Blog. 「真正面から取り組んだ『もののけ姫』」 久石譲 TVインタビュー

Posted on 2013/12/4

平成10年3月6日 NHK 「トップランナー」に久石譲がTV出演したときのインタビューを文字にまとめた書籍を見ていました。

今から15年前ですから、久石譲のお仕事としては、「長野パラリンピック冬季大会 総合プロデューサー」や、宮崎駿監督作品 映画「もののけ姫」、北野武監督作品 映画「HANA-BI」などの時代です。大きくこのあたりの3つの仕事を軸に当時のインタビューなのですが、「もののけ姫」の話は興味深いものがありました。

1984年「風の谷のナウシカ」以来、宮崎駿監督作品の音楽を手がけてきたなか、1992年「紅の豚」から5年ぶりの作品となったのが1997年「もののけ姫」です。「もののけ姫」では、わずか1分半の曲に2週間を費やすほど音づくりに悩むことがあったんだそうです。

 

久石譲の「NHK トップランナー」TV出演の約半年前に同番組に登場した宮崎駿監督は、映画「もののけ姫」の音楽に関して、こう語っていたことが紹介されています。

「久石さんも本当に今度はよくやったと思います。いや、これは宣伝のために言うんじゃないんです。今まで僕はエンディングにはいつも絵を入れていたんですけど、今回の内容は絵を入れたくないなと思ったもんですから、『もののけ姫』のエンディングは幕にただローリングで字がぞろぞろ並ぶんですね。そこに音楽が、米良さんの歌がもう一回きちんと入って、それから久石さんのメインテーマが流れるんです。これはやっぱりきちんと聴くに値する音楽になったなと思いますね。ですから、名前なんか見なくてもいいですから(笑)、目をつぶっていただいてもけっこうですから、その音楽だけはそのまま座って聴いて欲しいなと。これは本当にそう思います。こんなことを言うと怒られますけど(笑)、ちょっと僕は久石さんを見直したって感じがあるんです。」

 

なんとも映画音楽を讃える言葉としては、本当にうれしいですよね。監督自らですから。

そしてこの「もののけ姫」の製作段階から、宮崎駿監督の作品に対する熱意に圧倒され、”もう逃げ道はない 本当に正面から取り組んだ”と久石譲は語っています。これは誤解のないように、普段はあえて引いたスタンスのほうが気負いなくいい仕事ができる場合が多いなか、「もののけ姫」に関しては一気にその熱意に巻き込まれてしまった、ということだそうです。

 

そういえば、ほかにもこの番組内で、久石譲の音楽的ルーツとも言える、現代音楽に没頭していた時期や、ミニマル・ミュージックについても語られています。今でこそミニマル・ミュージックはとてもいろんな音楽に浸透していて、久石譲だけでなく、その他作曲家や、POPSのアレンジの中にも取り入れられています。この当時はまだ新鮮でしたね。

ミニマル・ミュージックとは、1964年にアメリカから始まった現代音楽で不協和音を鳴らす音楽フィールドの中でも、一番前衛の手法として始まったもので、短いフレーズやリズムをわずかに変化させながら、繰り返し演奏する反復音楽です。

その現代音楽のフィールドから、ポップスやCM音楽などのエンターテインメント音楽に移ってからまもなく「風の谷のナウシカ」の運命的な宮崎駿 x 久石譲 コンビが誕生するわけですが。

それでも、「風の谷のナウシカ」の劇中音楽もミニマル・ミュージックが色濃く反映されていますし、当時久石譲が手がけた高級車や化粧品のCM音楽では、ミニマルの手法が持ち込まれています。おそらくミニマル・ミュージックを導入することで、商品やCMの高級感を演出する手法は、久石譲が最初だったと思います。

その当時のCM音楽をコンパイルした作品が「CURVED MUSIC」です。

 

ちょっと話がそれてしまいました。

映画「もののけ姫」公開当時は、『今回もいい音楽だな~』なんてのんきに聴いていたのですが、この「もののけ姫」の映画音楽が、久石譲の分岐点になったと言われる方は、ちらほらいらっしゃるようなんです。そんなことを目にしたり耳にしたことが過去に数回あります。

そしてちょうど今日、12月4日、
映画「もののけ姫」待望のブルーレイDVD発売です。

これを機会にまた「もののけ姫」の映画と音楽を、堪能してみたいと思います。

 

related page:

 

NHKトップランナー 久石譲

 

カテゴリーBlog

コメントする/To Comment