Disc. 久石譲 『MIDORI Song』 *Unreleased

2015年7月23日 発表 (寄贈先公式HP)

 

認定NPO法人 ミュージック・シェアリングに寄贈された楽曲。

「MIDORI SONG」
作曲:久石譲
編曲:Chad Cannon
演奏:USC Thornton School of Music

 

 

五嶋 みどり公式コメント

「全世界の子供たち、ボランティア、先生方、お父さん、お母さん、みんな大きな声で歌いたくなる、みんなの前で弾きたくなる「MIDORI Song」がミュージック・シェアリングに届けられました。」

「作曲者は何と、“久石 譲”。この場で公開することができませんが、お待ちください、もうすぐこのメロディーを、今度は私が貴方に届けます。」

 

 

 

約4分の小品。上記コメントにもあるとおりクラシカルでシンプルなメロディーをもった清らかな作品である。ハ長調で書かれたこの作品はまさに音楽の教本ともいうべき親しみやすい旋律と響きをもっている。

4小節のモチーフにこの作品の気品が凝縮されており、様々なかたち(楽器/調性)で展開していくが、決して奇をてらうことのない、まっすぐで正統な作品構成となっている。

中間部転調に向かう箇所がいかにも久石譲らしい躍動感を生んでいるが、楽曲全体は編曲者が他者となっているため、どこまでを基本構成として根幹を担ったのか、どこまでを編曲者に委ねたのかは不明である。

一同に介したホール録音というよりも、おそらくこの音源のためにレコーディングおよびパート録音をミックスしたであろう響きがうかがわれる。

小編成オーケストラ、チェンバロ、バイオリンソロなど、バロック音楽を思わせる、快活で弾むような晴れやかさと気品をそなえた小品である。当NPO法人の活動理念にふさわしい「子供たちが音楽を楽しむ」情景が微笑ましく浮かんでくるような、ミュージック・シェアリングを象徴する楽曲となっている。

 

 

2015年12月、一部(限定)公開された公式動画を視聴しての感想であり、活動プロモーションフィルムのように、静止画スライドショーで活動履歴や紹介映像として構成されていた。

CD作品化されていない楽曲である。

 

 

MUSIC SHARING

 

Disc. 福田進一×荘村清志 『DUO』

2015年6月24日 CD発売 COCQ-85265

 

久石譲が2012年「第7回 Hakuji ギターフェスタ」のために書き下ろした、ギターデュオのための委嘱作品『Shaking Anxiety and Dreamy Globe』を初CD化。今年2015年「第10回 Hakuji ギターフェスタ」でも再演予定で、もちろんオリジナル・プレーヤーである2大ギタリストによる録音。

 

 

あたたかな円熟のアンサンブル、自在の境地が生み出す「大人の音楽」!

ギター界を牽引してきた第一人者による珠玉の共演アルバム誕生です。演奏のスタイルも奏でる音色も、それぞれに際立つ個性を持つ二人が、雄弁な自己主張を刻みながら、その個性を競い合うのではなく、互いをリスペクトし引き立て合う演奏は音楽への真摯な姿勢とギターへの愛に満ち溢れています。自在の境地から生み出された円熟のアンサンブルは、まさに「大人の音楽」というに相応しいもので、聴き手の心に深く染み入る、滋味溢れる名演と言えます。二人が共同プロデューサーを努めるHakujuギター・フェスタの第10回を記念したアルバムです。

 

寄稿

音楽を聴いて、演奏家の”人生”に思いを馳せるというのは、些か野暮な話なのかもしれない。しかし、本作《DUO》には、なにかそうした類の感慨を抱かせずにはいない、格別の味わいがある。日本のギター界を、それぞれに違ったかたちで牽引してきた荘村清志、福田進一両氏。その共演は、ギターファンのみならず、このせわしない世の中で、決して消費されることのない豊かな才能に憧れるすべての人々を、束の間、夢見心地にさせることだろう。

音楽そのものであると同時に、音楽についての、言葉を超えた対話。お馴染みの〈ニュー・シネマ・パラダイス〉に始まり、〈スペイン舞曲〉、〈カヴァティーナ〉と、ゆったりとした雰囲気で始まる前半の、そこばくの慎みが心地良い。そこから、次第にエモーショナルな部分に触れていって、〈エディット・ピアフを讃えて〉のような、リリカルでチャーミングな演奏に至る。終盤の三曲の委嘱作品は、さすがの聴き応えで、思わず身を乗り出し、息を呑む。二人の演奏家としての歩みに思いを馳せ、その音の説得力に打たれ、最後は〈星に願いを〉が、静かな挨拶のように、名残を惜しむ私たちを、元の日常世界へとそっと見送ってくれる。

この楽曲の多彩さにして、なんという構成の妙だろう!同時代に、この美しい共演を体験できる私たちは、幸福な音楽ファンだ。

平野啓一郎(小説家)

(寄稿 ~CDライナーノーツより)

 

 

名匠同士、妙味尽きぬ音の対話
話題のギターデュオ、待望のレコーディング

荘村清志と福田進一。共に日本のギター演奏界を代表する2人の名匠が、腕を組んでデュオを聴かせる-なんとも素晴らしい企画だが、実はこの「名匠デュオ」は、もはや10年来、ギター・ファンの心を惹きつけ、満足を与えつづけてきた歴史を持っている。荘村と福田が、株式会社白寿生科学研究所の運営するHakuji Hallの全面的援助を受け、同ホールを舞台に、夏の「ギター・フェスタ」を発足させたのは2006年。これは、かねがね声望高く豊かな人脈を持つ両名匠が、内外から実力者アーティスト(多くはギタリストだが他ジャンルの人びとも)を招いて催す通例3日間の演奏会シリーズだが、その中で、両主宰者によるスーパー・デュオは、ひとつの呼び物であってきたのだ。この2015年、「ギター・フェスタ」が10周年を迎えるに当たり、それを記念するためにも2人のデュオを本格的なCDとして残したい、ということになったのは、当然の成行きではあるものの、極めて喜ばしいことである。レパートリーは、これまでこのデュオが手がけてきた曲目、あるいはここに新しく取り組んだ曲目、いずれにしてもたいへん楽しめる高度な楽曲が並んでいるが、とりわけ注目すべきは、この「フェスタ」から、著名作曲家に特別に委嘱されたオリジナル・ギター・デュオ曲が3篇ほど含まれたことである。「フェスタ」の、国際的にも注目される存在意義を、これらの価値高い委嘱作は、如実に証明すると言えよう。

このたびの録音は、往時の「フェスタ」における録音を再使用するようなことはなく、すべて新規に行われた。それに際しては、このたびもHakuji Hall側の快い協力があり、演奏者たちは、ギターのためには理想的なものである同ホールの個性的でデリケートな音響効果を心ゆくまで活用することができた。演奏者たちは、これに関し、同ホールへの深い感謝の念を表明している。

福田進一の述懐によると、このデュオは「荘村さんと僕という、生い立ちも違えば留学先(スペインとフランス)の音楽的・文化的環境も違い、したがっていわゆる芸風も、ふだんの活動状況も異なっている2人が、両者の個性を互いに生かしたまま、歩み寄って行なった共演」であるというところにユニークな意義を持つ。芸風・音楽性の類似、テクニック上の共通性を基盤とする一般の常設デュオとは、ひとつ別な演奏がここには誕生しており、そこにユニークな価値が生じているとは、確かに言えよう。

いずれにせよ、この非凡なデュオが生み出す奏楽としての奥行き、味わい深さは尋常ではない。名手同士の顔合わせという話題性には終らず、演奏芸術というものの果てしない妙味を満喫させる、これはまたとなく貴重なレコーディングである。

濱田滋郎

(CDライナーノーツより)

 

 

【楽曲解説】

久石譲:Shaking Anxiety and Dreamy Globe (2012)
2012年度の委嘱は、日本の作曲家に対して行われた。「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「もののけ姫」ほか、数多くの映画音楽を手がけて知らぬ者もない久石譲(1950-)である。彼はまた「ミニマル・ミュージック」の手法を用いても日本の第一人者と呼ばれる作曲家で、この委嘱作をも、ミニマル的に書き上げている。特筆すべきなのが拍子の独創性で、4分の13拍子(3+3+3+4拍子)をとり、しかも2人の奏者は1小節たりとも同じ動きの拍子を共有しない。そのことが生み出す一種幻覚的な音空間の魅力を味わわれたい。

(【楽曲解説】 CDライナーノーツより)

 

 

曲名 “Shaking anxiety and Dreamy Globe”は、アメリカのシュルレアリスムの詩人、ラッセル=エドソンの詩にある、[生命が生まれる瞬間」を表した一節を引用した造語。ミニマルの手法とフラメンコギターのエッセンスを取り入れた作品。複雑な変拍子と躍動感あふれる久石ならではの技巧的な楽曲。

 

 

公式譜も同時発売されている。

 

 

 

 

DUO

1 モリコーネ:ニュー・シネマ・パラダイス (鈴木大介 編曲)
2 ファリャ:スペイン舞曲 ― オペラ「はかなき人生」より (E.プホール 編曲)
3 マイヤース:カヴァティーナ (鈴木大介 編曲)
4 アルビノーニ:アダージョ (A.ラゴヤ 編曲)
5 プーランク:エディット・ピアフを讃えて ― 「15の即興曲」より (福田進一 編曲)
6 グラナドス:オリエンタル ― 「スペイン舞曲集」より (荘村清志 編曲)
7 ディアンス:ハジュ・パルス (2014)
8 ファジル・サイ:リキアの王女 (2009)
9 久石譲:Shaking Anxiety and Dreamy Globe (2012)
10 ハーライン:星に願いを (江部賢一 編曲)

★7、8、9:Hakujuギター・フェスタ委嘱作品

【録音】
2015年2月17 -19日、Hakuju Hall、東京

 

Disc. V.A. 『バンド維新 2015』

2015年2月18日 CD発売 UCCS-1173

 

「バンド維新」とは

2008年2月に「音楽のまち・浜松」から新たに発信する芸術文化事業としてスタートしました。 学生たちが日頃の研鑽の成果を披露する場を提供するとともに、若手作曲家の育成、日本の音楽文化の振興、こどもたちが純粋に音楽を楽しめる環境づくりを推進することを目的としています。

作曲家は『吹奏楽』の枠にとらわれないウィンド・アンサンブル作品の可能性に チャレンジし、演奏者は、いわゆる『吹奏楽』曲とはひと味違う世界に触れ、さらに作曲者から直接指導を受ける。 「音楽のまち・浜松」ならではのイベントです。

2015年も日本を代表する8人の作曲家が参加

【委嘱作曲家】
北爪道夫 久石譲 前田憲男 ボブ佐久間 真島俊夫 中川英二郎 三宅一徳 猿谷紀郎

(メーカーインフォメーションより)

 

 

久石譲 「Single Track Music 1」

【楽曲解説】
この作品はとてもシンプルな構造でできています。全編ユニゾンで、その中のある音が高音や低音に配置させることによって別のフレーズが浮かび上がるようになっています。

僕自身はミニマル・ミュージックのスタイルを取っていますが(正確にはその後のポストクラシカルといいますが)そのスタイルではズレが重要になり、2つ以上の声部が必要になるわけですが、あえて単旋律にすることで時間軸上でのズレを考えたわけです。そのフレーズは単音から始まり、24音まで増殖していって一区切りです。また中間部からは和音らしき響きが聞かれますが、これはあくまでフレーズの中の最初と最後の音のサステイン(持続音)であって意図的に作った和音ではない。後半ではそのサステインが単旋律のリズムと同期して分化されているだけです。

全編ユニゾンということはある意味で理解しやすいように思われますが、演奏する側から考えるとピッチやリズムの違いが誰にでもわかることであり案外難しいとも言えます。またリズムのグルーヴ感(例えばロックやジャズのような)もとても大切です。

このような実験をさせていただいて感謝しています。
尚タイトルは鉄道の単線の意味からとっています。

(久石譲)

(楽曲解説:CDライナーノーツより)

 

 

 

 

久石譲による新作書き下ろし委嘱作品。吹奏楽作品としては「Runner of the Spirit」(箱根駅伝テーマ曲)以来の2作品目となる。

 

 

2015.8追記

久石譲オリジナルアルバム『Minima_Rhythm 2 ミニマリズム 2』に、「Single Track Music 1 for 4 Saxophones and Percussion」として収録された。タイトルとおり[サクソフォン四重奏と打楽器版]での編成として再構成されている。自身のコンサートでもプログラムされ、スコアも販売されている。

 

 

バンド維新2015 ウィンドアンサンブルの現在

01. 前田憲男: 花のワルツ~組曲「くるみ割り人形」(チャイコフスキー)
02. ボブ佐久間: Selection from“THE EPITOME”for Wind Orchestra
03. 久石譲: Single Track Music 1
04. 猿谷紀郎: Dawn Pink 2
05. 三宅一徳: Dance EGO-lution
06. 北爪道夫: リズムクロス
07. 真島俊夫: 月山 -白き山-
08. 中川英二郎: Field of Clouds

演奏:航空自衛隊 航空中央音楽隊
指揮:水科克夫(4,5,7,8)、前田憲男(1)、ボブ佐久間(2)、北爪道夫(3,6)
ソロ・トロンボーン:中川英一郎(8)
録音:2014年11月26日&27日 ひの煉瓦ホール

 

Disc. 久石譲 『Mt.Fuji』 *Unreleased

2014年7月18日 オープン

 

富士急ハイランドの新アトラクション「富士飛行社」のために書き下ろされた楽曲『Mt.Fuji』。富士山の大自然の魅力と、四季折々の富士山の美しい映像とともに流れる臨場感のある音楽。フルオーケストラ編成で構成され、壮大で美しい、日本の美を感じることができる大迫力の音楽になっている。

 

公式Youtubeにてダイジェスト映像動画が視聴できる。

 

富士急ハイランド|WEBサイト動画【富士飛行社】

from Fuji-Q Highland Official富士急ハイランド公式 YouTube

 

 

アトラクション所要時間5分20秒のため、同じく5分程度の楽曲に仕上がっている。

富士急ハイランド内の「富士飛行社」アトラクションに搭乗しないと聴くことができない贅沢な音楽になっている。

 

富士急ハイランド 富士飛行社 久石譲

 

 

2016.7 追記

2016年7月14日「Mt. Fuji 2016」

富士飛行社リニューアル。新たな富士山の魅力をお届けするために映像を一新。久石譲が担当したオリジナル曲「Mt. Fuji」も、曲の持つ雰囲気はそのままに、ゴージャスで重厚感あふれる新ヴァージョン「Mt.Fuji 2016」に生まれ変わる。久石譲自ら指揮をとり、演奏されたフルオーケストラが織りなす壮大なオーケストレーションと雄大な富士山の姿を堪能できるアトラクションとなっている。

アトラクション所要時間も7分15秒となり、新映像に合わせて新たなパートも加筆されている。そして従来の旋律もふくめてオーケストレーションを再構成している。

 

 

Disc. EXILE ATSUSHI & 久石譲 『懺悔』

EXILE ATUSHI & 久石譲 懺悔 DVD付

2013年10月16日 CDS発売
CD+DVD RZCD-59456/B
CD RZCD-59457

 

日本テレビ開局60年 特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」
東京国立博物館 平成館 特別展示室 2013年10月8日(火) ~ 2013年12月1日(日)

テーマソング「懺悔」 作詞/歌:EXILE ATSUSHI 作曲/編曲:久石譲

 

 

新しい試みとして「弦楽四重奏がふたつ」という編成。コントラバスを中央にその両サイドに弦楽四重奏が対を成すように配置、低音を中心に高音楽器へ広がっていくという扇型、ふたつの弦楽四重奏を混在させるという試み。

第一ヴァイオリン(左)、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス(中央)、チェロ、ヴィオラ、第二ヴァイオリン、第一ヴァイオリン(右)。この楽器編成で、中央のコントラバスを要に扇型にアーチを描いた配置。

「それぞれの弦楽四重奏だけでも音楽ができ、またそのふたつを対立されることで別の要素が生まれたり、というのがこの「弦楽四重奏がふたつ」という試みの狙い」と久石譲も語っている。そのふたつの弦楽四重奏をつなぐように、久石譲のピアノとハープが音楽世界に深みを持たせている。

時代を超えた芸術、日本の美を感じることができる、美しくも儚さの漂う叙情的な楽曲。ふたつの弦楽四重奏によるアコスティックな澄んだ音色と、呼吸しあうかのようなかけいあい。まるで「あうんの呼吸」という日本文化を象徴しているようでもあり、光と闇、希望と狂気、善と悪、過去と未来、西洋と東洋、文化と文明、対極する世界をものみ込んでいく。

官能的な旋律はクライマックスへと昇天していく。「太王四神記」や「女信長」にもある異国時代劇のような世界。

西洋の楽器を使い、古典・バロックより定着している楽器編成 弦楽四重奏、一方で日本古来の楽器、和楽器は登場しない。にもかかわらずその響きに「日本の和」を感じさせるのは弦の巧みな響き。

 

プロモーションビデオでは、京都の「東福寺 三解脱門」「大覚寺 石舞台」「伏見稲荷大社」など歴史的に貴重が場所での撮影が行われている。

 

 

2019.4.26 追記

『TRADITIONAL BEST / EXILE ATSUSHI』CDライナーノーツより

Word:ATSUSHI
Music, Arranged & Produced by Joe Hisaishi

Piano & Conducted by Joe Hisaishi
Performed by
1st Quartet:Yu Manabe, Masahiko Todo, Amiko Watabe, Masutami Endo
2nd Quartet:Tomomi Tokunaga, Naomi Urushibara, Hyojin Kim, Tomoki Tai
Contrabass:Jun Saito
Harp:Tomoyuki Asakawa
Instruments Recording & Mixing Engineer:Hiroyuki Akita
Vocal Recorded by Naoki Kakuta at avex studio
Manipulator:Yasuhiro Maeda (Wonder City Inc.)
Instruments Recorded & Mixed at Bunkamura Studio

 

(Music Video)

Special Thanks:
アンジェリカ・ノートルダム
大仙公園 日本庭園
大本山 東福寺
旧嵯峨御所 大覚寺門跡
伏見稲荷大社

 

 

 

EXILE ATUSHI & 久石譲 懺悔 DVD付

 

EXILE ATSUSHI 久石譲 懺悔 通常盤

1. 懺悔
2. 赤とんぼ
3. 懺悔 (Instrumental)
4. 赤とんぼ (Instrumental)

【CD+DVD盤のみ】 Disc.2 PV DVD
1. 懺悔 (Video Clip)

「懺悔」
Music, Arranged & Produced by Joe Hisaishi
Piano & Conducted by Joe Hisaishi
Performed by 1st Quartet/2nd Quartete/Contrabass/Harp
Instruments Recorded & Mixed at Bunkamura Studio

 

Disc. 久石譲 『ふるさとの空』 *Unreleased

富山県ふるさとの空

2012年 発表

 

富山ふるさとの歌づくり実行委員会によって制作。「誰もが口ずさめ、富山への誇りをもてるように」と公募で選ばれた作詞に、補作詞されたものに、作曲された『ふるさとの空』。「富山の自然をこの歌とともに継承し、大切にしてほしい」という久石譲からのメッセージも寄せられている。

 

 

富山県ふるさとの歌
『ふるさとの空』
原詞:布村勝志 補作詞:須藤晃 作曲:久石譲 編曲:山下康介

公式ホームページにおいて
1.管弦楽
2.独唱(ソプラノ)
3.同声二部合唱
4.女声三部合唱
5.混声四部合唱
6.独唱(バリトン)
7.吹奏楽

同曲をそれぞれ編曲した7タイプのアレンジを視聴できる。 (2013年5月現在)
歌詞や楽譜のPDFファイルも閲覧できる。

ふるさとの空 – 富山県ふるさとの歌

 

 

 

メロディーも歌いやすい、童謡のような、懐かしみのある温かい旋律になっているが全4番という構成のなか、3番だけメロディーが少し展開しているのがおもしろい。

(1) (7)の管弦楽も吹奏楽も、市民たちが演奏できるようになのか、あまり難易度を高くせず、かつ楽曲としてまとめているアレンジもすばらしい。(2) ~ (6)の歌もそれぞれに趣があり、伴奏はすべてピアノのみとなっている。

ふるさとの市民が、これからも、いろんなかたちでこの曲を歌い続けていけるように、いろんなかたちで演奏できるように、7つものヴァージョンを制作しているのだろう、と思う。

 

 

ふるさとの空 非売品 2

CD応募プレゼント(非売品)

 

[CD情報]

ふるさとの空
1.管弦楽
演奏:富山シティフィルハーモニー管弦楽団 指揮:土居浩
録音:2012.6.2 富山市民芸術創造センター
2.独唱(ソプラノ)
歌唱:高野百合絵 伴奏:福田あき子
録音:2012.6.10 BS&T STUDIO
3.同声二部合唱
歌唱:南砺市立井波小学校・福野小学校合同合唱団 指揮:山田和美 伴奏:富永則子
録音:2012.6.16 南砺市井波総合文化センター
4.女声三部合唱
歌唱:富山県立呉羽高等学校音楽部 指揮:黒崎隆憲 伴奏:余川槙菊
録音:2012.6.16 富山市婦中ふれあい館
5.混声四部合唱
歌唱:合唱団「樂音樹」 指揮:重松秀子 伴奏:齋藤功子
録音:2012.6.3 富山市民芸術創造センター
6.独唱(バリトン)
歌唱:大畑理博 伴奏:福田あき子
録音:2012.6.10 BS&T STUDIO
7.吹奏楽
演奏:富山ミナミ吹奏楽団 指揮:牧野誠
録音:2012.6.17 富山市民芸術創造センター

8.富山県民の歌
歌唱・演奏:コロムビア合唱団、原信夫とシャープス・アンド・フラッツ(昭和33年収録)

Producer:須藤晃
制作:富山県ふるさとの歌づくり実行委員会

 

 

富山県ふるさとの空

 

 

2015.5 追記

2015年5月9日開催「久石譲&新日本フィルハーモニー交響楽団 富山特別公演」、管弦楽+混声合唱団という特別な編成でのお披露目となりました。

ふるさとの空 (富山県ふるさとの歌)
「ふるさとの空」は、県民や県出身者が、ふるさとを思い、ふるさとへの愛着を育みながら、みんなで一緒に歌い、心を一つにできる歌を作って欲しいという県内外の多くの方々の声を受け、平成23年8月から「富山県ふるさとの歌づくり実行委員会」で歌づくりが進められました。歌詞については、公募で選ばれた布村勝志さんの原詞を、富山県出身の音楽プロデューサー須藤晃さんが補作、久石譲さんが作曲を担当して、平成24年7月に富山県教育文化会館において発表されました。ふるさと富山の素晴らしさや魅力が盛り込まれた「ふるさとの空」は、子供から大人まで広く歌われています。今回の公演は、大編成の管弦楽と合唱により、久石譲さん本人の指揮で演奏される貴重な公演となります。

(久石譲&新日本フィルハーモニー交響楽団 富山特別公演 コンサート・プログラム より)

 

 

 

2017.1 追記

2017年3月末をめどに、富山市内の駅と高岡駅の到着メロディーに使われることが決まりました。

 

 

2017.3 追記

 

 

Disc. 久石譲 『Shaking Anxiety and Dreamy Globe』 *Unreleased

hakujuギターフェスタ

2012年8月19日 世界初演

 

久石譲作曲による2台ギターのための委嘱作品『Shaking Anxiety and Dreamy Globe』。「第7回Hakujuギター・フェスタ2012」にて荘村清志さんと福田進一さんという2大ギタリストにより世界初演された。

2014年9月22日開催コンサート、久石譲プレゼンツ「ミュージック・フューチャー vol.1」にて、『Shaking Anxiety and Dreamy Globe for for 2 Marimbas』オリジナルの2台ギター編成を、2台のマリンバのための編成として世界初演。

2015年8月23日「第10回Hakujuギター・フェスタ2015」にて再演。2012年同様2大ギタリスト(荘村清志/福田進一)によるオリジナル版。

 

 

エモーショナルなミニマル・ミュージック。音の粒の細かさといい、変拍子かつミニマル・ミュージックの音のずれによる変化。演奏の難易度もとても高い1曲だと思う。ギターのアコースティックな響きと、規則性あるデジタルな音型とのギャップが、メロディアスなメロディーがないなかで、強烈なインパクトと余韻を与えている。

曲名 “Shaking anxiety and Dreamy Globe”は、アメリカのシュルレアリスムの詩人、ラッセル=エドソンの詩にある、[生命が生まれる瞬間」を表した一節を引用した造語。

当時ラジオなどではO.A.紹介されたが、CD化はされていない作品。下記追記でもCD作品は紹介しているが、久石譲のオリジナル版とは演奏表現が異なる。

 

 

 

2015.6.24 追記

 

 

《Shaking Anxiety and Dreamy Globe ―揺れ動く不安と夢の球体―》

ミニマルの手法とフラメンコギターのエッセンスを取り入れた作品。複雑な変拍子と躍動感あふれる久石ならではの技巧的な楽曲。

【楽曲解説】
特筆すべきなのが拍子の独創性で、4分の13拍子(3+3+3+4拍子)をとり、しかも2人の奏者は1小節たりとも同じ動きの拍子を共有しない。そのことが生み出す一種幻覚的な音空間の魅力を味わわれたい。

(【楽曲解説】 CDライナーノーツより)

 

 

hakujuギターフェスタ

 

Disc. 久石譲 『Overture -序曲-』 *Unreleased

2012月7月21日 初演

 

大阪ひびきの街 スペシャル・コンサートにて初演。「大阪ひびきの街」誕生を記念して作曲され委嘱された「大阪ひびきの街テーマ曲 『Overture -序曲-』」。コンサートの演奏風景はCMとしても放送されている。

 

 

「街区をイメージする曲を依頼された時、単純に誰でも歌える曲、というわけにはいかないなと思いました。街区にはオーケストラも公演できる響きの良いホールがある。ぜひオーケストラ曲で仕上げたいと思った。」

「これから成長していく曲だと思います。気づいたらこの街にこの音楽が響いている、住んでいる人が親しんでいる、そんなふうになってくれたらいい。」

Blog. 「Overture -序曲-」 久石譲 新聞掲載インタビュー より抜粋)

 

 

6分に及ぶ壮大かつ高揚感あるフルオーケストラはまさに序曲。印象的なメロディーがいろいろなモチーフで展開していく。とても生き生きとした力強いメロディライン。16小節程度の短いメロディーラインをここまで壮大に発展させていく流れは圧巻。

そこに暮らす人々が、街に吹く風が、新緑の樹々たちが、エネルギー満ち溢れるすべての生命とそこでの生活を、息づく様を生き生きと表現した曲になっている。まさに街の「序曲」、これからどう成長発展し街が築かれていくか。そのスタートライン、誕生を祝う、記念作品のような品格ある高貴な楽曲。

その後の自身のコンサートでも演奏されているが未発売作品。

ぜひともCD化してほしい作品。

 

 

大阪ひびきの街

 

Disc. 久石譲 『Vermeer & Escher フェルメール&エッシャー』

久石譲 『フェルメール&エッシャー』

2012年2月15日 CD発売 WRCT-1013

 

「フェルメール光の王国展」のために書き下ろされた曲などを収録。オランダのアムステルダム、デン・ハーグ、デルフトを訪ねその土地の息吹に触れている。久石譲が“光の画家”ヨハネス・フェルメールと“だまし絵”で知られる版画家M.C.エッシャーと対峙。

 

 

視覚と聴覚

久石:
養老先生とは、何度か対談させていただいているのですが(『耳で考える』角川oneテーマ21)、テーマは視覚と聴覚の違いでした。視覚は空間、聴覚は時間の経過であるから、両方に入ってくる情報があまりに違いすぎて、その誤差を人間の中で一致させる「時空」という概念が必要になり、そこから「言葉」が発生するという話をされました。あの時、養老先生は、「ムソルグスキーの『展覧会の絵』というのはどうにも気に入らない(笑)。(音楽と絵画という)こんなに繋がりにくいものをなんで一緒にするんだ、どういう皮肉か」と仰っていました。

ところが、困ったことに、僕は知り合いからどうしてもと頼まれて、フェルメールの展覧会(「フェルメール 光の王国展」)に流す曲を書かざるを得なくなりました。

でも、フェルメールは、狭い自分のアトリエに籠もってほとんど同じ構図で左側から光が入ってくる光景を描いているだけだから密度が濃くて、音楽など入り込む余地が全くありません。オランダまで行って実物を見たけれど、全然やる気が起きない。断ろうとしたのですが、時間があったから、エッシャーを見に行ったんです。

エッシャーは版画ですし、時間も空間もパターン認識の形で抽象化されています。僕がやっているミニマル・ミュージックという音楽では、まず、エッシャーならば曲にできると思いました。そして、エッシャーとの比較対照からフェルメールに行けば曲ができるのではないかと考えて、無理矢理「フェルメール&エッシャー」とくっつけたんです。

結果的に、なんとか完成したのですが、なぜできたのか、すごく考えたんです。やはり目で見た情報をそのまま音楽にすることはできないんです。ところが、一度、絵画を言葉に置き換えると、自分自身も言葉で考えているわけですが、音楽にすることが可能だったんです。言葉というクッションを介入させた瞬間に、可能になったんですね。

Blog. 「新潮45 2012年6月号」久石譲×養老孟司 対談内容 より抜粋)

 

 

「フェルメールの作品も、細部に至るまで作り込まれているから、音楽が入り込む余地がない。なのでやってもあんまり意味がないと思って、最初はお断りしたんです。」

「はい(笑)。だからその打開策として、エッシャーを加え、アルバムのタイトルも『フェルメール&エッシャー』としたんです。エッシャーは騙し絵の版画で有名ですが、フェルメールと同じオランダの画家ですし、エッシャーが使ってた方法論が、僕のやっているミニマル・ミュージック……同じパターンの音を何度も繰り返す音楽とどこか共通項があるなって思って。エッシャーを媒介することで、フェルメールに行き着くことができたんです。」

Blog. 「月刊サーカス CIRCUS 2012年4月号」FACTORY_A 久石譲×田村淳 対談内容 より抜粋)

 

 

編成はピアノと弦楽カルテットというシンプルなもの。ジブリ音楽などに見られるエンターテイメント、叙情的な、メロディアスな音楽とは一線を画している。ミニマルミュージックを原点とした現代音楽。洗練された音の粒たちが、知性と感性に突き刺さる。

一般的な好みは別れる作品になるかもしれない。あえて、小編成であり、現代音楽であり、メロディアスな旋律を奏でていないのは、絵画的な見る人の想像を掻き立てるように、聴く人の想像を邪魔しない音楽。フェルメール・サイドとなっている前半の(1) (6)が秀逸。

なお前半のフェルメール編は篠崎正嗣率いる弦楽四重奏団、後半のエッシャー編は近藤薫率いる弦楽四重奏団と、それぞれに使い分けられているところもまた興味深い。

 

 

(CDジャケット背面)

Encounter /エッシャー (1944)

 

 

久石譲 『フェルメール&エッシャー』

Side Ver.
1. Sense of the Light
2. Circus
3. A View of the River
4. Blue and Eyes
5. Vertical Lateral Thinking
6. Muse-um

Side Esc.
7. Trees
8. Encounter
9. Phosphorescent Sea
10. Metamorphosis
11. Other World

All Music Composed, Conducted & Produced by Joe Hisaishi

Piano by Joe Hisaishi M-6, M-7

Side Ver. (M-1,2,3,4,5)
1st Violin: Masatsugu Shinozaki
2nd Violin: Yasunao Ishida
Viola: Yuko Ando
Violin Cello: Masami Horisawa
Piano: Takehiko Yamada

Side Esc. (M-8,9,10,11)
1st Violin: Kaoru Kondo
2nd Violin: Kyoko Ishigame
Viola: Masaki Shono
Violin Cello: Wataru Mukai
Piano: Ryuta Suzuki

Recorded at
Victor Studio [30 Nov. 2011]
Landmark Studio [1 Dec. 2011]
Wonder Station [2 Dec. 2012]

 

Disc. 久石譲 『Prime of Youth』 *Unreleased

2010年 委嘱

 

2010年11月5日~2011年1月16日開催「久石譲アジアツアー2010」にて初演(東京/大阪/韓国のみプログラム)。

■Prime of Youth
2010年、大阪青年会議所のピース・カンファレンス・オブ・ユース事業のテーマソングとして書き下ろされた。ファンファーレのように高らかに鳴り響く冒頭と、それに続く8分の11拍子の変拍子のリズムから紡ぎだされるミニマル・ミュージックとシンフォニックな響きが特徴的な作品。

 

 

2015.11. 追記

2015年12月11日開催「久石譲 第九スペシャル 2015」にて、「Orbis ~混声合唱、オルガンとオーケストラのための~」の第3楽章に組み込まれる。合唱編成をともなう加筆と修正によって新たに改作されている。