Blog. 「久石譲 in パリ」に想う ~風の生まれる音~

Posted on 2017/11/17

6月にパリで開催された久石譲コンサート「JOE HISAISHI SYMPHONIC CONCERT: Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki」。スタジオジブリによるコンサートのための公式映像と久石譲による指揮・ピアノ、オフィシャルジブリコンサートは久石譲だからできるスペシャル・プログラム。「久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間」コンサート(2008)を継承し映画「風立ちぬ」(2013)も加えた宮崎駿監督作品全10作品としてスケールアップ。オーケストラはパリの名門、ラムルー管弦楽団。巨大なスクリーンに映し出される映画の名シーンと共に奏でられるオーケストラの迫力の音楽が、フランス・パリの聴衆を感動の渦に巻き込みました。

その模様は「久石譲 in パリ ~「風の谷のナウシカ」から「風立ちぬ」まで 宮崎駿監督作品演奏会~」と題し9月NHK BSで放送され大きな反響を呼びました。そして早くも11月再放送決定。

 

音楽に耳を澄ませ、そのとき頭に浮かんだこと、想いめぐらせたことを、しかるべき長さの文章にまとめる。とても個人的で私的なものですが楽しい時間です。もしこれから書くことに意見が合わなかったとしても、あまり深追いしないでくださいね。もしうまく伝わることができて、ぬくもりのようなものを感じてもらうことができたら。見えないたしかなつながりを感じることのできる幸せな瞬間です。

 

 

久石譲 in パリ 「風の谷のナウシカ」から「風立ちぬ」まで 宮崎駿監督作品演奏会
JOE HISAISHI SYMPHONIC CONCERT:
Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki

[公演期間]  久石譲 パリ コンサート JOE HISAISHI SYMPHONIC CONCERT 2017
2017/6/9,10

[公演回数]
3公演 (パリ パレ・デ・コングレ・ド・パリ)
Palais des Congrès de Paris

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:ラムルー管弦楽団
合唱団:ラムルー合唱団/ラ・メトリーズ・デ・オー・ドゥ・セーヌ

Conducted by Joe Hisaishi
Orchestre et Choeur Lamoureux

[曲目]
I. 風の谷のナウシカ
風の伝説
ナウシカ・レクイエム
メーヴェとコルベットの戦い
遠い日々 (Vo: 麻衣)
鳥の人

I. Nausicaä of the Valley of the Wind
The Legend of the Wind
Nausicaä Requiem
The Battle between Mehve and Corvette
The Distant Days (Chant: Mai)
The Bird Man

II. もののけ姫
アシタカせっ記
タタリ神
もののけ姫 (Vo: エレーヌ・ベルナディー) *日本語詞

II. Princess Mononoke
The Legend of Ashitaka
The Demon God
Princess Mononoke (Soprano: Hélène Bernardy) *Japanese Lyrics

III. 魔女の宅急便
海の見える街
傷心のキキ
おかあさんのホウキ

III. Kiki’s Delivery Service
A Town with an Ocean View
Heartbroken Kiki
Mother’s Broom

IV. 風立ちぬ
(マンドリン: マチュー・サルテ・モロー)
旅路(夢中飛行)
菜穂子(出会い)
旅路(夢の王国)

IV. The Wind Rises
(Mandoline: Mathieu Sarthe-Mouréou)
A Journey (A Dream of Flight)
Nahoko (The Encounter)
A Journey (A Kingdom of Dreams)

V. 崖の上のポニョ
深海牧場
海のおかあさん (Vo: エレーヌ・ベルナディー) *日本語詞
いもうと達の活躍 - 母と海の賛歌
崖の上のポニョ  *フランス語詞

V. Ponyo on the Cliff by the Sea
Deep Sea Pastures
Mother Sea (Soprano: Hélène Bernardy) *Japanese Lyrics
Ponyo’s Sisters Lend a Hand –
A Song for Mothers and the Sea
Ponyo on the Cliff by the Sea  *French Lyrics

VI. 天空の城ラピュタ
(マーチング・バンド)
ハトと少年
君をのせて  *日本語詞
大樹

VI. Castle in the Sky
(Marching Band)
Doves and the Boy
Carrying You  *Japanese Lyrics
The Eternal Tree of Life

VII. 紅の豚
帰らざる日々

VII. Porco Rosso
Bygone Days

VIII. ハウルの動く城
シンフォニック・バリエーション “人生のメリーゴーランド+ケイヴ・オブ・マインド”

VIII. Howl’s Moving Castle
Symphonic Variation «Merry-go-round + Cave of Mind»

IX. 千と千尋の神隠し
あの夏へ
ふたたび (Vo: 麻衣)

IX. Spirited Away
One Summer’s Day
Reprise (Vo: Mai)

X. となりのトトロ
風のとおり道
さんぽ  *英語詞
となりのトトロ  *日本語詞

X. My Neighbor Totoro
The Path of the Wind
Hey Let’s Go  *English Lyrics
My Neighbor Totoro  *Japanese Lyrics

—–encore—-
Madness from Porco Rosso
Ashitaka and San from Princess Mononoke  *English Lyrics

 

 

 

さて、今回は「久石譲 in パリ」へのいろいろな想いを綴りたく、各楽曲の感想は一口コメントです。きっと一人一人に大好きなジブリ作品ジブリ音楽があると思います。語り尽くせないものがあると思います。溢れだしたらとまらないと思います。

 

開演前
会場で流れていた音楽は、久石譲が宮崎監督へ献呈し三鷹の森ジブリ美術館でのみ展示室BGMとして聴くことができる楽曲たちです。2008年武道館の時もそうでした。そして、久石譲登場とともに観客総立ちスタンディング・オベーションでお出迎え。待ち焦がれたパリファンのボルテージはすでに最高潮。

I. 風の谷のナウシカ
冒頭のティンパニが鳴り響いた瞬間そこはもうナウシカの世界が広がります。宮崎駿×久石譲のコラボレーションはここから始まった、歴史が動きだした瞬間と思うと。

II. もののけ姫
海外オーケストラのパーカッション奏者が日本の和楽器を演奏することも、海外ソプラノ歌手が日本語で披露することもとても貴重です。メイド・イン・ジャパン100%の純度で作品が尊重されている証。

III. 魔女の宅急便
さすがヨーロッパの名門オーケストラ、横揺れする旋律の歌心は流れるような調べ、気品のある演奏。思春期の繊細でこまやかな感情の揺れ動き、音色への表現は日本でもパリでも。

IV. 風立ちぬ
プログラム追加された最新作。これまでに披露された「風立ちぬ 組曲」「風立ちぬ 第2組曲」とも音楽構成は異なります。なんといってもマンドリンのあのどこまでもレガートな奏法にはうっとり。

V. 崖の上のポニョ
2008年は公開記念もあって大きな構成だった作品。「崖の上のポニョ」主題歌はフランス語による大合唱。もしかしたらこのパートは、これから先開催地ごと母国語で歌われるのかもしれませんね。世界何十カ国語で歌われるジブリの歌、ジブリのメロディ。

VI. 天空の城ラピュタ
プロ・アマ問わず、大人・子ども問わず、音楽を奏でる人たちにジブリの種が蒔かれる瞬間。マーチングバンドによる演奏は、世界中にジブリの根が広がっていく、未来へジブリ音楽をつないでいく原石たち。いつまでも輝きを失うことのないあの石のように。

VII. 紅の豚
アンサンブルによるJAZZYで大人な世界。鈴木敏夫プロデューサーと宮崎駿監督のコメントも巨大スクリーンで紹介されました。

VIII. ハウルの動く城
2008年版の「人生のメリーゴーランド」ステージを空撮したその映像は、管弦楽が弧を描き楽器を弾く手振りがまるで華麗な舞踏会で踊っている姿のようで印象的でした。パリ公演の話ではないですが。見事にハマってしまうヨーロッパならではの優雅で華麗な響きは最良の装い。

IX. 千と千尋の神隠し
「One Summer’s Day」久石譲ピアノソロ、演奏後そっと目頭の涙をぬぐうような仕草が印象的でした。こみあげてくるものがあったのか、特別な雰囲気と特別な演奏に久石譲自身なにか感じるものがあったのか。これぞまさに、久石さんの言葉を借りれば「音楽が音楽になる瞬間」です。(詳しくは書籍「音楽する日乗」にて)

V. となりのトトロ
指揮者もオーケストラも観客も、自然と顔がほころび体弾み心躍る。会場いっぱいに夢と笑顔が溢れるとき、この一瞬だけは誰もが未来の平和と幸せを願う、今の幸せを実感する。そんな日本が誇るアンセムとして響きわたっていきますように。

*未放送
「II. 崖の上のポニョ」より「深海牧場」、「VI. 天空の城ラピュタ」より「大樹」、アンコール「Madness」「アシタカとサン」

終演後
ラムルーから久石譲へのサプライズ。舞台裏で「君をのせて」日本語大合唱プレゼント。現地動画で少しだけ紹介されていましたが、興奮と達成感に満ちた空気のなか、何度も浮かべた涙をぬぐう久石さんの姿が印象的でした。

 

6月公演直後のインフォメーションでも、会場の様子や鈴木敏夫プロデューサー、宮崎駿監督のコメントなどご紹介しています。

 

 

 

もうひとつの宮崎アニメ交響作品全集

2015年から始動した一大プロジェクト、ジブリ交響作品化シリーズ。「風の谷のナウシカ」(2015)、「もののけ姫」(2016)、「天空の城ラピュタ」(2017)とコンサート初披露されています。今のところ年1回で交響組曲化されているということは、全10作品が出そろうのは!?

パリ公演で披露されたのは2008年版を継承したもので、新しい交響作品としてスケールアップしたものは反映されていませんでした。ちゃんと考えてみるとそれは当然なことかもしれません。映像と音楽による演出・プログラム構成のため、30分近くに及ぶ交響組曲を持ってくることはできません。また組曲内の同じ楽曲であっても、スケールアップしたオーケストレーションを組み込むこと、部分的な修正はすでに完成された作品世界と音楽構成を歪めてしまうのかもしれません。

細かいことをいうと、すべての作品において2008年版と全く同じものはありません。微細なオーケストレーションの修正やテンポの抑揚などなど着実に進化しています。ここで言っているのは、新しい交響組曲から大きく持ちこむことはしていないとうことです。

すでに完成された作品世界と音楽構成、そうですね、もうひとつの宮崎アニメ交響作品全集は、ここにもうあるんです。「風の谷のナウシカ」から「風立ちぬ」まで全10作品。もちろんシンフォニー(交響)ではない編成の作品もあります。ソプラノ・合唱・独奏楽器・マーチングまで多彩な編成でバリエーション豊かに堪能できるジブリの世界。私たちは、映像と音楽による交響全集、音楽による長大壮大な新交響全集。ふたつの交響作品全集を受けとることができる、幸せなオーディエンスです。

 

 

みんなジブリで育った

小さい頃からジブリ映画を観て育った。楽器をはじめてジブリの曲を弾いてみた。鼻歌で口ずさんでみた、みんなで大合唱した。こんな経験に当てはまらない人は、いないと言い切れるほどでしょう。そのなかから音楽の道を選んだ人たちが、今度は届ける側に立っている。「昔から大好きだったジブリの作品を久石さんの指揮で演奏することができて幸せ」と語る奏者も日本ではよく耳にします。

これは日本だけの現象でしょうか?まったく同じことがパリでも世界中どこでも起こっている。そして音楽人たちは、いつか自分が聴き育った音楽を多くの人へ届けたいと願う。新しい交響作品化シリーズも世界中で演奏したいニーズをうけて、久石譲自ら音楽作品として再構成しているプロジェクトでもあります。

どこで開催されようとも、そこにはジブリ音楽を聴き育った人たちによる最高のパフォーマンスが約束されている。合唱団やマーチングバンドには将来音楽をつないでいく子供たちもたくさん参加します。「久石譲 in パリ」それはまさに花開き、芽吹き、新しい種が蒔かれるとき。

 

 

超ドメスティックはインターナショナルになる

この言葉は久石譲さんが時折語る格言のひとつ。ここに託され象徴されています。

 

「「もののけ姫」は日本にとどまらず、これから世紀末を迎える、世界中のすべての人々に向けて作られるものだと思う。その音楽を手がけることになって、いま一番考えていることは、日本人としてのアイデンティティーをどう保ち、どう表現するか。非常に深いところでのドメスティックさ、日本人であるということが、かえって世界共通語になるんじゃないかと思う。ではどうすればいいか。映画の公開まで、宮崎監督との豪速球のキャッチボールが続きそうだ。」

(CD「もののけ姫 イメージアルバム」(1996)ライナーノーツ より)

 

「シンセも入っていますよ。あと、ひちりきとか和太鼓などの民族的なニュアンスのある和楽器も使っています。日本初の世界同時公開の映画なので、何らかの形でドメスティックなものを出すべきだと思ったんです。それで”超ドメスティックはインターナショナルになる”という考えを持ち込みました。富士山と芸者のようなあいまいなイメージではなくて、本当の日本的な音の感性が核にあれば、インターナショナルとしての価値が出ると思ったんです。だから和楽器を使って、なおかつイメージを限定しない使い方を目指しました。これはすごく悩みましたね。」

(「キーボード・マガジン Keyboard magazine 1997年9月号」久石譲インタビュー より)

 

「言葉の問題はあると思うんですけど、本来は、インターナショナルを狙うという発想は違うんですよね。ある意味では超ドメスティックにやることで、どこまでも掘り下げていき、深いところで理解すると、それが結果、インターナショナルになる。だからその辺が、たとえば今度の北野さんの映画(『菊次郎の夏』。この対談は99年4月に収録)でも、あれは絶対日本の空間でしか成立しない話なのに、外国の観客にもかえって分かり合えたというところがありますよ。」

(「ダカーポ 422号 1999.6.2 号」鈴木光司×久石譲 対談内容 より)

 

「第二次世界大戦の後70年間まったく戦争がなく、平和の中で暮らしてきた我々は、グローバルという言葉を経済用語だと勘違いしている。真のグローバルとは思いっきりドメスティックであり、多様な考えを受け入れるということである。」

(書籍「音楽する日乗」(2016) より)

 

「一番良かったと思うのは、中途半端なインターナショナルとか中途半端なグローバリゼーションとか一切無関係で、超ドメスティックに作り続けてきた。それで、超ドメスティックであることが、実は超インターナショナルだった。結果、そうだったような気がします。」

(「NHK WORLD TV」(2016)番組内インタビュー より)

 

 

宮崎駿監督の言葉にも。

「つい最近まで『日本が世界に誇れるものは?』との問いに、大人も子どもも『自然と四季の美しさ』と答えていたのに、今は誰も口にしなくなりました。(中略)この国はそんなにみすぼらしく、夢のない所になってしまったのでしょうか。国際時代にあって、もっともナショナルなものこそインターナショナルのものになり得ると知りながら、なぜ日本を舞台にして楽しい素敵な映画をつくろうとしないのか。(中略)忘れていたもの 気づかなかったもの なくしてしまったと思い込んでいたもの でも、それは今もあるのだと信じて、『となりのトトロ』を提案します。」

(映画「となりのトトロ」企画書 より)

 

 

ジブリ音楽は日本オーケストラの財産

優雅で華やかさの際立った「久石譲 in パリ」。どこかで「なにかこぶしが足りないなあ、もうひとつグッと迫るものがなあ」と感じた瞬間があったとして。

モーツァルトのような作品を日本オーケストラが演奏しても、どうしてもなにかしっくりこない越えられない一線があると聞いたことがあります。そこにはヨーロッパの培われてきた特有のニュアンスや精神性があって音楽に込める何かがあるからです。外国人が日本民謡や演歌を上手に歌ったとしても小節回しにどうしても違和感を覚えてしまうのと同じです。

西洋発祥のクラシック音楽にはひとつのハンディキャップがあるならば、日本発祥のジブリ音楽は一転大きなアドバンテージがある。これは日本のオーケストラにとって最大の強みであり、未来へ大きな財産になっていくのかもしれない、と。

モーツァルトを聴くならやっぱり本場のオーケストラ・音がいいよねとあれば、ジブリ音楽を聴くならやっぱり本場日本のオーケストラ・音がいいよね、となる。日本で培われた特有のニュアンスや精神性、音楽に込める何かは、これから先もずっとずっと世界中のファンを魅了する。日本オーケストラの未来は明るい!—と安直なことは言えません、でも明るい未来へと受け継がれるべきものは、ここにしっかりある。これは今を生きる私たちが思っている以上に、ジブリが遺した偉大なる音楽遺産なのかもしれません。

 

 

風の生まれる音

宮崎アニメの魅力のひとつ、空を飛ぶ風を感じる。青い空を蒼い海をいっぱいに飛ぶ登場人物たち。そして風景や身にまとうものはもちろん、感情の変化や表情の動きに髪の毛まで揺れ動く、まさに風が立つ。

久石譲がつくりだす音楽にも共通点があるような思います。「久石譲 in パリ」を観ながら、どの作品にも風を感じる。「風の谷のナウシカ」冒頭ティンパニが鳴った瞬間に谷を流れる風の音が聞こえてきそうですし、「ハウルの動く城」ハウルとソフィの空中散歩の瞬間も、「となりのトトロ」トトロが高く高く登っていく瞬間も、いろいろな風が表情豊かに響いています。

映像やストーリーとリンクしているから、という話ではありません。風が起こる、風を感じる。風とは心なのではないか。気持ちの芽生えや気持ちの変化。一瞬自分のなかに吹く風、たしかに感じるなにか。久石譲が紡ぎだすジブリ音楽は、まさに風の生まれる音。聴く人を魅了してやまない、世界中で愛されつづづけるのは、心の生まれる音そのものだから。

 

 

そして、これから

パリ公演のような宮崎駿監督作品演奏会は、ワールドツアーとして今後も世界各地で開催予定のようです。開催地のアーティスト(オーケストラ・ソリスト・合唱・マーチング)で演奏することも重要なひとつであるならば、準備期間には相当の時間を要します。いつか日本でも凱旋公演を!とも期待してしまいます。

「久石譲 in パリ」がいつかDVD/Blu-rayやCDとしてその映像や音楽がパッケージ化されることも強く望みます。今回TV放送されなかったプログラム完全版として、準備期間やリハーサル風景をまじえたドキュメンタリーとして、現地の反応やインタビュー、公演前後の舞台裏をも鮮明に記録した保存版として。そうしてできたパッケージが、待ち焦がれる世界中のファンへ、コンサートには行くことの叶わない世界中のファンへ届けられる。その先には、ひとりひとりの日常生活とともにある音楽、日常生活で出会える感動・勇気・心の変化。素晴らしい音楽の力、広がりつながり螺旋を描き、そして個へ帰る。

こんなスペシャルなコンサートが開催されるとひと言で「お祭り」企画です。でも、そう簡単には片づけられないなにかがある。エンターテインメントの姿をまとい、ジブリ映画を久石譲音楽を未来にてわたす壮大な一大プロジェクトとしたら。ジブリの根が世界中に広がる、そのどっしりとした根のうえにはどんな樹が空高く立ち、どんな花を咲かせ、どんな実がなっているのか。「久石譲 in パリ」はそんな大切な大切な過程のひとつ。

 

 

「久石譲 in パリ」を観ながら、満足感と幸福感いっぱいに感動しながら、余韻はそれだけでは終わりませんでした。私的に受けとったものめぐらせる想い、テーマごとに綴ってきました。あぁこうやって未来につながっていくんだろうなあ、と。まるで未来への過程をまのあたりにしている生き証人のように。「久石譲 in パリ」、それは今まさに、歴史をつくっている瞬間です。

 

 

パリ公演の歩み ~開催決定から「久石譲 in パリ」放送まで~

 

 

2018.11 追記

ジブリコンサートの映像と音楽のバランス。

久石譲は武道館コンサート(2008)のときにこう語っています。「スクリーンが大きすぎると映像に音楽がくっついてる感じになるし、小さすぎると映像がオマケになってしまう」。そこから88m x 162mの巨大スクリーン、映像と音楽のバランスがいいと導き出した。オーケストラと合唱の大編成、ステージの大きさと大人数が与える視覚的インパクト。それらと対等になるスクリーンの大きさがあの特注スクリーンです。

映像に合わせて音楽をシンクロさせる手法もとっていません。スクリーンに映し出される本編映像とそのとき奏でられる音楽は映画とコンサート違います。でも、観客はその世界観に違和感なく映像と音楽にどっぷりひたることができる。映画ワンシーンの”そのためだけの音楽”ではないからこそ、自由に羽ばたくイマジネーションの広がり。”作品の世界観に音楽をつける”その結晶です。

映画シーンとLive映像を織り交ぜることも。フィルムはフィルムでずっとダイジェスト映像ではなく、今その瞬間ステージLive映像と交錯させることで、臨場感や高揚感、観客の満足度は最高潮に達します。そして映像のつながりや切り替えもなめらかな職人技が光ります。

「映像と音楽は対等であるべき」久石譲の映画音楽に対する信念の象徴、見事に具現化したものそれがジブリコンサート、ひとつのコンサートのかたちです。サービス精神に付随しただけのフィルムコンサートとは一線を画するもの、Concert for Film & Music です。

Info. 2018/11/04 《速報》「久石譲 シンフォニック・コンサート スタジオジブリ宮崎駿作品演奏会」(ニューヨーク) プログラム より抜粋)

 

 

 

 

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“Blog. 「久石譲 in パリ」に想う ~風の生まれる音~” への2件の返信

  1. 개막전의 음악 들어보고 싶네요! 언젠간 한국에서도 지브리 콘서트를 희망합니다!

    1. ジブリ美術館BGMはとても素晴らしいです♪
      ぜひ日本でも韓国でもジブリコンサート開催されるといいですね!

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