Disc. マニュアルプロジェクト 『デジタル ファンタジア DIGITAL FANTASIA』

1984年9月21日 CD発売 35C32-7273
1984年9月21日 LP発売 AX-7408
1984年9月21日 CT発売 CAY-1273

 

松任谷由実の楽曲をシンセサイザー・インストゥルメンタルとして発表された作品。全編曲を担当したのが久石譲。

シンセサイザーは主にフェアライトを中心としたサウンドになっており、ユーミンのおなじみの楽曲たちが、原曲の持ち味をそこなわない、そんななかでも実験的なアレンジが満載となっている。80年代の久石譲サウンドになじみがあれば、「あっ、久石譲らしいな」と思わずニヤっとするかもしれない。シンセサイザーの音色をとっても、リズムパターンをとっても、また前衛的で実験的なアレンジをとっても。

 

企画もののCD作品であり経緯は不明。また下記楽曲解説は久石譲ではない他者によるもの。

 

 

◆解説

シンガーソングライター松任谷由実に関しては、いまさら説明の必要が無いほど、現在の日本の音楽シーンにとってはポピュラーなシンガーソングライターである。1972年11月にアルバム「ひこうき雲」、シングル「きっと言える」でデビューして以来、ニューミュージックと呼ばれるジャンルにおいて、フォーク全盛の時代から10年以上も良質のポップスを作りつづけ、今日では松田聖子・原田知世・薬師丸ひろ子・麗美等多くの第一線で活躍するアーティストに作品を提供している。

荒井由実時代から、現在の松任谷由実までの作品の魅力は、たとえば詩の世界がビジュアルでドラマがあり、主人公の気持が手にとる様に伝わる素晴らしさもあるが、やはり常にポップでありながら聴く人に無理なく伝わるメロディーのロジックの確かさだろう。そしてそのメロディーだけを聴いたとしても様々な景色、ドラマ、主人公の姿、などを連想されるに違いない。

このシンセサイザーによるインストゥルメンタルアルバムを聴いた人達が、それぞれの体験、感性によって様々なイマジネーションを広げることだろう。

 

◆楽曲解説

ダンデライオン
ユーミンの比較的新しい作品、リンドラム、プロフェット5、DX-7、によるリズムベース、ストリングスが広がりのあるサウンドを構成している。ちょうど海岸から波打ち際、水平線から空に広がる景色を想像するようなトロピカルでビジュアルなサウンド。

時をかける少女
原田知世で大ヒットした映画主題歌。最新コンピューター・シンセサイザー、フェアライトCMIをフルに使用したサウンドは、多くの隠し味のエフェクトサウンドが入っており、またコンピューターがはじき出すアタックのあるビートを聴いているだけでも心地よくなる。

夕闇をひとり ~ ボイジャー ~ 潮風にちぎれて ~ 夕闇をひとり
テンポの近い3曲のメドレー。「夕闇をひとり」のメロディーはフェアライトで演奏されており、コザック合唱団を連想させるコーラスサウンドが独特の雰囲気をかもし出している。次の「ボイジャー」も人間の声をサンプリング(プロッピーディスクに音を記憶させる)したフェアライトがメロディーとバックコーラスを演奏している。そして「潮風にちぎれて」ではサビをハモニカのトーンで演奏され、また「夕闇をひとり」で締めくくっている。

海を見ていた午後
ハイファイセットもレパートリーにし、詩の中で横浜山手にある「ドルフィン」が登場することから、当時大学生の間で人気になった作品。これも少女の声をサンプリングした音でメロディーを演奏している。聴いているとまるで歌っているかのように詩が聴こえる錯覚を起こしそうになる。途中からシンセサイザーの心臓の鼓動のようなビートとストリングスが奇妙にマッチングしている。

ベルベット・イースター
LP「ユーミンブランド」に収録されている作品。地味ではあるが、ファンの間では代表作の1曲にあげる人も多い。人間の声をサンプリングしたコーラスとメロディー、そしておもちゃのピアノ、強烈なドラムのフィルから大編成のオーケストラサウンドで盛り上がりフェイドアウトして行く。感動的でこのアルバムのコンセプトの中心的作品です。

あの日にかえりたい
1975年に発売されたユーミンの代表曲で哀愁のあるメロディーはポップスファンだけでなく、多くの人々がファンになった作品。リンドラムの強力で現代的なビートにのって、コンピューターによるリードメロがシンプルだが幻想的な雰囲気を出している。またエンディングのリズムの突然のカットが意外性とドラマティックな印象を与えてくれる。

守ってあげたい
薬師丸ひろ子主演の映画主題歌でヒットした作品。ニューウェーブなリズムにコンピューターが演奏するシンプルなメロディーが新鮮な感じで、淡々とした中にもアイデアを盛り込んだ隠し味がきいている。

不思議な体験
某洋酒メーカーのCMに使用された作品。リズムとメロディーだけで始まり、そしてシンセのストリングスからサビへ展開し、ブラスシンセがメロディーを演奏しサウンドを盛り上げ、フェイドアウトしていく。

卒業写真 ~ 私のフランソワーズ ~ 翳りゆく部屋
ユーミンの初期の頃のバラードを3曲メドレーにしてある。やはり空間を感じさせるイントロからフェアライトによる弦楽四重奏そして大編成のストリングスへ移行し、人間の声のサンプリングによる「私のフランソワーズ」がなかなか哀しく、そしてフルオーケストラで盛り上がり木管系のリードメロディー、そして大編成のオーケストラによるエンディングが感動的。

(CDライナノーツ より)

 

 

(LPジャケット)

 

 

デジタルファンタジア

(CDジャケット)

 

1. ダンデライオン
2. 時をかける少女
3. 夕闇をひとり ~ VOYAGER~日付のない墓標~ ~ 潮風にちぎれて ~ 夕闇をひとり
4. 海を見ていた午後
5. ベルベット・イースター
6. あの日にかえりたい
7. 守ってあげたい
8. 不思議な体験
9. 卒業写真 ~ 私のフランソワーズ ~ 翳りゆく部屋

全作曲:松任谷由実
全編曲:久石譲
演奏:マニュアル プロジェクト

 

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