Posted on 2019/01/02
久石譲×仙台フィルが起こす音楽の奇跡
東北での開催が決定!
Sakura Tour 2019
久石譲 スプリングコンサート Vol.1 ~仙台フィルとともに~ “Info. 2019/04/27,29,30 「久石譲 スプリングコンサート Vol.1 ~仙台フィルとともに~」 ツアー開催決定!! 【3/28 Update!!】” の続きを読む
Posted on 2019/01/02
久石譲×仙台フィルが起こす音楽の奇跡
東北での開催が決定!
Sakura Tour 2019
久石譲 スプリングコンサート Vol.1 ~仙台フィルとともに~ “Info. 2019/04/27,29,30 「久石譲 スプリングコンサート Vol.1 ~仙台フィルとともに~」 ツアー開催決定!! 【3/28 Update!!】” の続きを読む
Posted on 2019/01/11
平成最後の4月30日に39歳の誕生日を迎えるEXILE ATSUSHIが、“日本の心”をテーマとしたベストアルバム「TRADITIONAL BEST」を発売!
同作のテーマは“日本の心”。これは日本に生まれたアーティストとして、日本という国を想い、日本に生きる人々を想う活動の中で生まれたもので、同テーマのもとに現在まで活動を展開してきたという。 “Info. 2019/04/30 「TRADITIONAL BEST / EXILE ATSUSHI」CD発売決定 「懺悔」「天音」久石譲楽曲収録 【3/23 Update!!】” の続きを読む
Posted on 2018/10/20
2019年5月5日、久石譲によるスタジオジブリ宮崎駿監督作品演奏会がチェコ・プラハにて開催決定!
2017年6月パリ世界初演、「久石譲 in パリ -「風の谷のナウシカ」から「風立ちぬ」まで 宮崎駿監督作品演奏会-」(NHK BS)TV放送されたことでも話題になりました。
1984年公開の「風の谷のナウシカ」から2013年公開の「風立ちぬ」まで、宮崎駿監督と久石譲コンビが手がけた全10作品の音楽を演奏するスペシャルなジブリフィルムコンサート。巨大スクリーンに映し出される映画の名シーンと共に奏でられるオーケストラの迫力の音楽。指揮・ピアノはもちろん久石譲、共演オーケストラはプラハ・シンフォニエッタ。 “Info. 2019/05/05,06 「久石譲 シンフォニック・コンサート スタジオジブリ宮崎駿作品演奏会」(プラハ) 開催決定!! 【3/19 Update!!】” の続きを読む
Posted on 2019/03/18
ピアノの情報誌「MUSICA NOVA ムジカノーヴァ 2007年3月号」に掲載された久石譲インタビューです。久石譲の創作活動への姿勢、芯のようなもの、普遍的に語られる大切なことが凝縮されています。
表紙の人
時間を超えて響いていく、美しい意志 久石譲
文:青澤隆明(音楽評論)
「過去は振り返らないんですよ、興味なくて」。久石譲はきっぱりと言う。「いまのほうが圧倒的にいい。前に戻りたいという気持ちはまったくないです。どんどん自分のやりたい音楽をやれる環境に近づいているから、いまが最高。そういう考え方ですね」。
いろいろな音楽が好きで、3、4歳のときにまずはヴァイオリンに触れた。「音楽をやるのは当たり前だと思っていたので、音楽家になる、と決心する必要はなかったです」。中学2年のとき、譜面を起こして吹奏楽の仲間に配るのが面白くて、それで演奏家より作曲家のほうがいいと思った。昨年から自身のオーケストラ作品を台北、香港、北京、上海、大阪で演奏し、3月、東京でのコンサートでツアーを締めくくるが、指揮者、ピアニストとしても広く活躍する現在でも、彼の音楽活動の根本が作曲にあることは揺るがない。「他人の曲は弾かないです。作曲家である自分が必要とする演奏を自分でしているから」。他の演奏家が弾くこともあまり考えていないと言う。「そういう意味では、積極性のある作曲家じゃないね(笑)。結果としてみんなに喜んでもらえるのが最高に嬉しい。だれかのために書いている、となった瞬間、作曲家としてのスタンスが変わってしまう気がして。最初に自分がいちばん喜べることを一生懸命やって、『うん、わかる』と聴いてもらえるのが理想です」。
ミニマルミュージックをベースに置く現代音楽の作曲家として出発し、「集団即興演奏を管理するシステムづくり」に取り組んでいた久石譲は、1980年代からポップス的なフィールドに入り、映画やCM音楽の名匠としても広く知られるようになった。そしていま、自分のスタンディング・ポジションを明確にする意味でも、弦楽四重奏やオーケストラ的な「作品を書こう」と考えている。「いちばんピュアに自分が考えていることを表現できる。それだけに大変と言えば大変ですけど」と語るピアノのためにも、数年前に発表した10曲に書き足し、全調性による24曲のエチュードとして完成させいたと意欲をみせる。「子ども用のピアノ曲も書きたいよね、作曲家として試されるけど。あまり難しくなくて、気持ちよくなれるものができたら最高」。
生活のなかに入ってくるようにピアノがあるといい、と語るその言葉は、久石譲のポップ・ミュージックが僕たちの日常を訪れるときのことをふと想わせる。日常生活と芸術的な美的時間を瞬時に結びつける表現者は、この現代をどのように生きているのだろうか。
「その時代の独特の空気、政治や経済も関係してくるけど、そのなかで自分が感じていることをきちんと表現したいというのはあります。ただ、単なる今日的な表現では、5年経つと古くなる。今日的な題材を扱いながらも、永遠のテーマになるような。本質的なところと関わりあえたらいいよね。そういうものをできるだけ探そうとしているところはあります。たとえばCMも、初対面の人の印象と近いところがあって、音楽はぱっと聴いた瞬間にその世界観がわかってしまう。それに、CMは15秒といっても1回じゃなく、何度もリピートして流れる。半年で色褪せてくるか、イメージが残るか、それが最大の試練と言えます」。
では、久石譲の音楽人生が一篇の映画だとしたら、いま、どんな物語のどのあたりを歩いているのだろう。こう尋ねると、音楽家は即座に「アンディ・ウォーホルが延々とエンパイア・ステイト・ビルを撮っていたような感じで、まあ、どこをとっても同じでしょう」と答えて笑った。「10年経っても、自分のスタンスは変わっていないと思う。今まで百パーセント満足したものはないからね」と。久石譲の不断の音楽冒険は、彼の愛するミニマル・ミュージックのように挑戦をくり返し、ひとつの限られた物語的な時間に帰着することはないのだろう。
「この次は絶対にクリアーにしようと、絶えず線になって反省して、さらに理想的な高い完成度の…、ここが難しいんですけどね。完成度が高ければいい音楽になるかというと、ものすごく立派な譜面を書いたからってそうはならない。むしろちょっと粗っぽく書いて、なんだかなあっていうときのほうが、人々に与えるインパクトが大きいケースもありますからね。実のところ、音楽がまだわからない。だからたぶん、10年後もそういうことに悩みながら、『いい音楽をどう創ろうか』と考えていくんじゃないかと思います」。
(ムジカノーヴァ MUSICA NOVA 2007年3月号 より)

Posted on 2019/03/17
雑誌「GQ JAPAN 2006年3月号 No.34」に掲載された久石譲インタビューです。AUDI特集のなかのひとつとして紹介されました。
AUDI × HISAISHI
「僕にとってクルマとは、大音量で音楽を聴けるプライベートな空間。そんな大切な時を共に過ごせる誠実で繊細なクルマです」
20年以上活動を続けている宮崎駿作品の音楽はもちろん、ふと耳にする短いCM音楽 ~サントリー緑茶・伊右衛門~ であっても、聴く人の心を大きく揺さぶる久石譲の音楽。
「音楽って不思議なんですよ、思っている以上に歴史が短いんです。クラシック音楽が生まれたのはたかだか200年前、ポップスは1920年代以降ニューオーリンズのJAZZから。その後急激に数多くの音楽が生まれた。そんな中で大切にしているのは、出会ったことのない自分に出会ったような新鮮さ……自分自身が感動できるような音楽であることです」
最近では自ら指揮棒を振り、新日本フィルとの活動も増えている。
「自分が信頼するオーケストラが演奏することを想定して曲を書くと、よりエモーショナルな楽曲を作ることができるんです。実際に指揮をして経験を積み、それがまた作曲にフィードバックされています」
久石の活動の場は、世界に広がっている。昨年11月には香港映画のために中国のオーケストラの指揮も。
「大陸的な中国の国民性が出て、とてもよいテイクが録れました。言葉の問題はありましたが、改めて音楽に国境はないなと実感しました」
(GQ JAPAN 2006年3月号 No.34 より)


Posted on 2019/03/16
雑誌「DVDビデオ・ぴあ 2001年10月号」に掲載された久石譲インタビューです。映画初監督作品『Quartet / カルテット』についてたっぷり語られています。
映画の作曲家が映画を撮るということ
久石譲インタビュー
宮崎駿、北野武、大林宣彦といった人気監督作品の音楽監督として、現代日本映画の最前線を突っ走っている久石譲が映画監督に初挑戦した。その「カルテット」は、弦楽四重奏団を組んだ若者4人を追った青春ドラマ。だが、ただの青春映画ではない。これは久石いわく「日本初の音楽映画」。映画の作曲家が映画を撮るとき、いったいそこには何が生まれるのだろうか。
取材・文=賀来タクト
監督挑戦に当たり、久石譲は映画音楽の作り手としての自身を基本に置いた。職業監督としてではなく、映画音楽へのより深い理解を得るための「経験の一つ」だというのだ。
「いろいろお誘いをいただいてきた中の一つが形になってきたときに、それならと思って引き受けたんです。あくまで僕は音楽家ですから、その僕が監督するなら、ドラマに対して音楽がいかに絡みきれるか、音楽がセリフ代わりにものを言うように作れるか、そういうことにこだわってみたかった」
言葉を超えた映像と音楽のジョイント。久石が目指した映画こそ「日本初の音楽映画」であった。そういう理想にかなった作品は海外でもそんなに見当たらないと、苦笑いが漏れる。
「あえていえば、ジョン・コリリアーノが音楽をやった『レッド・バイオリン』くらいかな。黒澤明監督が”映画的”なる表現をされていましたね。音楽と映像が深く絡んでいったときに、そういう映画にしかできないものに迫れる瞬間って必ずあると思うんです。そういうところに1シーンでもいいから到達したかった」
偶然と言うべきか、「レッド・バイオリン」さながらに、その初監督作品「カルテット」では弦楽器とドラマが巧みに絡みあった物語が展開する。学生時代、弦楽四重奏団を組んでいた若者4人がふとしたことで再会、それぞれ人生の転換期を迎えていた彼らが今一度カルテットのコンクールに挑戦するというもの。随所に描かれる演奏シーンのために、久石は撮影前に使用する楽曲40曲を全てオリジナルで書き上げ、それに合わせて撮影を進めた。
「全体の半分弱くらいが音楽シーンで、時間軸に固定されますから、構成自体は難しくなかったんです。でも、セリフの投げ合いで感情を引っ張りすぎると音楽シーンのパワーがなくなっちゃうから、芝居は極力抑える、カメラは引くって決めてましたね。そういう意味では、北野監督的なやり方だったんですよ。過剰に説明をせずに、どこまで引いて見せるかという意味ではね。武さんは僕が映画を撮るというのを知っていたんです。あるとき一緒にご飯を食べていて、武さんが大杉漣さんに話をしていたんですよ。”ラーメンをおいしく撮る方法って、いかに本当においしいかと見えるようなカットを撮らなくちゃいけないんだよ。たいがいの監督がしくじるのは、いかにうまいかという内容を説明しちゃうから。トンコツ味でとか昆布のダシでとかさ、そうするとトンコツが嫌いな人はそれを聞いた瞬間、半分引いちゃうんだよな”って。大杉さんに話をするフリをして、たぶん僕に言ってくれたんだと思う。それがすごく残っていて、大変なヒントをいただきましたよね」
ちなみに、撮影現場では主要スタッフに使用楽器の譜面が手渡された。小節ごとにカメラの動きやアングルを決めるなど、絵コンテ代わりに使ったのだ。必死だったのはスタッフばかりではない。役者陣は楽器の実演を余儀なくされ、場面によってはプロに眼前で演奏をしてもらう、その動きにならいながら演奏シーンを撮ったのだ。
「音楽映画と謳っていながら、役者さんが本当に弾いているように見えなかったらアウトじゃないですか。演奏で観る人を引かせないようにするのは難しい。日本でそれをうまくやっている映画ってあまりないですよね。なおのこと譜面を渡されたスタッフもパニクってましたけれども(笑)」
撮影を終えてしばらく経ったある日、主人公の第1バイオリン奏者・明夫を演じた袴田吉彦に問えば「僕にとって素に帰る映画になっちゃいました」という声が返ってきた。演奏シーンの大変さに加え、芝居も概ね任されていたことが自分の原点を見ざるを得ない結果になったというのだ。
「それはすごく嬉しいな。本当に袴田くんでなかったらこの映画はできなかった。袴田くんの役は、父親の想い出のために音楽を愛していながら恨んでもいるという矛盾した気持ちを抱えていて、最後の最後まで笑わない。そんな女性から見たら嫌みな男をどう魅力的に引っ張るかっていうことでは脚本の段階から悩みましたし、逆にステレオタイプに陥らない人間を描けたという満足感も大きいですね」
ドラマ自体に目を移すなら、そういった「引きの視点」がもたらした独特の味わいに注目すべきだろう。どこか喉越しのスッキリした「涼しい映画」になっているのだ。
「あ、そこのところ、太字で(笑)」
破顔一笑。
「そう、泣かそうと思えば、そういうシーンはいくらでもできる。でも、観る人の心に作品を残したいのなら、寸止めにするというか、過剰な情報や先入観を与えちゃダメなんです」
日本の空気とは思えないサラサラ感があると言おうか。「カルテット」には湿気の少ない空気感が確かにある。
「ありがたいなぁ。まずウェット感をどう取っていくかというね、日本的情緒をとにかく外していく作業に徹しましたよね。それを日本の風土で撮るのは大変なんです。スタッフには”なぜもっと芝居をさせないんだ”という気持ちがあったと思うんです。その中で初心を貫いていくことは精神的には大変でしたね。その辺は”初監督で何も知らないので”といって押し通しましたけれど(笑)」
あとで振り返っても「カルテット」には嫌みなクドさがない。
「この映画、2回観た人の反応がいいんですよ。芝居や何かを全部言葉でやっていると2回観たいとはあまり思わないですよね。でも、音楽は2度聴いても嫌にならない。その音楽が今回、セリフ代わりになってますね。リピートに耐える映画になったかと思うと、とてもうれしいですね」
実は撮影を1年前に終えてしまっている「カルテット」の後、久石は既に監督第2作を撮りあげていた。その「4 Movement」では、音楽映画という括りはなかった。つまり、音楽家としてではなく、より純粋に監督という立場で撮った作品になったといえるのだが……。
「音楽家として最低にやりづらい作品でした。画が全部音楽的なカットなんです。音楽でやるべきアクセントやリズムというものを画が全部やってしまっていて、それに音楽で上乗せするなんて過剰でしょ? 一番やりづらい監督は久石譲ですね(笑)」
映画監督を経験して「脚本の読み方が深くなった」と、再び顔が締まる。理想の映画音楽とは何かを探るための経験は、想像以上の結実を希代の作曲家にもたらしたようだ。
「映画って”映る画(うつるえ)”って書きます。武さんはそれを”1秒間に24枚の絵が映し出されるもの”という表現をされた。僕にとってはアクション、動くことなんです。『カルテット』では音楽シーンを格闘技ともいうべきアクションで考えていました。セリフのない『4 Movement』では人の動きの部分部分を追っていきました。その動きをつかまえるということを、もっとやってみたい。映画は全部が出ますから、もっと自分を磨いてね。そんな気持ちが残ったのは確かです」
映画監督・久石譲が再登場する日はそう遠くはなさそうである。
(DVDビデオ・ぴあ 2001年10月号 より)




Posted on 2019/03/15
雑誌「FM fan 1998 No.25 11.16-11.29」に掲載された久石譲インタビューです。オリジナルソロアルバム『Nostalgia ~Piano Stories III~』のリリースタイミングになります。
久石譲
”歌のエスプリ”にスポットをあてた
「揺らぎ」のある新作をリリース
「ピアニストは”体力”をつけろと、おすすめします」と久石譲は笑って言う。「長野パラリンピック冬季競技大会」の総合プロデュースや宮崎駿作品、北野武作品の音楽監督、他アーティストへの楽曲提供など多岐にわたる音楽活動。とりわけ『もののけ姫』(宮崎駿監督)の音楽から『HANA-BI』(北野武監督)の音楽へと続いた時期には相当なハード・スケジュールをこなしたという。「ところが現在はその三倍も忙しいんです」という彼。来年にむけて、また北野武監督作品を担当するという。この超ハードなスケジュールを「今だから出来る」とガッチリと受けとめている。
そのさなかから生まれた、みずからプロデュースのニュー・アルバム『ノスタルジア~ピアノ・ストーリーズIII』。
「サウンドはガッチリと構築するスタイルなのですが、このスタイルを一回壊してみたい。メロディに集約し直してみたい。僕の場合、作曲もアレンジも演奏も自分でやってしまいますから、少し荒っぽくてもいいから原質が出るような、そういうアルバムを作ってみたいなというのが一番根底にありました。で、北野武監督『HANA-BI』ベネチア映画祭出品の間などでイタリアへ行って、イタリア的ニュアンスなんだというのが自分なりに分かりましてね。イタリアというとカンツォーネだとかオペラだとか、歌という感じがありますね。何かそういうところのアプローチをしたいなという……。
タイトルが『ノスタルジア』だからといって、郷愁といったニュアンスでは作っていないんです。われわれふだんレコーディングしていると、どうしてもドンカマで作っていく傾向がすごく多い。そればっかりだと、揺らぎのある音楽から遠ざかっちゃうんですね。歌のエスプリみたいなものが最近の音楽では、ほとんど聴くことが出来ませんよね。今、忘れがちになっているそういう重要な要素に、もう1回スポットを当ててみたい。それが最も新鮮なんじゃないか。そういうのが大まかなコンセプトです」
そして北イタリアのモデナでオーケストラをレコーディング。日本の音楽プロジェクトが北イタリアでのレコーディングは極めて稀。モデナ文化評議会が賛同し、フェラーラ・オーケストラとストロキ・ホールが協力した。これには9月4日から16日にわたる現地の有力新聞14紙が、大々的に久石のレコーディングを報道した。
「行く前から、向こうのオケはいやというほど歌うからねと言われましたが、はたして!」
全曲新録の10曲は、『紅の豚』『HANA-BI』『時雨の記』の映画、CF、テレビでおなじみの曲のほかに書き下ろし曲、そして、ニーノ・ロータの「太陽がいっぱい」、声楽のアルトの歌手なら必ずといっていいほど歌うサンサーンスの「バビロンの丘」も含めて、久石譲のピアノの”うた”が満載だ。
ほかの仕事の合間をぬって、10月15日から12月16日まで全国主要9都市で、みずから構成・演奏する”久石譲ピアノ・ストーリーズ’98 -オーケストラ・ナイト-”。コンサートがあるとピアノに使う両の上腕が太くなるという生活は、まだまだ続く。久石の腕が太くなるにつれて、人々の心の体力がつく。
(インタビュー・文:三橋一夫)
(FM fan 1998 No.25 11.16-11.29 より)


Posted on 2019/03/14
音楽雑誌「FMステーション No.7 1998年4月5日号」に掲載された久石譲インタビューです。映画音楽論について日本映画界・ハリウッド映画もふくめてたっぷりと語られています。
サウンドトラックの誘惑 SPECIAL INTERVIEW
久石譲
メインテーマはシンプルないいメロディを書きたい
昨年大ヒットした宮崎駿監督の『もののけ姫』や国際的に話題になった北野武監督の『HANA-BI』など、最近の邦画の話題作を一手に引き受けているサントラ界のヒットメーカーが、映画音楽に対する思いを語った。
武満徹、伊福部昭、坂本龍一など、これまでも多くの日本の作曲家が映画音楽に挑戦、世界的な成功を収めてきた。そして現在、日本の映画音楽界の頂点に君臨しているのが、久石譲である。昨年大ヒットした『もののけ姫』などの宮崎駿監督作品をはじめ、最近ではベネチア映画祭で金獅子賞を受賞した北野武監督作品『HANA-BI』なども彼の音楽によるもの。そしてそのどれもが、映像と音楽の結びつきを大切にしている久石だからこそ作ることのできる美しい旋律だ。このインタビューではそんな彼の映画音楽家としてのスタンスが熱く語られている。
-映画音楽を手がけることになったきっかけは?
久石:
「従来の音楽マーケットってボーカルものを中心に動いてますよね。ボーカルものに興味がないわけではないんですが、それまで自分がやってきたクラシック音楽や現代音楽の流れからいうと、こういった仕事のほうが、自分に向いていたというか…。ですから、いまでもこの仕事は気に入ってますね。」
-子供のころから映画はたくさん観ていたんですか?
久石:
「いっぱい観ましたよ。年間で300本くらい。」
-とすると、現在のお仕事には就くべくして就かれたという…。
久石:
「そうですかね。確かに、あまり苦労はなかったです(笑)。」
-映画音楽のほかにソロワークもされていますが、ご自身のなかで双方の位置づけの違いってありますか。
久石:
「映像がないと成り立たない音楽ってある意味では弱いと思っているので、ソロアルバムはできるだけピュアに、映像とは無関係に音楽として作品世界が成立することを目指しています。映画というのは、ご存じのように、自分のほかに大勢スタッフがいます。そこに音楽というポジションで参加するわけですから、自分だけで作業を進めても成り立たないわけですよね。監督の意向もあるし。逆にいえば、映画音楽のほうが自分の才能の新しい面を引き出してくれるという楽しみがありますね。」
-久石さんは、大林宣彦、北野武、宮崎駿といった日本を代表する監督の作品の音楽を手がけられていますが、3人の監督の作業の進め方や考え方の違いがあれば教えてください。
久石:
「最近、大林監督の作品は手がけていないので、ちょっとよくわかりませんが、やっぱりそれぞれ個性がありますよ。北野監督と宮崎監督はある意味で共通しているところがあるんですが、表現方法が全然違います。ボクにとっては自分が持っている幅というものがあるとしたら、お2人はその両極端に位置しているので、その点ではすごくやりやすい場合があるんです。ようするに、宮崎作品用に書いた作品を引きずりながら北野作品にはいるってことは絶対にないってことですね。」
-アニメと実写作品の作曲法の違いはありますか。
久石:
「それほどないですね。アニメだから、実写だからということは関係なく、基本的なスタンスは一緒だと思ってやってます。」
-映画音楽を担当するのに、撮影に立ち会ったりはするのですか。
久石:
「基本的にはすべての台本を読んで、フィルムが上がってから作ります。とはいっても、現場の空気感であったり、その場面のロケが設定的に作品のなかで重要だったりするときには撮影の段階から極力参加するようにしています。」
-北野武監督の『HANA-BI』の音楽は、どのような過程で作られたのでしょうか。
久石:
「通常、北野監督は、あまり注文を出さないんです。ある意味でおまかせ状態。それが、この『HANA-BI』では、「暴力シーンとかいろいろあるけど、それとは無関係にアコースティックな弦などのキレイな旋律を流したらどうかな」というようなことを初めていわれて…。ですから、今回はその言葉がキーワードになっています。いままでの北野作品では、同じフレーズを繰り返すような曲を主体にやっていたんですが、今回は、弦を使うということで、曲調がメロディアスになったり、いままでよりもエモーショナルなサウンドになるかなって。そのあたりを監督に確認しながら作りました。」
-映画音楽を作るうえでのこだわりはありますか。
久石:
「単音で弾いても成立するようなシンプルでいいメロディ、それをメインテーマにして作りたいという欲求はありますね。あとは、それぞれの監督の世界があるから、監督の言葉から誘発された自分というもの、あくまでもそういう自分を見失わないようにして書いているつもりです。」
-たしかに久石さんが手がけた映画のメインテーマは、一度聴いたら忘れられないくらいの美しさがありますね。キャッチーというか…。
久石:
「たとえば、『太陽がいっぱい』といわれたら、すぐにニーノ・ロータのメロディが浮かんできますよね。本来はそれくらい映画音楽って重要なものだったのに、いまはそれがなくなってきているんですよ。最近のハリウッド映画を観ていても、いいメロディを書ける人がどんどん減っているという感じがします。アクションシーンのバックに流れているのは、いつもドタバタした音楽しかなくて、この映画だから、この音楽っていうのをいまでもキッチリやっている人って…ジョン・ウィリアムズくらいじゃないですかね。たしかにハンス・ジマーや、ジェームズ・ホーナーといった人たちもいい音楽をいっぱい書いていますけど、全体的に考えると減っている。ハリウッドの人と話していても、「そのへんがいまいちばん弱いんだよねぇ」ということをいっています。」
-映像に音楽を付けるということで難しいことはなんでしょうか。
久石:
「映像と音楽ってつねに対等でいるべきだと思うんです。たとえば登場人物が走ったら速い音楽、泣いたら悲しい音楽のような、単に映像の伴奏でしかない曲の付け方、それっていわゆる世間でいう劇伴ですよ。それではまったく意味がない。いったいそのシーンで何が描かれているのかを判断したうえで、あくまでも音楽監督という立場からキッチリと構成していかなくてはいけない。」
-音楽がたんに添え物になっているのはいけないということですよね。
久石:
「そうです。映画にとって音楽ってものすごく危険なんですよ。扱いを間違えると映画のシーンよりも先に、これから起こることを予感させてしまう。こういったミスは作品の質を落としたりしますし、安っぽくなりますから。とくに最近のハリウッド映画の音楽を聴いていると、あまりにも画面と寄り添いすぎちゃうというか、画面の描写に徹しすぎる。あるいは、それを要求されすぎているという感じはしますね。」
-これまでおっしゃった点を踏まえて、最近の映画音楽家で成功しているな、と思える方はいますか。
久石:
「やっぱりジェームズ・ホーナーですかね。いい仕事しているなって思いますよ。『ブレイヴハート』など、すごく詩的なものを作るので好きですね。あと、少し前の作品ですけど、『ブレードランナー』もよかったな。あのころのヴァンゲリスはよかったですね。いい映画って音楽なんて気にならなくなっちゃいますよね。そういう意味でいうと、これらの作品は構成要素としてきちんと音楽が映画に参加しているなって感じがします。それがいちばん大事なんじゃないですかね。」
-日本の映画音楽はどうでしょう。
久石:
「どうなんでしょう。日本映画って自分がかかわった作品しか観ないですからね。ただ、映画音楽というものは、ギター、ベース、ドラムとキーボードがないと曲が書けないという人が作っちゃいけないと思うんですよ。たとえば弦だけだとか、メロディがないといった状況でも音楽が書ける…つまりクラシックの技術が最低限は必要ということです。とくに日本の映画音楽というのは、現代音楽やクラシック育ちの人が、いままで長い間、手がけてきました。ところが映画ってエンターテインメントですから、実はそのクラシックの技術と同じくらい、一方で普通のチャートにも入れられるくらいのポップスセンスを持っていないといけないんです。両方を持ち合わせている人が、映画音楽を作る…それが理想的なんですが、そういう条件を考えると、すごく限られちゃう。絶対数が少ない。アメリカ映画も最近はひどいといいましたが、そうはいってもアメリカで映画音楽家の地位がすごく高いのは、両方の才能を持ち合わせている人が貴重だということ。日本の映画音楽はいまひとつ主張しきれなくて、どうしても劇伴扱いになっている。作曲家の技術の問題が大きいと思いますね。」
-作曲家の育つ環境が整っていないということではないんですか。
久石:
「たしかにそれもあると思います。ある程度、数をこなしたり、優れた監督と一緒にやって苦労しなければ身についてこないですからね。」
-最後に、久石さんにとって、映画音楽とはなんでしょうか。
久石:
「もちろん、ライフワークであるという以上に、映像と音楽の関係というのは、ボクにとって最高に興味深いことでもあります。たとえばモーツァルトなどの時代でも、シンフォニーやソナタなどのほかにオペラも作っているんですよ。時代は違いますけれど、ボクにとって映画音楽は、モーツァルトがオペラを書くのと同じ。そういう気持ちで映像に融合する音楽を作っていきたい。これからもずっと、この仕事は続けていくだろうと思います。」
(FMステーション No.7 1998年4月5日号 より)

『機動戦士ガンダム』(1979年)でキャラクターデザイン・作画監督・アニメーションディレクターを務めた安彦良和が、自身の同名コミックスを原作として1989年に映画化した『ヴイナス戦記』のBlu-rayが7月26日に発売。劇場公開から30年を経てHDネガスキャンとリマスターを施した特装限定版。 “Info. 2019/07/26 映画『ヴイナス戦記』監督:安彦良和 / 音楽:久石譲(1989)Blu-ray発売決定” の続きを読む
【さよなら平成 2週連続スタジオジブリ】「平成狸合戦ぽんぽこ」(高畑勲監督)「風立ちぬ」(宮崎駿監督)2週連続ノーカット放送決定! “Info. 2019/04/05,12 [TV] 金曜ロードSHOW! 「さよなら平成 2週連続スタジオジブリ」『平成狸合戦ぽんぽこ』『風立ちぬ』放送決定” の続きを読む