Posted on 2022/10/23
ふらいすとーんです。
Overtone モチーフです。
きれいに考えをまとめること、きれいに書き上げることをゴールとしていない、メモのような雑文です。お題=モチーフとして出発点です。これから先モチーフが展開したり充実した響きとなって開けてくる日がくるといいのですが。
モチーフ「赤い袖先 The Red Sleeve OST」
韓国ドラマ『赤い袖先 / The Red Sleeve』です。2021年11月~2022年1月まで放送、2月に韓国でサントラ発売。春くらいまでずっと聴いてました。今年のマイベスト10に入る勢いキープしてます。メインテーマやモチーフのバリエーション(変奏)三昧でおもしろくておもしろくてほっぺが落ちる。6月に日本でサントラ発売、同時か時間おいてかデジタルリリースもされて、やっと広く聴ける紹介できるようになりました。
韓国エンタメの勢いを感じます。韓国映画や韓国ドラマが次々と世界で大ヒットしています。世界に照準を合わせたその戦略は、脚本・演技・カメラワーク・セット・CG・編集、そうそして音楽、すべての制作パーツの水準を上げることになるからです。音楽以外の分野のことは全くわかりませんが、欧米からそして日本から大ヒット作や注目作を相当に研究している。うまく取り入れている。
ということは、映像音楽を日本の作曲家から学ぼうとしたときに、まず名前が挙がるのは久石譲 JOE HISAISHIに違いない。実写からアニメーションまで幅広く手がけていないジャンルはないに違いない(否定の連打は肯定)。この作品は歴史ロマンスというこもとあってオリエンタルのテイストもいる。そうじゃなくても同じアジアだし久石譲感あるものいてしかり、かなり楽しいサントラです。
赤い袖先 オリジナル・サウンドトラック
The Red Sleeve Original Soundtrack
1. ドクイム、愛 (Main Theme)
from Official Audio, YouTube
イントロから久石みましまし。チャーミングでぬくもりのあるメインテーマです。00:30-くらいがそのメロディ、この短いワンテーマからできています。この1曲だけでワクワク突っ込みたいところ全開なんだけど先に進める。
2.灯火と子ども二人
イントロもメインテーマからのどかに、そしてメインテーマのバリエーション。00:40-のフルートに始まる木管で軽やかな蝶のようです。クレジットを見ると作曲者が違う、チームで音楽制作しているんです。同じメインテーマをもとにして各々が彩りを加えている。
01:40-くらいから曲想が展開して第2テーマみたいになります。そしてこれがまたさらにバリエーションを生んでいくことになる。作曲者間でバトンリレーされたメインテーマが、さらに違うアイデアを得て、新しい主要テーマが生まれて、どんどん広がり発展していく。
3.語り部 幼い宮女
英語のタイトルは「Faily Tale」となってたと思いますけど、なんとも羽ばたくメルヘンです。00:40-くらいからのびのびとフルート歌っています。01:30-くらいからまた違う感じでバリエーションしています。この曲は2曲目と同じ人ですけど、02:00-くらいからまた新しい曲想を生んだりして。
ここがこの作品のキーポイントです。チームで制作する方法は、作曲家ごとに得意なカラーを打ち出して全体をコンピレーションみたくするのはよくある。ジャンルもテイストもバラエティパックのようなもの。でも、曲想や楽器といったカラーを統一したなかで、かつ、メインテーマを軸にして作曲家たちがバリエーション(変奏)で競演している。この方法はなかなかない。もうおもしろくてしょうがない。まだ3曲目ですよ。
『肩の上の蝶 / Rest on Your Shoulder』っていう久石譲が音楽を担当した中国映画があって…サントラないか…先に進める。
8.東宮の書庫
ハープもストリングスも、リズミックな音型が久石さん好きにはたまらない。『花戦さ』っぽくていいよねと違和感なく聴きすすめる。おっと最後01:15-くらいから第2テーマの変奏みたいなのが登場します。2分足らずの曲なのに耳が名残惜しそう。
11.寵愛を受ければよい
英語のタイトルは「Destiny」だっと思いますけど、そっちのほうが曲にあってます。ストーリーからみたらどちらも正解。ぐっとくる1曲。力込めて盛り上がってくる01:55-くらいなんて聴きどころですね。時代に翻弄される感じ。ここで高音ヴァイオリンの下で鳴っている中弦の対旋律は、上で紹介した「2.灯火と子ども二人」01:50-のオーボエの旋律からのバリエーションだったりします。同じ作曲者による。
こうやってメインテーマから派生して新しい展開を加えた曲、その第2テーマを使って、その第2テーマのパートから旋律の一部をうまく使って、その第2テーマのパートから旋律の一部を対旋律として支える役割で。チームプレーかたい。
16.英祖、怒り
歴史ものらしい重みのある曲。『太王四神記』を思い起こしそう。似てるマネしてるそういうことが言いたいわけじゃない。好きなテイストの曲がさらに広がって聴ける喜びってある。世界共通のヒサイシズム。
21.謎
ミステリアスな雰囲気をまとったメインテーマです。ハープ、グロッケンと反復音型を幾重にも散りばめてるものそうだし打楽器群の使い方もそうだし、うまいなあ。後半に進むにつれ久石成分多め。
25.ドクイム、運命
CDサントラ終曲。きれい。もうメインテーマは覚えましたか?オーボエ?チェレスタ? いやあほんと、曲のもっていきかたが、楽器の使い方が、シンセサイザーのなじませ具合が、対旋律の絡ませかたが。美味しすぎてお腹いっぱいごきそうさまでした。これをもって久石譲を研究してないといえようか。01:40-ああ、万感の主旋律×対旋律よ。
まだある?
(Bgm) The Red Sleeve OST || 70. Noh Hyung Woo – San, The Moment (노형우 – 산, 순간)
from Viet Tam Tran
これはTrack.70「San, The Moment」という曲です。70曲目?! CD1に18曲(SongとInst.ver)CD2に25曲(BGM)なんですけど、いち早く韓国でリリースされたデジタル限定版には8曲(Song)と71曲(BGM)というのがあります。だから本当は25曲目で終わりじゃなくてそのさき怒涛のバリエーションが続く、日本ではあまり聴けない、残念、入手方法知りたい人は要相談、さておき探せばあるかもしれません、どうかな。全部聴こうと思ったら4時間25分あります要時間。ドラマで使った曲全部入れた?
00:40-くらいからピアノで切なく。あの高揚感いっぱいの1曲目メインテーマが、長い長い物語のエンディングには、こんなにしっとりとやさしく涙に濡れるよう。メインテーマ作曲者ですけれど、他の作曲者たちが紡いできたメロディたちも織りなす。人生の黄昏。どうしても紹介したかったのでun-officialゴメンナサイ。
魅力の半分も広げれてないけど、そのエッセンスはたっぷりお伝えできたと思います。
参考:
赤い袖先 オリジナル・サウンドトラック | HMV&BOOKS online – KICS-4056/7
https://www.hmv.co.jp/artist_TV-Soundtrack_000000000029998/
赤い袖先 (袖先赤いクットン) | HMV&BOOKS online – L200002344
https://www.hmv.co.jp/artist_TV-Soundtrack_000000000029998/item
*日本/韓国 2CD 全43曲(2022.6)
*韓国限定デジタル版 全79曲(2022.1)は日本リリースされていない
Overtone モチーフは、モチーフの範囲を越えたり広がったりしてはいけない。そうらしいので、言い足りないことをメモ書してまたいつか。
サントラのチーム制作のかたち(バラエティパックorシェア)/Symphonic Variation “Merry-go-round”はすごい/久石譲は変奏の魔法使い/韓国でも大ヒットした映画『君の名は。』後の音楽的影響/海外サントラは名前で聴かないからおもしろい(作曲家の名札で聴かない)/純粋な音楽センサーで好きなものをキャッチする楽しさ
そんなモチーフでした。
それではまた。
reverb.
WOWOW(10/28- 全17回)TV初放送も始まります。
*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number]
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