Info. 2024/10/20 日本センチュリー交響楽団 2025-26シーズンラインナップ発表!!

Posted on 2024/10/20

【日本センチュリー交響楽団 2025-26シーズンラインナップ発表!!】

平素より日本センチュリー交響楽団のご愛顧、ご支援を賜りまして、誠にありがとうございます。
日本センチュリー交響楽団 2025-26シーズンのラインナップが決定いたしました。 “Info. 2024/10/20 日本センチュリー交響楽団 2025-26シーズンラインナップ発表!!” の続きを読む

Blog. 『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説(7)第2部(第六回~第九回)使用楽曲

Posted on 2024/10/20

つづけて、第2部(第六回~第九回)使用楽曲をみていきましょう。

 

 

 

*間違いがあったら修正お願いします

*<89分版>オリジナル版をもとにしています

*<44分版>は編集に伴い音楽の追加・削除・差し替えなど一部異なる放送回があります(第九回)

 

 

第2部

第六回 日英同盟

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • 00:02:30- 旅立ち [1] 未収録ver.2 (調性、オーケストレーション)
  • 00:06:00- 未収録楽曲(オーケストラ)*第七回/第十回/第十三回
  • 00:08:20- 広瀬 ~快活な人物~ [2] 未収録ver.(調性、オーケストレーション)*第七回/第九回/第十三回
  • 偵察 [2]
  • 列強と日本 [2]
  • 律 ~愛と悲しみ~ [2]
  • Human Love [1] [総]
  • 少年の国 III [3]
  • 戦争の悲劇 [1]
  • アリアズナ [2] [総]
  • 戦争の悲劇 [1]
  • 狼煙 [2]
  • 獣たちの宴 [3]
  • 疵 [2]
  • 大英帝国のテーマ [3]
  • 蹉跌 [1]
  • 01:04:20- 若き精鋭たち [2] 未収録ver.1(冒頭ホルン独奏、パーカッションなし、オーケストレーション)*第七回/第八回
  • 01:09:20- 強国ロシア [2] 未収録ver.(コーラスなし、オーケストレーション)*第七回/第八回/第九回/第十回
  • 慕情 [2]
  • 若き精鋭たち [2]
  • Stand Alone 歌/森麻季 [2] [総]

 

 

第七回 子規、逝く

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • 奇跡の時 [2]
  • 00:07:25- 若き精鋭たち [2] 未収録ver.1(冒頭ホルン独奏、パーカッションなし、オーケストレーション)*第六回/第八回
  • 00:10:00- 真之と季子 [2] 未収録ver.(チェレスタ、オーケストレーション)*第八回
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • 赤い花 [3]
  • 律 ~愛と悲しみ~ [2]
  • 偵察 [2]
  • 00:27:25- 広瀬 ~快活な人物~ [2] 未収録ver.(調性、オーケストレーション)*第六回/第九回/第十三回
  • 00:30:30- 時代の風 [1] 未収録ver.1(主旋律の入れ出し、オーケストレーション)*第二回/第五回
  • 00:32:45- 強国ロシア [2] 未収録ver.(コーラスなし、オーケストレーション)*第六回/第八回/第九回/第十回
  • 蹉跌 [1]
  • 開戦への決意 [2]
  • 赤い花 [3]
  • 律 ~愛と悲しみ~ [2]
  • 00:52:25- 終の住処 [2]  未収録ver.(オーケストレーション)*第三回/第五回
  • Stand Alone with Piano サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [2] [3]
  • 01:02:05- 未収録楽曲(オーケストラ)*第六回/第十回/第十三回
  • 少年の国 for Woodwinds & Strings [2]
  • 01:13:45- 若き精鋭たち [2] 未収録ver.1(冒頭ホルン独奏、パーカッションなし、オーケストレーション)*第六回/第八回
  • 01:19:05- 真之と季子 [2] 未収録ver.(チェレスタ、オーケストレーション)*第八回
  • 01:21:50- 旅立ち [1] 未収録ver.1(Piano & Strings)*第一回/第二回/第四回/第八回/第十一回/第十三回
  • 激動 [1]
  • Stand Alone 歌/森麻季 [2] [総]

 

 

第八回 日露開戦

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • 00:02:00- 獣たちの宴 [3] 未収録ver.(コーラスなし)
  • 00:05:55- 真之と季子 [2] 未収録ver.(チェレスタ、オーケストレーション)*第七回
  • 00:08:35- 旅立ち [1] 未収録ver.1(Piano & Strings)*第一回/第二回/第四回/第七回/第十一回/第十三回
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • 蹉跌 [1]
  • 獣たちの宴 [3]
  • 広瀬 ~快活な人物~ [2]
  • 少年の国 for Woodwinds & Strings [2]
  • 00:31:00- 未収録楽曲(オーケストラ)*第二回/第三回/第五回
  • 偵察 [2]
  • 00:37:10- 時代の風 [1] 未収録ver.2(オーケストレーション)*第三回/第四回/第五回
  • 疵 [2]
  • 00:44:10- 若き精鋭たち [3] 未収録ver.2(中間部オーケストレーション)
  • 律 ~愛と悲しみ~ [2]
  • 戦争の悲劇 [1]
  • 旅立ち [1] [総]
  • 狼煙 [2]
  • 01:08:00- 疵 [2] 未収録ver.(トランペットなし、オーケストレーション)
  • 01:12:20- 強国ロシア [2] 未収録ver.(コーラスなし、オーケストレーション)*第六回/第七回/第九回/第十回
  • 狼煙 [2]
  • 01:19:55- 若き精鋭たち [2] 未収録ver.1(冒頭ホルン独奏、パーカッションなし、オーケストレーション)*第六回/第七回
  • 開戦への決意 [2]
  • Stand Alone 歌/森麻季 [2] [総]

 

 

第九回 広瀬、死す

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • 開戦への決意 [2]
  • 00:06:55- 旅立ち [1] 未収録ver.3(後半部調性、オーケストレーション)
  • 00:09:00- 未収録楽曲(ピアノ、パーカッション)
  • 獣たちの宴 [3]
  • 列強と日本 [2]
  • アリアズナ [2] [総]
  • 00:20:20- 強国ロシア [2] 未収録ver.(コーラスなし、オーケストレーション)*第六回/第七回/第八回/第十回
  • 時代の風 [1] [総]
  • 偵察 [2]
  • 奸計 [2]
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • 戦争の悲劇 [1]
  • 疵 [2]
  • 少年の国 for Woodwinds & Strings [2]
  • 若き精鋭たち [2]
  • 00:53:00- 広瀬 ~快活な人物~ [2] 未収録ver.(調性、オーケストレーション)*第六回/第七回/第十三回
  • 慕情 [2]
  • 律 ~愛と悲しみ~ [2]
  • 列強と日本 [2]
  • 破局の始まり [2]
  • 時代の風 [1] [総]
  • 狼煙 [2]
  • 広瀬の最期 [2] [総]
  • Stand Alone with Piano サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [2] [3]
  • 若き精鋭たち [2]
  • Stand Alone 歌/森麻季 [2] [総]

 

 

 

一口コメント

第2部で一番使われたサントラ楽曲は「律 ~愛と悲しみ~」(5回)です。第2,3部と正岡律の登場しない場面でも流れています。登場人物ごとにテーマをつけるのではなく、その時代の若者達を群像としてとらえてテーマを書いていることがわかります。ここでは「愛と悲しみ」のテーマ、作品のなかで哀歌(エレジー)として幾度響いています。

もっと広げて、アレンジ・ヴァージョンや未収録ver.も含めたテーマからみると「Stand Alone」(13回)「若き精鋭たち」(8回)「旅立ち」(6回)などになります。また第1部と同じく「疵」(5回)です。全編をとおして鎮魂(レクイエム)のように響く楽曲です。

『サウンドトラック 2』はロシアが色濃く反映された楽曲が並んでいます。第1部未収録楽曲も合わせて、時代の渦の重厚さに覆われています。『同 1』とはまた違った世界観を堪能できるアルバムです。「アリアズナ」で使われているバラライカはロシアの楽器です。映画『風立ちぬ』(2013)でも登場することになります。

「真之と季子」「強国ロシア」は本編ではサントラ未収録ver.のみが使われています。(4)サウンドトラック 頁をご覧ください

 

 

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2024年テレビ一挙再放送に連動するように、これまで『サウンドトラック 総集編』のみサブスク解禁となっていたりの音楽ストリーミング・サービスも、2024年9月3日『サウンドトラック 1・2・3』を加えた全4アルバムが一挙ラインナップ!この作品に触れる視聴者からリスナーまで広くグローバルに聴き楽しめるようになりました。

 

 

次回は、第3部使用楽曲です。

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説

(1)イントロダクション
(2)語られたこと
(3)Stand Alone
(4)サウンドトラック
(5)組曲
(6)第1部(第一回~第五回)使用楽曲
(7)第2部(第六回~第九回)使用楽曲
(8)第3部(第十回~第十三回)使用楽曲

 

 

Blog. 『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説(6)第1部(第一回~第五回)使用楽曲

Posted on 2024/10/17

つづけて、第1部(第一回~第五回)使用楽曲をみていきましょう。

 

 

 

*間違いがあったら修正お願いします

*<89分版>オリジナル版をもとにしています

*<44分版>は編集に伴い音楽の追加・削除・差し替えなど一部異なる放送回があります(第二回/第三回/第四回/第五回)

 

 

第1部

第一回 少年の国

  • (オープニング) Stand Alone for Orchestra [1] 未収録ver.1(調性、オーケストレーション)*第二回/第四回
  • Human Love [1] [総]
  • 00:10:40- 旅立ち [1] 未収録ver.1(Piano & Strings)*第二回/第四回/第七回/第八回/第十一回/第十三回
  • 00:12:35- 未収録楽曲(オーケストラ、マリンバ)
  • 少年の国 for Woodwinds & Strings [2] (= 少年の国 III [3] 後半部)
  • 夢 [3]
  • 00:29:40- Stand Alone サラ・ブライトマン×久石譲 [1] 未収録ver.(ヴォーカルなし、ピアノなし、終結部調性とピアノ)
  • 夢 [3]
  • 蹉跌 [1]
  • ガキ大将!真之 [2]
  • Human Love [1] [総]
  • 少年の国 III [3]
  • 旅立ち [1] [総]
  • 青春 [1] [総]
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • 広瀬 ~快活な人物~ [2]
  • 少年の国 for Woodwinds & Strings [2] (= 少年の国 III [3] 後半部)
  • 狼煙 [2]
  • 奇跡の時 [2]
  • 少年の国 [2] [総]
  • Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]

 

 

第二回 青雲

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • 悪ガキ行進曲 [2]
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • 夢 [3]
  • 00:11:05- 未収録楽曲(バスクラリネット、パーカッションほか)
  • 青春 [1] [総]
  • 奇跡の時 [2]
  • 00:21:35- 時代の風 [1] 未収録ver.1(主旋律の入れ出し、オーケストレーション)*第五回/第七回
  • Human Love [1] [総]
  • 青春 [1] [総]
  • 少年の国 for Woodwinds & Strings [2]
  • 少年の国 [2] [総]
  • 00:47:50- 旅立ち [1] 未収録ver.1(Piano & Strings)*第一回/第四回/第七回/第八回/第十一回/第十三回
  • 00:53:55- Stand Alone for Orchestra [1] 未収録ver.1(調性、オーケストレーション)*第一回/第四回
  • 00:56:20- 未収録楽曲(パーカッションのみ、トランペットは状況内音楽)
  • 00:58:30- 未収録楽曲(トロンボーン、テューバ、オーケストラ)*第三回/第五回/第八回
  • 01:07:30- 奇跡の時 [2] 未収録ver.1(ホルン調性、後半は同じ)
  • Human Love [1] [総]
  • Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]
  • 01:20:30- 少年の国 [2] 未収録ver.(冒頭ハープ伴奏、後半は同じ)
  • Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]

 

 

第三回 国家鳴動

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • 00:03:35- 蹉跌 [1] 未収録ver.1(調性、オーケストレーション)
  • 少年の国 for Woodwinds & Strings [2]
  • Human Love [1] [総]
  • 最後のサムライ [1]
  • 00:17:50- 青春 [1] 未収録ver.(オーケストレーション)
  • 夢 [3]
  • Stand Alone with Piano サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [2] [3]
  • Human Love [1] [総]
  • 偵察 [2]
  • 戦争の悲劇 [1]
  • 疵 [2]
  • 00:46:10- 奇跡の時 [2] 未収録ver.2(パーカッションなし、オーケストレーション)
  • 悪ガキ行進曲 [2]
  • 00:53:45- 未収録楽曲(トロンボーン、フルート、オーケストラ) *第二回/第五回/第八回
  • 広瀬 ~快活な人物~ [2]
  • 00:58:55- 時代の風 [1] 未収録ver.2(テンポ、オーケストレーション)*第四回/第五回/第八回
  • 狼煙 [2]
  • 蹉跌 [1]
  • 疵 [2]
  • 01:16:30- 終の住処 [2] 未収録ver.(オーケストレーション)*第五回/第七回
  • 少年の国 [2] [総]
  • 激動 [1]
  • Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]

 

 

第四回 日清開戦

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • 戦争の悲劇 [1]
  • 狼煙 [2]
  • 時代の風 [1] [総]
  • 00:14:30- 偵察 [2] 未収録ver.(ピアノ、オーケストレーション)
  • 激動 [1]
  • 疵 [2]
  • 蹉跌 [1]
  • ふるさと ~松山~ [1]
  • 戦争の悲劇 [1]
  • 激動 [1]
  • 疵 [2]
  • Human Love [1] [総]
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • 少年の国 for Woodwinds & Strings [2]
  • 01:05:50- 時代の風 [1] 未収録ver.2(テンポ、オーケストレーション)**第三回/第五回/第八回
  • 01:09:30- 旅立ち [1] 未収録ver.1(Piano & Strings)*第一回/第二回/第七回/第八回/第十一回/第十三回
  • 終の住処 [2] [総]
  • 01:23:05- Stand Alone for Orchestra [1] 未収録ver.1(調性、オーケストレーション)*第一回/第二回
  • Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]

 

 

第五回 留学生

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • 00:02:35- 未収録楽曲(オーケストラ)*第二回/第三回/第八回
  • 疵 [2]
  • 悪ガキ行進曲 [2]
  • Human Love [1] [総]
  • 偵察 [2]
  • 狼煙 [2]
  • 00:25:25- 未収録楽曲(木管、オーケストラ)
  • 奇跡の時 [2]
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • 広瀬 ~快活な人物~ [2]
  • 蹉跌 [1]
  • 00:45:25- 未収録楽曲(パーカッションのみ)
  • 狼煙 [2]
  • 戦争の悲劇 [1]
  • 00:57:25- 未収録楽曲(オーケストラ)
  • 激動 [1]
  • 01:03:45- 終の住処 [2]  未収録ver.(オーケストレーション)*第三回/第七回
  • 01:09:05- 時代の風 [1] 未収録ver.2(テンポ、オーケストレーション)*第三回/第四回/第八回
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • 01:18:30- 時代の風 [1] 未収録ver.1(主旋律の入れ出し、オーケストレーション)*第二回/第七回
  • 少年の国 [2] [総]
  • (第2部予告)破局の始まり [2]
  • (エンディング)Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]

 

 

 

一口コメント

記念すべき第一回放送は『サウンドトラック 1』収録楽曲のほか、『サウンドトラック 2』より「少年の国」「Stand Alone for Violin & Violoncello」、『サウンドトラック 3』より「夢」「少年の国 III」などがすでに流れています。テレビ放送と同じく3年間にわたってリリースされたサウンドトラックです。各話とも『同 1・2・3』を並べてみていきます。

第一回だけ長めのオープニングは「Stand Alone」も映像にあてて作られています。全3部を通して未収録ver.1,2とありますが、キー(調性)がそれぞれ半音ずつ異なる/オーケストレーションが異なると微細な変化になっています。「旅立ち 未収録ver.1(Piano & Strings)」は全十三話中で7回も登場している殊勲賞ものです。ぜひともサウンドトラック収録してほしかった。

第1部で一番使われたサントラ楽曲は「Human Love」(8回)です。もっと広げて、アレンジ・ヴァージョンや未収録ver.も含めたテーマからみると「Stand Alone」(20回)「旅立ち」(13回)「少年の国」(11回)などになります。第1部の視聴者としてもぴったりの印象になりますね。その中で「疵」(5回)は注目です。全編をとおして鎮魂(レクイエム)のように響く楽曲です。

「Stand Alone サラ・ブライトマン×久石譲」(日本語歌唱)は本編では使われていません。(4)サウンドトラック 頁をご覧ください

 

 

二口コメント

久石譲コメントより

ーーーー

「でも、司馬さんがこの作品で表現したかった精神世界や明治という時代の空気感を描くためには、個々の人間をクローズアップする手法ではニュアンスは伝わらない。それよりは時代に衝き動かされた若者達を群像としてとらえて、それをテーマに曲を書く方がいいと考えました。」

「『坂の上の雲』の音楽を制作するにあたり、その時代の高揚感を日本の五音階の世界観と西洋のモダンな和音の感覚を融合させながら描き出したいと考えました。そして敢えて協和音と不協和音がせめぎあう大人の音楽を目指しました。さらに音楽の手法として、僕の原点であるミニマル・ミュージックを随所で取り入れ、「激動」や「蹉跌」などでそれを前面に打ち出しています。」

ーーーー

 

第1部は青春期であり西洋への憧れです。実は、第1部は未収録楽曲も一番多く土着的な曲想をもっていたりもします。物語の年代や舞台とリンクしているところもありますが、サウンドトラックにはあえて収録しなかったという見方もできそうです。「ふるさと ~松山~」「最後のサムライ」といった楽曲も1回しか使われていません。日本的すぎるものよりも、西洋との融合にバランスを合わせることで未来につながっていく若者達の姿、サウンドトラックもその世界観に統一されています。

「広瀬 ~快活な人物~」は第一回放送から流れています。もちろんまだ広瀬武夫は登場していません。全3部を通して登場人物ごとにテーマをつけるのではなく、その時代の若者達を群像としてとらえてテーマを書いていることがわかるひと場面です。言うなればここでは「快活な人物」のテーマということになるのかもしれませんね。

『サウンドトラック 1』は時代の変化を感じながら生き生きと進む若者達、力強く活力に満ちた楽曲たちが並んでいます。一方では、全編で繰り返し使われることになる「蹉跌」「激動」「戦争の悲劇」といった楽曲も聴き逃せません。「戦争の悲劇」には、『ストラヴィンスキー:春の祭典』にも聴けるモチーフが登場しています。そこに共鳴するキーワードは、戦争・生贄・犠牲者です。ロシア民謡からいくつかの素材が使われているとも言われる『春の祭典』です。坂の上の雲の世界もまたロシアは大きな舞台のひとつです。

 

 

New!
2024年テレビ一挙再放送に連動するように、これまで『サウンドトラック 総集編』のみサブスク解禁となっていたりの音楽ストリーミング・サービスも、2024年9月3日『サウンドトラック 1・2・3』を加えた全4アルバムが一挙ラインナップ!この作品に触れる視聴者からリスナーまで広くグローバルに聴き楽しめるようになりました。

 

 

次回は、第2部使用楽曲です。

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説

(1)イントロダクション
(2)語られたこと
(3)Stand Alone
(4)サウンドトラック
(5)組曲
(6)第1部(第一回~第五回)使用楽曲
(7)第2部(第六回~第九回)使用楽曲
(8)第3部(第十回~第十三回)使用楽曲

 

 

Blog. 『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説(5)組曲

Posted on 2024/10/14

つづけて、「坂の上の雲」組曲をみていきましょう。現在、三つの組曲があります。

 

 

CD発売日

 

 

(A)Saka No Ue No Kumo(2010)

『Melodyphony』に収録されました。構成楽曲は順番に「Stand Alone」「時代の風」「蹉跌」「戦争の悲劇」「Stand Alone」です。演奏は久石譲指揮・ロンドン交響楽団で、オーケストラ通常配置で録音されています。『サウンドトラック 1』と『サウンドトラック 2』の間ということもあり第1部楽曲から中心に構成されています。とはいえ全3部を通して数多く使用された楽曲です。一方では、「青春」「少年の国」「旅立ち」といった快活な楽曲は選ばれていません。「坂の上の雲」の重厚で厳しい時代を描いた一つのかたちとなる音楽作品です。「Stand Alone」もまた組曲のためのオーケストレーションです。さらなる高揚感と壮大なスケールを味わうことができます。

『サウンドトラック 3』に収録されました。構成楽曲は同じ、演奏は外山雄三指揮・NHK交響楽団で、オーケストラ通常配置で新録音されています。こちらの同音源は『総集編』にも収録されています。

メロディフォニー版は約10分半、サントラ版は約11分半、同じ組曲で約1分の違いがあります。クラシック音楽の交響曲約40分の作品でも約4~6分違うだけで聴いている体感は大きく異なってきます。そこからするとこの組曲の約1分の差異は大きい。

 

ラップタイムをみてみましょう。

「Stand Alone」がオープニングを飾る組曲は、次の「時代の風」に移る時にメロディフォニー版(M版)3:30/サントラ版(S版)3:40とここで10秒の差が開きました。次の「蹉跌」に移る時にはM版5:07/S版5:20と15秒の差に少しだけ進んでいます。次の「戦争の悲劇」に移る時にはM版6:19/S版6:44とさらに25秒に広がっています。最後の「Stand Alone」に移るときにはM版8:44/S版9:14と30秒の差に少しだけ進んでいます。そしてラストスパートを駆け抜けゴールを迎えたときは一気に約1分の差が生まれています。

つまりは各パートの演奏時間でみると、エンディング「Stand Alone」で30秒、オープニング「Stand Alone」と「蹉跌」で各10秒、それぞれ演奏時間が異なっています。ピックアップして聴き比べてみるとテンポ感を如実に体感できます。こうして実は2つの「Saka No Ue No Kumo」を楽しむことができます。緩急自在に躍動感のあるM版、丁寧に整然感のあるS版、あなたの好みはどちらでしょうか。

 

 

 

(B)「坂の上の雲」組曲(2009)

(C)「坂の上の雲」第二組曲(2011)

コンサートのみで披露された組曲で音源化はされていません。(B)は『Melodyphony』よりも前で一番最初の組曲にあたります。『サウンドトラック 1』発売直後でありエンターテインメントらしいコンサートに映える楽曲が選ばれています。(C)は『サウンドトラック 3』発売後で遂にTV放送も第3部完結を迎えたタイミングです。そういったことも踏まえながらここでは時系列にみてみましょう。

 

コンサート・プログラム歴

  • 久石譲 ジルベスターコンサート 2009
  • 久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ ニューイヤーコンサート (2010)

「坂の上の雲」組曲
時代の風
旅立ち
青春
戦争の悲劇
Stand Alone

司馬遼太郎の長編小説『坂の上の雲』が初の映像化。同名のNHKスペシャルドラマとして2009年11月から放送を開始した。音楽を担当した久石は、「史実・そこに立ち向かう人々の”凛とした”生き様を描きたかった」という。今回はその作品群の中から『時代の風』『旅立ち』『青春』『戦争の悲劇』『Stand Alone』と5つのテーマを選りすぐり、組曲形式に再構築した。あえて日本の五音階と西洋のモダンな音階を融合させることにより、独特の世界観を引き立たせている。明治時代、近代国家として新しく生まれ変わろうとする「日本」。純粋さやひたむきさだけでなく、高み=”坂の上”を目指そうとする人々の強い志と貪欲さが時代を動かす風となっていく。世界の歌姫サラ・ブライトマンが歌う『Stand Alone』は、明治の人々の”凛として立つ”美しき姿をイメージしたというメインテーマ。今回はオーケストラとピアノのバージョンで演奏する。自然と口ずさんでしまいような普遍的なメロディと壮大なオーケストレーションが秀逸。
*NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』オリジナル・サウンドトラック収録

(久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ ニューイヤーコンサート コンサート・パンフレット より)

 

  • 西本願寺音舞台 2011

Saka No Ue No Kumo

 

  • アルモニーサンク北九州ソレイユホール 1周年記念「久石譲コンサート」(2011)
  • 久石譲 ジルベスタ―コンサート 2011

「坂の上の雲」第二組曲
第3部序幕
少年の国
真之と季子
煉獄と浄罪
絶望の砦〜二○三高地ニ起ツ〜
日本海海戦
終曲
Stand Alone

司馬遼太郎の長編小説『坂の上の雲』が映像化。NHKスペシャルドラマとして2009年11月~12月に第1部。2010年12月に第2部、今年12月に完結編となる第3部が放送されたばかり。明治時代、近代国家として新しく生まれ変わろうとする「日本」。純粋さやひたむきさだけでなく、高み=”坂の上”を目指そうとする人々の強い志と貪欲さが時代を動かす風となっていく。ドラマの枠を超え、壮大なスケールで描かれた作品は日本中に感動と衝撃を与えた。

音楽を担当した久石は、「史実・そこに立ち向かう人々の”凛とした”生き様を描きたかった」という。今回はその作品群の中から第3部を中心に「第3部序幕」「少年の国」「真之と季子」「煉獄と浄罪」「絶望の砦~ニ◯三高地ニ起ツ~」「日本海海戦」「終曲」「Stand Alone」の8曲を選りすぐり、組曲形式に再構築した。第3部のメインテーマ「Stand Alone」を歌うのはヴォーカリスト、麻衣。彼女の透きとおった歌声は、番組プロデューサーの耳に留まり3年目を迎える今年、第3部の歌手として抜擢された。2011年の締めくくりにふさわしい重厚且つ壮大なオーケストレーションが秀逸。
*「NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」オリジナル・サウンドトラック2・3」「Melodyphony」 収録

(ジルベスター・コンサート 2011 コンサート・パンフレット より)

 

  • クラブツーリズムスペシャルコンサート 久石譲 オーケストラの世界 (2013)

久石譲:組曲「坂の上の雲」

 

 

「坂の上の雲」組曲は、TVドラマから音楽作品へと再構成され録音された(A)Saka No Ue No Kumo(2010)、演奏会作品へと再構成され披露された(B)「坂の上の雲」組曲(2009)と(C)「坂の上の雲」第二組曲(2011)、三つの組曲があります。これから先、コンサート演奏されたり録音されたりするといいですね。

 

 

次回は、第1部使用楽曲です。

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説

(1)イントロダクション
(2)語られたこと
(3)Stand Alone
(4)サウンドトラック
(5)組曲
(6)第1部(第一回~第五回)使用楽曲
(7)第2部(第六回~第九回)使用楽曲
(8)第3部(第十回~第十三回)使用楽曲

 

 

Blog. 『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説(4)サウンドトラック

Posted on 2024/10/10

つづけて、サウンドトラックをみていきましょう。

 

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック』(2009)

1. Stand Alone サラ・ブライトマン×久石譲
2. 時代の風
3. 旅立ち
4. ふるさと ~松山~
5. 青春
6. 蹉跌
7. Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲
8. 最後のサムライ
9. Human Love
10. 激動
11. 戦争の悲劇
12. Stand Alone for Orchestra

Bonus Track
13. Stand Alone with Piano サラ・ブライトマン×久石譲

Total Time:約53分

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

演奏:NHK交響楽団
指揮:外山雄三

歌:サラ・ブライトマン (M1, M7, Bonus Track)
ピアノ:久石譲 (M1, M7, Bonus Track)

 

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2 』(2010)

第1部:未収録楽曲より
1. 少年の国
2. ガキ大将!真之
3. 奇跡の時
4. 悪ガキ行進曲
5. Stand Alone for Violin & Violoncello
6. 疵
7. 偵察
8. 狼煙
9. 破局の始まり
10. 終の住処
11. 少年の国 for Woodwinds & Strings
12. 広瀬 ~快活な人物~
13. Stand Alone with Piano サラ・ブライトマン×久石譲(Bonus track)

第2部:新録音楽曲より
14. 若き精鋭たち
15. 真之と季子
16. 律 ~愛と悲しみ~
17. 強国ロシア
18. アリアズナ
19. 列強と日本
20. 奸計
21. 慕情
22. 開戦への決意
23. 広瀬の最期
24. Stand Alone 歌/森麻季(ソプラノ)

Total Time:約76分

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

指揮:久石譲
演奏:東京ニューシティ管弦楽団

指揮:外山雄三
演奏:NHK交響楽団 (第2部メインテーマ:M24)

ピアノ:久石譲 (M13, M24)

 

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 3 』(2011)

第3部:新録音楽曲より
1. 第三部 序章
2. 孤影悄然
3. 大地と命と
4. 煉獄と浄罪
5. 二人の将
6. 絶望の砦 ~二〇三高地二起ツ~
7. 海と命と
8. 天気晴朗ナレドモ波高シ
9. AIR
10. 運命の死地
11. 日本海海戦
12. 終曲
13. Stand Alone 久石譲×麻衣

第1部:未収録楽曲より
14. 少年の国 III
15. 夢
16. Stand Alone for Clarinet & Glockenspiel

第2部:未収録楽曲より
17. 大英帝国のテーマ
18. 獣たちの宴
19. 赤い花

ボーナス・トラック
20. Stand Alone with Piano サラ・ブライトマン×久石譲
21. Saka No Ue No Kumo

Total Time:約72分

All Music Composed and Produced by Joe Hisaishi
Orchestrated by 山下康介 宮野幸子 久石譲

指揮:久石譲
演奏:東京ニューシティ管弦楽団

指揮:外山雄三
演奏:NHK交響楽団 (M11, 第3部メインテーマ:M13, M21)

ピアノ:久石譲 (M20)
ヴォーカル:麻衣 (M9, M13)
コーラス:栗友会合唱団 (M13, M18)

 

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 総集編』(2012)

1. Stand Alone for Orchestra
2. 時代の風
3. 旅立ち
4. 青春
5. Human Love
6. Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石 譲
7. 少年の国
8. アリアズナ
9. 終の住処
10. 広瀬の最期
11. Stand Alone 歌/森麻季(ソプラノ)
12. 第三部 序章
13. 絶望の砦 ~二〇三高地ニ起ツ~
14. 天気晴朗ナレドモ波高シ
15. 日本海海戦
16. Stand Alone 久石譲×麻衣

ボーナス・トラック
17. Saka No Ue No Kumo

Total Time:約83分

All Music Composed and Produced by Joe Hisaishi
Orchestrated by 山下康介 宮野幸子 久石譲

指揮:久石譲
演奏:東京ニューシティ管弦楽団 (M7-10, M12-14)

指揮:外山雄三
演奏:NHK交響楽団 (M1-6, M11, M15-17)

 

 

 

 

アレンジ・ヴァージョン

Track.

  • 2.時代の風(サウンドトラック 1, 総集編)
  • 19. 列強と日本(サウンドトラック 2)

Track.

  • 3. 旅立ち(サウンドトラック 1, 総集編)
  • 3. 奇跡の時(サウンドトラック 2)
  • 15. 夢(サウンドトラック 3)

Track.

  • 5. 青春(サウンドトラック 1, 総集編)
  • 4. 悪ガキ行進曲(サウンドトラック 2)

Track.

  • 1.少年の国(サウンドトラック 2, 総集編)
  • 11. 少年の国 for Woodwinds & Strings(サウンドトラック 2)
  • 14. 少年の国 III(サウンドトラック 3)

Track.

  • 10. 終の住処(サウンドトラック 2, 総集編)
  • 19. 赤い花(サウンドトラック 3)

 

*「Stand Alone」はサントラ収録9ヴァージョン(3)Stand Alone 頁をご覧ください

 

 

 

モチーフ

ひとつの曲のなかにいくつかのテーマやモチーフが織りこまれています。

Track.

  • 22. 開戦への決意(サウンドトラック 2)
  • 2. 孤影悄然 (サウンドトラック 3)

「時代の風」のテーマが後半部/終結部に織りこまれています。

Track.

  • 10. 広瀬の最期(サウンドトラック 2)

「広瀬 ~快活な人物~」のモチーフが短調のハーモニーで包まれるほか「アリアズナ」のモチーフも奏でられています。

Track.

  • 1. 第三部 序章(サウンドトラック 3, 総集編)

「開戦への決意」「激動」「Stand Alone」「激動」のパートが順に奏でられています。

Track.

  • 10. 運命の死地(サウンドトラック 3)

「海と命と」のテーマが後半部に織りこまれています。

Track.

  • 12. 終曲(サウンドトラック 3)

「Stand Alone」のメロディが織りこまれています。

 

 

 

サントラ未使用曲

Track.

  • 1. Stand Alone サラ・ブライトマン×久石譲(サウンドトラック 1)
  • 3. 大地と命と(サウンドトラック 3)
  • 10. 運命の死地(サウンドトラック 3)
  • 21. Saka No Ue No Kumo(サウンドトラック 3, 総集編)*組曲化

 

 

サントラver.未使用曲

Track.

  • 15. 真之と季子(サウンドトラック 2)

本編ではチェレスタに始まりオーケストレーションも異なるサントラ未収録ver.のみが使われています。

 

Track.

  • 17. 強国ロシア(サウンドトラック 2)

本編ではコーラスなしのサントラ未収録ver.のみが使われています。

 

 

*詳しくは(6~8)使用楽曲 頁をご覧ください

 

*一番使用されたサントラ曲/一回だけ使用されたサントラ曲/一番使用されたテーマ/サントラ未収録ver.一覧は(8)第3部(第十回~第十三回)使用楽曲 頁末をご覧ください

 

 

 

一口コメント

『サウンドトラック1・2・3』は、それぞれ第1部・第2部・第3部のTV放送開始前にCD発売されています。しかし、ご覧のとおりアルバムを飛び交って使用楽曲が収録されています。わかりやすいところでは、たとえば記念すべき第一回放送は『サウンドトラック 1』収録楽曲のほか、『サウンドトラック 2』より「少年の国」「Stand Alone for Violin & Violoncello」、『サウンドトラック 3』より「夢」「少年の国 III」などがすでに流れています。第一回使用楽曲がほぼ出揃うのは3年待たなければいけなかったわけですね。3年待って収録されてよかったですね。

 

 

演奏

近年のNHK大河ドラマでは、オープニング主題曲のみNHK交響楽団による演奏、そのほかの楽曲は作曲家の創作活動や演奏活動に即した演奏者によることが主流です。この作品はほぼ全てオーケストラ楽曲ながら、NHK交響楽団と東京ニューシティ管弦楽団の二つのオーケストラ団体で録音されている理由のひとつです。NHK交響楽団を指揮するのは正指揮者等になります。

『サウンドトラック 1』は全曲NHK交響楽団による演奏で録音されていることは特記です。まさにNHKあげての一大プロジェクト、スペシャルドラマにふわさわいスペシャルな音楽収録になっています。

一方では、『サウンドトラック 2』に収録された『サウンドトラック 1』からもれた第1部未収録楽曲は東京ニューシティ管弦楽団です。ここでひとつの仮説です。もしかしたら、『同1』はスタジオジブリ作品のイメージアルバムのように、早い段階で出来上がっていたテーマごとの楽曲群だった?! そして撮影が続いていくなかで追加で書き足されていった楽曲たち、あるいは主要曲のアレンジ・ヴァージョンらが、東京ニューシティ管弦楽団で時期を追って録音された(録音日クレジットなし・不明)のかもしれませんね。いや、他の諸事情でアルバム分かれたのかもしれませんね。

『サウンドトラック 2・3』も主題歌はNHK交響楽団による演奏です。注目1は、『サウンドトラック 3』「日本海海戦」だけぽつんとNHK交響楽団になっていることです。上の仮説の流れからみると、「日本海海戦」もまた早い段階から出来上がっていた楽曲のひとつかもしれない。『同1』音楽収録の時に一緒に録音していたものかもしれない。はたまた、『Saka No Ue No Kumo』新録音の時かもしれない。いろいろな想像ができそうですね。

注目2は、その「Saka No Ue No Kumo」です。『Melodyphony』(2010)のときに組曲になって久石譲指揮(ロンドン交響楽団)で録音されています。ここではNHK交響楽団で新録音されています。あえて久石譲指揮(東京ニューシティ管弦楽団)にならなかったところに注目しています。「Stand Alone」がオープニングとクライマックスを飾る組曲です。坂の上の雲サウンドトラックに収録するのであれば、主題曲/主題歌と同じ扱いを受けた!? ということでしょうか。いろいろな想像ができそうですね。

 

*「Saka No Ue No Kumo」の聴き比べは(5)組曲 頁をご覧ください

 

 

録音

外山雄三(指揮)NHK交響楽団、久石譲(指揮)東京ニューシティ管弦楽団、いずれもオーケストラ楽器配置は通常配置です。クラシック音楽活動を本格化させていく2010年代前半から、久石譲は演奏会・音楽収録ともに対向配置を採用していきます。『Melodyphony』(2010)はまだ通常配置です。CD作品では『The End of the World』(2016)あたりから、サウンドトラックでいうと『花戦さ』(2017)あたりから対向配置の響きになっています。『坂の上の雲』の音楽は通常配置で聴く、将来コンサートでプログラムされるときは対向配置で聴ける、さらに新しい響きを届けてくれそうです。

 

 

総集編

第1部からだ第3部までの主要曲が公平に順番に収録されています。各部主題歌も収録されています。組曲も入って約83分のボリュームです。これは入っててほしい曲がわりときれいに入っている総集編です。Track.1-6『サウンドトラック 1』収録、Track.7-11『サウンドトラック 2』収録、Track.12-16, Bonus Track.17『サウンドトラック 3』収録。

 

 

New!
2024年テレビ一挙再放送に連動するように、これまで『サウンドトラック 総集編』のみサブスク解禁となっていたりの音楽ストリーミング・サービスも、2024年9月3日『サウンドトラック 1・2・3』を加えた全4アルバムが一挙ラインナップ!この作品に触れる視聴者からリスナーまで広くグローバルに聴き楽しめるようになりました。

 

 

次回は、組曲です。

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説

(1)イントロダクション
(2)語られたこと
(3)Stand Alone
(4)サウンドトラック
(5)組曲
(6)第1部(第一回~第五回)使用楽曲
(7)第2部(第六回~第九回)使用楽曲
(8)第3部(第十回~第十三回)使用楽曲

 

 

Blog. 『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説(3)Stand Alone

Posted on 2024/10/06

つづけて、主題歌「Stand Alone」をみていきましょう。

 

 

Stand Alone

作詞:小山薫堂 作曲:久石譲
歌:サラ・ブライトマン(第1部)・森麻季(第2部)・麻衣(第3部)

ちいさな光が 歩んだ道を照らす
希望のつぼみが 遠くを見つめていた
迷い悩むほどに 人は強さを掴むから 夢をみる
凛として旅立つ 一朶の雲を目指し

あなたと歩んだ あの日の道を探す
ひとりの祈りが 心をつないでゆく
空に 手を広げ ふりそそぐ光あつめて
友に 届けと放てば 夢叶う
はてなき想いを 明日の風に乗せて

わたしは信じる 新たな時がめぐる
凛として旅立つ 一朶の雲を目指し

 

 

 

楽曲について語られたこと

久石譲

「シンプルであり品格のある音楽にしたい。そして皆さんにぜひ歌っていただきたい。江戸から明治に時代が変わるとき、イギリス文化が取り入れられました。そして音楽教育のベースにもそういった音楽があったんです。小学校の教科書にはスコットランドやアイルランドの民謡が載っています。素朴でどこか懐かしい。いつまでも心に残るような。そんなテーマ曲が書けないかと思いました。キーワードにしたのは”凛として立つ”ということ。明日に向かって”凛として立つ”明治の人々の美しき姿を壮大なオーケストラの演奏だけではなく、普遍性のあるメロディの歌で伝えたいと思ったのです。第1部はサラ・ブライトマンのスキャット、第2部は森麻季さんの歌、第3部はコーラスを入れました。「Stand Alone」がスタンダードとして長く歌い継がれていくことを望んでいます。」(オリジナル・テキスト集より要約 編)

 

小山薫堂

「実はこのタイトルは僕がつけたものではない。作曲者の久石譲から曲をいただいたとき、すでに「Stand Alone」という素敵なタイトルがつけられていた。」

「そう、「Stand Alone」とは、音の光。もしこの楽曲が、あなたの心を照らすささやかな光になっているとするならば、僕がこれ以上語ることは何もない。」

 

藤澤浩一

「新しい「Stand Alone」を聴いたとき、「鎮魂の祈り」と「未来への希望」という言葉が浮かんだ。このドラマの締め括りにふさわしい音楽になった。ひとつの曲がドラマの各部ごとに変貌を遂げたというだけでなく、この3年間の社会の変化を敏感に反映しているように感じる。久石さんのマジックである。」

 

*テキスト集は(2)語られたこと 頁をご覧ください

 

 

 

サウンドトラック

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 サウンドトラック』1・2・3 にわたって全9ヴァージョンの「Stand Alone」が収録されています。

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック』

  • Track.1 Stand Alone/サラ・ブライトマン×久石譲 
  • Track.7 Stand Alone (Vocalise)/サラ・ブライトマン×久石譲 **
  • Track.12 Stand Alone for Orchestra **
  • Track.13 Stand Alone with Piano/サラ・ブライトマン×久石譲(Bonus track)””

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2』

  • Track.5 Stand Alone for Violin & Violoncello
  • Track.13 Stand Alone with Piano/サラ・ブライトマン×久石 譲(Bonus track)””
  • Track.24 Stand Alone/森麻季(ソプラノ)**

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 3』

  • Track.13 Stand Alone/久石譲×麻衣 **
  • Track.16 Stand Alone for Clarinet & Glockenspiel
  • Track.20 Stand Alone with Piano/サラ・ブライトマン×久石譲(Bonus track)””
  • Track.21 Saka No Ue No Kumo(Bonus track)**

**総集編収録 ””重複

以上9ヴァージョン

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 総集編』

  • Track.1 Stand Alone for Orchestra  [サントラ1]
  • Track.6 Stand Alone (Vocalise)/サラ・ブライトマン×久石譲  [サントラ1]
  • Track.11 Stand Alone/森麻季(ソプラノ) [サントラ2]
  • Track.16 Stand Alone/久石譲×麻衣  [サントラ3]
  • Track.21 Saka No Ue No Kumo(Bonus track)  [サントラ3]

 

 

 

モチーフ

ひとつの曲のなかにStand Aloneのメロディが織りこまれています。「第三部 序章」「終曲」(『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 3』収録)があります。

 

 

サントラ未収録ver.

本編では「Stand Alone for Orchestra」の調性(キー)やオーケストレーションが異なる2つのヴァージョン、「Stand Alone サラ・ブライトマン×久石譲」のヴォーカルとピアノを抜いたヴァージョン、これら3つのサントラ未収録ver.が使われています。サウンドトラック収録の計9ヴァージョンと合わせても「Stand Alone」は確認できるだけでも計12ヴァージョンあります。さらにモチーフで織りこまれた楽曲を合わせると本当にドラマの象徴として流れるStand Aloneです。

 

 

使用放送回

第一回

  • (オープニング) Stand Alone for Orchestra [1] 未収録ver.1(調性、オーケストレーション)*第二回/第四回
  • 00:29:40- Stand Alone サラ・ブライトマン×久石譲 [1] 未収録ver.(ヴォーカルなし、ピアノなし、終結部調性とピアノ)
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]

第二回

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • 00:53:55- Stand Alone for Orchestra [1] 未収録ver.1(調性、オーケストレーション)*第一回/第四回
  • Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]
  • Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]

第三回

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • Stand Alone with Piano サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [2] [3]
  • Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]

第四回

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • 01:23:05- Stand Alone for Orchestra [1] 未収録ver.1(調性、オーケストレーション)*第一回/第二回
  • Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]

第五回

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]

第六回

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • Stand Alone 歌/森麻季 [2] [総]

第七回

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • Stand Alone with Piano サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [2] [3]
  • Stand Alone 歌/森麻季 [2] [総]

第八回

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • Stand Alone 歌/森麻季 [2] [総]

第九回

  • Stand Alone for Orchestra [1] [総]
  • Stand Alone for Violin & Violoncello [2]
  • Stand Alone with Piano サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [2] [3]
  • Stand Alone 歌/森麻季 [2] [総]

第十回

  • Stand Alone 久石譲×麻衣 [3] [総]

第十一回

  • 01:15:00- Stand Alone for Orchestra [1] 未収録ver.2(調性、オーケストレーション)*第十三回
  • Stand Alone 久石譲×麻衣 [3] [総]

第十二回

  • Stand Alone (Vocalise) サラ・ブライトマン×久石譲 [1] [総]
  • Stand Alone 久石譲×麻衣 [3] [総]

第十三回

  • 01:23:10- Stand Alone for Orchestra [1] 未収録ver.2(調性、オーケストレーション)*第十一回
  • Stand Alone 久石譲×麻衣 [3] [総]

 

 

*「Stand Alone サラ・ブライトマン×久石譲」(日本語歌唱)は未使用楽曲です

*「Saka No Ue No Kumo」は未使用楽曲です。ドラマを越えて音楽作品として組曲化されたものです

*「第三部 序章」「終曲」も含めたStand Aloneメロディ使用放送回は(6~8)使用楽曲 頁をご覧ください

 

 

 

New!
2024年テレビ一挙再放送に連動するように、これまで『サウンドトラック 総集編』のみサブスク解禁となっていたりの音楽ストリーミング・サービスも、2024年9月3日『サウンドトラック 1・2・3』を加えた全4アルバムが一挙ラインナップ!この作品に触れる視聴者からリスナーまで広くグローバルに聴き楽しめるようになりました。

 

 

 

スコア

 

 

カバー曲

セルフカバー

森麻季(ピアノ・アレンジ)
アルバム『日本の歌~花は咲く』(2012)

麻衣 with リトルキャロル
アルバム『BEAUTIFUL HARMONY』(2022)

 

カバー

歌曲版・合唱版・吹奏楽版などがあります。詳しくは【Stand Alone(ウィキペディア)】をご参照ください。紹介されていないもので器楽版もあります。アルバム『MY JAPANESE FRIENDS / Jouko Harjanne』はトランペット&ピアノ版です。ほかにも国内外の音源化されている演奏あったらぜひ教えてください。全ては把握しきれていない多くの歌声や楽器でカバーされています。

 

 

一口コメント

名曲です。数ある久石メロディ・久石譲ソングのなかでもたしかな名曲のひとつです。2オクターヴに広がる美しい器楽的なメロディは、坂を登っていくように音符も駆けあがっていく力強さと羽ばたきに満ち溢れています。鮮やかに光を感じる稀有な楽曲です。第1部から第3部へと歌いつないでいくこともまた運命的です。社会や時代はめまぐるしく変化していく中でこれからもそのときの現在(いま)で歌い継がれてほしい一曲です。

思えば、久石譲においてヴィオラが歌う曲は名曲が多い。「World Dreams」も「組曲 Word Dreams より III.Diary」も「JAL 明日の翼」もそうです。ヴィオラからメロディを歌いはじめる曲はたしかに名曲が多い。「Oriental Wind for Orchestra」にもそういったところがあります。ヴィオラに旋律をたくすとき、そこには久石譲の揺るがない想いがあるのかもしれませんね。

 

 

次回は、サウンドトラックです。

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説

(1)イントロダクション
(2)語られたこと
(3)Stand Alone
(4)サウンドトラック
(5)組曲
(6)第1部(第一回~第五回)使用楽曲
(7)第2部(第六回~第九回)使用楽曲
(8)第3部(第十回~第十三回)使用楽曲

 

 

Blog. 『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説(2)語られたこと

Posted on 2024/10/04

つづけて、「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲」語られたエピソードをみていきましょう。久石譲(音楽)、小山薫堂(作詞)、麻衣(歌)、本木雅弘(出演)、藤澤浩一(チーフ・プロデューサー)の順になっています。

 

 

久石譲

明治を生きた若者達の群像。坂の上を目指し、”凛として立つ”彼らを音楽で描く。

今から十数年前に司馬遼太郎さんの著書を夢中で読み漁ったことがあります。いずれも名作でしたが、なかでも明治以降の日本を描いた『坂の上の雲』は、特に興味深く、この時代を生きた人々の純粋なエネルギーに心惹かれました。ドラマ化の話を聞いた時はすごく嬉しかったです。

映像のための音楽を制作する場合、いくつか方法があります。たとえば、エンターテイメント性の高いアクション映画だと、登場人物ごとにテーマ曲を作ることがあります。でも、司馬さんがこの作品で表現したかった精神世界や明治という時代の空気感を描くためには、個々の人間をクローズアップする手法ではニュアンスは伝わらない。それよりは時代に衝き動かされた若者達を群像としてとらえて、それをテーマに曲を書く方がいいと考えました。

明治は、近代日本において重要な時代です。若者を中心に長い鎖国から開放された人々は、驚くほど純粋で、素直に西洋に目を向けて世界の強国に追いつくためにひたむきに”坂の上”を目指していました。そのために西洋の文化も貪欲に取り入れようとしました。

音楽でいうと、当時はイギリスの教育を模倣し、教科書にはスコットランドやアイルランド民謡が多く載っています。その時に日本古来の文化を切り離そうとしたのは反省すべき点だとは思いますが、いずれにしても日本人が初めて西洋の音楽に触れた時代です。

『坂の上の雲』の音楽を制作するにあたり、その時代の高揚感を日本の五音階の世界観と西洋のモダンな和音の感覚を融合させながら描き出したいと考えました。そして敢えて協和音と不協和音がせめぎあう大人の音楽を目指しました。さらに音楽の手法として、僕の原点であるミニマル・ミュージックを随所で取り入れ、「激動」や「蹉跌」などでそれを前面に打ち出しています。

また、構想を練る段階でこれまでの「NHKスペシャルドラマ」の音楽にはない新しいチャレンジをしたいと考えました。そこから生まれたのが「Stand Alone」です。明日に向かって”凛として立つ”明治の人々の美しき姿を壮大なオーケストラの演奏だけではなく、普遍性のあるメロディの歌で伝えたいと思ったのです。そして、この歌を歌う最高のシンガーとしてクラシックとポップス両方の組成を持つサラ・ブライトマンさんに歌っていただきました。

このサウンドトラックには「Stand Alone」の4ヴァージョンが収録されています。サラさんの日本語の歌とヴォカリーズ、僕がピアノを弾いたボーナス・トラック、さらにオーケストラのインストゥルメンタル・ヴァージョンです。それぞれ違いを楽しんでいただけるかと思います。

今はさわやかな達成感とともに、「Stand Alone」がスタンダードとして長く歌い継がれていくことを望んでいます。

(2009年9月25日都内にて/取材・構成:服部のり子)

(『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック』CDライナーノーツより)

 

 

『坂の上の雲』の音楽

スペシャルドラマ『坂の上の雲』の音楽担当の話が来たのはもう7、8年前になります。司馬遼太郎さんの原作が大好きでしたから、ぜひ担当したいとお引き受けしました。

『坂の上の雲』についてはトータルで約80曲作りました。自分ではテレビドラマというより映画音楽として考えて作りました。通常のテレビドラマの音楽は1分とか1分半などの短い曲をたくさん作るようですが、僕は3分前後の曲を多く書いたので、実質膨大な量になりました。今回の作品は現代音楽からメロディアスな音楽まで、自分が作ってきたすべてを総動員して力を入れて作りました。今は3年間の放送を終えてとても嬉しい気持ちです。

最も重要だったのはやはりメインテーマです。番組の顔に相当するメインテーマをどう作るのか一番時間をかけて悩みました。

明治という時代には前体制が壊れて新しい体制に向かっていく楽天主義的な夢がたくさんある。そういう世界観を描きたい。最初にスコットランドやアイルランドの民謡が頭に浮かびました。素朴でどこか懐かしい。いつまでも心に残るような。そんなテーマ曲が書けないかと思いました。

そしてこれだけスケール感あるドラマなら音楽はシンプルにしたい。特にメインになる曲はどこまでシンプルにできるかにこだわりました。また、この物語は「英雄物語」ではなく、一生懸命生きた人間が巨大な戦争に巻き込まれていく話です。歴史の重要な1ページを描くには品格のある音楽を、しかもドラマティックすぎずに描かなくてはいけない。結果として誕生した曲がメインテーマ「Stand Alone」でした。そしてこれだけシンプルだったら、ぜひ皆さんに歌っていただきたいと思い、映画『おくりびと』の脚本家、小山薫堂さんの詞を得て”歌”にしました。

考えてみると、小学校の教科書には「蛍の光」「ロンドンデリーの歌」といったスコットランドやアイルランドの民謡が載っています。江戸から明治に時代が変わるとき、イギリス文化が取り入れられました。そして音楽教育のベースにもそういった音楽があったんです。僕たちは小さい頃からそういった音楽で育っているんですね。意識していなかったのですが、スコットランド民謡のような曲を書こうと思ったこと、最初にイギリス人歌手であるサラ・ブライトマンを起用しようと思ったこと、『坂の上の雲』の音楽を作るにあたってすべてが”イギリス”に向いていました。自分の中にある”イギリス”は『坂の上の雲』の音楽を作らせた大きな要因の一つでした。

昨年震災が起こりました。モノを創る人間として大変大きな衝撃がありました。何を目指して作っていけばよいのか、みんな分からなくなってきています。また、21世紀に入ってから今までの価値観ではやっていけないという事実に直面しています。そんな中、今回の音楽にかけて言うなら大事なのは”Stand Alone”という境地ではないかと感じています。

”Stand Alone”とは独りで立つということ。個人主義ではなく、自分は孤独で独りである、と認識すること。そうすれば人にやさしくすることも、人と力を合わせることも喜びに感じる。僕は最近、「目ざせ、Stand Alone」ということを懸命に考えています。

久石譲

(本原稿は2011年12月3日大阪府東大阪市:司馬遼太郎記念館/特別講演会「坂の上の雲と音楽」より談話を一部抜粋・加筆して再構成したものです)

(『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 総集編』CDライナーノーツより)

 

 

作品にある純朴さを表現

宮崎駿監督の『もののけ姫』の音楽を担当すると決まったころ、宮崎さんと司馬遼太郎さんの対談が行われることになったんです。それで「宮崎さんが傾倒する司馬さんの作品って、どんなものなんだろう」と思い、1年くらいかけて司馬さんの全集を読みました。そのとき、いちばん自分の中に響いた作品が『坂の上の雲』だったんです。「いつか、この音楽を作ってみたい」と思っていたところ、今回、依頼をいただいたので、すごくうれしかったですね。

ドラマの脚本を読んで感じたのは、とにかく”ピュア”ということでした。長かった鎖国が解かれて、近代的な体制の諸外国に「追いつけ、追い越せ」という目標をもって生きる純粋な情熱。自分の人生を世の中を変えることに向ける姿が、とても印象に残りました。今の日本が先進国になって、もう失ってしまっている純朴さ、いちずさみたいなものがあるんですね。それを音楽でどう表現するのかを、すごく考えました。

メインテーマの「Stand Alone」は、第1回から4回までの演出を担当した柴田岳志ディレクターと打ち合わせをしているとき、「スコットランド民謡みたいな、シンプルな曲が1曲あるといいよね」という話が出て、そこから誕生した曲です。キーワードにしたのは”凛として立つ”ということ。人と人が寄り添いながら生きているのもすばらしいことなのですが、最後は1人ですくっと立つことができる、それが人間としてすごく大事なことではないかと思ったのです。それは〈坂の上の雲〉の時代だけじゃなく、今の時代にも共通して言えることではないでしょうか。

明治の人たちと重なるような音楽をイメージしたとき、明治時代に日本がイギリスから学んだものを考えました。実は私たちが学校で習う西洋音楽は、イギリス民謡から始まっているものが多いんです。たとえば、「蛍の光」や「ロンドンデリーの歌」。だから僕の音楽にも、スコットランド民謡やアイルランド民謡といったものがベースにある。個人的なことですが『風の谷のナウシカ』の音楽も、海外では「イギリス的なにおいがする」とすごく言われたので。その根底にあるのは、やはり明治からの音楽教育なんですよ。そういう自分の思いと、東洋的な5音階のやり方と、イギリス民謡のような素朴な音と、そういうものを自分の中でミックスしていく……。その過程を音楽でやりたいと思いました。

ですから、いわゆる劇音楽という使い方はしないで、僕が手がけていたミニマルミュージックをベースにした音楽で。泣かせようとか、盛り上げようとかではなく、役者さんたちの演技を信じて、ちょっと引いた感じで、そのうえで、できるだけシンフォニックに作りました。

Blog. 「NHKウィークリーステラ 2009年12/5~12/11号」久石譲インタビュー内容 より)

 

 

「大型ドラマというと通常はオーケストラ作品。でも今回ちょっと違うものをやりたかった。そこでヴォーカルを入れようと。大きなドラマに対して誰が一番合うのか。国際的世界的スケール、そして日本が明治と変わっていく、それをアピールできる歌手を探していてサラ・ブライトマンさんになりました。」実際にサラが歌ったメインテーマを聴いての感想については「声が若々しく、こちらが思っていたスケール感が出ていたので、個人的に満足しています」と笑顔を見せた。

Info. 2009/10/22 NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』で、久石譲とサラ・ブライトマンがコラボ より抜粋)

 

 

「私がNHKの知り合いのディレクターから「坂の上の雲」の音楽担当を依頼されたのは、もうずいぶん前のことです。大好きな作品だし、ぜひやりたいと思った。2011年で放映3年目。司馬さんは他の作品にも通じますが、秋山好古、真之兄弟のように、本当のエリートではなく2番手3番手に光を当てるのがとてもうまいですね。最初の第1部は青春期、第3部は二◯三高地の戦いと日本海海戦と決まっていましたから、第2部は少し心配していたんですが、子規の死にポイントをあててうまくいった。渡辺謙さんのナレーションと、よく合っていました。番組の最後に流れるテーマ曲「スタンドアローン」は、第1部はサラ・ブライトマンのスキャット、第2部は森麻季さんの歌、第3部はコーラスを入れました。第3部は「救済の音楽」。希望の見える音楽をテーマにしています。」

Blog. 「週刊 司馬遼太郎 8」(2011) 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「それはすごく嬉しいです。ああいう大型のドラマになると、大河ドラマのオープニングみたいに、「ジャジャジャ~ン!」という派手な音楽で出るのがふつうなんでしょうけれども、僕、そうはしたくなかったんです。あれだけの大作なんだから、その精神を受け止めるような、バラード的なもののほうがあの世界観が出るんじゃないかと思ったんです。」

Blog. 「週刊朝日 5000号記念 2010年3月26日増大号」久石譲×林真理子 対談内容 より抜粋)

 

 

 

小山薫堂

「音の光」

知人から、時々こんなことを言われる。
「Stand Aloneというタイトルが、まず素晴らしいですね」

実はこのタイトルは僕がつけたものではない。作曲者の久石譲から曲をいただいたとき、すでに「Stand Alone」という素敵なタイトルがつけられていた。

久石さんの曲を聴く前に、まず脚本を読むことにした。イメージを膨らませて、言葉の欠片をできるだけたくさん頭の中に並べ、すでに出来上がっている曲とお見合いさせようと思ったからだ。

しかし、物語は壮大過ぎた。人間の尺度で話は紡がれるが、それは国、やがては時代のスケールで語られる。この世界観をそのまま歌にするのはとても難しい。それでも、時を経ても色褪せることのない普遍的な楽曲にしたい、と思った。

言葉に行き詰まってしまった時、初めて楽曲を聴いた。背筋をピンと伸ばし、誰もいない仕事場で大きく深呼吸して、CDプレイヤーのプレイボタンを押したのを覚えている。

それから先、どういう想いのもとにこの詞が完成したかは、あえて伏せておくことにしよう。ドラマの主題歌として皆さんがそれぞれのイメージを抱いている今、その誕生秘話を語るなんて野暮な話だ。

ただ…、ひとつだけ明かすとするならば、僕の頭の中にはずっと「光」のイメージがあった。闇の中にいる人たちにとって、この歌が「光のような存在」になればいいと思った。

光を一方的に求めているだけでは何も始まらない。人間ひとりひとりが自分なりの光を見つけ出し、それを仲間と共有したときはじめて、私たちは大きな光に照らされるのである。

そう、「Stand Alone」とは、音の光。もしこの楽曲が、あなたの心を照らすささやかな光になっているとするならば、僕がこれ以上語ることは何もない。

(『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 総集編』CDライナーノーツより)

 

 

麻衣

「はじめて「Stand Alone」を聴いたのは、3年前にデモが完成したときでした。私自身『坂の上の雲』は原作も大好きだったので、楽曲を聴いた瞬間の感動は、今でも忘れられません。何より、まさか自分が歌えることになるとは思っていなかったので、とても光栄です。父から制作現場の話を聞く機会などもあり、個人的にもこの楽曲には3年間向き合ってきましたので、強い想いがあります。自分らしい「Stand Alone」を歌うことができたと思っています。「Stand Alone」は、「凛として立つ」という意味だそうです。それぞれが強い意思をもって生きた明治時代の人そのものだと感じています。この時代に生きた人々が築いた「日本」という国を、私は心から誇りに思います。なにがあっても後ろを振り向かない「前をのみ見つめながら歩く」という姿勢は、今の私たちに最も必要なことだと思っています。最大の敬意と感謝を込めて歌っていきたいと思います。」

「父は、私がこの曲を歌うことになるなんて、全く想定していなかったと思います。大好きなこの作品に、父と一緒に参加できたことは、自分の中でとても嬉しい出来事でした。」

Info. 2011/12/18 麻衣の歌う『坂の上の雲』メインテーマ「Stand Alone」に注目 より抜粋)

 

 

本木雅弘

寄稿

曲が自分を追い越していきました。

身体を通過して、物語を通過して、知らないうちに久石さんの音楽が物語の高揚感とか、もしくは後味みたいなものを先導している形になっていました。

一言でいえば頼もしいというか、守られているというか。ドラマの撮影中「Stand Alone」にそんな不思議な力を感じていました。

(NHK BS「ザ☆スター」インタビューより談話抜粋・一部加筆修正)

(『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 3 』CDライナーノーツより)

 

 

NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」
チーフ・プロデューサー 藤澤浩一

風が吹いた瞬間

もう正確な日付は覚えていないのだが、NHK交響楽団の演奏による録音を控えたある日のこと。久石譲さんから、何曲か音楽のデモが出来たとの連絡があり、演出家と音響効果のディレクターそして私の3人で、いささか緊張しながら久石さんの事務所へ向かった。そこは西麻布の一角にあり、六本木通りという日本でも有数の繁華な場所の近くにしては非常に閑静な住宅街の中で、もう日も暮れようとしている頃だった。

緊張していたというのは、映画音楽の第一人者のデモをその本人を前にして聞くということもあったのだが、事前の打ち合わせで、ドラマの登場人物に即した音楽は作らないと決めていたこともあって、一体どのようなプレゼンテーションになるのか予測がつかなかったからだ。例えばこのドラマで言えば、秋山真之のテーマだとか好古のテーマといったものは出来るだけ作らない。「坂の上の雲」の世界を構成するテーマを大掴みにして、そこからイメージする曲をひとつの作品として作ってゆく。打ち合わせで久石さんが提示したコンセプトはそういうことだったと思う。

予測がつかないまでも、「明治の青春」を感じさせる曲をいくつか聞けるのではないかという予想はあった。久石さんの周辺からもそんな情報が入っていたと思う。ドラマ全13本のうち初年度に放送する5本は、まさに「坂の上の雲」の「青春篇」というべきもので、生まれたばかりの「明治日本」という若い国の姿を主人公たちの青春像とが、折り重なるように描かれてゆく。その意味で青春をモチーフとした曲は重要だったし、久石さんもそういう曲から作るのではないかと想像した。

果たして、久石さんのワーキングスペースに通された私たちに渡されたリストには、「青春」や「旅立ち」といった曲名がある。そして、リストの最後には”Stand Alone”と記されていた。「???」。曲名からは何をモチーフとした曲なのかわからなかった。

その曲は美しい旋律で、デモの段階では英語の歌詞が乗っていた。大地に颯爽と立つ少年が風に吹かれている。その風は時に優しく、時に厳しく吹いているが、少年は空に輝く雲を見つめ、そこに向かって歩みを進めてゆく。そんなイメージが頭に浮かんだ。

聞き終わった瞬間、部屋の中に風が吹いた、本当に。そう感じるほど、感動していた。打ち合わせに来たはずが、最後には「久石譲コンサート」の聴衆になっていた。

そうした作品の数々が、外山雄三さん指揮によるNHK交響楽団の演奏や小山薫堂さんの歌詞、サラ・ブライトマンさんのヴォーカルという素晴しい援軍を得た。

みなさんの所にも、きっと気持ちの良い風が届けられることと思います。

(『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック』CDライナーノーツより)

 

生みの苦しみ、生みの喜び

ドラマの第1部はいわば「青春編」だった。日本が国際社会という舞台に初めて立ち、主人公たちがそれぞれの道を歩き始めるというストーリーだった。第2部は「友情編」である。ロシアとの関係が緊張を増し、ついに開戦となるなか、秋山真之の二人の親友、正岡子規と広瀬武夫が壮絶な最期を遂げる。兄の好古はロシアや清国の、本来は対決するはずの人々と親交を結んでゆく。子規や広瀬の死は音楽的にも大きなテーマだし、ロシアを音楽でどう表現するのかなど、久石さんのマラソンコースの上で、難所だったに違いない。

そしてメインテーマだ。ドラマは3部構成であり、しかも3年に亘って放送する。物語は激しく展開し、時代は変わり、見ている人たちも作っている私たちも変わってゆく。ならばメインテーマも変わっていったらどうだろうか。そう思っていたのは私だけではなく、久石さんも同じだったようだ。しかし、英国の歌姫のイメージを踏襲しながら、違和感なく新しいヴァージョンを創り出すのはかなりの難産だった。けれど、森麻季さんの歌声と久石さんの手腕で素晴しい曲に仕上がった。

(『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2 』CDライナーノーツより)

 

久石譲さんのマジック

スペシャルドラマ「坂の上の雲」第3部は戦争を描いている。映像では砲煙が立ち込め、激しく土煙が舞い上がる。銃口からは火花が散り、何隻もの軍艦が波しぶきを立てながらターンしてゆく。戦争の映像を作るために、制作現場も戦争のようになっている。最新の映像合成技術は凄まじく、リアルな戦場の映像を作り出してゆく。しかしドラマ制作の手間が減った訳ではない。コンピューターのキーを叩けば映像が生み出されるものではなく、結局は手作業だ。多くのスタッフが精魂込めて作業している。職人仕事の積み重ねで映像ができてゆく。この10年間で、撮影から放送にいたるドラマの制作環境はデジタルへと変わったが、やることは変わらない。デジタルを使ったアナログな作業だ。議論と試行と失敗とを積み重ね、現場から番組が生まれる。

音楽も同じであると思う。久石譲さんとわれわれスタッフが議論を積み重ね、できるだけ音楽イメージを共有しようとする。音楽という言葉にならないものについて話し合っている現場は、傍からはかなり滑稽に見えるかもしれない。しかし、音楽が生まれる端緒はそういう現場である。

議論の場における、われわれのある種滑稽な言葉と未完成の映像が、久石さんのもとに残される。そこからは久石さんの作曲家としての孤独な作業だ。ドラマは大勢のスタッフと出演者の共同作業によって作られるが、その中でも孤独な仕事を強いられるのが脚本家と作曲家である。しかし、その孤独な仕事から生み出されるものは素晴らしい。脚本家の原稿の一行が迫真の映像となり、作曲家のスコアは大編成のオーケストラが奏でる美しい音響となる。

第3部の音楽では、ひとつだけわがままを言った。メインテーマである「Stand Alone」を麻衣さんに歌ってほしいということである。麻衣さんは久石さんの娘さんで、3年前に「Stand Alone」のデモを聴いたときに歌っていたのが麻衣さんだった。そのときの鮮烈な印象が忘れられず、是非にとお願いした。

新しい「Stand Alone」を聴いたとき、「鎮魂の祈り」と「未来への希望」という言葉が浮かんだ。このドラマの締め括りにふさわしい音楽になった。ひとつの曲がドラマの各部ごとに変貌を遂げたというだけでなく、この3年間の社会の変化を敏感に反映しているように感じる。久石さんのマジックである。

(『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 3 』CDライナーノーツより)

 

 

次回は、主題歌「Stand Alone」です。

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説

(1)イントロダクション
(2)語られたこと
(3)Stand Alone
(4)サウンドトラック
(5)組曲
(6)第1部(第一回~第五回)使用楽曲
(7)第2部(第六回~第九回)使用楽曲
(8)第3部(第十回~第十三回)使用楽曲

 

 

Blog. 『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説(1)イントロダクション

Posted on 2024/10/01

テレビ史上これまでにない空前のスケールで描かれた不朽の名作「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲」です。

 

 

番組について

司馬遼太郎が10年の歳月をかけ、日露戦争とその時代を生きた明治の青春群像を渾身の力で書き上げた「坂の上の雲」を原作として描く人間ドラマ。

明治維新によって、はじめて「国家」というものをもち、「国民」となった日本人。近代国家をつくりあげようと少年のような希望を抱きながら突き進んだのが「明治」という時代であった。
松山に生まれた3人の男、バルチック艦隊を破る作戦を立てた秋山真之、ロシアのコサック騎兵と対等に戦った秋山好古、そして俳句・短歌の革新者となった正岡子規。彼らは、時代の激流に飲み込まれながら、新たな価値観の創造に立ち向かい、自らの生き方を貫き、ただ前のみを見つめ、明治という時代の坂を上っていった。生まれたばかりの「少年の国」である明治の日本が、世界の中でいかに振る舞っていったかを描く。

【原作】
司馬遼太郎
※「遼」の字は、本来「しんにょうの点がふたつ」です

【脚本】
野沢尚
柴田岳志
佐藤幹夫
加藤拓

【音楽】
久石譲

【メインテーマ】
「Stand Alone」
第1部 サラ・ブライトマン
第2部 森麻季
第3部 麻衣

【語り】
渡辺謙

【出演】
本木雅弘 阿部寛
香川照之 菅野美穂
松たか子 石原さとみ
藤本隆宏 原田美枝子
竹下景子 伊東四朗
西田敏行 石坂浩二
高橋英樹 加藤剛
渡哲也 ほか

【初回放送】
89分版
第1部 2009年11月29日から12月27日
第2部 2010年12月5日から12月26日
第3部 2011年12月4日から12月25日
総合テレビにて放送

44分版(全26回を通して放送した日)
2014年10月5日から2015年3月29日
BSプレミアムにて放送
(44分版は、随時再放送しています)

 

 

2024年再放送

スペシャルドラマ「坂の上の雲」 89分版をBSP4Kで、44分版を総合で再放送!

日本を代表する豪華キャストが集結し、激動の時代を描いた司馬遼太郎原作の「坂の上の雲」。テレビドラマの常識を超えて3年に渡って放送された超大作を一挙放送。

【放送予定】
<44分版>
2024年9月8日より 毎週日曜日
午後11時から午後11時44分
全26回 ※89分版を前編・後編に再編集したものです
総合テレビ
NHKプラスでもご覧いただけます。

<89分版>
2024年10月4日より 毎週金曜日
午後8時15分から午後9時44分
全13回
BSプレミアム4K

 

出典:スペシャルドラマ「坂の上の雲」 – NHK
https://www.nhk.jp/p/ts/X7PG14YX57/

 

 

放送日程/CD発売日程

第1部

  • 第一回 少年の国(放送日:2009年11月29日)
  • 第二回 青雲(放送日:2009年12月6日)
  • 第三回 国家鳴動(放送日:2009年12月13日)
  • 第四回 日清開戦(放送日:2009年12月20日)
  • 第五回 留学生(放送日:2009年12月27日)

 

 

第2部

  • 第六回 日英同盟(放送日:2010年12月5日)
  • 第七回 子規、逝く(放送日:2010年12月12日)
  • 第八回 日露開戦(放送日:2010年12月19日)
  • 第九回 広瀬、死す(放送日:2010年12月26日)

 

第3部

  • 第十回 旅順総攻撃(放送日:2011年12月4日)
  • 第十一回 二〇三高地(放送日:2011年12月11日)
  • 第十二回 敵艦見ゆ(放送日:2011年12月18日)
  • 第十三回 日本海海戦(放送日:2011年12月25日)

 

 

 

コンサート・プログラム歴

  • 久石譲 ジルベスターコンサート 2009
  • 久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ ニューイヤーコンサート (2010)
  • 西本願寺音舞台 2011
  • アルモニーサンク北九州ソレイユホール 1周年記念「久石譲コンサート」(2011)
  • 久石譲 ジルベスタ―コンサート 2011
  • クラブツーリズムスペシャルコンサート 久石譲 オーケストラの世界 (2013)

*詳しくは(5)組曲 頁をご覧ください

 

 

スコア

 

 

New!
2024年テレビ一挙再放送に連動するように、これまで『サウンドトラック 総集編』のみサブスク解禁となっていたりの音楽ストリーミング・サービスも、2024年9月3日『サウンドトラック 1・2・3』を加えた全4アルバムが一挙ラインナップ!この作品に触れる視聴者からリスナーまで広くグローバルに聴き楽しめるようになりました。

 

 

次回は、語られたことです。

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説

(1)イントロダクション
(2)語られたこと
(3)Stand Alone
(4)サウンドトラック
(5)組曲
(6)第1部(第一回~第五回)使用楽曲
(7)第2部(第六回~第九回)使用楽曲
(8)第3部(第十回~第十三回)使用楽曲

 

 

Info. 2024/09/30 [TV] 日本テレビ系「ZIP!」SHOWBIZ SPECIAL 久石譲インタビュー出演

Posted on 2024/09/30

日本テレビ系「ZIP!」番組コーナー「SHOWBIZ SPECIAL」にて久石譲が特集されました。ジブリフィルムコンサートの番組取材や久石譲インタビューによる貴重な約10分間映像となりました。 “Info. 2024/09/30 [TV] 日本テレビ系「ZIP!」SHOWBIZ SPECIAL 久石譲インタビュー出演” の続きを読む

Info. 2024/09/15 作曲家・久石譲さん「生成AIに新しい曲は生み出せない」(日本経済新聞より)

Posted on 2024/09/15

作曲家・久石譲さん「生成AIに新しい曲は生み出せない」

スタジオジブリの映画音楽で知られる作曲家の久石譲さんが、公演で訪れた米サンフランシスコで日本経済新聞の取材に応じた。AI(人工知能)がコンテンツを量産する近未来に、人は芸術の分野で価値を示し続けることができるのか。久石さんは「生成AIに新しい曲は生み出せない」と断言する。AIは模倣しかつくれないという主張だ。 “Info. 2024/09/15 作曲家・久石譲さん「生成AIに新しい曲は生み出せない」(日本経済新聞より)” の続きを読む