Overtone.第61回 「ボイジャー マックス・リヒター・ベスト」を聴く

Posted on 2021/02/20

ふらいすとーんです。

シリーズ マックス・リヒターです。

 

 

マックス・リヒターについては、まずはガツンと1曲!代表曲「On the Nature of Daylight」を。そして、今回取り上げるベスト盤(2019)以降の最新アルバムや映画音楽を先に紹介してきました。正確にいうと、ホットな最新アルバムはあと2枚(Exiles, 2021 / Invasion TV series, 2022)あります、それはまたいつの日か機会があれば。

もし、ちょっと好奇心わいてきたなと思っていた頃の人は、おそらくこれでノックアウトしてもらえるかな?!そう思います。ベスト盤からということで、すごくボリューム感じるOvertoneかもしれませんが、曲数多め、文字数少なめ、心がけていきます。

 

 

圧倒的支持を受けるポスト・クラシカルのカリスマ、究極のベスト・アルバム

■2012年ヴィヴァルディ《四季》のリコンポーズ(再作曲)作品『25%のヴィヴァルディ』が英米独のiTunesクラシック・チャートで第1位、2015年、演奏時間8時間に及ぶ眠りのための音楽『スリープ』など、革命的な作品を発表するとともに、映画・ドラマのサントラにひっぱりだこの超売れっ子、マックス・リヒターの究極の2枚組ベスト盤。

■彼自身のオリジナル・アルバムからの代表作に加え、サントラからも選曲し、ポスト・クラシカル(ネオ・クラシカル)の代表的作曲家の作品を俯瞰できるベスト盤です。

■今年3月、15年ぶりの来日を果たし、すみだ平和祈念音楽祭2019の『マックス・リヒター・プロジェクト』で《インフラ》《ブルー・ノートブック》《メモリーハウス》とリコンポーズド《四季》など主要作を演奏し話題となった。

■9月6日公開の映画『荒野の誓い』(新宿バルト9ほか全国公開)のサントラからも1曲収録、さらに9月20日公開のブラッド・ピット主演SF映画『アド・アストラ』の音楽を担当、こちらは彼自身初のハリウッドSF大作ということで更に話題となりそうです。

(メーカー・インフォメーション / 2019 より)

 

 

補足です。

2002年ソロ・デビューから約20年にわたる音楽がきれいに網羅されています。[CD1]はオリジナル・アルバムから、[CD2]はサウンドトラックからです。また原曲発表時のオリジナル版ではなく、新たに再録音されたものが2,3曲あります。生粋のファンでもすぐには気づかないほどの奏者や音色の変化(例えばエレピがナマピに変わったとか)です。このベスト盤にしか収録されていない初出ボーナストラック2曲あります。

つまりは。「マックス・リヒター? 知ってるよ!」と言って大丈夫になる一枚です。約40枚以上のアルバムを出してきて、全部聴いたことはなくても、このベスト盤を聴いた人は、「マックス・リヒター? 聴いたことあるよ!」と胸張って言っていいくらい。あなたには、マックス・リヒター音楽に親しんだという記念スタンプがもらえます。

 

 

ボイジャー  マックス・リヒター・ベスト [SHM-CD]
VOYAGER ESSENTIAL MAX RICHTER

[CD1]

1.オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト (アルバム《ブルー・ノートブック》より)
2.午後のカタログ (アルバム《ブルー・ノートブック 15周年記念盤》より)
3.スプリング(春)0 (アルバム《25%のヴィヴァルディ》より)
4.スプリング(春)1 (アルバム《25%のヴィヴァルディ》より)
5.オータム・ミュージック 2 (アルバム《ソングズ・フロム・ビフォー》より)
6.《オーランドー》 ~モジュラー天文学 (アルバム《3つの世界:ウルフ・ワークスより》より)
7.ウラディミールのブルース (アルバム《ブルー・ノートブック》より)
8.ノヴェンバー (《メモリーハウス》より)(アルバム《マリ》(マリ・サムエルセン)より)
9.ドリーム 3  (イン・ザ・ミドゥスト・オブ・マイ・ライフ)(アルバム《フロム・スリープ》より)
10.ホープ・ストリングス・エターナル (アルバム《24ポストカード・イン・フル・カラー》より)
11.イコノグラフィー (アルバム《ブルー・ノートブック》より)
12.シモン=クルベリエ通りからの環状道路 (アルバム《24ポストカード・イン・フル・カラー》より)
13.インフラ 8 (アルバム《インフラ》より)
14.《ダロウェイ夫人》 ~戦争賛歌 (アルバム《3つの世界:ウルフ・ワークスより》より)
15.ララバイ・フロム・ザ・ウエストコースト・スリーパーズ (アルバム《24ポストカード・イン・フル・カラー》より)
16.サンライト (アルバム《ソングズ・フロム・ビフォー》より)
17.《ダロウェイ夫人》 ~庭で (Spotify シングル)
18.ブロークン・シンメトリーズ・フォー・Y (アルバム《24ポストカード・イン・フル・カラー》より)
19.慈悲(ライヴ録音) (《ヒラリー・ハーン ベスト》より)
20.ドリーム・ソロ(初出) ボーナストラック
21.パス・ソロ(初出) ボーナストラック

[CD2]

1.ビギニング・アンド・エンディング (映画《コングレス未来学会議》オリジナル・サウンドトラックより)
2.旅立ち (TV《LEFTOVERS/残された世界》シーズン1 オリジナル・サウンドトラックより)
3.容赦なく進むジェームズ (TV《TABOO タブー》オリジナル・サウンドトラックより)
4.若きマリナー (映画《ヘンリー・メイ・ロング》オリジナル・サウンドトラックより)
5.トリガー (映画《ホワイト・ボーイ・リック》オリジナル・サウンドトラックより)
6.エレナとリラ (TV《マイ・ブリリアント・フレンド》オリジナル・サウンドトラックより)
7.祝福 (TV《LEFTOVERS/残された世界》シーズン1 オリジナル・サウンドトラックより)
8.ライド・トゥ・マラソン・ステーション (映画《ホワイト・ボーイ・リック》オリジナル・サウンドトラックより)
9.失われた人生の嘆き (TV《TABOO タブー》オリジナル・サウンドトラックより)
10.心の眼 (映画《ネバー・ルック・アウェイ》オリジナル・サウンドトラックより)
11.ホエア・ウィー・ビロング (映画《荒野の誓い》オリジナル・サウンドトラックより)
12.ニュー・ジェネレーション  (映画《ふたりの女王 メアリーとエリザベス》オリジナル・サウンドトラックより)
13.オン・リフレクション (TV《ブラック・ミラー》~「ランク社会」オリジナル・サウンドトラックより)
14.裏事情 (映画《女神の見えざる手》オリジナル・サウンドトラックより)
15.ユア・リフレクション (TV《マイ・ブリリアント・フレンド》オリジナル・サウンドトラックより)
16.その場所を初めて知るだろう (TV《LEFTOVERS/残された世界》シーズン3 オリジナル・サウンドトラックより)
17.取り残された女 (映画《荒野の誓い》オリジナル・サウンドトラックより)
18.アワ・リフレクション (TV《マイ・ブリリアント・フレンド》オリジナル・サウンドトラックより)
19.ウェルシュ父子 (映画《ホワイト・ボーイ・リック》オリジナル・サウンドトラックより)
20.ミス・スローン・ソロ (映画《女神の見えざる手》オリジナル・サウンドトラックより)
21.旅立ち ((TV《LEFTOVERS/残された世界》シーズン1) アルバム《ピアノ・ブック》(ラン・ラン)より)
22.あなたのことを忘れない (映画《戦場からのラブレター》オリジナル・サウンドトラックより)

合計収録時間 | 02:36:38

 

[CD 1]

1. On the Nature of Daylight (The Blue Notebooks)
2. A Catalogue of Afternoons (The Blue Notebooks)
3. Spring 0 (Recomposed By Max Richter: Vivaldi, The Four Seasons)
4. Spring 1 (Recomposed By Max Richter: Vivaldi, The Four Seasons)
5. Autumn Music 2 (Songs From Before)
6. VI. Orlando: Modular Astronomy (Three Worlds: Music From Woolf Works)
7. Vladimir´s Blues (The Blue Notebooks)
8. November (Memoryhouse) // From Mari (Mari Samuelsen))
9. Dream 3 (in the midst of my life) (From Sleep)
10. Hope Strings Eternal (24 Postcards in Full Colour)
11. Iconography (The Blue Notebooks)
12. Circles From the Rue Simon – Crubellier (24 Postcards in Full Colour)
13. Infra 8 (Infra)
14. III. Mrs Dalloway: War Anthem (Three Worlds: Music From Woolf Works)
15. Lullaby From The Westcoast Sleepers (24 Postcards in Full Colour)
16. Sunlight (Songs From Before)
17. In The Garden (Spotify Singles)  (Three Worlds: Music From Woolf Works)
18. Broken Symmetries For Y (24 Postcards in Full Colour)
19. Mercy – Live (Retrospective – Hilary Hahn)
20. Dream Solo (new “Sleep” bonus tracks)
21. Path Solo (new “Sleep” bonus tracks)

[CD 2]

1. Beginning and Ending (The Congress (OST))
2. The Departure (The Leftovers: Season 1 (Music From the HBO Series))
3. The Inexorable Advance Of Mr. Delaney (Taboo (Music From The Original TV Series))
4. The Young Mariner (The Young Mariner)
5. Trigger (White Boy Rick (Original Motion Picture Soundtrack))
6. Elena & Lila (My Brilliant Friend (TV Series Soundtrack))
7. A Blessing (The Leftovers: Season 1 (Music From the HBO Series))
8. Ride To Marathon Station (White Boy Rick (Original Motion Picture Soundtrack))
9. Lamentation For A Lost Life (Taboo (Music From The Original TV Series))
10. The Mind´s Eye (Never Look Away (Original Motion Picture Soundtrack))
11. Where We Belong (Hostiles (Original Motion Picture Soundtrack))
12. A New Generation (Mary Queen Of Scots (Original Motion Picture Soundtrack))
13. On Reflection (Black Mirror – Nosedive (Music From The Original TV Series))
14. Wheels Within Wheels (Miss Sloane (Original Motion Picture Soundtrack))
15. Your Reflection (My Brilliant Friend (TV Series Soundtrack))
16. And Know The Place for The First Time (The Leftovers: Season 3 (Music From the HBO Series))
17. A Woman Alone (Hostiles (Original Motion Picture Soundtrack))
18. Our Reflection (My Brilliant Friend (TV Series Soundtrack))
19. Wershe & Son (White Boy Rick (Original Motion Picture Soundtrack))
20. Miss Sloane Solo (Miss Sloane (Original Motion Picture Soundtrack))
21. The Departure (The Leftovers: Season 1 (Music From the HBO Series) // From Piano Book (Lang Lang))
22. I Will Not Forget You (Testament of Youth (Original Motion Picture Soundtrack))

Total Time | 02:36:38

 

 

さてどの曲を紹介しよう。

抜かりなく包括的にセレクトされたベストアルバム全43曲です。1曲ごとの音量や音質といったミキシングも整えられていますし、原曲では曲間がつながっている曲もきれいに単曲処理されています。

リリースに連動して、マックス・リヒター本人による楽曲解説プロモーション動画があります。原版よりも1,2曲分少ないですが、日本語テロップ付き公式動画(各1分)はユニバーサルミュージックジャパンから9曲分公開されています。そんなことで偏った好みで紹介してしまうよりも、こちらを案内役におまかせしたいと思います。

 

1

Max Richter – On the Nature of Daylight

from MaxRichterMusic Official YouTube

『ボイジャー』~マックス・リヒターが語る「オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト」

from UNIVERSAL MUSIC JAPAN

この曲についてはたっぷり語っています。永遠の代表曲です。

 

 

2

Vladimir’s Blues – The Blue Notebooks (2004)

『ボイジャー』~マックス・リヒターが語る「ウラディーミルのブルース」

音型の動きと蝶々のヒラヒラした羽の動き、おもしろいですね。自身が音楽を担当したTVドラマ『LEFTOVERS/残された世界』にも使用されています。以降、同じように書きますが、すべてオリジナル・アルバムにオリジナル曲として発表したのちに、映画・テレビの挿入曲として新たに使用されるという流れです。原曲をそのまま使用している場合は、サントラ盤には収録されていないことがほとんどです。

唐突に久石譲。「WAVE」とい曲があります。音型の動きをみると、ひとつの大きな波が無数の小さな波の繰り返しへと、パターン音型がそうなっているようにも感じてきますね。浜辺へ寄せては返す波のように。ミ・ラ・ド#・ラ・ド#・ラ・ド#・ラ~、E-A-C#-A-C#-A-C#-A~、1度-4度-6度-4度-6度-4度-6度~

 

 

3

Richter: November

『ボイジャー』~マックス・リヒターが語る「ノヴェンバー」

2018年ヴァイオリン奏者マリ・サムエルセンのデビューアルバム『MARI』のために再録音したヴァージョンが収録されています。ヴァイオリン・ソロと弦楽オーケストラだけなのに、竜巻のような重厚な響きは圧巻です。自身が音楽を担当した映画『ネバー・ルック・アウェイ』やTVドラマ『LEFTOVERS/残された世界』にも使用されています。フィギュアスケートの演技曲などにも使用されている人気曲です。

 

 

4

Max Richter – Dream 3 (in the midst of my life)

『ボイジャー』~マックス・リヒターが語る「ドリーム3」

眠りに誘うための音楽『スリープ』は全曲8時間におよぶ大作です。その核となる2つの主題(Dream/Path)のうち「ドリーム」です。なんと8時間演奏するコンサートも世界各地で開催されています。日本もスケジュールに入っていたところに…いつか叶いますように。コンサートの模様やドキュメンタリーから構成された映画『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』もいよいよ2021年日本公開はじまりました。

代表曲のひとつです。心地よいエレクトロニクス、ゆったりとした波形を描くような音響、そして下降音形の低音ベースが深い深い眠りへと落ちていくように誘います。[CD1]ボーナストラック収録された「20. Dream Solo」「21.Path Solo」はベスト盤でしか聴けない貴重なピアノソロ・ヴァージョン。そして秀逸ヴァージョンです。

ひと口には語れない作品『スリープ』。まずはベスト盤収録の3曲を堪能してみてください。そしてかなり気に入ったら8時間版はさらにおすすめです。たしか2015年8CD-BOXしかなかったものが、2018年デジタル・リリース解禁されていたと思います。『フロム・スリープ』という1時間版CD/DLもあります(8時間版からの抜粋ではない、こちらは起きているときに聴く音楽というコンセプト、曲調は似ているけれど、違うんですね、)。またいつかゆっくり記したい作品です。

 

 

5

Richter: Iconography

『ボイジャー』~マックス・リヒターが語る「イコノグラフィー」

オルガンとヴォイスからなる曲です。とてもシンプルなのに陳腐に聴こえない深い味わいがある。ひとつひとつの声部はシンプル音型なんだけれど、並走していると隣り合う音がぶつかるときがくる。本来なら濁ってしまう音たちも、考えぬかれた精緻な声部の織りなす流れで奥ゆかしくなる。そう、バッハや久石譲の対旋律や内声から生まれる深いハーモニーのように。

 

 

6

Max Richter – Infra 8 [Infra]

『ボイジャー』~マックス・リヒターが語る「インフラ8」

前述したマリ・サムエルセンのデビューアルバム『MARI』(2019)には、この曲を発展させた約8分におよぶヴァイオリン独奏版、曲名改め「Vocal」が収録されています。今回整理していて気づきました。

ほんと、マックス・リヒターという人は、広くこういうことをする人なんです。ソロアルバムから映画へ使用することはかなり頻度高いです。また、ひとつの曲を編曲版や変奏版で発展させて複数のアルバム(オリジナル/サントラ/他アーティスト)に点在させる。このときに曲名が変わったりする…。いろいろな境界線を越えて、自身の音楽が関連しあいながら点線しています。すべてはつながっているかのように。

 

 

7

Richter: Lullaby From The Westcoast Sleepers

『ボイジャー』~マックス・リヒターが語る「ララバイ・フロム・ザ・ウエストコースト・スリーパーズ」

着信音をちゃんとした音楽とするというコンセプトがおもしろいですね。オリジナル・アルバムには24曲の短い曲たちが収録されています。この曲を聴くといつも雨が恋しくなります。自身が音楽を担当した映画『男と女、モントーク岬で』にも使用されています。

マックス・リヒターはソロ・デビュー前、6人のピアニストからなるグループ「ピアノ・サーカス」として活動していて、スティーヴ・ライヒやテリー・ライリーらの曲を演奏・録音も残しています。ミニマル・ミュージックがひとつのルーツにあることが経歴からも曲からもちゃんとわかります。

 

 

8

Richter: Mercy (Live)

『ボイジャー』~マックス・リヒターが語る「慈悲」

ヒラリー・ハーンのアルバム『27の小品』にセッション録音版がありますが、ここに収録されたのは『ヒラリー・ハーン ベスト』のライヴ録音版です。この曲は、のちにマックス・リヒターの『VOICE』(2020)にマリ・サムエルセンの演奏で収録されることになっていきます。とても重要な曲です。そして久石譲MFコンサートでもパフォーマンスされたことのある(Vn:豊嶋泰嗣)曲です。

ということを、たっぷり語っています。

 

 

9

The Departure

『ボイジャー』~マックス・リヒターが語る「旅立ち」

シーズン3まであるTVドラマ『LETTOVER/残された世界』のメインテーマです。短いピアノソロ曲ですが、原型はオリジナル・アルバム『メモリーハウス』(2002ソロデビュー作)の「The Twins (Prague)」、同じくピアノソロ曲であったものを、少しかたちを変えてアレンジしたものです。微細な音符の変化や配置で、どう洗練されていったのか、聴き比べてみるとおもしろいです。

 

 

3曲だけプラスしたい。

マックス・リヒター音楽は、ピアノ、ストリングス、キーボード、エレクトロニクス、ヴォイスを中心とした曲づくりが多いです。音色的トーンや雰囲気といったものも近くなってきます。プロモーション動画にそった9曲は、ほとんどがオリジナル・アルバム収録曲からでした。かつ、アコースティック中心だったので、ちょっと角度をかえた3曲をプラスでご紹介します。

 

plus1

Recomposed by Max Richter – Vivaldi – The Four Seasons, 1. Spring (Official Video)

オリジナル・アルバム『25%のヴィヴァルディ』タイトルとおり、原曲の素材を25%だけ残し、あとは新しく再構築(リコンポーズ)する手法でつくられた曲です。新たな魅力と新たな音楽ファンを発掘してみせた、マックス・リヒター人気に火がつくターニングポイントです。”昔から好きだった原曲、いつしか飽き始めていた、どうしたらもう一度《四季》を好きになれるか、再発見してみたかった” この着想からうまれた曲です。弦楽合奏なのに、なんとカラフル、なんとみずみずしい、なんと絵画的、なんと光が射しこめる。

パターンの反復、ひとつのモチーフをくり返しながら発展させていくスタイルは、ミニマル・ミュージックにも共通点あります。ひとつひとつの素材から構築されていくバロック~古典あたりまでのクラシック音楽と、ミニマル手法の現代音楽。バッハやベートーヴェンと、マックス・リヒターや久石譲。

たしかこの作品から《冬》、「久石譲 presents ミュージック・フューチャー」コンサートシリーズのわりと若い番号のとき、プログラム予定演目にもなっていたと記憶しています。諸般の事情があったのでしょう、実現は叶いませんでしたけれど。久石譲もしっかり注目していた曲、そう言われると興味わいてきましたか?

 

 

plus2

Richter: Trigger (From “White Boy Rick” Soundtrack)

いろいろなトリガーがあるよなあと思います。良いトリガー、悪いトリガー。好ましいトリガー、望まないトリガー。引き金がはじける瞬間。なんか聴いてしまう曲です。

 

 

plus3

Richter: Wershe & Son (From “White Boy Rick” Soundtrack)

父子のテーマを描いた曲です。親子の絆のようなもの。それとは離れると思いますが、いつもイメージしてしまう光景があります。冬の朝、白い息を吐きながら公園を散歩する。澄んだ空気と自然界の音、ベンチで温かいコーヒーでも飲みながら。なんでこのイメージなのかはわかりません不思議です。

 

 

『ボイジャー マックス・リヒター・ベスト』は、公式音源も全曲公開されていたりと、お手軽に各プラットホームでフルに聴けると思います。気に入った1曲から、収録された元アルバムへと好奇心をつなげていく楽しみがあります。

また日本盤CDライナーノーツは、久石譲CD作品やジョン・ウィリアムズCD作品でもおなじみ、前島秀国さんによる楽曲解説です。11ページにも及ぶ細やかに行き届いた手引きは、きっと心強い案内人になってくれます。それもそのはず、マックス・リヒターのほとんどの日本盤CDライナーノーツ(オリジナル・アルバム/サウンドトラック)は前島秀国さんの筆によるものなんです。

あまりにも、《マックス・リヒター音楽とは》をお見事に表現されてあったので、ベスト盤ライナーノーツの冒頭の導入部から抜粋して紹介させてもらいます。

 

”せわしない日常を、スローモーションに変えてくれる落ち着いた音楽。淡々とパターンを繰り返しながら、いつの間にか身体の奥まで染み込んでいく音楽。ピアノや弦楽アンサンブルを中心としたモノクロームの音楽で奏でられるのに、色の深みを感じさせてくれる暖かい音楽。行ったことも、見たこともない風景を、蜃気楼のように浮かび上がらせる幻想的な音楽。聴こえなくなったものを改めて聴かせ、見えなくなったものを改めて見せてくれる力を持った音楽。諍いやテロで傷ついた人々を深くいたわりながら、木漏れ日のように希望を垣間見せてくれる音楽──つまり、今の時代に求められている音楽を書く作曲家が、マックス・リヒターである。”

(CDライナーノーツより 抜粋)

 

 

 

 

むすび。

ベスト3はこのなかにありません。

紹介してきた計12曲のなかに、マイベスト3はありません。ベスト5まで広げると1,2曲はライクインするかもしれない。同じように、あなたの一番好きになる一曲はこのなかにはないかもしれません。

久石譲ベストアルバム『Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi』全28曲から、マイベスト3のアンケートをとったら、完全一致する人はそういないと思います。同じように、『ボイジャー マックス・リヒター・ベスト』全43曲から、とっておきのマイベスト3と出会ってほしいなと思います。

たとえベストアルバムから選んでも人気曲が集中しない。人それぞれのマイベストがある。そう言えちゃうほどのクオリティと魅力ある曲たちが粒ぞろい。マックス・リヒターすごいです。そして言わずもがな久石譲すごいです。

もし、ベスト盤を気に入ってもらえたなら。これからまた登場するかもしれないマックス・リヒターのOvertoneも楽しみにしていただけたらうれしいです。

 

それではまた。

 

reverb.
このボリュームで日本盤SMH-CDで2500円で愛蔵盤です♪

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪

 

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