2022年7月23日 世界初演
2022年7月23日~29日開催「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022」にて世界初演。
以降は再演されていない。
ご来場の皆さん、2022年のWORLD DREAM ORCHESTRA(WDO)に来ていただきありがたく思っています。
本日演奏する交響組曲「Porco Rosso」とバンドネオンとオーケストラのための「My Lost City」について少し解説します。
「Porco Rosso」は宮﨑駿監督の映画「紅の豚」に書いた音楽をもとに交響組曲として再結成し、「My Lost City」は僕のソロアルバムとして発表した作品をバンドネオンと小オーケストラの楽曲として新たに構成し直しました。バンドネオン奏者の三浦一馬さんは僕の作品「The Black Fireworks」というとてつもなく難しい楽曲を演奏してもらいましたが、今回はもっとバンドネオンにふさわしい楽曲なので彼も安心して演奏できるのではないかと思っています、、、たぶん。
両作品とも1929年から始まった世界大恐慌の時代を舞台にしていて、方や当時のアメリカの象徴的作家であり破滅的な人生を送ったスコット・フィッツジェラルド、方や豚の風態を変えてしまったポルコと一見無関係に思える二人がそれぞれの主人公です。それは人が人でいられた時代から、そうで無くなった時代に馴染めなかった、あるいは否定した男たちの話です。
両作品ともバブルの時代の1992年に発表されました。個人的な思いとしてはバブルに浮かれている人たちへの警鐘の意味もありました。
これは誰にも言っていないことですが、イメージアルバムの「Porco Rosso」と「My Lost City」を同時に宮﨑さんにお送りしたら、「逆にしてほしいな」と言っていたそうです。つまり「My Lost City」を「Porco Rosso」の映画に使いたいということでした。冗談なのか本気なのか当時は意味がわからなかったのですが、今は少しわかります。宮﨑さんが「Porco Rosso」の音楽に求めていたのはもっと大人の、しかもパーソナルな音楽だったのかもしれません。その片鱗が「Madness」です。「My Lost City」の中の曲としてレコーディングしたのですが宮﨑さんがどうしても使いたい、ということで映画でも使用しています。だから今回は両作品で演奏します。
こんな秘密書いてもいいのかな?誰にも言わないでください、、、、
そして2022年の今、まるで「風の谷のナウシカ」の腐海に住むように我々はマスクを着用し、21世紀に起こるとは誰もが想像すらしなかったロシアによるウクライナ戦争が勃発しています。しかも信じられないくらいアナログで!
「僕たちはどこに行くのか?」という問いが「My Lost City」のテーマであり「Porco Rosso」のように豚になることで世間と距離を置くことが一つの答えかもしれません。しかし「飛べない豚はただの豚だ!」という明快な言葉が全ての答えであり、「しっかり生きる」ことが僕たちに一番必要なことだと僕は思います。
(久石譲)
(「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022」コンサート・パンフレットより 抜粋)
レビュー
- Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022」コンサート・レポート
- Overtone.第72回 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022」コンサート・レポート by ふじかさん
- Overtone.第70回 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022」コンサート・レポート by むーんさん
- Overtone.第71回 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022」コンサート・レポート by tendoさん

