10月末から「金曜ロードSHOW!」は「秋のジブリ」。「もののけ姫」「紅の豚」を放送します!
この秋の「金曜ロードSHOW!」で、ジブリ作品2作の放送が決定しました。是非とも家族でご覧ください。データ放送では特別企画「クイズdeジブリ」を実施。SNSでも盛り上がろう! “Info. 2018/10/26,11/02 [TV] 「金曜ロードSHOW!」秋のジブリ「もののけ姫」「紅の豚」放送決定” の続きを読む
10月末から「金曜ロードSHOW!」は「秋のジブリ」。「もののけ姫」「紅の豚」を放送します!
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ASIAトレンド 中国で邦画人気高まる 音楽、原作書籍など幅広く
「アンコール。もう1曲演奏してほしい」。13日夜、中国内陸部の重慶市中心部に位置する人民大礼堂。通常は同市の議会に相当する人民代表大会の開幕式など政治イベントに使われることが多いホールで、日本の音楽家、久石譲氏がオーケストラを率いてアニメ映画「となりのトトロ」のテーマ曲を奏でた。終わると同時に、約3000人に達した満席の来場者からスタンディングオベーションが巻き起こった。 “Info. 2018/09/26 中国で邦画人気高まる 音楽、原作書籍など幅広く (日本経済新聞より)” の続きを読む
Posted on 2018/09/22
2018年9月21日、久石譲によるスタジオジブリ宮崎駿監督作品演奏会がアメリカ・ロサンゼルスにて開催されました。
2017年6月パリ世界初演、「久石譲 in パリ -「風の谷のナウシカ」から「風立ちぬ」まで 宮崎駿監督作品演奏会-」(NHK BS)TV放送されたことでも話題になりました。ワールドツアーとして世界各国をめぐるジブリ・コンサート、パリ(2017.6)メルボルン(2018.4)サンノゼ(2018.5)につづいて4回目の開催地として選ばれたロサンゼルス。 “Info. 2018/09/22 《速報》「久石譲 シンフォニック・コンサート スタジオジブリ宮崎駿作品演奏会」(ロサンゼルス) プログラム 【9/25 Update!!】” の続きを読む
Posted on 2018/09/17
9月13日、16日「久石譲 交響音楽会 JOE HISAISHI CONCERT 2018 IN CHINA」が中国 重慶・成都で開催されました。 “Info. 2018/09/17 《速報》 「久石譲交響音楽会 JOE HISAISHI CONCERT 2018 IN CHINA」(重慶・成都) プログラム 【9/19 Update!!】” の続きを読む
Posted on 2018/09/15
ふらいすとーんです。
音楽は音楽をつないでくれる。
フルートにスポットをあてて数珠つなぎです。
つながった流れをまとめると、ファンサイト・ツイッターを始める→W.D.O.2018コンサート関連ツイートを楽しむ→荒川洋(フルート)さんとつながる→荒川洋さんのCD作品があること知る→CDを買う→いろいろなことを発見して驚愕! これが結論です。
シンプルな流れ、そんなこともあるだろうという感じですが、これがすごかった。最終的には”久石譲” ”荒川洋” というキーワードで縦横無尽に飛び交い、Back to the Future こんなにも音楽でつながってたんだ!と広いOvertoneになります。先に流れを書いたのは、このとおりに話を進めたら脱線・枝葉、大変なことになる。気持ちを落ち着かせていきましょう。
🎼 CD紹介
🎼 久石譲へ贈る「夢をかなえる人へ」
🎼 プロフィール紹介
🎼 荒川洋参加 久石譲CD作品「Winter Garden」「花戦さ」
🎼 荒川洋参加 久石譲コンサート「WDO」「NCO」
🎼 荒川洋参加 久石譲CM音楽「Oriental Wind 2018」
久石譲ファンつながり、ツイッターつながりで知ることができた荒川洋さんのCD作品です。魅力的なコメントだったのもあって俄然興味、好奇心は止められない、すぐにCDを買いました。
『インストゥルメンタル・カラーズ ~荒川洋フルート作品集~』、CD帯には新日フィル首席 荒川洋が描く自作自演集とあります。作曲家の宮川彬良さんが「切なくなるほど純粋なテクニシャン」というコメントを寄せています。そしてライナーノーツには荒川洋自身による曲目解説が掲載されています。それぞれ曲のカラーを届けてくれてイメージを豊かにふくらませてくれます。
フルートとピアノ、フルートとギター、フルートとヴィオラ、フルートとチェロとピアノ、フルート四重奏というように、デュオや室内楽編成となってます。フルートが主役、曲想を活かした楽器とのアンサンブル、それぞれの楽器の音色が心地よいです。とても上品で身近に感じる、楽しいひとときを演出してくれる音楽たち。休日にとっておきのコーヒーと本を読みながら至福の時間、旅のおともにもいいですね。爽やかで風が吹いて、カラフルなんだけれど透明感いっぱいで、軽快なんだけれどちょっぴりノスタルジックで。そう、とっても情景的な音楽がつまっています。
曲名を見ただけでも聴いてみたくなりますね。曲ごとに感想を綴りたいところですが、荒川洋さんよる曲目解説をすべて紹介したいところですが、、ぐっとこらえて。朝珈琲を飲んで良い一日のおまじない「2. ル・カフェ・ドゥ・マタン」、フルート・カルテットのハーモニーと技巧が堪能できる「3-5. インストゥルメンタル・カラーズ I」、港とコンサートホールという文化が交流する場のイメージを重ねた「6. トリオ第2番 <港にて>」、花火大会鑑賞ディナーコンサートのために書き下ろし好きな花火を題材に描いた「8-10. 花火鑑賞のための小さなデュエット」などなど。
いつもはオーケストラのなかでフルートらしい音域で大活躍する楽器ですが、CDでは低音から高音まで豊かで広がりのある音色、テクニックさえ優雅に流れていく極上の調べ。聴いている時間が場所がパッと明るくなる、とっておきの一枚です。
インストゥルメンタル・カラーズ ~荒川洋フルート作品集~ (2011)
INSTRUMENTAL COROS
HIROSHI ARAKAWA plays HIROSHI ARAKAWA
1. 夢をかなえる人へ ~フルートとピアノのための~ 作品70
2. ル・カフェ・ドゥ・マタン ~フルートとギター(ピアノ)のための~ 作品18
3. インストゥルメンタル・カラーズ I ~4本のフルートのための~ 作品68 1楽章:Allegro
4. インストゥルメンタル・カラーズ I ~4本のフルートのための~ 作品68 2楽章:Moderato
5. インストゥルメンタル・カラーズ I ~4本のフルートのための~ 作品68 3楽章:Presto
6. トリオ第2番 <港にて> ~フルートとチェロ、チェンバロ(ピアノ)のための~ 作品62
7. 友人からの手紙 ~フルートとギターのための~ 作品65
8. 花火鑑賞のための小さなデュエット ~フルートとヴィオラのための~ 作品67 1楽章:菊先 | Kikusaki Allegro
9. 花火鑑賞のための小さなデュエット ~フルートとヴィオラのための~ 作品67 2楽章:銀冠 | Ginkamuro Moderato
10. 花火鑑賞のための小さなデュエット ~フルートとヴィオラのための~ 作品67 3楽章:千輪 | Senrin Vivace
11. 森を抜けて ~フルートとヴィオラとピアノ(オリジナル:ギター)のための~ 作品54
12. 霧の中で ~フルートとギターのための~ 作品21
13. いつか見た青い空に ~フルートとギターのための~ 作品69
14. リリスの風 ~フルートとギターのための~ 作品45
15. ファンタジー ~フルートとピアノのための~ 作品38
16. ソナチネ ~フルートとピアノのための~ 作品15
作曲:荒川洋
演奏:
荒川洋(フルート)
鈴木大介(ギター)
渡邊玲奈(フルート)
上野由恵(フルート)
泉真由(フルート)
うえだよう(ピアノ)
西村絵里子(チェロ)
西村知佳子(ヴィオラ)
1. 夢をかなえる人へ ~フルートとピアノのための~ 作品70
CDライナーノーツを見ながらのほほん心地よく聴いていたら鳥肌が立ちました!この一曲だけは解説を紹介させてもらいます。
「久石譲さんの還暦祝いパーティーでの演奏のために作った曲。たくさんの「夢」を叶えていき、前へ歩んでゆく人への敬意の念を込めて作曲した。」
作曲:2010年11月23日 久石譲のために
初演:2010年11月26日 サントリーホール・ブルーローズ
演奏:荒川洋(フルート)、うえだよう(ピアノ)
アルバム1曲目に収録されたこの曲は久石さんへ贈られたものだったんです。震えますね、感動しますね。1曲目からいい曲だな~と思って聴いていたけれど、こんな”意味付け”をされてしまったらもう!輝きかたがちがってきてしまいます♪
とてもキャッチーなメロディで心躍る曲です。映画音楽に使われても印象的でしょうし、CM音楽としてどこを切り取ってもOKなほど活き活きギュッとつまった曲です。日曜美術館、世界遺産、美の巨人たち、文化やアートを紹介するTV番組テーマ曲としても勝手に太鼓判です。ほとばしるみずみずしさ、満ち溢れるエネルギー、手をかざしたくなる煌めき。
めまぐるしく展開する曲だなあと思って、エンドレスリピート聴いていたら、メロディや構成はそんなに複雑じゃない。むしろシンプル上品フォーマル。あれ、変拍子だからかなあと思ったら、ベースは4/4拍子。はて?
とっても素敵なメロディなんです、ほんとうに。膝をうちながらトントン聴いてたら、リズムは4拍子でメロディに3連符が散りばめられています。そしてさらに、ピアノ伴奏には5連符や6連符のフレーズが散りばめられています。なるほどー!4拍子の曲(偶数)に3連符6連符(奇数)はもちろん、そこに5連符(2拍のなかに音符5つ分)を入れられたら、拍子感覚が狂うわけだ。メロディを追っていけば4拍子を刻んでいけるんですけど、ピアノに集中して拍子を刻もうとするとかなり難しい。このメロディと伴奏の拍子的交錯がクセになります。聴き飽きない魅力にもなっています。これはすごい!魔法のようなリズムエッセンス!
と、分析チックはここまでにして。…でも、これを知って聴いたとしても、頭で聴いて楽しめないウンチクな音楽にはなりません。さらに曲の魅力がアップして、僕にはとびきり華やかな一曲になっています。
ぜひ久石譲ファンには聴いてほしい!
https://itunes.apple.com/jp/album/insuto-urumentaru-karazu-huang/id458524928
Apple iTunesのアルバム紹介・試聴ページです。▶(再生)か曲名をクリックしてください。1分半も聴けるなんて。この曲の魅力は十分に伝わると思います。そして気に入ったらフルで聴いてほしいです。(PC)
2010年11月26日「久石譲 60歳誕生パーティー」初演となっているこの曲。パーティーでは「ハウルの動く城より~空中散歩~」も荒川洋さんフルートで披露されたようですね。鈴木敏夫プロデューサー、大林宣彦監督、ゆず、平原綾香、大橋のぞみと藤岡藤巻、N響メンバーなど錚々たる顔ぶれと素敵な音楽をそれぞれ披露した盛大なパーティー。コンサートに集めることも至難なほど豪華なメンバー。当時ファンクラブ会報「JOE CLUB Vol.15」にパーティー詳細や写真が8ページ紹介されていました。ここに「夢をかなえる人へ」が披露されたことも書いてあったんですけれど、、。
パーティーの翌年2011年リリースされていたなんて。もっと早く知っていればと後悔しそうなほどですが、ツイッターで教えてもらえたことに感謝!時を越えて出会えたことに感謝!CDを手にしてから毎日聴いている一曲うれしいです。これからはずっと聴ける未来うれしいです。
「夢をかなえる人へ」タイトルも素敵です。”夢をかなえる人=久石譲”、自分もまた夢をかなえる人になりたいなあ!そんな勇気と希望を湧きあがらせてくれるキラキラまぶしい一曲です。
荒川洋 プロフィール
国立音楽大学在学中に、故アラン・マリオン、イダ・リベラ女史の薦めにより、パリ国立高等音楽院に入学。1997年、同音楽院フルート科をプルミエ・プリ(第一位)で卒業。
第14回日本管打楽器コンクール入賞。1998年帰国後、小澤征爾に認められ、同年6月より新日本フィルハーモニー交響楽団フルート副首席奏者として就任後、2009年4月より同交響楽団首席フルート奏者に就任。
これまでに、1997年チェコ共和国での第6回ヤング・プラハ国際音楽祭に招待され、リサイタルや、プラハのオーケストラとの共演、2006年ヴェネツィア室内合奏団、2009年クリスティアン・アルミンク指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団、2010年カール=ハインツ・シュッツ、クララ・アンドラーダ、森岡有裕子(村松楽器主催公演「世界のトップ・プレーヤーによるフルートの競演」にて)、2010年渡辺香津美とシンガー・ソングライターのShanti(渡辺香津美スペシャル・ジャズLIVEにて)と競演、2007年より仙台クラシックフェスティバルに毎年参加。ソロ活動のみならず、川上徹(チェロ)、藤原亜美(ピアノ)と共に、室内楽アンサンブルグループ「Trio Liberte」を結成するなど、幅広く活動を展開。東京パリアンサンブルメンバー。ナガノ・チェンバー・オーケストラフルート首席奏者。
録音にも多数参加しており、久石譲プロデュースによる鈴木理恵子(ヴァイオリン)のアルバム「Winter Garden」(2006年)、羽毛田丈史の手がけた「ジャッジ」、「ROOKIES」、「西洋骨董洋菓子店」、「ジャッジ2」、映画「ハナミズキ」、「獣医ドリトル」のサウンドトラックへの参加や、宮崎駿監督作品「千と千尋の神隠し」、「ハウルの動く城」、「崖の上のポニョ」の劇中音楽にも、久石譲作曲・指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団として参加している。
CDは、林光伴奏によるデビューアルバム「花のうた~荒川洋林光フルート作品集」(2002年)、林光、江口玲など10人のピアニストとの共演によるソロアルバム「フレンチ・コンポーザーズ」【2008年・ベルウッド・レコード】(レコード芸術2009年3月号特選盤)、竹田恵子共演のCD「林光作品集 喜寿の林で」【2009年・コジマ録音】(レコード芸術2009年4月号特選盤)、「インストゥルメンタル・カラーズ ~荒川洋フルート作品集」(2011年)、「しあわせの木(荒川知子とファミリーアンサンブル・プロデュース)」(2016年)、「1867」(2017年)、「フルート名曲31選」など発表。
2010年NHK宮川彬良出演番組「どれみふぁワンダーランド」、2011年NHKBS1「地球テレビエルムンド」に出演。
作曲活動にも力を入れており、自作品ライブを定期的に開催。2011年クラリネット作品コンクール(日本クラリネット協会創立30周年記念事業」にて、自作品「ソナタ~モンマルトルの丘~クラリネットとピアノのための(作品66)」が第三位に入賞。現在106曲公表している。
(CDライナーノーツより + 以降経歴 一部追加)
華々しい経歴と多種多彩な音楽活動です。演奏活動も録音活動もとても幅広い。CDはもっと探せばあると思います。レコード芸術特選盤にもなったソロアルバム「フレンチ・コンポーザーズ」も聴いてみました。フルート&ピアノ デュオによるクラシカルで奥深い作品です。試験用に使われる曲も多いらしく、より技巧やテクニックを堪能できる選曲。実際に練習用のお手本としてフルート愛好家にとっては欠かせないプロフェッショナルな一枚のようです。
公式ウェブサイトでは、近況活動をメインに、ぎっしりつまったコンサートスケジュール、作品一覧からの紹介、楽曲動画まであって、プロフィールにあったクラリネット作品コンクール入賞曲「ソナタ~モンマルトルの丘~クラリネットとピアノのための(作品66)」も聴けてしまいます。映画『君の名は。』メドレーもコンサート用編曲、Fl/Cl/2Vn/Va/Vc/Cb/Perc.という室内楽編成、聴いてみたい。
荒川洋さんフルートを追いかけたい人、スケジュール確認してコンサートに足を運びたい人、いろいろな作品を聴いてみたい人。僕が今回はじめて知ることが多かっただけで、これまでも今もそんなフルートファンはたくさんいるんだろうなあと思います。
荒川洋公式ウェブサイト:
https://www.hiroshiarakawa.com/
荒川洋ツイッター
https://twitter.com/nekoranpa2
荒川洋フェイスブック
https://www.facebook.com/nekoranpa
そして僕はまた驚愕します!
プロフィールを眺めながら一瞬とまるところ満載。
久石譲プロデュースによる鈴木理恵子(ヴァイオリン)のアルバム「Winter Garden」(2006年)にも参加されていたなんて。こんなところからすでに久石譲と荒川洋のコラボレートはあったんですね。
13.メディア MEDIA / 久石譲
国立音楽大学在学中、卒業演奏会にて初演された楽曲。久石の音楽的志向がミニマルへと移行してゆく以前の貴重なスコアをこのアルバムの為に初録音した。
(CDライナーノーツより)
とっても現代音楽な貴重作品。ヴァイオリン、フルート、ピアノという編成で前衛的な音楽。聴き方によっては東洋をも思わせる世界観で、フルートも西洋的な奏法から、さながら尺八のような息の太い奏法まで。それが荒川洋さんだったとクレジットを改めて確認しました。
えー、こうなったら他にもあるんじゃないの?!と俄然調べます。データベースを検索したらありました!
CDライナーノーツに ”Flute & Piccolo:Hiroshi Arakawa” とクレジットあります。メインテーマ「23.花戦さ」をはじめサウンドトラック収録曲の随所に荒川洋さんのフルート・ピッコロが登場します。「8.花の力や」では慎ましく美しいフルートの音色がメロディを奏でています。「21.赦し」奥深さをつくる大切なパートですが、久石譲オリジナル作品「ASIAN SYMPHONY 4.Absolution」としてものちに組み込まれた重要な楽曲です。W.D.O.2017コンサートで世界初演、1年後待望のCD化されたばかりです。原型の「赦し」~発展型の「Absolution」。この楽曲の録音と演奏すべて荒川さんのフルートが奏でていると思うと感慨深いです。
荒川洋さんは新日本フィルハーモニー交響楽団の首席フルート奏者です。スタジオジブリ作品『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』のサウンドトラック録音は久石譲指揮・同楽団演奏によるものです。
「ふたたび」(千と千尋の神隠し)も、「空中散歩」「星をのんだ少年」「人生のメリーゴーランド」(ハウルの動く城)も、「深海牧場」「グランマンマーレ」「フィナーレ」(崖の上のポニョ)も、フルオーケストラで彩られた映画音楽のなかに必ずフルートの音色を聴くことができます。首席フルート奏者ということは、第1フルート、第2フルート…とつづくなかでトップです。二管編成のときはユニゾンしたりハモっていたりすることもあるでしょう。でも、フルートソロパートはもちろん、一番前面に出るのは第1フルート、首席奏者です。サウンドトラックを聴きながらフルートの音が聴こえてきたとき、それは荒川さんの音色だと思って、、大丈夫だと思います。
久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ(W.D.O.)は、2004年に久石譲と新日本フィルハーモニー交響楽団で発足した夢のオーケストラです。たくさんのコンサート、レコーディングCD作品、ライヴCD作品をのこしています。2015年からのジブリ交響作品化プロジェクトの演奏・録音も担っています。
W.D.O.2018コンサートで世界初演された第4弾「千と千尋の神隠し 組曲」。コンサートではフルート1編成ながら、オーケストラに埋もれることなくきらびやかな音色をくっきりと、すごいなあと印象的でした。そしてこの作品もサウンドトラック盤から交響組曲まで。新日本フィル=W.D.O.によるもの、2001年に吹き込んだ「千と千尋」と2018年に披露した「千と千尋」、来年以降CD化されるであろう「千と千尋」、そこには荒川洋さんフルートがあります。
想い巡らせるとすごいことだなあと思います。サウンドトラック録音時は完成映画を観ていない状況。映画公開されて数々の記録を打ち立てて、人々の記憶に刻まれて。そして今、交響組曲として甦って。約20年間の時代の変化・社会の変化・心境の変化、作曲家と同じように演奏家のみなさんも一緒に歩んでいる。作品への想いもひとつのフレーズの表現も、久石譲と共鳴しながら”今だからこそ”の演奏を届けてくれるワールド・ドリーム・オーケストラ。
新日本フィルハーモニー交響楽団で探せば…
「BROTHER」「オーケストラストーリーズ となりのトトロ」「めいとこねこバス」「SUPER ORCHESTRA NIGHT 2001」「空想美術館」「太王四神記」もっともっとたくさんあります。
久石譲指揮ベートーヴェン全交響曲演奏シリーズ、久石譲のもとに結集したナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)。2018年7月「第7回定期演奏会」にて有終の美を飾ったプロジェクトですが、第3回から同オーケストラ首席フルートを務めていたのも荒川洋さんです。交響曲第3番以降第9番「第九」まで、久石譲がアプローチしたいベートーヴェンを一緒に磨きあげたキーパーソンです。現在LiveCD化継続中です。
ちょうど8月は「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」コンサート。ツアー期間中発信される新日本フィルや奏者のみなさんのツイートを楽しんでいた日々です。そこには荒川洋さんのツイートもたくさんありました。移動中・リハ・舞台裏・公演後、発信されなければ知ることのできないファンにはうれしい貴重なものばかりです。
そのなかにこんなツイートがありました。
「久石譲さんの新バージョンの曲の伊右衛門CM。僕が吹いておりますが、ツアー中に何処かで演奏するかも。」
そうなんだっ!の連続です。おなじみのメロディ2018版を演奏していたのは荒川さんのフルートだったんだ!コンサートでも演奏してくれる?! そして「Oriental Wind 2018」コンサートアンコールで披露してくれました。CMオリジナル版と同じ曲想で同じ奏者によって。感無量です。
私ですっ!って名乗ってもらわなかったらほぼ知るよしもないこと。久石譲CM音楽のようにCD化されないものも多い楽曲は特に。だからこそ、本当にうれしいツイートでした。
サントリー緑茶 伊右衛門『こころの茶屋 ずっこけ』篇 30秒
サントリー公式チャンネルより (*公開終了)
久石譲音楽に生命を吹きこんでくれる一人、フルート奏者荒川洋さん。
今回ご紹介しただけでなく、もっとたくさんあるかもしれません。いつも聴いているCDが上にあったなら、あっ!このフルートは荒川洋さんだったのか!となりますし、WDOコンサートに恒例足を運んでいる人なら、ステージでフルートを響かせてくれていた人が、このCDのなかにも音色を吹き込んでいる!となります。ぐっと身近に感じてもらえたらうれしいです。
久石譲音楽が好きなのは、いつもCD聴いているしコンサートに行ったことあるし。じかに見て体感してもっと好きになる。同じように、お気に入りの奏者や楽器があったなら、もっと親近感がわきますよね。音楽がかようって、人がかようことです。日常に聴いているこの音楽はあの人が演奏してるんだあの時コンサートで届けてくれた人なんだ、と思えるとその一曲はどんどん輝いていきます。
次に荒川洋さんのCDが出る時は、情報をキャッチしてすぐに聴きたい、楽しみがまたひとつ。もっといろんな奏者や楽器とちゃんとつながれて向き合えるようになったら、もっともっと僕の音楽感受性は豊かになっていけるのかなあ。音楽が溢れるってうれしい、CD棚が溢れるって…しょうがない。少しずつ学んでいこう、楽しい音楽の時間。
久石譲音楽を表現する荒川洋ではない、久石譲へ贈る荒川洋自作「夢をかなえる人へ ~フルートとピアノのための~ 作品70」。
久石譲ファンには聴いてほしい!
https://itunes.apple.com/jp/album/insuto-urumentaru-karazu-huang/id458524928
Apple iTunesのアルバム紹介・試聴ページです。▶(再生)か曲名をクリックしてください。1分半も聴けるなんて。この曲の魅力は十分に伝わると思います。そして気に入ったらフルで聴いてほしいです。(PC)いいんですよー♪ 体かるくなる、心おちつく、つながった音楽に感謝!
それではまた。
reverb.
洋楽みたいにDEGITAL BOOKも買えるようになったら、CDみたいにライナーノーツも楽しめようになるのに☆彡
2018.9.18 追記
「夢をかなえる人へ ~フルートとピアノのための」【楽譜・ダウンロード販売版】がリリースされました。
公式サイト:サウンドテラスネットショップ | 夢をかなえる人へ
https://soundterrace.shop/?pid=112710162
*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number]
このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪
Posted on 2018/09/10
8月9日から8月21日まで国内9都市開催、いよいよファイナル公演は海を渡って中国・深圳「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」コンサートツアー。待ちわびた中国ファンは期待に胸がいっぱいだったはず!W.D.O.2018日本公演を完全移植!Bプログラムは熱気と感動に包まれたようです。オール久石譲作品プログラム、スタジオジブリ映画・CM音楽・ミニマル作品まで。生で聴いてみたかったあの曲この曲ギュッとつまった夢の時間です。 “Info. 2018/09/10 《速報》「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」(中国) プログラム 【9/14 Update!!】” の続きを読む
7月スタート「TBS系 日曜劇場 この世界の片隅に」が早くもDVD/Blu-rayにて登場!ドラマの音楽担当は久石譲です。松本穂香さんが歌う挿入歌「山の向こうへ」も話題になっています。 “Info. 2019/01/11 「TBS系 日曜劇場 この世界の片隅に」DVD BOX / Blu-ray BOX 発売決定” の続きを読む
Posted on 2018/09/10
映画情報誌「CREA クレア 1998年12月号 創刊9周年記念特大号」に掲載された久石譲インタビューです。
北野武監督映画の話から、オリジナルソロアルバム『NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』まで、当時の現在進行系の話を織り交ぜながら、芯のはっきりした映画論・映画音楽論がいっぱいに詰めこまれた内容になっています。
Real Voices 09
久石譲
音楽のない『HANA-BI』や『もののけ姫』を想像してほしい。衝撃の瞬間に、あるいは悲しみや寂しさと一枚の布を織り上げるように、流れてくるメロディ。久石さんが最初に出会う映画は、それらが一切ない静寂の世界だ。
「まず台本をじっくり読んで監督が描こうとする世界観をつかむ。日本の場合は映画は監督のものだから、監督が何を表現したいかがすべての基礎になります」
ただし監督の思いははっきりとした言葉で出てくるとは限らない。
「そこで『監督、これ何ですか』って聞いたら終わっちゃう。僕も物を作る立場だから、監督が音を聴いてどういうふうに感じたか敏感にわかる。それは3時間語られるよりきついんです。精神的には監督との闘いだけど、もめるのとは違う。たいへん静かですよ」
たとえば北野武監督との熱く静かなるバトル。
「北野さんの映画は完全な台本がないことが多い。撮影の現場でもどんどん変わっていくから、音楽を完全に作ってしまうとズレてくる。でも、いい映画は5分見ればわかります。北野さんの映画もラッシュを20分見れば、タッチは明快。個性的だから。映像自体に語らせようとする監督ですね。たいがいの日本の映画はくどい。あるシーンをビジュアルでもセリフでも音楽でも訴えようとする。北野さんは不必要なところを省いてしまう。彼と仕事をするときは、音楽からなるべく情緒を外して、感情表現ではない方向で音をつけるやり方をしますね」
強烈な俳優の存在が音楽の方向性を決定することも?
「いや、役者さんに影響を受けることは全然ありません。主人公のテーマ曲なんてナンセンスだと思う。映画の部品でしかない役者が泣いたり笑ったりしているのに合わせて作ったら、映画音楽は低俗なものになってしまう。メインテーマが決まっていて、中の音楽だけ書いてくれという仕事も断っています。映画の顔を他人に明け渡して胴体だけ作るのでは、音楽の主張が不明確になるから」
久石さんの主張はひとつの音やイメージから始まる。
「精神状態がフラットな、朝の布団の中とかシャワー浴びているときに、この映画、このアルバムにはコレが絶対必要だと確信を抱く瞬間があるんですね。音でもフレーズでもイメージでも、それが決まればもうできたも同然なんです。あとは技術で仕上げるだけだから」
『もののけ姫』では『アシタカせっ記』のフレーズが出てきたときに「いける!」と思った。
「でも初めはあのフレーズはウケが悪くてね。『あの夏、いちばん静かな海。』のように、メインテーマとして僕が予定していたものと違う曲を監督が取り上げることもある。たいていは監督の考えのほうが正しいですよ。僕は音楽が専門だから逆に音楽が見えない。ドビュッシーでも自分で代表作と思う楽曲と世間が評価している音楽は違っていたりする。本人が気に入っている音楽はマニアックなことが多い。そこで自分が正しいと思っちゃいけないんです。僕は芸術家じゃなくて、他人が聴いてはじめて成り立つ仕事をしているんだから」
他からの評価といえば、国内外での高い評価が悪い効果を生むことも。つまりパクられちゃう。
「テレビをつけると1時間に4曲は僕の曲が流れてる。腹が立って訴えようかと思うこともあるけど、朝になるとおさまってるね」
ところで久石さんは子供の頃、年間300本も見ていた生粋の映画ファンだ。さすがに今は超多忙ゆえ、映画はビデオで。
「自宅の130インチのプロジェクターで観ます。僕はどうやら、映像中毒なんですよ。1週間ビデオや映画を見ないとイライラする。深夜まで仕事をして、朝4時頃から映画を見始めたりします」
公開される映画はほぼ網羅する。
「なるべく素人っぽく見るようにしている」とはいえ、音楽の使い方はどうしても気になって……。
「ああエンニオ・モリコーネも終わったな、とかね。ハリウッド映画は最初から最後まで音楽をつけますから、音楽が主張しているようでしていない。ヨーロッパ映画は音楽を入れる量が多くないから、かえって印象に残る。想像以上に音楽が映画に与える影響は大きいですよ。映像が記憶に残るときは音と一緒になっていることが多いでしょう。日本の映画はもっと音楽を大事にしないと、しんどいだろうと思いますね」
一方で、映像と音楽の密接な関係は音楽家としては「怖い」とも。
「映像の怖さをわかっているから、僕は映画のために作った音楽をソロアルバムにはなるべく持ち込まない。夕日を思い浮かべながら作曲しました、なんていうのは信じられないですね。ただ映画で仕事をしてきたおかげで構成を練るようになった。始まりがあって、何かが起こって、終焉に向かうというような。CD1枚で映画とはいわなくても40分の映像を1本見終わったぐらいの充実感が欲しい」
10月に発売された『ノスタルジア』は郷愁をテーマに、イタリアを舞台に構成を組み立てた。
「イタリアは『歌』なんですよ。カンツォーネのように強く大きなメロディがあれば成立してしまう。僕はサウンドを緻密に組み立てたいほうだから、そういう世界はあまり好きじゃなかったんだけどね」
しかし今回は『歌』をていねいに作った。ときに大地を、ときに風を想わせる歌。歌うのは歌手ではなく、久石さんのピアノであり、イタリアのオーケストラだ。
「僕の理想はメロディラインがきっちり作られている音楽。メロディができあがっていれば、アバンギャルドなアレンジや音楽性を裏に押し込んでも、音楽をよく知らない人から詳しい人まで楽しんでもらえると思う」
メロディが心の何かを揺り起こす。それは記憶の底にある、自分自身が編んだ映像かもしれない。
(CREA クレア 1998年12月号 創刊9周年記念特大号 より)
Posted on 2018/09/09
「週刊朝日 1998年10月2日号」の人間万歳コーナーにて5ページにわたってカラー特集されました。写真は「醍醐寺音舞台」コンサートのステージ風景などが大きく掲載されています。
ピアノと椅子との距離40センチへのこだわり、北野武監督が語る久石譲、いい曲が残るということ、むき出しの貴重な内容です。
人間万歳 NINGEN BANZAI
40センチの音楽創造 作曲家 久石譲
宮崎駿監督の「もののけ姫」、北野武監督の「HANA-BI」など、いまや日本を代表する映画には、この人の音楽が欠かせない。作曲家、久石譲(47)。コンサートでも、レコーディングでも、ピアノといすとの距離は常に40センチ。ストイックなまでに優れた音を求めてやまない久石の音楽へのこだわりとは──。
北野武は、久石を評して「聖人か君子かもしれないな」と言う。二人は、北野の三作目「あの夏、いちばん静かな海。」(91年)以来コンビを組み、ベネチア国際映画祭金獅子賞の「HANA-BI」の音楽も彼が担当した。そのほか映画音楽を手がけているのは、宮崎駿、大林宣彦、澤井信一郎と、名監督の作品ばかり。だが、いずれの監督も相当クセがある。
特に北野の場合、撮影中に脚本が変更になるのは当たり前。打ち合わせをしても、撮影後に「もう一度イメージの折り合わせを」ということになる。加えて、共同作業というわけではないらしい。
「いつも『さあ、この場面に音楽をつけてみやがれ!』といった挑発的な姿勢でやってきたので、自分の撮ったシーンと久石さんの音楽が、ある意味ケンカしているようになることもある」(北野)
こんな作業を毎回繰り返しても久石は笑顔で仕事を引き受け、しかも「お手並みには感服させられる」と北野が舌を巻くのだから、まさに彼にとっては、”聖人”となるのかもしれない。
しかしその素顔は、聖人と呼ぶには程遠い険しさに満ちていた。
それは、新作ソロアルバム「NOSTALGIA PIANO STORIES III」のレコーディングでのこと。毎回、久石担当の調律師がピアノの音を調節する。彼が最後に行うのが、測量メジャーを取り出し、ピアノの鍵盤といすの距離を測ること。約40センチ。この距離について久石は言う。
「一種のバロメーターみたいなもの。体調が悪いと、演奏するときにどうしても前かがみになるから、ピアノの鍵盤と顔の距離が近くなる。鍵盤といすとの距離をいつも同じにしておけば、『今日は調子が悪いな』とかわかるからね」
そして演奏が終われば、さっと両手に白手袋をはめ、たばこを吸うときでさえはずさない。聞けばレコーディングの期間は、重い荷物も、持たないのだという。極力、演奏以外のことで両腕に負担をかけないよう注意している。
いい曲が残るのが大切
「いい音楽を作るということと、自分が幸せになるということは、全く別のことです。極端にいえば、音楽を作るうえでは世界中の人に嫌われてもいいと思ってる。ウチのスタッフにもよく言うんです。『死ね』って。死んでもいいんだ、オレがいい曲を書ければ。それは、オレが書いたということが大事じゃなくて、 そこにいい曲が残るということが大切なんですよ。」
とにかく、音楽一筋の人なのだ。バイオリンを習い始めたのが4歳のとき。音楽好きでクラシックから歌謡曲まで空気を吸うのと同じくらい音楽に浸り、ごく自然に音楽の道を志したという。
もともとの志望は、現代音楽の作曲家。映画やドラマの仕事は当初、「収入のため」という要素が強かったようだ。もっとも、バイオリンを手にしたころ、父親に連れられ、年間約300本も映画を見ていたというのだから、歩むべくして歩んできた道なのだろう。
「でもね、基本的に映画音楽というのは、自分の仕事の中の半分がベストで、それ以上はやりたくない、映画の仕事が2、3本続くと飽きちゃうんですよ。だからといって歌手のプロデュースも年に一枚しか作りたくないと思うし、ソロアルバムの制作で『自分が、自分が』とやっていると、世界が狭くなってしまう。だからそれらを交互にやるのが、精神安定上もっともいいんですけどね(笑)」
その言葉が示すように、今年は長野パラリンピックの総合プロデューサーを務めるなど、一音楽家にとどまらぬ活動をしている。西田ひかるのアルバムのプロデュースをしたり、9月5日は京都・醍醐寺で、フランスやイギリスからアーティストを招き、「醍醐寺音舞台」と題したコンサートの演出も手がけた。実に忙しい。
「五十歳で引退」を公言
そのためコンサートでは、直前まで手がけたソロアルバムの楽譜書きで、両腕が腱鞘炎になったままステージに立った。両腕のひじから手首にかけて湿布を張り、鍵盤に顔を近づけながら、ピアノのソロ演奏も披露した。
「やっぱり、ちょっと働きすぎかな(笑)。でも、演奏家としては悔いの残るステージだけど、演出家としては満足しているから」
ところで久石は、「五十歳で引退」を公言している。といっても音楽活動をいっさいやめてしまうわけではなく、自分の好きな音楽のみを作り、「お金を頂いて作曲するのはやめよう」ということらしい。
「やっぱり映画音楽をやっていたりすると、ビジュアルというのが自分のなかで大きくなっている。例えば音と映像、音と舞台のようにトータルに何かできないかと。まっ、来年は集大成を作りますから。”何か”は、ヒミツです(笑)」
(週刊朝日 1998年10月2日号 より)
Posted on 2018/09/08
雑誌「週刊ポスト 1997年9月19日号」にて紹介された記事です。
パラリンピックのテーマ曲『旅立ちの時~Asian Dream Song~』を手掛けた作曲家・久石譲とBOOMの宮沢和史氏
「もうひとつの長野」を盛り上げるこのふたり
1972年の札幌以来、実に26年ぶりに日本で開催される長野冬季オリンピック。夏が終わったばかりでは、冬のオリンピックの話題で盛り上がるわけがないが、もっと盛り上がらないのがパラリンピック。この冬季パラリンピックは、来年3月の長野冬季オリンピック終了後、同じ会場で開催される。障害者たちが最高の技を競う「もうひとつのオリンピック」ではあるが、日本での認知度は低く、支援体制も乏しい。アトランタ五輪の直後に開かれたパラリンピックで日本チームが14個の金を含む37個のメダルを獲得するという好結果を残したにもかかわらずである。障害者スポーツでも入場料を取り、スポンサー付きの冠大会もあり、プロ選手までいるアメリカや北欧の状況とは雲泥の差。
が、ここで朗報である。長野パラリンピックのテーマソングが完成したのだ。その応援歌『旅立ちの時~Asian Dream Song~』を手掛けたのは、作詞・ドリアン助川、作曲・久石譲、そしてボーカルがTHE BOOMの宮沢和史という強力メンバー。写真は、音部門担当の久石譲と宮沢和史の両氏。久石さんは、長野パラリンピックの式典・文化イベント担当の総合プロデューサーでもある。
「曲を書いた後、ドリアンさんと何度か打ち合わせを重ねて、詞が生まれました。歌は宮沢君の『島唄』を聴いて、アジアを表現できる人だと思いお願いしました。そしたら、パラリンピックなら是非やりたいという返事もらって。すごく嬉しかったですね」
宮沢さんも大会の趣旨に大いに賛同した。
「人間の手や足でできないものをこれ以上作って何のためになるんでしょうか。こういう時代だからこそ、肉体の美しさ、素晴らしさに感動する。もうひとつの肉体の祭典パラリンピックで歌が歌えることを心から喜んでいます。大会には肉声で参加したい」
とはいえ、日本では先日もJOCがパラリンピック選手に五輪選手と同じユニホーム着用を許可しないなどというまったくの愚行が問題になったばかり。久石さんも「僕も含めて、まだ日本は障害者の人々との付き合いがうまくない。自分たちの生活から障害者を切り離して、自分たちのリズムを壊さないようにしている感じがある。日常生活の中で、共に生きる意識を持たなくては」と指摘する。アジアの雄大さを訴えるこの歌が、日本の障害者が置かれた状況改善に、少しでも寄与してくれるよう祈りたい。
(週刊ポスト 1997年9月19日号 より)