Blog. 「久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICS Vol.7」コンサート・レポート

Posted on 2024/08/04

7月31日,8月1日開催「久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICS」コンサートです。今年は「久石譲 presents MUSIC FUTURE」(7/25,26)とのスペシャルウィークです。久石譲の3大コンサート(WDO,FOC,MF)のうち2つのコンサートがこの夏一挙開催です。

 

 

JOE HISAISHI FUTURE ORCHESTRA CLASSICS Vol.7

[公演期間]  
2024/07/31,08/01

[公演回数]
2公演
東京・サントリーホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:FUTURE ORCHESTRA CLASSICS
合唱:東京混声合唱団
コンサートマスター:近藤薫
ソプラノ:エラ・テイラー

[曲目]
久石譲:The End of the World
I. Collapse
II. Grace of the St. Paul
III. D.e.a.d
IV. Beyond the World
Recomposed by Joe Hisaishi:The End of the World

—-intermission—-

スティーヴ・ライヒ:砂漠の音楽 *
Steve Reich:The Desert Music
I. fast
II. moderate
III. A – slow
IV. B – moderate
III. C – slow
IV. moderate
V. fast

*オリジナル編成版(1984年)全曲 日本初演

[参考作品]

久石譲 & 新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ 『The End of the World』

 

 

 

まずは会場で配られたコンサート・パンフレットからご紹介します。

 

 

今年のFUTURE ORCESTRA CLASSICS(FOC)はとてもスペシャルです。

本来室内オーケストラとして50名前後の編成ですが、100名を超える大型オケになり、またホールもサントリーホール2日間と現代の音楽が行う規模をはるかに超えているのですが、関係者の奮闘により2日間ともソールドアウトとなりました。誠にありがたい限りです。

肝心の曲目はスティーヴ・ライヒの「The Desert Music」と僕の「The End of the World」です。1983年に作曲された「The Desert Music」はあまりの規模の大きさと難しさでこれまで日本では演奏されず、今回が日本初演になります。両曲とも戦争に関する題材を扱っています。戦後80年近くなるのに今の状況はいつでも世界戦争が起こってもおかしくないように見えます。多くの人が亡くなり、多くの文化が破壊されています。

でも僕は反戦のコンサートにするつもりは全くなく、このような状況でも自分を見失わずに強くしっかり生きていこう!という元気の出る、ポジティブなコンサートになれば良いと思っています。

皆さまに楽しんでもらえたら幸いです。

久石譲

 

Joe Hisaishi:The End of the World
久石譲:ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド

久石譲が2007年秋にニューヨークを訪れた時の印象がきっかけとなり、2008年から作曲に着手した組曲《The End of the World》は、2001年同時多発テロ(9.11)による世界秩序と価値観の崩壊が引き起こした「不安と混沌」をテーマにした作品である。もともとは《After 9.11》という仮タイトルが付けられていたが、久石はカントリー歌手スキータ・デイヴィスが1962年にヒットさせたヴォーカル・ナンバー《この世の果てまで The End of the World》にインスパイアされ、組曲全体を《The End of the World》と命名した。2008年に、〈I. Collapse〉〈II. Grace of the St.Paul〉〈III. Beyond the World〉の3楽章からなる組曲として初演された後、この作品は一種のワーク・イン・プログレスとしてさまざまな変遷をたどり、2015年のW.D.O.(ワールド・ドリーム・オーケストラ)公演において、上記3楽章に〈D.e.a.d〉を挟み込んだ4楽章+久石がリコンポーズした《この世の果てまで》の計5楽章(4+1)の組曲として演奏された。本日演奏されるのは、そのW.D.O.2015公演で初演されたヴァージョンである。

I. Collapse
ニューヨークのグラウンド・ゼロの印象を基に書かれた楽章。冒頭、チューブラー・ベルズが打ち鳴らす”警鐘”のリズム動機が、全曲を統一する循環動機もしくは固定楽想(イデー・フィクス)として、その後も繰り返し登場する。先の見えない不安を表現したような第1主題と、より軽快な楽想を持つ第2主題から構成される。

II. Grace of the St. Paul
楽章名は、グラウンド・ゼロに近いセント・ポール教会(9.11発生時、多くの負傷者が担ぎ込まれた)に由来する。冒頭で演奏されるチェロ独奏の痛切な哀歌(エレジー)がオリエンタル風の楽想に発展し、人々の苦しみや祈りを表現していく。このセクションが感情の高まりを見せた後、サキソフォン・ソロが一種のカデンツァのように鳴り響き、ニューヨークの都会を彷彿とさせるジャジーなセクションに移行する。そのセクションで繰り返し聴こえてくる不思議な信号音は、テロ現場やセント・ポール教会に駆けつける緊急車両のサイレンを表現したものである。

III. D.e.a.d
もともとは、2005年に発表された4楽章の管弦楽組曲《DEAD》の第2楽章〈The Abyss~深淵を臨く者は・・・・~〉として作曲された。《DEAD》(”死”と、レ・ミ・ラ・レの音名のダブル・ミーニング)の段階では器楽楽章だったが、本日演奏されるW.D.O.2015ヴァージョンに組み込まれた際、久石のアイディアを基に麻衣が歌詞を書き下ろした声楽パートが新たに加えられた。原曲の楽章名は、ニーチェの哲学書『ツァラトゥストラはかく語りき』の一節「怪物と闘う者は、その過程で自分が怪物にならぬよう注意せねばならない。深淵を臨(のぞ)くと、深淵がこちらを臨き返してくる」に由来する。ソリストが歌う歌詞が、特定の事件(すなわち9.11)や世俗そのものを超越し、ある種の箴言(しんげん)のように響いてくる。

IV. Beyond the World
3楽章版の《The End of the World》が2009年のアルバム『Minima_Rhythm』に収録された際、久石自身の作詞によるラテン語の合唱パートが新たに加えられた。「世界の終わり」の不安と混沌が極限に達し、同時にそれがビッグバンを起こすように「生への意志」に転じていくさまを、11/8拍子の複雑な変拍子と絶えず変化し続ける浮遊感に満ちたハーモニーで表現する。楽章の終わりには、第1楽章に登場したチューブラー・ベルズの”警鐘”のリズム動機が回帰する。

組曲としては、以上の4つの楽章で一区切りとなり、最後に《この世の果てまで》のリコンポーズ版がエピローグ的に演奏される。

Recomposed by Joe Hisaishi:The End of the World
原曲《この世の果てまで》の歌詞の内容は、作詞者シルヴィア・ディー(Sylvia Dee)が14歳で父親と死別した時の悲しみを綴ったものとされている。久石がこのヴォーカル・ナンバーを組曲の終わりに付加した理由のひとつは、この曲のメロディーが持つ美しさを久石が高く評価していたからである。このように、パーソナルな思いを表現した世俗曲や民謡のメロディーを、シンフォニックな大規模作品の中に引用する手法は、久石が敬愛するマーラーの作曲の方法論に通じるものがあると言えるだろう。愛する者を失った悲しみをエモーショナルに歌うソリストと、その嘆きを温かく包み込むコーラスの背後で、チューブラー・ベルズのリズム動機がかすかに聴こえてくるが、その響きは今までの恐ろしい”警鐘”から、祈りの”弔鐘”へと変容を遂げている。最後に、チューブラー・ベルズが”希望の鐘”を静かに暗示しながら、全5楽章の組曲全体が安らかに閉じられる。

楽曲解説:前島秀国

 

 

Message from Steve Reich

「砂漠の音楽」は1984年に初演され、2024年にようやく日本初演を迎えることができ、大変嬉しく思います。この機会を与えてくださった久石譲さんとFUTURE ORCESTRA CLASSICSに感謝します。私のこの最大の作品を、すべての演奏者と観客の皆さんに楽しんでいただけますように。

ースティーヴ・ライヒ

 

Steve Reich:The Desert Music
スティーヴ・ライヒ:砂漠の音楽

スティーヴ・ライヒが1982年から83年にかけて作曲した《砂漠の音楽》は、アメリカの詩人/医師ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ(1883-1963、以下WCWと表記)の詩をテキストに用いて作曲された、ライヒ最大の編成を持つ作品である。かねてからWCWを敬愛してきたライヒは、詩集『砂漠の音楽 その他の詩』(1954年出版)と『愛への旅』(1955年出版)に収められた詩を選択・抜粋・編集した上で、本作品の歌詞に用いている。

WCWの詩以外に、ライヒは次の3つの「砂漠」から作曲のインスピレーションを得た。まず、旧約聖書の出エジプト記に登場するシナイ半島の砂漠。2つめは、ライヒ自身が何度か往復したことがあるカリフォルニア州ハーヴェの砂漠。そして3つめが、人類初の原爆実験を含む多くの核実験が行われた、ニューメキシコ州アラモゴートの砂漠である。そこでライヒは、WCWがヒロシマとナガサキ以降の時期に書いた3篇の詩を意図的に選択し、詩人の関心とライヒ自身の関心を音楽の中で合致させようと試みた。ライヒは筆者との取材の中で、次のように《砂漠の音楽》を解説している。「私の曲に限りませんが、どんな音楽でも歌詞がある場合には、その言葉に含まれるサウンドと意味を大切に扱わなければいけません。もちろん、歌詞に用いるテキストは自分で選びましたが、歌詞の存在によって、普段の自分だったら絶対にしないような作曲をせざるを得なくなります。《砂漠の音楽》では、WCWの詩が原爆を扱っているので、今までの自分の曲になかった暗さを音楽で表現する必要があったんです」。

今回日本初演される1984年初演版のオーケストラ(4管編成)でとりわけ注目すべきは、ライヒのアンサンブル作品で中心的な役割を果たすマレット楽器が指揮台を囲むように配置され、視覚的にも聴覚的にもリズム(パルス)がこの曲の中心だとライヒが強調していること、そして弦5部が3声のカノンを頻繁に演奏するため、3つの小グループに分割されて配置されているという点である。

全5楽章はABCBAのアーチ構造で構成され、中間のCの第3楽章はそれ自体がABAのアーチ構造を内包している。それぞれの楽章は和音のサイクル(循環)に基づいて作曲され、第1楽章と第5楽章、第2楽章と第4楽章、第3楽章がそれぞれ固有のサイクルを持つ。さらに、第2楽章と第4楽章、第3楽章の両セクション(IIIAとIIIC)は、それぞれ同じ歌詞が用いられている。かくして、切れ目なく演奏される全曲は、第1楽章でパルスのリズムと和音のサイクルを提示し、第3楽章中間のIIIBで折り返し地点に達した後、それまでの往路を復路として帰っていくように逆行し、第5楽章の最後で冒頭のパルス音と和音のサイクルに回帰する。

このような構造に加え、先に紹介したライヒの発言にもあるように、音楽にはテキストの内容が色濃く反映されている。具体的を挙げると、第2楽章と第4楽章の歌詞は、ライヒ自身の音楽とその聴取態度を自己言及的に表現したテキストとして歌われる。合唱が「半分ほど目を閉じてみよう。目で聴くわけではないのだから」と歌うのは、1970年代にライヒの音楽に対して貼られた「睡眠音楽」「トランス音楽」というレッテルに対する反論である。これに対し、半音階を多用した暗い第3楽章では音楽外の問題、すなわち原爆が扱われている。それを端的に表しているのが、第3楽章のIIIAとIIICで歌われる「ようやく願望を実現した以上、人類は願望を変えるか滅びるしかない」という黙示録的な歌詞であり、IIICでヴィオラが演奏するサイレン音すなわち”警報”である。そして、合唱がIIIBで「音楽の基本はテーマの繰り返しだ」と歌い始めると、音楽は”カノン地獄”と呼びたくなるような凄まじい対位法(カウンターポイント)に突入し、やがてカノンは「現状の解決」すなわち「解決すべき現実の諸問題 the facts to be resolved」という言葉を扱い始める。つまり、「繰り返し」を続けるライヒのミニマル・ミュージックと同様、たとえ難しくても、人類は「諸問題」に厭くことなく向き合っていかなければならないという言外の意味がそこに込められている。

なお、最後の第5楽章の歌詞に関して、ライヒはWCWのテキストを編集することで「最も先に光を届ける」人が具体的に誰なのか、敢えて明示を避けている。WCWの原詩ではトルストイ、孔子、ブッダ、リンカーンなどの人物が挙げられているが、原詩の文脈とライヒの作曲意図を踏まえ、歌詞の拙訳では「偉人」と曖昧にしておいた。

楽曲解説:前島秀国

(「JOE HISAISHI FUTURE ORCHESTAR CLASSICS Vol.7」コンサート・パンフレットより)

 

*パンフレットには両作品の歌詞/訳詞まで掲載されています

 

 

前島秀国さんは本公演に先駆けてスティーヴ・ライヒ「砂漠の音楽」についてのコラムも寄稿しています。楽曲解説をより深くまで補完するものとしてぜひご覧ください。

 

 

また公演翌日には山田治生さん(音楽評論家)によるコンサート・レビューも公開されました。本公演の見どころ聴きどころが凝縮された筆跡をお楽しみください。写真(The End of the World)はそこからお借りしています。

久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICS Vol.7 | CLASSICNAVI
久石譲、スティーヴ・ライヒの世界観を存分に味わった歴史的な公演
公式サイト:https://classicnavi.jp/newsflash/post-19956/

 

 

 

ここからはレビューになります。

 

もうすでに情報が多すぎて何から書こうか。ファン目線の補足くらいになるべくシンプルに書いていこうと思います。

久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICSは、これまでベートーヴェンやブラームスといったクラシック音楽の交響曲全曲演奏などを進めてきました。現代音楽だけでプログラムする記念すべき公演になります。そしてスティーヴ・ライヒ作品の日本初演、これだけでも並々ならぬ意気込みを感じるコンサート前夜です。

リハーサルも約1週間をかけて行われています。今年は「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.11」との2週にわたるスペシャル・ウィーク、期間中リハーサルも同時進行で行われたことがSNS記録からわかります。頁末にまとめています。あとでゆっくり楽しんでください。

 

 

久石譲:The End of the World

今でこそ交響曲第1番~第3番と発表している久石譲ですが、その前までは多楽章からなるシンフォニー作品が交響曲ばりの大作とファンのなかでは位置づけられていました。その中の重要な一作品「The End of the World」です。これまでの変遷や楽曲解説は素晴らしくきれいにまとめられています、いつでも上に戻ってご覧ください。

ここでは感想だけ。久石譲版対抗配置です。2015年からの変更点は、チューブラー・ベルズが後方の打楽器群のなかに並ぶのではなく、対抗配置の第1ヴァイオリンとチェロそしてコントラバスに囲われる中方左側に位置していたことです。この作品におけるテーマ性としての重要さ、そして音楽的先導役としての重要さを象徴しているようでした。

第1楽章、従来の陰影さを覆っていたティンパニから、強いアクセントへと変わっていました。久石譲版ベートーヴェン交響曲ではティンパニがよく効いていたように、同じスコアをもとにしながらかなり力強く前面に押し出しています。これだけでも序盤から目をそらせない気迫が十二分に伝わってきます。

第2楽章、中間部の4ビートになるパートで少し変わっていました。2015年音源ではそこはシンバルを中心にリズムを刻んでいますが、本公演ではスネアのリム(枠打ち)に始まり、徐々にヘッド(面打ち)はもちろんバスドラムのキックやタムタムも加わっていき、ドラムセットを惜しみなく操るジャジーなスティックさばきを展開しています。セッションさながら自然に体もノリます。第1楽章もそうですが、改訂とまではいかない大きく構造を変えずにできる微修正といった印象です。

第3楽章、よかったです。2015年のときは組曲DEADからちょっと入れてみました的感覚が少し残ってたんですけど(個人の受け止め方の問題です)、今ここにきてがちっとハマった、他の楽章としっかり結びついてここにないといけない楽章だとしっかり感じとることができました。素晴らしくよかったです。

第4楽章、ピークに向かって音楽は着実に駆け上がっていき膨れ上がっていきます。東京混声合唱団のコーラスも素晴らしかったです。オーケストラと対等でありながら、ダイナミクスもアクセントも見事にシンクロしています。そうしてオーケストラと合唱団はステージ上でひとつの巨大な生き物として渾然とそびえ立つように迫力に圧倒されます。

リコンポーズ、支配する弦楽の不協和音が美しい。歌い出しにも弦楽が加わっていたと思います。2015年版ここはピアノやハープだけの伴奏です。弦楽の厚みは編成規模からくるところもあるかもしれませんが、その精緻で重層的な響かせかたが第3楽章からの流れをみてもつながっていて、エンドロールにふさわしい。ここもまた4つの楽章+1の違和感が一層なくなり、この歌をもって大きな作品が完結することを心の底から実感できました。

エラ・テイラーさんは、ジブリ・スクリーンコンサート「JOE HISAISHI SYMPHONIC CONCERT: Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki」2023年ロンドン、2024年パリ、ドイツなどで共演を重ねています。押しつけることのないまっすぐな歌声と、息が立ち上がる瞬間から息が切れるところまでの繊細さや胸が高鳴ってくる力強さまで、ずうっと聴き惚れていました。ほんと心に沁みました。

「The End of the World」過去一の名演でした。たしかに作品の進化に合わせて2009-2010年、2015年と演奏頻度もそう多くはありません。ここにきて作品のもつ巨大な存在感や久石譲作品において極めて極めて!重要な一作品であることをまた思い知らされました。正直どちらがプログラム先行後行でも良かったんじゃないかと思えるほど甲乙つけがたい。どちらも約40-45分ならなる久石譲作品とスティーヴ・ライヒ作品、とてつもないバランスで拮抗していたと感じています。作品が終わってもすぐに拍手をすることが出来ないほど息をのむ緊張感と凄みがありました。

サントリーホールの響きがまた素晴らしい。第2楽章の向井航さんのチェロ独奏(FOC、MFコンサートでもおなじみ)、林田和之さんのサクソフォン独奏(たくさんの久石譲コンサートでおなじみ)、そして中間部の一瞬の弦楽四重奏パートなどなど、とにかく音が立ってる。FOCは室内オーケストラで中ホール開催が多いです。今回は大編成なこともあってサントリーホールが選ばれているとも思いますが、編成規模に関わらずまたやってほしい、いつでもやってほしい、そう思ってやみません。

 

 

スティーヴ・ライヒ:砂漠の音楽

繰り返しお伝えします。楽曲解説や評論家レビューをご覧ください。それが一番です。

この作品が遂に日本で聴けるんだ絶対行く、というほどの馴染みがありません。プログラムで初めて知った、次にコンサートまで少し予習した、そんな作品です。だから繰り返し…

とにかく贅沢極まりない大編成なんです。上述の山田治生さんのレビューには「舞台には、4管編成の大オーケストラ(弦楽器は3群に分かれる)、10名の打楽器奏者(ティンパニを含む)、4名の鍵盤楽器奏者(ピアノとシンセサイザー)、そして混声合唱が並ぶ。」とあります。そうなんですね。本公演のスティーヴ・ライヒ時間の写真は現時点でどの方面からもあがらないので参考の舞台配置図です。全く同じではありませんでしたが、こんなステージ見たことないとはっと驚きます。一大イベントなフォーメーションだと一目瞭然です。見たこともないし聴いたこともない、それもそう実現難しかった日本初演ですから。すごい。この大所帯が精緻にミニマルを築きあげるんですから。すごい。

 

from [Steve Reich] The Desert Music (Score-Video) YouTube

 

作品のことは語れるほどないのが残念です、大人しくしゃべりません。久石譲ファンから感じたことだけ言わせてもらいます。「The End of the World」と「砂漠の音楽」、同じようなリズム動機も登場するし同じようなハーモニーを響かせたりもします。また、久石譲は両作品とも現代的アプローチで臨んでいるから、ダイナミズムやアクセントの表現も共通点を感じる場面が幾度あります。そこで突如現れてきたのが、「砂漠の音楽」を演奏しているのに表裏一体で「The End of the World」が浮かび上がってくるという瞬間です。そう感じたことに驚嘆しました。

この二つの作品には、同じミニマル作家として共鳴している音楽的素材があります。平たく言うと、このフレーズとか和音って久石譲のほうにもあったよねというのを、そんなことはわかっていると言わんばかりに、久石譲はそれを躊躇することなく堂々とした指揮で導き共振させています。意図的に「The End of the World」を連想させたということではありません。本公演の二つのプログラムが一体化して本日の大きなメインディッシュとなっていると感じたからです。これには唸らざるを得ません。久石譲の作曲家/指揮者として築きあげてみせた巨大構造物に驚嘆したのです、という息は荒いけどちょっと伝わりにくいかもな感じたことでした。

 

久石譲は過去にもスティーヴ・ライヒ作品を演奏会で取り上げています。2015年には「エイト・ラインズ」(『久石譲 presents MUSIC FUTURE 2015』ライブ音源収録)を、2016年には「シティ・ライフ」(『久石譲 presents MUSIC FUTURE II』ライヴ音源収録)を。またMUSIC FUTURE海外公演などではミニマルのリズムをわかりやすく紹介する「クラッピング・ミュージック」をイントロダクションに置いたり、2024年10月には日本センチュリー交響楽団定期演奏会にて「デュエット~2つの独奏ヴァイオリンと弦楽オーケストラのための」がプログラム予定になっています。

 

 

終演後、拍手は鳴りやまず久石さんは何回も何回もカーテンコールに応えてくれました。待望の久石譲「The End of the World」再演、そしてスティーヴ・ライヒ「砂漠の音楽」日本初演、プログラムの満足感は観客の大きな拍手となって跳ね返りました。

本公演はライブ配信はなし、記録用カメラのみです。こんな公演が会場に来た人だけしか味わえないなんて心から残念です。それは置いといたとしても、それは記録しないとダメでしょう、というか新聞からクラシック音楽誌までメディアはちゃんと取材に来てるんですか、ちゃんとプレス招いているんですか、そんな余計なお世話を一人ピリピリしていました。だって、そのくらい久石譲にとっても歴史的な公演です。しっかり各方面に取り上げてもらって一ページに刻んでほしいところです。そうして、そうして広く知れ渡ったその先に音源化や映像化を強く切望します。あとはあとは、FUTURE ORCESTRA CLASSICSで久石譲作品「The End of the World」「Sinfonia」「Oribis」あたりをしっかり録音するっていうのは、結構あり得てほしい期待値膨らみます。古典作品から現代作品まで培ってきたFOCの成果を久石譲作品で照らし返してほしい、心から願っています。

 

 

会場のCD販売コーナーでは、『JOE HISAISHI IN VIENNA』CD/LPと『久石譲 FOC シューベルト交響曲第7番・第8番』購入者《先着60名限定サイン会》もありました。先のMFコンサートで念願のサイン会再開となりましたが、どちらのコンサートも海外客も多いです。サイン会もそうなるから英語話せるスタッフさんをと大変です。予想もしていなかったギフトに日本土産に貴重ですね。本公演では久石譲さんの他、近藤薫さん(ヴァイオリン)向井航さん(チェロ)高島拓哉さん(オーボエ)もサイン会に参加いただいたようです。事前告知も予告もありません。行ったらわかるラッキーなチャンスこれからまたあるといいですね。

 

 

みんなのコンサート・レポート紹介

会場でもお会いしたファンつながりショーさんのコンサート・レポートです。気さくにオーケストラ演奏会の様子を伝えてくれます。これ言ってもいいかな(笑)えっと、「後半は眠ってしまうかも」なんて休憩時間に言われてましたけどなんのその終わったら「あっという間だった!」って表情明るく楽しそうでした。すっかりミニマルにもハマっているレポートお楽しみください。ほかにもお会いできた皆さん楽しいひとときをありがとうございました。

ファン歴も長く過去数多くのコンサート・レポートが収められています。本公演1週間前の「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.11」コンサートにも行かれています。

JOE HISAISHI FUTURE ORCHESTRA CLASSICS VOL.7(2024.8.1) – Sho’s PROJECT OMOHASE BLOG 改 seconda

久石譲コンサート オーナーの鑑賞履歴 – Sho’s PROJECT OMOHASE BLOG 改 seconda

 

 

 

 

リハーサル風景

今年はMFコンサート(7/25,26)も控えながらリハーサルもMF・FOCと同時進行で行われていたことがわかります

7月24日

from 東京混声合唱団(東混)公式X
https://x.com/TokyoKonsei

 

東混日記[vol.21]東混日記に久石譲さん登場!久石譲フューチャー・オーケストラ・クラシックスのリハーサル風景&インタビュー(約4分)

from 東京混声合唱団公式YouTubeチャンネル

 

 

7月28日

スタジオ・リハーサル

from 久石譲コンサート@WDO/FOC/MF公式X
https://x.com/joehisaishi2019

 

from 東京混声合唱団(東混)公式X

 

 

 

7月29日

ホール・リハーサル

場所をホールに移して本番をイメージしながらと熱の入れよう

from 久石譲コンサート@WDO/FOC/MF公式X

 

ピアノは、作曲家・指揮者・ピアニスト・チェンバリスト・オリガリストと幅広い鈴木優人さん。もう一人は、MFコンサートVol.11でもピアノ・オルガンとしてMusic Future Bandメンバーの鈴木慎崇さん

from 東京混声合唱団(東混)公式X

 

from Masato Suzuki 鈴木 優人 公式X
https://x.com/eugenesuzuki

 

 

7月30日

from 久石譲コンサート@WDO/FOC/MF公式X

 

コントラバス城満太郎さん(3枚目)も新日本フィルハーモニー交響楽団やたしか過去FOCコンサートでもおなじみじゃないかと

from 東京混声合唱団(東混)公式X

 

 

7月31日(ゲネプロ)

ほか

from 東京混声合唱団(東混)公式X

 

 

7月31日(公演1日目)

from 久石譲コンサート@WDO/FOC/MF公式X

 

8月1日(公演2日目)

from 久石譲コンサート@WDO/FOC/MF公式X

 

7月28日~7月31日 Posted

ほか

リハーサル風景の動画もあります(たくさん!)

from 久石譲本人公式インスタグラム
https://www.instagram.com/joehisaishi_composer/

 

 

公演風景

ほか

公演風景の動画もあります

from 久石譲本人公式インスタグラム

 

from 東京混声合唱団(東混)公式X

 

 

 

コンサート前後には、FOCメンバーや合唱団からの投稿やオフショットが満載です。今回は多すぎて紹介できませんが、ぜに気になるメンバーや楽器のSNSをチェックしてみてください。また久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋アカウントでは、見つけれたものはいいね!したりリポストしたりコンサート前後でわいわいやっています。フォローいただけたらタイムラインで共有できると思います。ぜひ見逃さないこぼさないひとつのガイドにしてください。

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 X(Twitter)
https://x.com/hibikihajimecom

 

 

FOCシリーズ

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

カテゴリーBlog

コメントする/To Comment