1999年2月3日 CD発売
ニュー・サウンズ初期のCD化されていない貴重な音源が一枚になったお宝CD!
指揮:岩井直溥
演奏:東京佼成ウィンドオーケストラ 他
久石譲が初期作品で編曲を担当した5楽曲が収録されている。
楽曲解説
1.愛情の花咲く樹
世界歌謡祭の73年度入賞曲。今評判の高い”シュキ&アビバ”が歌いヒットしました。どちらかと云えば日本調の歌で親しみやすい。ダイナミックな序奏1コーラスに続いて2度の転調を伴いながらロックのリズムで歌う。金管の歯切れ良いリズム、しっかりしたビートの上で歌はリズムに乗ってたっぷりと歌います。
技術的には難しくないが、思い切り良く明るく演奏することが大切。日本語の歌詞があるので、会場皆で歌わせても面白く使えます。
2.愛のテーマ
曲はダイナミックなシネラマ・サウンドに始まり、テーマは(in 2)の早いテンポに乗って全編をゆるやかに流れます。中間部でサックスのアドリブが12小節加わり、いよいよ曲に迫力とスピード感が増える感じです。
演奏に際しては、何よりも正確な細かなリズムをしっかりと固めることが必要で、それに加え、基礎となる4分音符、8分音符のシンコペーションを伴ったリズム形を歯切れよく、この早いリズムに乗せることが決め手となります。えてしてこの機に早いテンポの曲は、ただ景気のよいにぎやかなものになってしまいがちですが、正確なリズムに重ねるゆるやかなメロディーの乗せ方は、充分注意して”味”を出すことが大切です。サックスのソロはフルートにも置き換えが出来ましょう。
3.ハッスル
ヴァン・マッコイの作曲と歌で大ヒットの軽快なロック。ディスコ調に巧みにアレンジされている。メロディーは特に特徴のあるものではないが、流れるメロディーラインと歯切れのよいリズムの対照がこの曲のポイントです。
演奏に際しては先ず早くリズムに乗ってしまうことが肝心。楽譜のCとGは特にサックス・セクションの巾一杯のブローが大切。金管も1、2、3番のバランスが均等になる様注意する。それにドラムはアフタービートを効かし、明快にリードすることが決め手となります。コンサートのプログラム中、ハードな曲として位置づけてください。
4.夢想花
昨年秋の第9回世界歌謡祭でのグランプリ受賞曲で、”翔んでる”時代と云われる今日を象徴するヒット曲となっていますし、航空会社のコマーシャル・ソングとしても使われているタイムリーなレパートリーです。美しいメロディーがソプラノ・サックスで歌われ、木琴のソロが効果的です。
サラッとアンコール等で使いたいバラードです。
5.ライズ
ティファナ・ブラスのトランペット奏者、ハーブ・アルパートが久びさにヒットさせた軽快なディスコ・ナンバー。79年秋には全米ナンバー・ワンと云われるヒット曲となった正にニュー・サウンズ。全編を通じて細かな同じパターンのリズムに乗って、トランペットのユニゾンを柱に哀愁を帯びたゆるやかなメロディーが流れて行く。サックスとブラス・セクションの重厚なハーモニーを作り出すには、各パートの音量バランスを平均化することが大切。おとなのムードを持ったしゃれたアレンジです。
6.マスター・ブラスター
スティーヴィー・ワンダーの新曲で、前作の「愛するデューク」などと同様、大変風変わりでモダンな味のある曲です。全編を通じ付点8分音符のリズムが低音で流れるが、これは跳ね過ぎぬ様3連音風に演奏します。又オクターブの飛躍、ユニゾンも多く、トロンボーンのアドリブも含め正に”ニュー・サウンズ”ではあるが、かなり演奏も難しく、テクニックのしっかりした大人のバンド向の曲です。
7.ナイス・ショット
日本ジャズ界の鬼才、”ナベサダ”の愛称でおなじみのサキソフォンプレイヤー、渡辺貞夫の作品です。もちろん主役はA・サックスで全編を通じたゆるやかなアドリブは、大変ナウなムードを持つシャレた曲です。曲そのものは単調ですが、ホルン、トロンボーンとドラムがきざむ歯切れのよいリズムが斬新、それにサックスとブラス群のオクターブの響きもよい。大人のバンドに演奏してもらいたい曲です。
8.ア・ディープ(海溝)
ヤマハ音楽復興会が主催するジュニア・オリジナル・コンサート(JOC)は、子供たちが自分が創った曲を自ら演奏する独創的な運動で、その楽しさと子供たちの無限の可能性の発見で、世界中の注目を集めています。
この曲は、この運動の中で14歳の少年が作り、エレクトーンで演奏したもので、海溝の深く暗いイメージを、美しいメロディーで表現しています。
9.ワッキー・ダスト
ジャズ・シンガーの大御所、エラ・フィッツジェラルドが歌い、最近ではモダン・ヴォーカル・グループの”マンハッタン・トランスファー”が歌っている明るい曲です。
古い素材ながら、大変モダンなスタイルの編曲で、市民バンド、大学バンドのレパートリーに好適です。
10.ルート101
メキシコのマリアッチとアメリカ感覚をミックスしたようなティファナ・ブラス。かつてそのリーダーであり、トランペットの名手でもあるハーブ・アルパートのナウイ作品。ラテン系、アメリカン、それに現代感覚をすべて融け合わせたフュージョン。大学、市民バンドの若者なら、誰でも演って見たくなるだろう。トランペット・ソロが素晴らしい。
11.ナイト バーズ
イギリス生まれのフュージョン・バンド、”シャカタク”の代表的ヒット曲。軽快なビートとマイナーのメロディーは、現代風大人感覚そのものと言った、シャレたもの。16ビートに乗って、ピアノ、E.ギターのアドリブがあり、演奏にはかなりの道具だてと熟練が必要だが、大学、市民バンドには是非演奏して欲しい曲。若い女性に受けること必至である。レコードも素晴らしく息の合ったサウンド、見事な演奏である。
12.今夜はビートイット
今をときめく、アメリカポップス界の第一人者、マイケル・ジャクソンのヒット曲。ソプラノ。サックスがおどけた調子のメロディーを歌い、中低音がユニゾンでディスコ調を作り出す。ニュー・サウンズらしい、最もファッショナブルな曲。皆んなで早いうちに調子よくやろうぜ!!
13.ネバーエンディング・ストーリーのテーマ
映画主題歌。リマールが歌って大ヒット。大変きれいなメロディーを持つ上品な曲で、アルト・サックスのソロ、アドリブが美しい。
14.フェリス
人気楽団フランク・プゥールセルの演奏で知られる軽快なムード音楽。トランペット・ソロを中心とした小品。
15.雨にぬれても
1969年に制作されたモダンな西部劇「明日に向かって撃て!」の主題歌で、70年度のアカデミー・オリジナル作曲・歌曲の両賞をうけた曲です。この軽快なたのしいメロディーは、誰もが一度は口ずさんだことがある程有名です。歌詞の内容は”雨が私の頭を打っている ちょうどこれは充たすものがなく、自分のベッドが広すぎると思っている男の気持ちのようなものだ…しかし私は自由で思い悩むことはない”というものです。この編曲はテレビ番組やレコーディングの第一線に活躍している東海林修氏で、ダイナミックなフルバンドのひびきを水槽が来にうまくとり入れて新鮮なサウンドを生み出しています。
16.サンホセへの道
1969年に大ヒットして、アメリカのレコード大賞であるグラミー賞を受けた曲です。このレコードでは前記の黒人女性歌手ディオンヌ・ワーウィックが歌いました。”サンホセへの道を知っているかい。長いこと離れていたので道を忘れてしまった。私はサンホセにもどって心の平和をみつけたいものだ。ロスアンゼルスは大都会で一週間でスターを作り、一年もたたぬうちに忘れられてしまうような所だ。早くサンホセにかえりたい”という内容の歌。この大ヒットで、バカラックとデビッドはサンホセの名誉市民になりました。サンホセはサンフランシスコ湾の低部(北)、サンフランシスコとロスアンゼルスの間のずっとサンフランシスコ寄りにあります。この編曲はやはり若手の編曲者として有名な服部克久氏のものです。
※解説は初版当初のものを転用いたしました。
(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)
1.愛情の花咲く樹 LOVE IS LIKE
2.愛のテーマ LOVE’S THEME
3.ハッスル THE HUSTLE
4.夢想花 FLY ON ALL THE WAY
5.ライズ RISE
6.マスター・ブラスター MASTER BLASTER
7.ナイス・ショット NICE SHOT
8.ア・ディープ(海溝) A DEEP
9.ワッキー・ダスト WACKY DUST
10.ルート 101 ROUTE 101
11.ナイトバーズ NIGHT BIRDS
12.今夜はビートイット BEAT IT
13.ネバーエンディング・ストーリーのテーマ THE NEVER ENDING STORY
14.フェリス (ファンキー・ソンブレロ) FELICE
15.雨にぬれても RAINDROPS KEEP FALLIN’ ON MY HEAD
16.サンホセへの道 DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE
指揮:岩井直溥
演奏:
東京佼成ウィンドオーケストラ 2.-14.
東京アンサンブルアカデミー 1.
ニュー・サウンズ・ウィンド・アンサンブル 15. 16.
編曲:
岩井直溥 2,3,10,13,14
野波光雄 1
小野崎孝輔 4,5
久石譲 6-9,12
中川賢二 11
東海林修 15
服部克久 16