Posted on 2022/08/18
新日本フィルハーモニー交響楽団の2023/2024シーズンプログラムが発表されました。2020年9月Composer in Residence and Music Partnerに就任した久石譲です。昨シーズンに続いて定期演奏会に複数回登場します。そのなかの一公演になります。
2023.09.11 update
Program Notes
久石譲:Adagio for 2 Harps and Strings
2023年新日本フィルハーモニー交響楽団からの委嘱で、9月9日トリフォニーホール、11日サントリーホールの第651回定期演奏会のために作曲した。
自らマーラーの交響曲第5番を指揮するのでその前に演奏することになる。マーラーの楽曲は全5楽章からなり、約1時間10分を要する大曲である。第4楽章のアダージェットが映画『ベニスに死す』などにも使われとても有名で、マーラーの交響曲の中でも最も人気が高い作品である。
当然僕としてはそれを意識した上で2023年7月末から作曲を開始した。7月はワシントン・ナショナル交響楽団を含む3つのオーケストラですべて異なるプログラムを行った直後なので、かなり疲れたため困難な状況だったが、東京から離れた仕事場で8月10日までに大方の作曲を終了し、東京で仕上げに取り組み8月15日に完成した。異例の速さだったが、これはとても幸運だったとしか言いようがない。
漠然と「マーラー”アダージェット”の久石版が書ければ」と考えていたのだが、詰まるところは遅いテンポの楽曲を書きたかったということである。
ミニマル系の作曲ではリズムがメインになるのでスローな曲は得意ではない。特にアメリカ系のミニマル作品には少ない。僕の作品でも遅い楽曲はあまり多くないので、今回チャレンジしようと考えた。また、マーラーの楽曲と一緒に演奏するのはそれなりのプレッシャーがかかるのだが、幸い上記のスケジュールをひたすらこなして目の前のことに集中したため、順調に仕上がったわけである。
だが、完成したスコアを見るとかなり細かい音符もあり演奏は決して楽ではない。
編成は2ハープとストリングスでほぼマーラーの”アダージェット”と同じで(ハープが1台僕の曲では多い)約12分半の長さになった。出だしのハープの音形は半音高いが、マーラーからの引用で、もちろん敬意を込めての使用である。
論理的に構成しているつもりであるが、結果として大らかな自然と人への讃歌であり、祈りでもあれば、と願っている。
2023年8月 久石譲
[楽器編成] ハープ2、弦楽5部。
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
相場ひろ(音楽評論)
(9月6日公式サイトPDFにて公開/9月9,11日会場配布プログラム冊子 より)
公式サイト:第651回定期演奏会とすみだクラシックへの扉第17回(2023年9月)のプログラムノートを公開 – 新日本フィルメディア
https://www.njp.or.jp/magazine/?p=1998
from 新日本フィルハーモニー交響楽団公式ツイッター
2023.09.08 update
アーカイブ配信決定しました。
配信期間
2023年9月16日(土)10:00〜9月29日(金)
2023.08.14 update
新日本フィル公式ツイッターより発表されました。
久石譲:「Adagio for 2 Harps and Strings」(世界初演)
「音楽の友 2023年8月号」(7月18日発売)久石譲インタビューなどでも新作の構想について語っています。
(up to here, updated on 2023.08.16)
新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 #651
[公演期間]
2023/09/09,11
[公演回数]
2公演
9/9 東京・すみだトリフォニーホール
9/11 東京・サントリーホール
[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
[曲目]
久石譲:Adagio for 2 Harps and Strings *世界初演
—-intermission—-
マーラー:交響曲 第5番 嬰ハ短調
公演詳細・チケット:新日本フィルハーモニー交響楽団|#651〈トリフォニーホール・シリーズ〉
https://www.njp.or.jp/concerts/230909
公演詳細・チケット:新日本フィルハーモニー交響楽団|#651〈サントリーホール・シリーズ〉
https://www.njp.or.jp/concerts/230911
公式サイト:久石譲コンサート|久石譲×マーラー
https://joehisaishi-concert.com/mehler-2023/