2023年9月9日 世界初演
2023年9月9,11日開催「新日本フィルハーモニー交響楽団 第651回 定期演奏会」にて世界初演。
以降も日本公演や海外公演でもたびたび演奏されている。作品名はプログラムによって「Adagio for Strings and Two Harps」と表記されている場合もある。
Adagio for Two Harps and Strings
2023年新日本フィルハーモニー交響楽団からの委嘱で、9月9日トリフォニーホール、11日サントリーホールの第651回定期演奏会のために作曲した。
自らマーラーの交響曲第5番を指揮するのでその前に演奏することになる。マーラーの楽曲は全5楽章からなり、約1時間10分を要する大曲である。第4楽章のアダージェットが映画『ベニスに死す』などにも使われとても有名で、マーラーの交響曲の中でも最も人気が高い作品である。
当然僕としてはそれを意識した上で2023年7月末から作曲を開始した。7月はワシントン・ナショナル交響楽団を含む3つのオーケストラですべて異なるプログラムを行った直後なので、かなり疲れたため困難な状況だったが、東京から離れた仕事場で8月10日までに大方の作曲を終了し、東京で仕上げに取り組み8月15日に完成した。異例の速さだったが、これはとても幸運だったとしか言いようがない。
漠然と「マーラー”アダージェット”の久石版が書ければ」と考えていたのだが、詰まるところは遅いテンポの楽曲を書きたかったということである。
ミニマル系の作曲ではリズムがメインになるのでスローな曲は得意ではない。特にアメリカ系のミニマル作品には少ない。僕の作品でも遅い楽曲はあまり多くないので、今回チャレンジしようと考えた。また、マーラーの楽曲と一緒に演奏するのはそれなりのプレッシャーがかかるのだが、幸い上記のスケジュールをひたすらこなして目の前のことに集中したため、順調に仕上がったわけである。
だが、完成したスコアを見るとかなり細かい音符もあり演奏は決して楽ではない。
編成は2ハープとストリングスでほぼマーラーの”アダージェット”と同じで(ハープが1台僕の曲では多い)約12分半の長さになった。出だしのハープの音形は半音高いが、マーラーからの引用で、もちろん敬意を込めての使用である。
論理的に構成しているつもりであるが、結果として大らかな自然と人への讃歌であり、祈りでもあれば、と願っている。
久石譲
(9月6日公式サイトPDFにて公開/9月9,11日会場配布プログラム冊子 より)
レビュー
- Overtone.第97回 「久石譲指揮 新日本フィル 第651回定期演奏会」コンサート・レポート by ふじかさん
- Overtone.第96回 「久石譲指揮 新日本フィル 第651回定期演奏会」コンサート・レポート by tendoさん

