2008年11月19日 CD発売 UMCK-1273
2008年公開 映画「私は貝になりたい」
監督:福澤克雄 音楽:久石譲 出演:中居正広、仲間由紀恵
INTERVIEW
福澤監督と最初に打ち合わせをしたとき、この作品の音楽のイメージは、夫婦のドラマをメインに膨らませていくということで意見が一致しました。脚本の橋本さんは、房江が豊松のために署名を集めるシーンの音楽を大切にしてほしいとおっしゃいました。そこで、この場面にメインテーマを合わせたいと考え、どのような曲を流すかに苦心しました。今どきない本格派の映画なので、音楽の組み立て方も難しい点でした。
テーマに社会性があり、夫婦愛の物語にメロドラマのような音楽をつけると安っぽくなってしまいます。それに、上映時間も長い作品であるからこそ、きちんと核がある曲を作りたかったのです。結果、到達したのがワルツです。ワルツは重たくなりすぎることも、軽くなりすぎることもありません。
この映画の素晴らしさは、悲劇は悲劇として描き切ったところです。最終的には絶望的な内容にも見えます。しかし、そのなかに人間的な優しさや、愛に溢れた世界観を出したいと思いました。
演奏は、東京フィルハーモニー交響楽団が行い、東京オペラシティのコンサートホールでレコーディングしました。70人以上の大きなオーケストラの包み込むような空気感溢れる演奏によって、この作品のもつ人間の感情の大きな起伏やダイナミックな心の流れを表現することに成功しました。
特に映画の冒頭1曲目、広大な海の実景から土佐の町へカメラが切り替わっていくシーンの音楽は気に入っています。弦とピアノだけのこの場面の音楽が完成したとき、手応えを感じましたね。
(映画「私は貝になりたい」劇場用パンフレット より)
主要テーマ曲である(2)と(3)を軸にしてシーンの展開に合わせ様々なバリエーションでモチーフが展開していく。その他トランペットをはじめとしたホーンセッションが多く聴かれるところに戦時中の緊張感や悲劇といったイメージが重なる。主要テーマ曲をはじめ哀愁漂うメロディアスな旋律は戦争・昭和の日本という世界観を表現している。
また『Another Piano Stories ~The End of the World~』CD作品では、メインテーマのピアノソロ曲をしっとりと聴くことができる。 (「13.I’d rather be a Shellfish」)
1.プロローグ
2.豊松のテーマ
3.出会い~メインテーマ
4.軍人訓練
5.B29
6.13 ~大北山事件~
7.連行~汐見岬との別れ
8.判決
9.聖書と靴音
10.友情 I
11.道行き
12.友情 II
13.汐見岬 ~愛しさ~
14.チェンジブロック
15.酷
16.13 ~葡萄酒~
17.私は貝になりたい
All Music, Composed, Arranged,
Conducted and Produced by Joe Hisaishi
Performed by Tokyo Philharmonic Orchestra
Concertmaster:Akihiro Miura
Piano Solo:Febian Reza Pane
A.Guitar:Masayoshi Furukawa
Recorded at Tokyo Opera City Concert Hall
Recording & Mixing Engineer : Hiroyuki Akita (Wonder Station)
Manipulator : Yasuhiro Maeda (Wonder City Inc.)
Assistant Engineers : Akihiro Tabuchi (Wonder Station)
Masashi Okada (SCI)
Hitomi Joko (ON AIR AZABU STATION)
Mixed at ON AIR AZABU STATION
Mastered by Hiroyuki Hosaka (H2 mastering)