Disc. 久石譲 『Mládí』

2024年12月6日 EP発売 487 – 6803 輸入盤

 

久石譲の74歳の誕生日(12月6日)を記念して、北野武映画への提供曲3曲をEPで発売。

《久石 譲~Mládi》

2024年7月、ニューヨーク、マディソン・スクエア・ガーデンで3夜連続ヘッドライナーを務めた初のクラシック・アーティストとなった久石譲。2023年3月にウィーン交響楽団とのコラボレーションの一環として録音された北野武映画への提供曲3曲を、久石譲の74歳の誕生日(12月6日)を記念してEPで発売。チェコ語で「青春」を意味する「Mládi」はレオシュ・ヤナーチェクの木管六重奏曲のタイトルから引用されました。

【演奏】久石譲(ピアノ・指揮)ウィーン交響楽団

【録音】2023年3月、ウィーン楽友協会

(メーカーインフォメーションより)

 

 

 

先行配信リリース

Summer

Joe Hisaishi · Wiener Symphoniker

Released on 2024/10/24 Digital

 

 

 

 

ドイツ・グラモフォンからの最新リリース『Mládí』は、『A Symphonic Celebration』(ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団・2023)『JOE HISAISHI IN VIENNA』(2024)に続く待望の3作品目になる。前作同様ウィーン交響楽団との共演でウィーン楽友協会で録音されている。

この作品の初演は2017年チェコ・プラハ公演で、演奏会用作品として新たに3曲をまとめたピアノ&ストリングスで披露された。以降も【mládí】for Piano and Strings でプログラムされる人気コーナーになっている。日本初演にあたる「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2017」のライヴ音源が『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2』(2021)にて念願の音源化を果たしたが、その際選ばれたのは「Kids Return」「HANA-BI」の2曲だった。このたび満を持してセッション録音で3曲そろっての音源化が叶えられた。久石譲の誕生日記念盤という花を添えて。

 

 

最新版にしてみずみずしいフレッシュな音が広がっている。久石譲にとってもファンにとってもおなじみの名曲たちなのに、思い出とともに丸みを帯びていく円熟とは反対にある、いま出来立てで今を演奏している若さに漲っている。その一役を買っているのはこの作品の演奏にあまり馴染みのなかっただろう海外オーケストラによるところが大きいことは間違いない。その抑えられないエネルギーに拮抗するように久石譲ピアノも強く切なく「青春」を謳歌している。ちょっと軽く受け取る気持ちでいた自分を反省して、しっかり両手でこのギフトを受け取りなおしたい。誕生日おめでとうございます。そしてありがとうございます。

少し音源を聴き比べてみる。『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2』に収録されたWDO2017 Live音源と本盤はどのくらい変わった印象があるだろう。まずスコアは同じもの。オーケストラの演奏と録音環境が異なる。

「HANA-BI」一番海外オーケストラらしい歌わせ方やニュアンスが出ていると思う。すごい力強さもあるけれど楽器ごとの音が明瞭で聴くごとに耳が喜んでしまう。中間部のピッツィカートの細かさ(1:30~)はライヴ音源では気づけないほど、ヴァイオリンからコントラバスまで音の飛び散りが花火をかたちづくる。クライマックスのメロディのズレもこのバージョンの聴かせどころだ。

「Kids Return」フルオーケストラにも引けを取らない重厚さがいい。伴奏の弦楽の刻みのズレが元に戻っていたり(1:10~)、ここでもピッツィカートがこんなに四方に迸っていたとは(2:45~)、セッション録音でしか味わえない若い音像のハリ・ツヤをみせつけられる。Live版よりもテンポはしっかり抑えて保たれている。たぶんこの曲は聴く人や聴くタイミングによって体感が変わってくる。だから、ライヴらしい疾走感を収めたLive版も美味しいし、そのとき自分らしい青春を彩ってくれそうな本盤の演奏もまた美味しい。

 

海外での北野武監督の絶大な人気の追い風もあって、海外コンサートでも人気プログラムなこの3曲。EPは記念盤/限定盤となっているが、音楽ストリーミングサービスでもワールドワイドに楽しめるのは感謝の極み。おめでとうとありがとうのどちらを先にどちらを強く言ったらいいのかわからなくなってしまう。もちろん知ってますよのこの曲たちをぜひ新曲のように聴いてみてほしい。きっと青春が立ち上がってくるはずだ。Mládí Hurá!! ムラーディー万歳!!

 

 

キタノブルーの時代を象徴するように青い円盤で届けられた。

 

 

 

Side A
01. Summer(映画『菊次郎の夏』より)
02. HANA-BI(映画『HANA-BI』より)

Side B
03. Kids Return(映画『キッズ・リターン』より)

 

 

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