリストが主人公であるこの映画と、チェロ楽曲の構想を温めていた久石が運命的に出会った。チェロの音域の広さと表現力の豊かさを最大限に活かし、主人公の心の揺れ動くままに、激しく、やさしく、時にコミカルに様々な表情を見せる。ソロチェリストとしてサウンドトラック同様、東京都交響楽団首席チェロ奏者の古川展生氏が優しくも力強く奏でている。

 

7. Ponyo on the Cliff by the Sea
2008年、日本全国に”ポニョ旋風”を巻き起こした映画『崖の上のポニョ』より、弦楽器のピッチカートが特徴的な小品。”ポニョ”のテーマが次々と様相を変えて引き継がれていく。各々の楽器の特性を知り尽くした久石ならではの手法によって、可愛らしくも爽やかな余韻をもたらしてくれる。

 

8. Destiny of Us (from Musical Turandot)
祝祭音楽劇『トゥーランドット』から、二重唱「運命は遠い日の約束」をインストゥルメンタル作品へと書きかえた。トゥーランドットとカラフが愛を交わし合う場面で、物語のクライマックスを盛り上げる。本作品にはアコースティック・ギターが参加し、他トラックとは一味違う趣向を楽しめる。

補足)
同作品は舞台上演でのみ聴くことができた、サウンドトラックも発売されていない作品である。よってここに収録されたアレンジ版でこそあれ、貴重な収録となっている。舞台を収めたDVDは発売されている。

 

9-12. The End of the World
2007年秋、ニューヨークを訪れた久石が見たものは、グランド・ゼロに向けられた人々の悲しみと祈りであった。

全4楽章から成るこの組曲は、当初「After 9.11」と名付けられていた。アメリカ同時多発テロを契機に世界の秩序の崩壊と価値観の変遷に危惧を抱いた久石が、今の時代にこそ遺さねばならない作品として書き上げた渾身の一作。世界に拡がる不安と混沌をテーマに描いた、ミニマル作曲家・久石譲の真骨頂が味わえる。

第1楽章の「Collapse」は、グランド・ゼロに着想を得て作られた。冒頭から絶えず打ち鳴らされるピアノのリズムは、後の全楽章に通ずる主要動機となり、強烈なメッセージを投げかけ続ける。チェロやハープ、マリンバのアンサンブルが主要動機と複雑に絡み合い、焦点の定まらない危うさを醸し出している。

グランド・ゼロに程近いセント・ポール教会の名を称した、第2楽章「Grace of the St. Paul」は、人々の嘆きや祈り、悲しみを題材としている。チェロソロのイスラム的なメロディーとティンパニの主要動機による対話から始まる。一転してコントラバス、ピアノ、ヴィブラフォンによるジャジーなメロディーは、調性の定まらない浮遊感を漂わせる。

第3楽章「Beyond the World」は、人々の不安や悲哀が極限まで膨張する様を描くが、同時に人間の持つ混沌としたエネルギーに対する肯定的ない見も含まれている。8分の11拍子の複雑かつ緻密に関わり合うパッセージは、常に緊迫感を持ち大きな渦となって膨らみ続ける。我々の住む世界の”向こう側”には何があるのだろうか…。コンサートツアーの後に、第4楽章「The End of The World」が付け加えられ組曲として完結。ジュリー・ロンドンの歌ったスタンダードナンバー「The end of the world」に深く感銘を受けた久石が、”あなたがいなければ世界は終わる”と歌ったラブソングを甦らせた。原詞の”you”を複数形の”あなたたち”と捉え、現代社会に強いメッセージを投げかけている。

人々の悲哀や嘆きを表しつつも、混沌とした世界の中で、力強く生きなければならない、と未来へ向けての祈りと明るいメッセージが込められている。

補足)
第4楽章にて同名スタンダードナンバーのボーカルは久石譲本人である。

この作品は間をおかずして、約半年後オリジナル・アルバム『ミニマリズム』(2009)にも収録されている。そこではオリジナルのアコースティック編成では表現できなかったと言わんばかりに、爆発するほどに解き放たけたフルオーケストラサウンドとして昇華されている。第1-3楽章までが再構築されている。ミニマルシンフォニーの大作であり、現代音楽家久石譲の芸術作品として少なくない部分を占めるエポック的作品である。

 

13. I’d rather be a Shellfish
映画『私は貝になりたい』のメインテーマ。戦争に翻弄される家族の悲劇を、ワルツの使用によって、格調高く荘厳さを持ち合わせた楽曲へと昇華させた。ドラマの壮絶な人生と絶望的な結末に相反して、音楽は人間的な優しさや愛に溢れた世界観を表現している。本作品唯一のピアノソロ。

 

14. I will be
日産スカイラインのCMテーマ曲「I will be」が、満を持して登場。娘である麻衣が作詞と歌唱で参加。その透き通った歌声は、明らかに独自の世界観を示している。16ビートによる心地よいグルーヴ感に、突如現れる8分の11拍子が絶妙な緊張感をもたらす。ミニマル作曲家久石ならではのポップスチューンだ。

(Wonder City : 本多哲子)

(【楽曲解説】 ~CDライナーノーツより)

 

補足)は追記するかたちで併記させてもらった。

 

 

 

「今回のツアーのように12人いる場合、弦4部と捉えて4パートに分けると1パートが3人ずつ。でも、この3人というのが鬼門で、8つの和音を各パートに2音ずつ振り分けると、どうしても1人ずつ余ってしまうんです。この通常の書き方が通用せずに、やはり難しくて、どうしよう!困った!……と(笑)。これでは、あまりにも難しい書き方になってしまうので、悩んだ挙句、自分の解決策として、4人1組のチェロ”カルテット”が3組あるという考え方に辿り着いたんです。要するに、第1カルテット、第2カルテット、第3カルテットという発想で書くことによって、全く違う動きをもたせることが出来るようになった。その上で、一人一人の奏者が更に独立したり共同したりという様々な動きを見せることによって、タペストリーのように非常に細かい動きを出していこうと思ったんです。」

「やはり、前回よりも更に進化している必要がありますよね。普通、大規模なオーケストラでないとハープ2台は使わないと思うんですが、そこを敢えてこの小さい編成で取り入れ、マリンバ、ティンパニまで入ったパーカッションが2人と、そしてコントラバスを付け加え、全く新しい編成で、世界にもないスタイルでの挑戦です。」

「この曲(「The End of the World」)は、もう本当に一言で表わせば、「After 9.11」ということなんです。「9.11(アメリカ同時多発テロ)」以降の世界の価値観の変遷と、その中で、政治も経済もそこで生きている人々も、今の時代は、どこを向いてどう頑張っていけばいいのか分からなくなってしまっているんじゃないかと、最近とみに考えるようになって。今年はたくさんの作品や映画音楽を書かせていただき、監督たちとコラボレーションすることで自分を発見する楽しい作業に数多く恵まれましたが、それとは対極の、ミニマル作曲家である本来の人という立場から、自身を見つめる時期も必要であると。そして、今回の限られたわずかな時間しかない中でも、どうしてもつくらなければならないと、個人的な使命感にも似た感覚を強く感じて、書いた作品なんです。」

「実は、直前まで決定するのに苦しんでいて、やっと「The End of the World」というタイトルに決まったんです。この「The End of the World」には同名のスタンダード曲も存在して、「あなたがいないと私の世界が終わる」というような意味のラブソングです。でも、この曲のあなたを複数形でとらえ、あなたたちが存在していなければ、世界は終わってしまうといった、もっと広い意味で捉えると、たぶん今、僕が考えている世界観にとても近いんじゃないかと感じて、敢えてこの同じタイトルを用いた理由です。楽曲は、1楽章は4分の6拍子から始まり、最終楽章が8分の11拍子という、大変難しい曲。おまけに、絶えずピアノが鳴らす基本リズムがあり、それに他の楽器が絡み合う、本当に”世界のカオス”、まさに”混沌”を表現するような、アンサンブル自体がカオスになってしまうんじゃないかというくらいの難曲になってしまいました。」

「これは(「Departures」)、映画「おくりびと」のために書いた楽曲を、今回、約14分の組曲風に仕立て上げました。どちらかというとこちらの新作は、精神的な癒し、あるいは究極の安らぎをテーマにした楽曲でもあるんです。」

Blog. 「久石譲 ~Piano Stories 2008~」 コンサート・パンフレット より

 

 

「このアルバムは、どちらかというと、自分のために作った。プロなので商業的視点も必要なんだが、ヒット作だけでまとめるのは苦痛を伴う」と久石。「『ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』を入れようと決心した時から、この作品は『アナザー(別物)』にしようと思った」

「『おくりびと』はもとより『ポニョ』も、実は死を描いているんですよ。『死』は僕にとっても最も大きなテーマ。人間にとっても最大の問題だと思う。そこを見つめないと、生きるってことがわからない」

Info. 2009/03/09 久石譲:アルバム「アナザー・ピアノ・ストーリーズ」発表 (毎日jpより) 抜粋)

 

 

 

 

本作品に先駆けて開催されたコンサート・ツアー『Joe Hisaishi Concert Tour ~Piano Stories 2008~』にて収録作品が多数披露されている。同コンサートから半年後にCD発売されたのが本作品である。コンサートとCDともに楽器編成も同じ。

同コンサート・ツアー期間中の空き日2008年10月21日、22日に東京の第一生命ホールにてレコーディングの一部が行われている。この時には「The End of The World」「Departures」「Woman」「Les Aventuriers」等が録音されている。また12月に追加レコーディング、ツアーでは演奏していなかった楽曲の録音が行われている。

本作品化に先駆けて行われたコンサートツアーのパンフレットにて、本作品を紐解く久石譲インタビューが収められている。なおその内容は、初回盤限定DVDに収録された久石譲インタビュー内容とも大きく関連している。

 

 

日産スカイランCM曲「I will be」については、本作収録バージョンよりも前の、2006年版がある。

 

 

 

 

久石譲 『Anoter Piano Stories』

1.Woman (「レリアン」CMソング~)
2.Love Theme of Taewangsashingi (韓国ドラマ「太王四神記」より)
3.Les Aventuriers

Departures (映画「おくりびと」より)
4.Prologue~Theme
5.Prayer
6.Theme of Departures

7.Ponyo on the Cliff by the Sea (映画「崖の上のポニョ」より)
8.Destiny of Us (from Musical Turandot) (舞台「祝典音楽劇 トゥーランドット」より)

The End of the World
9. I.Collapse
10. II.Grace of the St.Paul
11. III.Beyond the World
12. IV.The End of the World

Bonus Tracks
13.I’d rather be a Shellfish (映画「私は貝になりたい」より)
14.I will be (日産「スカイライン」CMソング)

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi
Piano by Joe Hisaishi

(M-12 Music Arranged and Produced by Joe Hisaishi)

Performed by
12 Special Violoncello / Contrabass / Marimba / Percussion / 2 Harp / A.Guitar

Recorded at
DAI-ICHI SEIMEI HALL , Victor Studio , Wonder Station

Mixed at ON AIR AZABU STUDIO

「I will be」
Vocal:Mai Piano:Joe Hisaishi
Lyrics:Mai

 

≪DVD≫ ※初回限定盤
Another Piano Stories ~The End of the World~
レコーディング風景
【収録曲】
・The End of the World ~I. Collapes~
・Woman
・Departures ~Theme of Departures~
・Ponyo on the Cliff by the Sea
・Oriental Wind  ※DVDのみ収録

・久石譲 Interview

 

 

The End of the World
Vocal: Joe Hisaishi
M-12 Music Arranged and Produced by Joe Hisaishi,
Words by Sylvia Dee, Music by Arthur Kent

I will be

Vocal: Mai Piano: Joe Hisaishi
Lyrics: Mai
Drums: Yuichi Tokashiki E.Bass: Yoshinobu Takeshita E.Guitar: Nozomi Furukawa
Piano: Ichiro Nagata Latin Percussion: Motoya Hamaguchi
A.Saxophone: Takahiro Nishio, Kazuyuki Hayashida Strings: Kimata Group

12 Special Violoncello

Ludovit Kanta (Solo Concertmaster)
Nobuo Furukawa (Departures Solo)
Yumiko Morooka (12 Vc Inspector)
Akina Karasawa
Mikio Unno
Eiichiro Nakada
Yutaka Hayashi (M-2, M-8)
Robin Dupuy
Mikiko Mimori
Shigeo Horiuchi
Eiko Onuki
Takayoshi Sakurai
Keiko Daito

Contrabass

Igor Spallati
Jun Saito (M-2, M-8)

Marimba, Percussion

Momoko Kamiya
Reiko Komatsu

Harp

Yuko Taguchi
Micol Picchioni

A. Guitar

Masayuki Chiyo (M-8)

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi
Piano by Joe Hisaishi (M-12 Music Arranged and Produced by Joe Hisaishi)

Directors:
Masayoshi Okawa (Bic-River)
Suminobu Hamada (Wonder Station)

Recording & Mixing Engineers:
Suminobu Hamada (Wonder Station)
Hiroyuki Akita (Wonder Station)
Recorded at
DAI-ICHI SEIMEI HALL,
Victor Studio, Wonder Station
Mixed at ON AIR AZABU STUDIO
Manipulator: Yasuhiro Maeda (Wonder City, Inc.)
Assistant Engineers:
Masashi Okada (SCI)
Takahiro Okubo (Victor Studio)
Masahito Komori (Bunkamura Studio)
Toshiyuki Takahashi, Akihiro Tabuchi (Wonder Station)
Hitomi Joko, Mari Shinohara (ON AIR AZABU STUDIO)
Mastering Engineer: Hiroyuki Hosaka (H2 Mastering)

 

Disc. V.A. 『スタジオジブリの歌』

スタジオジブリの歌

2008年11月26日 CD発売 TKCA-73381

 

「風の谷のナウシカ」から「崖の上のポニョ」までスタジオジブリ19作品の主題歌・挿入歌全26曲を網羅した主題歌全集

 

 

スタジオジブリの歌

ディスク:1
1. 風の谷のナウシカ(風の谷のナウシカ) / 安田成美
2. 君をのせて(天空の城ラピュタ) / 井上あずみ
3. さんぽ(となりのトトロ) / 井上あずみ
4. となりのトトロ(となりのトトロ) / 井上あずみ
5. はにゅうの宿(火垂るの墓) / アメリータ・ガリ=クルチ
6. ルージュの伝言(魔女の宅急便) / 荒井由実
7. やさしさに包まれたなら(魔女の宅急便) / 荒井由実
8. 愛は花、君はその種子(おもひでぽろぽろ) / 都はるみ
9. さくらんぼの実る頃(紅の豚) / 加藤登紀子
10. 時には昔の話を(紅の豚) / 加藤登紀子
11. 海になれたら(海がきこえる) / 坂本洋子
12. アジアのこの街で(平成狸合戦ぽんぽこ) / 上々颱風
13. いつでも誰かが(平成狸合戦ぽんぽこ) / 上々颱風

ディスク:2
1. カントリー・ロード(耳をすませば) / 本名陽子
2. On Your Mark (On Your Mark) / CHAGE&ASKA
3. もののけ姫(もののけ姫) / 米良美一
4. ケ・セラ・セラ(ホーホケキョ となりの山田くん) / 山田家の人々ほか
5. ひとりぼっちはやめた(ホーホケキョ となりの山田くん) / 矢野顕子
6. いつも何度でも(千と千尋の神隠し) / 木村弓
7. 風になる(猫の恩返し) / つじあやの
8. No Woman, No Cry(ギブリーズepisode2) / Tina
9. 世界の約束(ハウルの動く城) / 倍賞千恵子
10. テルーの唄(ゲド戦記) / 手嶌葵
11. 時の歌(ゲド戦記) / 手嶌葵
12. 海のおかあさん(崖の上のポニョ)/ 林正子
13. 崖の上のポニョ(崖の上のポニョ / 藤岡藤巻と大橋のぞみ