Posted on 2015/10/21
1998年に開催された「第11回 JALステージスペシャル 醍醐寺音舞台」久石譲の総合演出によるコンサートステージ。
音舞台とは
音舞台シリーズは、様々な日本文化の発祥となり、また長い歴史のなかで日本人の心の”よりどころ”としてあり続けたお寺、その中でも日本を代表する名刹と言われるお寺に”舞台”を設え、「東洋と西洋の出会い」をテーマにした音楽企画。1989年に「金閣寺」で始まったこのシリーズは、「泉涌寺」「三千院」「清水寺」「平等院」「東寺」「延暦寺」「醍醐寺」「大覚寺」「二条城」「法隆寺」「萬福寺」「薬師寺」「仁和寺」「東福寺」「唐招提寺」「東大寺」「西本願寺」と続き、いずれも日本屈指の名刹を”幻の劇場”にした一夜限りの夢の舞台を実現してきた。音舞台では、この特別な空間でしか実現できないスケール感と本物だけがもつ迫真の力を最大限に見せる舞台作りを目指し、オリジナル且つ斬新で人々の心に強く残るステージをお届けする。
毎年9月頃に、京都・奈良の歴史建造建物である寺院を舞台に、国内・海外の一流アーティストを招いて行われるコンサート。主催は京都仏教会、毎日放送。
公式サイト:音舞台 MBS
第11回 JALステージスペシャル 醍醐寺音舞台
[公演期間]
1公演(総本山醍醐寺境内 国宝・金堂前仮設ステージ)
[公演回数]
1998/9/5
[編成]
総合演出:久石譲
久石譲アンサンブル
(pf 久石譲/wood wind 金城寛文/marimba 神谷百子/bass 斉藤順)
ディープ・フォレスト
バラネスクカルテット
ニューヨーク・シティ・バレエ選抜メンバー
RIKKI(中野律紀)
[曲目]
山伏 法螺貝
EAST
THE ROBOTS
RYDEEN
MODEL
MKWAJU
794BDH
Kids Return
HANA-BI
Madness
Bolero
塩道長浜節
もののけ姫
EKUE EKUE
SWEET LULLABY
MADAZULU
BOHEMIAN BALLET
DEEP WEATHER
DEEP FOLK SONG
FREEDOM CRY
Asian Dream Song
「PIANO STORIES ’98 Orchestra Night」コンサート・パンフレットにて特集された音舞台後の久石譲インタビューおよびトピックです。
聴く人が音楽に入りやすい環境を作る
それが演出の目的だと思っています
うれしいことにパラリンピックでの開、閉会式の演出がとてもうまくいって高い評価をいただいたこともあって、あれ以来、演出を含めた形でのイベント出演のお話が増えています。演出も含めて総合的に関わる仕事というのは、自分の世界をより強烈にアピールできるという意味で、とてもやりがいを感じます。こういうスタンスもいいな、と。
今回の「音舞台」の演出の発想は、特徴ある醍醐寺・金堂の屋根をどう際立たせるか、というところから入りました。いろいろなアイデアのひとつに、途中で雨を降らせるという演出があって大量の水を使いましたが、ある程度の空間以上になるとスペクタクルなダイナミックさは必要だと思います。実際に想像以上にうまくいって、パラリンピックのときと同じくらいのクオリティーを保てたことに、とても満足しています。
ただ、一人の人間のやれる量をはるかに超えてましたね。翌日ピアノを弾くにもかかわらず、寒い中、前日の夜中2時ぐらいまで証明をチェックしたり。これはやっちゃいけないなと反省しました。本当はこう関わるべきなんだろうというのがわかってきたので、今後は演出だけ、ピアノだけというように分けていくと思います。
こうした演出の出発点は、音楽を聴く人たちがより入りやすい環境を作るということです。音楽を聴く環境を作って、総合的に人に訴えることができる。この音楽はこういう環境で聴くのが理想だろうと。そういうところまで自分で演出できることは幸せですね。
(「久石譲 PIANO STORIES ’98 Orchestra Night」 コンサート・パンフレットより)
1989年から始まり今回で11回目を迎えた「音舞台」は、これまでに金閣寺や清水寺、平等院などの京都の名刹を舞台に”東洋と西洋が出会うとき”をテーマにした数々のステージを創り出してきた。今年は山科屈指の名刹、「醍醐の花見」でも有名な醍醐寺で開催され、久石譲がその総合演出を手がけた。国宝の金堂前に設けられた特設ステージでは、万物を生成する5大要素とされる「地」「水」「火」「風」「空」をイメージモチーフとした構成に基づき、それぞれの出演者ごとのステージなど、約20曲の演奏がくりひろげられた。演出には大量の放水や照明が効果的に使われ、会場の雰囲気が高揚したところで出演者全員のセッションによる最高潮のフィナーレを迎えた。
(同パンフレット内 特集より)
久石譲音楽活動の時系列において注目すべきは、この音舞台でバラネスク・カルテットと同じステージに立ったということ。出会いであり初共演となった音舞台を経て、翌年「PIANO STORIES’99 Ensemble Night with Balanescu Quartet」コンサート・ツアーは一緒にアンサンブル・ステージを展開します。
そしてオリジナル・アルバム『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』(2000)へと結実します。つづく初監督作品『カルテット』の音楽演奏もそうです。やはり久石譲のコンサートは、創作活動の源、一期一会です。こういった単発企画からでさえ、CD作品化までつながっていくのですから。
音舞台の出演は、ここから13年後の2011年「西本願寺音舞台」に出演しています。
同コンサート・パンフレットは、ほかにもソロアルバム「Nostalgia」や「交響組曲 もののけ姫」のレコーディング日誌など、ボリューム満点の久石譲活動履歴が記録されています。
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- Blog. 「久石譲 PIANO STORIES ’98 Orchestra Night」 コンサート・パンフレットより
- Blog. 久石譲 「Nostalgia」 レコーディング日誌 (1998 コンサート・パンフレットより)
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