特集》 久石譲 クリスマス特集 2013

久石譲 クリスマス

 

数多くの曲を世に送り出している久石譲。意外にもクリスマス・ソングを作曲したことはありません。それでもクリスマスを連想させる心温まる曲はたくさんあります。そのなかから選りすぐりクリスマスを演出してくれる光瞬く曲を特集!

 

久石譲 PIANO STORIES 2
「White Night」
久石譲 『PIANO STORIES II』 収録

 

タイトルからも唯一のホーリーナイト・ソングと言ってもいい名曲。ピアノと室内楽の優美な調べに、ベルの音色も響きわたる。ノンタイアップながら歌のように印象的なメロディーで聖夜を彩る。雪の結晶が星屑たちと歌う。

※「White Night」は歌詞のついたPOPSアレンジにより「長距離電話」/池田聡 として久石譲プロデュースにて発表されている。

※女性コーラス・グループ リトル・キャロルによって別作詞され「ホワイトナイト」としてクリスマスアルバムに収録されている。久石譲の娘、麻衣が中心となったグループで澄んだコーラスが印象的。

 

今井美樹 flow into space
「遠い街から」
今井美樹 『flow into space』 収録

 

久石譲作曲/編曲による今井美樹オリジナル・アルバム収録曲。イントロのピアノの調べから、徐々に重なりあうストリングス、透きとおった歌声。今井美樹による歌詞も遠く恋人を待ちわびる女性と冬の情景が広がる世界。隠れた名曲であり、この作品のために書き下ろされた貴重な歌曲。

 

久石譲 Asian X.T.C.
「Woman ~Next Stage~」
久石譲 『Asian X.T.C.』 収録

 

コートを身に装いエレガントに歩く女性と煌めく冬の街路樹たち。イルミネーションは彼女のためのスポットライトか。ピアノと弦とハープが女性の内面、美しさと強さを華麗に演出。CM楽曲としても使用されたとても品のある楽曲。

 

久石譲 PIANO STORIES 3
「Cinema Nostalgia」
久石譲 『NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』 収録

 

金曜ロードショーのオープニングでもおなじみだった楽曲。温かく寄り添ってロマンティックな映画でも観ようか。それとも私たちがドラマティックな映画の主人公のように。

 

My Lost City
「冬の夢」
久石譲 『My Lost City』 収録

 

上品なオーケストラとピアノによって紡ぎだされる冬のあしあと。外は雪が降りしきる、オレンジ色の淡い部屋の明かりとぬくもり。冬の夢はどんな景色が広がっているだろう。深く、遠く。

 

久石譲 WORKS I
「SILENT LOVE」
久石譲 『WORKS I』 収録

 

映画「あの夏、いちばん静かな海。」メインテーマ曲。コーラスとヴァイオリンが切なくも涙腺をふるわせる印象的なこの曲がフルオーケストラアレンジとして壮大に甦り、大きな愛によって包みこまれるよう。

 

久石譲 悪人 オリジナル・サウンドトラック
「Your Story ~Vocalise~」 (久石譲×福原美穂)
久石譲 『悪人 オリジナル・サウンドトラック』 収録

 

クラシックのような美しい旋律とヴォカリーズが印象的な祈りの曲。言葉はいらない、キャンドルの小さな光に包まれる小さな世界。その一寸の光は祈りであり、希望であり、夢であり、愛であり。

 

久石譲 MELODY BLVD
「Rosso Adriatico」
久石譲 『MELODY Blvd.』 収録

 

映画「紅の豚」より「真紅の翼」。映画本編ではJAZZYなピアノソロ曲。ここではサックスやハーモニカが大人の雰囲気をバンド演奏にて。ワインが似合う、赤い花、赤いドレス、とにかくアカ(Rosso)が眩い曲。

 

久石譲 MELODY BLVD
「Here We Are」
久石譲 『MELODY Blvd.』 収録

 

映画「青春デンデケデケデケ」より「青春のモニュメント」Vocal ver.。オリジナルもオールディーズな香りを漂わせていたこのインスト曲が美しい英語コーラスによって暖炉を囲んだアットホームな楽曲に。

 

最後は久石譲作曲ではないが、久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ として収められた楽曲たち。

久石譲 WDO BEST
「男と女」 「白い恋人たち」 「アヴェ・マリア」
『W.D.O. BEST』 収録

 

いずれも往年のスクリーンを彩った名作映画の、印象的な名曲たち。オリジナル楽曲を尊重しながらも、緻密で大胆な久石譲フルオーケストラアレンジ。劇中本編ではとても短いテーマ曲たちを、それぞれひとつの楽曲として演出している。

 

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Info. 2013/11/20 [雑誌] 『SWITCH』12月号で『かぐや姫の物語』特集、久石譲の現場レポートも

2013年11月20日に発行される雑誌『SWITCH』12月号にて、映画『かぐや姫の物語』の公開に先立ってスタジオジブリ特集を展開。ドワンゴの会長 川上量生氏が責任編集を務める中、主題歌を歌う二階堂和美のインタビューや久石譲音楽収録現場レポートなども掲載されている。

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Disc. 久石譲 『かぐや姫の物語 サウンドトラック』

かぐや姫の物語 サウンドトラック

2013年11月20日 CD発売 TKCA-74030
2021年4月24日 LP発売 TJJA-10034

 

2013年公開 スタジオジブリ作品 映画「かぐや姫の物語」
監督:高畑勲 音楽:久石譲 主題歌:二階堂和美
演奏:東京交響楽団

 

宮崎駿監督の全10作品の音楽を担当した久石譲が
30年の時を経てついに初タッグとなる高畑勲監督の音楽担当

 

 

特別対談 [監督] 高畑勲 × [音楽] 久石譲
映画と音楽、その”到達点”へ。

高畑:
僕はこれまで久石さんにわざとお願いしてこなかったんです。『風の谷のナウシカ』以来、久石さんは宮崎駿との素晴らしいコンビが成立していましたから、それを大事にしたいと思って。でも今回はぜひ久石さんに、と思ったのですが、諸事情で一度はあきらめかけた。しかし、やはり、どうしても久石さんにお願いしようという気持ちが強くなったんです。

久石:
まずは絵を描くために必要な琴の曲を作るところから始めましたよね。

高畑:
その琴の曲がものすごくよかったんです。大事なテーマとして映画音楽としても使っていますが、初めて聴いたとき、お願いしてよかったと、心から安心したのを覚えています。

久石:
ビギナーズラックみたいなものですよ。大変だったのはそのあと。高畑さんから「登場人物の気持ちを表現してはいけない」「状況につけてはいけない」「観客の気持ちをあおってはいけない」と指示があったんです。

高畑:
久石さんは少しおおげさにおっしゃっています(笑)。でも主人公の悲しみに悲しい音楽というのではなく、観客がどうなるのかと心配しながら観みていく、その気持ちに寄り添ってくれるような音楽がほしいと。久石さんならやっていただけるなと思ったのは『悪人』(李相日監督)の音楽を聴いたからです。本当に感心したんですよ。見事に運命を見守る音楽だったので。

 

高畑:
阿弥陀来迎図という阿弥陀さまがお迎えにきてくれる絵があります。平安時代以来、そういう絵がたくさん残っているんですけれど、その絵の中で楽器を奏しているんですね。ところが描かれている楽器は正倉院あたりにしかないような西域の楽器ばかりで、日本ではほとんど演奏されていない。だから絵を見ても当時の人には音が聞こえてこなかったと思います。でも、打楽器もいっぱい使っているし、天人たちはきっと、悩みのないリズムで愉快に、能天気な音楽を鳴らしながら降りてくるはずだと。最初の発想はサンバでした。

久石:
サンバの話を聞いたときは衝撃的でした。「ああ、この映画どこまでいくんだろう」と(笑)。でも、おかげでスイッチが入っちゃいましたね。映画全体は西洋音楽、オーケストラをベースにしたものなんですけど、天人の音楽だけは選曲ミスと思われてもいいくらいに切り口を替えようと。ただ完全に分離させてしまうのもよくないので、考えた結果、ケルティック・ハープやアフリカの太鼓、南米の弦楽器チャランゴなどをシンプルなフレーズでどんどん入れるアイデアでした。却下されると思って持っていったのですが、高畑さんからは「いいですね」って。

高畑:
むしろ難しかったのは、捨丸とかぐや姫が再会する場面の曲です。それまで出てくる生きる喜びのテーマより、もうひとつ別のテーマが必要だと思ったんです。命を燃やすことの象徴として男女の結びつきを描いているので、幼少期の生きる喜びのテーマとは違う喜びがそこに必要ではないかと。それで別のテーマを依頼して書いていただいたのですが、やっぱり違うと思ってしまった。それで元に戻って、再び生きる喜びのテーマをここで高鳴らした方がいいと久石さんにお伝えしたら「最初からそう言ってましたよ」って(笑)。

久石:
直後に天人の音楽という今までの流れとはまったく違うテーマが出てきますからね。捨丸との再会シーンで切り口を替えちゃうと、ちょっと過剰になるんじゃないかという印象を持っていました。それで元通りでいきましょうということになったら、逆にものすごい勢いの曲が生まれましたよね。

久石:
自分にとって代表作になったということです。作る過程で個人としても課題を課すわけです。これまでフルオーケストラによるアプローチをずいぶんしてきたのが、今年に入って台詞と同居しながら音楽が邪魔にならないためにはどうしたらいいかを模索していて、それがやっと形になりました。

Blog. 久石譲 「かぐや姫の物語」 インタビュー ロマンアルバムより 抜粋)

 

 

 

久石 「2012年の暮れに鈴木(敏夫)さんから「『かぐや姫の物語』の公開が延期されたので、『風立ちぬ』共々ぜひやってほしい」とご依頼をいただきました。そのときはビックリしましたね。まさか高畑さんとご一緒できるとは思ってもいませんでしたから。でも、僕は高畑さんをとても尊敬していましたし、高畑さんとご一緒できるのだったら、ぜひやりたいと、返事をさせていただきました。」

久石 「打ち合わせでは、Mナンバーで53まであったんですよ。53曲もあるということは、裏返せば、音楽が絶えず映像と共存していて、鳴っていることを意識させない書き方をしていかなければいけないということですね。ですから、音楽の組み立て方も大変でした。曲数が多い場合、メロディーを強調したりして音楽が主張し過ぎると、浮いちゃうんですよ。映像もムダをはぶいた省略形ですし、効果音も決して多くない。その意味でも、音楽は極力エッセンスみたいなもので勝負しないと映像との共存ができなくなってしまいますし、全体を引き算的な発想で作っていかないといけませんでした。そして、音もできるだけ薄く書く方法をとりました。もちろん、薄く書くというのは決して中途半端に書くということではありません。逆に、それに見合うメロディーを書かなければなりませんし、和音とか一切なくても成立するものを作らなければいけません。ワンフレーズを聴いただけで特徴が捉えられるようなものを、ですね。ペンタトニックのフリをしているんですけれども、実はコードに関してはかなり高等なことをやっています。」

久石 「高畑さんさんは音楽への造詣が深い方です。前に高畑さんが書かれた映画音楽についての文章を拝読したことがあるんですが、そこでは最終的な映画音楽の理想として「音楽と効果音が全部混ざったような世界」というようなことを書かれていました。なかなかそういうところまで理解する人はいませんし、そういうことも今回はできるという嬉しさを感じましたね。「光の音」についてはピアノを中心に、ハープ、グロッケン、フィンガーシンバル、ウッドブロックなどを掛け合わせて表現しています。今回は弦の特殊奏法も多いです。それは最近、現代音楽も手がけていることも含めた自分のパレットの中で、やれることは全部やろうとした結果ですね。その意味では比較的、自由に書いています。トータルで、今まであまりなかった世界に持ち込めたらいいなというのはありましたね。」

久石 「これは非常に重要なところなんですが、高畑さんから持ち出された注文というのが「一切、登場人物の気持ちを表現しないでほしい」「状況に付けないでほしい」「観客の気持ちを煽らないでほしい」ということでした。つまり、「一切感情に訴えかけてはいけない」というのが高畑さんとの最初の約束だったんです。禁じ手だらけでした(笑)。例えば「”生きる喜び”という曲を書いてほしいが、登場人物の気持ちを表現してはいけない」みないな。ですから、キャラクターの内面ということではなく、むしろそこから引いたところで音楽を付けなければならなかったんですね。俯瞰した位置にある音楽といってもいいです。高畑さんは僕が以前に手がけた『悪人』の音楽を気に入ってくださっていて、「『悪人』のような感じの距離の取り方で」と、ずっとおっしゃっていました。『悪人』も登場人物の気持ちを表現していませんからね。」

Blog. 久石譲 「かぐや姫の物語」 インタビュー ビジュアルガイドより 抜粋)

 

 

久石:
今回の場合、高畑さんご自身で作詞作曲された”わらべ唄”という曲がすでにありました。それがもう5音音階でつくられてしまっているんです。”わらべ唄”は結構重要なシーンで使われるので、そうすると、それを加味した上でトータルの音楽をどうつくっていくかというふうに考えます。であるならば、必然的にこちらもある程度5音音階を使用したものをつくらないと整合性が取れない。ただ5音音階というのは下手すると本当に陳腐なものになりやすいので難しいですね。全体として日本の音階が主体になっているんですが、それを感じさせないようにするにはどうするかというのがかなり大変でした。例を挙げるとマーラーの “大地の歌” 。あれは李白の詩を使って、出だしから非常に5音音階的なんです。マーラーのような、同じ5音音階を使っても全然別口に聴こえるようなアプローチであるとか、そういうようなものを考えました。あとは、アルヴォ・ペルトという現代の作曲家なんですが、すごくシンプルで単純な和音を使う人のものとか。そういうものを参考にしながら全体を高畑さんが考えられている世界に近づけるようにしていく作業でしたが、それがだんだんと、高畑さんに似てきてしまって。僕も相当論理的に考えるほうなので、思考法が似てる、などと言うと偉そうに聞こえてしまうかもしれませんが、ひとつひとつ理詰めでつくっていきました。でも普通なら、今回のように主題歌がついて、大事なところで使われる曲もすでにあったら間違いなく断っています。いろいろなものをくっつけられてしまうと最終的に音楽全部に責任持てないですから。でも高畑さんのことはとても尊敬していたので今回はお引き受けしたんです。

久石:
書いた曲のチェックは、高畑さんは「想像できるのでピアノスケッチで大丈夫です」と言ってくださっていたので、ピアノスケッチを送っていました。だんだんとそれにオーケストラの色をつけたものをまた送る。これを六十数曲ずっと繰り返したわけです。送るたびにバッと修正オーダーが来る。高畑さんの場合は特に多く、「また来たか」みたいな。「またこんなにですか(笑)」とか。ところがある時期を越えたら、台詞とぶつかると音楽が損だからと、台詞とメロディーの入るタイミングをちょっと遅らせて欲しいとか、そういう修正が多くなってきたんです。その辺りから完全に高畑さんとシンクロしましたね。

久石:
例えば、台詞とぶつかると音楽は小さくせざるを得ない。台詞が聞こえないと困るから。だから「音楽が損だから遅らせましょう、そうしたら小さくしないで済む」ということを具体的に言う監督は数えるほどしかいない。これは音楽を大切にしていただいている証拠です。どう考えても映画ですから、何をしゃべっているのか分からないとマズい。だから台詞は聞かせないといけない、でも音楽をそのために小さくするのは忍びない、だから、タイミングを変えて欲しい。という言い方ですから、これはもうほんとうにありがたいですよね。おかげで音楽は変拍子だらけになりましたけど、こんな素晴らしい人はそうそういません。

久石:
今作のような、ああいう絵のタッチは、音楽をつくるのにも完全に影響しましたね。あの絵は引き算の発想ですね。全部写実するより無駄なものを外す、ということは、音楽も同じなんです。効果音もそうですし、要するにすべて、必要最低限にシンプルにつくらなければいけない。つまり、オーケストラでガーンと派手にいくより、エッセンスをどこまで薄くするか。で、最初の打ち合わせでは五十数曲必要と言われたけれど、最終的には40曲ぐらいに落ち着くだろうと思っていた。一応ピアノのスケッチを書くけど、どうせ削られるのであれば、もう異様に薄く書いてしまおうと思って、薄く書いたんですよ。そしたら、全部採用になってしまって。でも考えれば、最初から高畑さんも極力シンプルにするということはおっしゃっていましたし、構築された音楽よりも、非常にシンプルなんだけど、力強いものがいいって。

久石:
いわゆる省略形の、すごく引いたもの。その発想というか思想というか考え方は、音楽にも効果音にもすべてに徹底されるなと思ったので、自分も引き算の発想でつくったんです。そうしないと音楽が浮いてしまう。感情を押し付けて「ここは泣くように」という感じの音楽を「泣きなさい」と書くよりは、その悲しみを受け止めつつも3歩ぐらい引いたところで書くと、観客のほうが自動的に気持ちがそこにいくんですよね。高畑さんは今回それをかなり何度もおっしゃっていて、僕もいちばん気を付けたところですね。

久石:
でも高畑さん、意外にオーケストラの音などにはこだわっていないんです。良けりゃオーケストラでもいいんですという感じでしたね。だから、こちらからもどんどん変えたりもしました。途中でリュート、ルネッサンスのギターみたいなものを使いますと提案したときも、絶対変えたほうが高畑さんは喜ぶと確信していたから。それで実際に変えても、なにも言わないというか「あ、いいです、いいです。これでいいです」だけ。音楽的なことで、今回ものすごく注意したのは、メロディーの楽器をフルートだとか弦などのように音がピーと伸びる楽器を極力少なくしたんです。ピアノやハープだとかチェレスタとか、要するに弾いたら音が全部減衰していく楽器、アタックを抑えたそれらを中心に据えました。そうすると、ポンと鳴るけれども消えていくから、台詞を食い辛いんですよ。もちろん五十数曲と多いので「音楽うるさいな」となると終わってしまうから、うるさくしないための方法なんですが。ただ、そうすると、ピアノ、ハープ、チェレスタ、グロッケンなどと楽器が限られちゃうので、それでもうひとつさっき言ったリュートというのを加えることで、その辺の音色をちょっと増やして、できるだけ台詞と共存できるように組んでいったんです。だから発想としては「リュートの音っていいよね」ではないんです(笑)。感覚的じゃなくて、減衰系の楽器で色が必要だ、と。そういうふうに論理的に決めたんです。高畑さんみたいでしょ?たぶんそこは似てるんだと思います。高畑さんと同じというとおこがましいから、ちょっと似ている程度で(笑)。

Blog. 久石譲 「かぐや姫の物語」 インタビュー 熱風より 抜粋)

 

 

 

鈴木:最高の作品は、運も味方につける
『ナウシカ』と『天空の城ラピュタ』で、宮崎☓久石の名コンビが世間にも認知された。どちらも音楽担当をしていた高畑さんは、「だから自分が映画を制作するときには、久石さんに音楽を頼むことはできない」と話していたんです。ところが、突如『かぐや姫の物語』の音楽は、久石さんにお願いしたいと言い出した。

当初、『風立ちぬ』との同日公開を目論んでいた僕は、困ってしまった。その両作を久石さんがやるのはどうかと。

そこで宮さんがどう思うかと話しに行きました。「久石さんもかぐや姫の音楽をやりたがってるし、高畑さんもお願いしたいと言っている」と。そういうとき、宮さんはすこしキレ気味に、決まってこう言うんです。

「そんなことは、久石さんが決めればいいんだ!俺の知ったこっちゃない」

このときもそう話した途端に、「久石さんやっちゃうよな~。マズイよ、鈴木さん。久石さんを阻止してよ。『風立ちぬ』だけでいいよ!パクさん(高畑勲)は他の人がいっぱいいるじゃん」と言うんですよ。

結局、『かぐや姫』のほうの制作が遅れて、公開が4ヵ月延期されることになり、改めて久石さんにお願いしました。同日公開はできなかったけれど、作品として、これは本当に運が良かった。

Blog. 「オトナの!格言」 鈴木敏夫×久石譲×藤巻直哉 対談内容紹介 より)

 

 

 

 

 

 

2021年発売LP盤には、新しく書き下ろされたライナーノーツが封入された。時間を経てとても具体的で貴重な解説になっている。

 

 

 

 

日本の純音楽、忘れていた日本古来の旋律や楽器の響き。絶妙のさじ加減で古来の伝統音楽と現代の音色が織り重なっている。美しい旋律、独特な日本の美を感じさせる和楽器。

高畑勲監督による約14年ぶり、8年の構想期間を費やしたこの作品は、日本アニメーション界に大きな布石を打つことは間違いない。そしてそれは久石譲によるこの映画音楽も同じだと思う。

この作品には日本の文化が詰まっている。現代人が忘れていたもの、失くしたものが、ここには眩く輝いている。日本人で良かった、日本を誇りに思う、そんな作品。

 

 

 

かぐや姫の物語 サウンドトラック

1.はじまり
2.光り
3.小さき姫
4.生きる喜び
5.芽生え
6.タケノコ
7.生命(いのち)
8.山里
9.衣
10.旅立ち
11.秋の実り
12.なよたけ
13.手習い
14.生命(いのち)の庭
15.宴
16.絶望
17.春のめぐり
18.美しき琴の調べ
19.春のワルツ
20.里への想い
21.高貴なお方の狂騒曲(ラプソディ)
22.真心
23.蜩(ひぐらし)の夜
24.月の不思議
25.悲しみ
26.運命(さだめ)
27.月の都
28.帰郷
29.帰郷
30.天人の音楽Ⅰ
31.別離(わかれ)
32.天人の音楽Ⅱ
33.月
34.いのちの記憶 (唄:二階堂和美)
– – – – – – – – – – – – –
35.琴の調べ
36.わらべ唄 (作曲:高畑勲)
37.天女の歌 (作曲:高畑勲)

作曲・編曲・プロデュース:久石譲

指揮:久石譲
ピアノ:久石譲 (Track 12,31,33)
演奏:東京交響楽団
ゲスト・コンサートマスター:近藤薫
Lute:金子浩 (Track 10,15,26,28)
古箏:姜小青 (Track 18,23,25)

天人の音楽 (Track 30,32)
Whistle,Charango,Guitar,Celtic Harp,Harp,W.Bass,Percussion,篳篥,竜笛

録音:ミューザ川崎シンフォニーホール、Bunkamura Studio
ミキシング:Bunkamura Studio

 

 

【初回プレス限定特典】特典ディスク PSCD-2479
・映画「かぐや姫の物語」音源 (ジャケットと別絵柄の紙ジャケ仕様)
・映画収録曲よりサウンドトラック未収録音源5曲を収録
・紙ジャケット仕様 Discプリントはレコード盤デザイン

かぐや姫の物語 サウンドトラック 特典CD

1. なよ竹のかぐや姫(古筝)
2. 名付け披露(田楽)
3. タカラモノ(古筝)
4. 公卿たち(雅楽)
5. レンゲ草(古筝)

 

The Tale of the Princess Kaguya (Original Soundtrack)

1.Overture
2.Light
3.The Little Princess
4.The Joy of Living
5.The Sprout
6.Li’l Bamboo
7.Life
8.Mountain Hamlet
9.Robe
10.Setting Out
11.Autumn Harvest
12.Supple Bamboo
13.Writing Practice
14.The Garden of Life
15.The Banquet
16.Despair
17.The Coming of Spring
18.Melody of the Beautiful Koto
19.Spring Waltz
20.Memories of the Village
21.The Nobles’ Wild Ride
22.Devotion
23.Cicada Night
24.Mystery of the Moon
25.Sorrow
26.Fate
27.The City of the Moon
28.Going Home
29.Flying
30.The Procession of Celestial Beings I
31.The Parting
32.The Procession of Celestial Beings II
33.Moon
34.When I Remember This Life
35.Koto Melody
36.Nursery Rhyme
37.Song of the Heavenly Maiden

 

가구야공주 이야기 Original Soundtrack
(South Korea, 2013) PCKD-20219

1.시작
2.빛
3.작은 공주
4.삶의 기쁨
5.발아
6.대나무순
7.생명
8.산골
9.옷
10.여행
11.가을의 열매
12어린 대나무
13.연습
14.생활의 정원
15.잔치
16.절망
17.봄의 순례
18.아름다운 현의 연주
19.봄의 왈츠
20.마을에 대한 추억
21고귀한 분의 광소곡
22.진심
23.매미의 밤
24.달의 신비
25.슬픔
26.운명
27.달의 도시
28.귀향
29.비상
30.천인(天人)의 음악 Ⅰ
31.이별
32.천인(天人)의 음악 Ⅱ
33.달
34.생명의 기억
35.현의 연주
36.전래동요
37.선녀의 노래

 

Info. 2013/12/03 「ラーメンより大切なもの ~東池袋大勝軒 50年の秘密~」 DVD発売

2013年6月8日公開
ドキュメンタリー映画「ラーメンより大切なもの ~東池袋 大勝軒 50年の秘密~」
監督:印南貴史 音楽:高田耕至
エンディングテーマ曲:久石譲

2013年12月3日 DVD発売

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特集》 久石譲 「Oriental Wind」 CD/DVD/楽譜

 

Posted on 2013/11/13
Updated on 2025/01/11

2004年から2012年までCM音楽として親しまれてきた「Oriental Wind」。久石譲の代表曲のひとつともいえるこの曲、サントリー緑茶 伊右衛門 CF曲として四季折々なバリエーションでお茶の間に響いてきた。

実はこの有名な「Oriental Wind」、CMバージョンとしては音源化されていない作品。十数バージョンに及ぶがいずれもCDになっていない。当時、久石譲オフィシャルサイトにアクセスするとTOPページのBGMとしてCMオリジナル版を視聴することができた。約35~40秒のフルサイズでモノラル音源ではあったがとても貴重である。

それでもいくつかの久石譲作品のなかで聴くことができる。CD作品、そしてCMバージョンの楽譜、初回特典のみのDVDまで、「Oriental Wind」の世界を総力大特集!

 

 

久石譲 『PIANO STORIES 4 FREEDOM』

2005年に発表されたオリジナル・ソロアルバムにて初お披露目。アコースティックな室内楽編成で弦楽器やピアノが旋律を奏でる。過渡期のアルバムと位置づけるように、「Oriental Wind」のオリジナルはミニマルや不協和音の響きあう独特の雰囲気を醸し出している。

 

 

同名CDの久石譲監修による完全オリジナル版ピアノ楽譜。CD収録バージョンの「Oriental Wind」はもちろんのことCMバージョンの「Oriental Wind」も特別楽譜として収められている。CD化されていない作品を、ピアノで弾いて堪能することができる。

 

 

久石譲 『Piano Stories Best ’88-’08』

Disc. 久石譲 『Piano Stories Best ’88-’08』(2008)

ピアノ・ストーリーズ・シリーズから厳選されたベスト盤。アレンジは「FREEDOM PIANO STORIES 4」と同じであるが、Remixとなっていてより広がりと深みのある響きとして収録されている。

 

 

「FREEDOM PIANO STORIES 4 -オリジナル・エディション-」 [ピアノ譜]と同じものが収載されている。またCMバージョンの特別楽譜は収められていない。

 

 

久石譲 『WORKS3』

フルオーケストラ・アレンジされ、色彩豊かな鮮やかさを表現。ピアノやストリングスだけでなく、中間部の管楽器たちが日本の美を感じさせる。アレンジは『FREEDOM』のそれと近いがより壮大なクライマックスへと昇華される。

 

 

久石譲 『Another Piano Stories』

本作品の初回特典としてDVDのみに収録された「Oriental Wind」。アルバムはピアノと12本のチェロ編成で同曲も新録音。ただCDには収録されておらずDVDでのみ堪能することができる。こちらも『メロディフォニー』同様にオープニングがCMに近いピアノ・ソロから。入手困難な貴重なDVDであり貴重なテイクとなっている。

 

 

久石譲 『メロディフォニー』

Disc. 久石譲 『Melodyphony メロディフォニー ~Best of JOE HISAISHI〜』(2010)

ロンドン交響楽団との共演、ベスト・オーケストラ・アルバム。なんといってもオープニングが久石譲ピアノ・ソロからはじまりその響きはCMバージョンに限りなく近いアレンジ。『WORKS III』収録版にこのオープニングが追加編成されている。ロンドン交響楽団の弦やブラスの鳴りがよりドラマティックさを演出。

 

 

同CDの久石譲監修によるオリジナル・エディション・スコア。久石譲が編曲・監修したオーケストラのオフィシャル・スコアは希少で久石サウンドの秘密を紐解き、完全再現できる「Oriental Wind」解体新書。

 

 

「Oriental Wind」入門編としてやCMバージョンが印象的な人には、CDであれば『メロディフォニー』、楽譜であれば『FREEDOM』、このふたつでおなじみのあのメロディーを楽しむことができる。

2004年から8年間にわたって流れていた「Oriental Wind」は、月日の移ろいとCMストーリーに合わせて、四季折々、様々なヴァージョンを聴かせてくれた。いつの日か全てのCMヴァージョンを集めたCD作品として発表してほしい代表曲。

 

 

2012年10月からはサントリー伊右衛門CMリバイタライズに合わせてCM音楽も同じく久石譲による「新テーマ曲」へリニューアル。未音源化であり曲名も未発表。OA開始から「宣言 篇」「師匠のために 篇」「母のために 篇」「急須 篇」「青のれん 篇」「水出しを待つ贅沢 篇」「浴衣 篇」「秋の味覚 篇」とすでに8つの装いとバージョンがお披露目されている(2013年11月現在)。2014年4月からは「新テーマ曲」ニュー・アレンジで「お茶の言葉 篇」がOAされた。

 

 

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2017.7.17 update

 

サントリー緑茶 伊右衛門「川下りの夏 編」にて「Oriental Wind」のNewヴァージョン登場。2004年から2012年まで同CMシリーズにて様々なヴァージョンで使用されてきた「Oriental Wind」が5年ぶり新・再登場となった。

 

 

2018.03.18 update

 

サントリー緑茶 伊右衛門「こころの茶屋 編」にて「Oriental Wind」のNewヴァージョン登場。2017年に続いて2018年も新しく生まれ変わった。2019年まで使用された。

 

 

2020.02.21 update

 

Oriental Wind

Oriental Wind · Joe Hisaishi · London Symphony Orchestra

Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi

from Joe Hisaishi Official YouTube

 

 

口あたりがいいだけじゃのこらない。消えていくCM音楽はたくさんある。ふと手のとまる印象的なメロディに、現代的アプローチを盛りこみアート性を高めた音楽作品になっているからこそ、今でものこっている曲。○鷹じゃなくて伊右衛門です。

(オリジナルリリース『Melodyphony メロディフォニー ~Best of JOE HISAISHI〜』収録)

 

 

2023.03.14 update

 

サントリー緑茶 伊右衛門「二人の茶匠 篇」にて「Oriental Wind」のNewヴァージョン登場。OA開始から「澄みきる 篇篇」「厳選5素材 篇」「茶匠の矜恃 篇」「手間 篇」が登場した。2台ピアノによる颯爽とリズミックなバージョンで新鮮味に溢れている。飲み続けられる、聴き続けられるのには理由がある。

 

 

2025.01.11 update

歴代のCMオンエア一覧

 

 

 

 

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特集》 久石譲 名曲「Summer」 CD/DVD/楽譜

 

Posted on 2013/11/10
Updated on 2024/12/06

久石譲の代名詞ともいえる代表曲「Summer」。映画/CM/BGMと様々なシーンで聴くことができるおなじみの名曲。CD・DVDから楽譜まで、久石譲作品「Summer」を総力大特集!

 

 

北野武監督作品 映画『菊次郎の夏』で「Summer」は誕生。すべてはここから始まった。サウンドトラック・バージョンは、夏の涼しく爽快なアレンジ。6分という構成で、有名なメロディーに別のモチーフがつづく構成。現在ポピュラーになっている「Summer」の曲構成は「River Side」という曲名で同CDに収録されたものに近い。

 

 

久石譲 『Shot The Violist〜ヴィオリストを撃て〜』

弦楽四重奏団を迎えたこの作品では、よりアコースティックなサウンドに。マリンバとピアノがメロディを織りなし、弦が全体を包みこむ。このアレンジから、曲構成があの有名なメロディーのみを抜粋したアレンジとなる。

 

 

北野武監督作品全6作品のサウンドトラックからの厳選ベスト盤。ここに収録された「Summer」は『菊次郎の夏 サウンドトラック』と同曲。

 

 

久石譲 『ENCORE』

久石譲自身が手がけた映画音楽やCM音楽をセルフカバーしたアルバム。オーケストラ映画音楽をすべてピアノ・ソロアレンジにて収録。「Summer」もシンプルでありながら透明感のある、新しい輝きを与えた作品。

 

 

久石譲 ENCORE 楽譜

同CDの久石譲監修によるオリジナル・エディション ピアノ楽譜。久石譲がコンサートやそのアンコールで演奏している「Summer」はまさにこれ。ピアノひとつで聴かせるこの曲を、作曲者・演奏者と同じアレンジで弾くことができる。

 

 

久石譲 『CURVED MUSIC 2』

Disc. 久石譲 『CURVED MUSIC II CM Tracks of JOE HISAISHI』(2003)

CM音楽だけをコンパイルした本作品にはふたつの「Summer」を収録。ひとつは『菊次郎の夏 サウンドトラック』と同曲。ひとつは「TOYOTAカローラCF曲」用としてアレンジされたギター・バージョン。アコースティックギターとパーカッションが弾みあう爽やかなサマーチューン。

 

 

CD作品『ETUDE』と『ENCORE』を中心に構成されたコンサートDVD。「Summer」はピアノ・ソロでドラマティックかつ華やかに。『Encore』のアレンジをベースに久石譲本人による貴重なライブ映像音源。

 

 

久石譲 『空想美術館』 2003 LIVE BEST

Disc. 久石譲 『空想美術館 ~2003 LIVE BEST~』(2003)

シンフォニック・アレンジされた貴重なライブ音源。ピアノに弦楽器に木管楽器に。ピチカートやシロフォンも。オーケストラが「Summer」のメロディを刻み弾むように唄う。品格もあり色彩豊かな広がりもある、絶妙なオーケストレーション。

 

 

久石譲 『メロディフォニー』

Disc. 久石譲 『Melodyphony メロディフォニー ~Best of JOE HISAISHI〜』(2010)

ロンドン交響楽団による久石譲オーケストラ・ベスト・アルバム。『空想美術館』のシンフォニック・アレンジに手を加えた緻密なオーケストレーション。技術的にも世界トップクラスのオーケストラと久石譲ピアノの共演。国境を越えて「Summer」の音楽が響き渡る。

 

 

同CDの久石譲監修によるオリジナル・エディション・スコア。久石譲が編曲・監修したオーケストラのオフィシャル・スコアは希少で久石サウンドの秘密を紐解き、完全再現できる「Summer」解体新書。

 

 

久石譲 『THE BEST OF CINEMA MUSIC』

Disc. 久石譲 『The Best of Cinema Music』(2011)

「久石譲 3.11 東日本大震災チャリティー・コンサート」を収録したライブ盤。『メロディフォニー』のオーケストラバージョンをベースに奥ゆきと広がりあるサウンド。コンサートならではの躍動感や臨場感を演出。「Summer」が多くの人に愛され続けている楽曲であることが伝わってくる。

 

 

オリジナル音源から、ピアノソロ、ギター、アンサンブル、オーケストラと、大きく5つのバリエーションが存在する名曲「Summer」。あなただけのお気に入りの「Summer」とめぐり逢えますように。

 

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2019.01.17 Update!!

Joe Hisaishi – Summer

Official Music Video

from Joe Hisaishi Official YouTube

 

 

2021 update

 

日本の夏。夏休み。なつかしい夏。戻れない夏。楽しみな夏。この曲には聴いた人の数だけの”わたしの夏”がある。イントロからのピッチカートはこじんまりとかたまらず、高低豊かな弦たちでふくらみ(-1:07)、木管楽器たちの戯れ(3:14-)もみずみずしい。

(オリジナルリリース『Melodyphony メロディフォニー ~Best of JOE HISAISHI〜』収録)

 

 

「こんな曲が聴きたかったんだ私」日本人の夏心を射とめた曲。サントラはじめ、ピアノソロ、アンサンブル、オーケストラ、ギターまで。いろいろなバージョンは、いろいろな夏の風景をみせてくれる。私の夏の主旋律。

(オリジナルリリース『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』収録)

 

 

 

2022.02.24 update

2台ピアノ版が登場しました。 *Unreleased

 

 

 

2024.12.06 update

 

Disc. 久石譲 『Mládí』(2024)

久石譲74歳の誕生日(12月6日)を記念してEP/デジタルリリースされた最新版。北野武監督作品からの3曲を極上のピアノ&ストリングスで。Mládíはチェコ語で青春の意味。共演はウィーン交響楽団、録音はウィーン楽友協会、発売はドイツ・グラモフォンから、新時代がやってきた。

 

 

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Blog. 久石譲 「楽譜紹介ページ」 久石譲監修オリジナル・スコア と 楽譜検索 まとめ

Posted on 2013/11/8

久石譲の楽譜紹介ページを新設しました。

こちら ⇒ 久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 SCORE

久石譲作品はCDもたくさんありますが、同じように楽譜もたくさんあります。さらに楽譜は、難易度 / 演奏楽器 / 演奏形態 / アレンジなどによって多岐にわたります。多くの出版社から発売されているだけでなく、現在は楽譜ダウンロード販売なども充実していて、弾きたい曲を1曲からでも買えるようになりました。

久石譲の音楽を聴いて、「弾いてみたい!」と思う人は少なくないですよね。そしていざ楽譜を探そうとすると、あまりにもたくさんありすぎてどれを選んでいいのやら…と。

当サイトで紹介する楽譜は、久石譲本人の監修による、オリジナル・エディション楽譜です。それぞれの楽譜に、そのオリジナル音源となる参考CD作品も掲載しています。

久石譲の音楽・CDを聴いて、「この曲をこのとおりに同じように弾きたい」「この楽譜がほしい」と思う人は、やはりオリジナル・エディションがおすすめす。原曲と同調、同アレンジとなりますので、CDをお手本として練習もしやすいです。

※下記 注)参照

 

今回楽譜をまとめるにあたって、その種類の多さにびっくりしました。オリジナル楽譜としては現在12冊が購入可能です。その他オリジナル・エディション 久石譲監修のレンタル楽譜は割愛しました。オーケストラ・スコアや吹奏楽など、オフィシャルサイト公式発表ものも多いです。ショット・ミュージックが主に取り扱っていますのでそちらをご参照ください。

こちら ⇒ ショット・ミュージック株式会社 久石譲

 

実は今回楽譜をまとめるにあたって、もっとたくさんオリジナル楽譜があると思っていました。CDの作品枚数にしたら(おそらく200枚以上)、楽譜12冊は少ないなと。

でもよくよく振り返って整理していましたら、基本的にはスタジオジブリ作品をはじめとした映画作品が多いですし、またオリジナル・ソロアルバムも、ピアノ編成のみよりも、オーケストラ作品も多いです。

久石譲監修によるオリジナル・エディションは、サウンドトラック作品ではなくオリジナル・ソロアルバムからほぼ選ばれていますので、今回まとめたような楽譜のラインナップになるのだろうと思います。

またお気に入りの曲がピアノ曲ではない場合などは、いろんな出版社、編曲者から販売されている楽譜を手にとることになると思います。同じようにお気に入りの曲が、演奏したい楽器ではない場合も、いろんな出版社、編曲者から販売されている楽譜を手にとることになると思います。

当サイトでも、新設した楽譜紹介ページだけでなくInformationでも新着楽譜販売情報 / レンタル楽譜開始情報も随時更新しています。

 

 

久石譲 楽譜の探し方 まとめ

  • 久石譲監修によるオリジナル・エディションは こちら でOK
  • 難易度 / 演奏楽器 / 演奏形態 / アレンジなど用途にあった楽譜を探したい場合はweb検索
    → 楽譜販売:Amazon 楽天ブックス 楽譜ネット ヤマハwebshop etc
    → 楽譜ダウンロード販売:ぷりんと楽譜 アット・エリーゼ etc
  • オーケストラ / 吹奏楽 / 室内楽の楽譜を探したい場合はweb検索
    → 楽譜販売・レンタル楽譜:ショット・ミュージック株式会社
  • 当サイトInformationScore にて随時楽譜新着情報 更新中(販売/レンタル)
    当サイトで紹介する楽譜は久石譲監修オリジナル楽譜、オフィシャルサイト発表楽譜が中心

 

注)
曲によっては、オリジナル・エディションながらCDと違うアレンジのものも多少あるかもしれません。その詳細は実際に楽譜を手にとったり、レビューなどを参考にしてみてください。

注)
同じようにピアノ譜でも、原曲がピアノのみではない編成の場合もあります。その場合、ピアノパートが再現されている場合と、ピアノ・ソロ用にアレンジしたものとあります。その詳細は実際に楽譜を手にとったり、レビューなどを参考にしてみてください。

 

久石譲 楽譜 score

 

Blog. 久石譲 TV「読響シンフォニックライブ」 風立ちぬ初披露 レビュー

Posted on 2013/11/7

2013年8月28日に行われた「読響シンフォニックライブ」の公開録画(東京芸術劇場)からどれだけこの放送日を楽しみに待っていたか。

 

2013年11月6日 2:29-3:59 日テレ「読響シンフォニックライブ」 90分拡大版

指揮:久石譲
演奏:読売日本交響楽団
朗読:樹木希林

[曲目]
久石譲/オーケストラストーリーズ「となりのトトロ」 朗読:樹木希林
久石譲/風立ちぬ
ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調 作品92
ハチャトゥリアン/仮面舞踏会よりワルツ(アンコール)

 

 

90分拡大版だけあってたっぷりと堪能できました。

オーケストラストーリーズ「となりのトトロ」は、映画「となりのトトロ」のストーリーをもとに音楽と朗読で綴るオーケストラ用にアレンジされた作品です。朗読によって物語が進められ、楽器紹介なども盛り込まれたオーケストラの魅力を楽しめます。

オリジナル作品はCD「オーケストラストーリーズ となりのトトロ」として2002年に発表され、朗読は、映画にてお父さん役の声優もされていた糸井重里さんでした。今回の樹木希林さんのバージョンもまた違う深みと味わい、楽しさがあってよかったです。

クライマックスの主題歌「となりのトトロ」フルオーケストラは、コンサートでもよく演奏されているおなじみの定番曲ですし、そのダイナミックさは圧巻です。また「さんぽ」での楽器紹介や、クイーカやフレクサトーンという珍しい楽器で、ススワタリなどを楽しくかわいらしく表現しているのも魅力的です。

今回25分におよぶこのオーケストラストーリーを聴きながら、あっ!CDと少しオーケストレーションが変化していることに気づきました。ちょうど10年近く前に発表した作品ですが、時を経て、演奏しつづけるなかで、楽曲も変化していってるんだなあ、と感心してしまいました。

CD版もおすすめですので、ぜひ聴いてみてください。

 

そしてそして!映画「風立ちぬ」の公開から、初披露となった「風立ちぬ」です。映画本編でもとても印象的なメインテーマ「旅路」です。「風立ちぬ サウンドトラック」ではこのメインテーマをモチーフにストーリー展開に合わせていろいろなバリエーションによって美しく奏でられています。

今回の初披露は、この「旅路」が音楽として、ひとつの楽曲として完結しています。どうしても映画では短いフレーズとして、そしてモチーフとしてのみ使われますが、このシンフォニックライブでは、5分程度の1曲の楽曲としてまとめられています。

オリジナルでは、アルトバラライカ、マンドリン、バヤンといったロシアの代表的な民族楽器が繊細なこのメロディーを奏でていますが、今回は久石譲本人によるピアノ演奏です。

☆メロディーが久石譲自身によるピアノ演奏バージョン
☆メインテーマ「旅路」がサントラ版のモチーフを紡ぎあわせたような楽曲としての完成版
☆小編成だった劇中音楽オリジナルから、大編成のフルオーケストラアレンジ

まとめると、このくらいの聴きどころ満載な初お披露目だったわけです。1度きりのコンサート演奏として、永久保存版ですね。

映画公開時から幾度となく聴いてきた「風立ちぬ」の音楽ですが、やっぱりいいです。不思議な曲なんですよね。いろんな顔を持っているというか、いろんな側面があるというか。昭和レトロな雰囲気もあり、イタリアの風や匂いもする、そして宮廷音楽のような品格。今回の「風立ちぬ」より「旅路」のオーケストラ演奏を聴いてなお一層そういう印象が強くなりました。

 

他にも、普段あまり触れる機会の少ないクラシック音楽も優雅なひとときでした。

ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調 作品92 は、いろいろなCM音楽や「のだめカンタービレ」でも印象的なとても有名な交響曲です。今回約38分におよぶ全楽章が聴けたのですが、随所に聴いたことあるフレーズも登場し、同じ交響曲のなかのモチーフだったのかと新発見することもたくさんありました。

ハチャトゥリアン/仮面舞踏会よりワルツ ドラマティックな素敵な曲でした。有名な曲なんですかね?また機会を見て、曲のことや作曲者のことも調べてみようと思います。

 

また久石譲インタビューではベートーヴェンの魅力についてこう語っています。

「西洋音楽史の中で最大の作曲家ですよね。あるモチーフを起用しだすと、これだけやりつくして徹底的に使用した上で、それが論理的なだけではないんですよね。すごく感覚的でもありすべての人間の要素を持っているので、どんな指揮者が演奏しようとベートーヴェンはベートーヴェンなんですよね。(第7番は)わかりやすいから一番人気がありますね。でもそういう分かりやすい面があるからすごく流れやすいんですよね。なので実は細かく書いてあるんですけれども、強弱・堅い音柔らかい音・音の重い軽い…そういうのをかなり徹底しないと意外に立体的に仕上がらない難しい曲だと思います。」

 

と、90分を大満喫した至福の時間でした。次はやはり生でコンサート会場で体感したくなりますね。もし今回のTV番組を見逃した方は、11月16日にもBS日テレにて放送予定ですので、そちらをチェックしてみてください。

8月28日の公開録画での演奏プログラムは
こちら ⇒ 読響シンフォニックライブ 公開録画 (東京芸術劇場)

公式サイト>>読響シンフォニックライブ

 

読響シンフォニックライブ

 

Blog. 宮崎駿監督引退発表は時代に対する一石

Posted on 2013/11/06

スタジオジブリ 宮崎駿監督の突然の引退発表と引退会見。それから早2ヶ月が経とうとしています。当時もこのビッグニュースに対してはいろいろと思うところがありました。「なんで もったいない まだやってほしい お疲れさまでした ありがとう……」いろんな思いがいちファンとして交錯していました。そして時間が経ちまたそのことをふと考えたりしていると、あの決断はすごいことだったのかもしれない、と思うようになってきました。

引退会見で記者から「なんで引退会見をするという経緯になったのか?」という質問に、「引退会見なんてそんな大々的にするつもりはなかった。自分はジブリの社員たちに引退を伝えたかっただけ。」だと。

確かにそのとおりです。今まで一緒に働いてきたジブリの仲間たちにまずは宣言をする。するとそこで終わることはなく、情報は外部に出てしまい、憶測だけが飛び交う。そうなるならいっそ引退会見という場を設けて自分の言葉で説明するほうがいい、という流れになるのはしごく普通です。

それなら、ジブリスタッフにも引退を宣言しなければいい。濁したままにすることもできたはず。

それもまた違うんだろうなと思います。そのままの延長線上で在籍し続けるということは、周りにも変な期待が滞留し続けます。いつかまた長編つくりだすのかな、次はどんな作品やるんだろう、という身内でもその思いが常に念頭にあってしまいます。

引退を身内に宣言するということは、一区切りであり、今までジブリを引っ張ってきた人が事実上身をひく、つまりジブリスタッフにも危機感を煽るという効果をもたらします。そうすることで意識的にも無意識的にもあまりにも大きな存在である「宮崎駿」がいなくなる、新しい血が入り、新しい活力がみなぎるきっかけになる。そう思われたんじゃないかと思います。

そしてあの引退会見を開くという流れに。

もうひとつ思うのは。

あえて「引退宣言」をすることは芸術家としても賭けであり冒険だと思うのです。芸術家、クリエーター、アニメーターは、一生涯現役であり、死ぬ間際まで芸術家なのです。だからこそあえて「引退宣言」を公の場ですることは、自分の一部を切り取られたような、なにか失ってしまうような思いだったんじゃないかとも思います。まだ人生が終わっていない今の時点で、自分でその烙印を押してしまうような。

だからこそ、これからどういうクリエイトな活動をされようが、もし仮に長編映画をつくるとなったにしても、誰にも避難される所以はないはずです。だって芸術家は一生芸術家です。しいて言えば、今回の引退宣言で、宮崎駿監督は、スタジオジブリの宮崎駿から、一人の人間宮崎駿になったんじゃないかと。シンプルに、まっさらに、生まれたてのように。

エンターテインメント、大衆文化、興行成績、ジブリの発展……すべてを支え先頭で走り続けた監督宮崎駿から、真っ白から純粋無垢に創作活動に向き合える一人の芸術家に。

そう思うと、「引退宣言」をしないといけなかったのは、今の時代背景であり、そうなってしまった宿命を背負いながらも、自らの言葉で伝えた引退会見、時代に一石を投じた出来事だったように、振り返って思います。

これからどんな創作活動をされるか楽しみであり期待していますが、それは世間の、ファンの思いであり、勝手にこちらが思うこと。だからこれから、どんなことをされようと、どんな活動をされようと、ひとつの宮崎駿には区切りをつけたわけですから、受け手側も今までの延長線上で捉えずに批評せずに、新しいクリエーター宮崎駿さんとして受け入れていくことができる環境になることが一番いいんじゃないかなと思います。

長編であれ、短編であれ、また違った創作活動であれ、次に私たちが触れることのできる宮崎駿作品は、きっと新しい感動を与えてくれること、笑顔や温かいぬくもりをくれること、生きる今とこれからの未来に希望の光を射してくれることは、間違いないですから。

こういう思いもまた負荷になるのかもしれませんね。すいません。

芸術と大衆文化の境界線がなくなってしまっているようなこの時代、いち芸術家に時代のすべてを背負わせることは酷だと思います。宮崎駿監督の引退会見で印象的だった言葉「私は自由です」。そうですよね。やるやらないも自由、どういうものをやるかも自由。そして受け手の解釈に一人一人の自由があるのと同じように、本来つくりだす芸術家にも表現の自由はもちろんあるわけです。その対等さを忘れてしまっているように思ってしまいます。

いつの時代も芸術家は、自分の表現したいものと時代との接点を探りながら、ひとつの作品として完成させて表現しているわけです。それに対して決して時代の拷問を受けるべきではない。

同じ時代に生きているからこそ、同じ時代の芸術家と一般社会、作品をとおしてつながり、感動し、共鳴できる喜びはかけがえのないもの。そういったシンプルなことに純粋な心を持ち感動をわかち合う。これが芸術と大衆文化を育てていける時代への布石になるんじゃないかと思います。