Info. 2018/09/26 中国で邦画人気高まる 音楽、原作書籍など幅広く (日本経済新聞より)

ASIAトレンド 中国で邦画人気高まる 音楽、原作書籍など幅広く

「アンコール。もう1曲演奏してほしい」。13日夜、中国内陸部の重慶市中心部に位置する人民大礼堂。通常は同市の議会に相当する人民代表大会の開幕式など政治イベントに使われることが多いホールで、日本の音楽家、久石譲氏がオーケストラを率いてアニメ映画「となりのトトロ」のテーマ曲を奏でた。終わると同時に、約3000人に達した満席の来場者からスタンディングオベーションが巻き起こった。

久石氏は重慶だけでなく、四川省成都市や広東省深圳市といった地方都市でも演奏会を開き、成功を収めた。久石氏の人気の理由は宮崎駿氏らが監督を務めたスタジオジブリの映画音楽を手掛けたことだ。中国ではジブリ映画のファンが多く、重慶での演奏会の曲目も半分近くは映画で使われた楽曲が占めたという。

アニメの人気は中国でも根強い。中国で2016年12月から公開されたアニメ映画「君の名は。」は興行収入が邦画として過去最大となり、5億元(約80億円)を超えた。中国政府は国内で上映する外国映画の本数を制限している。日中関係が冷え切った時期は邦画公開を認めなかったが、15年から徐々に回復させ、「君の名は。」は邦画の存在感を高めた。

今年は日中平和友好条約の締結から40年の節目の年。日中関係改善が追い風になり、中国で公開される邦画は増える傾向だ。1月から9月までに邦画が約10本公開され、業界関係者は「近年では過去最高を更新するペースだ」という。

9月までに最もヒットした映画は根強い人気を持つ「ドラえもん」シリーズ。6月に公開され、興行収入は2億元を超えた。中国や米国のヒット映画は興行収入が10億元を超えるだけに観客動員数では及ばないが、邦画はアニメだけにとどまらず、ジャンルは多彩になっている。

その代表格はカンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞「パルムドール」を受賞した「万引き家族」。7月に中国で上映され、興行収入は約1億元に達した。9月には日本でも話題となった「DESTINY 鎌倉ものがたり」や「君の膵臓をたべたい」が相次ぎ公開された。

日本映画について北京のネット企業に勤める範香さん(29)は「日常生活の悩みや楽しさが描かれていることに共感できる」と話す。

人気は映画の興行だけにとどまらず、中国の書店には原作などの関連書籍が並ぶ。「君の名は。」の映画音楽を手掛けた日本のロックバンド、RADWIMPSも8月に成都などでライブを開催。映画で使われた「スパークル」や「前前前世」などを演奏して会場の若者らを沸かせた。

(重慶=多部田俊輔)

2018/9/26付 日本経済新聞 朝刊

 

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