Info. 2015/06/24 福田進一×荘村清志『DUO』CD発売 久石譲委嘱作品収録

2015年6月24日 CD発売 『DUO』 福田進一×荘村清志

久石譲が2012年「第7回 Hakuji ギターフェスタ」のために書き下ろした、ギターデュオのための委嘱作品『Shaking Anxiety and Dreamy Globe』を初CD化。今年2015年「第10回 Hakuji ギターフェスタ」でも再演予定で、もちろんオリジナル・プレーヤーである2大ギタリストによる録音。

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Info. 2015/06/23 [CDマガジン] 「クラシック プレミアム 39 ~ドビュッシー~」 久石譲エッセイ連載 発売

2015年6月23日 CDマガジン 「クラシック プレミアム 39 ~ドビュッシー~」(小学館)
隔週火曜日発売 本体1,200円+税

「久石譲の音楽的日乗」エッセイ連載付き。クラシックの名曲とともにお届けするCDマガジン。久石による連載エッセイのほか、音楽評論家や研究者による解説など、クラシック音楽の奥深く魅力的な世界を紹介。

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Blog. 「クラシック プレミアム 38 ~ヴァイオリン・チェロ名曲集~」(CDマガジン) レビュー

Posted on 2015/6/21

クラシックプレミアム第38巻はヴァイオリン・チェロ名曲集です。

まったくの余談ですが、久石譲が初めて習った楽器がヴァイオリン、4歳から鈴木鎮一ヴァイオリン教室に通っていました。ちなみに今やピアニストとしても独特の世界観を響かせていますが、実はピアノをきちんと習い始めたのは30歳を過ぎてから。コンサートなどでの演奏に必要になってきたためという理由からだそうです。意外といえば意外ですね。

 

 

【収録曲】
タルティーニ:ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ト短調 《悪魔のトリル》 (クライスラー編曲)
アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)
ジェイムズ・レヴァイン指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音/1992年

ベートーヴェン:《ロマンス》 第2番 ヘ長調 作品50
チョン・キョンファ(ヴァイオリン)
チョン・ミュンフン指揮
フィルハーモニア管弦楽団
録音/1996年

サン=サーンス:《ハバネラ》 作品83
ジャニーヌ・ヤンセン(ヴァイオリン)
バリー・ワーズワース指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
録音/2003年

ドヴォルザーク:《ユモレスク》 変ト長調 作品101の7
アルテューユ・グリュミオー(ヴァイオリン)
イシュトヴァン・ハンデュ(ピアノ)
録音/1973年

サラサーテ:《ツィゴイネルワイゼン》 作品20
アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)
ジェイムズ・レヴァイン指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音/1992年

エルガー:《愛の挨拶》 作品12
クライスラー:《愛の喜び》 《愛の悲しみ》
チョン・キョンファ(ヴァイオリン)
フィリップ・モル(ピアノ)
録音/1985年

カタロニア民謡:《鳥の歌》 (カザルス編曲)
ミッシャ・マイスキー(チェロ)
パーヴェル・ギリロフ(ピアノ)
録音/1987年

シューマン:《アダージョとアレグロ》 変イ長調 作品70 (グリュツマッハー編曲)
ピエール・フルニエ(チェロ)
ラマール・クラウソン(ピアノ)
録音/1969年

フォーレ:《エレジー》 作品24
ミッシャ・マイスキー(チェロ)
セミヨン・ビシュコフ指揮
パリ管弦楽団
録音/1991年

フォーレ:《夢のあとに》
ミッシャ・マイスキー(チェロ)
ダリア・オヴォラ(ピアノ)
録音/1999年

 

 

「久石譲の音楽的日乗」第37回は、
指揮者のような生活

前号では、4月に開催されたイタリアでのスペシャルコンサートのお話でした。前々号で、指揮者ドゥダメルの演奏会のことを記していたのですが、そこからの続きになります。5月に開催された富山コンサートのことにも触れていて、演奏会を聴いて感じていたことが、謎が解けました。そんなお話になっています。詳細は順を追って。

一部抜粋してご紹介します。

 

「先日、一連の指揮活動が終了した。イタリアから始まり、すみだトリフォニーホールでのシェーンベルク《浄められた夜》、アルヴォ・ペルトの交響曲第3番を経て、リニューアルされた富山県民会館でのこけら落としコンサート(日本での演奏はいずれも新日本フィルハーモニー交響楽団)まで、なんだか指揮者のような生活を送ってきた。」

「演奏するのはまあ嫌いではないのだが、前にも書いたようにまったく作曲ができなくなるのは痛い。それはそうだ、頭の中で《浄められた夜》のような凄まじく難しい楽曲が鳴りまくっていたら、自分の音符なんて浮かんで来るわけがない。作曲のために徐々に減らしていこうと思うのだが、夏からまたコンサートが始まる。ありがたいことではあるが……複雑な心境だ。」

「富山ではドヴォルザークの交響曲第9番《新世界より》を演奏した。最もポピュラーなクラシック曲だ。オーケストラのレパートリーとしても演奏頻度が高く、場合によってはゲネプロ(当日の全体リハーサル)のみで、本番に臨むというケースさえあるらしい。だからといって易しいとは限らない。シンプルで力強い美しいメロディーの後ろで、各楽章とも変化に富んでいるうえにしっかり構成されていて、思いのほか手強い。前々回に書いたドゥダメル&ロサンゼルス・フィルでも演奏されていたが、その明確な構成力と躍動感に溢れるリズムに圧倒された。スケジュールが込んでいてなんとなく選んだ《新世界より》がまったく別の楽曲に聞こえ、思わず客席で背筋が伸びた。それから合間を縫って今までの方法を改め、猛特訓、いや猛勉強したのだが、スコア(総譜)を読めば読むほど、スルメのように味が出てくる。ドヴォルザーク本人もそれほどの大作に挑んだ(もちろん45分以上かかる楽曲だから大変な労力を必要とするが)と思っていなかったようだが、だからこそ力が抜けて音たちはとても自由に動いている。このことは重要だ。他の芸術でもスポーツでも思い入れが強すぎたり、気合いが入りすぎると力は発揮できない。指揮でいうと力んだ腕をどんなに一生懸命に振ってもスピードは出ないし、他の筋力を巻き込んで軸がぶれたり、頭を前後に大きく振ったりで、自分が頑張っていると思うほど演奏者には伝わっていない。ゴルフでいうところのヘッドアップと同じだ。力みをとる-あらゆる分野で最も大切で、最もできないことかもしれない。」

「だが、それより重要なことがある。結局のところ、どういう音楽を作りたいか明確なヴィジョンを持つことに尽きる!と僕は考える。」

「NHKのクラシック番組で、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、NHK交響楽団の演奏でショスタコーヴィチの交響曲第5番の演奏を聴いた。この楽曲については前にも触れているので多くは書かないが、一応形態は苦悩から歓喜、闘争から勝利という図式になっているが、裏に隠されているのはまったく逆であるというようなことを書いたと思う。パーヴォ・ヤルヴィの演奏はその線上にあるのだがもっと凄まじく、この楽曲を支配しているのは恐怖であり、表向きとは裏腹の厳しいソビエト当局に対する非難であると語っていた。第2楽章がまさにそのとおりでこんなに甘さを排除したグロテスクな操り人形が踊っているような演奏は聴いたことがなかったし、第4楽章のテンポ設定(これが重要)がおこがましいが僕の考え方と同じで、特にエンディングでは、より遅いテンポで演奏していた。だから派手ではないが深い。」

「彼はエストニア出身、小さい頃はソビエト連邦の支配下にあったこの国で育った。父親は有名な指揮者でショスタコーヴィチも訪ねてきたときに会ったくらいだから、この楽曲に対する思いは尋常ではない。明確なヴィジョンを持っている彼にNHK交響楽団もよく応え、炎が燃え上がるような演奏だった。」

「ついでにいうと作曲家アルヴォ・ペルトさんも同じエストニア出身だ。若い時は十二音技法やセリー(音のさまざまな要素を音列のように構築的に扱う作曲技法)で作曲していたがソビエト当局の干渉で禁止され、教会音楽などを研究していく中で今の手法を考えだした。今では世界中で最も演奏される現代の作曲家なのだがCDも多く出ていて、その中で一番おすすめなのがパーヴォ・ヤルヴィだ。同じ国の出身、深い共感が良い音楽を作る。」

「以上数回にわたって指揮活動を中心にした音楽的日乗を綴ってきた。」

「それにしても、クラシック音楽はいい。目の前でオーケストラが一斉に音を出すのを聴いていると(これは指揮者の特権)、人類は偉大なものを作り上げたと驚嘆する。そのクラシック音楽は、いやクラシックだけではなく他の分野の音楽も含めて、我々はどういう進化を遂げてこういう形態に至り、これからどういう音楽を作り上げていくのか考えてしまう。つまり画家のゴーギャン風にいうと「我々はどこから来て、どこへ行くのか!」ということだ。次回からはいよいよ本題「音楽の進化」について書く。」

 

 

補足しますと、指揮者パーヴォ・ヤルヴィさんは、2015年9月からNHK交響楽団の首席指揮者に就任予定です。それもあって2014年あたりから歴代の作品が一気にCD再発売されています。2000年録音のアルヴォ・ペルト:「スンマ」「交響曲第3番」を収めたものなど多数あります。

せっかくなので、久石譲も過去に取り上げたことのある、この「スンマ」「交響曲第3番」が収録された、CDを買って聴いてみたいと思っています。久石譲の解説で俄然興味も湧いたアルヴォ・ペルト(作曲)×パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)という組み合わせで。

 

 

もうひとつ。ドヴォルザーク 交響曲第9番 《新世界より》について。5月開催コンサート「久石譲&新日本フィルハーモニー交響楽団 富山特別公演」での演奏を聴いたときに、えらく緩急のメリハリがしっかりした構成になっていたということはレポートで書きました。

こちら ⇒ Blog. 「久石譲&新日本フィルハーモニー交響楽団 富山特別公演」 コンサート・レポート

 

コンサートに臨む前に、予習もかねて名盤と評されているCDをいくつか聴いていたのですが、もちろん久石譲もCD作品化していますが、聴いていたどの盤にもないテンポ感だったので、非常に強烈に印象に残り、レポートにそのことを記した記憶があります。

その後、このクラシックプレミアム・エッセイにてドゥダメル指揮の《新世界より》を聴いてきたという久石譲の話があったので……

こちら ⇒ Blog. 「クラシック プレミアム 36 ~ビゼー~」(CDマガジン) レビュー

 

もしや!と思い、ドゥダメル指揮の同楽曲音源を探しに探して聴くことができたのですが・・やっぱりっ!という結論でした。久石譲も今号エッセイにてはっきりと綴っているので、疑問から推測が確信へと変わりました。ドゥダメル盤新世界よりと、最新の久石譲盤新世界より。

こうやっていろいろなキーワードやパズルのピースのようなものをたよりに、推測したり時系列で整理したりするのは非常に楽しいですね。おかげで「交響曲第9番 新世界より」はここ数ヶ月のあいだに、何十パターン(指揮者違い,オケ違い,録音年違いなど)聴いただろうと思います。そして自分だけのお気に入りの盤を見つけたときの喜びです。

 

ほんとうにクラシック音楽って、指揮者、演奏者、録音年代、録音場所などで、同じ楽曲でもまたと同じものはないというくらい、全然響きも印象も感動も違います。そして一番感動するのは、どんな名盤をCDなどで聴くことよりも、実際にコンサート会場で体感することだな、ということを痛切に感じているのも事実です。

だいぶんクラシック音楽に対する見方が変わってきたのは、このクラシックプレミアムのおかげなのか、久石譲の同雑誌内エッセイのおかげなのか、はたまた久石譲コンサートでクラシック音楽を聴くことが定着したからなのか…全50巻、2年越しの「クラシックプレミアム」も、7-8合目くらいです。

 

 

クラシックプレミアム 38 ヴァイオリン・チェロ名曲集

 

Blog. 「週刊文春 2015年4月30日号」コーナー「時はカネなり」 久石譲 インタビュー内容

Posted on 2015/6/13

雑誌 週刊文春 2015年4月30日号にて「時はカネなり」のコーナーに久石譲が登場しました。巻末カラーということで、愛用の腕時計や財布がエピソードとともに写真紹介されています。

 

 

時はカネなり 22

久石譲(作曲家・指揮者)
日本アカデミー賞の副賞で八度目に巡り合った時計

このジャガー・ルクルトは昨年、『風立ちぬ』で日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した際、副賞で頂いたものです。これまでは時計は重くて腕が縛られる感覚が嫌で、ほとんどつけませんでした。でもこれは軽くてシンプル、フェイスもすっきりしていて邪魔にならないので、とても気に入っています。

私は同賞を過去にも受賞していて、この時計は八本目。ほとんどは自宅の机の引き出しなどに入れて保管していたのですが……ある時とてもショックなことが起きました。自宅に泥棒が入り、この副賞の時計が三本も盗まれたんです。さらに腹立たしいことに、僕のCDを一枚も盗んでいかなかった!嘘でもいいから、一枚くらい持っていけよ、と思いました(笑)。

作曲家の時計感覚は独特かもしれません。音楽というものは時間の中に構築する建造物です。例えば、映画音楽は一秒の二十四分の一単位で画面に合わせる。プロなら当たり前にできることではありますが、時間感覚は自然に鋭くなると思います。そのせいか、目覚まし時計が鳴る三分前にはパッと目が覚めます。海外に行っても、時差ボケはほとんどありません。あまり時計を必要としない体なんです。

財布はアイグナーを長く愛用していました。滑らかな革が気に入ってね。それがだいぶ傷んできたなと感じていたところ、ロンドンのヒースロー空港でフライトの待ち時間にふと目に留まったのが、このヴェルサーチの財布です。アイグナーを敢えて買い直そうとは思わなかった。物は”縁”ですから。

そもそも、買いに行く時間がありません(笑)。毎日、昼の一時から二時にスタジオに来て、夜中の十一時まで作曲をします。クラシックコンサートが近い場合は指揮者として、帰宅するとスコアの研究を朝までやる。そんな生活だから、財布を一週間、開かないこともあります。もともと同じ鞄を二十年も使うほど、非常に物持ちがいい。この財布も結局十年も使っていますね。

 

●ジャガー・ルクルト

購入時の価格
日本アカデミー賞 最優秀音楽賞の副賞
(定価は450,000円+税)

愛用年数
約1年

本来ポロプレーヤーのために開発された時計で、ガラスの破損を防ぐためフェイスが反転する。クラシックコンサートのスコア研究のため、自らも手で書き写した楽譜とともに

久石譲 ジャガー・ルクルト

 

●ヴェルサーチ

購入時の価格
覚えていない

愛用年数
10年くらい

平均所持金
7万円

銀行カードはほぼ使わず、奥さまが適宜、現金を補充する。アメックスのブラックカードと、体力作りのために通うジムの会員カード(白)

久石譲 ヴェルサーチ

(「週刊文春 2015年4月30日号」より)

 

 

上の写真にあるとおり久石譲による直筆譜も写りこんでいます。これは5月5日に開催されたコンサート「新・クラシックへの扉・特別編 久石譲 「現代の音楽への扉」」の演目からシェーンベルクの《浄夜》を自ら書き起こした楽譜です。

 

 

 

そしてこの手書き譜面を書き起こす奮闘記は、クラシックプレミアム内連載中エッセイにて語られています。

 

「それで今猛勉強中なのだが、とにかく各声部が入り組んでいるため、スコアと睨めっこしても頭に入ってこない。いろいろ考えたあげく、リハーサルの始め頃は連弾のピアノで行うので、そのための譜面を自分で書くことにした。やはり僕は作曲家なので自分の手で音符を書くことが覚える一番の近道だと考えたのだが、それが地獄の一丁目、大変なことになってしまった。」

「《浄められた夜》は室内楽なので、音符が細かい。例えば4/4拍子でヴィオラに6連符が続くと4×6=24、他の声部もぐちゃぐちゃ動いているので一小節書くのになんと40~50のオタマジャクシを書かなければならない(もちろん薄いところもある)。それが全部で418小節あるのである! そのうえ、4手用なので、弾けるように同時に編曲しなければならない。全部の音をただ書き写しても音の量が多過ぎて弾けないので、どの声部をカットするか? もう無理なのだが、どうしてもこの音は省けないからオクターヴ上げて(下げて)なんとか入れ込もうとかで、とにかく時間がかかる。実はこの作業は頭の中で音を組み立てているのだから、最も手堅い、大変だが確実に曲を理解する最善の方法なのだ。」

「年が明けてから、映画やCMの仕事をずっと作ってきて、台湾のコンサートが終わってからこの作業に入ったのだが、昼間は作曲、夜帰ってから明け方まで譜面作りと格闘した。それでも一晩に2~3ページ、小節にして20~30くらいが限度だった。毎日演奏者に定期便のように送っているのだが、他にもすることが多く、実はまだ終わっていない、やれやれ。」

Blog. 「クラシック プレミアム 35 ~モーツァルト5~」(CDマガジン) レビュー より抜粋)

 

 

週刊文春 久石譲

 

Info. 2015/08/23 「第10回 Hakuju ギター・フェスタ2015」 久石譲委嘱作品 演奏予定

第10回〈Hakuju ギター・フェスタ2015“Viva! エスパーニャ2”〉が8月後半に開催

日本のクラシック・ギター界を牽引する荘村清志と福田進一をプロデューサーに迎え、2006年8月から毎年夏に開催されている白寿ホールの主催公演シリーズ〈Hakuju ギター・フェスタ〉。そのシリーズの第10回〈Hakuju ギター・フェスタ2015“Viva! エスパーニャ2”〉が8月21日(金)から23日(日)にかけて開催されます!

このシリーズは、国内外の著名ギタリストが集まり、テーマに沿った選曲、委嘱作品の初演、新人ギタリストの紹介、他ジャンルとのコラボレーションなど、充実の内容でギター音楽の可能性を拡げ、ギターの魅力を伝えていくことが目的。10回目を数える今年は、ふたたびギター音楽の故郷スペインをテーマに、豪華なゲストが集結します。

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Info. 2015/06/09 [CDマガジン] 「クラシック プレミアム 38 ~ヴァイオリン・チェロ名曲集~」 久石譲エッセイ連載 発売

2015年6月9日 CDマガジン 「クラシック プレミアム 38 ~ヴァイオリン・チェロ名曲集~」(小学館)
隔週火曜日発売 本体1,200円+税

「久石譲の音楽的日乗」エッセイ連載付き。クラシックの名曲とともにお届けするCDマガジン。久石による連載エッセイのほか、音楽評論家や研究者による解説など、クラシック音楽の奥深く魅力的な世界を紹介。

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Blog. 「クラシック プレミアム 37 ~ワーグナー 序曲・名場面集~」(CDマガジン) レビュー

Posted on 2015/6/7

クラシックプレミアム第37巻はワーグナーです。

【収録曲】
歌劇 《さまよえるオランダ人》 序曲
歌劇 《タンホイザー》 序曲
ダニエル・バレンボイム指揮
シカゴ交響楽団
録音/1994年

歌劇 《ローエングリン》 第3幕前奏曲 - 〈婚礼の合唱〉
ダニエル・バレンボイム指揮
ベルリン国立歌劇場管弦楽団・合唱団
録音/1998年

楽劇 《ニュルンベルクのマイスタージンガー》 第1幕前奏曲
ダニエル・バレンボイム指揮
シカゴ交響楽団
録音/1992年

楽劇 《ニーベルングの指環》
第1夜 《ワルキューレ》 より 〈ワルキューレの騎行〉
第3夜 《神々の黄昏》 より 〈夜明けとジークフリートのラインの旅〉 〈ジークフリートの死と葬送行進曲〉
ダニエル・バレンボイム指揮
シカゴ交響楽団
録音/1991年(ライヴ)

 

 

「久石譲の音楽的日乗」第36回は、
イタリアで自作のコンサート

前号では、今注目の若手指揮者ドゥダメルの演奏会に行っての感想などが、久石譲ならではの視点(指揮者/作曲家)で興味深く語られていました。今号では、日本ではあまり情報が少なかった久石譲コンサート、4月にイタリアで開催された映画祭でのスペシャル・コンサートについて。

この演奏会の情報は、各媒体を探しに探して少しまとめています。演奏プログラム、写真紹介、記者会見内容など。

こちら ⇒ Info. 2015/04/25 《速報》久石譲 伊映画祭コンサート 演奏プログラム&写真紹介

こちら ⇒ Info. 2015/04/26 《速報》続報 久石譲 イタリア・コンサート 記者会見内容など

そして今号ではご本人による貴重な情報と記録!ということで見逃せません。

一部抜粋してご紹介します。

 

「昨日、イタリアから帰ってきた。ヴェネツィアから北に車で1時間半くらいのところにウディネという人口約10万人の町がある。そこでファーイースト・フィルムフェスティヴァルという映画祭が行われている。イタリアでアジアの映画にスポットを当てた催しとして今年で17回目だから歴史はある。そのオープニングのコンサートとなんとか功労賞というものをいただけるということで出かけていった。本当は前回に続いてグスターボ・ドゥダメル☓ロサンゼルス・フィルのことを書こうと思っていたのだが、状況変転、今関心があることから書いていくことにする。」

「まずは内容だが、コンサートは約1時間半、映画祭なので僕の作曲した映画音楽(もちろんミニマル曲も演奏した)を中心に構成した。およそ1200席のチケットは発売3時間で完売、ヨーロッパ中から観客が訪れたということはやはりネットのおかげだろう。」

「演奏はRTVスロベニア交響楽団が担当した。ウディネの地元のオーケストラは編成が小さいらしく、隣国から呼んできたわけだ。そのためリハーサルの2日間はスロベニアの首都、リュブリャナで行われ、当日のゲネプロ(最後の全体リハーサル)、本番がウディネということになる。短期間での移動が多いのは負担になると思われたが、何故かスロベニアに惹かれ都合5泊7日間の日程で旅に出た。本当はヴェネツィアが近いので久しぶりに立ち寄りたかったが、翌週から小難しい現代曲などのコンサートが控えているため、できるだけコンパクトな日程にした。何だか指揮者みたいなスケジュールだ(笑)。」

「海外のオケの場合はいつもそうだが、打ち合わせどおりには行かない。今回も対向配置(弦楽器の配置で、第2ヴァイオリンが舞台に向かって右に位置する)のはずが普通の並びだったり、マリンバが2台無かったり、アルト・フルートが練習の始めに間に合わなかったりで大変なのだが、指揮者たるものがそんなことで動じてはならない。本来あるべき状況に戻しつつ、何事もなかったかのように(順調のように)進めていった。」

「またいつもどおり初日は音も合わず、間違える人も多いのだが、日を追うごとにうまくなり、フレーズも大きく歌い音楽的に向上していく。日本のオケは初日からうまく、かなりのレヴェルなのだが、日を追うごとに目に見えるような向上はあまり感じられない。国民性なのか?」

「そしてウディネに我々は移動してコンサートに臨んだ。北イタリアのこの小さな町はそれでもサッカー・セリエAのウディネーゼを持つくらいだから、まあ知られた町ではある。ホールも舞台上の汚さはあったが(オペラやバレエも行われている)、壁のポスターを見るとアバド、チョン・ミュンフン、シャルル・デュトワ、あのドゥダメルから辻井伸行さんまで来ているので、ちゃんとしたクラシックのホールなのだろう。ただ音はドライで舞台上はあまり響かない。この場合は音楽全体のテンポを速めに設定し、ソリッドに仕上げるほうがうまく行く、本番は夜の8時半から。昼夜の温度差が激しく、楽屋で寝ていた時、寒気がして激しい頭痛に襲われた。そんな中で舞台に立ったが、膨大な汗をかくことで風邪を退散させ、無事に終了した。観客はおおよその楽曲は知っていて熱狂的に受け入れてくれた。特にアンコールの《ナウシカ》ではどよめきすら起こった。一緒に来た日本人の関係者は目を丸くし異口同音に「久石さん有名なんだね~」。」

「このところクラシックがらみのコンサートしか行っていなかったが、久しぶりの自作のみ、は意外に新鮮で、早く新アルバムを作って日本でツアーを行ってもいいと思えたのは収穫だった。」

 

 

海外での公演、そして海外オケとの共演の苦労と収穫、そんな舞台裏が垣間見れました。このコンサートではオール久石譲作品、そして映画音楽から自作現代音楽までと、昨今の日本国内コンサートではまあお目にかかることのできないセットリスト。贅沢な演奏プログラムです。

そしてエッセイ最後の結びがやはり気になりますよね!「早く新アルバムを作って日本でツアー」ぜひっ!と読みながら強い合いの手を入れてしまいます。「行ってもいいと思えた……」ではなく「行いたいと思った!」と言い切ってほしかったくらいです(笑)。

それでも異国の地で特別功労賞を受賞し、国内とはまた違った気候・環境・オケで久石譲音楽を響かせ、観客の反応をダイレクトに感じ。そんななかから「早く新アルバムを作って日本でツアーを行ってもいい」と思っていただけたのなら、ファンの一人としても、このコンサートが大きな収穫となりこれから先につながることを期待してやみません。

 

クラシックプレミアム 37 ワーグナー

 

Info. 2015/06/01 [雑誌] 「味の手帖 2015年6月号」 久石譲 対談掲載

6月1日発売「味の手帖」2015年6月号 巻頭対談
オリックス シニア・チェアマン宮内義彦氏のゲストとして久石譲が登場。

宮内義彦対談:
久石譲《今の時代に必要な「現代の音楽」を届けたい》

久石 譲(作曲家・指揮者・ピアニスト)

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Info. 2015/05/26 [CDマガジン] 「クラシック プレミアム 37 ~ワーグナー 序曲・名場面集~」 久石譲エッセイ連載 発売

2015年5月26日 CDマガジン 「クラシック プレミアム 37 ~ワーグナー 序曲・名場面集~」(小学館)
隔週火曜日発売 本体1,200円+税

「久石譲の音楽的日乗」エッセイ連載付き。クラシックの名曲とともにお届けするCDマガジン。久石による連載エッセイのほか、音楽評論家や研究者による解説など、クラシック音楽の奥深く魅力的な世界を紹介。

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Blog. 「クラシック プレミアム 36 ~ビゼー~」(CDマガジン) レビュー

Posted on 2015/5/19

クラシックプレミアム第36巻は、ビゼーです。

 

【収録曲】
《アルルの女》 第1組曲・第2組曲
チョン・ミュンフン指揮
パリ・バスティーユ管弦楽団
録音/1991年

《カルメン》 第1組曲・第2組曲
シャルル・デュトワ指揮
モントリオール交響楽団
録音/1986年

 

 

「久石譲の音楽的日乗」第35回は、
ドゥダメルの演奏会を聴いて

今号では久石譲が聴いた演奏会の話から、クラシック界の新しい風、時代、世界の動き、そして日本。いろいろな角度から俯瞰的に理解することができてとてもおもしろい内容でした。

もうひとつ、個人的に気になっていたことが解決しました。久石譲のコンサートでもその都度替わることのあるオーケストラの楽器配置。対向配置、そんな用語があるんですね。通常の楽器配置と、そうじゃないときがあって、なんでだろう? と不思議に思っていました。

作品や楽曲によってかな?とも思ったのですが、いや、同じ楽曲でも配置が違うコンサートもあります。これが対向配置ということがわかりました。そしてどういう意図や効果があるのか。そんなことも書かれていました。

一部抜粋してご紹介します。

 

「先の週末、2日間にわたってグスターボ・ドゥダメル&ロサンゼルス・フィルハーモニックのコンサートに行った。素晴らしいコンサートだったうえ、いろいろ考えさせられることがあったので今回はそれについて書きたい。」

「演目は初日がマーラーの交響曲第6番《悲劇的》のみ(80分かかるから当たり前だが)。2日目はジョン・アダムズの《シティ・ノアール》とドヴォルザークの交響曲第9番《新世界より》だった。僕としてはむろんジョン・アダムズ(1947~/アメリカの作曲家)がお目当てなのだが、前回書いたシェーンベルクなどの楽曲を演奏するコンサートの直後に、富山で《新世界より》を指揮するのでこれも勉強を兼ねて楽しみにしていた。」

「まずマーラーの交響曲第6番《悲劇的》だが、冒頭のチェロとコントラバスが刻むリズムからして切れが良く、音量もびっくりするほど大きい。そしてどんどん盛り上がるのだが、もともと5管編成で、ホルンは8本という巨大な編成なので音が大きいのは当然なのだ。だが、大きくても正確なリズムのために音が低音まで濁っていない。またこの編成では弦楽器は埋もれがちになるが、金管の咆哮の中でもクリアに響いていた。おそらくその要はリズムにあるのだが、ラテン人特有の鋭いリズム感を持つドゥダメルと5年間音楽を演奏している間に、オーケストラ自体リズムへのアプローチもソリッドになったのだろう。まあフィラデルフィア管弦楽団なども明快だったのでアメリカのオーケストラの特徴かもしれない。ヨーロッパの伝統的なオーケストラはもっと音に込める何か、ニュアンスというか精神というか、日本人が八木節を歌う時の小節回しのようなものに近い何かを大切にするから、リズムはそれほど明快ではない。アメリカのオーケストラはそういうものを無視しているわけではないが、それよりも明快さを優先するように思える。ドゥダメル&ロサンゼルス・フィルはもちろん楽譜に書かれているさまざまなニュアンスは丁寧に表現しているし、音楽の目指す方向もぶれていない。僕としては書かれた音がこれほどクリアに表現されるのならこのほうがいい。なんとなれば伝統を持たない日本人が目指すのはこの方向しかないからだ。ちなみに外国人の歌う八木節を想像してみてほしい。うまく歌っても「?」がつく。ヨーロッパ人が聴く日本のオーケストラもそれに近いのかもしれないと思う。」

「話を戻して、マーラーは第4楽章まで集中力が切れず、終わり直前のフォルティッシモもぴったり合い、余韻のある見事なエンディングだった。驚いたのは皆まだ余力があり、もう一度最初から演奏しそうな勢いだったことだ。やはり体力差か? また対向配置(第2ヴァイオリンが向かって右側にいてコントラバスが左の奥にいる配置。古典派、ロマン派の楽曲はほとんどこの配置を想定して作曲家は書いた)で、左側のコントラバスと右側のチューバが同じ音量で拮抗する演奏を初めて聴いた。やはり対向配置はいい。」

「翌日はジョン・アダムズの《シティ・ノアール》からだったが、これはドゥダメルの就任お披露目コンサートのために書かれた楽曲で彼らの得意な演目だ。ジョン・アダムズはミニマル・ミュージックの作曲家としてスタートして、今はポスト・ミニマルというより、後期ロマン派的な手法まで導入し、表現主義的な方法をとっている。つまりメロディーがあり、和音があり、アメリカ音楽特有のリズム(例えばジャズ)があるので、ある意味わかりやすい。そのため現代音楽好きの人たちは、後ろ向きと批判することもある。彼はオーケストラを知り抜いているためそのスコアは精緻を極め、オケからも人気があり、演奏される機会は世界的に多い。音楽出版社のBoosey & Hawkesの会報を見ると、今年の2月から5月までに演奏されるジョン・アダムズの楽曲はきわめて多い。新作のオラトリオを発表したこともあり、近年に書かれた楽曲が目白押しだ。《シティ・ノアール》の演奏回数も多いのだが、その中でも注目すべきはウィーン・フィルが3月にこの楽曲を演奏していることだ。初演から5年ほど経ち、各地で演奏され、今では世界のスタンダードとして認識されたということだ。日本のオーケストラでは……まだまったく演奏の予定はない、たぶん。 紙面が尽きた、次回に続く。」

 

クラシックプレミアム 36 ビゼー