Disc. CHAGE and ASKA 『Z=One』

1985年1月25日 LP発売 L12563
1985年2月25日 CD発売 YCCR-00028

 

チャゲ&飛鳥(CHAGE and ASKA)6枚目のオリジナルアルバム『Z=One』(ゾーン)。

久石譲が編曲を担当した2楽曲「メゾンノイローゼ」「マドンナ」が収録されている。なお同楽曲はSynthesizer Programmedとしても参加している。使用されているシンセサイザーは、DX-7、KURZWEIL、FAIRLIGHT CMI、PROPHET 5、JUNO-105、PRO ONE、PPG、MOOG、OVERHEIMであり、これからのなかから久石譲がいくつかを使用して楽曲編曲を担当している。

 

chage and aska Zone LP1

chage and aska Zone LP2

chage and aska Zone LP3

(LPジャケット / LP盤)

 

 

chage and aska zone

1.TWILIGHT ZONE
作詞・作曲:飛鳥涼 編曲:瀬尾一三・飛鳥涼
2.棘
作詞・作曲:飛鳥涼 編曲:平野孝幸
3.J’s LIFE
作詞:松井五郎 作曲:CHAGE 編曲:Light House Project
4.標的(ターゲット)
作詞・作曲:飛鳥涼 編曲:平野孝幸
5.メゾンノイローゼ
作詞:松井五郎 作曲:CHAGE 編曲:久石譲
6.誘惑のベルが鳴る
作詞:松井五郎 作曲:CHAGE 編曲:瀬尾一三
7.マドンナ
作詞:松井五郎 作曲:CHAGE 編曲:久石譲
8.オンリー・ロンリー
作詞・作曲:飛鳥涼 編曲:平野孝幸
9.星屑のシャンデリア
作詞・作曲:飛鳥涼 編曲:瀬尾一三
10.マリア (Back To The City)
作詞:松本一起 作曲:CHAGE 編曲:平野孝幸
11.さようならの幸せ
作詞・作曲:飛鳥涼 編曲:瀬尾一三・飛鳥涼
12.真夜中の二人
作詞:松井五郎 作曲:CHAGE 編曲:平野孝幸
13.SHAKIN’ NIGHT
作詞・作曲:飛鳥涼 編曲:Light House Project

 

Disc. GARI 『金に捧げるビのバラード』

1985年1月21日 EP発売 7A0461

 

A面は映画の主題歌のようである。

 

(EPジャケット / EP盤)

 

1.金に捧げるビのバラード
作詞:高田ひろお 作曲:佐瀬尋一 編曲:川村栄二
2.ソイヤソイヤ金塊巻
作詞:高田ひろお 作曲:久石譲 編曲:久石譲

 

Disc. 田中真弓 『美・銀座・Begin』

1984年 LP発売 JBX-25051

 

声優、田中真弓のオリジナルアルバム。久石譲は「噂のロマンス」「GINZAランデヴー」の2楽曲を作曲、楽曲提供している。また全10曲の編曲を担当している。

 

 

田中真弓 美 銀座 Begin 1

田中真弓 美 銀座 Begin 2

田中真弓 美 銀座 Begin 3

田中真弓 LP 5

(LPジャケット / LP盤)

 

side-1
1.銀座らぷそでい
作詩:荒木とよひさ 作曲:古田喜昭
2.夢売りキッド
作詩:荒木とよひさ 作曲:古田喜昭
3.雨のみゆき通り
作詩:荒木とよひさ 作曲:津田義彦
4.噂のロマンス
作詩:荒木とよひさ 作曲:久石譲
5.有楽町で逢いましょう
作詩:佐伯孝夫 作曲:吉田正

side-2
1.美・銀座・美・銀
作詩・作曲:津田義彦
2.二人の銀座
作詩:永六輔 作曲:The Ventures 歌:田中真弓/三ツ矢雄二
3.GINZAランデヴー
作詩:荒木とよひさ 作曲:久石譲
4.午前0時のシンデレラ
作詩:荒木とよひさ 作曲:津田義彦
5.銀座ワルツ ~愁いの人~
作詩:荒木とよひさ 作曲:古田喜昭

全編曲:久石譲

 

Disc. 井上陽水 『9.5カラット』

1984年12月21日 LP・CD・CT発売
2001年5月30日 CD発売 FLCF-3855
2009年3月25日 CD発売 FLCF-5008
2019年6月26日 UHQCD発売 FLCF5077

 

井上陽水が他のアーティストに提供した作品を自分で歌い直したセルフカバー・アルバム。久石譲が「ダンスはうまく踊れない」「飾りじゃないのよ涙は」の2曲で編曲を担当している。

 

オリジナル歌唱は下記のとおり。

「はーばーらいと」水谷豊
「ダンスはうまく踊れない」石川セリ
「TRANSIT」小林麻美
「A,B,C,D,」沢田研二
「恋の予感」安全地帯
「いっそ セレナーデ」井上陽水
「飾りじゃないのよ 涙は」中森明菜
「からたちの花」樋口可南子
「ワインレッドの心」安全地帯

 

1990年、2001年(デジタル・リマスター盤)、2009年(SHM-CD仕様)、2019年(UHQCD仕様)にCDが再リリースされている。

 

井上陽水 9.5カラット LP1

井上陽水 9.5カラット LP2

(LPジャケット / LP盤)

 

井上陽水 9.5カラット カセット 1

井上陽水 9.5カラット カセット 2

井上陽水 9.5カラット カセット 3

(カセットテープ)

 

 

井上陽水 9.5カラット

1.はーばーらいと
作詞:松本隆 作曲:井上陽水 編曲:星勝
2.ダンスはうまく踊れない
作詞:井上陽水 作曲:井上陽水 編曲:久石譲
3.TRANSIT
作詞:松任谷由実 作曲:井上陽水 編曲:星勝
4.A.B.C.D.
作詞:井上陽水 作曲:井上陽水 編曲:星勝
5.恋の予感
作詞:井上陽水 作曲:玉置浩二 編曲:萩田光雄
6.いっそ セレナーデ
作詞:井上陽水 作曲:井上陽水 編曲:星勝
7.飾りじゃないのよ涙は
作詞:井上陽水 作曲:井上陽水 編曲:久石譲
8.からたちの花
作詞:流れ星犬太郎 作曲:井上陽水 編曲:星勝
9.ワインレッドの心
作詞:井上陽水 作曲:玉置浩二 編曲:萩田光雄

 

Disc. 久石譲 『吉祥天女 イメージアルバム』

久石譲 吉祥天女 イメージアルバム

1984年12月21日 CD発売 32ATC-4
1984年12月21日 LP発売 ANL-1038
1984年12月21日 CT発売 25AN-38
2000年4月26日 CD発売 TKCA-71916
2018年2月23日 LP発売 LAGREC002

 

「吉祥天女」
原作:吉田秋生 音楽:久石譲

第29回小学館漫画賞を受賞した名作コミックに久石譲がオリジナル音楽を書き下ろしたイメージアルバムの先駆的作品。

 

 

吉祥天女 音楽解説

一、天女伝説
「七宝充満の宝を降らし、国土にこれを施し給ふ」という、能楽「羽衣」の引用から物語は始まる。「天女の羽衣」を代々受け継ぎ、地上に降りた天女の末裔であるヒロイン。物語のベースに流れる「天人女房伝説」からイメージした、このアルバムのメインテーマ。

二、叶 小夜子
春の嵐に散る桜とともに、麻井由似子の通う高校に転校してきた少女・叶小夜子。彼女の不思議な魅力が、学園に静かな波紋のように広がっていく。「気になる転校生」をめぐって、なにかがゆっくりと動きはじめる。

三、遠野 涼
「春日高の浮世雲」の異名をとる軟派中の軟派、遠野涼はクラスのなかに難なくとけこんでいる小夜子に、ただひとりなにか異質なものを感じとる。自分をとりまくすべてのことを呪っていると言い放つ小夜子。一見、軽薄で明るい学園生活を送る涼は、今まで目をそらしてきた自分の過去に、ふたたび対峙する。

四、天女飛翔
今井久子や暁の指図で、小夜子を襲う不良グループ。男の暴力に対して、翔ぶかのように危機を脱していく小夜子。羽衣を血に染めて飛翔する天女のイメージ。

五、遠野 暁
叶家の莫大な財を手に入れるため、小夜子に近づく涼の従兄、遠野暁。ワナをはり小夜子と婚約にまでもちこむが、彼女の魅力にひきこまれ、微妙に変化していく。スノップな現実を象徴するキャラクターとしてイメージした曲。

六、魔性の女
国語教師の根津、暁の手下の大沢真、伯母の浮子、そして暁の父と、次々と葬りさっていく小夜子。血が流れるごとに彼女の魅力は妖しく増していく。幼時に受けた暴行から「女性であることの屈辱」を味わった彼女は、すべての男性に報復するかのように、その魔性を超常的なまでに発揮していく。

七、血の抗争
小夜子の祖父、叶泰造の死により、叶家の財産をねらう暁をはじめとする遠野家の計略。私欲にくらむ魑魅魍魎(ちみもうりょう)の中で、秘かに刃をとぎすます小夜子。

八、小夜子と涼
小夜子の魔性を目のあたりにして、むしろ畏敬の念をもつ涼。最初に会ったときから、涼の中に自分と同じ「傷つきやすい魂」を感じた小夜子。ふたりの心はつかの間、通いあうかにみえるが、暁の死に至り、涼は小夜子を葬ろうと銃を手にする。破滅の色調を帯びた、小夜子と涼のラブソング。

九、予感
暁の死により彼女の報復は終った。が、その魔性は、唯一、わかりあえる存在かもしれなかった涼をも殺してしまう。女性としての業を一身に背負ったかのような小夜子の精神(こころ)が孤高の涙にゆれる。

十、転生
”天女を妻にした男は幸福だったと思う?それとも……”

(音楽解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

2018年Lag Recordsからアナログレコードが再発売されている。

2018年2月23日 LP発売 LAGREC002

吉祥天女 イメージアルバム (アナログレコード)
KISSHO TENNYO [LP] [Analog]

 

 

久石譲 吉祥天女 イメージアルバム

1. 天女伝説
2. 叶 小夜子
3. 遠野涼
4. 天女飛翔
5. 遠野暁
6. 魔性の女
7. 血の抗争
8. 小夜子と涼
9. 予感
10. 転生

プロデューサー:久石譲
作曲・編曲:久石譲
演奏:久石譲・福岡保子

録音スタジオ:
サンライズスタジオ
ジョーズステーション
59年9月10日~10月9日

使用楽器:
フェアライトCMI、プロフィット5、ヤマハDX7、リンドラム、ローランドMC-4、ハモンドオルガン、ローランドSH-101、ローランドTR-808

 

Disc. 久石譲 『Wの悲劇 オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『Wの悲劇 オリジナル・サウンドトラック』

1984年12月1日 LP発売 WTP-90308
1984年12月1日 CT発売 ZH28-1466
1984年12月21日 CD発売 CA35-1098
1998年7月25日 CD発売 CPC8-3006
2013年9月18日 CD発売 TOCT-11604

 

1984年公開 映画「Wの悲劇」
監督:澤井信一郎 音楽:久石譲 出演:薬師丸ひろ子 他

 

「あんた、いま、女優になるのよ」「顔ぶたないで、女優なんだから!」などの名言。役を得るためには、純潔も恋も犠牲にするドロドロの世界を見事に描いたバック・ステージものの傑作。そんな内容とは裏腹に久石譲による美しいピアノが流れる。大ヒット曲「Woman~Wの悲劇より~」も、もちろん収録。

(メーカーインフォメーションより)

 

 

今こそ見直すべき澤井信一郎と久石譲の出発点

夏樹静子の同名ベストセラー小説を下敷きにしたユニークな”バックステージ・ドラマ”『Wの悲劇』(1984)は、その絶妙な脚本の構成とアンサンブルのいい役者陣の演技、そして計算と感性の行き届いた演出によって、今も胸を打つ逸品となった。劇中の劇団研究員さながらに、アイドル女優という枠から徐々にはみだし、大人の香りを醸し出していく薬師丸ひろ子は『メイン・テーマ』(1984・森田芳光監督)に続いての好演。誠実なる不動産屋の青年役で世良公則がさわやかな風を吹かせば、三田佳子が劇団『海』の看板女優を貫禄たっぷりに見せつける。役者稼業にすれた感じを違和感なく出す先輩役の三田村邦彦、初々しさ漂う新人・高木美保、そして舞台演出家を地で行く蜷川幸雄と、脇の固めもスキがない。アーウィン・ショウの『愁いを含んで、ほのかに甘く』からのアイデア借用という事実があったにせよ、荒井晴彦による脚本(澤井信一郎と共同)の説得力は光を失うことなく、まして『野菊の墓』(1981)で松田聖子に輝きを与えた澤井信一郎の昇り竜のごとき充実の監督第2作である。後の『早春物語』(1985)、『めぞん一刻』(1986)、『恋人たちの時刻』(1987)などの実績を思えば、すべては当然の結果だったといえるだろう。

同時上映だった大林宣彦監督作品『天国にいちばん近い島』(1984)のニューカレドニアの南国ムードとともに、公開当時の麗しい記憶に包まれるファンも多いであろう同青春&人間ドラマには、しかし今こそ注目しなければならない人物がいた。当時、薬師丸ひろ子が歌う主題歌《Woman~Wの悲劇~より》ばかりが目立ち、その男の存在が何かと稀薄に扱われていた事実はひたすらに口惜しい。音楽担当の久石譲である。

1950年12月6日、長野県は信州中野に生まれた久石は、4歳からヴァイオリンを習い始め、高校時代より作曲を学んでいる。程なく現代音楽の作曲家になることを夢見て、国立音楽大学へ入学。在学中には前衛音楽の演奏会を数多く開き、卒業後はミニマル・ミュージックの世界へと没入していく。紆余曲折の末、やがて現代音楽の分野に限界を感じると、つぎに一転してポップスのフィールドへと身を投じていくわけだが、その際に「売れなければ正義ではない」と肝に銘じたという逸話は彼らしい性分の表れだろう。その辺りをインタビューの席で水を向けると、本人は笑ってうなずいていたものだが、そういった強い意志が結果となって大きく実を結んだのが、1984年という年だったのではないか。

そこからさかのぼること2年。1982年10月に久石は『インフォメーション』というオリジナル・アルバムを作った。その発売元であるジャパン・レコードが徳間グループの系列の会社であったことから、準備段階にあった『風の谷のナウシカ』(1984)のイメージ・アルバム制作への参加が決まったという。結局、それが宮崎駿、高畑勲両氏の納得のいく仕事となり、やがて映画本編の音楽も担当。周知の通り、大ヒットとなった。80年代の初頭から映画、TVの仕事をこなしてきた作曲者であったが、世間一般に広く名前が広まったのはこの作品の成功からである。久石自身も出発点としての認識が強いのだろう。これ以前の映像作品についての記載が作品リストから外れることが多いのも象徴的である。

『風の谷のナウシカ』の成功は、何より久石自身の自信を呼びさました。当然各方面から押し寄せた依頼を、作曲者は慎重に検討する段にはいっていった。成功を成功に、自信を自信に結び付けるためである。その辺りの意識については、自伝的エッセイ集『I am/遙かなる音楽の道へ』(1992・メディアファクトリー刊)に詳しい。いわく「下からコツコツ上がっていくのは面倒、やるからにはトップから仕事をしていきたい、僕はそう思っていた」。そして「薬師丸ひろ子の映画の仕事がやれたらいいな」と考えているところへ来たのが『Wの悲劇』だった。澤井信一郎との出会いである。

とにかく久石譲といえば、宮崎駿、北野武、大林宣彦という”御三家”との仕事が取り沙汰される。確かに、彼らとの共同作業によって、作曲者は映画音楽の可能性を切り開くことができ、同時にその成功によって名声を獲得してきた。だが、そればかりではない。そればかりで判断してはいけない。特に実写作品の仕事という点からいえば、北野武や大林宣彦よりも早く久石に映画的な目覚めを誘ったのは、澤井信一郎にほかならないのだ。

久石の登板の背景は明らかにされていない。無論『風の谷のナウシカ』の成功に事が起因していることは確かだろうが、恐らく角川春樹事務所、ないしは配給の東映サイドからの推薦によるものだろう。久石は澤井信一郎の第一印象を「小柄でやさしそうな印象」とし、映画については「オーソドックスな作品」「映画のイロハがちゃんとある」と前述の自伝に書いている。幼少のころより映画館通いを欠かさなかった作曲者は、てらいのない伝統的な手法の演出による作品を歓迎した。澤井のスタイルに敬意を払いつつ「僕の作曲も、オーソドックスな正統な姿勢」で臨むことにし、「奇を衒った入れ方をしたり、ファッション的なBGMにしたりするのではなく、きちんとドラマに参加した音楽にする」(自伝の記述より抜粋)と決める。作曲者なりの澤井とその作品への”正義”だろう。

久石のそんな方法は、まさに的確であった。ムダの少ない音楽の付け方だ。必要とされるべきところへ必要なだけ盛り込む。ことさらに音に厚みをつけない。ミニマル、エスニック、ロック、オーケストラ音楽など、さまざまなスタイルが並んだ『風の谷のナウシカ』と比べて、それはある種地味ではある。しかし、そんな宮崎作品の後だったからこそ、映画の基本に立ち返る澤井との仕事は、必要な”リハビリテーション”ではなかったか。大きな仕事を待っていた作曲者が『Wの悲劇』という題材に巡り合ったのは、偶然的な一方で、運命的にして必然的な事の次第だったと思わずにいられない。フェアライト(サンプリング・マシンの一種)によるサウンドをフィーチュアしながら、ストリングス、ハープ、ピアノ、それにいくらかの木管と打楽器を絡めた劇中の音楽が、やがてクライマックスのカーテンコール場面でダイナミックな感動の爆発を迎えるには、そういった久石の背景を思えば、なおのこと納得できる部分があろうというものだ。

また、フェアライトという”楽器”を得たという意味では、その後の久石の映画音楽作品の”原型”ともいうべき音色の数々が見受けられるのも興味深い。例えば、冒頭の三田静香(薬師丸ひろ子)と五代淳(三田村邦彦)の暗がりの会話場面で流れるヴォイス・サンプリングによるサウンドは、『ふたり』(1991)や『はるか、ノスタルジィ』(1992)といった大林作品に有名だろう。フェアライトを初めて使った『風の谷のナウシカ』と合わせて考えれば、やはり1984年という年は作曲者にとって重要な分岐点だったといえる。

自伝で久石は続ける。「澤井さんは非常に音楽に対してもこだわりのある人で、たとえば、劇中の喫茶店や舞台で流れる音楽と、映画音楽というのをはっきり分けて考える。そうしないと、差が出てこないという。ほとんどの人は、そういうことにはこだわらない。そういう意味でのこだわりを最初に教えてくれたのは、澤井さんなのだ」。現実音と劇中音楽の使い分けは、基本中の基本である。そういうことを現場で一から知ることになった経験は、作曲者にさらなる飛躍を約束したといっても過言ではない。何よりもそれは、その後の活動が物語っているだろう。良き信頼関係に結ばれた澤井と久石は、以後も『早春物語』(1985)、『めぞん一刻』(1986)、『恋人たちの時刻』(1987)、『福沢諭吉』(1991)へとコンビをつなげていった。ジャンルの差こそどうあれ、そのすべてが青春映画である。虚構の青春ドラマの中で、飽くことなき音楽的試行を繰り返してきた名手二人にとって、『Wの悲劇』はまさに輝ける旅立ちのモニュメントとなった。

1998年5月27日 賀来卓人

(1998年再販盤 CDライナーノーツより)

 

 

久石譲 『Wの悲劇 オリジナル・サウンドトラック』

(オリジナル・ジャケット)

 

Wの悲劇 再販

(1998年7月25日 CD再販 ジャケット)

 

※2013年再販盤はオリジナル・ジャケットが採用されている

 

1. プロローグ
2. 野外ステージ
3. 冬のバラ 歌:薬師丸ひろ子
4. 女優志願
5. 劇団「海」
6. Wの悲劇
7. Woman~Wの悲劇~より 歌:薬師丸ひろ子
8. 危険な台詞
9. 静香と摩子
10. ジムノペディ第1番~レクイエム~サンクトゥス~カーテンコール I
11. カーテンコール II

音楽:久石譲

「冬のバラ」
作詩:松本隆 作曲:呉田軽穂 編曲:松任谷正隆

「Woman~Wの悲劇~より」
作詩:松本隆 作曲:呉田軽穂 編曲:松任谷正隆

ジムノペディ第1番
作曲:エリック・サティ 編曲:久石譲
レクイエム
作曲:ヴェルディ 編曲:久石譲

 

Disc. 久石譲 『ふたり鷹 音楽編 1 MUSIC SELECTION 1』

1984年11月21日 LP発売 C25G0362
1984年11月21日 CT発売 25P-7351

 

フジテレビ系列アニメーション「ふたり鷹」
1984年9月27日~1985年7月12日 放送

原作:新谷かおる 音楽:久石譲

 

主題歌
オープニングテーマ – 『ハートブレイクCrossin’』
エンディングテーマ – 『サヨナラを言わないでくれ』

両曲
作詞 – 売野雅勇 / 作曲・編曲 – 芹澤廣明 / 歌 – 陣内孝則

 

 

(LPジャケット / LP盤)

 

 

A1. ハートブレイク Crossin’ Heartbreak Crossin’ (オープニング主題歌)
A2. サーキット・ライダー Circuit Rider
A3. 沢渡 鷹 イメージテーマ TAKA SAWATARI Image Theme
A4. 東条 鷹 イメージテーマ TAKA TOUJYOU Image Theme
A5. デッド・ヒート Dead Heat
A6. 流火 イメージテーマ RUI Image Theme
A7. トワイライト・フリーウェイ Twilight Freeway

B1. モーニング・タウン Morning Town
B2. 緋沙子 イメージテーマ HISAKO Image Theme
B3. 美亜 イメージテーマ MIA Image Theme
B4. コンクリート・ツーリング Concrete Touring
B5. テンション Tension
B6. ラスト・スパート Last Spurt
B7. サヨナラを言わないでくれ Don’t say good-bye (エンディング主題歌)

A2-A6. 作曲・編曲:久石譲
A1. 作詞:売野雅勇 作曲・編曲:芹澤廣明 歌:陣内孝則

B2-B6. 作曲・編曲:久石譲
B9. 作詞:売野雅勇 作曲・編曲:芹澤廣明 歌:陣内孝則

 

Disc. マニュアルプロジェクト 『デジタル ファンタジア DIGITAL FANTASIA』

1984年9月21日 CD発売 35C32-7273
1984年9月21日 LP発売 AX-7408
1984年9月21日 CT発売 CAY-1273

 

松任谷由実の楽曲をシンセサイザー・インストゥルメンタルとして発表された作品。全編曲を担当したのが久石譲。

シンセサイザーは主にフェアライトを中心としたサウンドになっており、ユーミンのおなじみの楽曲たちが、原曲の持ち味をそこなわない、そんななかでも実験的なアレンジが満載となっている。80年代の久石譲サウンドになじみがあれば、「あっ、久石譲らしいな」と思わずニヤっとするかもしれない。シンセサイザーの音色をとっても、リズムパターンをとっても、また前衛的で実験的なアレンジをとっても。

 

企画もののCD作品であり経緯は不明。また下記楽曲解説は久石譲ではない他者によるもの。

 

 

◆解説

シンガーソングライター松任谷由実に関しては、いまさら説明の必要が無いほど、現在の日本の音楽シーンにとってはポピュラーなシンガーソングライターである。1972年11月にアルバム「ひこうき雲」、シングル「きっと言える」でデビューして以来、ニューミュージックと呼ばれるジャンルにおいて、フォーク全盛の時代から10年以上も良質のポップスを作りつづけ、今日では松田聖子・原田知世・薬師丸ひろ子・麗美等多くの第一線で活躍するアーティストに作品を提供している。

荒井由実時代から、現在の松任谷由実までの作品の魅力は、たとえば詩の世界がビジュアルでドラマがあり、主人公の気持が手にとる様に伝わる素晴らしさもあるが、やはり常にポップでありながら聴く人に無理なく伝わるメロディーのロジックの確かさだろう。そしてそのメロディーだけを聴いたとしても様々な景色、ドラマ、主人公の姿、などを連想されるに違いない。

このシンセサイザーによるインストゥルメンタルアルバムを聴いた人達が、それぞれの体験、感性によって様々なイマジネーションを広げることだろう。

 

◆楽曲解説

ダンデライオン
ユーミンの比較的新しい作品、リンドラム、プロフェット5、DX-7、によるリズムベース、ストリングスが広がりのあるサウンドを構成している。ちょうど海岸から波打ち際、水平線から空に広がる景色を想像するようなトロピカルでビジュアルなサウンド。

時をかける少女
原田知世で大ヒットした映画主題歌。最新コンピューター・シンセサイザー、フェアライトCMIをフルに使用したサウンドは、多くの隠し味のエフェクトサウンドが入っており、またコンピューターがはじき出すアタックのあるビートを聴いているだけでも心地よくなる。

夕闇をひとり ~ ボイジャー ~ 潮風にちぎれて ~ 夕闇をひとり
テンポの近い3曲のメドレー。「夕闇をひとり」のメロディーはフェアライトで演奏されており、コザック合唱団を連想させるコーラスサウンドが独特の雰囲気をかもし出している。次の「ボイジャー」も人間の声をサンプリング(プロッピーディスクに音を記憶させる)したフェアライトがメロディーとバックコーラスを演奏している。そして「潮風にちぎれて」ではサビをハモニカのトーンで演奏され、また「夕闇をひとり」で締めくくっている。

海を見ていた午後
ハイファイセットもレパートリーにし、詩の中で横浜山手にある「ドルフィン」が登場することから、当時大学生の間で人気になった作品。これも少女の声をサンプリングした音でメロディーを演奏している。聴いているとまるで歌っているかのように詩が聴こえる錯覚を起こしそうになる。途中からシンセサイザーの心臓の鼓動のようなビートとストリングスが奇妙にマッチングしている。

ベルベット・イースター
LP「ユーミンブランド」に収録されている作品。地味ではあるが、ファンの間では代表作の1曲にあげる人も多い。人間の声をサンプリングしたコーラスとメロディー、そしておもちゃのピアノ、強烈なドラムのフィルから大編成のオーケストラサウンドで盛り上がりフェイドアウトして行く。感動的でこのアルバムのコンセプトの中心的作品です。

あの日にかえりたい
1975年に発売されたユーミンの代表曲で哀愁のあるメロディーはポップスファンだけでなく、多くの人々がファンになった作品。リンドラムの強力で現代的なビートにのって、コンピューターによるリードメロがシンプルだが幻想的な雰囲気を出している。またエンディングのリズムの突然のカットが意外性とドラマティックな印象を与えてくれる。

守ってあげたい
薬師丸ひろ子主演の映画主題歌でヒットした作品。ニューウェーブなリズムにコンピューターが演奏するシンプルなメロディーが新鮮な感じで、淡々とした中にもアイデアを盛り込んだ隠し味がきいている。

不思議な体験
某洋酒メーカーのCMに使用された作品。リズムとメロディーだけで始まり、そしてシンセのストリングスからサビへ展開し、ブラスシンセがメロディーを演奏しサウンドを盛り上げ、フェイドアウトしていく。

卒業写真 ~ 私のフランソワーズ ~ 翳りゆく部屋
ユーミンの初期の頃のバラードを3曲メドレーにしてある。やはり空間を感じさせるイントロからフェアライトによる弦楽四重奏そして大編成のストリングスへ移行し、人間の声のサンプリングによる「私のフランソワーズ」がなかなか哀しく、そしてフルオーケストラで盛り上がり木管系のリードメロディー、そして大編成のオーケストラによるエンディングが感動的。

(CDライナノーツ より)

 

 

(LPジャケット)

 

 

デジタルファンタジア

(CDジャケット)

 

1. ダンデライオン
2. 時をかける少女
3. 夕闇をひとり ~ VOYAGER~日付のない墓標~ ~ 潮風にちぎれて ~ 夕闇をひとり
4. 海を見ていた午後
5. ベルベット・イースター
6. あの日にかえりたい
7. 守ってあげたい
8. 不思議な体験
9. 卒業写真 ~ 私のフランソワーズ ~ 翳りゆく部屋

全作曲:松任谷由実
全編曲:久石譲
演奏:マニュアル プロジェクト

 

Disc. 久石譲 『バース BIRTH』

久石譲 バース birth

1984年作品

 

1984年 OVA作品 「バース BIRTH」
アニメーションディレクター:金田伊功 音楽:久石譲

 

 

「バース イメージアルバム」

1983年5月1日 LP発売 JBX-25014
1983年5月1日 CA発売 VCK-6069

バース LP 1

(LPジャケット)

 

1. バースのテーマ
2. 夢見草
3. イノガニック神殿
4. 聖剣
5. ラサの夢
6. 宇宙
7. フローター・バイク
8. 砂龍
9. アーリア
10. ザックスの戦士

 

 

「バース オリジナル・サウンドトラック ~音楽篇」

1984年7月21日 LP発売 JBX-25050
1984年7月21日 CA発売 VCK-6120

バース LP 2

(LPジャケット)

 

1. 風をあつめて
2. バースのテーマ (OVA Remix)
3. マイ・ロンゲスト・ロード
4. 未知なる光の
5. クライシス
6. フローター・バイク
7. ロマンチック・ベビー
8. ザッツ・ロマン
9. モノアイ・パニック
10. 熱き心に
11. イノガニック・タワー
12. ソウル・シャワー
13. いざない
14.ザックスの戦士

 

 

1994年3月24日 CD発売 VICL-23071

久石譲 バース birth

 

 

 

ビクター・アニメ『殿堂ツイン』シリーズ 17 「ウィンダリア/バース」
映像と音楽はここまでひとつになれる!

 

『殿堂TWIN 17 ウインダリア/バース (2 CD)』

1999年6月23日 CD発売 VICL-60433~34

 

※ここでは久石譲音楽担当による「バース」、本作品DISC2のみ記載

 

バース/金田伊功(イメージアルバム)
1. バースのテーマ
2. 夢見草
3. イノガニック神殿
4. 聖剣
5. ラサの夢
6. 宇宙
7. フローター・バイク
8. 砂龍
9. アーリア
10. ザックスの戦士
オリジナル・ビデオ・アニメーション「バース」 音楽篇
11. 風をあつめて
12. バースのテーマ (OVA Remix)
13. マイ・ロンゲスト・ロード
14. 未知なる光の
15. クライシス
16. フローター・バイク
17. ロマンチック・ベビー
18. ザッツ・ロマン
19. モノアイ・パニック
20. 熱き心に
21. イノガニック・タワー
22. ソウル・シャワー
23. いざない

作・編曲:久石譲 (1~4, 6~9, 11~23)
作詞:冬杜花代子/作・編曲:久石譲 (5)
作詞:荒井まゆみ/作曲:謝花義哲/編曲:久石譲 (10)
歌:ちさ (5)/シャバナ (10)
演奏:ザ・バース (1~4, 6~9, 11~23)

※複数作品をオリジナル音源から復刻の為、DISC2-3,7とDISC2-21,16は同一音源を使用しています。また”バース 音楽篇”のオリジナルLPには「ザックスの戦士(DISC2-10と同一音源)」が収録されておりましたが、今回はCDの収録時間の限界を越えるため割愛しました。ご了承ください。

 

 

Disc. V.A. 『機甲創世記モスピーダ Vol.3 ライブ・アット・ピットイン』

1984年6月21日 LP発売 JBX-25047
1984年6月21日 CT発売 VCK-6113

 

1983年 フジテレビ系アニメ放送 「機甲創世記モスピーダ」
音楽:久石譲

放送期間:1983年10月2日~1984年3月25日
放送時間:毎週日曜日9時30分~10時(関東地区)
放送局:フジテレビ系
放送話数:全25話

 

 

久石譲 機甲創世記モスピーダ 1-3

 

 

 

機甲創世記モスピーダ ライブ・アット・ピットイン

(LPジャケット)

 

1.めざめ
2.Love Tonight
3.荒れ野へ
4.愛の小石
5.虹の彼方に
6.ロンリー・エラント
7.スターダスト
8.DREAM EATERS
9.プリテンド
10.ブルー・レイン