Disc. 西田ひかる 『幸せのかたち』

西田ひかる 幸せのかたち

1998年9月2日 CD発売 PCCA-1225

 

久石譲プロデュース作品

 

 

タイアップ曲(2曲)がアルバムに先がけシングル発売されている。

1998年4月29日 CDS発売 PCDA-01054

西田ひかる pure

1. pure (ハウス食品 PURE-IN CFソング)
2. 私は私 (NHK総合テレビ「あした天気に」主題歌)
3. pure(オリジナル・カラオケ)
4. 私は私(オリジナル・カラオケ)

 

 

西田ひかる 幸せのかたち

1. pure 作詞:秋元康 作曲・編曲:久石譲
2. ねぇ,歩きましょ? 作詞:蓮水香 作曲:高野寛 編曲:森俊之
3. 人魚になりたい 作詞・作曲:大江千里 編曲:西脇辰弥
4. 幸せが胸にある (Duet with 高橋克典) 作詞:及川眠子 作曲:松本俊明 編曲:西脇辰弥
5. ひとり 作詞:伊藤裕子 作曲:上田知華 編曲:久石譲
6. 愛されたこと。 作詞:和田琢磨 作曲・編曲:久石譲
7. 生きる! 作詞・作曲:大江千里 編曲:窪田晴男
8. 午後の浜辺で 作詞:及川眠子 作曲:山口美央子 編曲:山川恵津子
9. 二人だけの時間 作詞:西田ひかる 作曲:上田知華 編曲:山川恵津子
10. 私は私 作詞:秋元康 作曲・編曲:久石譲

Produced by 久石譲

Piano , Keyborad:久石譲 1. 5. 6. 10.

 

Disc. 久石譲 『(和歌山マリンファンタジー)テーマ曲』 *Unreleased

1998年8月7日 イベント開催

 

和歌山マリーナシティにて夏開催イベント「和歌山マリンファンタジー」。様々なイベントのなか、”音と光の協奏曲 マリンファンタジーショー”は久石譲の音楽による”光のファンタジックワールド”。光のシンボルオブジェが海上に浮かび、輝くイルミネーションが音楽と連動し様々な演出を繰り広げるというもの。

開催期間:1998年8月7日~8月16日 入場無料
開場:午後5時~午後11時/点灯時刻:午後7時15分頃

マリンファンタジー 上演スケジュール
8月7日オープニング 午後7:30/9:00/10:00
8月8日~13日・15日 午後7:15/7:45/9:00/10:00
8月14日・16日 午後7:15/9:00/10:00

 

Disc. 久石譲 『交響組曲 もののけ姫』

久石譲 『交響組曲 もののけ姫』

1998年7月8日 CD発売 TKCA-71395
2020年7月22日 LP発売 TJJA-10026

 

1997年公開 スタジオジブリ作品 映画「もののけ姫」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

久石が「もののけ姫」の楽曲を8章からなる交響組曲に構成し、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団と共に新録音。収録は1998年6月に、プラハのドヴォルザーク・ホール~芸術家の家で行われた。「もののけ姫」の感動が再び蘇るメモリアルアルバム。

 

 

コメント

「アシタカせっ記」を、スラブ色の強い一流のオーケストラで聴いてみたい。それが、チェコ・フィルにお願いした最大の理由だ。宮崎さんの持っている空気感のようなものと東欧のそれは、相通じるのではないか。一番聴いてほしい人は宮崎さん、そして、「もののけ姫」を大好きなすべての人々、ゆっくり楽しんで下さい。

久石譲

 

「もののけ姫」の音楽ダビングをしながら、やっぱり 久石さんにお願いしてよかったと思った。バンダナをとった久石さんが、ぼくは とても 好きだ。

宮崎駿

(コメント ~CDライナーノーツより)

 

 

 

 

 

久石譲 『交響組曲 もののけ姫』

第一章 アシタカせっ記
第二章 TA・TA・RI・GAMI
第三章 旅立ち 〜西へ〜
第四章 もののけ姫
第五章 シシ神の森
第六章 レクイエム 〜呪われた力〜
第七章 黄泉の世界 〜生と死のアダージョ〜
第八章 アシタカとサン

作曲・編曲・演奏・プロデュース:久石譲

ピアノ:久石譲 (M-4,8)
指揮:マリオ・クレメンス
演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

収録ホール:芸術家の家 (ドヴォルザーク・ホール/プラハ1998年6月6~8日)

 

Symphonic Suite Princess Mononoke

1.1st movement The Legend of Ashitaka
2.2nd movement TA TA RI GAMI (The Demon God)
3.3rd movement The Journey to the West
4.4th movement Mononoke Hime
5.5th movement The Forest of the Deer God
6.6th movement Requiem – The Demon Power
7.7th movement The World of the Dead – Adagio of Life and Death
8.8th movement Ashitaka and San

 

Disc. 『「もののけ姫」はこうして生まれた。』

1998年6月26日 VHS発売 VWSZ-8016
2001年11月21日 DVD発売 VWDZ8016

 

宮崎駿監督が渾身の力をこめて制作し、公開されるや大ヒットとなった1997年スタジオジブリ作品『もののけ姫』。本作はそのアニメーション制作現場から、宣伝戦略、アテレコにおける声優と宮崎監督のやりとり、さらに公開後の大ヒットの様子までを約2年にわたり克明に記録したドキュメント映像である。さらには、北米公開時に宮崎監督がトロント、ロスアンゼルス、ニューヨークの3都市をキャンペーンで回った際の映像も特典として収録している。

 

 

1997年、日本映画界を席巻、話題を独占した「もののけ姫」。数々の記録を破り、映画史に残る金字塔を打ち立てたこの映画は、いかにして生まれたのか?

激しい思いを叩きつけていく宮崎駿監督とそれを支えるスタジオジブリ・スタッフの未知なる挑戦。常識破りの戦いに挑んだ鈴木プロデューサーの戦略とは…。そして久石譲、米良美一による華麗なる音声作りの舞台裏。さらに映画に登場する強烈なキャラクターにのりうつっていった豪華声優陣たち。全ての力が結集した時、「もののけ姫」は、社会現象と化していった。

未だかつてないスケールで作られた「もののけ姫」。多くの謎を秘めた表現と映画に情熱を捧げた人間たちを2年間にわたって熱く、そして静かに見つけ続けた完全ドキュメント。これを見れば「もののけ姫」の全てがわかる!

(DVDジャケットより)

 

 

音楽を担当した久石譲も本作品には登場している。

ひとつは、主題歌「もののけ姫」のレコーディング風景。米良美一とのやりとりや監督もふくめたスタジオでのやりとり、OKテイクまでの道のりが収められている。「アシタカの心の声。この歌はアシタカからサンへの想いである」という宮崎監督のひと言で、ヴォーカルの表現が大きく変化した様子、またそれをうけて歌詞が一部変更になった瞬間など貴重な場面が収められている。

イメージアルバムでの同歌詞と本主題歌の「おまえ」「そなた」という言葉の順番が逆になった瞬間が記録されている。

 

 

もうひとつは、映画冒頭の「旅立ち」の音楽について。ここには当初宮崎監督の構想とは違う勇壮な楽曲が使われている。これは鈴木プロデューサーの提案からである。その経緯については下記ご参照。

Blog. 映画「もののけ姫」 アシタカ旅立ちの音楽 制作秘話

 

そしてこのドキュメントに収録されているのはまさに「旅立ち -西へ-」のフルオーケストラによるレコーディング風景。しかも、レコーディング当日奏でられた同曲は、盛り上がる箇所にシンバルとティンパニが鳴っていない。スタジオで同席していた鈴木プロデューサーからのさらなる提案で、シンバルとティンパニを加えたヴァージョンをその場で演奏してみるというやりとりが全て収められている。打楽器による高揚感なし・ありを聴くことができる貴重な記録である。

なぜそういった提案がされたのか?久石譲と鈴木プロデューサーのこのシーンの解釈の違いからである。久石譲はあくまでも「村を追われたアシタカ・これからの試練」を思っておさえた。一方の鈴木プロデューサーは、「悲壮感を出すよりは、これは新たな旅立ちという祝福」という解釈をしていた。だからもっと勇壮にしたいと。

結果、宮崎駿監督がどちらを採用したかは、周知のとおりである。満面の笑みで「こっちがいいね!」と言って鈴木プロデューサーや久石譲が合いの手を入れる和気あいあいとしたシーンが映像として記録されている。

 

 

VHS:3本組/360分

 

DVD:3枚組/400分

本編ディスク3枚組
<ディスク1> 第1章 紙の上のドラマ 約132分
<ディスク2> 第2章 生命が吹きこまれた! 約137分
<ディスク3> 記録を超えた日 約130分 / 映像特典 約20分

ピクチャーディスク仕様

 

Disc. V.A. 『STUDIO GHIBLI SONGS』

STUDIO GHIBLI SONGS 2

1998年5月21日 CD発売 TKCA-71381

 

『風の谷のナウシカ』から『もののけ姫』まで、スタジオジブリ全作品の主題歌&挿入歌を収録したベスト企画アルバム。

 

 

STUDIO GHIBLI SONGS

STUDIO GHIBLI SONGS 2

1. 「風の谷のナウシカ」~風の谷のナウシカ (安田成美)
2. 「天空の城ラピュタ」~君をのせて (井上あずみ)
3. 「となりのトトロ」~さんぽ (井上あずみ)
4. 「となりのトトロ」~となりのトトロ (井上あずみ)
5. 「火垂るの墓」~はにゅうの宿 (アメリーダ・ガル=クリチ)
6. 「魔女の宅急便」~ルージュの伝言 (荒井由実)
7. 「魔女の宅急便」~やさしさに包まれたなら (荒井由実)
8. 「おもひでぽろぽろ」~愛は花,君のその種子 (都はるみ)
9. 「紅の豚」~さくらんぼの実る頃 (加藤登紀子)
10. 「紅の豚」~時には昔の話を (加藤登紀子)
11. 「海がきこえる」~海になれたら (坂本洋子)
12. 「平成狸合戦ぽんぽこ」~アジアのこの街で (上々颱風)
13. 「平成狸合戦ぽんぽこ」~いつでも誰かが (上々颱風)
14. 「耳をすませば」~カントリーロード (本名陽子)
15. 「On Your Mark」~ON YOUR MARK (CHAGE&ASKA)
16. 「もののけ姫」~もののけ姫 (米良美一)

 

Disc. 久石譲 『長野パラリンピック支援アルバム HOPE』

久石譲 『長野パラリンピック支援アルバム HOPE』

1998年2月25日 CD発売 TKCA-71348

 

HOPE  NAGANO PARALYMPICS 1998 TRIBUTE

 

 

”HOPE” Note 久石譲

98年3月、長野パラリンピック冬季競技大会が行われる。身体障害者のためのもう一つのオリンピックである。選手がそれぞれの肉体の限界の挑戦するこの大会は多くの人々に感動と希望を与えてくれる。

文化イヴェント総合プロデューサーとして3年間参加してきた私は、一音楽家として何ができるかを考えた末、このアルバムの制作に取りかかった。

多くのアーティストが参加して(それは容易なことではないのだが)それぞれの個性的な楽曲で応援のメッセージを伝えてくれた。

その他、各レコード会社、スタジオ協会など、数えきれないほど多くの人々の善意によってこのアルバムが完成した。

売り上げは障害者のスポーツ振興のために役立てられる。それが、たとえひとひらの雪のように小さなものであっても、積もれば世界を変えてゆくことができると私は考える。

より多くの人々に聞いてほしい。

(CDライナーノーツより)

 

 

「HOPE」

長野パラリンピックは、アジアで初めて開催される冬季競技大会であり、20世紀最後の大会となります。大きな時代の変わり目の時、開会式は希望「HOPE」をテーマにしました。

そして、このテーマの出発点となったのが、フレデリック・ワッツの描いた一枚の絵「HOPE」です。今回このアルバムに参加して頂いたアーティストには、この絵を見てもらったイメージから新曲を作って頂いたり、演奏して頂いたりしています。

 

HOPE 地上の楽園

GEORGE FREDERIC WATTS with assistants
Hope 1886
Oil on canvas 142.2 x 111.8 cm
Tate Gallery (NO1640)
Presented by the artist 1897

(CDライナーノーツより)

 

 

「パラリンピックの文化イベントの総合プロデューサーをやっていて、それなりに自分では十分やってたと思っていたんですけど、10月に、たまたまテレビでドキュメンタリーで清水さんという、パラリンピックの選手を20年間ボランティアで追い続けている人のドキュメンタリーを見て、感動しましてね。オレはまだ音楽家として、ちゃんとやることをやっていないかもしれないと、急に思い立って。それが去年の暮れ。でもどう見ても時間がないわけですよ。仕事っぽくなるのも嫌だったから、事務所を通さずに一人一人電話して、こういう趣旨でというのを説明して口説いて、それで始まったんですけどね」

「そのテーマ曲『旅立ちの時』を彼が朗読して、僕がピアノを弾く予定だったんですよ。そのつもりでスタジオに入ったら『旅立ちの時』のイントロともいえる、まったく新しい詩を書いた詞で臨んできたんです。気合が入ってるなーと思って、ドリアンさんの朗読と僕のピアノだけの、ほかは一切使わない一騎打ち勝負の『鮮やか』という新曲を2人で録りました」

「これがうまかった。猿岩石の『上を向いて歩こう』がすごくいい。4PMとか長渕さんとか、いろんな『上を向いて歩こう』があるけど、それとはまったく違う素朴さがあって、ストレートな青春ソングというか、すごくいい上がりでしたね。今まで聞いた『上を向いて歩こう』の中では一番好きですね」

Blog. 「ダカーポ 1998年2月18日号 NO.391」久石譲インタビュー内容 より一部抜粋)

 

 

「今回、長野パラリンピックのトリビュート・アルバム『HOPE』を作ったときに、ポップスの人から、ジャズ、クラシック、いろんなジャンルから参加していただきました。クラシックでは藤原真理さんと、オーボエの茂木大輔さん、カウンターテノールの米良美一さん、和太鼓の林英哲さんです。

で、どの曲をやろうかという段階で、チェロとピアノでは不可能かなと思いつつ、アダージェットをやってみたいという提案をしたんですね。真理さんと改めてもう1回聴いてみて、はたしてこれはチェロとピアノになるんだろうか、どうなるかわからないけれども、とにかく置き換えてみます、と編曲を始めたんです。

ところが、弦のスタティックな曲だから、音符がのびないとサマにならないんですね。弦は音を延ばすことは可能だけれども、ピアノはどうしても音が減衰していっちゃいますからね。原曲の響きや世界観をいかに変えずにピアノに置き換えるかで、ずいぶん苦しんだんですよ(笑)。そのレコーディングは相当うまくいって、これからきっとチェロの人のレパートリーに入るんじゃないか、それくらいのアレンジはできたし、自分も納得してるんです。もちろん原点にあったのは、あのアダージェットという楽曲の持っているすばらしさです。」

Blog. 「音楽の友 1998年4月 特大号」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

 

 

久石譲 『長野パラリンピック支援アルバム HOPE』

1. 旅立ちの時 ~Asian Dream Song~ / 宮沢和史 with 久石譲
作詞:ドリアン助川 作曲・編曲:久石譲
2. 上を向いて歩こう / 猿岩石
作詞:永六輔 作曲:中村八大 編曲:久石譲
3. waltz / 池田聡
作詞:井上睦都実, 池田聡 作曲:池田聡 編曲:久石譲
4. 愛の木 / 加藤登紀子
作詞・作曲:加藤登紀子 編曲:久石譲
5. 悲しくてやりきれない / 加藤和彦, ムッシュかまやつ
作詞:サトウハチロー 作曲・編曲:加藤和彦
6. 君のさがしもの/ EPO, 桜井鉄太郎
作詞・作曲:EPO 編曲:桜井鉄太郎
7. 言い出せずにいるけど -LET IT SHINE ON YOU / 上田正樹
作詞・作曲:上田正樹 編曲:朝本千可
8. Bolero / 林英哲,茂木大輔
作曲:M.ラヴェル 編曲:久石譲
9. PRIMITIVE / 近藤等則
作曲・編曲:近藤等則
10. Ave Maria / 米良美一
作曲:G.カッチーニ 編曲:長生淳
11. Adagietto ”マーラー交響曲第五番第四楽章” / 藤原真理, 山洞智
作曲:G.マーラー 編曲:久石譲
12. 鮮やか ~Asian Dream Song~ / ドリアン助川 with 久石譲
作詞:ドリアン助川 作曲・編曲:久石譲

Produced by 久石譲
Except (M-5) by 加藤和彦

 

Disc. 久石譲 『HANA-BI』

HANA-BI サウンドトラック

1998年1月1日 CD発売 POCH-1672
2005年10月5日 CD発売 UPCY-9005

 

1998年公開 映画「HANA-BI」
監督:北野武 音楽:久石譲 出演:ビートたけし 他

 

 

〈episode 4〉
この作品の、例えばタクシーをパトカーに作り変えていくシーンには、組曲のようなものすごく長い音楽がついていますが、久石さんがかなり悩まれた証のようにも思えますね。そのシーン以外にも、武さん自身が描いた絵を、映像の中に巧みにインサートしている場面があって…。「キッズ・リターン」でも自分で描いた絵をポスターに使ってましたけど、ここではかなりの数の絵をカットの一つとして使っている。あの世界と対決するのは大変だったと思いますよ。当然あそこには音をつけてくれというカットですからね。無音でしかも動きのない絵を、いろんなカメラワークを駆使して撮っていますから、それときっちり向き合える音楽をつけるとなると、結構思案しますよね。われわれ自身も両者のイメージをすり合わせるために、かなり大変な思いをした記憶があります。ただどんなに陰惨な場面でも、そこに流れる久石メロディの美しさがインパクトにつながっている気がします。

〈サウンドトラック制作進行ノート〉
1997年6月9日 ワンダーステーション代々木スタジオにてレコーディング開始。
1997年6月11日 調布にっかつ撮影所にて監督と打ち合わせ。
1997年6月12-19日 ワンダーステーション代々木スタジオにてレコーディング。
1997年6月22日 ポリグラムスタジオAst.にて弦のレコーディング。
1997年6月23-24日 ワンダーステーション代々木スタジオにて映画用のT/D。
1997年7月10-11日 ワンダーステーション六本木スタジオにてCD用のT/D。

(「joe hisaishi meets kitano films」CDライナーノーツより)

 

 

「生のストリングスなどを使って、アコースティックな音に仕上げたいと考えたんです。きれいな音をつけてあげたい。かわりに暴力シーンには音楽はいらない。主人公と奥さんの関係、そして銃で撃たれて車椅子生活をおくっている主人公の同僚、その2つの関係を中心に音楽をつくっていこうと。全体的にあまりムーディーにならないようには心がけました。本当のメインテーマは最後の方に出てくる。音を抜くときいは思いっきり抜くことで次第に、後半に行くに従って情感が増してくるんです。この作品に限らず、沈黙をつくるのも、映画音楽の大事な仕事です」

Blog. 「ゾラ ZOLA 1998年2月号」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「今までの3作はどちらかというと、シンセサイザーやサンプリング楽器を多用していましたが、今回、監督からは、ストリングスや何かを使った「アコースティックな世界で、きれいな音楽があるといいね」と事前にオファーされたんです。ただ、それだと情緒的に流れすぎる可能性があるので、そうならないために、どういうスタンスをとるかということを一番考えました。今回は北野作品ではいちばんメロディを前面に出したんですよ。今までの作品はミニマル的な、音型の繰り返しみたいなのが多かったんだけれども。ただ、画面に音楽が寄り添わないで、外して、どこでどう「すき間」をつくるか、どうやって抜くかということに気をつかいました。『もののけ姫』もそうですが、97年の僕のテーマだったんですよ。」

「全然ないんです。本当に、「今回、どうします?」って聞くと、「今までうまくいってるからいいんじゃない?」って答えしか返ってこないですから(笑)。逆に言うと、すごく怖い監督ですよね。こちらがよりどころにしておくことが欲しいなと思っても、ぽーんと「はい、映像は撮ったから、後は久石さんヨロシク!」みたいな感じであずけられるから、それはすごいプレッシャーですよね。」

Blog. 「キネマ旬報増刊 1998年2月3日号 No.1247」北野武映画 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「これも北野さんの映画の中では、今までの集大成みたいな部分と、新しく歩みだそうという姿勢が結実していて、ある意味で分かりやすくて、本当に人に語りかける映画ですから、完成度がすごく高かったんですね。その音楽に関して自分は、アプローチは相当大胆にやったんですよ。

あの映画には3つの要素があると思うんです。主人公の刑事と、犯人に撃たれて下半身不随になる同僚との友情。夫婦の愛。それからバイオレンス。ぼくはこのバイオレンスのシーンに、音楽を一切付けなかったんです。通常はそういうシーンにも必要になるんですけれど、これはいりませんと言い切って。同僚が画家になっていくシーンと、夫婦のシーンにしか付けなかったんです。

そのことによって、非常に徹底した音楽を書いたという思いがある。それでも0号試写を見るまで、本当にそれで良かったのか悩んでいたんですが、すごくうまくいっていた。無難な路線を選ばない、徹底したアプローチが、映画として成功したのが、自分としてはものすごく満足しましたね」

Blog. 「ダカーポ 1998年2月18日号 NO.391」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「通常、北野監督は、あまり注文を出さないんです。ある意味でおまかせ状態。それが、この『HANA-BI』では、「暴力シーンとかいろいろあるけど、それとは無関係にアコースティックな弦などのキレイな旋律を流したらどうかな」というようなことを初めていわれて…。ですから、今回はその言葉がキーワードになっています。いままでの北野作品では、同じフレーズを繰り返すような曲を主体にやっていたんですが、今回は、弦を使うということで、曲調がメロディアスになったり、いままでよりもエモーショナルなサウンドになるかなって。そのあたりを監督に確認しながら作りました。」

Blog. 「FMステーション No.7 1998年4月5日号」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「映画音楽を作るときは、よほどのことがない限りは、台本を読んで、ラッシュを見て、それからどういう世界観にするかを通常決めて行きます。『HANA-BI』のときは、わりと早い時期から、北野さんから大体の内容は聞いていたし、「今回はアコースティックで行きたい」と言われていた。北野さんとやってきた映画音楽は、『HANA-BI』で4本目なんですけど、それまでのものは実はミニマル的な扱いが多かったんですよ。感情表現というよりは引いてしまって、最少単位の音型が繰り返されるような。具体的にいうと、シンセサイザーをだいたいメインにして作ってきた。『HANA-BI』の場合は、暴力的なシーンでも、弦とかできれいな音楽が流れているようなのはどうですか、という話があった。それがキーワードになりました。ただ、弦を使っていると、どうしてもメロディラインがついて、エモーショナルな部分に走りやすくなるんですよ。北野さんの世界では、おいおい泣いたりするような、感情表現の場って少ないんですよ。そういうところにエモーショナルな音楽を付けると、ものすごくダサくなったり、かえって北野ワールドを壊してしまうんじゃないか、というのが一番心配だったですね。弦を使ってやっていくときに僕が大事にしたのは「格調」。一、二歩引いて、主人公たちの精神状態を奏でるというところから全体を構成していった。通常僕らが映画音楽を書くときは、映画1本で25~30曲くらい、各シーンに入れていくんです。だけど今回は10曲だった。短くなったと喜んでいたんですが、1曲1曲が8分だったり6分だったり長いんですよ。だから、音楽全体の長さは結局45分くらい、いままでと全く変わっていなかった。その分、入れるときはドンと入れる。抜くときは思い切り抜く。映画としての音楽的なメリハリはつけられたという気がします。」

Blog. 「音楽の友 1998年4月 特大号」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

HANA-BI サウンドトラック

1. HANA-BI
2. Angel
3. Sea of Blue
4. …and Alone
5. Ever Love
6. Painters
7. Smile and Smile
8. Heaven’s Gate
9. Tenderness
10. Thank You,… for Everything
11. HANA-BI (reprise)

All music composed, arranged, produced and performed by Joe Hisaishi

Guest Musicians:
八木のぶお(Harmonica)
旭孝・篠原猛(Flute)
柴山洋(Oboe)
星野正(Clarinet)
前田信吉(Bassoon)
後藤勇一郎グループ(Strings)

 

Disc. V.A. 『東映映画ジャッキーチェン 予告篇・主題歌集』

1997年10月21日 CD発売 COCA-14602 復刻盤

 

1980年代の久石譲が手がけた仕事。編曲を担当した主題歌「デンジャー・ラブ」、作曲・編曲を担当した挿入曲(BGM)「ファイト・オブ・スネーキー・モンキー」が収録されている。CDアルバム全曲をとおしてセリフやナレーションも一緒に収録されている。なお映画「成龍拳」ではBGMを担当している楽曲もある。

 

補足

映画は1970年代後半に香港公開されている。オリジナル版では既成曲を多数拝借しており、日本公開に際して権利の問題が生じるため、日本公開版用に音楽を新たに制作しているという時代的経緯がある。下記日本公開日を念頭に、1980年代前半にかけて手がけた久石譲の仕事である。

映画「スネーキー・モンキー蛇拳」 日本公開日 1979年12月1日
映画「蛇鶴八拳」 日本公開日 1983年2月19日
映画「キャノンボール2」 日本公開日 1983年12月17日
映画「ドラゴン特攻隊」 日本公開日 1983年12月17日
映画「プロジェクトA」 日本公開日 1984年2月25日
映画「成龍拳」 日本公開日 1984年5月12日

 

 

 

 

「ドラゴン特攻隊」OST (1983 28PL-71)

(参考LP)

 

「デンジャー・ラブ」(1983 7PL-143)

デンジャー・ラブ もんたよしのり EP

(参考EP)

 

スネーク・モンキー蛇拳

(発売情報 未確認)

 

 

東映映画ジャッキー・チェン予告編・主題歌集 sc 2

(CDライナーノーツ より抜粋)

 

 

東映映画ジャッキー・チェン予告編・主題歌集 sc 1

1.成龍拳
主題歌「成龍拳」
作詞:Jim Steele 作曲:小田裕一郎 編曲:甲斐正人 歌:北原深
2.ドラゴン特攻隊
主題歌「デンジャー・ラブ」
作詞:吉田美奈子 作曲:もんたよしのり 編曲:久石譲 歌:北原深
3.クレージー・モンキー笑拳
主題歌「クレージー・モンキー」
挿入曲「モンキー・マン」
作詞:ケーシー・ランキン 作曲・編曲:キース・モリソン 歌:Dr.スープ
4.拳精
主題歌「チャイナ・ガール」
Afric Simone - Stan Regal - Hero 歌・演奏:HERO〈英雄〉
5.少林寺木人拳
主題歌「ミラクル・ガイ」(MIRACLE GUY)
作詞:竜真知子 作曲・編曲:林哲司 歌:謝花義哲
6.カンニング・モンキー天中拳
挿入曲「天中拳ブラザーズ」
作曲・編曲:甲斐正人
主題歌「カンニング・モンキー」(CUNNING MONLEY)
作詞:Jene Eugene 作曲:武川行秀 編曲:ミッキー吉野 歌:SHY
挿入曲「カンフー・ロック」
作曲・編曲:甲斐正人
7.蛇鶴八拳
挿入曲「スネーク・アンド・クレイン・ファイティング」
作曲・編曲:甲斐正人
主題歌「蛇鶴八拳~デンジャラス・アイズ」(DANGEROUS EYES)
作詞:Gregory Starr 作曲・編曲:林哲司
8.スネーキー・モンキー蛇拳
挿入曲「スネーク・ダンス」
作曲・編曲:佐久間正英
挿入曲「対決前夜」
作曲・編曲:佐久間正英
挿入曲「ファイト・オブ・スネーキー・モンキー」
作曲・編曲:久石譲
9.龍拳
主題歌「ドラゴン・フィスト」(DRAGON FIST)
作詞:Dwight Waldron 作曲・編曲:林哲司
10.ドランク・モンキー酔拳
主題歌「拳法混乱」(カンフュージョン)
作詞:Vinyl 作曲:MA-CHANG 編曲・歌:四人囃子
挿入曲「ほろ酔いの伊達男」
作曲:波聖善佐 編曲:四人囃子

 

Disc. ジャッキー・チェン 『Songs for Jackie Chan』

1997年10月21日 CD発売 COCA-14601 復刻盤

 

ジャッキー・チェン主演映画の主題歌を集めたアルバム。久石譲が編曲を担当した「プロジェクトA」「キャノンボール2」「デンジャー・ラブ」「マリアンヌ」の4楽曲が収録されている。こちらの作品にはセリフなどは収録されておらず、純粋な歌曲として聴くことができる。

 

補足

映画は1970年代後半に香港公開されている。オリジナル版では既成曲を多数拝借しており、日本公開に際して権利の問題が生じるため、日本公開版用に音楽を新たに制作しているという時代的経緯がある。下記日本公開日を念頭に、1980年代前半にかけて手がけた久石譲の仕事である。

映画「スネーキー・モンキー蛇拳」 日本公開日 1979年12月1日
映画「蛇鶴八拳」 日本公開日 1983年2月19日
映画「キャノンボール2」 日本公開日 1983年12月17日
映画「ドラゴン特攻隊」 日本公開日 1983年12月17日
映画「プロジェクトA」 日本公開日 1984年2月25日
映画「成龍拳」 日本公開日 1984年5月12日

 

 

 

 

Songs for Jackie Chan sc 2

(CDライナーノーツ より)

 

 

Songs for Jackie Chan sc 1

東映映画「成龍拳」オリジナル・サウンドトラック主題歌
1.成龍拳
作詞:Jim Steele 作曲:小田裕一郎 編曲:甲斐正人 歌:北原深
PROJECT A
2.プロジェクトA
作詞・作曲:Michael Rai 編曲:久石譲 スキャット:北原深
東宝東和提供「キャノンボール2」より
3.キャノンボール 2 (LIKE A CANNONBALL)
M.Brown - S.Doff - S.Garrett 編曲:久石譲 歌:北原深
東映配給 ジャッキー・チェン主演「ドラゴン特攻隊」主題歌
4.デンジャー・ラブ
作詞:吉田美奈子 作曲:もんたよしのり 編曲:久石譲 歌:北原深
東映映画「カンニング・モンキー天中拳」オリジナル・サウンドトラック主題歌
5.カンニング・モンキー (CUNNING MONKEY)
作詞:Jene Eugene 作曲:武川行秀 編曲:ミッキー吉野 歌:SHY
「キャノンボール」より
6.キャノンボールのテーマ (THE CANNONBALL)
作詞・作曲:R.Stevens 編曲:森村献 歌:藤村茶々丸
「ドラゴンロード」より
7.ドラゴンロード (DRAGON LORD)
J.Keeling - Y.Fujimura 編曲・森村献 歌:北原深
東映映画「蛇鶴八拳」オリジナル・サウンドトラックより
8.蛇鶴八拳~デンジャラス・アイズ (DANGEROUS EYES)
作詞:Gregory Starr 作曲・編曲:林哲司
9.マリアンヌ
作詞・作曲:五輪真弓 編曲:久石譲 歌:北原深
「ヤング・マスター」より
10.さすらいのカン・フー (THEME FROM THE YOUNG MASTER)
R.Uzaiki - R.Yukawa 編曲:森村献 歌:北原深
東映映画「龍拳」主題歌
11.ドラゴン・フィスト (DRAGON FIST)
作詞:Dwight Waldron 作曲・編曲:林哲司 歌:小清水ミツル
東映映画「拳精」オリジナル主題歌
12.チャイナ・ガール (CHINA GIRL)
Afric Simone - Stan Regai - Hero 歌・演奏:HERO〈英雄〉
東映映画「少林寺木人拳」主題歌
13.ミラクル・ガイ (MIRACLE GUY)
作詞:竜真知子 作曲・編曲:林哲司 歌:謝花義哲
14.ミラクル・ファイター
作詞:Francis G.Eddy 作曲:林哲司 編曲:山下正 リズムアレンジ:林哲司&山下正 歌:MOJO

 

Disc. 久石譲 『WORKS・I』

久石譲 『WORKS 1』

1997年10月15日 CD発売 POCH-1652

 

交響詩曲「ナウシカ」をはじめ、
久石譲の名曲があのロンドン・フィルとの共演で一堂に!
宮崎駿・北野武・大林宣彦監督作品より厳選。
記念すべき集大成シリーズ第1作。全曲書きおろし。

 

 

【監督コメント】

宮崎駿
「風の谷のナウシカ」のイメージアルバムから、僕はずっと久石さんと仕事をして来た。コンビだからとか、友情でとかではなく、自分達の作品に最もふさわしい才能を探したあげく、結局、いつも久石さんにたどり着くという繰り返しだったのだ。彼は本当にいい仕事をして来たと思う。映画「もののけ姫」では、もう別格の仕上がりで、おさまりの悪いシーンの断続するフィルムを、見事に音でつづりあわせ、更に全体を高い次元に引き上げてくれた。感謝、というしかない。

 

北野武
映画に音楽をつける時ってさ、結局イメージのすり合わせと言うか、ものすごく感覚的、抽象的な打ち合わせの上で作業してゆく訳だから、本当に大変なんだよね。ましてオイラは音楽的な専門知識なんてほとんど無いから、こんな感じってな言い方しかできないし…久石さんってすごい人だよね。映像のもってるニオイを生かしてくれるんだからさ。オイラの場合は『あの夏、いちばん静かな海。』からのお付き合いなんだけど、「シンプルなメロディーの繰り返しが好きなんですよ」って言ったら、あんな凄いテーマが出来ちゃった。オイラが映画を作る時、削ぎ落としって事をいつも意識してるんだけど、音を付ける作曲家にも同じコンセプトで曲作りをお願いする訳だから、相当ワガママだよね。それでも、久石さんはそのワガママを受け容れてくれるし、それどころか、映像がぐっと前に出てくる様な曲を作ってくれる。そしてそのひとつひとつの曲は、久石さんのニオイも放ちながら、オイラの作品を結晶させる。感謝。

 

大林宣彦
喩えばある風景を美しいと思うのは、ぼくらが「美しい」という言葉を持つからだ。映像も音楽ももし言葉を持たなければ、もっと純粋に美しいものであるかも知れないが、残念ながらぼくらの誰もがこの言葉の呪縛から逃れることはできない。僕も譲さんも、いつも映像や音楽についてお互いの言葉で語り合うのだが、世界を美しくするのも汚すのもつまるところはぼくらの言葉自身である。
譲さんは言葉をとても大切にしてくれる音楽家の友人だ。彼の美しいメロディーは、言葉自体の持つしたたかな論理性と一つ一つの言葉の響きに寄り添うたおやかな感性とに支えられて誕生してくる。それは言葉との闘争であり共存でもある。つまりは人間的な音楽であるわけだ。
ぼくの映画の多くは独立プロの小さな自主製作だが、譲さんは度々手弁当で参加してくれた。いつも手弁当に甘えるわけにはいかないが、ここ一番という時には必ずにこにこ駆けつけてくれる。では何がここ一番かと見極めるのも言葉の覚悟であり、そんなわけでお互いの言葉への信頼がともすると危ういこの世の人の関係に、強く深い友情の絆を紡いでくれているのだろう。
ぼくらが共に創造した映画がその証しであり、だからこのアルバムはぼくの誇りでもある。

(CDライナーノーツより)

 

 

 

 

(1) 「Symphonic Poem “NAUSICAÄ”」

映画『風の谷のナウシカ』を組曲化した17分33秒にも及ぶ大作である。映画本編のみならず、イメージアルバム、サウンドトラック、シンフォニー編という3作品から、映画本編では使用されなかった楽曲も含めたナウシカの壮大な世界を表現している。

パート1 ~ ティンパニの冒頭の力強い響きで一気にナウシカの世界へ引き込まれる。「風の伝説」からはじまり「ナウシカ・レクイエム」へと引き継がれる。フーガ調のメロディーの展開が奥行きと深みをましている。その後重厚な管弦楽にてレクイエムが響きわたる。

パート2 ~ 「メーヴェとコルヴェットの戦い」スリリングで高揚感のある見せ場である。その後、劇中には使用されなかったが風の谷の風景を見事に描いた「谷への道」が心地よい風を感じる悠々としたストリングスで奏でられる。再度「ナウシカ・レクイエム/遠い日々」の登場である。ここでは澄んだボーイ・ソプラノの歌声によって、劇中とはまたひと味違った格式高い品格へと昇華している。サントラ盤「王蟲との交流」をベースとしたアレンジである。

パート3 ~ 「鳥の人 ~エンディング」フルオーケストラによる壮大なクライマックス。コンサートの演目やアンコールとしても人気が高く、このパートのみ演奏されることも多い。

 

(2) 「FOR YOU」

映画『水の旅人 -侍KIDS』より主題歌「あなたになら…」フルオーケストラによるインストゥルメンタル。メインテーマ「水の旅人」とならんで人気のある楽曲である。メロディーメーカーとしての久石譲の実力が結晶した作品ともいえる。

フルートやヴァイオリンなど、ソロ楽器が優美に旋律をうたい、その楽曲のもつ透明感をひきたてた上品なアレンジが施されている。後半の転調によりより華やかに壮大な愛を奏でている。サントラ盤でも「夢を叶えて」というタイトルにて近いアレンジで収録されている。

 

(3) 「SONATINE」

映画『ソナチネ』よりメインテーマ。オリジナル版は、ピアノの短いモチーフによる繰り返しとシンセサイザー、パーカッションが絡み合うなんともエキゾチックな楽曲である。これを8分にも及ぶ大作に仕立ててしまう。オーケストラを駆使し、緊張感あるドラマティックなオーケストレーション。短い旋律の繰り返しからここまでの世界観を築き上げる手腕に唸ってしまう。本作品において、いい意味で裏切られた意欲的な力作である。

 

(4) 「TANGO X.T.C.」

映画『はるか、ノスタルジィ』にて「出会い ~追憶のX.T.C.~」という原曲にて誕生。その後自身のオリジナル・アルバム『MY LOST CITY』にて「TANGO X.T.C.」という楽曲へと完成版をみた作品。オリジナル版では久石譲がこだわったというバンドネオンによるノスタルジックな響きが印象的であった。

ここではバンドネオンを排除しフルオーケストラ作品へと試みている。テンポもややゆっくりになり艶やかさがましている。後半にはドラムやウッドベースも加わり、実験的なオーケストレーションのなか大人なJAZZYな世界を漂わせている。

 

(5) 「TWO OF US」

映画『ふたり』の主題歌として大林宣彦監督×久石譲によるデュエットソングという伝説的楽曲。「草の想い -ふたり・愛のテーマ」というタイトルにてシングル化もされている。また「TANGO X.T.C.」同様にオリジナル・アルバム『MY LOST CITY』にて自身のレパートリーとなるインストゥルメンタル作品へと昇華させている。

 

(6) 「MADNESS」

映画『紅の豚』本編にも使用され、コンサートやアンコールでも定番曲。この作品実はオリジナル・アルバム『MY LOST CITY』に収録されるものとして先につくられている。映画製作中であった宮崎駿監督が先に完成していた『MY LOST CITY』を聴いて気に入り使用されることになった。その逸話は有名である。

 

(7) 「SILENT LOVE」

映画『あの夏、いちばん静かな海。』にて印象的なメインテーマ曲。シンプルなメロディーの繰り返し。寄せては返す波のような冒頭の旋律から静かにそして煌めくようなオーケストレーション。オリジナル版のコーラスとシンセサイザーによる切なさを、ひときわ彩り豊かにドラマティックに昇華している。後半の転調もあいまって感情の高まりはおさえることができない。繊細で美しいメロディー、涙腺を刺激する。

久石譲の巧みなオーケストレーションによって、シンプルなモチーフであっても聴き飽きさせることのない技はさすがだが、「SONATINE」しかり、そのカギとなる数小節のシンプルなメロディーの力があってこそでもある。本作品のクライマックスにふさわしい、至極の名曲である。

 

 

本作品「WORKS I」は、久石譲が満を持して過去の映画作品として送り出した名曲たちをフルオーケストラへと昇華させた「WORKS」シリーズの記念すべき第1作目である。この作品の前に、フルオーケストラ作品をつくりあげるという新境地に挑み、久石譲音楽活動における大きな分岐点となった映画『もののけ姫』。この作品を経て1年後に実ったのがこの『WORKS I』である。

「WORKS」シリーズはこの後つづいていく。その時折の映画作品やCM音楽などを、オーケストラを主体とした音楽作品に再構築したものとして。大衆性(エンターテイメント)と芸術性(アーティスト)を両立させた久石譲の真骨頂として。「WORKS」シリーズは、久石譲によるシンフォニーの結晶である。

 

 

 

 

 

久石譲 『WOKKS1』

『風の谷のナウシカ』(宮崎駿監督 1984)より
1. Symphonic Poem “NAUSICAÄ”
-1 Part I
-2 Part II
-3 Part III
『水の旅人-侍Kids』(大林宣彦監督 1993)より
2. FOR YOU
『Sonatine』(北野武監督 1993)より
3. SONATINE
『はるか、ノスタルジィ』(大林宣彦監督 1992)より
4. TANGO X.T.C.
『ふたり』(大林宣彦監督 1992)より
5. TWO OF US
『紅の豚』(宮崎駿監督 1992)より
6. MADNESS
『あの夏、いちばん静かな海。』(北野武監督 1991)より
7. SILENT LOVE

久石譲 (ピアノ)
ニック・イングマン指揮
ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団
リアム・オッケーン(ボーイ・ソプラノ) - 1.

All composed and arranged by JOE  HISAISHI

Produced by JOE HISAISHI

recorded at Air Studios (LONDON) and Wonder Station (TOKYO)
recorded at August 1997

 

WORKS I

1.Symphonic Poem“NAUSICAÄ” (from “NAUSICAÄ of the Valley of the Wind”)
2.FOR YOU (from “Water Traveler – Samurai Kids”)
3.SONATINE (from “Sonatine”)
4.TANGO X.T.C. (from “Haruka, Nostalgia”)
5.TWO OF US (from “Futari”)
6.MADNESS (from “Porco Rosso”)
7.SILENT LOVE (from “A Scene at the Sea”)