Score. 『久石譲 スペシャル・セレクション 2』

1997年3月30日 発行

久石譲監修によるピアノ曲集。編曲は他者によるもの。オリジナルアルバム『I am』『My Lost City』からいずれも全曲収録されたピアノ譜。

 

【補足】

当時は公式スコア[オリジナル・エディション]という位置づけがまだなかった。久石譲監修ではあるが他者の編曲による(当時はそれが主流だった)。ただし、CD作品のマッチングとして同時期に楽譜出版されたもの、また楽譜表紙(装丁)がCDジャケットデザインに準ずるもの、制作協力クレジットされ公式コンサートパンフレットや媒体でも紹介されていたもの、これらを監修・公認(準公式)楽譜として紹介している。

 

 

久石譲 / スペシャル・セレクション 2

◎from Album 『I am』
Deer’s Wind (from Main Theme of“KOJIKA STORY”)
On The Sunny Shore
Venus
Modern Strings
Dream
伝言 Passing The Words
Echoes
Silencio de Parc Güell
White Island
Tasmania Story (from Main Theme of “TASMANIA STORY”)

◎from Album 『MY LOST CITY』
Prologue
漂流者 [Drifting in The City]
1920 [Age of Illusion]
Solitude [In Her…]
Cape Hotel
Two of Us
Jealousy
狂気 [MADNESS]
冬の夢 [Winter Dreams]
My Lost City
Tango X.T.C.

 

監修:久石譲
協力:株式会社ワンダーシティ
編曲:青山しおり/田中あさ子
定価:1,600円+税
発行:株式会社ドレミ楽譜出版社

 

Disc. 久石譲 『パラサイト・イヴ』

久石譲  『パラサイト・イヴ』

1997年2月1日 CD発売 POCH-1621
2005年10月5日 CD発売 UPCY-9004

 

1997年公開 映画「パラサイト・イヴ」
監督:落合正幸 音楽:久石譲 出演:三上博史 他

 

 

「映像で表現しきれなかった登場人物の気持ちや背景を、音できちんと語ったつもりです」

-脚本についてですが。

久石:
僕はもっとホラーに徹するべきだと思いました。ただ、たまたま他の仕事で大林監督にお会いした時に「実は今、ホラーをやってるんです」っていう話をしたら、大林さん曰く「ホラーは究極のラブロマンスだよね」って仰ったんですよね。要するに、現実の世界では何らかの理由でうまくいかなくて、片方があの世に逝っちゃたりして、そこから来る怨念のような物がいろいろ絡まってくる話だから、根底は究極のラブロマンスだと。その話を聞いてなるほどなって思いましたね。

-それで音楽的には。

久石:
音楽的に言うと、非常に綺麗なメインテーマをワンテーマ。後は完全なホラーサウンド。そのホラーサウンドも怖いタイプと、宗教がかった運命的な物とか、そういう使い分けで全体を構成しました。

-今回の音楽でのドラマ作りというのは。

久石:
落合監督の画は、波が寄せては返し、寄せては返しっていうある種の繰り返しのようにしてジワジワと来る感じなんですよ。それは僕が得意なミニマルミュージックにすごく近いんですね。だから監督が意図されたことと、僕が音楽的に設計図を引いたことがすごくいい形にドッキングしていると思います。

-今回の音的な部分についてですが。

久石:
恐怖を煽っていくシーンは、基本的に非常に不思議なエスニックな音とか、とんでもない生楽器ではない物を主体にしました。メインテーマに関しては、生の僕のピアノとか、クラシックのソプラノの歌手だとか、ストリングスだとか、非常に空気感のある人間的な物にして、思いっきり対比をつけました。

-今回の音楽のポイントは。

久石:
画面が進行していながら呼吸するように、音楽もやっぱり呼吸しているわけですよね。そうすると、これはもう僕のポリシーなんだけど、単に画面をなぞるような劇伴は一切、書いたつもりはないんです。むしろ映像で表現しきれなかった登場人物の気持ちとか背景、そういう事をきちんと語れるようにしたいと思っていて、もちろん映画にはいろんな要素があるし、映像あっての物ですから、完璧に出来たとは思ってないですけど、うまくいけたなっていう気はしています。

Blog. 映画『パラサイト・イヴ』(1997) 久石譲 インタビュー 劇場用パンフレットより 抜粋)

 

 

 

極端な言い方をすれば、本編音楽とサウンドトラック盤は別もの。CDに収録されたバージョンがそのまま使われているものはほとんど皆無と言ってもいい。映画シーンに合わせて少しアレンジが加えられているもの、ニュアンスの異なるCD未収録バージョン、また短い尺に当てこまれた未収録楽曲など。ここまで映画に使用された音楽と、サウンドトラックに収録された楽曲が一致しないというのも珍しい作品だと思う。世界観や楽曲の核はどちらも失っていない。それだけ、いかなるバリエーションに料理したとしても性格のはっきりした楽曲が書き下ろされているということ。メインテーマ「Eve」もおそらく3~4バージョンは聴くことができる。映画の世界を越えてエバーグリーンな名曲。

言い換えれば、このサウンドトラック盤は、通常手掛ける映画音楽のなかで、音楽作品としてきっちり仕上げた作品とも言える。本編音楽をつけたあとに、CD制作作業に入っているはずだから。

 

 

「EVE -パラサイト・イヴのテーマ」

1997年1月25日 CDS発売 PODH-1339

EVE パラサイト・イヴのテーマ 久石譲 シングル 1

 

1. EVE (パラサイト・イヴのテーマ) Vocal Version
2. EVE (パラサイト・イヴのテーマ) Piano Version

 

 

 

久石譲  『パラサイト・イヴ』

1. EVE-Vocal Version
2. Choral
3. Cell
4. Darkness
5. Explosion
6. EVE-Piano Version

All songs composed , arranged and performed by Joe Hisaishi

ゲスト・ミュージシャン
ヴォーカル:佐藤ひさら(藤原歌劇団)
アコースティック・ギター:古川昌義
ストリングス:後藤勇一郎グループ

 

Disc. 久石譲 『EVE -パラサイト・イヴのテーマ』

1997年1月25日 CDS発売 PODH-1339

 

1997年公開 映画「パラサイト・イヴ」
監督:落合正幸 音楽:久石譲 出演:三上博史 他

 

メインテーマ曲のシングル盤である。同2楽曲(Vocal version / Piano version)ともに、サウンドトラック盤にも同音源が収録されている。

 

 

EVE パラサイト・イヴのテーマ 久石譲 シングル 1

1. EVE (パラサイト・イヴのテーマ) Vocal Version
2. EVE (パラサイト・イヴのテーマ) Piano Version

All songs composed , arranged and performed by Joe Hisaishi

ゲスト・ミュージシャン
ヴォーカル:佐藤ひさら(藤原歌劇団)
アコースティック・ギター:古川昌義
ストリングス:後藤勇一郎グループ

 

Disc. V.A. 『第51回国民体育大会開・閉会式 式典音楽記録集』 ※非売品 *Unreleased

1996年 CD 非売品

 

1996年ひろしま国体、会場を実況録音したものから音楽集として集めたものである。

 

ひろしま国体の式演出を務めていた映画監督大林宣彦氏の声かけのもと、久石譲も大会イメージソング「砂漠のバラ」を作曲し提供している。(補作詞:大林宣彦)

 

 

 

このCDにも「砂漠のバラ」の行進曲が複数収録されているが、編曲者は異なる。

 

(CDライナーノーツより)

 

(CDジャケット)

 

 

Disc.1
夏季大会開会式
1.音楽隊紹介
2.競技役員団入場
3.開式通告
4.役員・選手団入場
5.開会宣言
6.国旗掲揚
7.大会旗・日本体育協会旗・競技団体旗掲揚
8.広島県旗・都道府県旗・会場地市町村旗掲揚
9.大会会長トロフィー返還
10.大会会長・文部大臣あいさつ・歓迎のことば
11.皇族のおことば
12.選手代表宣誓
13.閉式通告
14.役員・選手団退場

夏季大会閉会式
15.音楽隊紹介
16.競技役員団入場
17.開式通告
18.役員・選手団入場
19.表彰状授与
20.国旗降納
21.大会旗・日本体育協会旗・競技団体旗降納
22.広島県旗・都道府県旗・会場地市町村旗降納
23.大阪府旗掲揚
24.閉会宣言
25.閉式通告
26.役員・選手団退場

秋季大会閉会式
27.日体協旗・競技団体旗・競技役員団入場
28.開式通告
29.役員・選手団入場
30.成績発表・表彰状授与
31.炬火納火
32.大阪府旗掲揚
33.閉会宣言
34.閉式通告

Disc.2
秋季大会開会式
1.音楽隊紹介
2.式典前
3.日体協旗・競技団体旗・競技役員団入場
4.天皇陛下・皇后陛下御着席
5.開式通告
6.役員・選手団入場
7.開会宣言
8.国体旗引継
9.大会旗・炬火入場
10.炬火点火
11.国旗掲揚
12.大会旗・日本体育協会旗・競技団体旗掲揚
13.広島県旗・都道府県旗・会場地市町村旗掲揚
14.大会会長・文部大臣あいさつ・歓迎のことば
15.天皇陛下のおことば
16.選手代表宣誓
17.閉式通告
18役員・選手団退場

夏季大会開会式:平成8年(1996年)9月8日(日)
夏季大会閉会式:平成8年(1996年)9月11日(水)
(福山市緑町公演屋内競技場)

秋季大会開会式:平成8年(1996年)10月12日(土)
秋季大会閉会式:平成8年(1996年)10月17日(木)
(広島広域公演陸上競技場)

録音:夏季大会/財団法人ヤマハ音楽復興会 秋季大会/ティーオーエー株式会社
(録音は、会場での実況録音のため、雑音や音の乱れがあります。また、時間の関係で部分的にカットしております。)

企画・制作:第51回国民体育大会広島県実行委員会

 

Score. 『久石譲 PIANO STORIES II ~The Wind of Life~』

1996年12月30日 発行

久石譲監修によるピアノ曲集。編曲は他者によるもの。オリジナルアルバム『PIANO STORIES II ~The Wind of Life~』のマッチング・ピアノ譜。

なお、2008年に久石譲による「PIANO STORIES II The Wind of Life -オリジナル・エディション-」ピアノ譜が発売されている。

 

【補足】

当時は公式スコア[オリジナル・エディション]という位置づけがまだなかった。久石譲監修ではあるが他者の編曲による(当時はそれが主流だった)。ただし、CD作品のマッチングとして同時期に楽譜出版されたもの、また楽譜表紙(装丁)がCDジャケットデザインに準ずるもの、制作協力クレジットされ公式コンサートパンフレットや媒体でも紹介されていたもの、これらを監修・公認(準公式)楽譜として紹介している。

 

 

久石譲 / PIANO STORIES II ~The Wind of Life~

1. Friends
2. Sunday
3. Asian Dream Song
4. Angel Springs
5. Kids Return
6. Rain Garden
7. Highlander
8. White Night
9. Les Aventuriers
10. The Wind of Lif

監修:久石譲
協力:株式会社ワンダーシティ/ポリドール株式会社
編曲・採譜:青山しおり
定価:1,300円+税
発行:株式会社ドレミ楽譜出版社

 

Disc. V.A. 『スタジオジブリ サントラ全集』

1996年12月21日 CD発売 TKCA-71100

 

ジブリがいっぱい
―スタジオジブリ作品 サントラ全集―

 

スタジオジブリ作品のスペシャルBOX
●「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「火垂るの墓」「魔女の宅急便」「おもひでぽろぽろ」「紅の豚」「海がきこえる」「平成狸合戦ぽんぽこ」「耳をすませば」のサウンドトラック10枚
●24金ゴールドディスクCD
●24bitリマスタリング
●ポスター原画コレクション(A4サイズ)
●スタッフリスト・作品データ
●新柄オリジナル・ジャケット
●ボーナスCDS

 

スタジオジブリ サントラ全集

Disc 1
「風の谷のナウシカ サウンドトラック ~はるかな地へ~」
Disc 2
「天空の城ラピュタ サウンドトラック 飛行石の謎」
Disc 3
「となりのトトロ サウンドトラック集」
Disc 4
「火垂るの墓 サウンドトラック集」
Disc 5
「魔女の宅急便 サントラ音楽集」
Disc 6
「おもひでぽろぽろ オリジナル・サウンド・トラック」
Disc 7
「紅の豚 サウンドトラック」
Disc 8
「海がきこえる」
Disc 9
「平成狸合戦ぽんぽこ サウンドトラック」
Disc 10
「耳をすませば サウンドトラック」

Disc 11 -Bonus CDS-
1.LE TEMPS DES CERISES
2.「魔女の宅急便」より ドラマ元気になれたら
3.なんだろう
4.そらいろのたね

 

Disc. 久石譲 『PIANO STORIES II ~The Wind of Life』

久石譲 『PIANO STORIES 2』

1996年10月25日 CD発売 POCH-1604

 

 

【MEMORANDUM】

Friends
子供の頃思った。「お酒飲んでたばこ吸って、それにカウンターに座って寿司だっていつか食べてやる」気づいたらバーの片隅に一人座っていた。

Sunday
日曜日の午後、ふらっと画廊を訪れるのもよい。スコーンととびきり上等のアフターヌーンティーを飲みながら眺めるワッツの絵画は、本物の英国の香りがする。

Asian Dream Song
滔々と流れる黄河、人を寄せ付けないヒマラヤの山々、砂漠の民ベドウィン、インドの過去から未来に連なる永遠の時間の流れ、モダンでほんとうはヨーロッパよりも深い歴史と近代性をもっていた日本。僕はアジアの一員でしかも日本人であってほんとうによかった。

Angel Springs
6年間もあるウイスキーのコマーシャルにつき合った。何も足さない、何も引かない、このコンセプトは美しい。人が手を加えないことは現代では極めて難しい。例えばひとりの少年がいる。手を加えて型にはめるより、ほうっておいて発酵するのを待つ。もしかして天才が生まれるかも知れませんよ。

Kids Return
ミニマルミュージックの香りのする青春音楽。クールでどこか切なげ、ワイルドで繊細、淡々としているのに衝撃的、二律背反の世界、それが僕だ。僕の白は限りなく黒を連想させ、優しさは限りなく毒を含んでいる。見せかけのヒューマンは独裁者の心を隠し、愛と感動のメロディーは限りなく前衛の心の鎧となる。

Rain Garden
ふと、ラヴェルが弾きたくなった。その響きが心に微かな波紋となって広がっていく。フランス印象派は空ろいゆく時の陽炎(かげろう)。

Highlander
地図で見る英国は左の上の端にある。そのまた上の方にHighlanderがある。寒くて荒涼とした土地、手が届きそうに低く垂れ下がった天空。ケルトの里は何処か毅然としていて生きる厳しさと尊さを教えてくれる。

White Night
夕暮れ、密やかに闇が訪れ、家々の窓には灯がともる。空からは軽やかなダンスを踊っているかのような温かい(心の)雪が舞い降りている。もしかしたらマッチ売りの少女は幸せだったんだ。

Les Aventuriers
「冒険者たち」という映画があった。男はこの言葉が好きだ。冒険に乗りだす時の昂揚感、細心の注意と計画。大胆にも繊細な神経、思いがけない緊張感。でも実際の映画はふたりの男と一人の女の友情と愛情の物語り。はしゃぐ大人たちは幼稚な子供心を引きずったピノキオ。でもリノバンチュラだったら良いか?
PS.演奏が難しすぎた。プロのミュージシャンがほとんど弾けなかった。5拍子なんて人間の生理に合わないのか?でも「Take 5」や「Mission impossible」はとても心地良いのに…。ええい!一気の緊張、極限のスイードもありなんだよ。

The Wind of Life
日々の積み重ねの上に人の一生は成り立つ。淡々と繰り返される日々、でもその日々が大変だ。泣いたり怒ったり絶望したり歓喜の涙をこぼしたり誠に忙しい。でも同じ日は二度と来ないのだから日々を受け入れ真摯な精神で生きる事が肝心だ。生命の風、人の一生を一塵の風に託す。陽は昇り、やがて沈む。花は咲き、そして散る。風のように生きたいと思った。

(【メモランダム】 久石譲)

 

 

 

「難しかったんだよね。それまでガッチリとコンセプトを組んできたんだけれど、最後の最後で自分を信じた感覚的な決断をしたということです。あの弦の書き方って異常に特殊なんです。普通は例えば8・6・4・4・2とだんだん小さくなりますね。それを8・6・6・6・2と低域が大きい形にしてある。なおかつディヴィージで全部デパートに分けたりして……。チェロなんかまともにユニゾンしているところなんて一箇所もないですよ。ここまで徹底的に書いたことは今までない。結果として想像以上のものになってしまって、ピアノより弦が主張してる……ヤバイ……と(笑)。」

「僕は戻りって性格的にできないし、オール・オア・ナッシングなんですね。時代って円運動しながら前へ進んでいると思うんですが、自分にとってのミニマルとか弦とか、原点に立ち返るというのは前に戻るのではなく、そのスタイルをとりながら全く新しいところへ行くことだと。そうでなければ意味がない。単なる懐古趣味に終わってしまうでしょう。ピアノというコンセプトでソロアルバムを作るということに変わりはなかったけれども、思い切りターボエンジンに切り替える必要があったわけです。」

Blog. 「キネマ旬報 1996年11月上旬特別号 No.1205」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「8年前に出した時は、打ち込みを多用して音楽を作っていた時期だった。その時に、あえて「今自分ひとりで何ができるか」と立ち返ったのがピアノだったんです。つまり、いちばんピュアな音楽をやろうと思って作ったのが『Piano Stories』だった。そしてもう1度今、自分にとっていちばん原点になるべきものはなんだろうと考えたら、「ピアノとストリングスをメインにしたアルバム」だろう、ということになった。この1~2年ずっと考えていたことです。タイトルを『Piano Stories II』にしたのは、これが精神的に前作とつながるからです。」

「たとえば、クロノス・カルテットでジミ・ヘンドリックスの「パープル・ヘイズ」をやってますよね。僕もいろいろとリズムを作ってレコーディングをするからよくわかるんだけど、(リズムを)キープする楽器がない時って、実はすごく大変なわけ。でも、ドラムを入れてしまえばリズムがまとまるというものでもなくて、(そのドラムに)寄りかかってしまうわけだから、逆にそこからは細かいニュアンスって出てこない。弦楽カルテットとか今回のような編成の時は、そうとうしっかりしないとリズム・キープもまともにできない。だからみんな避けてしまうけど、あえて大変なところに今回は挑みました。ポップスの人がよく思い浮かべる弦楽カルテットは、ビートルズの「Yesterday」のバックとか(笑)そういう清らかなイメージかもしれない。でも、実は「Kids Return」のようにゴリゴリしていてすごく大変なリズムもある。中途半端にリズムが入っているものよりずっとワイルドな感じが出るんです。そういう方向でやってみたんですよ。」

「「Les Aventuriers」ですね。先日のリサイタルではやりませんでしたが、11月の赤坂Blitzではやりますよ。そうとう(演奏が)厳しいから(笑)。ソロ・アルバムの弦の音はずっとロンドンで録ってきていたので、日本で作ったのは本当に久しぶりなんです。それで、ちょっと”浦島太郎状態”になっちゃった曲です(笑)。つまり言い方はへんなんだけど、日本の(弦の)人たちはうまいけど、リズムが違うんですよ。僕が弦に託しているのは、打楽器扱いの弦みたいなリズミックな部分が大きいんです。そういうニュアンスが当たり前と思っていたんですが、それなりの訓練をしないと無理なわけで…。そのあたり、思いのままにはできなかったのでちょっと残念でしたけどね。」

「「Rain Gaeden」ですね。クラシックですよね。意外なんだけど、フランス印象派みたいなピアノ、ドビュッシーとかラベルとか、あのへんのラインを今まであまり自分の作品に取り入れていなかったんです。好きなんだけど、なぜかなかった。ただこのところ個人的に、練習のためにラベルとかクラシックをよく弾いているんです。ラベルのソナチネなんか弾いていると、自分がすごく好きだということがよくわかる。その中で出てきたアイディアで、たまたまこういう曲ができたんです。」

Blog. 「KB SPECiAL キーボード・スペシャル 1996年12月号 No.143」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

The Wind of Lifeは、「JOE HISAISHI PIANO STORIES 2000 Pf solo & Quintet」コンサートなどにおいて、原曲とは少し異なるアレンジ(和音)にて演奏されている。

 

 

 

 

久石譲 『PIANO STORIES 2』

1. Friends (トヨタクラウンマジェスタCMより)
2. Sunday (NHK「日曜美術館」テーマ曲)
3. Asian Dream Song (TOTATAカローラCMより / 1998年長野パラリンピックテーマ曲)
4. Angel Springs (サントリーウイスキー 山崎CMより)
5. Kids Return (映画「キッズ・リターン」より)
6. Rain Garden
7. Highlander
8. White Night
9. Les Aventuriers
10. The Wind of Life

Musicians
Pan Strings
Yuichiro Goto String Quartet
Daisuke Mogi(Oboe)
Takashi Asahi(Flute)
Masayoshi FUrukawa(Guitar)
etc.

Recorded at:
Wonder Station
Victor Studio
Sound City

 

Disc. 久石譲 『もののけ姫 イメージアルバム』

久石譲 『もののけ姫 イメージアルバム』

1996年7月22日 CD発売 TKCA-70946
2004年9月29日 CD発売 TKCA-72747
2020年7月22日 LP発売 TJJA-10024

 

1997年公開 スタジオジブリ作品 映画「もののけ姫」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

本イメージアルバムはいつも通りサントラに先がけて制作されたが、作品の制作期間が長期に及んだこともあり、映画公開の1年前に制作・発表された。宮崎監督の音楽メモを歌詞にして作曲された歌「もののけ姫」を、本アルバムでは麻衣が歌っている。

 

 

豪速球のキャッチボール

サウンドトラック音楽を作る前にまず、イメージアルバムを作り、宮崎監督と意見のキャッチボールをしながら、最終的な音楽の完成を目指す。その方法論は基本的に今回も変わるところはない。が、その緊張感といえば、前にも増して高まっている。イメージアルバムでは、通常映画の内容にあわせると言うよりも、意外な可能性を見つけだすこと、イメージが広がるものを提示していくことが重要だ。そしてそれを最終的に絞り込んでサウンドトラックに活かす。だからいつもイメージアルバムはもっとリラックスして作っていた。しかし、今回の「もののけ姫」では、最初の打ち合わせからかなり明確な、かつ圧倒的な作品世界の提示があった。まだ動く絵がほとんどないにも関わらず。キャッチボールで言えば、最初から豪速球がきたという感じなのだ。だからこちらもはじめから全力投球。

「もののけ姫」は日本にとどまらず、これから世紀末を迎える、世界中のすべての人々に向けて作られるものだと思う。その音楽を手がけることになって、いま一番考えていることは、日本人としてのアイデンティティーをどう保ち、どう表現するか。非常に深いところでのドメスティックさ、日本人であるということが、かえって世界共通語になるんじゃないかと思う。ではどうすればいいか。映画の公開まで、宮崎監督との豪速球のキャッチボールが続きそうだ。  (音楽/久石譲・談)

(CDライナーノーツより)

 

 

もののけ姫
詩・宮崎駿 曲・久石譲

はりつめた弓の ふるえる弦(つる)よ
月の光にざわめく そなたの心

とぎすまされた刃の美しい
そのきっさきによく似た おまえの横顔の
悲しみと怒りにひそむ まことの心を知るは
森の精 もののけ達だけ もののけ達だけ

(歌詞 CDライナーノーツより)

※劇場公開時の主題歌は歌詞が一部修正されている

 

 

「作るのに6ヶ月もかかっちゃったんだよね。予算は飛び出すわ、ソロアルバムより時間がかかるわで(笑)。でもあれって、たった一人に聴いてもらうために作ったんですよ。だからCDなんて出なくてよかったんだよね。」

「そう。宮崎さんが聴くこと以外は何一つ考えなかった。宮崎さんが早く聴きたいって望んだ、じゃあ作りますっていう非常にシンプルな関係なわけ。それと半年という期間は、『ナウシカ』以来の良い面もあるけどそうじゃない部分も含めたいろんなものを洗い流す意味で必要な時間だったんだよね。ただ、僕が宮崎作品のために書いてきた音楽を聴いてきた人からすると、何か不満みたいね。」

「愛とか感動とかロマンとか一切感じないでしょう。だから宮崎さんもすごく戸惑われたと思う。ただ、よく分かってる人達からは「ついに新しいところへ行ったね」と言われましたね。『もののけ姫』のイメージアルバムは僕にとってかなり大きかった。自分という人間をすごく考えましたね。」

「途中でかなり悩んだんです。「間違ったかな」と思うこともあった。だけど「僕はこれで作る」と宣言したんだから変えなかったんです。その作家としての姿勢を貫けるかどうかで半年かかった気がしますね。」

Blog. 「キネマ旬報 1996年11月上旬特別号 No.1205」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

書籍「折り返し点 1997~2008」/宮崎駿・著に、詩が収載されている。これは監督から久石譲へ作品イメージを伝えるために書いた音楽メモのようなもの。「もののけ姫」「アシタカせっ記」「失われた民」「タタリ神」「犬神モロの君」「エボシ御前」「コダマ達」「ヤックル」「シシ神の森」。イメージアルバムのほとんどの曲がそろっていることがわかる。

*初出:『THE ART OF The Princess MONONOKE もののけ姫』徳間書店

 

 

 

映画本編には使用されなかったが、「犬神モロの公」は映画『もののけ姫』予告編で強い印象を残している。

 

 

久石譲 『もののけ姫 イメージアルバム』

1. アシタカせっき
2. タタリ神
3. 失われた民
4. もののけ姫
5. ヤックル
6. シシ神の森
7. エボシ御前
8. コダマ達
9. 犬神モロの公
10. アシタカとサン

ゲスト・ミュージシャン
梯郁夫(パーカッション)
坂田美子(琵琶)
賈鵬芳(二胡)
竹井誠(能管・竜笛)
藤沢麻衣(ヴォーカル)
矢島富雄(チェロ)
小池弘之 ストリングス

 

Princess Mononoke Image Album

1.The Legend of Ashitaka
2.The Cursed God
3.The Lost People
4.Princess Mononoke
5.Yakkle
6.The Forest of the Shishi God
7.Lady Eboshi
8.The Kodamas
9.The Dog God Moro
10.Ashitaka and San

 

Disc. 本名陽子 『friends』

本名陽子 friedns

1996年7月22日 CD発売 TKCA-70947

 

大ヒット曲「カントリー・ロード」から1年…
”高校3年・17才”本名陽子の等身大の想いを描いたオリジナルファーストアルバム

本名陽子といえば、スタジオジブリ作品 映画「耳をすませば」にて、主人公月島雫を演じていたその人である。同映画の主題歌「カントリー・ロード」も歌唱している。

本作のCDジャケットイラストは、同映画の監督を務めた近藤喜文氏によるものである。

久石譲プロデュース作品。

 

 

コメント

この時代にこんなに純粋で純朴な女の子がいるのか、というのが本名陽子さんと初めて会ったときの印象。アムラーのような女の子と正反対の位置にいる。もちろん女の子の中にも多面性があって、本名さんのような子でも茶パツにして、ああいうカッコをしてみたいという気持ちだってあることはわかる。でもそれだけを彼女たちが望んでいるわけではないだろう。現実は、友だちが大切で、生きているすべての中心が学園生活にあって、家に帰ったら、友だちと学校で会ってたはずなのに、夜、1時間も2時間も長電話する今の高校生。本名陽子なら、その感性をそのまま出したアルバムを作れると思った。

テーマは「フレンズ」。恋愛事だけじゃなくてもっと日常的な言葉で、本名さんから感じられるような自然体の、健やかさのあるアルバム。

そんなコンセプトで今回はプロデュースしてみた。いわば彼女の身の丈で作った、現代を一生懸命生きている女の子の歌。

このアルバムは彼女の到達点ではない。彼女自身、もっともっと成長するだろうし、歌手としての勝負もこれからだろう。でも今だからこそできる、今しか歌えない歌がある。荒削りかもしれないが、そんな勢いを、新鮮さを受けとめて欲しい。そこに本名陽子がいる。

プロデューサー/久石譲

(コメント ~CDライナーノーツより)

 

 

本作品において久石譲はあくまでも全面的プロデュース、収録された楽曲において作曲・編曲・演奏などを手がけているものはない。

 

 

アルバムに先駆け、「カントリー・ロード」(映画「耳をすませば」主題歌)につづくシングル第2弾として、久石譲プロデュースのもと「未来のドア」が発売された。同楽曲は本人がパーソナリティをつとめる文化放送番組「YOKO DE PARADISE」テーマ曲としても使用された。

 

1996年6月5日 CDS発売 TKDA-70871

本名陽子 未来のドア

1. 未来のドア
2. ひだり巻きのアサガオ
3. 未来のドア (Original Karaoke)
4. ひだり巻きのアサガオ  (Original Karaoke)

「未来のドア」
作詞:工藤純子 作曲:福田典之 編曲:旭純 プロデュース:久石譲

「ひだり巻きのアサガオ」
作詞:藤林聖子 作曲:有坂美裕 編曲:旭純 プロデュース:久石譲

 

 

本名陽子 friedns

1. 未来のドア
2. フレンズ
3. 蒼空のために
4. オレンジの糸
5. 待ってて
6. あこがれは
7. 友達のままで
8. カントリー・ロード
9. ひだり巻きのアサガオ

 

Disc. 久石譲 『銀河鉄道の夜 / NOKTO DE LA GALAKSIA FERVOJO』

久石譲 『銀河鉄道の夜』

1996年7月20日 CD発売 COCC-13556
2013年7月24日 CD発売 COCB-54072

 

久石譲が音楽でつづる宮沢賢治の世界
ピアノとシンセサイザーによる極上のヒーリング・ミュージック
ノンタイアップという企画作品ながら名曲たちが彩る

 

 

優しくも光が瞬くような (1) をはじめ「銀河鉄道の夜」の世界へ連れて行ってくれる。(3) でのヴァイオリンとピアノの美しく呼吸しあう旋律、(5) でのチェロとピアノの刻みあうリズミカルで弾ける音、(7) でのシンセサイザーをバックに響くピアノの神秘的なメロディー、どの曲もシンプルでいて美しい。ヴァイオリン、チェロ、オボーエなどとシンセサイザーの優しい音色が、満天の星空を映しだしてくれる。

サウンドトラックとは趣向が違うため、どの曲もひとつの作品としてメロディーが成立しているからかもしれない。それほどまでにリリカルな情緒的な佳曲がならぶ。これが映像作品とはまったく切り離された、音楽だけで作り上げられたコンセプトアルバムだけに贅沢な1枚である。

 

 

 

2013年7月24日 Blu-spec CD発売

宮沢賢治の没後80年(2013年時)を記念して、久石譲が「銀河鉄道の夜」を描いた1996年のオリジナル作品を再リリース。日本的情緒にあふれる癒しの音楽が、最新リマスタリング&Blu-spec CDで生まれ変わる。

 

 

久石譲 『銀河鉄道の夜』

1. 銀河鉄道の夜
2. 三人の漂流者
3. プリオシン海岸
4. 天気輪のワルツ
5. 鳥を捕る人
6. ジョバンニの風景
7. 北十字
8. サザンクロスの祈り ~New World~
9. カムパネルラ
10. 銀河鉄道の夜 (reprise)

except track8:「新世界より 第二楽章」/アントニン・ドヴォルザーク

Produced by 久石譲
All Songs Composed and Arranged by 久石譲

All Instruments Performed by 久石譲
except:原えつこ (Violin, Track 3&5) , 諸岡由美子 (Cello, Track 5)

イラストレーション:東逸子
原作:宮沢賢治