Score. 久石譲 「World Dreams Suite」 [スコア]

2022年4月15日 発刊

久石譲のオフィシャル楽譜。作曲者本人が「世界中の人々が違いを言うのではなく、世界を一つの国として捉えるような曲、つまり国歌のような朗々としたメロディーの曲を作りたいと思った。」(序文より引用)と語る「World Dreams」を冒頭楽章に据えた、3曲からなる組曲のオーケストラ・スコアです。

(発行元インフォメーションより)

 

 

World Dreams Suite
組曲「World Dreams」

「World Dreams」は、2004年に新日本フィルハーモニー交響楽団と活動を始めたWORLD DREAM ORCHESTRA(W.D.O.)のために作曲した。

2001年に9.11(米同時多発テロ)が起きてから、世界はバラバラになり、今までの価値観ではもうやっていけなくなるという感覚が自分の中で強くあった。だからこそ、世界中の人々が違いを言うのではなく、世界を一つの国として捉えるような曲、つまり国歌のような朗々としたメロディーの曲を作りたいと思った。

作曲していた当時、頭を過っていた映像は、ビルに突っ込む飛行機、アフガンやイラクの逃げまどう一般の人々や子供たちだったが、2022年の現在、それはウクライナの人々に変わっただけで世界は何も変わっていなかった。世界はどこに行くのか? 絶望的な気持ちになるが、それでも僕は”世界の夢”(World Dreams)である平和な世界(もしそういうものがあるとしたら)がいつか訪れると信じたい。

その「World Dreams」の組曲を作りたいという構想はずっとあったが、2019年に、様々な仕事で書き溜めた楽曲をもとにした3管編成(約90人)の約13分の組曲として完成した。3曲からなり、上述の1.World Dreams、ミニマル的で軽快な曲となった2.Driving to Future、そして、3.Dairyはやはり国歌に通じる厳かな楽曲になった。

初演は、2019年のWORLD DREAM ORCHESTRA Tourで、作曲者本人の指揮で行った。

久石譲

(「World Dreams Suite」スコア より)

 

補足)
上記文章は、英文併記されています

編成表 収載
including INSTRUMENTATION

 

 

WORLD PREMIERE

August 1-12, 2019
“Joe Hisaishi & World Dream Orchestra 2019”

Joe Hisaishi, conductor
New Japan Philharmonic World Dream Orchestra

 

 

II. Driving to Future
アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 50周年記念事業映像のためのメインテーマ

III. Diary
日本テレビ「皇室日記」テーマ曲

 

 

久石譲:組曲「World Dreams」
I. World Dreams / II. Driving to Future / III. Diary

 

演奏所要時間:約13分/パート譜はレンタル

出版社:全音楽譜出版社
スコア/菊倍判/64頁
ISBN: 978-4-11-899717-9
価格:3,520円(税込)
発売日:2022年04月15日

 

※レンタルパート譜の取り扱いは、全音までお問い合わせください。
全音 レンタル楽譜はこちら>>>
https://www.zen-on.co.jp/rent/flow/

 

 

◎音源は久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ『Symphonic Suite “Kiki’s Delivery Service”』(UMCK-1665)に収録されています。

 

Score. 久石譲 「Contrabass Concerto」 [スコア]

2021年7月15日 発刊

久石 譲によるコントラバスのための協奏曲。日本テレビ委嘱作品。

 

 

Contrabass Concerto
コントラバス協奏曲

「Contrabass Concerto」は日本テレビの「読響シンフォニックライブ」という番組でカール・オルフの「カルミナ・ブラーナ」と一緒に演奏する楽曲として委嘱された。ソロ・コントラバスは石川滋氏を想定して作曲し、両曲とも僕が指揮した。

作曲に当たってコントラバスの音を実体験するために楽器を購入し、毎日作曲の前に15~30分練習した。そのことによって響きを身体で覚えることができた。

2015年の春先から作曲を開始し、夏にコントラバスのパートとピアノスケッチを作り、秋にオーケストラのパートを完成した。全3楽章からできており約30分の作品になった。

初演は2015年10月29日 東京芸術劇場 コンサートホールにて、ソロ・コントラバス 石川滋氏(読響ソロ・コントラバス)と読売日本交響楽団によって演奏された。その後2017年7月16、17日にわたって長野市芸術館 メインホールにて同石川氏とフューチャー・オーケストラ・クラシックス(FOC)によって再演され同時にレコーディングもされた。

第1楽章
F#-B-E-Aの4つの音が基本モチーフとして全体を支配している。この4度音程はソロ・コントラバスのオープンチューニング(通常はE-A-D-G)なのだが、展開していくと演奏する上では大変難しい音程でもある(ヴァイオリンの5度音程のように)。もともと軽快なテンポで始まる自由な形式の楽曲だったが、後に序奏と中間部に遅めにテンポのパートを作り、全体を立体的にした。

第2楽章
冒頭のコントラバスのピッツィカートはもちろんジャズからの影響であり、それがもっともこの楽器の良さを発揮すると考えたからである。その上にクラリネット、ホルンが奏でる、モチーフが全体の要になっている。その後コントラバスが同じモチーフを演奏しながら盛り上がり、静かな中間部になる。ちょっと複雑だが大きくは3部形式からなり、後半はベースランニングのアップビートで始まる。個人的にはもっとも無駄なく構成できた楽章で気に入っている。

第3楽章
この楽章では7度音程のモチーフで全体を構成している。スケルツォ的な明るさと終楽章としての重みが出るように気をつけた。一番ミニマル的な方法論に近い楽章になった。

久石譲

(「Contrabass Concerto」スコア より)

 

補足)
上記文章は、英文併記されています

編成表 収載
including INSTRUMENTATION

 

 

初演:2015年10月29日、東京芸術劇場
演奏:久石譲(指揮)、石川滋(ソロ・コントラバス)、読売日本交響楽団

演奏所要時間:約29分/パート譜はレンタル

 

 

久石譲:コントラバス協奏曲

Joe Hisaishi: Contrabass Concerto
Movement 1, Movement 2, Movement 3

出版社:全音楽譜出版社
スコア:菊倍判/160頁
ISBN:978-4-11-899715-5
定価:税込 4,400円 (本体4,000円+消費税10%)
発売日:2021年7月15日

 

※レンタルパート譜の取り扱いは、全音までお問い合わせください。
全音 レンタル楽譜はこちら>>>
https://www.zen-on.co.jp/rent/flow/

 

 

◎音源は久石譲『Minima_Rhythm IV ミニマリズム 4』(UMCK-1682)に収録されています。

久石譲 ミニマリズム 4 コントラバス協奏曲

 

Score. 久石譲 「The Border Concerto for 3 Horns and Orchestra」 [スコア]

2021年7月15日 発刊

久石譲による3本のホルンとオーケストラのための協奏曲のオフィシャル・スコア。

 

 

The Border
Concerto for 3 Horns and Orchestra
3本のホルンとオーケストラのための協奏曲

「The Border」はホルン奏者の福川伸陽氏から依頼されて作曲した。全3楽章、約24分の作品になった。

初演は2020年2月13日 東京オペラシティ コンサートホールで、ソロ・ホルン 福川伸陽、豊田実加、藤田麻理絵の諸氏とフューチャー・オーケストラ・クラシックス(FOC)によって演奏され、同時にレコーディングもされた。

I. Crossing Linesは、16分音符の3、5、7、11、13音毎にアクセントがあるリズムをベースに構成した。つまり支配しているのはすべてリズムであり、その構造が見えやすいように音の構造はシンプルなScale(音階)にした。

II. The Scalingは、G#-A-B-C#-D-E-F#の7音からなる音階を基本モチーフとして、ホルンの持つ表現力、可能性を引き出しつつ論理的な構造を維持するよう努めた。

III. The Circlesは、ロンド形式に近い構造を持っている。Tuttiの部分とホルンとの掛け合いが変化しながら楽曲はクライマックスを迎える。以前に書いた「エレクトリック・ヴァイオリンと室内オーケストラのための室内交響曲」の第3楽章をベースに再構成した。ホルンとオーケストラによってまるで別の作品になったことは望外の喜びである。

久石譲

(「The Border  Concerto for 3 Horns and Orchestra」スコア より)

 

補足)
上記文章は、英文併記されています

編成表 収載
including INSTRUMENTATION

 

 

初演:2020年2月13日、東京オペラシティ コンサートホール
演奏:久石 譲(指揮)、福川伸陽、豊田実加、藤田 麻理絵(ソロ・ホルン)、Future Orchestra Classics(管弦楽)

演奏所要時間:約24分/パート譜はレンタル

 

 

久石譲:3本のホルンとオーケストラのための協奏曲

Joe Hisaisi: The Border  Concerto for 3 Horns and Orchestra 
I. Crossing Lines, II. The Scaling, III. The Circles

出版社:全音楽譜出版社
スコア:菊倍判/136頁
ISBN:978-4-11-899714-8
定価:税込 4,180円 (本体3,800円+消費税10%)
発売日:2021年7月15日

 

※レンタルパート譜の取り扱いは、全音までお問い合わせください。
全音 レンタル楽譜はこちら>>>
https://www.zen-on.co.jp/rent/flow/

 

 

◎音源は久石譲『Minima_Rhythm IV ミニマリズム 4』(UMCK-1682)に収録されています。

久石譲 ミニマリズム 4 ホルン協奏曲

 

Score. 久石譲 「Symphonic Suite “Kiki’s Delivery Service”」 [スコア]

2021年4月15日 発刊

久石譲オフィシャル楽譜。1989年に公開された宮崎駿監督のアニメーション映画『魔女の宅急便』の交響組曲版スコア。軽めのヨーロピアンサウンドを目指して書かれていたサウンドトラックを、2019年、久石自身が映画の世界観を追体験できる交響組曲として仕立て直した作品。レンタルパート譜も全音で取り扱い。

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

Symphonic Suite “Kiki’s Delivery Service”
交響組曲「魔女の宅急便」

この作品は1989年にスタジオジブリが制作したアニメーション映画『魔女の宅急便』の音楽をもとに交響組曲として再構成した。

主人公のキキが自身の持つ飛行能力を活かして自立していく物語は多くの人々の共感を呼び、今なお世界中の人々に愛され続けている。

舞台になる海辺の街並みがヨーロピアンなのでアコーディオン、マンドリンなどの音を取り入れ、南仏や東欧の5~6月をイメージして作曲した。もちろん主人公キキの子供から思春期に変わっていく心の動きを表現することに注力したのは言うまでもない。

2019年、ワールド・ドリーム・オーケストラ(W.D.O.)の国内ツアー楽曲として、映画公開から30年ぶりにシンフォニック組曲としてオーケストラ作品にした。映画の中で使用したいくつかの曲は譜面も紛失しており、制作にあたって多少の難しさはあった。が、30年前に辿った道をもう一度振り返る作業は、多くの反省といくつかの感心する気持ちが交差して概ね楽しい時を過ごすことができた。

2021年、スコアの出版にあたり多少のオーケストレーションの修正を施したが、全体の構成を含めてW.D.O.コンサートの時と同じで映画の物語に沿って進行している。

久石譲

(「Symphonic Suite “Kiki’s Delivery Service”」スコア より)

 

補足)
上記文章は、英文併記されています

編成表 収載
including INSTRUMENTATION

 

<構成楽曲>
On a Clear Day(晴れた日に…)/A Town with an Ocean View(海の見える街)/The Baker’s Assistant(パン屋の手伝い)/Starting the Job(仕事はじめ)/Surrogate Jiji(身代りジジ)/Jeff(ジェフ)/A Very Busy Kiki(大忙しのキキ)/Late for the Party(パーティーに間に合わない)/A Propeller Driven Bicycle(プロペラ自転車)/I Can’t Fly!(とべない!)/Heartbroken Kiki(傷心のキキ)/An Unusual Painting(神秘なる絵)/The Adventure of Freedom, Out of Control(暴飛行の自由の冒険号)/The Old Man’s Push Broom(おじいさんのデッキブラシ)/Rendezvous on the Push Broom(デッキブラシでランデブー)/Mother’s Broom(かあさんのホウキ)

演奏所要時間:約25分

 

Duration: ca. 25min.

Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon

 

WORLD PREMIRE

August 1-12, 2019
“Joe Hisaishi & World Dream Orchestra 2019”

Joe Hisaishi, conductor
New Japan Philharmonic World Dream Orchestra

 

 

JOE HISAISHI
Symphonic Suite “Kiki’s Delivery Service”
交響組曲「魔女の宅急便」

スコア/菊倍判/128頁
ISBN:978-4-11-899716-2 C0073
定価:2,800円+税
発行日:2021年4月15日
発行:全音楽譜出版社日

 

※レンタルパート譜の取り扱いは、全音までお問い合わせください。
全音 レンタル楽譜はこちら>>>
https://www.zen-on.co.jp/rent/flow/

 

 

◎音源は久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ『Symphonic Suite “Kiki’s Delivery Service”』(UMCK-1665)に収録されています。

 

Score. 久石譲 「SPIRITED AWAY SUITE」 [スコア]

2020年3月15日 発刊

2001年の映画『千と千尋の神隠し』のために書かれたスコアを、久石譲自身がストーリーに沿った交響組曲として再構成。2018年のW.D.O.コンサートで世界初演した「Spirited Away Suite」のオリジナルスコアが公式スコアとして誕生。レンタルパート譜も全音で取り扱い。

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

Spirited Away Suite(「千と千尋の神隠し」組曲)

「Spirited Away Suite」は、2001年の映画『千と千尋の神隠し』のために書き下ろしたスコアを、2018年のWorld Dream Orchestraとの日本ツアーで演奏するために交響組曲としてRecomposeした。2003年に米国アカデミー賞長編アニメーション賞を獲った作品で、海外からも演奏してほしいという要望が強い楽曲である。

交響組曲化にあたり、ストーリーに沿って再構成した。劇中で主人公は、人間世界から異世界に迷い込み、千尋という名前が千に変わり、両親が豚に変えられたりする中で、様々な危機に直面する。当然、音楽も激しい曲が多くなる。一方で、この作品には「6番目の駅」に代表されるような、現実と黄泉の世界の狭間が色濃く表現されており、宮崎さんが辿り着いた死生観が漂っているようにも感じる。だからこそ生きていることが大事だ、ということをしっかりと謳っている。

すでに海外でも何度か演奏しているが、今回スコアの出版にあたり、世界のオーケストラが演目として取り上げ、より多くの聴衆の耳に届けば幸いである。

久石譲

(「SPIRITED AWAY SUITE」スコア より)

 

補足)
上記文章は、英文併記されています

編成表 収載
including INSTRUMENTATION

 

<構成楽曲>
One Summer’s Day(あの夏へ)/ Nighttime Coming(夜来る)/ The Gods(神さま達)/ View of the Morning(湯屋の朝)/ The Bottomless Pit(底なし穴)/ The Dragon Boy(竜の少年)/ No Face(カオナシ)/ The Sixth Station(6番目の駅)/ Reprise(ふたたび)/ The Return (帰る日)

演奏所要時間:約27分

 

Duration: ca. 27min.

Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon

 

WORLD PREMIRE

August 9-21, 2018
“Joe Hisaishi & World Dream Orchestra 2018”

Joe Hisaishi, conductor
New Japan Philharmonic World Dream Orchestra
Joe Hisaishi, solo piano

 

 

JOE HISAISHI
SPIRITED AWAY SUITE
「千と千尋の神隠し」組曲

久石譲:SPIRITED AWAY SUITE 「千と千尋の神隠し」組曲
スコア/菊倍判/104頁
ISBN: 978-4-11-899713-1 C0073
定価:2,800円+税
発行日:2020年3月15日
発行:全音楽譜出版社

(オーストラリア公演先行発売:2020年2月26日)

 

※レンタル扱いのパート譜は全音楽譜出版社にて取り扱い

全音楽譜出版社|レンタル楽譜
https://www.zen-on.co.jp/rent/

 

 

◎音源は久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ『Spirited Away Suite』に収録されています。

 

Score. 久石譲 「THE EAST LAND SYMPHONY」 [スコア]

2019年10月15日 発刊

久石譲が本格的に書き下ろした長大な交響曲「THE EAST LAND SYMPHONY」のスコア。

 

 

THE EAST LAND SYMPHONY

「THE EAST LAND SYMPHONY」は2011年に着手し、2016年の夏に完成した。全5楽章で約45分かかる規模の大きな作品になり、第3、5楽章にはソプラノも入る。

タイトルの「THE EAST LAND」は「東の国」つまり「日本」であり、その日本の中の東の国は、「東北地方」を指す。作曲の過程で起きた東日本大震災が何らかの形で影響していることは間違いない。もちろん社会的な事象を表現しようと思って作曲した訳ではない。音楽は音の構成のみで成立するべきだというのが僕の信条だが、人として、我々はどこに行くのか? 世界のカオス(混沌)の中でどう生きるのか? という思いはあり、そんな中でも生きる勇気と力を持ち、自分を見失わない日本人であってほしいという願いを、作曲しながら常に持っていた。

第1楽章「The East Land」と第2楽章「Air」は2011年に作曲した。核になっているのはセリー(音列)*的な要素とミニマルを合体させることで、全体を覆う不協和音はその結果である。第1楽章の中間部を過ぎてからアップテンポになるのだが、そこで炸裂する大太鼓はまるでクラブのキックドラムのようで個人的には気に入っている。また第2楽章は、鍵盤打楽器が大気の流れのように止め処なくくり返される。少し抽象的な表現をすると「時間の進行を拒否した」ような佇まいだ。最も作曲に時間を要した曲でもある。

(*セリー:音列のこと。特に十二音技法においては、すべての音を1回ずつ用いて構成する。)

第3楽章「Tokyo Dance」は、「自分と自分の周りだけが大切、世界なんかどうでもいい!」というガラパゴス化した当時の日本(東京)を風刺したソプラノの楽曲だ。ロンド形式のように構成したが、中間部、後半部は英語とミックスしながら『平家物語』と同じ諸行無常を歌っている。娘の麻衣が作詞を担当し、何回か書き直しをしていく過程で数え歌というアイディアが浮かび、いわば「東京数え歌」ともいえる楽曲になった。また第3~5楽章は2016年に作曲した。

第4楽章「Rhapsody in Trinity」は前曲と同様にブラックな喜遊曲だが、全体のクライマックスを構成するために第1楽章のモチーフが再現される。また日本的なもの、西洋的なものが、激しく交差してカオスを作っている。11/8拍子という何とも厄介なリズムもそれに貢献している。

第5楽章「The Prayer」は最小限の音で構成されたシンプルな祈りの楽曲だ。ソプラノで歌われる言葉はラテン語のことわざ辞典から選んでいる。後半に現れるコラールはバッハ作曲の「マタイ受難曲第62番」からの引用だ。このシンフォニーを書こうと考えたときから通奏低音のように頭の中で流れていた。

久石譲

(「THE EAST LAND SYMPHONY」スコア より)

 

補足)
上記文章は、英文併記されています

編成表、オリジナル歌詞(日本語/ラテン語)、訳詞(英語) 収載
including INSTRUMENTATION, TEXT and TRANSLATIONS

 

 

●初演情報

【第1楽章のみ初演 (『交響曲第1番 第1楽章』として発表)】
2011年9月7日 東京・サントリーホール
指揮:久石譲
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【全楽章初演 (『THE EAST LAND SYMPHONY』)】
2016年7月29日~8月10日
「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2016」
指揮:久石譲
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
ソプラノ独唱(ダブルキャスト):市原愛・安井陽子

●World Premiere

【Symphony No.1 1st movement】
September 7, 2011 – Suntory Hall, Tokyo, Japan
Joe Hisaishi, conductor
Tokyo Philharmonic Orchestra

【THE EAST LAND SYMPHONY with five movements】
July 29, 2016 – August 10, 2016
“Jpe Hisaishi & World Dream Orchestra 2016”
Joe Hisaishi, conductor
New Japan Philharmonic World Dream Orchestra
Ai Ichihara / Yoko Yasui, soprano solo (double cast)

 

 

JOE HISAISHI
THE EAST LAND SYMPHONY

I. The East Land
II. Air
III. Tokyo Dance
IV. Rhapsody of Trinity
V. The Prayer

(全5楽章)
演奏所要時間:約45分

 

スコア/菊倍判/192頁
JAN: 4511005103918
ISBN: 978-4-11-899712-4
定価:4,500円+税
全音楽譜出版社

 

※レンタル扱いのパート譜は全音楽譜出版社にて取り扱い

全音楽譜出版社|レンタル楽譜
https://www.zen-on.co.jp/rent/

 

 

◎音源は久石譲『Minima_Rhythm III ミニマリズム 3』に収録されています。

 

Score. 久石譲 「Single Track Music 1 for 4 Saxophones and Percussion」 [スコア]

2015年10月1日 発行

《Single Track Music 1》(2014/2015)は、浜松市の吹奏楽イベント「バンド維新」の委嘱によって作曲された同名の吹奏楽曲(2015年2月22日にアクトシティ浜松で初演)を、作曲者自身がサクソフォン四重奏と打楽器のアンサンブル版として書き直したもの。演奏時間は約6分。

曲は、単音から24音まで増殖する単旋律がユニゾンで演奏され、その中のある音が高音や低音に置き換わることによって別のフレーズが浮かび上がるという、シンプルな構造によって作られています。あくまでもモノフォニックなアプローチによって、ミニマル・ミュージック特有のズレや変化の発生を試みた作品であり、鉄道の“単線”を意味する「Single Track」という題名もそれに由来している。

初演は2015年9月24日、よみうり大手町ホールで催された久石譲プレゼンツ「ミュージック・フューチャー Vol.2」において、林田和之(S.Sax)・田村真寛(A.Sax)・浅見祐衣(T.Sax)・荻島良太(B.Sax)・和田光世(Perc.)の演奏によって行われた。

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

Single Track Music 1 for 4 Saxophones and Percussion

アメリカン・ミニマル・ミュージックの作曲家たち、特にスティーヴ・ライヒはミニマル特有のズレ(とそこから生まれる変化のプロセス)を生み出すため、バッハ以来おなじみのポリフォニック(多声音楽的)な書法、具体的にはカノンのような手法で声部を重ね合わせる実験を試みたが、本作において久石は、そうしたポリフォニックな手法に頼らず、あくまでも単旋律のユニゾンにこだわりながらズレを生み出す試みにチャレンジしている。つまり多声という”複線”を走るのではなく、あくまでもユニゾンという”単線”を走り続けるわけだ。鉄道の”単線”を意味する《Single Track》という曲名はそこに由来しているが、その際、フレーズ内の音が高音や低音に配置されることで生まれる別のフレーズは、車窓から見えるビルの窓ガラスや川の水面に映る自分の反射した姿(の変形)と考えると、分かりやすいかもしれない。

本盤に収録された演奏において、パーカッショニストがヴィブラフォンを演奏するセクションから中間部となるが、そこに聴かれる和音らしき響きは、あくまでもフレーズの持続音(サステイン)が伸びた結果生まれたものであって、決して意図したものではないという。喩えて言うならば山間部を走る列車の走行音や警笛がこだまし、それが偶発的なハーモニーを生み出すようなものである。

ユニゾンのフレーズの音が時間軸上でズラされることで生まれるさまざまな音風景は──久石は本作を鉄道の標題音楽として書いているわけではないが──車窓から見える多種多様な光景が自分の中のさまざまな記憶を呼び起こしていく、そんな自由連想的な聴き方をリスナーに許容している。最初のユニゾンのフレーズが、民謡のようにもジャズのようにも、あるいはわらべ唄のようにも聴こえてくる面白さ。そういう面白さを実現するためには、最初のフレーズが思わず口ずさみたくなるような親しみやすさを持ちながら、同時に高度な可塑性に耐えうる可能性を潜在的に秘めていなけれなならない。こういうフレーズは、ポップスフィールドで感性を徹底的に鍛え上げられた、久石のような作曲家でなければ絶対に書けないフレーズだと思う。そういう意味で本作は、久石のポストクラシカル的な在り方をこれまでになく明瞭に示した楽曲と言えるだろう。

(CDライナーノーツ 楽曲解説より)

 

 

WORLD PREMIÈRE:
September 24, 2015 -Yomiuri Otemachi Hall, Tokyo, JAPAN
Kazuyuki Hayashida(soprano saxophone), Masahiro Tamura(alto saxophone), Yui Asami(tenor saxophone), Ryota Ogishima(baritone saxophone), & Mitsuyo Wada(percussion)

 

JOE HISAISHI
SINGLE TRACK MUSIC 1
FOR 4 SAXOPHONES AND PERCUSSION

久石譲
Single Track Music 1 サクソフォン四重奏と打楽器

フルスコア(パート譜別売)
28ページ
菊倍判(227×303mm)
定価:1,700円(税別)
注文番号: SJH 008
ISBN: 978-4-89066-178-7
ISMN: M-65001-256-0
JAN: 1923073017005
出版社: Schott Music Tokyo

 

 

◎音源は久石譲『Minima_Rhythm II ミニマリズム 2』に収録されています。

 

Score. 久石譲 「弦楽四重奏曲第1番 String Quartet No.1」 [スコア]

2015年8月5日 発行

《弦楽四重奏曲第1番》(2014)は、久石譲が2012年に作曲した室内楽曲集《フェルメール & エッシャー》の中から、マウリッツ・エッシャーのだまし絵にインスピレーションを受けて作られた4曲:〈I. Encounter〉〈II. Phosphorescent Sea〉〈III. Metamorphosis〉〈IV. Other World〉を、作曲者自身が弦楽四重奏曲として新たに構成・作曲したもの。各曲は久石譲の得意とするミニマル・ミュージックを基としながらも、テンポや拍子、カノンやホケトゥスといった技法によってそれぞれが特徴付けられている。演奏時間約29分。

初演は2014年9月29日、よみうり大手町ホールで催された久石譲プレゼンツ「ミュージック・フューチャー vol.1」において、近藤薫・森岡聡・中村洋乃理・向井航の演奏によって行われた。

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

弦楽四重奏曲第1番 – String Quartet No.1

2012年に東京で開催された「フェルメール 光の王国展」のために久石が書き下ろした室内楽曲《Vermeer & Escher》から4曲を選び、弦楽四重奏曲として新たに構成・再作曲した作品。久石は作曲活動の初期から、画家マウリッツ・エッシャーのだまし絵〈錯視絵〉がもたらす錯視効果と、ミニマル特有のズレがもたらす錯聴効果の類似性に強い感心をいだき、「だまし絵」をタイトルとする楽曲を発表している。エッシャーの版画さながらに線的なラインで構成された弦楽四重奏が、久石ミニマルのエッセンスを凝縮して表現した作品。

第1楽章「Encounter」
冒頭のユニゾンで提示される主題を基にした、ユーモアにあふれるズレの遊戯。

第2楽章「Phosphorescent Sea」
グリッサンドの弦の波、それに夜のミステリアスな音楽で表現された「燐光を発する海」の情景。

第3楽章「Metamorphosis」
厳格かつ対位法的な音楽で表現される、ズレの「変容」の過程。

第4楽章「Other World」
13/8拍子という珍しい拍子を持ち、オクターヴを特徴とする反復音形が中心となる終楽章。オリジナル版では、全音階の人懐こいモティーフが静かに登場した後に、コーダを迎えるが、今回の弦楽四重奏版ではそのモティーフを中心とする新たなクライマックスが築き上げられるなど、大幅な改訂が加えられている。

(初演コンサートパンフレット 楽曲解説より)

 

 

WORLD PREMIÈRE:
September 29, 2014 -Yomiuri Otemachi Hall, Tokyo, JAPAN
Kaoru Kondo(violin), Satoshi Morioka(violin), Hironori Nakamura(viola) & Wataru Mukai(violincello)

 

JOE HISAISHI
STRING QUARTET No.1
久石譲 弦楽四重奏曲第1番

久石譲 弦楽四重奏曲 スコア

フルスコア(68ページ)

【収録曲】
I. Encounter
II. Phosphorescent Sea
III. Metamorphosis
IV. Other World

SJH 007
菊倍判(227×303mm)
定価:2,500円(税別)
注文番号: SJH 007
ISBN: 978-4-89066-176-3
ISMN: M-65001-254-6
JAN: 1923073025000
出版社: Schott Music Tokyo

 

PARTS
パート譜

久石譲 弦楽四重奏曲 パート譜
パート譜(4パート)

【収録曲】
I. Encounter
II. Phosphorescent Sea
III. Metamorphosis
IV. Other World

SJH 007-01
A4判
定価:1,500円(税別)
24+24+26+22ページ
A4判 中綴じ製本
注文番号: SJH 007-01
ISBN: 978-4-89066-177-0
ISMN: M-65001-255-3
JAN: 1923073015001
出版社: Schott Music Tokyo

公式サイト:ショット・ミュージック 久石譲 弦楽四重奏曲第1番

 

 

◎音源は久石譲『Minima_Rhythm II ミニマリズム 2』に収録されています。

 

Score. 久石譲 「Shaking Anxiety and Dreamy Globe for 2Marimbas」 [スコア]

2015年6月24日 発行

《Shaking Anxiety and Dreamy Globe ―揺れ動く不安と夢の球体―》2台ギター版(SJH 005)と2台マリンバ版(SJH 006)の2タイトル同時発売。いずれもスコアとパート譜のセット。

 

2台マリンバ版は、ギター版と同様にテクニカルでありながらも、どこか不思議でノスタルジックな、可愛らしい響きのアレンジが施されています。マリンバという楽器とミニマル・ミュージックとの抜群の相性を楽しむこともできるでしょう。初演は2014年9月29日、よみうり大手町ホールで行われた『久石譲プレゼンツ「ミュージック・フューチャーvol.1」』のプログラムとして、神谷百子と和田光世の2人によって行われました。マリンバ版の音源は、〈久石譲『ミニマリズム 2』〉(ユニバーサル・シグマ UMCK-1518)に収録されています。

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

WORLD PREMIÈRE:
September 29, 2014 -Yomiuri Otemachi Hall, Tokyo, JAPAN
Momoko Kamiya & Mitsuyo Wada

 

JOE HISAISHI
SHAKING ANXIETY AND DREAMY GLOBE
FOR 2 MARIMBAS
久石譲 揺れ動く不安と夢の球体 2台のマリンバのための

SJH 006
スコア+パート×2
32ページ
菊倍判 中綴じ製本(227×303mm)
注文番号: SJH 006
ISBN: 978-4-89066-174-9
ISMN: M-65001-250-8
JAN: 1923073020005
出版社: Schott Music Tokyo
定価:2,000円(税別)

公式サイト:ショット・ミュージック 久石譲 内

 

 

◎音源は久石譲『Minima_Rhythm II ミニマリズム 2』に収録されています。

 

Score. 久石譲 「Shaking Anxiety and Dreamy Globe for 2 Guitars」 [ギター]

2015年6月24日 発行

《Shaking Anxiety and Dreamy Globe ―揺れ動く不安と夢の球体―》2台ギター版(SJH 005)と2台マリンバ版(SJH 006)の2タイトル同時発売。いずれもスコアとパート譜のセット。

 

2台ギター版《Shaking Anxiety and Dreamy Globe》は、ミニマル・ミュージックとフラメンコの融合ともいえる響きが特徴の作品。2012年8月19日に行われた『Hakujuギター・フェスタ』のための委嘱作品として作曲され、福田進一と荘村清志によって世界初演が行われました。今回の出版でも、荘村・福田の両名による楽譜監修が行われています。指定テンポの速さも相まって演奏難度の高い作品ですので、多くのギタリストにぜひチャレンジしていただきたい1曲です。この作品が収録されたCD 〈福田進一×荘村清志『DUO』〉も、楽譜発売と同日発売となります。

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

WORLD PREMIÈRE:
August 19, 2012 -Hakuju Hall, Tokyo, JAPAN
Shin-ichi Fukuda & Kiyoshi Shomura

 

JOE HISAISHI
SHAKING ANXIETY AND DREAMY GLOBE
FOR 2 GUITARS
久石譲 揺れ動く不安と夢の球体 2台のギターのための

SJH 005
スコア+パート×2
24ページ
菊倍判 中綴じ製本(227×303mm)
注文番号: SJH 005
ISBN: 978-4-89066-174-9
ISMN: M-65001-250-8
JAN: 1923073020005
出版社: Schott Music Tokyo
定価:2,000円(税別)

監修:荘村清志、福田進一

公式サイト:ショット・ミュージック 久石譲 内

 

 

◎音源は福田進一×荘村清志『DUO』に収録されています。