1986年3月25日 CD発売 32ATC-111
1986年3月25日 LP発売 25AGL-3020
1986年3月25日 CT発売 25AGC-2020
1996年1月25日 CD発売 TKCA-70799
1986年公開 映画「アリオン」
監督:安彦良和 音楽:久石譲
80’アニメブームの人気キャラクターたちを数多く生み出した人気アニメーター安彦良和初監督作品・劇場用アニメーション映画「アリオン」(1986年公開)オリジナルサウンドトラック盤。主題歌「ペガサスの少女」を含むオリジナルBGM全14曲収録。
絵と音楽のせめぎあい
「アリオン」の音楽制作の作業で一番印象的だったのは、トラックダウン(別々に録った音をまとめあげていく作業)に初めて立ち合ったことでした。今まで全く知らなかった部分での、いわば「専門家のノリ」というものをみて、「ああ、こんな感じで音をつくっているのか」と新鮮でした。単なる音の出し入れ以上に「音のコラージュ」というか、まぎれもなく「音を創っている」という感じがしました。
こうして出来上がってくる音と、ラッシュフィルムのビデオを合わせてみると「ムムムッ」という感じ。絵と音のなわばりのせめぎあい。ある部分「負けるもんか!」と思わず張りあってしまいような迫力があるのです。そんなスリリングな気分を感じて、絵と音のどちらかがまずあって、というのではなく、セリフ、音楽、効果音と絵が混然一体となってせめぎあったところに作品がある。それを間のあたりにして「映像を創る」ということを改めて認識したものです。
そんな意味で、久石譲さんという方は非常に良いパートナーでした。音楽作家としてこんなに密度の高いコミュニケーションができるとは思いませんでした。こちらの音楽への要求を聞いてくれた上で、さらに「こんな音は?」という新たな提案をしてくれる。出来てきた音楽は、しっかり「アリオン」を支えてくれながら、まぎれもなく久石さんの音になっているのです。いい仕事ができるってこういうこと、とそんな気がします。
実は、商品製作の都合から音楽を少々カットせざるをえなかったところがあります。大変残念なのですが、このレコードでそれを少しでも補って鑑賞していただければと思っています。
(昭和61年1月23日 日本サンライズにてインタビュー)
原作・監督 安彦良和
(CDライナーノーツ より)
風音のロマン
昨年の12月20日からレコーディングがスタート、お正月の3が日以外はほとんど録音という、超ハードスケジュール。でもこれほど充実した1か月もなかった。
12月31日の大みそか!に届いたラッシュフィルムをもとに、安彦監督の映像の持つダイナミズムには、エスニックなリズムをベースに置くと不思議な効果があるのではないかと感じ、フェアライトCMIという最先端?のサウンド(主にエスニックな打楽器として)と、フルオーケストラのダイナミックなサウンド、ブラス、民族音楽の演奏家をかなり動員して、音楽を組みあげていった。
よく読むと非常にハードな内容を秘めている作品なので、以前の「ナウシカ」の時とくらべて、甘さをできるだけ押さえた、カラクチなおとなの鑑賞に耐える作品に仕上げたつもりだけど……。イメージアルバムでは「レスフィーナ」が評判が良かったらしいのですが、そんなわけで、サントラでは2か所ほどメロディが出るだけになったけれど、その分、印象的に使われていると思います。
最後に、このアルバムは、映画を離れても充分に鑑賞に耐えるようつくったつもりなので、ぜひ御愛聴ください。
(昭和61年1月29日 ワンダーステーションスタジオにてインタビュー)
音楽 久石譲
(CDライナーノーツ より)
1. 地底王ハデス〜メインテーマ
2. アテナとアポロン〜セネカ
3. アリオン・メインテーマ
4. 戦闘
5. レスフィーナ〜想い(歌/高橋美紀)
6. プロメテウス〜海蝕洞
7. ポセイドン
8. 初陣
9. 宿命・ハデス〜ポセイドンの死
10. オリンポスへ
11. テュポーン
12. 大母神ガイア〜アポロン
13. レスフィーナとアリオン
14. ペガサスの少女(歌/後藤恭子)
※CDバージョンとして、「ポセイドン」を追加。「テュポーン」の冒頭部も追加されています。
「ペガサスの少女」
作詞:松本隆 作曲:林哲司 編曲:萩田光雄
プロデューサー:久石譲
音楽・演奏:久石譲
(アディショナル・プレイヤー)
シタール, 龍笛, ダルシマ, ブズーキ, 歌唱, ケーナ
ゲストプレイヤー:YAS-KAZ
録音スタジオ:
WONDER STATION, INC
にっかつスタジオ
一口坂スタジオ