2002年9月26日 CDS発売 SRCL-5442
1986年公開 スタジオジブリ作品 映画「天空の城ラピュタ」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲
映画公開から16年を経てDVD化にともない制作されたイメージ・ソング
久石譲のメロディーはそのままに、16年後の主人公の視点から描いた石井竜也作詞の作品。カップリングには、オリジナル主題歌の石井竜也ヴァージョンを収録。

1. 君をつれて 作詞:石井竜也 作曲:久石譲 編曲:光田健一
2. 君をのせて 作詞:宮崎駿 作曲:久石譲 編曲:光田健一
2002年7月26日 CD発売 WRCT-1005
2002年11月23日 CD発売 WRCT-1005 ※新パッケージ
2001年12月7日東京芸術劇場で行われた公演のCD化
指揮:金洪才 演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団
アカデミー賞受賞作品「千と千尋の神隠し」組曲
北野武監督映画「Kids Return」、久石譲監督映画「Quartet」他収録
解説
本作は2001年10月30日から始まったツアー「久石譲・SUPER ORCHESTRA NIGHT 2001」の最終日、2001年12月7日の東京芸術劇場におけるコンサートのCD化である。
収録された楽曲は全曲が初演であり、久石自身がコンサートの数ヶ月前から少しずつアイデアを固め、全ての関連スコアをチェックした後、オーケストラ演奏用にリ・アレンジし、演目の最終決定というプロセスをたどっている。これは映画音楽が映像とのマッチングを前提として作曲されているため、コンサートの演目として演奏するためには全く異なるアレンジアプローチが必要となったからである。どの作品にも意欲的に思い切ったアレンジを施しているが、特に「BROTHER」は1度作ったアレンジから徹底して離れて新しく作り直しており、非常に聴き応えのある作品に仕上がっている。また「千と千尋の神隠し」は、映画の中の印象深い楽曲をセレクトして組曲形式で構成し、独立した完成度の高い作品となった。
演奏は「千と千尋の神隠し」「BROTHER」「Quartet」のサウンドトラックのレコーディングを行った新日本フィルハーモニー交響楽団で、レコーディング時のオリジナルに近いメンバーによるコンサート音源であることも興味深い。
録音は、クラシック・レコーディング界における日本屈指のエンジニア、江崎友淑氏による。演奏収録場所は東京芸術劇場。指揮は金洪才氏、ピアノ演奏は久石譲。また今回は1曲だけ「Student Quartet」を久石自身が指揮している。
(宮崎至朗)
(解説 ~CDライナーノーツより)
ほとばしる魂の音楽
わたしがアナウンサーを志したのは、NHKのある番組がきっかけだった。
それは大学の頃に偶然見た「胃の粘膜が…」とか、「人の遺伝子とは…」といった科学番組だった。優しく包み込むような音楽とナレーションが心に染み入り、気がつくとポロポロ涙がこぼれていた。衝撃だった。耳から受ける刺激は、これほどまでに人の心を揺さぶるものなのか、と。同時に何かを伝えたい、表現したい、いつかこんな仕事に関わりたい、そう強く望むようになった。これが久石譲さんの音楽との出会いだった。
昨年、雑誌の対談で初めてお目にかかる機会に恵まれた。黒のスーツをさり気なく身にまとい、颯爽と登場された久石さんは、わたしの想像とは全く違っていた。
正直、驚いた。失礼ながら『サンタクロースの様なおじいさん』を思い描いていたからだ。穏やかな語り口にかい間見える鋭さ。「学生時代は尖っていましたからね」と微笑まれたのが印象的だった。
当時、久石さんは前衛的な音楽に傾倒されていたと聞いた。だからこそ、創造力果てしなく、あまたの作品が生み出されてきたのだろうか。
”SUPER ORCHESTRA NIGHT 2001”。今回もまた心が震え、喚起された。ほとばしる魂を感じさせる久石さんの音楽。これからもわたしたちを新たな世界へ導いて下さることだろう。
進藤晶子 (キャスター)
(CDライナーノーツより)
【楽曲解説】
「千と千尋の神隠し」組曲
1.あの夏へ 2.竜の少年~底なし穴 3.6番目の駅 4.ふたたび
日本における映画記録をことごとく塗り替えた、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」。宮崎監督とのコンビも「風の谷のナウシカ」以来7作目となるこのファンタジー映画の中で、久石譲の音楽は観客の感情の振幅を見事に広げてみせた。今回、ステージで初めて演奏されたのは、スクリーンで耳に馴染んだ数々のメロディを、コンサートのために4曲からなる組曲として書き下ろしたものである。
「Quartet」より
5.Black Wall 6.Student Quartet 7.Quartet Main Theme
2001年秋、久石譲がはじめて監督・脚本・音楽を手掛けた作品「Quartet」が公開された。音楽学校を卒業した後、社会でそれぞれの挫折を味わった4人の仲間が出会い、再びカルテットを組んでコンテストに挑戦するという物語で、日本では珍しい本格的な音楽映画に仕上がっている。全ての音楽を、久石譲はこの映画のために新たに作曲した。CDではその中から3曲を選んでいるが、「Black Wall」は現代音楽風に、「Student Quartet」はモーツァルト風に、そして「Quartet Main Theme」はフランス印象派風にと、久石譲の音楽的センスの多彩さが溢れでている。
「BROTHER」より
8.Drifter…in LAX 9.Wipe Out 10.Raging Men 11.Ballade
久石譲は「BROTHER」の音楽を、自分自身、非常に気に入っているものの1つだと言う。それを今回、コンサートホールでの演奏用に書き換えた。リ・アレンジというより、ほとんど作り替えてしまったと言ってもいい。そのくらい迫力と存在感のある楽曲となった。哀しみを含んだメロディライン、対比する息も詰まるようなパーカッション・リズムの躍動感が聴く者の心を揺さぶり、否応なくハードボイルドともいえるその世界に引きずり込んでいく。
「Le Petit Poucet」より
12.Le petit Poucet Main Theme
久石譲が、監督オリビエ・ダアンの「プチ・プセ」(原作シャルル・ペロー、日本語原題「親指トム」)でフランス映画に進出した。映画は2001年10月17日に公開されたが、色彩の美しさを際立たせた映像美と緩急自在の語り口、そして特別出演のカトリーヌ・ドヌーブを初めとする豪華なキャスティングが話題となり、公開初日にはパリとその近郊だけで1万3千人を動員した。「久石節」とでもいうべき美しい旋律と和声は映像美と見事に絡み合い、本来「子供向け」にカテゴライズされるこの作品のクオリティを、1ランク引き上げることに成功している。日本での公開が待たれる作品である。
「Kids Return」より
13.Kids Return 2001
メインテーマとなったこの曲は、素晴らしい速力と緊張感をもっている。それは物理的な速力というに止まらず、人間の内面に鋭く切り込んでくるかのような疾走感である。聴くたびに新しい感動を呼ぶこの曲を、久石はフルオーケストラとピアノのためにリ・アレンジした。その驚くべき華やかさの裏に、ある秘めた切なさを感じさせるのは、さすがに久石譲である。
(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

(新パッケージ ジャケット)
*新パッケージはジャケット表面背面、CD帯、円盤デザイン、ライナーノーツ、すべてのデザインが異なる

「千と千尋の神隠し組」組曲
1. あの夏へ
2. 竜の少年〜底なし穴
3. 6番目の駅
4. ふたたび
「Quartet」より
5. Black Wall
6. Student Quartet
7. Quartet Main Theme
「Brother」より
8. Drifter… in LAX
9. Wipe Out
10. Raging Men
11. Ballade
「La Petit Poucet」より
12. La Petit Poucet Main Theme
「Kids Return」より
13. Kids Return 2001
All composed, arranged and Produced by Joe Hisaishi
ピアノ:久石譲
演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団
指揮:金洪才
2001年12月7日 東京芸術劇場にて収録
2002年7月24日 CD発売 SRCL-5383
フルート4本でポップに聴かせる才色兼備のフルーティスト集団「リンクス」
宮崎駿監督、北野武監督、大林宣彦監督から
久石譲の映画音楽の世界がフルートで優しく生まれ変わる
楽曲解説
1.ふたたび
弦カルテットとフルートカルテットという二つの世界が重なりあって織りなすハーモニーの美しさが秀逸。メロディもフルートから弦へ、弦からフルートへと流れるようにタッチしていき、後半に向かって徐々に盛り上がっていく。
2.あの夏へ
フルートのハーモニーで始まり、だんだんリズムやシンセが重なっていく大作。生のウィンドチャイムやベルなどが夏らしさを演出。また、フルートの技巧も存分に味わえるアレンジの妙で聴きごたえ十分である。
3.海の見える街
跳ねるようなフルートとアルトフルートのかけ合いのスタッカートで始まるテーマからクラシカルな展開部、そして6/8拍子の明るいサブテーマへと流れるようにつながっていき、再びメインテーマを奏でて終わる。
4.KIDS RETURN
コンガ、ボンゴなどのパーカッションが疾走感あふれるオケにマッチし、鼓動をかき立てる。フルートの華やかさと切なさが見事に生かされて青春の危うさやほろ苦さを表現。
5.TANGO X.T.C.
ピアノと弦カルテットを加えた演奏は、激しく切なく心に訴えかける。アルバムのハイライトとも言える大作である。
6.Summer
テレビコマーシャルでもおなじみのこの曲。フルート四重奏の軽快な演奏で夏らしい清涼感にあふれた作品となっている。
7.もののけ姫
米良美一の歌うメインテーマとして大ヒットを記録したこの曲。フルート四重奏で重厚にしっとりと表現されている。
8.Reging Men
「凶暴な男」というタイトル通り不穏で緊張感のある世界を、タムの重いリズムとフルートの無調っぽい響きで表現。エンディングに向かって狂気の世界がジョジョに盛り上がっていく…。
9.BROTHER
男の哀愁、ヤクザの悲しい運命を感じさせる情緒たっぷりのメロディがフルートのもの哀しい音色でつづられていく。パーカッションと打ち込みのオケの中、「息」という生命を感じさせるフルートの存在が光る。
10.ナウシカ・レクイエム~遠い日々
弦カルテットの重厚なレクエイムに続き、おなじみのメロディがフルート四重奏でみずみずしく表現されている。
11.TWO OF US
石田ひかりの初主演となるこの作品の主題曲で、Lynxも初アレンジを披露。演奏者ならではの観点で、フルートの音色や技巧を十分に活かした作品となっているのでじっくりとお楽しみを…。
12.HANA-BI
フルート四重奏とハープの演奏は本当に切なく悲しい本編と見事にオーバーラップ。アルバムの最後を美しい余韻で飾る。
(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

1. ふたたび (千と千尋の神隠し)
2. あの夏へ (千と千尋の神隠し)
3. 海の見える街 (魔女の宅急便)
4. KIDS RETURN (キッズ・リターン)
5. TANGO X.T.C. (はるか、ノスタルジィ)
6. Summer (菊次郎の夏)
7. もののけ姫 (もののけ姫)
8. Raging Men (BROTHER)
9. BROTHER (BROTHER)
10. ナウシカ・レクイエム~遠い日々 (風の谷のナウシカ)
11. TWO OF US (ふたり)
12. HANA-BI (HANA-BI)
編曲:
山路敦斗詩 (1-5, 8-9, 12)
篠田昌伸 (6, 10)
上田麻衣子 (7)
Lynx (11)
全作曲:久石譲
2002年3月25日 DVD発売 BCBJ-1128
2001年公開 映画「Quartet」
監督:久石譲 音楽:久石譲 出演:袴田吉彦 桜井幸子 他
久石譲 第一回監督作品
[モントリオール映画祭ワールドシネマ部門正式招待作品]
この作品は僕の自伝ではないけれど、ある意味で僕の物語。僕の周りにいた、音楽と共に生きようとして悩み立ち止まる、繊細で、美しい人たちの物語です。
久石譲
「音楽が主役になっている、ということ。物語に音楽がからんでいるとか、主人公が音楽家というだけでは音楽映画にはなりません。音楽がドラマとからんでクライマックスに向かっていくような映画を、私は音楽映画と呼ぶことにしています」
「整理すると、音楽とストーリーが密接にかかわっていること、音楽が台詞の代わりになりえていること、この2点に集約されます」
「まず演奏トレーナーには役者が楽器を弾けるようにするのではなく、”弾いているように演じる”ことを教えてもらいました。役者たちは彼のもとで最低1ヵ月間のトレーニングを積んで、撮影に挑んでいます」
「たとえば、役者が演奏しているふうの表情をアップで見せ、切り返しでプロの演じている手元だけを見せるというカット割では、観る人誰もが『編集で見せていますね』と興ざめしてしまう。ワンカットで登場人物が演奏するシーンを成立させるためには、まず役者のトレーニング。しかし、それでも追いつかないほどの演奏技術が必要なパートがあることもわかっていましたから、そこは撮影のトリックを入れる計画を立てました。技法は複数。完全な種明かしをしてはつまらないので、たとえば2人羽折り、たとえば合わせ鏡、そんな技法を用いているということだけお伝えしておきます。時間をかけた創意工夫ばかりで、その分できばえも良かったと自負しています。ぜひ、映画館で演奏シーンを堪能していただきたいですね」
(Blog. 「ディレクターズマガジン 2001年11月号」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)
「撮影は去年に終えていてね。劇中、袴田(吉彦)君扮する主人公の台詞で『音楽ってそれほどのものなんですか?』っていうのがある。この一言を音楽家である僕が言わせるのは、自分では結構強烈な挑戦だった。多分この一言を撮りたくて映画を作ったんだなと、今は思っている。”音楽を作る”ことと”生きる”ことの関係性を何らかの形にしてみたかったのではないかな。音楽は自分では未だ模索の最中だし『Quartet』も、その明確な答えとは成り得ていないけれど、リアリティという点ではなかなかの仕上がりだよ」
(Blog. 「SWITCH スイッチ JULY 2001 Vol.19 No.16」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)
「ストーリーは自分とはそう関係ないんですけども、僕にとってのリアルという面でね。たとえば、大学のシーンをどこで撮ろうかと、いろんな大学を見せてもらったんですけど、結局、自分が出た大学、国立音大しかない、と。キャンパスの真ん中にはやっぱり噴水(笑)。あったほうがいいんじゃなくて、なきゃいけない。庭ではラッパを練習していないと。ピャラララ、ピャラララとかってやっててくれないとダメなんです(笑)。監督というのはみんなどこかで虚構をやってるから、ウソっぽくなることをすごく恐れるんですね。そこでいちばんリアルなのは、自分の体験なんですよ」
「主人公が、お父さんが家を崩壊させてまでカルテットに打ち込んだことに対して、「音楽ってそれほどのもんですか」っていうシーンがあるんですよ。観ていると、すっと流れちゃう場面かもしれないけど、音楽家である僕が監督しながら、この台詞をいわせるっていうのは、すごく重いんですよね」
「あります、正直いえば。こんなに全部を犠牲にして…。たとえば、この2日間すさまじい指揮をしました。その前は籠もりきりで一日10数時間、譜面を書いてます。そのまた前は、2ヵ月間籠もってレコーディング。1年間、ピアノにさわってないのに、ピアノをダビングするなんてことまで起きてくる。まったくよくやってますよね。何のためにやってるんだろうって、ふと思うことがあるんです。「音楽ってそれほどのもんですか」。この台詞をいわせるために、僕はこの映画を撮ったんじゃないかという気がしてます」
(Blog. 「月刊ピアノ 2001年7月号」映画『Quartet』 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)
「全体の半分弱くらいが音楽シーンで、時間軸に固定されますから、構成自体は難しくなかったんです。でも、セリフの投げ合いで感情を引っ張りすぎると音楽シーンのパワーがなくなっちゃうから、芝居は極力抑える、カメラは引くって決めてましたね。そういう意味では、北野監督的なやり方だったんですよ。過剰に説明をせずに、どこまで引いて見せるかという意味ではね。武さんは僕が映画を撮るというのを知っていたんです。あるとき一緒にご飯を食べていて、武さんが大杉漣さんに話をしていたんですよ。”ラーメンをおいしく撮る方法って、いかに本当においしいかと見えるようなカットを撮らなくちゃいけないんだよ。たいがいの監督がしくじるのは、いかにうまいかという内容を説明しちゃうから。トンコツ味でとか昆布のダシでとかさ、そうするとトンコツが嫌いな人はそれを聞いた瞬間、半分引いちゃうんだよな”って。大杉さんに話をするフリをして、たぶん僕に言ってくれたんだと思う。それがすごく残っていて、大変なヒントをいただきましたよね」
「この映画、2回観た人の反応がいいんですよ。芝居や何かを全部言葉でやっていると2回観たいとはあまり思わないですよね。でも、音楽は2度聴いても嫌にならない。その音楽が今回、セリフ代わりになってますね。リピートに耐える映画になったかと思うと、とてもうれしいですね」
(Blog. 「DVDビデオ・ぴあ 2001年10月号」 映画『Quartet』久石譲 インタビュー内容 より抜粋)
「まず音楽映画とはどういうものか、明確な定期をしておかなければいけないと思いました。ドンパチがあればギャング映画、音楽があれば音楽映画というふうに考えれば、実際どのジャンルを見ても明確な定義など存在しないんです。そこで自分が考える音楽映画とは、まず第1に音楽自体がストーリーの展開と強く絡んでいなくてはいけない。第2に、せりふの代わりに音楽で半分ぐらいは表現してしまう。つまり、(音楽で)見る側にイマジネーションを広げてもらう。この2点を明確にして自分のスタンスをとろうというのが演出の根底にあったんです」
「そりゃ大混乱ですよ(笑)。譜面を渡されて、『3小節目のジャン!で、左からカメラ寄る』なんて書いてあるわけです。結局、学生さんのアルバイトを雇い、たとえば阪本善尚カメラマンの後ろに1人付けて、「1、2、3、ポーン」という感じで背中を叩いてもらって撮ってもらいましたから(笑)。通常、オケを撮る場合もオケを恐れちゃって遠くから撮るだけっていうケースが圧倒的に多いんですよね。自分はオケの連中との仕事も長いんで、『はいっ!弦、全部どけ~!』ってガンガンなかに入って撮る」
「袴田君たちは(プロの)ヴァイオリン奏者じゃないから、みんな(実際に)弾いていないってわかっているわけです。だから見る側が『あっ、本当に弾いている』と思えるところまでもっていくのが鍵でした。楽曲の小節ごとに顔のアップ、手のアップ……と決め、『その小節だけは何が何でも手とかは写るからね』と指示して、さらってもらったんです」
(Blog. 「PREMIERE プレミア 日本版 October 2001 No.42」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

映像特典「プロローグ・オブ・カルテット」にて久石譲インタビューが収録されている。
配役中、唯一楽器奏者である久木田薫(チェロ)は、本編でも実際に自身が演奏している箇所が多い。またこの映画での出会いがきっかけとなり、 『ジブリ・ザ・クラシックス』というジブリ作品カバーCDを発売している。スタジオジブリ映画の主題歌、挿入曲を、チェロの演奏をメインにクラシック風、タンゴ風などにアレンジ。ギター、バンドネオン、ハーモニカなど多種多彩な楽器によるアコースティック・カバー作品である。
本編中盤に登場する金管アンサンブルは「上野の森ブラス」メンバーだと思われる。本編にて演奏していた楽曲は「ハトと少年」(映画『天空の城ラピュタ』より)である。また同楽曲・同アレンジで収録されているのが、彼らの『ブラス ファンタジア I ~宮崎アニメ作品集~』である。原曲の持ち味をそのままに、上質でハイセンスな金管アンサンブルを堪能することができる作品である。
映画エンドクレジットにて流れる「Main Theme」は、サントラ盤とは異なるヴァージョンとなっている。プログラミングされたパーカッション(リズム系)の音および種類が異なっている。聴き比べてみるのもおもしろい。

キャスト:袴田吉彦/桜井幸子/大森南朋/久木田薫/藤村俊二/三浦友和
監督・音楽:久石譲
脚本:長谷川康夫/久石譲
本編113分
(シーン・チャプター/ミュージック・チャプター)
映像特典25分
・「プロローグ・オブ・カルテット」(メイキング映像)
・劇場用予告編
・ラジオスポット
・キャスト&スタッフ プロフィール
2002年3月6日 CD発売 UPCH-1142
2018年4月25日 LP発売 UMJK-9071
自身が手がけた映画音楽やCM音楽をセルフカバーしたアルバム。
スタジオジブリ 宮崎駿監督作品や北野武監督作品など
オーケストラ映画音楽をシンプルかつ透明感あるピアノソロアルバムに。
名曲たちに新しい輝きを与えたベスト盤とも言える内容。
高音質・ダイレクトカッティング盤
2018年4月25日 LP発売 UMJK-9071
完全生産限定盤/重量盤レコード/初LP化

1. Summer (映画「菊次郎の夏」より)
2. Hatsukoi (映画「はつ恋」より)
3. One Summer’s Day (映画「千と千尋の神隠し」より / あの夏へ)
4. The Sixth Station (映画「千と千尋の神隠し」 / 6番目の駅)
5. Labyrinth Of Eden (アルバム「地上の楽園」より)
6. Ballade (映画「BROTHER」より)
7. Silencio de Parc Güell (アルバム「I Am」より)
8. HANA-BI (映画「HANA-BI」より)
9. Ashitaka and San (映画 「もののけ姫」より)
10. la pioggia (映画「時雨の記」より)
11. Friends (アルバム「Piano Stories II」より)
封入特典:「Summer」譜面
Recorded at Tokyo Opera City (Oct 12 , Dec 27・28 2001 and Jan 8 2002)
Piano:YAMAHA CF III S
2001年12月12日 CD発売 PICL-1235
2006年3月22日 CD発売 GNCL-1054
このベスト盤は、『地上の楽園』『MELODY Blvd.』といったソロ・アルバムのナンバーから、映画『青春デンデケデケデケ』『魔女の宅急便』『紅の豚』『ふたり』やNHK朝の連続テレビ小説『ぴあの』のメイン・テーマまでを幅広く収録した決定版。ピアノを主体にした流麗で美しい音世界に心ゆくまで浸ることができる。
オリジナル収録アルバム
『ぴあの オリジナル・サウンドトラック Volume 1』 (1,5,15)
『ぴあの オリジナル・サウンドトラック Volume 2』 (16)
『MELODY Blvd.』 (2,3,6,8,11)
『地上の楽園』 (4,7,9,10,12,13,14)

1. Forenoon ~夜明け
2. Here We Are ~青春のモニュメント (映画「青春デンデケデケデケ」)
3. I Believe In You ~あなたになら (映画「水の旅人」)
4. さくらが咲いたよ
5. Path to the Lights ~希望への道
6. Hush ~木洩れ陽の路地 (映画「魔女の宅急便」)
7. HOPE
8. Two Of Us ~草の想い (映画「ふたり」)
9. Lost Paradise
10. Lonely Dreamer ~鳥のように (映画「この愛の物語」)
11. Rosso Adriatico ~真紅の翼 (映画「紅の豚」)
12. Piano (Re-Mix) ~ぴあの 「NHK朝の連続テレビ小説「ぴあの」)
13. 季節風 (Mistral)
14. The Dawn
15. Closed Fist ~閉じられた手
16. Broken Whistle ~拾いもの
All composed and arranged by Joe Hisaishi
2001年10月9日 CD発売 014 934-2 ※輸入盤のみ
2001年仏公開 映画「Le Petit Poucet」(邦題:プセの冒険 真紅の魔法靴)
監督:Olivier Dahan(オリヴィエ・ダアン) 音楽:久石譲 joe hisaishi
「全体のサウンドの設計からいうと、〈日本〉をすごく出しました。和太鼓だったり尺八だったり……宮崎監督をはじめ、日本の監督は尺八を使うとすごく嫌がるんですよね。『尺八の音』とイメージを限定してしまうから、と。でも、フランス人には全然関係ないことなので、逆に前面に出したんですよ。そのほうが自分にとってリアリティがあるということもありますが、もうひとつはドメスティックなほうがかえってインターナショナルに通用する。要するに日本やアジアの風土に根ざした音楽を掘り下げた状態で提示すれば、それは世界中で通用するはずなんです」
(Blog. 「PREMIERE プレミア 日本版 October 2001 No.42」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

1. La lunan brille pour toi (Version Edit) (vocal:Vanessa Paradis)
2. Le Petit Poucet (Main theme)
3. La forȇt de Rose
4. L’attaque des pillards
5. Sur le chemin de cailloux blancs
6. Perdus
7. Les pièccs d’or
8. Aux loups!
9. La maison rouge
10. A la table de l’Ogre
11. Le jardin secret
12. L’Ogre
13. La forȇt rouge
14. Entre l’Ogre et la falaise
15. Le duel
16. Le messager de la Reine
17. “La lune brille pour toi” (Générique de fin) (vocal:Vanessa Paradis)
「La lune brille pour toi」
作詞:Olivier Dahan 作曲:Joe Hisaishi
Musique Originale Composée et Arrangée par Joe Hisaishi
Musiciens
Piano:Joe Hisaishi
Orchestre:Paris Philharmonic Otchestra
and Shakuhachi , Flute et Kena , Latin Percussion , Luth
Orchestrations:
Joe Hisaishi
Kazunori Miyake
Jun Nagao
Enregistrements:Studios Guillaume Tell
Mixage:Roland Guillotel
Little Tom Thumb
(United States, 2001) 016 968-2
1.Close Your Eyes
2.Little Tom Thumb (Main Theme)
3.Rose’s Forest
4.The Pillagers Attack
5.On The Road Of White Stones
6.Lost
7.The Golden Coins
8.Wolves!
9.The Red House
10.At The Ogre’s Dinner
11.The Private Secrets
12.The Ogre
13.The Red Forest
14.Between The Ogre And The Cliff
15.The duel
16.The Queen messenger
17.Close Your Eyes (Ending Theme Song)
18.”La Lune Brille pour Toi” (Bonus track)
2001年10月1日 開館
2001年開館した三鷹の森ジブリ美術館。その館内BGM・展示室用BGMとして使用されている曲は、久石譲が宮崎駿監督の誕生日にプレゼントした曲たちである。シンプルなピアノ曲を基調としている。展示室「動きはじめの部屋」BGMのほか、映像展示室「土星座」での「ジブリの森のえいがダイジェスト」にも曲が使用されている。
またオリジナルBGMから短編映画『毛虫のボロ』、映画『君たちはどう生きるか』で使用されることになる楽曲もある。
MDGP-1001 Not for Sale

三鷹の森ジブリ美術館でしか聴けないオリジナル楽曲で音源化はされていない。映画『君たちはどう生きるか』に使用された楽曲は映画用に書き直されたものがサウンドトラックに収録されている。
ここに記しているBGM No.は知り得た情報からの暫定でこれ以上存在する可能性は高い。情報提供ありがとうございます。公式発表ではないものも含まれており正確性については予めご了承ください。
「WAVE」「祈りのうた for Piano」収録
『君たちはどう生きるか』使用楽曲

2008年開催『久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~』コンサートにて開演前BGMとしても流れていた楽曲は「Musica del Museo」「Birthday 15+」「La neve è rimossa」である。過去にコンサートで披露されたことのある楽曲は「Wave」「祈りのうた」「Ask me why」である。
2002年三鷹の森ジブリ美術館の企画展示「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」のために制作された映像作品の音楽を手がけている。

2018年1月「三鷹の森ジブリ美術館」を訪ねて。「動きはじめの部屋(The Beginning of Movement)」展示室で流れる音楽について。現在は午前と午後ふたつの曲を流している。午前中聴いた曲は初めて聴くもので、バッハのピアノ曲のような流れる旋律が織りなす美しいピアノ曲。スタッフの人に尋ねたら「午前は少し爽やかなものがいいかなと思いこちらを流すようになりました」とのこと。まさに朝のゆったりとした時間にぴったりな曲。久石譲が宮崎駿監督の誕生日に献呈している曲のひとつ「Buxtehude Sonata」を使用している。午後は、2001年開館以来おなじみの「Musica del Museo」(ジブリ美術館オリジナルBGM1)が流れている。こちらは「動きはじめの部屋」展示室のために書き下ろされた楽曲。
ほぼ毎年一曲ずつ宮崎駿監督にプレゼントしている慣例ピアノ曲だが、公表されておらずこの年はプレゼントしたのか?曲名は?などは、都度の情報や久石譲インタビューから推しはかるしかない。いつの日かその詳細情報がすべて公になり、また三鷹の森ジブリ美術館BGM集として音源化されることを切望している。

2001年9月27日 CD発売 UPCH-1105
2005年10月5日 CD発売 UPCY-9009
2001年公開 映画「Quartet」
監督:久石譲 音楽:久石譲 出演:袴田吉彦 桜井幸子 他
久石譲 第1回監督作品
日本初の本格的音楽映画、劇中使用曲フル・バージョン収録
ボーナス・トラックにリミックス・バージョン収録
曲目解説 by JOE HISAISHI
1.Main Theme
メイン・テーマに、プログラミングによるリズムを加えた楽曲です。エンディングのアイディアとしては、幾つかの方法が考えられましたが、青春映画の希望的要素を込めたアレンジにしました。
2.Student Quartet
この映画の音楽に関しては、当初メイン・テーマ以外は既存のクラシック曲を使って完成させる予定でした。しかし、制作を進めていくうちに、自分の映画の中で、僕以外の人が作った曲が鳴ることに違和感を覚え始めて…。聞いてもらえばわかるように、この曲は本当ならモーツァルトの「ディヴェルティメント」をイメージしていましたので、それに近い雰囲気で書き上げました。途中、主人公の苦悩を音楽で語る意味で、イタリア映画の音楽っぽい、メロディアスで泣かせるフレーズを封入しています。そうしたところに、単なるモーツァルト風楽曲にはしないぞというこだわりを感じてもらえたら嬉しいですね。
3.パッサカリア
劇中、明夫(袴田)がオーディションで弾くソロの曲です。「Student Quartet」の場合と同様に、本当なら「カプリース24」という、パガニーニのバイオリン・ソロの曲を使いたかった箇所なので、この作風を下敷きにしてそのフォーマットにのっとって、新たに自分で作ってみました。なぜ「カプリース24」をイメージしたかといえば、メロディもよくポピュラリティがありつつ、激しさも備えている。バイオリニストとしてのビルティオーゾといいますか、テクニカルな部分も相当に要求する楽曲ですから。いうなれば、パガニーニに捧げるオマージュのようなものです。
4.Black Wall (Strings Quartet)
マレーヴィッチ・ウォルハイムという著名作曲家が作った有名なクラシック作品で、なおかつ弦楽四重奏であり、オーケストラの定番曲でもあるという設定です。これはよくあることで、「展覧会の絵」も元々はピアノ曲だったものが、オーケストラにもなっているのと似たスタイルです。本来、青春映画では、こういう現代音楽調の不協和音の楽曲を使うのは、楽曲がやたらと小難しくなりがちなので、かなりの冒険ではあります。ある意味これが、(映画の)最初から最後までを引っ張っているといってもいいくらい。そういう音楽家としての勝負曲として書いた作品です。ちなみに作曲家名は、絵画界のミニマル・アーティストの”~・マレーヴィッチ”という人と”~・ウォルハイム”という人の名前を組み合わせて作った架空の作曲家名です。
5.浜辺のカルテット
これはメイン・テーマをさらに極力シンプルに、緩やかなテンポでアレンジしたものです。主人公の明夫(袴田吉彦)と智子(桜井幸子)の恋愛感情も音楽だけで表現できるんじゃないかと思って、映画では全般的にラブ・シーンを排除してきました。だけど、二人の気持ちが徐々に接近していく様子や、バラバラだった4人が少しずつ心を通わせていくニュアンスはどうしても必要でしたので、この音楽に託してみました。
6.Melody Road (My Neighbor TOTORO~HANA-BI~KIDS RETURN)
「となりのトトロ」「HANA-BI」「キッズ・リターン」のメドレーです。僕が映画をやるということのサービス・カットでしょうか(笑)。ある程度僕の音楽が好きな人ならば、たぶん馴染みがある楽曲だろうという観点で選んだ楽曲群ですね。技術にこだわる人間が目指す音楽から、気持ちの音楽へと切り替わっていく過程や様子を感じ取ってもらえるといいんですが。
7.DA・MA・SHI・絵 (Sax Quartet)
ストーリーの中では、主人公たちがコンクールを受けている際に別のアンサンブルが演奏しているシーンの楽曲です。これもコンクール曲であるという前提ですから、構成が複雑であることと、なおかつミニマル音楽をずっとやり続けてきた自分の個人的な思い入れも込めて選曲しました。そういう意味では、僕にとって重要な曲の一つといえます。イギリスの弦楽四重奏団”バラネスク・カルテット”を迎えて昨年リリースした『Shoot The Violist』というアルバムにも入っている曲です。
8.Lover’s Rain
この映画では唯一のBGMです。つまり、ほかの楽曲はすべて、絵(映画)の中で誰かが演奏したり、周りで誰かが弾いているという状況下で奏でられていますから、いわゆる映画音楽というのがこの映画にはほとんど存在しない。唯一書いたのがこの曲。自分としては相当画期的なことをやっているつもりではあります。
9.冬の夢
僕の『My Lost City』というソロ・アルバムの中に収録されている作品です。ここでは映画にも出演している久木田薫さん自身が弾いてます。主人公の一人・愛ちゃん(久木田)が音楽の深さを知るきっかけとなる曲ですね。これまで随分いろいろな曲をチェロのために書いてきましたが、これが最も好きな曲のひとつです。
10.・・・・for Piano
映画の中では使っていない、メイン・テーマのピアノ・ソロ・バージョンで、このCDに収録するために急遽演奏した曲です。映画「Quartet」のサントラ盤でありつつも、僕のソロ・アルバムとしての側面もあるCDですから、どうしてもピアノのソロでテーマを弾いてほしいというリクエストがありまして…。実際、僕はこういう感じの楽曲を、過去に出したソロ・アルバムを含めてもほとんど弾いていませんので、今までの自分のピアノ・スタイルとは違った世界にチャレンジしてみたいという感覚が強かったですね。
11.Black Wall (Orchestra)
track 4のオーケストラ・バージョン。映画では、オーケストラのコンサート・マスターとしてバイオリンを弾く明夫(袴田)と、その一方で明夫の到着を待つカルテットのメンバーという、クライマックスにつながる重要なシーンでずっと流れる曲です。同じ曲ですが、カルテットでは繊細さが強調され、オーケストラでの演奏ではダイナミックさが増し、荘厳な感じに響いています。
12.Quartet g-moll
本来映画音楽としては、見てくれた人が映画館を出た後にも口ずさめるようなメロディがベストな形といえます。音楽とともに映画のシーンが浮かんでくるような…。その場合のメロディは極力シンプルなほうがいいわけです。ただこれは、映画の中ではコンクールで演奏する曲でもあり、コンクールを受ける楽曲であるからには、テクニック的にもカルテットとしての機能を存分に引き出している作品でなければならない。すると必然的に、映画音楽としてのシンプルさと、アンサンブルの奥行きや音楽的な内容の深さ、難しさの両方を兼ね備えた、非常に高度な音楽にならざるを得ない。そうした大きな矛盾といいますか、相反する要素を融合させる取り組みをしました。
13.Main Theme -Remix
※ボーナス・トラックとして収録
(曲目解説 ~CDライナーノーツより)
そもそも”カルテット”とは?
カルテット(英語表記で quartet)とは、広義で四重奏(唱)のこと。四重奏曲を指すこともある。『新音楽辞典』(音楽之友社刊)には「4個の独奏楽器による室内楽重奏。弦楽四重奏が基本的で、(中略)ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロにピアノ四重奏、木管をひとつ加えたフルート四重奏、オーボエ四重奏、木管、金管、ホルン、サクソフォーン四重奏その他各種の編成がある」と記されている。今日まで続く弦楽四重奏曲の基本様式を確立したのはフランツ・ジョゼフ・ハイドン(1732~1809)という説がもっぱらである。その醍醐味は様々だが、劇中で三浦友和扮する青山助教授わいく「アンサンブルの中でも弦楽四重奏ってのは、余分なものをすべて削ぎ落とした究極の形態だ。演奏家としての力量がこれほどはっきり表れるものはない」とのこと。幼少の頃バイオリンをたしなんでいた久石自身の弦楽四重奏に対する考え方としてとらえてもいいだろう。
(Blog. 映画『Quartet カルテット』(2001)監督・音楽:久石譲 劇場用パンフレットより 抜粋)
「撮影は去年に終えていてね。劇中、袴田(吉彦)君扮する主人公の台詞で『音楽ってそれほどのものなんですか?』っていうのがある。この一言を音楽家である僕が言わせるのは、自分では結構強烈な挑戦だった。多分この一言を撮りたくて映画を作ったんだなと、今は思っている。”音楽を作る”ことと”生きる”ことの関係性を何らかの形にしてみたかったのではないかな。音楽は自分では未だ模索の最中だし『Quartet』も、その明確な答えとは成り得ていないけれど、リアリティという点ではなかなかの仕上がりだよ」
(Blog. 「SWITCH スイッチ JULY 2001 Vol.19 No.16」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)
「まず音楽映画とはどういうものか、明確な定期をしておかなければいけないと思いました。ドンパチがあればギャング映画、音楽があれば音楽映画というふうに考えれば、実際どのジャンルを見ても明確な定義など存在しないんです。そこで自分が考える音楽映画とは、まず第1に音楽自体がストーリーの展開と強く絡んでいなくてはいけない。第2に、せりふの代わりに音楽で半分ぐらいは表現してしまう。つまり、(音楽で)見る側にイマジネーションを広げてもらう。この2点を明確にして自分のスタンスをとろうというのが演出の根底にあったんです」
(Blog. 「PREMIERE プレミア 日本版 October 2001 No.42」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)
「音楽が主役になっている、ということ。物語に音楽がからんでいるとか、主人公が音楽家というだけでは音楽映画にはなりません。音楽がドラマとからんでクライマックスに向かっていくような映画を、私は音楽映画と呼ぶことにしています」
「整理すると、音楽とストーリーが密接にかかわっていること、音楽が台詞の代わりになりえていること、この2点に集約されます」
(Blog. 「ディレクターズマガジン 2001年11月号」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)
「主人公が、お父さんが家を崩壊させてまでカルテットに打ち込んだことに対して、「音楽ってそれほどのもんですか」っていうシーンがあるんですよ。観ていると、すっと流れちゃう場面かもしれないけど、音楽家である僕が監督しながら、この台詞をいわせるっていうのは、すごく重いんですよね」
「あります、正直いえば。こんなに全部を犠牲にして…。たとえば、この2日間すさまじい指揮をしました。その前は籠もりきりで一日10数時間、譜面を書いてます。そのまた前は、2ヵ月間籠もってレコーディング。1年間、ピアノにさわってないのに、ピアノをダビングするなんてことまで起きてくる。まったくよくやってますよね。何のためにやってるんだろうって、ふと思うことがあるんです。「音楽ってそれほどのもんですか」。この台詞をいわせるために、僕はこの映画を撮ったんじゃないかという気がしてます」
(Blog. 「月刊ピアノ 2001年7月号」映画『Quartet』 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)
「全体の半分弱くらいが音楽シーンで、時間軸に固定されますから、構成自体は難しくなかったんです。でも、セリフの投げ合いで感情を引っ張りすぎると音楽シーンのパワーがなくなっちゃうから、芝居は極力抑える、カメラは引くって決めてましたね。そういう意味では、北野監督的なやり方だったんですよ。過剰に説明をせずに、どこまで引いて見せるかという意味ではね。武さんは僕が映画を撮るというのを知っていたんです。あるとき一緒にご飯を食べていて、武さんが大杉漣さんに話をしていたんですよ。”ラーメンをおいしく撮る方法って、いかに本当においしいかと見えるようなカットを撮らなくちゃいけないんだよ。たいがいの監督がしくじるのは、いかにうまいかという内容を説明しちゃうから。トンコツ味でとか昆布のダシでとかさ、そうするとトンコツが嫌いな人はそれを聞いた瞬間、半分引いちゃうんだよな”って。大杉さんに話をするフリをして、たぶん僕に言ってくれたんだと思う。それがすごく残っていて、大変なヒントをいただきましたよね」
「この映画、2回観た人の反応がいいんですよ。芝居や何かを全部言葉でやっていると2回観たいとはあまり思わないですよね。でも、音楽は2度聴いても嫌にならない。その音楽が今回、セリフ代わりになってますね。リピートに耐える映画になったかと思うと、とてもうれしいですね」
(Blog. 「DVDビデオ・ぴあ 2001年10月号」 映画『Quartet』久石譲 インタビュー内容 より抜粋)
映画公開当時、ファンクラブ限定で映画前売券販売企画があった。その特典として『CD付 Quartet プロモーションツール』が前売券と一緒に届けられている。また一般劇場前売券でも、”プレミアムCD付前売券”発売があった。数量限定、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌の指定された複数映画館が対象。
(ファンクラブ会報 NEWS WONDER2 No.39 より要約)

1. Main Theme
2. Student Quartet
3. パッサカリア
4. Black Wall (Strings Quartet)
5. 浜辺のカルテット
6. Melody Road
(My Neighbor TOTORO〜HANA-BI〜KIDS RETURN)
7. DA・MA・SHI・絵 (Sax Quartet)
8. Lover’s Rain
9. 冬の夢
10. ・・・・for Piano
11. Black Wall (Orchestra)
12. Quartet g-moll
13. Main Theme -Remix
all composed, arranged and produced by joe hisaishi
Piano:JOE HISAISHI
Conductor:KIM HONG JE
Musicians
Balanescu Quartet:
ALEXSANDER BALANESCU:1st Violin
FENELLA BERTON:2nd Violin
CHRIS PITSILLIDES:Viola
NICK HOLLAND:Violin Cello (M-2,3,4,5,6,12)
YUICHIRO GOTO GROUP (M-1,8,9)
IKUO KAKEHASHI (M-1)
NEW JAPAN PHILHARMONIC (M-11)
kAORU KUKITA (M-9)
Vivi SAXPHONE ENSAMBLE (M-7)
Orchestration:KAZUNORI MIYAKE
Recording Studios:
WONDER STATION
AVACO CREATIVE STUDIOS
ANGEL STUDIO (LONDON)
2001年9月27日 CD発売 UCCG-3247
初監督作品 映画「カルテット」の公開にちなみ久石譲が自らセレクトした弦楽四重奏曲のコンピレーション・アルバム
「カルテット」はクラシック音楽のエッセンス
『カルテット』という映画を作るに当たって約1年がかりで脚本を練り、弦楽四重奏を目指す若者の話なので、同時にカルテットの楽曲をすごく調べたんです。モーツァルト、ベートーヴェンなどのCD、スコアも手に入れて調べていきましたが、映画自体では音楽家としての自分の色を出すために結果としてどれも使用しませんでした。けれどもラヴェルのカルテットであったりとか、名曲がたくさんあって、その時の経験から「カルテット・クラシックス」として皆様にも聴いてほしいと思ったのが、このアルバムを企画した理由です。
音楽を志した頃から、弦楽四重奏というものは当然あるべきスタイルとして頭にありました。カルテットというのは、基本的にはクラシック音楽のエッセンスだという気持ちがすごく強いんです。例えばベートーヴェンの作曲の仕方を見ていても、それぞれの時期、時代にまずピアノ・ソナタで新しい方法にチャレンジする、それをオーケストラでうんと拡大してその時期の自分のスタイルを確立して、最後に必ず弦楽四重奏を書くんですよ。それによってある時代の自分の音楽のアプローチというものに必ず区切りをつけていきます。ピアノでまずチャレンジ、オケで拡大、最後にカルテットでその時期をまとめるという繰り返しです。
ベートーヴェンにとってカルテットはどのくらいの重さがあったんだろうか、と作曲家として考えることがよくありました。我々が作曲を勉強する時に和声学という勉強をします。和声学はソプラノ、アルト、テナー、バスという4声体を基準にして音楽を作るんです。そうすると実は弦楽四重奏はそれと全く同じ形式になってしまう。つまり、作曲をやる上で最初に学ぶ形態が発展したものが弦楽四重奏なんだなというのが僕の根底の考え方です。したがって、作曲家にとって弦楽四重奏に最後に行き着くというのは、それが無駄をすべて削ぎ落とした本当のエッセンスのような究極の形態であるからという気がします。
久石譲
(CDライナーノーツより)
【楽曲解説】
1.シューベルト:弦楽四重奏曲 第13番 イ短調 D.804 《ロザムンデ》 ~第2楽章
F.P.シューベルト(1797-1828)は、未完成作品を含めて全部で15曲の弦楽四重奏曲を残しているが、1824年に作曲されたこの第13番は、第2楽章に劇音楽《ロザムンデ》の間奏曲の旋律が流用されていることによって名高い作品である。そしてアンダンテのその第2楽章は、自由なロンド形式による緩徐楽章であり、ロザムンデの主題の反復から優美でやわらかい美しさが醸し出されている。
2.ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 《糸杉》 ~第1曲「君に対する私の愛情は」
A.ドヴォルザーク(1841-1904)は、1865年に全18曲から成る歌曲集《糸杉》を作曲したが、弦楽四重奏のための《糸杉》は、作曲者自身がそこからピック・アップした12曲を弦楽四重奏のために1887年に編曲したものであり、ロマンティックで詩的な性格の小品集といった内容を呈している。そして、このアルバムに収められている「君に対する私の愛情は」は、その第1曲にあたるものである。
3.ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調 ~第2楽章
M.ラヴェル(1875-1937)は、弦楽四重奏曲を1曲しか残していないが、27歳の彼の筆から生まれたこの1曲は、この作曲家の名声を不動のものにした傑作である他、彼の才能の全貌が具体化した最初の作品と目される注目作でもある。アセ・ヴィフートレ・リトメの第2楽章は、3部形式によるスケルツォ楽章であり、トリオの部分では、主部の2つの主題を素材にして多彩な展開が繰り広げられる。
4.チャイコフスキー:弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調 作品11 ~第2楽章 (アンダンテ・カンタービレ)
P.I.チャイコフスキー(1840-1893)は、全部で3曲の完成された弦楽四重奏曲を残しているが、1871年に完成されたこの第1番は、それを聴いたトルストイが第2楽章の美しさに涙を流したと伝えられている作品である。「アンダンテ・カンタービレ」の名で単独でも有名になっているその第2楽章は、自由な形式による緩徐楽章であり、ロシア的で綿々とした抒情美がまさに限りない名場面になっている。
5.ハイドン:弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 Hob.III:77 (作品76-3) 《皇帝》 ~第2楽章
1796年に作曲されたこの第77番は、F.J.ハイドン(1732-1809)の弦楽四重奏曲のなかでも最もポピュラーなものであり、そこでは、第2楽章の主題にハイドンが作曲した旧オーストリア国家「皇帝讃歌」が流用されている。そして、ポーコ・アダージョ・カンタービレのその第2楽章は、変奏曲形式による緩徐楽章であり、有名な皇帝の主題と4つの変奏から構成されている。
6. モーツァルト:弦楽四重奏曲 第17番 変ロ長調 K.458 《狩》 ~第1楽章
全6曲から成る「ハイドン・セット」は、W.A.モーツァルト(1756-1791)の弦楽四重奏曲を代表する傑作であるが、その第4曲にあたるこの「狩」は、1784年9月9日に完成されたものであり、第1楽章の第1主題が狩の時のラッパを連想させることから、「狩」と呼ばれるようになった。そして、アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイの第1楽章は、第1主題に強い独立性が与えられたハイドン風のソナタ形式による楽章である。
7.ボロディン:弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調 ~第3楽章 (夜想曲)
ロシア国民楽派の五人組の1人であるA.P.ボロディン(1833-1887)は、全部で2曲の弦楽四重奏曲を残しているが、1881年に作曲されたこの第2番は、そのなかでも特に演奏される機会の多い傑作であり、情緒豊かで色彩感に富んだ作品になっている。そして、ボロディンのノットゥルノ(夜想曲)として単独でも広く親しまれているアンダンテの第2楽章は、綿々と歌われる甘美な旋律がたまらなく美しい緩徐楽章である。
8.プッチーニ:弦楽四重奏のための 《菊》
イタリア歌劇を代表する大作曲家の1人であるG.プッチーニ(1858-1924)は、歌劇を中心にした創作活動を続けながらも先輩のヴェルディとは異なり、数は決して多くはないもののオーケストラ曲や室内楽曲の作曲にも手を染めている。そして、1892年に作曲されたこの「菊」は、繊細で可憐な抒情美が光彩を放っている作品であり、まさに菊のイメージを連想させるような音楽になっている。この作品では、本来は弦楽四重奏のために書かれているが、弦楽オーケストラのためにも編曲されている。
9.ドビュッシー:弦楽四重奏曲 ト短調 作品10 ~第1楽章
C.A.ドビュッシー(1862-1918)は、弦楽四重奏曲を1曲しか残していないが、1893年に完成をみたその弦楽四重奏曲は、印象派音楽の確立と発展を担うドビュッシーの試みが見事に結実した作品であり、非現実的な官能美やファンタジーが豊かに息づいている傑作になっている。アニメ・エ・トレ・デジテの第1楽章は、ソナタ形式による楽章であるが、定石に束縛されない自由な創意が大きな成果を実現させている。
10.ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 作品130 ~第5楽章
L.V.ベートーヴェン(1770-1827)後期の弦楽四重奏曲は、幽玄で深遠な表現を特色とした晩年のこの大作曲家ならではの傑作として名高いが、そのなかの1つであるこの第13番は、1825年に完成された6楽章制による異例の弦楽四重奏曲である。そして、カヴァティーナ、アダージョ・モルト・エスプレッシーヴォのその第5楽章は、3部形式による緩徐楽章であり、作曲者自身が会心の作と述べた静かで叙情的な音楽である。
柴田龍一
(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

1. 弦楽四重奏曲 第13番 イ短調 D.804 《ロザムンデ》 ~第2楽章 (シューベルト)
2. 弦楽四重奏曲 《糸杉》 ~第1曲「君に対する私の愛情は」 (ドヴォルザーク)
3. 弦楽四重奏曲 ヘ長調 ~第2楽章 (ラヴェル)
4. 弦楽四重奏曲 第1番 ニ長調 作品11 ~第2楽章 (アンダンテ・カンタービレ) (チャイコフスキー)
5. 弦楽四重奏曲 第77番 ハ長調 Hob.III:77 (作品76-3) 《皇帝》 ~第2楽章 (ハイドン)
6. 弦楽四重奏曲 第17番 変ロ長調 K.458 《狩》 ~第1楽章 (モーツァルト)
7. 弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調 ~第3楽章 (夜想曲) (ボロディン)
8. 弦楽四重奏のための 《菊》 (プッチーニ)
9. 弦楽四重奏曲 ト短調 作品10 ~第1楽章 (ドビュッシー)
10. 弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 作品130 ~第5楽章 (ベートーヴェン)
演奏:
ハーゲン弦楽四重奏団 1. 2. 8.
ラサール弦楽四重奏団 3. 9. 10.
アマデウス弦楽四重奏団 4. 5. 6.
ドロルツ弦楽四重奏団 7
録音:1968年-1993年
DIGITAL RECORDING:1. 2. 5. 6. 8.