Posted on 2025/07/27
7月16,17日開催「久石譲スタジオジブリ フィルムコンサート ツアーファイナル at 東京ドーム」です。武道館コンサートから17年ぶりとなったジブリフィルムコンサートは久石譲×ロイヤル・フィルという豪華な日本公演で実現しました。2017年から始まった世界ツアーの集大成であり世紀の凱旋公演です。
3月の開催発表から一気に盛り上がりをみせ、その後の追加公演発表やオフィシャルグッズ予約開始、ライブ配信発表など当日へと向かう4ヶ月はSNSを中心に賑わい続けました。一人でも多くの人にと公演日直前まで追加席販売や公式リセールも行われました。
Joe Hisaishi Royal Philharmonic Orchestra Special Tour 2025
Studio Ghibli Film Concert Tour Final at Tokyo Dome
[公演期間] 
2025/07/16,17
[公演回数]
7/16 1公演
7/17 2公演
東京・東京ドーム
[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:東京混声合唱団/ブルックリン・ユース・コーラス/リトルキャロル
ソプラノ : エラ・テイラー
ヴォーカル:麻衣
マンドリン:マリー・ビュルー
マーチング:陸上自衛隊東部方面音楽隊
陸上自衛隊第1音楽隊
海上自衛隊東京音楽隊
航空自衛隊航空中央音楽隊
航空自衛隊中部航空音楽隊
[曲目]
風の谷のナウシカ
1. “NAUSICAÄ OF THE VALLEY OF THE WIND”
魔女の宅急便
2. “KIKI’S DELIVERY SERVICE”
もののけ姫
3. “PRINCESS MONONOKE”
風立ちぬ
4. “THE WIND RISES”
崖の上のポニョ
5. “PONYO ON THE CLIFF BY THE SEA”
天空の城ラピュタ
6. “CASTLE IN THE SKY”
紅の豚
7. “PORCO ROSSO”
ハウルの動く城
8. “HOWL’S MOVING CASTLE”
千と千尋の神隠し
9. “SPIRITED AWAY”
となりのトトロ
10. “MY NEIGHBOR TOTORO”
—–encore—-
Ask me why (for Piano and Orchestra)(映画『君たちはどう生きるか』より)
Madness(映画『紅の豚』より)
Ashitaka and San(映画『もののけ姫』より)
[参考作品]
*プログラムの楽曲リストは、コンサートページや上のDVD/CD作品ページをご参照ください
オフィシャルグッズの会場販売はなんと17日昼公演でほぼ完売御礼という大盛況ぶりで、急遽オフィシャルSNSから追加販売のお知らせが発信されるほど歴史は一ページ一ページと着実に刻まれていきます。公演パンフレットには、久石譲メッセージや出演者プロフィール、世界ツアーの公演記録や動員数が収められています。追加インターネット通販ふくめ配送受取は【8月下旬より順次】となっています。会場で購入して手元にある人を除いてまだ届くのを楽しみにしている人もたくさんいると思います。
ここからはレビューになります。
2017年世界ツアー版ジブリフィルムコンサートは宮崎駿監督10作品の音楽をプログラムしたスペシャルコンサートです。『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『魔女の宅急便』『紅の豚』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』『風立ちぬ』です。2025年ツアーファイナルを迎えた本公演では『君たちはどう生きるか』もスペシャルアンコールで披露されて宮崎駿監督全11作品が大集合する歴史的瞬間となりました。
2025年スタジオジブリは設立40周年を迎えました。おめでとうございます!その直前にあたる『風の谷のナウシカ』から数えて世界的に見渡しても一人の映画監督と一人の作曲家がタッグを組み続けた成功例はほとんど存在しません。スピルバーグとジョン・ウィリアムズくらいでしょうか。そのスピルバーグ監督も作品ごとに作曲家を替えていたりもします。映画、音楽、アニメーション、エンターテインメント、あらゆるジャンルを超えてスタジオジブリ作品は日本の誇るレガシーです。
映画を彩る名曲たちがコンサート本編28曲アンコール3曲と演奏されます。作品ごとに公開順ではなく趣向を凝らした多彩な音楽構成で届けられます。すべて世界ツアーのためのスペシャルバージョンです。久石譲は構成や演出についてインタビューでこのように語っています。
「一番最初は「ナウシカ」はやっぱり自分が一番最初に宮崎さんと記念すべき作品なので一番頭にする。これを決めて、その後できるだけ前半をシンフォニックに、オーケストラとコーラスの素晴らしさというものを徹底的に表現する。もちろんそのなかで交響曲のように第1楽章、第2楽章、第3楽章、第4楽章のように順番を決めていきます。後半はむしろ「Porco Rosso」だったり、ヴォーカルとピアノだけの「Spirited Away」だったりとか、あるいは「オーケストラストーリーズ となりのトトロ」のように各楽器の紹介をするような、とてもこう通常のオーケストラ・コンサートとは違うスタイルをとりながらまとめていく。」(from『A Symphonic Celebration』インタビュー動画)
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2017年からスタートした世界ツアーは2024年までの8年間で延べ18都市21会場51公演を達成しています。動員数は30万人以上を誇ります。会場は2,000人規模のコンサートホールから22,000人規模のアリーナやスタジアムそして野外公演もあります。音楽において世界三大聖地と呼ばれる「米・ロックの聖地 マディソン・スクエア・ガーデン」「音楽の殿堂 カーネギーホール」「英・ロックの聖地 ウェンブリー・スタジアム」も制覇!ほかにもニューヨーク・ラジオシティ・ミュージックホールやパリ・ラ・デファンス・アリーナなど世界中の会場で熱狂的に迎えられ瞬く間にSOLD OUT!!
ツアーファイナルは東京ドーム2days3公演12万人です。約118万通の応募という大反響です。世界ツアーの到達点にふさわしい超特大です。2008年武道館コンサートは2days3公演3万人だったことを思い起こすと17年後に辿り着いた景色は祝福に満ちています。久石譲にとっても国内でのドーム公演は単独コンサートとしてはキャリア初になると思います。オーケストラによる公演が東京ドームで行われるのもまた史上初とニュースにもありました。
ツアーファイナルも加えた総動員数は442,528人(※公演パンフレットより)です。開催データと動員記録は《速報》をご覧ください。
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7月17日昼、会場には開演前からただならぬ高揚感でいっぱいでした。ドームのあらゆるエリアに設けられた豪華なLEDビジョンには何種類かのツアービジュアルがそれぞれ映し出され、フラッグやポスターにテーピングと東京ドームをラッピングするように各所にデコレーションされた夢の祭典です。すでに多くのファンがグッズ購入や記念写真で活気に満ち溢れています。
昼公演は40,000人のジブリファン・久石譲ファンが集結し観客層は全世代型!もう男女比はとか年代層はとか海外層はとか言っていられない、日本中のそして世界各地からスタジオジブリを愛する人々が、思い思いのマイグッズを連れてこの日を迎えた様子はSNSにもたくさん投稿されていました。ジブリ愛がほとばしっているから見ていて楽しく幸せな気分になります。現地の高まりはすごく熱風が吹いていました。
チケットを手に指定ゲートから入場します。当日は快晴、熱さへの配慮もあって開場時間は繰り上がりました。もともと開場11:30/開演13:00と時間はたっぷりあったなか、ファンたちはまだまだ会場外の空気を楽しみたい雰囲気でグッズ販売コーナーには長い行列、記念写真スポットには順番待ちの人だかり、もうコンサートを全力で楽しむ一日は始まっています。
いよいよ入場します。ゲートを進んで会場を見た瞬間の驚きと一気に湧いてきた夢のような現実感は一生忘れることはないと思います。ドーム内の広さ、グラウンドに所狭しと並べられたアリーナ席、ぐるっと約240°を囲んだスタンド席、異様な存在感を放つステージ、そしてそびえ立つ3つの巨大スクリーン。今から本当にここでコンサートが始まるんだ、この喜び驚き楽しみ感激信じられないぐちゃぐちゃな感情は一生忘れません。
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出演者
久石譲
JOE HISAISHIです。作曲・指揮・ピアノ・プロデュース。どれをとっても特別です。久石譲から生まれるメロディそしてオーケストラサウンドは格別です。流麗なストリングス、煌びやかなヴァイオリンにここぞと聴かせどころのあるヴィオラ・チェロ・コントラバス、飛び跳ねるピッツィカート、軽やかに戯れる木管、咆哮する金管に豊潤なホルン、躍動するパーカッション、メロディだじゃないキャラの立ったフレーズたち。これら全てが絡み合う音色と旋律は、鳴ってほしい音が一番ふさわしい楽器と旋律で奏でられる。こぼれそうな気品と美しさ、圧倒される絢爛な色彩効果に耳をうばわれてしまいます。これぞ久石譲の魔法です。
久石譲指揮はオーケストラの対向配置(古典配置/両翼配置)をとっています。ベートーヴェンの時代(古典)もそうでした。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右対称に位置すること(両翼)などが特徴です。本公演では弦14型3管編成のオーケストラ約90人に合唱・ユースコーラス約150人、マーチング約200人も合わせて総勢438名にのぼります。
久石譲にしか出せないピアノの音があります。久石譲のピアノでしか伝えることのできないスタジオジブリの世界があります。ジブリファンにとっても神セトリですが、久石譲ファンにとっても神セトリです。
久石譲によるピアノ演奏
- 風の伝説 / The Legend of the Wind
- 旅路(夢中飛行)/ A Journey (A Dream of Flight)
- 帰らざる日々 / Bygone Days
- Symphonic Variation “Merry-go-round + Cave of Mind”
- あの夏へ / One Summer’s Day
- となりのトトロ / My Neighbor Totoro
- Ask me why
- Madness
- アシタカとサン / Ashitaka and San
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
2024年4月久石譲はロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団のComposer-in-Associationに就任しました。コンサート共演を重ねながら『A Symphonic Celebration』も録音しています。2025年のスペシャルツアーでは、本公演を皮切りにソウル公演やサントリーホール公演と続いていきます。そしてなんと8月には久石譲×ロイヤルフィル、BBC Proms 2025に登場します。
『A Symphonic Celebration – Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki』はクラシック名門のドイツ・グラモフォンからの記念すべき第一弾アルバムです。ツアーファイナルと同じ久石譲×ロイヤルフィルのロンドン録音です。アルバムジャケットには宮崎駿監督作品からの原画が使われています。
同アルバムは快挙尽くしです。2024年第38回日本ゴールドディスク大賞「クラシック・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。クラシック・アルバム部門で1年間で最も売れた作品です。海外でも米ビルボードClassical AlbumsとClassical Crossover Albumsで堂々の1位を獲得したほか、フランス「Classique Chart」1位、イギリス「Specialist Classical Chart」でも2位など世界のクラシックチャートを席巻!またドイツの総合アルバムチャートでは6位にランクインも果たしています。
そして今夏、久石譲×ロイヤルフィルはまた一つ記録を打ち立てるようです。「おそらく海外からやって来たオーケストラの単年での日本動員記録更新となるだろう」(Mikikiコラム)すごいことが起こっています。
東京混声合唱団
素晴らしい合唱の力でした。合唱によって会場が膨れあがり、重厚な影を生み出し、合唱が大いなる光になる。久石譲コンサートではFOC Vol.7(2024)で共演のほか、今年8月には「祈りのうた 2025 スペシャルツアー」でも久石譲指揮、日本センチュリー交響楽団と愛知・大阪・兵庫・東京を巡ります。
ブルックリン・ユース・コーラス
初共演です。清らかに澄んだなかに厳しさも現出させた瑞々しい歌声でした。グラミー賞受賞の合唱団で、現代を代表する作曲家たちの世界初演も数多くしているようです。またいつの日か久石譲作品やコンサートで共演が実現することを強く願っています。
リトルキャロル
麻衣主宰の女声コーラスグループです。数多くの久石譲コンサートやアルバムに参加しています。スタジオジブリ作品では『崖の上のポニョ』『君たちはどう生きるか』でそのまっすぐに伸びるコーラスワークを聴くことができます。
エラ・テイラー
この声好きだ、素晴らしい歌唱だ、そう思った人きっといますね。パンチの効いた声量やインパクトを武器としないタイプの確かな表現力と秘めたる奥ゆかしさを感じる歌唱に惹かれます。世界ツアーなどで共演を重ね、FOC Vol.7(2024)を音源化した『Joe Hisaishi Conducts』(2025.8.8)もいよいよリリースされます。「久石譲:The End of The World」を収録しています。欲しがる相性の良さにどんなアルバムを出しているか探したほどです。これからどんどん久石譲作品と共演してほしいです。
麻衣
久石譲の愛娘です。『風の谷のナウシカ』の少女の歌声から共に歩んでいます。一度聴いたら忘れない透き通った歌声と、さりげなく和を感じさせるこぶしの歌唱法が心を揺さぶります。麻衣&リトルキャロルで久石譲ソングを歌い継いでほしい、しっかり音源も残していってほしい。久石譲の世界を表現する第一人者です。
マリー・ビュルー
初共演です。こちらもまたどんなアルバムを出しているか探したほどです。聴けるものは聴きましたよ。これからどんどん久石譲作品と共演してほしいです。
マーチング
陸・海・空の自衛隊音楽隊が結集するなんて国家行事以外にあるんでしょうか。世界ツアーでは現地のプロ・アマらが集い合同マーチングを構成していましたが、ツアーファイナルは国家的イベント!?に勲章を授ける最高音楽隊です。
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開演10分前から会場BGMが流れはじめました。1曲目は三鷹の森美術館オリジナルBGM1「Musica del Museo」です。2001年開館に合わせて久石譲から贈られた楽曲で展示室「動きはじめの部屋」BGMにもなっています。ほか1,2曲ほど続けて流れましたが初めて聴く曲でした。いずれも慣例的に宮崎駿監督へ誕生日プレゼントした曲だと思います。勝手な想像にはなりますが、もし初めて渡した1曲目と一番新しく渡した曲という粋な演出だったら、すごいですよね。
巨大スクリーンにはスタジオジブリの背景画たちがゆっくりと流れて会場の雰囲気も醸成されていきます。合唱団から順番にステージに姿を見せ始めると温かい拍手が送られいよいよ開演です。
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風の谷のナウシカ
イントロのティンパニの轟きと巨大スクリーンに映し出されるタイトルバック。すべてはここから始まった。スタジオジブリ×久石譲の歴史のはじまりです。もうこの瞬間だけで鳥肌もの泣きそうになります。改めて感嘆したのは全く古さを感じさせないこと。ポップスコンサートでデビュー曲を演奏したらやはりそれなりの時代感を醸し出すような気がします。回顧もふくめて。ナウシカの音楽はもちろん懐かしさもあるけれど現代感もある、そして近未来の世界を聴いているような感覚にすらなる。そんな時代を超越した音楽はまさにクラシックです。
とても壮大に丁寧に音楽は奏でられていました。風の谷のナウシカに限らず本公演すべてのプログラムに言える大きな特徴です。例えばお祭りのように「宮崎作品を全部やるよ!一気にやるよ!」という勢いやハイテンションとは違う、ページを一つ一つゆっくりとめくっていくように、約40年で到達したこの瞬間をオーディエンスと一緒にかみしめていくように、プログラムは一つ進むごとに感慨を増幅させていきます。
魔女の宅急便
コリコの街やキキの魅力、思春期の繊細でこまやかな感情の揺れ動きまで伝わってきます。「Mother’s Broom」(かあさんのホウキ)はソロヴァイオリン奏者ごとにキャラクター輝くパートです。魔女の服はおしゃれできない。それでも髪を丁寧にとかすキキの姿、心を込めてホウキを作るキキの姿、そんな光景が浮かぶような気持ちを込めた美しい響きでした。
もののけ姫
幾度聴いても初めて聴いた時の衝動が迫ってくるもののけ姫です。まず最初に書いたという「The Demon God」(タタリ神)、一ヶ月半かけて書き下ろしたという「The Legend of Ashitaka」(アシタカせっ記)、宮崎監督の詩がふとメロディを書かせた「Princess Mononoke」(もののけ姫)、宮崎駿×久石譲凄まじい二人の鬼才を鮮やかに封じ込めています。見る者を圧倒する歴史的遺産のように聴く者を圧倒し続ける音楽です。
風立ちぬ
世界ツアーから新たに加わったプログラムです。感無量です。ピアノを弾く久石譲の後ろ姿に笑顔で視線を送りながら息を合わせた演奏をし、指揮をする久石譲に笑顔でアイコンタクトを絶やすことなく粒のきれいなマンドリンを聴かせてくれました。ジブリのヒロイン像を見ているようで、ラブでした。「A Journey (A Kingdom of Dreams)」(旅路(夢の王国))は久石譲コンサートのアンコールピースになってほしいくらい。起伏に富んだ楽想と聴き終わった後すっと心に沁み入る深い感動があります。
崖の上のポニョ
すぐ驚愕したのは巨大スクリーンに映し出された手書きの勢いです。崖の上のポニョは当時の可愛らしい映画のイメージから映像も音楽も時間とともに一番変化を遂げた作品かもしれません。主題歌もそうで可愛らしい歌がスケール感に満ちた交響曲になった。日本の第九として年末に聴きたい、そう思うほど格調高い。生きることを肯定する命の讃歌に輝いています。生命力に溢れたこの曲のエネルギーはもっともっと日本で世界で響かせてほしい。
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天空の城ラピュタ
「Doves and the Boy」(ハトと少年)「Carrying You」(君をのせて)「The Eternal Tree of Life」(大樹)まで世界ツアー完全版を聴くことができました。ツアーファイナルのための陸・海・空の自衛隊音楽隊は最高の勲章です。巨大空間の音速すらもコントロールする鍛え抜かれたチームは誇りと威厳にまぶしすぎます。ユースコーラスと合唱もふくめて、想いを込めてたっぷりと演奏されるラピュタ、心からありがとう。オーケストラのラピュタはまたコンサートで聴けるかもしれない。このスペシャルギフトは一生に一度きり。円盤化されたときにはこの曲を抱いて眠ろう。万感の思いです。
紅の豚
たっぷりと一曲を聴かせてくれます。ジャジーなアンサンブルです。リキュールに添えたフルーツのようにフィンガースナップも効いています。不思議とほかのプログラムと並べてもその満足感は変わらない、演出:久石譲です。全てのプログラムが僕にとってのハイライト。(なんかのキャッチコピーみたい)
ハウルの動く城
本編全プログラムのなかで唯一フルオーケストラ・オンリーです。「Merry-go-round of Life」(人生のメリーゴーランド)のメロディが10以上のバリエーションで奏でられ心ゆくまで陶酔します。あまりに気を許してしまうと心臓まで取られかねません。映画の名シーンとリアルタイムなライブ映像も交えながら臨場感いっぱいです。ため息が出るほど美麗なオーケストラサウンドにしっかり胸に手をあて鼓動をたしかめます。
千と千尋の神隠し
イントロから久石譲ピアノの千と千尋の神和音です。40,000人に取り囲まれた空間のなかでピアノとヴォーカルだけで「One Summer’s Day」(あの夏へ)を織りあげていく光景はただただ美しい。そして「Reprise」(ふたたび)伸びやかな歌声にオーケストラが翼となってどこまでも彼方に連れていってくれる。麻衣の歌声には少女とも大人とも定めない独特の神秘性があります。それがまたこの作品にぴったりです。
となりのトトロ
夢にまで見た光景。夢だけど、夢じゃなかった瞬間。自分史上最高のコンサートが塗り替えられたかもしれない。そう思った人は東京ドームにどれほどいたでしょう。エラ・テイラーと麻衣も華を添えた「My Neighbor Totoro」(となりのトトロ)まで終わってみればあっという間。祝福のフィナーレ!再会のフィナーレ!希望のフィナーレ!でした。
世界ツアーでは曲ごとに日本語ver.と英語ver.で歌われています。スクリーンに映る英語詞も世界ツアー版の演出です。気がづけば宮崎監督が作詞(補作詞)したもの「もののけ姫」「海のおかあさん」「君をのせて」「となりのトトロ」はすべて日本語で歌われています。宮崎監督の世界を伝えるうえで言葉もまた大切なひとつなんですね。
東京ドームというオーケストラ演奏会には超アウェイな場所でプロフェッショナルを尽くす出演者たち。ふたを開けてみたら凄かった!しっかり素晴らしかった!そしてカンペキを超えた、音楽が音楽になる瞬間がありました。こんな体験ができるのは人生に一度でもあればもう幸せです。
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アンコール
Ask me why
予想は裏切っても期待は裏切らない!まさかのスペシャル・アンコールです。最新作『君たちはどう生きるか』から特別バージョンです。会場中の人々が五感の全てで久石譲のピアノの音を感じようとしている。光の綾のようなストリングスに美しい反射光を照らす木管金管は至芸です。まだこんな新しい感動が待っていたなんて幸せ!そんなにファン心を射止めないで!と思った久石譲ファンも多かったことでしょう、はい!
時に背中を押してくれる、時に傷を癒やしてくれる、時にそっと寄り添ってくれる、時に一緒に泣いてくれる、時に風を運んできてくれる。これからの人生をこの曲と共に歩んでいきたい。そう思える一曲でした。心から感動です。
Madness
会場が赤に染まるライティングとボルテージ全開のオーケストラがたたみかけてきます。『紅の豚』で飛行艇が運河を疾走するシーンで使用された楽曲です。ツアーファイナルでは本編映像は使わずにライブ映像のみで一気にピークに昇りつめ、終わった瞬間に金銀テープがパーンッ!!と舞いあがった。興奮と驚きと歓声で会場は一時騒然となります。まるでジブリのあの名シーンのように光の飛沫の舞う金銀テープはそのボリュームもケタ違いでした。
Ashitaka and San(アシタカとサン)
たった一音でものすごく耳をつかまれる瞬間があります。『もののけ姫』からエバーグリーンな名曲です。もうこれが本当にエンドロールなんだな。会場中の人々が息を凝らして久石譲の音楽を聴きとろうとしています。中間部では久石譲からのメッセージが映し出されて、オーケストラと合唱が加わりたっぷりを余韻をのこすように終わりを迎えます。英語ver.で歌われて最後までしっかり世界ツアーのスタイルを貫くことがまた素晴らしい。
I am so grateful to be here with you.
We are back together again.
To my fellow music lovers,
I wish you all the health and happiness in the world.
– Joe Hisaishi
ひとつひとつの拍手が光になって会場が明るくなっていきます。最後には出演者がふたたびステージに登場し感動と祝福に包まれたスタンディングオベーションです。ありがとう宮崎駿監督、ありがとうスタジオジブリ、ありがとう音楽を奏でてくれたすべての人たち、ありがとう公演を実現させてくれた人たち、ありがとう久石譲さん。この日、生きる力や生きる喜びを深く刻まれた体験になりました。
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スタジオジブリ×久石譲の一大プロジェクトはこれからどこへ向かうのでしょうか。ツアーファイナルは大成功で幕を下ろしました。早速ですが2026年1~3月フランスツアー16公演!!という情報も飛び込んできています。久石譲本人の出演予定はありません。映像が使われるのか不明な点もあり全貌はこれから。シンフォニー・コンサートとして次のステージへと継がれていくのかもしれませんね。世界ツアーを共にした主催者のひとつと共演オーケストラになっています。今のところはご参考まで。
Les musiques de Joe Hisaishi en concert symphonique | Tournée France 2026 | Lyon, Strasbourg, Amnéville, Paris, Orléans, Nantes, Pau, Toulouse, Bordeaux, Lille, Reims, Dijon, Montpellier, Nice, Toulon
https://www.u-play.fr/lesmusiquesdejoehisaishi
開催してくれて大感謝です。でも3公演でも足りないというのは応募118万人が証明しています。ジブリがいっぱいコレクションに永久保存盤を熱望します!本編からアンコールはもちろんバックステージやメイキングまで完全収録してくれたらうれしい。ジョン・ウィリアムズ×ウィーン・フィルの世紀のコンサートはCD(マイク音響)とBlu-ray/DVD(会場音響)でもれなく円盤化されました。音楽作品でも映像作品でも充実させてほしい。ぜひ期待しています!世界中が待っています!未来でもまた夢を叶えてください。
みんなのコンサート・レポート
- Overtone.第102回 「久石譲スタジオジブリ フィルムコンサート ツアーファイナル」コンサート・レポート by ふじかさん
- Overtone.第101回 「久石譲スタジオジブリ フィルムコンサート ツアーファイナル」コンサート・レポート by thuruさん
- 〔備忘録〕JOE HISAISHI ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA SPECIAL TOUR 2025/STUDIO GHIBLI FILM CONCERT TOUR FINAL AT TOKYO DOME(2025.7.17) | Sho’s PROJECT OMOHASE BLOG 改 seconda
- Studio Ghibli Film Concert Tour Final (2025) – Soundtracks in Concert
公式写真と出演者SNSで綴るコンサート記録!写真計81枚!+α
メディアニュース(動画あり)
- Info. 2025/07/17 久石譲×ロイヤルフィル スタジオジブリ フィルムコンサート 東京ドーム3公演 13万人が熱狂(PR TIMES より)
- Info. 2025/07/18 「スタジオジブリ フィルムコンサート」閉幕、久石譲率いるオーケストラが13万人を魅了(映画ナタリーより)
- Info. 2025/07/19 東京ドームがジブリに染まった2日間 久石譲×宮崎駿作品全11作を網羅 13万人を魅了した3公演をレポート(ORICONより)
- Info. 2025/07/16,17 スタジオジブリフィルムコンサート ツアーファイナル 開催決定!
- Info. 2025/07/10 久石譲 Royal Philharmonic Orchestra Special Tour ライブ配信決定!!
武道館コンサートから世界ツアーの軌跡
- Blog. ジブリフィルムコンサートを聴く(武道館/パリ/グラモフォン)《前編》
- Blog. ジブリフィルムコンサートを聴く(武道館/パリ/グラモフォン)《中編》
- Blog. ジブリフィルムコンサートを聴く(武道館/パリ/グラモフォン)《後編》











武道館コンサートのときはファンサイトはじめるってまさか思ってもなかったです。感謝!
響きはじめの部屋があってワールドワイドに交流できるようになってほんと感謝!! 英語中国語韓国語….挨拶くらい勉強するぞー
韓国の友人にも届けてくれてありがとうございます!
from 久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋X(Twitter)
https://x.com/hibikihajimecom
最後まで読んでいただきありがとうございます。

















