Disc. Akiko 『Sweet Christmas』【11/13 update!!】

1995年11月1日 CDS発売 TFCC-88322

 

「Sweet Christmas  ~Christmas is My Favorite Time Of Year~」
MUSIC BY ROGER NICHOLS
LYRICS BY TERRI NICHOLS, SHEILA O’CONNELL-ROUSSELL, ROGER NICHOLS

 

久石譲が編曲を手がけている(1曲目)。またピアノ演奏もしている。レコーディングは楽器ごとに日本やロンドン・アビーロードスタジオで行われている。ストリングスを奏でているのはロンドンフィルハーモニー。

久石譲作曲ではないものの、随所に久石サウンドや旋律を聴くことができる名曲である。

コンサートでは1995年「久石譲 Piano Live Vol.1」にてAkiko本人による歌唱、2005年「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ 12月の恋人たち」のアンコールで披露されている。

 

 

なお、EP盤もリリースされていて、こちらには mix versionが2曲多く収録されている。

 

(EPジャケット / EP盤)

 

 

2020.11.1 追記

Happy 25th Anniversary!🥳
“SWEET CHRISTMAS”🎄
November 1, 1995

Written by ROGER NICHOLS
Produced, Arrangements by
JOE HISAISHI

Performance by
LONDON PHILHARMONIC ORCHESTRA
At ABBEY ROAD Studios, London U.K.

プロデュース&オーケストラアレンジメントは久石譲さんです。
カーペンターズやフリーソウルのロジャーニコルスの書き下ろしです。

PV(プロモビデオ)はシナリオ仕立てになっていて
秋元康さんが台本を書いてくださりました。

久石さんきっての希望で
美しいストリング演奏を録音するにはロンドンフィルなんだ!
と言ってくださり、
一緒にイギリス🇬🇧
アビーロードStudios, Londonにレコーディング行ってきました。

ゴージャスで美しい生演奏は
ロンドンフィルハーモニックオーケストラ。
目の前で聴きました。
涙が出たのを覚えています。

こんな貴重な経験を久石譲さんとご一緒させて頂き、そして何よりもこの曲をご提案くださった、トイズファクトリーの稲葉社長に心から感謝しております。

皆様に聴いて頂けます様に。。

from akiko official instagram
https://www.instagram.com/p/CHB2CHepPuw/

 

 

 

2024.11.13 追記

2024 Remastered 配信リリース

1. Sweet Christmas ~Christmas Is My Favorite Time Of Year~ (2024 Remastered)
2. Sweet Christmas (Jingle Jungle Mix / 2024 Remastered)
3. Sweet Christmas (Strictly Reggae Mix / 2024 Remastered)

 

 

 

1.Sweet Christmas
2.Sweet Christmas (Jingle Jungle Mix)
3.Sweet Christmas (Strictly Reggae Mix)

 

Disc. 久石譲指揮 フューチャー・オーケストラ・クラシックス『シューベルト:交響曲 第7番「未完成」&第8番「ザ・グレイト」』

2024年7月24日 CD発売 OVCL-00850

 

リズムとカンタービレの共存。爽快なシューベルト!

久石譲とFOCによるベートーヴェンとブラームスの交響曲全集は、リズムが際立つタイトで生き生きとした音楽がインパクトと反響を呼びました。当盤では切れ味の鋭いリズム、明瞭なハーモニーは推進力にあふれ、シューベルトの美しい旋律が流麗に歌い上げられます。日本の若手トッププレーヤーが集結したFOCによる、未来へ向かう音楽を、どうぞお楽しみください。

(CD帯より)

 

 

CDに寄せて

柴田克彦

久石譲は、2016年フューチャー・オーケストラ・クラシックス(FOC。当初はナガノ・チェンバー・オーケストラ)のベートーヴェン交響曲全曲演奏の開始時に、「作曲当時の小回りが効く編成で、現代的なリズムを活用した、ロックのようなベートーヴェン」、「巨大なオーケストラが戦艦やダンプカーだとすれば、こちらはモーターボートやスポーツカー」、「クラシック音楽もup to dateで進化するもの。必然的に現代における演奏があり、さらに未来へ向かって変わっていくべきだ」とのコンセプトを語っていた。その結果生まれたタイトで生気溢れる音楽は、絶大なインパクトを与えた。

2020年、次に挑んだのがブラームスの交響曲全曲演奏。ここでは、「基本コンセプトは同じ」としながらも、「ブラームスのリズムは重く、ベートーヴェンとは性格が違う」「必ず歌う」と語っていた。そして、造形美とロマンが共存した従来にはない演奏を実現させた。

本作は、久石&FOCがこれらに続いて2023年に取り組んだシューベルトの「未完成」&「ザ・グレイト」交響曲とアンコールの「ロザムンデ」間奏曲第3番のライヴ録音である。ここでは、「ソリッドでスポーツカーのような」、それでいて「しなやかな歌に溢れた」シューベルト演奏が展開されている。

シューベルトといえば”歌”である。従ってブラームス演奏の経験値も生きる。だが時代的にはベートーヴェンにグンと近い(ほぼ同時代だ)。今回の演奏は、これまで通りテンポが速く、響きもタイトで推進力に溢れている。そしてここでは、ベートーヴェンの際に久石が話していた2つの要素が重要なカギを握っている。

1つはダイナミクスだ。久石は「ベートーヴェンの凄さのシンプルな例は、mpとmfが一切ないこと。なのでp=弱く、f=強くと単純に考えてはいけない。pとfの表現は通常のmp,mfに近いので、状況によって弾き分け、ppとffは明確に表現する必要がある」と語っていたが、シューベルトも同様で、mpとmfがほぼ出てこない。よって今回その変化の細やかさが、新鮮なダイナミズムをもたらしている。

もう1つはリズム=拍子。ベートーヴェンの際の「1拍子がとても多い。例えば7番と第3楽章や9番の第2楽章。こうした場合、3拍子の表記を1拍子にグルーピングしなくてはいけない」との言葉が、ここでも生かされている。明確なのは、「未完成」の第2楽章、「ザ・グレイト」の第3、4楽章だが、全体にこれが基本的な方向性だ。従って、テンポが速いだけでなく、リズムが明解で自然な躍動感に富んでいる。

「未完成」の第1楽章から快速テンポで刻みも明確。各旋律もそれに乗って歌われる。第2楽章は3/8拍子の1小節が1拍の1拍子。ここはアンダンテ「コン・モート=動きをもって」でもあるので、弛緩しない歌が爽快に続いていく。

「ザ・グレイト」の第1楽章の序奏は、2/2拍子の1拍がアンダンテでかなり速く進む。これはピリオド勢の台頭以降ままある形だが、特筆すべきは流麗さと各声部の見通しの良さだ。これにはモダン楽器のメリットが生かされてもいる。主部は無闇に速すぎないテンポで進行する。ここはアレグロ「ノン・トロッポ=はなはだしくなく」ゆえに、序奏との差は少なくて当然だ。第2楽章はやはりアンダンテ「コン・モート」。連綿と歌い上げられるのではなく、刻まれるリズムに即応しての歌が続く。第3楽章は「1拍子」が真価を発揮した軽やかなスケルツォ。第4楽章は旋律やリズムの執拗な反復が生気を保ちながら変幻していく。また、時に冗長な第3、第4楽章のリピートも、繰り返しが生み出す夢幻の推進力に繋がっている。

「ザ・グレイト」はベートーヴェンの交響曲第7番同様に”リズムとカンタービレの共存”が図られた音楽なのだ。本盤の演奏はそのことを明解に伝えてくれる。

これは「慣例的な表現を排した」清新なシューベルトだ。それは同時に「現代における必然的な演奏」であり「未来へ向かう演奏」でもある。

(しばた・かつひこ)

(CDライナーノーツより)

 

 

曲目解説
寺西基之

シューベルト:交響曲 第7番 ロ短調 D.759《未完成》

生涯通してウィーンを本拠に活動したフランツ・ペーター・シューベルト(1797ー1828)は早くから楽才を発揮し、少年期から交響曲を手掛けている。それらの初期の交響曲では、伝統的な交響曲の様式と自らのロマン的な資質をどう結び付けるかについて様々な可能性を探っていることが窺えるが、このCDで演奏されている後期の2つの交響曲 第7番ロ短調と第8番ハ長調(かつてはそれぞれ第8番・第9番と呼ばれていたが、作品目録改訂版で番号が繰り上げられた)においては、もはや伝統的な交響曲のあり方にこだわらない、情感の広がりに重点を置いた彼独自の様式を打ち立てることになる。

とはいえその第1曲目のロ短調交響曲は2つの楽章しか仕上げられなかった未完の作である。シューベルトは第3楽章の初めの部分で作曲を打ち切った。その理由は不明だが、彼自身到達した新たなロマン的な交響曲様式を実際の作品としてどう纏めるかという点でまだ迷うところがあったのかもしれないし、この交響曲を作曲中の1822年12月に梅毒にかかっていることが判明し、身体と精神の両面で危機に陥ったことが関係しているのかもしれない。もっともシューベルトが作品を作曲中途で止めることは以前にもよくあったことで、未完で放置された作品が彼の場合特別な例ではなかったという点は留意したい。いずれにせよ2楽章までの自筆譜はその後友人のヨーゼフ・ヒュッテンブレンナーに手渡され、彼の机の中で世に知られず眠ることとなる。やっとシューベルト死後37年経た1865年ンに指揮者ヨハン・ヘルベックがこの作品の存在を知り、同年12月17日ウィーンにおいてヘルベックの指揮で初演が行われ、以後この曲は未完の”完結した”作品として親しまれるようになった。シューベルトのそれまでの交響曲には見られない、夢の世界をさ迷うようなロマン的特質を持った作品で、彼の後期の作風が如実に示された傑作となっている。

第1楽章(アレグロ・モデラート)はソナタ形式で、低く不気味に示される8小節の序奏主題が楽章全体の重要な要素となり、悲劇的な暗さとロマン的詩情の交錯のうちに発展、展開部では激情的な高まりを築く。第2楽章(アンダンテ・コン・モート)はホ長調の夢見るような緩徐楽章だが、一見平安な叙情美の裏に不安定に移ろう情緒が漂っている。

 

シューベルト:交響曲 第8番 ハ長調 D.944《ザ・グレイト》

《未完成》交響曲で自らの資質を生かした独自の交響曲様式を見出したシューベルトは、このハ長調交響曲でそれを初めて完全な作品として示すこととなる。かつてないロマン的な気宇壮大な広がりを持ったこの交響曲を聴いたシューマンは「天国的な長さ」と評しているが、並列的ともいえる独自の構成法ー主題や動機の執拗な反復、和声の色合いの変移による気分の変転や突然の飛躍ーで情感の移ろいを表現するその書法は、古典派の交響曲とは異なり、まさにロマン的と呼ぶにふさわしいものといえるだろう。

長らくこのハ長調交響曲は1828年(すなわち死の年)に短期間で書かれたと思われていた。しかし近年の研究では1825年に着手され、1826年に完成されたことが判明している。シューベルトはウィーン楽友協会にこの作品を献呈したいと打診し、協会側もこれを受け入れた。しかし私的な試演でこの作品のあまりの長さと独特のスタイルが問題となったのか、予定されていた初演は中止となり、作品はシューベルトの兄フェルディナントに渡されたままお蔵入りになってしまう。

この交響曲が日の目をみたのは作曲者死後11年経った1839年のことだった。この年の元日、フェルディナントの家を訪れたシューマンがこの交響曲の自筆譜を発見し、ただちにライプツィヒのゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者だった親友のメンデルスゾーンに連絡をとった。そして同年3月21日にゲヴァントハウスの演奏会において、メンデルスゾーンの指揮によってようやくこの大作は初演されたのである。

第1楽章(アンダンテ~アレグロ・マ・ノン・トロッポ)は、2本のホルンの朗々たる旋律に始まる充実した序奏の後、ソナタ形式の主部となる。勢いある第1主題、木管に示される軽快な第2主題、トロンボーンに厳かに示される第3主題と、性格の異なる主題部が並列され、展開部では様々な情感の移ろいをみせる。第2楽章(アンダンテ・コン・モート)はイ短調による叙情的な緩徐楽章。オーボエに示される哀愁漂う主要主題とロマン的な憧憬の気分に満ちた副主題が交替する。第3楽章(スケルツォ、アレグロ・ヴィヴァーチェ)は躍動感溢れる堂々たるスケルツォ。のどかな牧歌的な主題によるトリオが挟まれる。第4楽章(アレグロ・ヴィヴァーチェ)は力感に満ちた第1主題と管楽器に歌われる第2主題を持つソナタ形式で、展開部ではベートーヴェンの第9交響曲の”歓喜の歌”の引用とおぼしき新主題も現れる。一定の動機やリズムを執拗に繰り返す独特の原理が生かされた大規模なフィナーレである。

 

シューベルト:劇音楽《キプロスの女王ロザムンデ》D.797より 第5曲 “間奏曲 第3番”

シューベルトは1823年にヘルミナ・フォン・シェジーの劇《キプロスの女王ロザムンデ》のための劇付随音楽を作曲した。これは1823年12月に上演されたが、シェジーの劇は内容の拙さゆえに完全な失敗に終わってしまう。しかしシューベルトの音楽は評価され、今日まで頻繁に演奏会で取り上げられてきた。

その中の”間奏曲 第3番”は第3幕と第4幕の間に置かれた曲で、この劇音楽の中でも”バレエ音楽第2番”とともにとりわけ親しまれている名品である。変ロ長調、アンダンティーノ、優美で穏やかな主要主題の間にやや動きのある短調の副主題が挟まれる。シューベルト自身この曲の主要主題を気に入っていたのか、のちに弦楽四重奏曲第13番イ短調Op.29/D.804(1824年)の第2楽章やピアノのための即興曲集Op.142/D.935(1827年)の第3曲変ロ長調に引用している。

(てらにし・もとゆき)

(CDライナーノーツより)

 

*ライナーノーツは全文とも日本文・英文にて収載

 

 

 

フューチャー・オーケストラ・クラシックス
Future Orchestra Classics(FOC)

2019年に久石譲の呼び掛けのもと新たな名称で再スタートを切ったオーケストラ。2016年から長野市芸術館を本拠地として活動していた元ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)を母体とし、国内外で活躍する若手トップクラスの演奏家たちが集結。作曲家・久石譲ならではの視点で分析したリズムを重視した演奏は、推進力と活力に溢れ、革新的なアプローチでクラシック音楽を現代に蘇らせる。久石作品を含む「現代の音楽」を織り交ぜたプログラムが好評を博している。2016年から3年をかけ、ベートーヴェンの交響曲全曲演奏に取り組んだ。久石がプロデュースする「MUSIC FUTURE」のコンセプトを取り込み、日本から世界へ発信するオーケストラとしての展開を目指している。

(CDライナーノーツより)

 

 

シューベルト(1797-1828)
交響曲 第7番 ロ短調 D759「未完成」

1. 1 Allegro moderato
2. 2 Andante con moto

交響曲 第8番 ハ長調 D944「ザ・グレイト」

3. 1 Andante – Allegro ma non troppo
4. 2 Andante con moto
5. 3 Scherzo: Allegro vivace
6. 4 Finale: Allegro Vivace

7. 劇音楽「キプロスの女王ロザムンデ」D797より 間奏曲 第3番

久石譲(指揮)
フューチャー・オーケストラ・クラシックス

2023年7月5日 東京オペラシティ コンサートホール、7月6日 長野市芸術館メインホールにてライヴ収録

高音質 DSD11.2MHz録音 [Hybrid Layer Disc]

 

Disc. 『君たちはどう生きるか』

2024年7月3日 発売
DVD VWDZ7535
Blu-ray VWBS7535
4K UHD VWBS7536

 

2023年公開映画『君たちはどう生きるか』

 

内容紹介
世界中で大ヒット、待望の劇場最新作
宮崎駿監督が描く黙示録

◆あれから10年 
 待望の劇場最新作、宮崎駿監督が描く黙示録

●豪華キャスト&アニメーション最高峰のスタッフが集結。
●「映画の原点に帰りたかった」  プロデューサー・鈴木敏夫
 → “宣伝をしない”宣伝により、期待感を醸成しエンターテイメントの話題を席巻。

◆世界中で大ヒット!数々の賞を獲得、日本アニメーション史上初の快挙!!
●米英アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞受賞。
→第96回米国アカデミー賞® 長編アニメーション映画部門賞 受賞!
→第77回英国アカデミー賞 アニメーション映画賞 受賞!
→第81回ゴールデン・グローブ賞 アニメーション映画賞 受賞!

●日本:93億円突破、約626万人を動員。(2024/4/3現在)

●北米:23年12月8日に北米の2205館で公開され、初登場第1位を記録。スタジオジブリ作品の興収で過去最高記録を更新。
●フランス、イギリス、韓国、台湾ほか、劇場公開された国々で大ヒット。
●中国:24年4月3日に公開。オープニング興収・約21億円と中国における日本製アニメーションの記録を更新。
(2024/4/3現在)

◆豊富な商品ラインナップ!
●「DVD」、「ブルーレイ」、スタジオジブリ作品初となる「4K UHD」を発売。

◆豪華なコンテンツを収録!
●豪華ハリウッドスターによる英語吹替版を収録。
【英語吹替版キャスト】 眞人:ルカ・パドヴァン/青サギ:ロバート・パティンソン/キリコ:フローレンス・ピュー/
ヒミ:カレン・フクハラ/夏子:ジェンマ・チャン/勝一:クリスチャン・ベール/
老ペリカン:ウィレム・デフォー/インコ大王:デイブ・バウティスタ/大伯父:マーク・ハミル
●ブルーレイには多言語の字幕・音声を収録。
●絵コンテ全編収録。
●4K UHDはドルビービジョン、ドルビーアトモスを採用。

<キャスト>
眞人:山時聡真
青サギ/サギ男:菅田将暉
キリコ:柴咲コウ
ヒミ:あいみょん
夏子:木村佳乃
勝一:木村拓哉
いずみ:竹下景子
うたこ:風吹ジュン
えりこ:阿川佐和子
ワラワラ:滝沢カレン
あいこ:大竹しのぶ
インコ大王:國村 隼
老ペリカン:小林 薫
大伯父:火野正平

<スタッフ>
原作・脚本・監督:宮崎 駿
プロデューサー:鈴木敏夫
制作:星野康二、宮崎吾朗、中島清文
作画監督:本田 雄
美術監督:武重洋二
色彩設計:沼畑富美子、高柳加奈子
撮影監督:奥井 敦
音楽:久石 譲

主題歌「地球儀」
作詞・作曲・歌:米津玄師(Sony Music Labels Inc.)

制作:スタジオジブリ

© 2023 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli

※収録内容は変更となる場合がございます。

 

<映像特典>
■アフレコ台本 *ブルーレイ
■絵コンテ(本編映像とのピクチャー・イン・ピクチャー)約124分
■「地球儀」MV 約5分
■久石 譲 インタビュー 約10分
■予告編集 約9分
-北米版予告編
-フランス版予告編
-ドイツ版予告編
-スペイン版予告編
-韓国版予告編
-台湾版予告編
■SNSプロモーション用ショートムービー 約3分
-本田 雄 編
-山下明彦 編
-濱田高行 編
-井上俊之 編

 

 

[DVD] 君たちはどう生きるか
発売日:2024/07/03
商品内容:本編ディスク+特典ディスク(2枚組)
価格:5,170円(税込)

 

[Blu-ray Disc] 君たちはどう生きるか
発売日:2024/07/03
商品内容:ブルーレイ 1枚、特殊パッケージ仕様
価格:7,480円(税込)

 

[4K UHD] 君たちはどう生きるか
発売日:2024/07/03
商品内容:4K UHD 1枚、ブルーレイ 1枚、特殊パッケージ仕様
価格:11,880円(税込)

 

 

 

映像特典に収録された久石譲インタビュー(約10分)は、2024年1月30日に米アカデミー賞公式チャンネルにて動画公開されたものと同じ。(2024年7月3日現在 公開中)

 

詳細や動画よりテキスト化したものは下記にまとめている。

 

 

 

 

 

 

 

Disc. 久石譲 『JOE HISAISHI IN VIENNA』

2024年6月28日 CD発売 UMCK-1762
2024年6月28日 LP発売 UMJK-9131/2

(世界同日リリース/日本盤のみ記載)

 

 

クラシック名門レーベル、ドイツ・グラモフォンからの第二弾アルバム!

久石譲の研ぎ澄まされた技巧と感性に焦点を当てた自作曲集。世界的名手、アントワン・タメスティ&ウィーン交響楽団との渾身の録音。

(CDカバーより)

 

 

久石譲のドイツ・グラモフォン第2弾アルバムは、クラシック作曲家及び指揮者としての研ぎ澄まされた技巧と感性に焦点を当てたクラシック作品集。

2021年に京都で初演された「Symphony No. 2」は本人指揮によりウィーン交響楽団とウィーン楽友協会で世界初録音。そしてこちらも世界初録音となる「Viola Saga」は著名なヴィオラ・ソリスト、アントワン・タメスティをフィーチャー。今作のリード・トラックでもあり、2022年の日本での初演時から評価の高い楽曲となっている。

演奏
久石譲(指揮)
ウィーン交響楽団(オーケストラ)
アントワン・タメスティ(ヴィオラ)※Track 4,5

録音
Track 1-3: 2023年3月 ウィーン楽友協会
Track 4-5: 2023年9月 ウィーン・コンツェルトハウス

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

 

ブックレット

2023年3月30日、久石譲はいつものように満面の笑みを浮かべながら、ウィーンの名高い楽友協会大ホールにて開催されたコンサート・シリーズ「Cinema:Sound」第1回目の舞台にウィーン交響楽団を率いて登場した。日本の長野県で1950年に誕生した藤澤守は、クインシー・ジョーンズへのオマージュとして自身のアーティスト名を日本語表記で「久石譲」という漢字に当てていることで知られている。久石は、東京を拠点とする著名なアニメーション製作会社、スタジオ・ジブリのために書いた原曲の指揮をピアノ演奏をこのウィーンのコンサートで予定していた。スタジオ・ジブリは、偉大な作家(ストーリーテラー)である宮崎駿によって1985年に設立。『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』、『ハウルの動く城』等の最も印象的な宮崎映画の多くには、2023年当時72歳の久石が1970年代初頭以降手がけてきた通算100以上の作品の一部が含まれている。

だが、この公演は、自身の新作「Symphony No.2」の初演で幕を開けた。こうして指揮台でスポットライトを浴びる彼にとって、これはとりわけ重要な機会だった。つまり、ベートーヴェン、モーツァルト、そして(以前マーラーの別荘の複製(レプリカ)を建てたほどまでに)彼が心から敬愛する作曲家のマーラー等がかつてステージに立った楽友協会大ホールに久石が今回初めて足を踏み入れただけではなく、この時は、彼にとって初の「音楽の都」への訪問でもあった。彼はリハーサルの合間にウィーンの街並みを散策し、その驚嘆すべき文化的歴史のみならず、魔法にかかったような(マジカル)な雰囲気に刺激を受けたのである。当然、久石のこれまでの輝かしいキャリアにおいて、このコンサートが重要な節目となることは明らかだった。だが、それ以上に、彼の最高傑作のひとつであるこの作品を初披露するにあたり、ウィーンはまさに相応しい場所だった。

映画音楽は、偏見を持つ人たちから芸術性の低いものとして過小評価されることもあり、久石は、しばしば曖昧な含みを持ってジョン・ウィリアムズやハンス・ジマーと比較されてきた。その夜、多くの聴衆は、例えば初期の(北野監督作品への提供)曲が盛り込まれた「Mládí for Piano and Strings」に惹かれて会場に足を運んだことは間違いない。それにもかかわらず、「Symphony No.2」は聴衆にとって強力な新発見となった。以前から、久石は常に複数の音楽ジャンルに興味を搔き立てられており、彼の想像力(イマジネーション)が最も奔放に発揮されるのは、映画という課せられた構造から解放されたクラシック作品である。とはいえ、西洋の伝統的な交響曲やジャズ、そして特にイエロー・マジック・オーケストラのような電子音楽(エレクトロニカ)同様に、母国の豊かな音楽遺産からインスピレーションを見出した一方で、久石に最も音楽的影響を与えたのは、彼が傾倒してきたフィリップ・グラス、テリー・ライリー、スティーヴ・ライヒの音列主義(セリエル音楽)だろう。

必然的に、映画以外の久石作品では常にこのようなミニマリズム的傾向があるが、この「Symphony No.2」は元々のその(ミニマルな)傾向よりも遥かに複雑である。彼の映画音楽による贅沢なオーケストラ演奏と、主要なインスピレーション源であるリズミカルで明確な規律との間の隔たり(ギャップ)を埋めるこの曲は、強烈であると同時に親密で、大胆にもドラマティックであると同時に仄かに反復的でもある。この組み合わせによる累積的かつ潜在意識的な効果は唯一無二のものであり、疑いなく素晴らしい。久石は、広大なダイナミック・レンジと、堂々たるパーカッシブな楽器群と同様に重要な金管(ブラス)、弦(ストリングス)、管(ウィンド)等の幅広い楽器を生かすことにも喜びを感じているだろう。とはいうものの、想像力に富んだこの作品を通して、彼は「音楽が自然の法則と摂理に可能な限り近づくことに願いを込めて作曲する」という、自身の非凡な哲学に忠実であり続けている。

このウィーンでの演奏内容があまりにスリルに富んでいたため、新曲収録アルバムを初めてドイツ・グラモフォンに提供するにあたり、久石は「Symphony No.2」をスタジオ録音ではなく、大成功を収めた楽友協会での夜に収録した録音(テープ)を使うことにした。そして、その数ヵ月後、「Symphony No.2」と共にアルバムに収録される新曲のために彼はウィーンを再訪し、この地を象徴するもう一つの会場であるコンツェルトハウスにて、ソリストのアントワン・タメスティ、そして再びウィーン交響楽団と共演した。彼にとっては、自身のウィーン初訪問を際立たせたこの街の精神(スピリット)を再現することが重要であったのだ。同海上は聴衆不在だったが、彼らは一丸となり、もうひとつの新曲「Viola Saga」を演奏した。

人間の声に似ているという彼の考えに基づいて選ばれた、これまで十分に活用されていなかった楽器(ヴィオラ)のために協奏曲(コンチェルト)を書くことは、久石の長年の目標(ゴール)だった。この協奏曲は、繊細な冒頭から軽快な足取りで度々驚くべき方向へと踊り、その感情的(エモーショナル)な迫力は、その主題(テーマ)の豊かな反復と同様に力強い。マイケル・ナイマン風のエネルギッシュな音質がとりわけロマンティックな経過句(パッセージ)に貢献している中盤では、それがまさに表れている。しかし、久石の作品は、常に、こういったひとつひとつの要素を単に足し合わせたものではない。この協奏曲は瞑想的かつ厳粛でもあり、クライマックスを飾る最後の数分では心を打つような洗練さを描き出すというように、総合的魅力を堪能できるのである。

「Symphony No.2」同様に「Viola Saga」も、この最も独創的で多才な作曲家による名作である。中には、史上最高の久石作品と示唆する人さえいることだろう。オーストリアの首都を巡り歩き、伝説的な建造物に驚嘆し、この街の輝かしい過去を大いに堪能したこの静かな語り口の紳士は、彼に贈られる惜しみない賛辞に対しては、その唯一無二の愛すべき微笑みを嬉しそうに浮かべながら、もちろん謙遜することだろう。だが、たとえ彼が自身に贈られた賛辞を控えめに否定したとしても、『Joe Hisaishi in Vienna』は、この日本人作曲家が、ウィーンの偉大な作曲家たちの足跡を辿る者に与えられる喝采に値する人物であることを証明している。

2024年 ベルリンにて
ウィンダム・ウォレス

(翻訳:湯山惠子)

 

 

 

CDブックレットはインターナショナル盤(世界共通盤)をベーシックとする英文によるもの。日本国内盤は、加えて日本語翻訳ブックレットが封入されている。世界各国盤も同様の仕様をとって流通すると思われる。ブックレットに久石譲バイオグラフィやプログラムノートは収載されていない。

 

 

 

About “Symphony No.2”

Symphony No.2  (World Premiere)
2020年9月にパリとストラスブールで初演し、その後世界各地で演奏する予定だったが、パリは2022年4月、その他の都市も2022年以降に延期された。僕としては出来上がった曲の演奏を来年まで待てないので今回W.D.O.で世界初演することに決めた。

2020年の4~5月にかけて、東京から離れた仕事場で一気に作曲し、大方のオーケストレーションも施した。が、コンサートが延期になり香港映画などで忙しくなったこともあり、そのまま今日まで放置していた。当初は全4楽章を想定していたが、3楽章で完結していることを今回の仕上げの作業中に確信した。

この時期だからこそ重くないものを書きたかった。つまり純粋に音の運動性を追求する楽曲を目指した。36分くらいの作品になった。

Mov.1  What the world is now?
チェロより始まるフレーズが全体の単一モチーフであり、それのヴァリエーションによって構成した。またリズムの変化が音楽の表情を変える大きな要素でもある。

Mov.2  Variation 14
「Variation 14」として昨年のMUSIC FUTURE Vol.7において小編成で演奏した。テーマと14のヴァリエーション、それとコーダでできている。とてもリズミックな楽曲に仕上がった。ネット配信で観た海外の音楽関係者からも好評を得た。

Mov.3  Nursery rhyme
日本のわらべ歌をもとにミニマル的アプローチでどこまでシンフォニックになるかの実験作である。途中から変拍子のアップテンポになるがここもわらべ歌のヴァリエーションでできている。より日本的であることがむしろグローバルである!そんなことを意識して作曲した。約15分かかる大掛かりな曲になった。

(「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサート・パンフレット より)

 

 

作品レビュー

Mov.1  What the world is now?
荘厳な導入部です。上から下へ連なる2音がくり返す弦楽は、古典クラシック作品にもみられる崇高さあります。最小に切りつめられたモチーフが、ヴァリエーション(変奏)で展開していきます。中間部や終部に聴かれるパーカッションの炸裂も強烈です。急降下する旋律、下からせり上がってくる旋律、うねり旋回する旋律、それらの合間にアタックする最強音たち。単一モチーフ[レ・ファ・ド](D-F-C)および[レ・ファ・ド・ミ](D-F-C-E)の旋律とそこからくるハーモニーは、第3楽章の構成と響きにもつながっていくようです。(つづく)

Mov.2 Variation 14
次の第3楽章とはまた異なる、こちらもわらべ歌のようなテーマ(メロディ)とそのヴァリエーション(変奏)から構成された曲です。メロディがリズミカルになったり、付点リズムになったり、パーカッションや楽器群の出し入れの妙で楽しいリズミックおもちゃ箱のようです。遊び歌のようでもあり、お祭り音頭のようでもあります。日本津々浦々で聴けそうでもあり、海を渡って世界各地の風習や郷愁にもシンパシー感じそうでもあります。子どもたちが集まって遊びのなかで歌う歌、それがわらべ歌です。おはじきのような遊びも、世界各地で石をぶつけて同じように遊ぶものあったり、お祭りのようなリズム感は世界各地の祭事やカーニバルのような躍動感あります。(つづく)

Mov.3 Nursery rhyme
”ミニマル的アプローチでどこまでシンフォニックになるかの実験作である”、久石譲の楽曲解説からです。ここからはテーマ(メロディ)だけに注目して楽章冒頭を紐解いていきます。コントラバス第1群がD音から13小節のテーマを奏します。2巡目以降は12小節のテーマになります。本来は1コーラス=12小節のテーマでできていて、1巡目に1小節分だけ頭に加えているかたちです。「レーレレ/レーレミ、レーレーレー」(13小節版)、「レーレミ、レーレーレー」(12小節版)というように。なぜ、こうしているのかというと、かえるの歌の輪唱とは違うからです。かえるの歌はメロディ1小節ごとに、次の歌い出しが加わっていきますよね。なので、ズレて始まって、そのままズレズレて終わっていきます。

コントラバス第1群が2巡目に入るとき、同じ歌い出しの頭から、コントラバス第2群がA音から13小節のテーマを奏します。同じく2巡目以降は12小節のテーマになります。この手法によってズレていくんです、すごい!12小節のテーマだけなら、同じ歌い出しの頭から次が加わっていくと、メロディをハモるように重なりあってズレることはありません。でも、なんらかの意図と理由で、歌い出しの頭を統一しながらもズラしたい。だからすべて1巡目だけ13小節で、2巡目以降は12小節なんだと思います、すごい!テーマは低音域から高音域へとループしたまま引き継がれていきます。つづけて、チェロはE音から、ヴィオラはC音から、第2ヴァイオリンはG音から、第1ヴァイオリン第1群はB音から、最後に第1ヴァイオリン第2群はD音からと、壮大な太陽系を描くように紡いでいきます。そして全7巡回したころには、壮大なズレによる重厚なうねりを生みだしていることになります。対向配置なので、きれいにコントラバスから第1ヴァイオリンまで時計回りに一周する音響になることにも注目したい。さらに言うと、コントラバス第1群のD音に始まり、最終の第1ヴァイオリン第2群もD音で巡ってくるわけですが、このとき響きが短調ではないと思います。メロディの一音が替わっているからです。あれ? なんで同じD音からなのにヴァイオリンのときは抜けた広がりがあるんだろう、暗いイメージがない。ここからくるようです。(つづく)

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサート・レポート より抜粋)

 

 

「THE EAST LAND SYMPHONY」と「交響曲 第2番」の2作品だけを並べてみても、そこには大きな3つの要素があります。古典のクラシック手法、現代のミニマル手法、そして伝統の日本的なもの。この3つの要素と音楽の三要素(メロディ・ハーモニー・リズム)の壮大なる自乗によって、オリジナル性満ち溢れた久石譲交響曲は君臨しています。これは誰にもマネできるものではありません。《Minima_Rhythm for Symphony》、これこそまさに久石譲にしかつくれない交響曲であり、《総合的な久石譲音楽のかたち》と言うべきものです。

Overtone.第44回 新しいミニマリズムのかたち より抜粋)

 

 

「久石譲:交響曲第2番」第2楽章や第3楽章で《圧縮》《増殖》を聴くことができます。第3楽章「Nursery rhyme」はタイトルとおりわらべ唄のようなモチーフが登場します。フィナーレを迎えるラスト2分は、モチーフが幾重にも圧縮したり伸ばされたりで同時に奏でられいます。2分音符から16分音符まで、まさに上の譜面図のようになっています。もちろんシンプルではありませんから、カノン風に旋律はズレうねり、ピッコロ、オーボエ、トランペットらが掛け合うように装飾的に交錯しています。モチーフの増殖を螺旋のように描きあげながらピークを迎えます。

「久石譲:交響曲第2番」はまだ音源化されていません。そのなかで第2楽章「Variation 14」はアンサンブル版も作られ、こちらはリリースされています。例えば、7分あたりから1分間くらいの箇所は聴きとりやすいです。モチーフを高音ヴァイオリンらが16音符の速いパッセージで繰り返しているとき、低音チェロやトロンボーンらは4分音符に引き伸ばして奏しています。まるでベースラインのようなおもしろさですが同じモチーフです。そこへフルート、オーボエ、クラリネットらがまた、モチーフの素材を部分的にカラフルに奏してます。ここもまた《圧縮》と《増殖》が現れている状態といえます。

「Variation 14」には久石譲が推し進める《単旋律》の手法もあります。同じように低音で比べてみます。わかりやすいところで4分半あたりから1分間くらい、ときおりボンボンと不規則に鳴っているベースのようなパートは《単旋律》の音です。メロディライン(モチーフ)のなかの一音を同じところで同時に瞬間的に鳴らしている、そんな手法です。この楽曲の注目ポイントは、《単旋律》の手法と《圧縮》の手法をスムーズに切り替えながら構成されている妙です。さらにすごい、ラスト1分などは《単旋律》と《圧縮》の手法をミックスさせて繰り広げられています。だから厳密には《単旋律》(ドとかレとか同じ音だけ鳴っている)とは言えないかもしれませんが、それは理屈であってこだわらなくて大丈夫、《単旋律》オンリーもちゃんとやっています。この楽曲は、交響曲第2番第2楽章は、久石譲の近年作曲アプローチから《単旋律》と《圧縮》を昇華させ構築してみせた、すごいかたちなんです!(たぶん)聴くだけでもワクワク楽しい楽曲ですが、その中に技法もいっぱい詰まっているようです。ここだけでずっと話したくなる、またいつか語り合ってみたい。先に進めましょう。(つづく)

Overtone.第93回 メロディの圧縮?増殖? より抜粋)

 

 

 

About “Viola Saga”

久石譲:Viola Saga -for Orchestra-

久石譲(1950-)の《Viola Saga》は下記の作曲者自身の言葉にあるように、2022年10月に紀尾井ホールで開かれた『Music Future vol.9』で初演された作品を、2023年7月に東京オペラシティコンサートホールと長野市芸術館メインホールで開催された『Future Orchestra Classics vol.6』でオーケストラ作品に書き換えて再演したもの。前者の独奏者がナディア・シロタで、後者の独奏者が本日演奏することになったアントワン・タメスティでした。

Viola Sagaは2022年のMusic Future vol.9で初演した作品だが、今回Violaとオーケストラの協奏曲として再構成した。タイトルのSagaは日本語の「性ーさが」をローマ字書きしたもので意味は生まれつきの性質、もって生まれた性分、あるいはならわし、習慣などである。同時に英語読みのSagaは北欧中世の散文による英雄伝説とも言われている。あるいは長編冒険談などの意味もある。仮につけていた名前なのだが、今はこの言葉が良かったと思っている。曲は2つの楽曲でできていて、I.は軽快なリズムによるディベルティメント、II.は分散和音によるややエモーショナルな曲になっている。特にII.はアンコールで演奏できるようなわかりやすい曲を目指して作曲した。が、リズムはかなり複雑で演奏は容易ではない。(久石譲)

(「日本センチュリー交響楽団 第276回定期演奏会 2023年9,10月プログラム冊子」より)

 

 

「もともとオーケストラのなかでもヴィオラというのは目立たないんだけれども、僕はものすごく好きで。一番大きい理由は、人間の声に一番すごく感じがするんです。で、ヴィオラのためのコンチェルトを書きたいなと前から思っていて、それで今回チャレンジしたわけです。それともうひとつは、”Viola Saga”っていうのは、”Saga”というのは北欧系の物語という意味もあるので、一応仮のタイトルで”Viola Saga”と付けたんですが、なんかそれがもうずっと”Viola Saga”って言ってたらそれが普通になっちゃたんでそのままタイトルにしました。」

「”Viola Saga”は第2楽章が先にできたんですね。非常にこうわりとエモーショナルなわかりやすい曲を書こうと思っていて、それが出来たと思ったんですが、それでだいたい10分くらいなので、もう1曲その前にもう少しリズミックなものを書こう思ってこの曲をつくりました。そしたら意外に第1楽章のほうがものすごく難しくなっちゃってて。ヴィオラ奏者にも相当すごい負担がある状態だったんで、最初の演奏会の時は、もうほんとに最後まで曲が止まらないで演奏できたらいいなと思いました(笑)」

Info. 2023/06/30 「久石譲:Viola Saga」 グラモフォン「STAGE+」配信決定!! より一部抜粋)

 

 

 

作品レビュー

冒頭「ドー、ソー、レー、ラー、シ♭ーラシ♭ソー」と始まります。2オクターブにまたがる広い音域のモチーフです。実はこの最初の「ド、ソ、レ、ラ」はヴィオラの開放弦です。4本張られた弦の指を押さえない状態で鳴る低音から高音の4つの音。そこへケルティック感のあるハーモニーの重奏になっています。はい、ここだけでももう久石譲楽曲解説にある「Saga、生まれつきの性質、北欧中世の」を見事にクリアしています。すごい!着想もそうだしそれを音楽として魅力的にかたちにしてしまう。(つづく)

Blog. 「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.9」コンサート・レポート より抜粋)

 

 

ヴィオラがここまで主役で大活躍する作品ってそんなにないと思います。しかも、リズム主体でわくわくできてエモーショナルも感じる現代的な作品って、世界中にどのくらいあるんでしょうか。久石譲「コントラバス協奏曲」も、コントラバスってこんなに魅力的なんだと感じさせてくれる作品です。近い将来届けられるだろう「Viola Saga」の録音は、頻繁に聴くだろう自信があります。あわせて室内アンサンブル版も音源化してほしいですね。そうですね、室内アンサンブル版が銀のViola Sagaだとしたら、オーケストラ版は金のViola Saga、そのくらい印象も変わるし、それぞれにらしい輝きを放っている作品です。(つづく)

Blog. 「久石譲指揮 日本センチュリー交響楽団 第276回 定期演奏会」コンサート・レポート より抜粋)

 

 

 

 

リリースを迎えるまでの時系列インフォメーション、先行配信リリース、Music Video、久石譲インタビュー動画、アナログ盤などについてはこちらにまとめている。

 

 

久石譲
JOE HISAISHI IN VIENNA
SYMPHONY NO.2 ・ VIOLA SAGA
ANTOINE TAMESTIT・WIENER SYMPHONIKER

01. Symphony No. 2: I. What the World Is Now?
02. Symphony No. 2: II. Variation 14
03. Symphony No. 2: III. Nursery Rhyme
04. Viola Saga: Movement 1
05. Viola Saga: Movement 2

Total time – 0:59:16

 

All music composed & conducted by Joe Hisaishi

Orchestra: Wiener Symphoniker
Viola on Viola Saga by Antoine Tamestit

Symphony No.2 recorded by Philip Krause (Balance Engineer)
Viola Saga recorded by Stephan Flock (Balance Engineer);
Georg Burdicek (Recording Engineer)
Mixed by Tomoyoshi Ezaki (Octavia Records Inc.)
Mastered by Shigeki Fujino (Universal Music)
Recorded at Musikverein Vienna
Viola Saga recorded at Konzerthaus Vienna
Published by Wonder City Inc.

Executive Producer: Kleopatra Sofroniou
Marketing Manager: Murray Rose
Product Coordination Management: Sarah Reinecke
Creative Production Manager: Oliver Kreyssig
Portrait photo © Lukas Beck
Concert Photo © Andreas Bitesnich
Design: Florian Karg

℗ 2024 UNIVERSAL MUSIC LLC,
in collaboration with Deutsche Grammophon
Artwork © 2024 Deutsche Grammophon GmbH,
Mühlenstraße 25, 10243 Berlin

 

Disc. 久石譲 『人生のメリーゴーランド (ジブリパーク ver.)』 *Unreleased

2024年3月16日 オープン

2022年11月1日開設ジブリパーク、その新エリアがオープン。『魔女の谷』エリアの遊具「メリーゴーランド」で流れる音楽を久石譲が担当している。映画『ハウルの動く城』より「人生のメリーゴーランド」、当施設のための新しい編曲になっている。

 

 

メリーゴーランド

「年に一度、村にやってくる移動遊園地」をイメージした乗り物遊具です。『魔女の宅急便』や『ハウルの動く城』、『もののけ姫』といった作品に登場する乗り物や動物・キャラクターをモチーフに装飾しています。屋根には『ハウルの動く城』のハウルとソフィーの装飾があり、乗車中は特別にアレンジされた同作品の背景音楽「人生のメリーゴーランド」が流れます。

(ジブリパーク公式サイトより)

 

 

約2分半。原曲にもあったアコーディオンやマンドリンを前面に押し出し、手回しオルガンのような音色も追加されている。フル・オーケストラだったオリジナル版から、先の楽器にベースなども加えたアンサンブル編成になっている。小気味よく散りばめられたパーカッション群もチャーミングに効いている。

原曲にはなかった曲想に、イントロとアウトロに回転性を連想させるミニマルなパートを新たに施している。ワクワクちょっとこわい魔法の世界、そんな気持ちのアップダウンまで現わしているようだ。何回聴いても飽きのこない絶妙なアレンジに磨きあげられている。遊具「メリーゴーランド」にふさわしいメルヘンチックとマジカルさで、新たな装いに胸躍るニュー・バージョンとなっている。

未音源化作品。

 

*当ページで「人生のメリーゴーランド (ジブリパーク ver.)」と表記している曲タイトルは任意で仮のもの

 

 

(ジブリパーク公式サイトより)

 

Disc. 久石譲 『Silent Love サイレントラブ オリジナル・サウンドトラック』

2024年1月24日 CD発売 UMCK-1760

 

2024年1月26日公開映画『サイレントラブ』
原案・脚本・監督:内田英治
共同脚本:まなべゆきこ
音楽:久石譲
出演:山田涼介、浜辺美波 ほか

 

 

ただ愛する。この複雑に濁った時代に、透明な純愛をそっとかざす、この冬いちばん切ないラブストーリー。

『ミッドナイトスワン』で世界中の人々の魂を、今も激しく揺さぶり続ける内田英治監督最新作。蒼には新作ごとに全く異なる顔を見せ、その実力をスクリーンに刻みつける山田涼介。今回がラブストーリー映画初主演となる。美夏には他に並ぶ者のない圧倒的な透明感で人々を魅了する浜辺美波。ピアノとガムランボールの音色に導かれ、声を捨てた青年と、光を失った音大生の密やかな情熱が交差する、世界でいちばん静かなラブストーリー。

内田監督が熱望し念願成就した久石譲が、本作のためにオリジナル楽曲を手掛けた。

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

 

発売中のオリジナル・サウンドトラック盤には、ほぼストーリーに沿った順番で収録されているので、映画を観終わった後に(脚本も担当した内田英治監督書き下ろしのノベライズ文庫本などを片手に……)聴くと劇場での感動が鮮やかに甦るはずだ。例えば、[03]“静かな二人”……ステッキを手に独りで歩いてキャンパスに向かう美夏を、初めて蒼が静かに見守りながら密かにガードしつつ送り届ける場面の音楽、[04]“救いの音”…交差点でパニック発作に襲われ立ち尽くす美夏を、蒼がガムランボールの音色で導く場面、[05]“神の手”……美夏が両手で蒼の右手を包みこんで「私にとってあなたの手は神の手、いつもこの手が助けてくれた」と感謝の言葉を口にした時の、[07]“やさしい風の中”……3人で山中湖へドライブに行く車内で、[08]“歪み”……悠真に「君はあいつがどんな奴か知ってるのか? あいつはピアノ科の学生なんかじゃないんだぞ」と迫られ「どんな人でも関係ない、だって彼は神の手を持つ人だから……」と美夏、[09]“雨の中の激情”……美夏「待って! お願い、あおいさん待って……」、[12]“よごれた手”……警察による現場検証シーン、[13]“アクリル越しの二人”……収監場所での面会シーン、[14]“傷だらけの手”……蒼「本当の俺の手はずっと前から汚れていた……」と、どの楽曲もピアノレスなのが印象的。それだけに美夏の鼻歌をモティーフにしたピアノ演奏によるテーマ曲[18]“Silent”が鮮烈に響く。しかも演奏しているのが、今やシーンを超えて人気のピアニスト〈かてぃん〉こと角野隼斗なのも嬉しいサプライズだ。

出典:久石譲が手がけた楽曲で映画「サイレントラブ」の感動が甦る――角野隼斗も参加したサントラ盤 | Mikiki by TOWER RECORDS より抜粋
https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/37062

 

 

 

上映時間約116分、サウンドトラック約31分、久石譲が作曲した劇中音楽は映像の1/4程度となっている。これは、実写映画など現実世界を描いた作品の場合によくにみられる久石譲の傾向のひとつだ。リアリティ重視のものはあえて音楽を少なくしている。また、本作はクラシックのピアノ曲が彩っている。そのため、久石譲はピアノを重要なシーンのその一曲でしか使っていない。またクラシックのメロディと対比するように、メロディを抑えたミニマルの手法に比重を置いている。

サウンドトラックはほぼ本編に沿って収録されている。差異を2点挙げると、「18.Silent」のピアノ曲は、本編では「14.傷だらけの手」「15.蒼」の間で使われている。物語の展開上この位置にあるが、挿入歌に甘んじるのはもったいない、たしかにサウンドトラックではエンディングを飾るにふさわしい。自由に弾いてほしいという久石譲の希望とおり、遊べる中間部では角野隼斗らしい音運びがクラシックとポップスのセンスを行き来して魅了される。もうひとつは、「16.サイレントラブ」は映画本編には使用されていないメインテーマのオーケストラバージョンだ。使用プランがあったかは定かではないが結果的にボーラストラックとして収録が叶った一曲だ。

本作で特徴的なのは2台のハープを使用していることと、久石譲には珍しいエレキギターの音を選んでいることである。エレキギターは、主人公の一人蒼(あおい)を表現している。「1.オープニング」は蒼のテーマをエレキギターで奏している。そして、「2.ふれる」は蒼ともう一人の主人公美夏の出会いのシーンからタイトルバックまで流れている。この曲は、美夏のテーマが流れながら、同時に蒼のテーマが交錯している。どちらもハープの音色だ。注目したいのは、この2つの曲を聴き比べることで見えてくることがある。それは、「2.ふれる」の蒼のテーマはきれいな分散和音になって協和していることだ。美夏を想うときの純粋な人物像が現れている。一方で「1.オープニング」の蒼のテーマはモチーフの一音が不協しているためきれない分散和音になっていないと気づく。蒼の持つ影の部分を現わしている。「4.救いの音」「14.傷だらけの手」などでも二人のテーマの交錯は聴くことができる。

「3.静かな二人」「5.神の手」などは、また違った二人の交流を表現している。4度の心地よいハモリで奏でられるメロディは、二人の静かで親密なやりとりを描いている。上述の二人のテーマの交錯と対比すると、より心も距離も近づいて穏やかで安らいだ二人の心情が伝わってくるようだ。

サウンドトラックだけを聴くとエレキギターの音色が奇異に聴こえるかもしれない。映画を観るといろいろな自然音とも混ざっているのもあり、映像と音楽はうまく馴染んでいるように聴こえる。あるいは、サウンドトラック用のミキシングに際して、あえて違和感を強調するようなボリュームに微調整されているのかもしれない。

 

 

 

 

 

01. オープニング
02. ふれる
03. 静かな二人
04. 救いの音
05. 神の手
06. 戸惑い
07. やさしい風の中
08. 歪み
09. 雨の中の激情
10. 怒り
11. 事件
12. よごれた手
13. アクリル越しの二人
14. 傷だらけの手
15. 蒼
16. サイレントラブ
17. ふれる(再会)
18. Silent

 

Silent Love (Original Motion Picture Soundtrack)

1. Opening
2. Touch
3. The Quiet Two
4. Sound of Salvation
5. Hand of God
6. Confusion
7. In the Gentle Wind
8. Distortion
9. Intense Passion in the Rain
10. Anger
11. Incident
12. Dirty Hands
13. Two People Through Acrylic
14. Scarred Hands
15. Blue
16. Silent Love
17. Touch – Again
18. Silent

 

 

作曲・編曲・プロデュース:久石譲

指揮:久石譲
演奏:Future Film Orchestra
ピアノ:角野隼斗 (Tr.18)

レコーディング・エンジニア:浜田純伸
アシスタント・エンジニア:川村優日、佐藤千恵
マスタリング・エンジニア:藤野成喜(ユニバーサル ミュージック)
オーケストラ・インスペクター:向井航
アーティスト・マネージメント:川本伸治、宮國力
音楽制作:前田泰弘、佐藤蓉子
マネージメント・オフィス:ワンダーシティ
スタジオ・サウンド・シティ、サウンドインスタジオ
A&R:大里和生、松田芳明、笠神摩由子(フジパシフィックミュージック)
Executive Producer:丹羽浩之(フジパシフィックミュージック)

 

 

Disc. V.A. 『スタジオジブリトリビュートアルバム「ジブリをうたう」』

2023年11月1日 CD発売 VICL-65894
2024年1月10日 LP発売 VIJL-60311~60312

 

武部聡志プロデュースによるスタジオジブリ音楽のトリビュートアルバム

日本国内に留まらず、今や世界中を魅了し、世代を超えて愛されるアニメーションを制作し続けるスタジオジブリ。その素晴らしい作品たちには、いつも素晴らしい音楽たちがドラマを彩っていました。映画と共に愛され続ける数多の心に残る名曲たち。音楽プロデューサー武部聡志プロデュースのもと、そんなスタジオジブリ作品の楽曲たちを世代を超えた様々なアーティストたちが新たな解釈でカバーする、スタジオジブリ音楽のトリビュートアルバムが完成。

※宮崎吾朗監督書き下ろしイラストジャケット仕様

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

映画「コクリコ坂から」「アーヤと魔女」では音楽を担当するなどスタジオジブリ作品とも縁の深い、作・編曲家、音楽プロデューサー武部聡志が全面プロデュースする初のスタジオジブリ トリビュートアルバム

 

 

原曲が久石譲曲の映画主題歌/メインテーマは、「01.となりのトトロ」「03.いのちの名前」「04.君をのせて」「06.人生のメリーゴーランド」「11.もののけ姫」の5曲。

 

 

01.となりのトトロ(映画「となりのトトロ」より) / 岸田繁(くるり)
  作詞:宮﨑駿 / 作曲:久石譲 / 編曲:武部聡志 / コーラスアレンジ:岸田繁
02.カントリー・ロード(映画「耳をすませば」より) / 松下洸平
  作詞・作曲:JOHN DENVER、TAFFY NIVERT、BILL DANOFF / 日本語詞:鈴木麻実子(補作:宮﨑駿) / 編曲:武部聡志
03.いのちの名前(映画「千と千尋の神隠し」より) / 幾田りら
  作詞:覚和歌子 / 曲:久石譲 / 編曲:武部聡志
04.君をのせて(映画「天空の城ラピュタ」より) / 家入レオ
  作詞:宮﨑駿 / 作曲:久石譲 / 編曲:武部聡志
05.テルーの唄(映画「ゲド戦記」より) / Little Glee Monster
  作詞:宮崎吾朗 / 作曲:谷山浩子 / 編曲:寺嶋民哉
06.人生のメリーゴーランド(映画「ハウルの動く城」より) / 角野隼斗
  作曲:久石譲 / 編曲:角野隼斗
07.風の谷のナウシカ(映画「風の谷のナウシカ」より) / 玉井詩織(ももいろクローバーZ)
  作詞:松本隆 / 作曲:細野晴臣 / 編曲:武部聡志
08.ルージュの伝言(映画「魔女の宅急便」より) / 木村カエラ
  作詞・作曲:荒井由実 / 編曲:武部聡志
09.ひとりぼっちはやめた(映画「ホーホケキョ となりの山田くん」より) / 満島ひかり
  作詞・作曲:矢野顕子 / 編曲:武部聡志
10.海になれたら(映画「海がきこえる」より) / GReeeeN
  作詞:望月智充 / 作曲:永田茂 / 編曲:武部聡志
11.もののけ姫(映画「もののけ姫」より) / Wakana
  作詞:宮﨑駿 / 作曲:久石譲 / 編曲:武部聡志
12.時には昔の話を(映画「紅の豚」より) / 渋谷龍太(SUPER BEAVER)
  作詞・作曲:加藤登紀子 / 編曲:武部聡志
13.さよならの夏~コクリコ坂から~(映画「コクリコ坂から」より) / 武部聡志
  作詞:万里村ゆき子 / 作曲:坂田晃一 / 編曲:武部聡志

 

Disc. 宮田大 『VOCE -フェイヴァリット・メロディー』

2023年10月25日 CD発売 COCQ-85615

 

その音は聴くものの心を震わせる― 日本を代表するチェロ奏者・宮田大が圧倒的表現で “歌う”新時代の名曲選

日本を代表するチェリストの宮田大。日本人として初めてロストロポーヴィチ国際コンクールで優勝。世界的指揮者・小澤征爾をはじめ、国内外の音楽家から支持を集め、また、クラシック界における権威のある賞の一つ、OPUS KLASSIK 賞(2021)を受賞するなど国際的な評価を高めている。また、尾高惇忠や菅野祐悟らから協奏曲を献呈され、また、数ある協奏曲のなかでも難曲として知られる吉松隆のチェロ協奏曲の演奏では、作曲家自身から大絶賛されるなど、作曲家からの信頼も厚い。その演奏は聴く者の心の奥底を震わせる、と各地で話題を集め、公演は完売が相次いでいる。

今回のアルバムでは、宮田大が今届けたい「名曲」を厳選して収録。従来のチェロ定番曲にとらわれず、言わずと知れたクラシックの名曲から、日本を代表する作曲家の作品や隠れた名曲まで、その圧倒的な演奏力で、一つ一つの作品に新たな命を吹き込む。「まるで歌声のよう」と評されることも多い、宮田大だからこその唯一無二の表現、“歌声” で届ける、新たな時代に贈る名曲集。

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

 

久石譲の「Asian Dream Song」がチェロ&ピアノ版で収録されている。このアルバムのために篠田大介氏の編曲によるもの。この曲には「旅立ちの時 ~Asian Dream Song~」として大サビの書き加えられた歌もあるが、本作はオリジナル版(『PIANO STORIES II ~The wind of Life』)を取り上げている。

 

 

 

1.村松崇継:Earth
2.ロルフ・ラヴランド:ソング・フロム・ア・シークレット・ガーデン
3.ビル・ウィーラン:リバーダンス
4.久石 譲:Asian Dream Song
5.カミーユ・サン=サーンス:「あなたの声に私の心は開く」~《サムソンとデリラ》
6.加羽沢美濃:Desert Rose
7.菅野祐悟:ACT
8.アストル・ピアソラ:リベルタンゴ
9.吉松隆:ベルベット・ワルツ
10.植松伸夫:ザナルカンドにて
11.坂本龍一:星になった少年
12.アントニン・ドヴォルザーク:私にかまわないで ~4つの歌曲 作品82 第1曲

編曲:伊賀拓郎(2, 8) 山中惇史(3) 篠田大介(4, 10, 11)

演奏:宮田大(チェロ)、ジュリアン・ジェルネ(ピアノ)

録音時期:2023年4月18-20日
録音場所:新潟県、柏崎市文化会館アルフォーレ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

 

Disc. キングズ・シンガーズ 『ワンダーランド』

2023年9月22日 CD発売 XSIGCD739

 

キングズ・シンガーズ新録音。リゲティ生誕100周年記念&委嘱作品集!

男声ア・カペラのレジェンド、キングズ・シンガーズ!リゲティ生誕100周年記念と55年の歴史の中で委嘱した作品を厳選!2022年12月の来日公演でも取り上げた、久石譲の《 I was there 》、木下牧子の《あしたのうた》も収録!

ルネサンス・ポリフォニーからジャズ、ポップスまで2000曲以上ものレパートリーを誇り、2018年に結成50周年を迎えた男声ア・カペラ・グループのレジェンド、キングズ・シンガーズ。本アルバムでは、2023年に生誕100周年を迎えるリゲティの作品を中心に、キングズ・シンガーズの55年の歴史の中で、彼らのトレードマークである音楽的なストーリーテリングと喜びにあふれた委嘱作品を収録。アルバムのタイトルでもある「ワンダーランド」の通り、魔法、神話、おとぎ話の世界に立ち返っています。

遊び心のある子供の詩やルイス・キャロルの代表作「不思議の国のアリス」からの抜粋を題材にしたリゲティのナンセンス・マドリガル集を中心に、オーストラリアの最も著名な音楽家のひとり、マルコム・ウィリアムソンによって1972年に作曲されたグリム童話「ブレーメンの音楽隊」に基づいた音楽、2022年12月の来日公演で世界初演された久石 譲の『I was there』(9.11や東日本大震災など、悲劇的な出来事の文化的記憶に焦点を当てた作品)、同じく2022年の来日公演で披露された(初演は2020年)木下牧子の『あしたのうた』(自然界を中心とした希望とポジティブなテーマを思い浮かばせる作品)まで、各時代を代表する現代作曲家から200を超える作品を捧げられてきたキングズ・シンガーズの珠玉のレパートリーをお楽しみいただけます。(東京エムプラス)

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

~平和~
久石譲:I was there(委嘱作品/世界初演)
Joe hisaishi: I was there (World Premiere on this tour)

”I was there”はThe King’s Singersの委嘱によって作曲した。”I Want to Talk to You”(2020年作曲)に続く英詞作品の第2弾である。当初から”I was there”というコンセプトは決めていた。そして2001年の9.11ニューヨークの世界貿易センターへのテロ、2011年の3.11東日本大震災、2020~22年のCOVID-19の犠牲者による証言、現場で命を失った人たちの手紙などを元に人々が最後に何を考えたか、何を願ったかを音楽で表現しようと考えた。しかし、かなりの長さが必要なこと、重いテーマであること、The King’s Singersの爽やかなコーラスには合わないことを考慮してタイトルだけ残し、音の構成に重点を置いて、約8分半の楽曲として作曲した。

繰り返される”I was there”という言葉とメロディーはミニマル的なズレを生じさせながら、徐々に変容していき、日本語の言葉も登場する。作詞はMAIで”I was there”と関連用語だけにした。ただ言葉としては使われていないが、言外に僕の最初に考えたことは行間から滲み出ていると思う。

The King’s Singersの6名の音域表(各自微妙に違う)を見ながら作曲をしていくうちに、如何にこの6声であることが有効かわかってきた。つまり通常コーラスは4声部で描くことが多いが、6声だと3声ずつ2グループにできること、カウンターテナーの低域での音量などの問題が出た時の補強、ハーモニーの時の微妙なバランスを取る時などの他、各パートが自由に動ける、または休めるなど多くの利点があった。

だが最大の強みは彼らが単に歌うだけのグループではなく、信頼し合い響き合うFamilyのような絆と人としての知性なのではないか、と僕は思った。

12月に初演される予定だが、その時2022年がどういう年であったか、そして新しい年はどういう年になるのか?彼らの歌を聞きながら思いを馳せたい。

久石譲

(ザ・キングズ・シンガーズ 2022 日本ツアープログラムブック より)

 

 

 

日本ツアーの久石譲とのリハーサル風景、メンバー・インタビュー、コンサート・レビュー、また数か月後にTV・ラジオ放送されたプログラム内容も記した。

 

 

 

 

『ワンダーランド ~リゲティ生誕100周年と久石譲、木下牧子、イェイロ、ビンガム、パターソン他の委嘱作品集』
キングス・シンガーズ

1.木下牧子:あしたのうた
2.ジェルジ・リゲティ:ナンセンス・マドリガル集より 2つの夢と小さな蝙蝠
3.オラ・イェイロ:夢の中の夢
4.リゲティ:ナンセンス・マドリガル集より 梨の木の上のカッコウ
5. フランチェスカ・アミューダー=リヴァーズ:アライヴ
6.リゲティ:ナンセンス・マドリガル集より アルファベット
7.久石譲:I was there
8.リゲティ:ナンセンス・マドリガル集より 空飛ぶロバート
9.ジュディス・ビンガム:トリックスター
10.リゲティ:ナンセンス・マドリガル集より ロブスターのカドリーユ
11.マルコム・ウィリアムソン:ブレーメンの音楽隊
12.リゲティ:ナンセンス・マドリガル集より 長く、悲しい物語
13.ポール・パターソン: タイム・ピース

キングズ・シンガーズ
パトリック・ダナキー(カウンターテナー)
エドワード・バトン(カウンターテナー)
ジュリアン・グレゴリー(テノール)
クリストファー・ブリュートン(バリトン)
ニック・アシュビー(バリトン)
ジョナサン・ハワード(バス)

録音時期:2022年10月19,21日、2023年1月16-18日
録音場所:イギリス、サフォーク、ブリテン・スタジオ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

国内仕様盤(解説日本語訳、歌詞訳&日本語曲目表記オビ付き)

 

The King’s Singers – Wonderland

1.Makiko Kinoshita: Ashita no uta
2.György Ligeti: I. Two Dreams and Little Bat
3.Ola Gjeilo: A Dream within a Dream
4.György Ligeti: II. Cuckoo in the Pear-Tree
5.Francesca Amewudah-Rivers: Alive
6.György Ligeti: III. The Alphabet
7.Joe Hisaishi: I was there
8.György Ligeti: IV. Flying Robert
9.Judith Bingham: Tricksters
10.György Ligeti: V. The Lobster Quadrille
11.Malcolm Williamson: The Musicians of Bremen
12.György Ligeti: VI. A Long, Sad Tale
13.Paul Patterson: Time Piece

 

Disc. 久石譲 『君たちはどう生きるか サウンドトラック』

2023年8月9日 CD発売 TKCA-75200
2023年8月16日 配信開始

 

宮﨑駿監督10年ぶりとなる、長編映画最新作 「君たちはどう生きるか」のサウンドトラック。
宮﨑監督のオリジナルストーリー作品。

2023年7月14日(金)全国劇場公開
スタジオジブリ最新作
「君たちはどう生きるか」
原作・脚本・監督:宮﨑駿
配給:東宝
製作:スタジオジブリ
音楽:久石譲

主題歌含む37曲収録

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

久石さんからの誕生日プレゼント

年の初めに、いつのまにか恒例になった行事がある。毎年1月5日になると、久石譲さんが宮﨑駿のアトリエに顔を出す。その日、出来上がったばかりの曲を携えて。

1月5日は宮﨑駿の誕生日。その曲は、宮さんへの誕生日プレゼントだ。なにしろ、新曲だ。何時ごろ完成するのか、分からない。早いときもあれば、そうじゃない時もある。調子のいい悪いもあるだろう。

お迎えは、ずっとぼくと宮さんのふたり。そして、新しい曲をふたりで聴く。

この時、ぼくはいつも緊張が走る。いい曲であって欲しいと。祈りに近い。宮さんは大概、目を閉じている。宮さんの前でいつも笑顔を絶やさない久石さんも、その表情が変わる。

聞き終わる。宮さんが相好を崩す。久石さんとぼくは安堵する。こうして、ぼくらの新しい年が始まる。

プレゼントの曲は、ぼくの記憶だと、そのほとんどがミニマルミュージック。久石さんの得意とする音楽だ。久石譲さんといえばオーケストラと思う人が多いと思うが、それは映画音楽をやる時の久石さんの顔だ。本当は音楽大学で電子音楽を基調とするミニマルミュージックを専攻した人。つまり、現代音楽の勉強をした人だ。

これまでも、映画の時は、メロディを中心としたオーケストラで映画音楽を作って来た。しかし、大事な場面ではミニマルを挿入する。それが久石さんの大きな特徴だった。

「となりのトトロ」のサツキがトトロと出会う、雨のバス停のシーン。あのミニマルの曲はいまだに傑作だ。あのシーンはあの曲によって補完され、子どもたちはむろんのこと、大人たちもトトロの実在を信じることが出来たとぼくは思っている。

「君たちはどう生きるか」。この作品で久石さんは、大きな勝負に出た。ミニマルだけで、映画音楽を成立させることが出来るのか? ミニマルにはメロディらしいメロディは無い。聴く人によって、表情が変わるのがミニマルの大きな特徴だ。楽しい悲しいをフィルムに固定することも出来ない。

ぼくはドキドキしながら、映画の完成を待った。試写を見終わったぼくは、久石さんが、その勝負に、賭けに勝ったのだと思った。

使われた曲の多くは、誕生日プレゼントの曲だった。

「君たちはどう生きるか」プロデューサー
鈴木敏夫

(CDライナーノーツより)

 

 

久石さん やりましたね!
全部ミニマルで通すなんて.
ありがとう

みやざき

(CDライナーノーツより 直筆メッセージ)

 

 

 

2024.08 update

映画『君たちはどう生きるか』サウンドトラック楽曲解説

(1)イントロダクション
(2)方法論
(3)方法論 継
(4)Ask me why
(5)白壁・聖域・祈りのうた
(6)青サギ・黄昏の羽根 ほか
(7)ワラワラ・炎の少女 ほか
(8)追憶・陽動 ほか
(9)眞人とヒミ・大伯父 ほか
(10)ネクストアップ

 

 

 

 

 

 

 

1. Ask me why(疎開)
2. 白壁
3. 青サギ
4. 追憶
5. 青サギⅡ
6. 黄昏の羽根
7. 思春期
8. 青サギⅢ
9. 静寂
10. 青サギの呪い
11. 矢羽根
12. Ask me why(母の思い)
13. ワナ
14. 聖域
15. 墓の主
16. 箱船
17. ワラワラ
18. 転生
19. 火の雨
20. 呪われた海
21. 別れ
22. 回顧
23. 急接近
24. 陽動
25. 炎の少女
26. 眞人とヒミ
27. 回廊の扉
28. 巣穴
29. 祈りのうた(産屋)
30. 大伯父
31. 隠密
32. 大王の行進
33. 大伯父の思い
34. Ask me why(眞人の決意)
35. 大崩壊
36. 最後のほほえみ
37. 地球儀 / 米津玄師

 

作曲・編曲・プロデュース:久石譲

指揮・ピアノ:久石譲
演奏:Future Orchestra Classics
ゲストコンサートマスター:郷古簾
コーラス:麻衣&リトルキャロル

マニピュレーター:前田泰弘
レコーディング&ミキシングエンジニア:秋田裕之
アシスタントエンジニア:安中龍磨(Bunkamuraスタジオ)、萩原雪乃(ビクタースタジオ)
マスタリングエンジニア:藤野成喜(ユニバーサルミュージック)

音楽制作マネージメント:川本伸治、佐藤蓉子、宮國力
楽譜制作:蓑毛沙織、蓮沼淳史
マネージメントオフィス:ワンダーシティ

スタジオ:Bunkamuraスタジオ、ビクタースタジオ

音楽製作:スタジオジブリ
製作プロデューサー:鈴木敏夫

 

主題歌
地球儀 米津玄師

作詞・作曲・プロデュース:米津玄師
編曲:米津玄師、坂東祐大

レコーディング ミックス:小森雅仁
マスタリング:ランディ・メリル/スターリングサウンド

ボーカル:米津玄師
ドラム:石若駿
ピアノ,シンセベース:坂東祐大
バグパイプ:十亀正司
制作:リイシューレコーズ

 

and more…

 

 

『The Boy and the Heron (Original Soundtrack)』
Joe Hisaishi

01 Ask Me Why (Evacuation)
02 White Wall
03 Gray Heron
04 Memories
05 Gray Heron II
06 A Feather in the Dusk
07 Adolescence
08 Gray Heron III
09 Silence
10 The Curse of the Gray Heron
11 Feather Fletching
12 Ask Me Why (Mother’s Message)
13 A Trap
14 Sanctuary
15 The Master of the Tomb
16 Ark
17 Warawara
18 Reincarnation
19 Rain of Fire
20 Cursed Sea
21 Farewell
22 Reminiscence
23 Close Encounter
24 Diversion
25 A Girl of Fire
26 Mahito and Himi
27 The Corridor Door
28 A Burrow
29 A Song of Prayer (The Delivery Room)
30 Granduncle
31 In Secret
32 The King’s Parade
33 Granduncle’s Desire
34 Ask Me Why (Mahito’s Commitment)
35 The Great Collapse
36 The Last Smile
37 Spinning Globe / Kenshi Yonezu