Overtone.第88回 久石譲を短歌で詠む 100 其ノ二

Posted on 2023/01/05

ふらいすとーんです。

久石譲を短歌で詠む、気ままにツイートしていたものがまた百首たまりました。前回は令和になった2019年5月から2020年9月まででした。今回は2020年10月から2022年11月までになります。ひとつでもおもしろいものがあったならうれしいです。

 

 

久石譲を短歌で詠む

“Silence”深い夜へと誘うは
ピアノの音と秋の静けさ

ミニマルのモザイクたちは踊りだし
次元を狂わす”DA.MA.SHI.絵”となり

この曲はどこにも売ってないみたい
そう思いつつ何度も探す

新曲だ好きになったりするのかな
瞬殺速効ノックアウト

ティンパニのドの音大地に響くとき
“風の伝説”はじまりの音

赤ワイン”il Porco Rosso”(マルコとジーナ)くゆらせて
大人の恋と背伸びした日

ハンマーの打つ鋼の弦はりつめて
凍てつく愛は狂おしく”EVE”

しぶきあげ渦まく白波ほとばしり
“男たちの大和”にふるえ

海走る電車にたゆたうピアノの音(ね)
ゆらめいている”6番目の駅”

“Silencio de Parc Güell”雲うつり
(シレンシオ・デ・パルク・グエル)
静けさこのむ初秋の一日

 

十一

ミニマルなつくつく法師の鳴き声は
ひとつふたつと音が減りゆく

ひとしきり泣いてすっきりしたあとは
かなしい曲もやさしく聴こえ

たちまちに心の乾き潤して
ピアノの音と涙おちる音

そんなにがんばらなくてもいいんだよ
寄り添う音は強くやさしい

小気味よく泡は踊り弾け飛び
“Dream More”と酒くみかわし

転調の美しさふと音はこぶ
風を感じるときの快感

引っ越す日思い出だらけの部屋のなか
くすんだ壁に沁みこんだ曲

“星の歌”メロディ追いかけ絡みあい
分かれ降るさま流星群かな

“ひまわりの家の輪舞曲(ロンド)”に母の影
涙でぼやけた空はやさしい

ちょっと目を離した間にすやすやと
おやすみなさい”ポニョの子守唄”

 

二十一

似合わない服はいっぱいあるけれど
あなたの曲はどれも似合うと

“DA・MA・SHI・絵”の対向配置のミニマルに
音の渦まくLとR

“Spring”流れて映る風景に
今年もちゃんとつかまえた春

葉桜に少しなじんだスニーカー
爽やか軽やか”Spring”聴く

春の音つかまえたくてシャッターを
切っておさめてそれ貼るノート

夜が夜らしい色した時代には
”夢の星空”輝いている

新しい譲報みつけスマホ越し
こぼれる笑みを隠しきれない

夏祭りなくても着るよ夏だもん
浴衣姿のおうちで”Summer”

この曲のスイッチ押せば再起動
頭すっきり動き出せる

どの曲も知ってるつもりだったけど
ベスト盤聴き…そうでもなかった

 

三十一

あの曲はほろ酔い注意と知りながら
ひとりよがりのノスタルジック

キラキラの鈴とツリーが奏で合う
ハンドベルのジブリ曲たち

空みあげ鳥たち渡る雲間から
“Stand Alone”光の綾織り

澄みきった静寂ふるえ息をのむ
“TENCHIMEISATSU”満天の星

富士山の湖畔に映るシンメトリー
波紋に浮かぶミニマルのズレ

エモい、よき、わかりみ深い、すこ、(語彙力)
ほぼほぼ通じる控えめに言って

ネクタイの裏に指揮棒忍ばせて
休憩室のエアマエストロ

気の抜けた炭酸のような日もあって
みなぎる曲で気を送りこむ

好きな曲奏でるファンの音(おん)返し
いろんな楽器思い思いに

空翔ける龍の背に乗り流れゆく
“千尋のワルツ””ふたたび”会えたね

 

四十一

今を生き共に生きたるその先の
希望をみせる”アシタカとサン”

“冬の夢”雪しんしん降りてゆく
ピアノとチェロの音に暖とる

白銀の歌とピアノと弦楽と
”遠い街から”あの冬想う

極上の冬の魔法かけられて
”白い恋人たち”の結晶

ロンドンの”Sweet Christmas”な夜
大きな鐘と響きわたって

世界中星降る聖夜あたたかい
“White Night”願いをこめて

あたらしき年の初めの一曲は
久石譲の一択しかない

初夢の一富士二鷹三茄子
四回行けた弾き振り見れた

初夢の一富士二鷹三茄子
四枚フラゲ メガジャケ飾る

初夢の一富士二鷹三茄子
第四シンフォニーも現る

 

五十一

初夢の一富士二鷹三茄子
一気に四までCM曲集

初夢の一富士二鷹三茄子
WORKS V すごい選曲

初夢の一富士二鷹三茄子
“Mt.Fuji”はいつ会えるかな

ふるさとの忘れたくない光景と
街の匂いが音に溶け合う

また来るねぱっと花咲く”Spring”
ふれあい過ごした新春のとき

好きな子のイヤホン越しにすれ違い
聴こえた曲に好きが上がった

追想とピアノアルバム流れゆく
無音の雨を眺める車窓

ただずっと眺めていたい画があって
ただずっと聴くジブリの世界

ショータイム指揮とピアノの二刀流
演奏会が歓喜に沸いた

乾杯と”Dream More”にプレミアム
多重奏な会話も弾み

 

六十一

どこまでも開放的なその音に
がんじがらめの心ほどける

しんどくて眩しすぎると塞いでも
音を浴びたいときは来るから

言い尽くすことなんてできやしないと
わかってるけど言葉さがして

音楽を三十一(みそひと)文字に込めること
言葉と気持ちに向き合う時間

いっせーの!白いマスクを放り投げ
ハトの飛び立つ共に歌おう

みなみんな欲張らないで空ひとつ
“World Dreams”希望の鐘を

“Spring”待ちわび願い春何処
1オクターブ越えていきたい

満開の桜の下を舞うように
”春のめぐり”に”春のワルツ”

“はじまり”はなよたけ調べとわらべ唄
音で紡いだかぐや姫のとき

ラピュタにもトトロにもある樹の曲と
鳥を遊ばせ風を誘う樹

 

七十一

あの青い空のむこうをさがしては
ラピュタ雲だと子供らの声

五線紙に込める想いのグラデーション
歌い継がれるジブリソングス

ときめく日上昇気流をつかまえて
”空中散歩”で心浮き立つ

雨の日のふたりっきりのバス停に
”トトロ”の気配ミニマルリアル

あの人の棲む国”募る思い”馳せ
パラレル架けるふたつの心

くつろいで音楽だけあるマイタイム
なにもしない時間を楽しむ

音楽をのぞきかきわけつかまえて
言葉の糸をたぐりよせてく

大それた願いでしょうか生き生きと
”World Dreams”平和を呼吸す

待ちわびた夏恒例のコンサート
いつも熾烈なイス取りゲーム

君とすぐこんなに仲良くなったのは
あの曲あたりがきっかけだったね

 

八十一

この盤は忘れえぬ人呼び起こす
あの時のままあの音のまま

いつもとは違うところに着きそうで
切符片手に”6番目の駅”

”あの夏へ”紡ぐいのちのアルペジオ
ピアノのふるえ遠く彼方へ

選りすぐりワールドベスト浴びたなら
ファンにならないことがむずかしい

出会う前出会ってからのファン歴と
ワールドベスト君を巡る日

一度でも生演奏にふれたなら
言葉にならないため息しかない

ピアノ弾く世界にひとつだけの音
なにが違っているのでしょうか

ひと抱えプレイリストに集めたら
わたしの秋をコンシェルジュする

“Silence”モノクロームなピアノから
色合い豊かなオーケストラに

“Sunday”と秋空薫るエレガンス
いいことありそう聴けば吉日

 

九十一

秋心揺らす”旅情”のモノローグ
ふと行間を語りはじめる

“ETUDE”の回りつづける音盤と
月のきれいな長い夜に

少しだけ遠回りした散歩道
好きな曲聴く風のいい夜

ポケットの音楽先に秋となり
風や景色はゆっくり追いつく

“The Black Fireworks”燻らせて
ビターな秋に濃いめのチェロと

目のまえを風がさらっと譜読みして
まだ弾けてない僕を抜き去る

“Drivung to the Future”マリンバの
速度で駆けてきみに会いたい

教室の窓が切り取る夏空は
“Summer”すぎるとチャイムが鳴った

校庭の脇に並んだひまわりに
“Summer”を返し忘れた二学期

鮮やかに秋めく私の住む町に
“Oriental Wind”みつけた

 

 

以降も、新しい短歌は気ままに #久石譲を短歌で詠む でツイートしています。

 

 

なぜ短歌をはじめたのか?/久石譲短歌のルール?/リズムを味わう/短歌は”いま”を詠む、などはこちらに一緒に記しています。

 

また次の「久石譲を短歌で詠む 100」がいつかできますように。日めくりカレンダーのように365首をめざしてもおもしろそう、なんて思ったらあと3年くらいかかりそうです。

それではまた。

 

reverb.
令和の時代を久石譲で詠んでいるみたい

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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