Info. 2020/09/18 [TV] NHK Eテレ ベートーベン250開幕特番「今こそベートーベン!」 久石譲出演 【9/19 Update!!】

Posted on 2020/09/02

苦しみを乗り越え、喜びへ──歓喜への扉を開こう。
今だからこそ触れたいベートーベンの名曲や人生を、年末までほぼ毎週、お届けします。

ベートーベン生誕250年の2020年、NHKでは「ベートーベン250」プロジェクトとして、ベートーベンの名曲や人生をさまざまな形で放送していきます。

「ベートーベン250」プロジェクトでは、アンバサダーとして俳優・稲垣吾郎さんを迎え、みなさんをベートーベンの世界にご招待します。ベートーベンは、過酷な運命の中にあっても、自らの強固な意思で常に人生の扉を開いてきた人物です。稲垣さんは、舞台でベートーベンを演じることで彼の生きざまに触れ、音楽に鼓舞されてきたと語ります。

 

 

2020.09.19 Update!!

番組内容から 稲垣吾郎×久石譲 対談コメントを主に書き起こしです。

 

(program time 4:30-)

稲垣:
ご自身の指揮で録音されて話題になったんですけれども、どんな思いでベートーヴェンに取り組まれたんですか?

久石:
僕は作曲家ですけれども指揮もやります。そうすると一人の作曲家を、生涯通じてのシンフォニーを全部、出だしから追っかけて、どういう人だったのか、何を考えて作ったのか、それをちょっと知りたいなあと思って。そんなときに、やっぱり音楽史で最大の存在ってベートーヴェンなんですね。

 

(program time 5:55-)

稲垣:
久石さんは、ベートーヴェンという人間については、どのような印象をお持ちですか?

久石:
えー、うん、まあ、あまり友達にはなりたくないかなというか(笑)ちょっと嫌な奴という部類に入るかもしれません。

稲垣:
付き合いにくいとか、いろいろなエピソードがあるじゃないですか。

久石:
そうですね。たぶん感情の起伏がすごく激しかったんですよ。とっても優しい時と、ものすごくある種横暴にみえるような時と、両方が絶えずある。これまあ、だいたい作曲家やっている人はそんなもんだと思うんで(笑)

稲垣:
いやいやいや、久石さんはいつも穏やかですよ。

久石:
いやいやいや、それはまあ見かけだけですよ(笑)

稲垣:
自分が愛した人にはとことん尽くす。差が激しいですよね。

 

(program time 7:15-)

久石:
それもすごくおもしろくて。恋愛中は(曲が)穏やかなんですよ。(交響曲第)4番とかね、とても穏やかだったりする。

稲垣:
あれは恋愛中なんですね、ヨゼフィーネ。

久石:
うん、うまくいってるときね。だけどもっとおかしいのは、うまくいってて書き出したんだけど、途中でダメになっちゃったら、いきなりまた激しくなっちゃったりして。

稲垣:
それは女性に結構影響されてたってことですか。

久石:
うーん、これは作曲ですごく難しいところなんだけど。気分が乗る日もあれば乗らない日もある。全く書けない日もあれば、もう”おれって天才かな”っていう日もあると。非常に揺れますよね。そのときに、作曲しようという強い意志ってなんだろうっていったときに、例えば恋愛しているとか、なにかいろいろな思いなんですよね。これに左右されちゃうから。孤高の存在のように見えてるけれども、やっぱり周りの、あるいは自分の環境に絶えず影響を受けてると思います。

稲垣:
そこは逆に寄り添えるのかもしれないですね、我々としても。人間味があるというか。

久石:
だってそうじゃなかったらねえ。無菌室にこもって一人でただただ書いてるみたいになったら、ちょっと変でしょ。人に通じる音楽が書けるかと思います。だから全部の作曲家そうだと思いますよ。

 

(program time 9:20-)

久石:
彼の基本って、やっぱり耳が聴こえなくなったというのは大きいと思うんですよ。本人も遺書を書いたりするぐらい追い込まれましたよね。

稲垣:
どうなんですか、同じ音楽家として久石さんからみて。

久石:
いやあ、あり得ないと思います。

稲垣:
普通は諦めますよね。

久石:
そうです。

久石:
やっぱりベートーヴェンが普通の人と違うなあと思うのは、自分は芸術をやるという意思、それで乗り越えると。その気持ちがすごく強かったんですね。この病気・闘病にも勝つ、そして自分はそれを乗り越える芸術家であると。それを強い気持ちで乗りきった。克服して次に行く。つまり、闘争して勝利する。あるいは、耳が聴こえない苦悩を歓喜に変えていく。そういうことに対する意識がすごく強かったんだと思います。

稲垣:
それが第9へとつながっていくわけですもんね。

久石:
そうです。僕よく言ってるんですよ、1,2,3楽章ってすごい長いでしょ、それでずっと耐えると最後に「フロイデ!」って始まるでしょ。そうするといいでしょ。この構図って「赤穂浪士」と一緒なんですよ。だってほら、主君が切腹しちゃって耐えに耐えて最後に討ち入りするでしょ。構図一緒だから。劇的であると同時に人々に強い感動を与えるんですよ。

 

(program time 14:00-)

久石譲が語る
ベートーベンが開いた”新しい扉”

①ハーモニー

久石:
それまでは教会とか宮廷で音楽やられてたんですよ。ですが、ベートーヴェンの時代になってくると、一般のお客さんを入れてそこでコンサートをやってなにがしかの収入を得るっていうのが定着するんですね。

稲垣:
そっか、宮廷のおかかえ音楽家だったんだ、それまでは。

(ピアノ実演しながら)

久石:
たとえば、(コード;C)明るい、(コード;Cm)悲しい、この和音がとても人の気持ちを煽るわけですよ。そうすると、より音楽が感情を表現するようになってくるわけ。

久石:
この時代から、いわゆる人々に、直接気持ちに訴えかける音楽というのがどんどん主流になってくるわけです。

久石:
[交響曲第5番](タタタター)これだけの音型だけで全部つくってる。もうほんとにこれ以上ないぐらいに論理的に作ってる。なのに、すごくエモーショナル。

久石:
最小の要素を使って、あれだけの曲を作ってしまった。そうすると、これほど無駄のない楽曲はない。もうこれ以上、ちょっとこれを超えるぐらいに、無駄のなくてきちんと書いた曲というのはもう現れない。

②リズム

久石:
まあ、ひとこで言ったら”天才”。

稲垣:
リズムの天才。

久石:
わりと若い頃から、リズムはものすごく特徴があるんですよ。作曲家のなかでも特にベートーヴェンは、ものすごくリズムに対するアプローチがはっきりしていた。ほんとにリズムを作曲の核に置いた。特に(交響曲第)7番とか。

久石:
たとえば、ポップスミュージックやなんかも、ベースはリズムなんです。いわゆる20世紀で、黒人の人がアメリカに来た。そして白人の人たちと一緒にジャズをつくります。そのリズムがベースとなったところでポップスミュージックができますね。ですから、ポップスミュージックの基本ってやっぱり、メロディとかハーモニーもありますけど、リズムにすごく特徴がある。

稲垣:
特にリズムは現代の音楽につながってるということなんですね。

久石:
そうですね。全部共通してるから。人々にもとても受け入れやすい。

③プロデュース力

久石:
ベートーヴェンの楽曲のなかで、ものすごく高邁な理想を語る部分と、それから大変下世話な部分って絶えず共存してるんですよ。

稲垣:
下世話な部分も。なんかクラシック音楽というと、なんかそういう高尚なものしか。

久石:
いやいや、そう思っちゃうからみんな離れちゃうんで。全然関係ない。例えばね、(交響曲第)3番の英雄の4楽章あたりって、もうほんと村祭りというかとても大騒ぎしてる雰囲気、一般大衆も一緒に踊りたくなるような、舞曲系のものをよく持ってきますよね。

久石:
高尚なものだけだったら、お客さんってやっぱり引いていっちゃう。ちょっと下げて聴いてもらってて、でも本当はこれ言いたいんだよみたいなところを、プロデュース能力というか。

稲垣:
不器用そうに感じるんですけどね。

久石:
いや、これ優れた人はみんなそれできますよ。

稲垣:
意識されてたんですね、世間というものも。

久石:
そんなの意識しなかったらあり得ない。

稲垣:
そうなんですね、僕のイメージと違いましたけれども。そっかあ。いや、でもなんか現代に、現代やっぱり成功する人と通じてますよね。

久石:
全部一緒だと思います。すべての道はベートーヴェンに通じますね。

稲垣:
たしかに。

(番組内容から抜粋書き起こし)

 

 

 

 

2020.09.18 Update!!

「あなたが選ぶベートーベン・ベスト10」投票スタート!

久石譲が選ぶ3曲もコメントあわせて公開中!

 

稲垣吾郎コメント

交響曲第9番「合唱つき」
「歓喜の歌」のメロディーは、一度聴けば誰でも口ずさめるほど単純なものなのに、まるで“人類の遺産”のような偉大さと輝かしさ、圧倒的なスケールの大きさがあって、僕の中では「これぞベートーベン!」というイメージです。せっかくの250周年なので、ぜひ一度全部聴いてもらえたらと思っています。

ピアノソナタ第30番
僕のお気に入りのピアノ・ソナタです。少し前からレコードを聴くのが好きで、レコードでよく聴いています。夜寝る前に聴くと気持ちを落ち着けられる一曲。おすすめです。

ピアノソナタ第32番
この曲、僕大好きなんです。あのベートーベンの厳しい表情が浮かぶように始まるのに、いつのまにか、まるでジャズを思わせるような音楽に。まさかこんなところに連れて行ってもらえるとは、っていう意外さとワクワク感が詰まった本当におすすめの一曲です。

 

久石譲コメント

交響曲第5番「運命」
ベートーベンは名曲揃いで、その中で3曲を選ぶと言ってもなかなか難しい。なので今回は交響曲に限って選びました。交響曲の第5番は別格、枠に入らない番外、と言って良い存在でもありますけど、ベスト3ならば、やはりこの曲を入れないと。「ジャ・ジャ・ジャ・ジャーン」という小さい音型を積み重ねて、巨大な交響曲を組み上げてゆく。論理的に考えられているけど、音楽はエモーショナル。私が思う理想的な交響曲が第5番なんです。

交響曲第7番
交響曲の7番は全楽章、リズム、リズム。ずーっとリズム。
後にワーグナーがこの曲を「リズムの神化」と言ったのは有名な話です。私はべートーベンは「リズム」を扱う天才だと思っています。ビート感は、クラシックというよりもロックバンドのそれに近い。20世紀以降のジャズからポップスに至るまで、今の音楽の特徴はリズムにありますが、この7番こそが、音楽の現代への扉を開いたのだと思います。
ベートーベンの曲が古くならない理由は、「リズム」に対する卓越した感覚があったからでしょうね。

交響曲第4番
交響曲第4番。この曲を選んだ理由は、私は名曲だと思ってるんですが、あまり演奏されないから。3番「英雄」と5番「運命」という名曲の間に埋もれて、少し可哀想な存在です。私は、判官贔屓というか、もっと知られて良い曲だと思いますし、周りにも「もっと演奏してよ」と呼びかけたりしているんです。そういうことで一票を。皆さんにも聴いて頂きたい一曲です。

 

公式サイト:あなたが選ぶベートーベン・ベスト10|NHK
https://www.nhk.or.jp/lalala/beethoven250/

 

 

 

 

ベートーベン250開幕特番「今こそベートーベン!」

【出演】稲垣吾郎,久石譲,東京フィルハーモニー交響楽団

再放送更新

【放送】
NHK Eテレ
9月18日(金)21:30-21:55
9月19日(土)15:35-16:00 再

 

俳優としてベートーベンの生きざまに触れ、音楽に鼓舞されてきた稲垣吾郎さん。自らの指揮で昨年、ベートーベンの全交響曲を演奏・録音した作曲家の久石譲さん。「現代のポップスにもつながるヒットの方程式とは」「イヤなヤツだけど憎めない素顔」「いま学びたいこと」など、ベートーベンの魅力を語りつくします。番組内で、視聴者参加型の企画も発表!

公式サイト:ベートーヴェン250プロジェクト|NHK より抜粋
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=24978

 

「ベートーベン250プロジェクト」
アンバサダーを務める稲垣吾郎さんコメント、第1回(9/20放送)および10月以降の番組予定なども、上記公式サイトにてご覧ください。

 

 

出典:稲垣吾郎、NHKのベートーベン生誕250周年プロジェクトのアンバサダーに|マイナビニュース より
https://news.mynavi.jp/article/20200902-1265081/

 

 

 

“Info. 2020/09/18 [TV] NHK Eテレ ベートーベン250開幕特番「今こそベートーベン!」 久石譲出演 【9/19 Update!!】” への1件の返信

  1. 現代書芸家です。
    8年前に「ベートーヴェン心象アルバム」を発表し、10曲ほど作品化いたしました。
    作品集もあります。
    この番組が嬉しいです。

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