Info. 2020/09/01 久石譲 Composer in Residence and Music Partner 就任 新日本フィルハーモニー交響楽団

Posted on 2020/07/31

久石 譲氏 Composer in Residence and Music Partner 就任のお知らせ(新日本フィルハーモニー交響楽団)

2020年9月1日より、久石譲氏が Composer in Residence and Music Partnerとして就任することとなりました。 “Info. 2020/09/01 久石譲 Composer in Residence and Music Partner 就任 新日本フィルハーモニー交響楽団” の続きを読む

Info. 2020/07/31 小澤征爾、原田慶太楼、久石譲ら各界著名人よりコメントが到着『ジョン・ウィリアムズ ライヴ・イン・ウィーン』(Web SPICEより)

Posted on 2020/07/31

小澤征爾、原田慶太楼、久石譲ら各界著名人よりコメントが到着『ジョン・ウィリアムズ ライヴ・イン・ウィーン』

2020年8月14日(金)発売のライヴ・アルバム『ジョン・ウィリアムズ ライヴ・イン・ウィーン』。本アルバムに各界著名人から寄せられた推薦コメントが到着した。また、「ハリー・ポッター」テーマ曲のティザー映像も本日7月31日(金)より公開となった。 “Info. 2020/07/31 小澤征爾、原田慶太楼、久石譲ら各界著名人よりコメントが到着『ジョン・ウィリアムズ ライヴ・イン・ウィーン』(Web SPICEより)” の続きを読む

Info. 2020/07/31 久石譲が日本センチュリー交響楽団の首席客演指揮者に就任 (Web SPICEより)

Posted on 2020/07/31

久石譲が日本センチュリー交響楽団の首席客演指揮者に就任

2021年の4月より、日本センチュリー交響楽団の首席客演指揮者に久石譲が就任する。

スタジオジブリ作品の音楽制作で知られる作曲家 久石譲だが、最近はオーケストラの作品作りに取り組む傍らで、ロンドン交響楽団や香港フィルハーモニー管弦楽団を定期的に指揮するなど、指揮者としての活動も精力的にこなしている。 “Info. 2020/07/31 久石譲が日本センチュリー交響楽団の首席客演指揮者に就任 (Web SPICEより)” の続きを読む

Info. 2020/07/09 [久石譲:Melody Road]日本センチュリー交響楽団WebコンサートVol.7 動画公開

Posted on 2020/07/29

2021年4月より、久石譲が当団の首席客演指揮者に就任することが決定いたしました!

これまでも幾度となく共演を重ね、その心に響く音作りや、楽譜の新鮮な解釈に、私たちはいつも心を奪われてきました。
「現代の音楽を知る者の視点で、クラシック音楽に取り組みたい」と語る久石氏。
来シーズンより共にどんな音楽を作っていけるのか、楽団員一同楽しみでなりません。
歓迎の意を込めて、久石譲の映画音楽の魅力が詰まった作品”Melody Road”を演奏致しました。
久石作品の限りない魅力をご堪能頂くと共に、氏を迎えて更に進化する日本センチュリー交響楽団にどうぞご期待下さい!

 

[久石譲:Melody Road]日本センチュリー交響楽団WebコンサートVol.7

◆久石譲 作曲/ 弦楽四重奏曲集 カルテット より “Melody Road”
(全音楽譜出版社:久石譲ライブラリー)

【演奏者】
[Concertmaster]松浦奈々
[Violin]池原衣美、小川和代、関晴水、中屋響、道橋倫子
[Viola]須田祥子、飯田隆、森亜紀子
[Cello]北口大輔、渡邉弾楽
[Contrabass]村田和幸

 

◆Joe Hisaishi:Melody Road
It is a great privilege to announce that we will have Joe Hisaishi as our Principal Guest Conductor for the coming season starting in April 2021.

All the members of Japan Century Symphony Orchestra are delighted to perform and create epoch-making music with the composer and conductor of world-wide fame.

To extend our warm welcome to Joe Hisaishi, we are presenting his “Melody Road”, a medley piece of his famous film-music works.
Please look forward to it!

 

***ご寄付のお礼とご案内***
日頃より日本センチュリー交響楽団の活動を応援いただき誠にありがとうございます。
新型コロナウイルスの影響によりコンサートの開催が困難な状況が続いておりましたが、
先月末より、ソーシャルディスタンスに充分に配慮した形でコンサートを再開し始めました。
とはいえ、奏者やお客様の数を大幅に減らすなどの策を講じることになるため、まだまだ通常のコンサートのように多くの皆様に会場でお目にかかることは難しい状況です。
コンサートホールや配信ライブでの演奏に加えて、このWebコンサートシリーズにおいても、引き続き音楽をお楽しみ頂ければと存じます。

大変有難いことに、当楽団の動画をご覧になったお客様よりご寄付のお申し出を頂いております。
皆様からの温かいご支援がどれほど励みになることか、言い表す言葉も見つかりません。
日本センチュリー交響楽団の楽員・スタッフ一同、心よりお礼を申し上げます。
温かい応援のお気持ちに感謝するとともに、ご支援のお申し出・お問合わせを引き続きいただいておりますので、この場を借りて、下記の寄付サイトのご案内をさせていただきたいと思います。

小口寄付のご案内
https://www.century-orchestra.jp/support/donate.html

ただいま「小口寄付」にて1000円からのご寄付をお受けしております。 私たちはいつも、音楽を通して皆さまと繋がりたいと思っています。
今後とも日本センチュリー交響楽団をどうぞ宜しくお願い致します。

Official Website→ https://www.century-orchestra.jp/
Facebook→ https://facebook.com/JapanCentury
Twitter→ https://twitter.com/Japan_Century

from 日本センチュリー交響楽団 YouTube

 

 

 

Blog. 「レコード芸術 2020年8月号」ブラームス:交響曲第1番 久石譲 FOC 最新盤レヴュー・評

Posted on 2020/07/27

クラシック音楽雑誌「レコード芸術 2020年8月号 Vol.69 No.839」、先取り!最新盤レヴュー コーナーに『ブラームス:交響曲第1番/久石譲指揮 フューチャー・オーケストラ・クラシックス』が掲載されました。

ここで紹介されるものは、次月号「新譜月報」に登場するディスクから要チェックアイテムを先行紹介するもの、来月号にも期待です。

 

 

先取り!最新盤レヴュー

一騎当千の手練たちがバンドのように燃焼する

久石譲とフューチャー・オーケストラ・クラシックスのブラームス:交響曲第1番が登場

 

ベートーヴェンをきっかけに風向きは変わり始めた

久石譲は、宮崎駿監督のアニメなど映画音楽の作曲家として名高いが、近年はクラシック音楽の指揮者としても活躍している。

国立音楽大学作曲科の学生時代に影響を受けたミニマル・ミュージックの紹介と、自作の新作初演にも力を入れているが、それと並行して、19世紀の交響曲の指揮でも着実に経験を重ねて、成果をあげつつある。

10年ほど前、東京フィルや新日本フィルを指揮した演奏会やそのライヴ録音のCDが出はじめたころは、博物館行きではない、生き生きとした音楽を聴かせたいという思い自体はよくわかったものの、楽員たちとの意思疎通にもどかしさが残り、十分な結果につながらないうらみがあった。

しかし、評価は変わりつつある。転機となったのは、2016年に開館した長野市芸術館の芸術監督として、新たに結成したナガノ・チェンバー・オーケストラ(CDではフューチャー・オーケストラ・クラシックスと改称)を18年まで毎年夏に指揮して、ライヴ録音によるベートーヴェンの交響曲全集を完成させたことだ。

本格派を自負するようなクラシック好きはどうしても、その活動を「アニメで儲けた作曲家の余技」と、よく聴きもしないうちに軽侮しがちだが、それだけで片づけてしまうにはもったいない演奏を、このベートーヴェンでは聴くことができた。

現在は、ベートーヴェンの交響曲はヨーロッパを中心に、第1ヴァイオリン12人以下の編成で演奏するものが主流となっている。久石もその傾向に則り、室内オーケストラのサイズで、快速で弾力に富んだ演奏を展開していた。

 

一気呵成に進行するダイナミックな音楽

今回のブラームスの交響曲第1番も、同様の方式によっている。弦楽器は10~10~8~6~5という編成で、ヴァイオリンは舞台の左右に分かれる対向配置。チェロとコントラバスは第1ヴァイオリンの後ろにいる。

ヴィブラートは少なめに、音の減衰を早めにして弾ませ、第1楽章の序奏から速いテンポで、音楽を一気呵成に進行させる。チェロとコントラバス、打楽器とハープ以外の全員が立奏しているのも、音楽のダイナミックな動きにつながっている。

現代のブラームス演奏は、前期と後期のロマン派様式の境目に位置して、どちらもさかんなだけでなく、双方に利点と説得力がある。久石の演奏はもちろん前者だ。

ナガノ・チェンバー・オーケストラから新たに東京を活動の中心に移し、フューチャー・オーケストラ・クラシックスと名を変えたアンサンブルには、国内の交響楽団の首席奏者など俊英がつどって、まことにイキがいい。久石の指揮のもと、思いきりやってやろうという意欲が伝わってくる。

顔の見えない巨大集団ではなく、個性を持った演奏家たちがバンドのように合奏する。近年のヨーロッパのありかたが、ようやく日本にも伝わってきているようで、嬉しい。コンサートマスターの近藤薫、ホルンの福川伸陽などのソロの鮮やかさも際だっている。

来年7月までにブラームスの残りの交響曲を演奏する計画は、コロナ禍のために中止となってしまったが、再起と実現を待ちたい。

山崎浩太郎

(レコード芸術 2020年8月号 Vol.69 No.839 より)

 

 

 

 

 

Info. 2021/04 久石譲 日本センチュリー交響楽団 首席客演指揮者 就任へ

Posted on 2020/07/22

【NEWS:日本センチュリー交響楽団 久石譲 首席客演指揮者就任決定!!】

2021年4月より、久石譲が日本センチュリー交響楽団の首席客演指揮者に就任することが決定いたしました。

クラシカルな作品から映画音楽まで幅広く活躍の場を広げる日本を代表する作曲家・久石譲がプロオーケストラの正指揮者ポストに就くのは初めてのことです。 “Info. 2021/04 久石譲 日本センチュリー交響楽団 首席客演指揮者 就任へ” の続きを読む

Disc. 久石譲指揮 フューチャー・オーケストラ・クラシックス 『ブラームス:交響曲第1番』

2020年7月22日 CD発売 OVCL-00733

 

新クラシック誕生!
発見と喜びのブラームス・ツィクルス。

クラシック音楽界に旋風を巻き起こした、久石譲が指揮するベートーヴェン・ツィクルスに続くのは、ブラームスの交響曲です。作曲家の視点から緻密に分析し、読み取った音楽は、国内の若手トッププレーヤーによる「フューチャー・オーケストラ・クラシックス」が明快かつ躍動的に表現し、新たな発見に満ちたブラームスとなっています。当録音のコンサートでは、立奏スタイルを採用したことも話題となりました。新たなブラームス像をここにお届けします。

(CD帯より)

 

 

ベートーヴェンからブラームスへ、作曲家としての視点でスコアを読み解く久石譲&FOCの新しい挑戦。

オヤマダ アツシ

クラシック音楽を聴いている方であれば思い当たる節もあると思うが、何度も繰り返し聴いてきた作品であるほど新鮮さが失われていくのと同時に、それを覆すような演奏に出会えたときの衝撃や喜びは計り知れないものがある。2016年7月、長野市芸術館で久石譲指揮によるナガノ・チェンバー・オーケストラのベートーヴェン(交響曲第1番・第2番)を聴いたときの筆者は、まさに「ああ、まだこんなアプローチがあったのか!」というわくわくした思いを味わい、手元にスコアがないことを口惜しく感じたものだった。

クラシックの演奏家たちは作曲家が残してくれた楽譜を一番の拠り所として、(校訂者により細部の相違があろうとも)読み取ったものをどう形にしていくか、使命感にあふれていることだろう。その審美眼とアプローチは当然ながら音楽家によって異なる。久石譲のベートーヴェンはどうだっただろうか。指揮者という役割を担いながらも”同じ作曲家”としての思考や視点を基本的な立ち位置として、独自の透視光線をスコアへ当てることにより、自らのアプローチを獲得したといえる。つまり楽譜が何を要求していて(=作曲家は楽譜に何を託していて)どう表現して欲しいのかを考え、それを洗い出すことであるべき姿を形にしていくということだ。もちろんそうした過程は多くの指揮者が辿っていることでもあるのだが、久石の場合、独自の視点とした拠り所のひとつが「ミニマル・ミュージック」(およびポスト・ミニマル・ミュージック)だったことで、それが演奏の個性へと直結することとなった。

「自分はミニマル・ミュージックに大きな影響を受けた作曲家ですから、まずは音価をきちんと揃えてリズムを軸とした音楽を構築しないと作品が成立しないことを知っています。そのアプローチでベートーヴェンのスコアを見直してみると、目立たなかった伴奏の音型が雄弁だと気がついたり、メロディと伴奏型のリズムが主従の関係ではなく、互いに反応し合って一体化していたり対立構造にあったりと新鮮な発見がたくさんあり、結果的に『やっぱりすごいな、ベートーヴェンは!』とため息をついてしまうほどでした」(「レコード芸術」誌のため「ベートーヴェン:交響曲全集」のインタビューをした際のコメントより)

こうした発見と驚きは、そのまま新しいプロジェクトであるブラームスの交響曲サイクルへとつながっていく。音楽史的にも両者の関係は深く、スコアの構築スタイルは異なることもあるにせよ、ブラームスはベートーヴェンの精神を受け継いだ古典的なスタイルで交響曲を発展させ、19世紀ロマン派音楽という大きな渦の中で独自の世界を築き上げた作曲家だ。その演奏スタイルも、20世紀の中盤あたりまで求められた重厚さや権威的な志向から、いわゆる古楽的な視点を軸にしたピリオド・アプローチによる作品の再検証時代を経て、スコアを自由に読み解くことで新しい演奏スタイルを生み出すことが許される時代となった。久石譲とスーパー・オーケストラ「フューチャー・オーケストラ・クラシックス」によるベートーヴェンやブラームスは、まさにそうした時代の象徴的な演奏であるわけだ。

サイクルの第1弾となった交響曲第1番でも基本的に速いテンポを採用し(いや「採用」という能動的な姿勢ではなく、そう書いてあることをアルデンテのような感覚で提示した、ということになるのだろうか)、明快な発音とフレージング、それによって浮き上がる対位法の綾などがこの演奏の特徴になっている。たとえば、第1楽章の序奏をかなり速いテンポで演奏することによって主部とのつながりを浮かび上がらせ、楽章全体の熱狂的躍動感を一貫して持続させることは、ベートーヴェンとの近似性を強調することへつながるかもしれない。Andante sostenutoと指示された第2楽章はひとときの安らぎを提示してくれる音楽ではあるものの、隠れがちなオスティナート風のリズムが浮き出ることで舞曲風の性格が顔を出す。こうした、聴き手の耳を捉える瞬間が散りばめられ、発見の喜びへと誘導することこそが、この演奏の存在意義だといえるだろう。

もちろん、それを実現するにあたり”音を出さない指揮者”のパートナーである「フューチャー・オーケストラ・クラシックス」の存在は欠かせないものだ。コンサートマスターの近藤薫をはじめ、ベートーヴェンを共に演奏したメンバーも多い中、ブラームスのコンサートでは基本的に立奏によるスタイル(チェロなど一部の楽器を除き、メンバーは立って演奏)を採用し、さらに斬新な演奏を繰り広げている。

「僕は専門の指揮者ではないという強みもあって、”作曲家が指揮をしている”という姿勢を崩すことなく、どのような作品に対しても同様にアプローチをしています。だから常に新しい目で楽譜を見ないといけませんし、時代性を演奏に映し出していくことも大切。作曲家というのは『今まで聴いたことがない音楽を作りたい』と考えていますから、その姿勢は指揮者という立場になっても変わりません。そうやって演奏を進化させ、常に何かを引っかき回したいとも思ってるんですよ」

久石のこうした明快なスタンスがそのまま演奏のコンセプトとなり、ブラームスの交響曲サイクルは新しい時代の響きを創造しながら、第2番以降も続いていく。

(おやまだ・あつし)

(CDライナーノーツより)

 

 

曲目解説
寺西基之

ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 作品68

ヨハネス・ブラームス(1833-97)は19世紀のロマン派時代における古典主義者と見なされることが多い。確かに彼は伝統を尊重した作曲家であり、新しいスタイルや音語法を求めたリストやワーグナーなどの新ドイツ派に対して批判的な態度をとった。それだけに伝統ジャンルの中でもとりわけ重要な交響曲という曲種を手掛けることは、彼にとってきわめて重い意味を持っていた。特に彼は先人ベートーヴェンを強く意識していたから、生来の自己批判的な性癖とも相俟って、初めての交響曲の作曲には慎重にならざるを得なかった。第1交響曲の最初の構想がなされたのは初期の1855年頃だが、そうした慎重さゆえに、結局完成までには実に20年以上の歳月がかかってしまうこととなるのである。

もちろん伝統を重視したとはいってもブラームスは決して頑なな保守主義者だったわけではない。19世紀後半においてもきわめて古典的な作風の作品を書いていたマイナーな作曲家は多数いた。ブラームスはそうした作曲家とは違い、19世紀の芸術家らしく内面的なロマン的感情表現を何より重んじた。例えば恩人ローベルト・シューマンの妻クラーラに対する思慕の情が彼の多くの作品のうちに影を落としていることはよく知られている。そうしたロマン的な内面感情の表現を伝統的な様式と結び付けていくところに、ブラームスは自らの道を探っていったのである。

とりわけ交響曲は、伝統ジャンルの中でも特に規模も編成も大きく、また論理的な構築性を求められる曲種だけに、彼にとってそこにいかにロマン的な感情表現を結び付けていくかが大きな課題となったと思われる。完成までの長い年月は、そうした課題の解決法を探っていく過程でもあったのだろう。何度にもわかる創作の中断や、作曲した部分を結局やめて他の曲に転用するといった方向転換など、数々の試行錯誤と模索の繰り返しーベートーヴェンの輝かしい業績とその伝統の重みを受け継ぎつつ、ロマン派時代にふさわしい交響曲を書こうという、そうした彼の苦労は、1870年に彼がヘルマン・レーヴィに対して語った「私は交響曲はもう書くまい。私のようなものが四六時中自分の後ろで、あれほど偉大な人物(ベートーヴェン)の足音を聞いているときの気持ちがいかなるものか、わかってもらえないだろう」という、いささかやけ気味の言葉にも窺える。

そうした模索の中でブラームスがようやく自分の交響曲の表現方法を見いだしていくようになったのは、この言葉を発してからしばらくたった1874年のことだった。この時期から彼は自信をもって完成へ向けての創作に本腰を入れるようになり、こうして2年後の1876年に全曲はついに完成されることになる。初演は同年の11月4日にカールスエールにおいてオットー・デッソフの指揮で行われたが、その後もブラームスはさらに第2楽章を大幅に書き直し、現在演奏されているような決定稿がやっと仕上げられたのであった。

こうした難産の末に生み出された第1交響曲は、綿密な論理的書法ー徹底した主題労作、暗→明という全体の構図、2管編成の無駄のない管弦楽法などーのうちに豊かなロマン的な感情表現を湛えており、長年の苦心の努力が見事に結実した傑作となっている。

第1楽章はまず緊迫した序奏(ウン・ポーコ・ソステヌート、ハ短調、8分の6拍子)が置かれているが、そこに現れる半音階的動きは全曲にわたっての重要な要素となる。主部(アレグロ)は重苦しい緊張と劇的な起伏のうちに進行していく。

第2楽章(アンダンテ・ソステヌート、ホ長調、4分の3拍子)は豊かな情感を湛えた3部形式の緩徐楽章。主部再現においてヴァイオリン独奏がホルンを伴いつつ主題を歌い上げるのが印象的だ。

第3楽章(ウン・ポーコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ、変イ長調、4分の2拍子)は、伝統的なスケルツォを採用せず、優美な間奏曲風の中間楽章となっている。

第4楽章は不安な緊張の漂う序奏(アダージョ、ハ短調、4分の4拍子)で開始される。その緊張が頂点に達したところで、突如霧を晴らすかのような明るい主題(ピウ・アンダンテ、ハ長調)をホルンが朗々と奏するが、暗から明に移行する箇所に現れるこの主題がクラーラ・シューマンの誕生日にブラームスが贈った旋律(ブラームスの作ではなく彼がアルプスで聞いた旋律で、彼はそれに「山高く、谷深く、あなた[=クラーラ]に千回もお祝いを述べよう」という歌詞を付けている)の引用であるのは、この作品にクラーラへの思慕を込めたことを示唆するものだろうか。そして荘厳なコラールを挟んで、主部(アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・ブリオ、ハ長調)に入り、明るい第1主題が朗々と歌われ、展開部を再現部に組み入れた自由なソナタ形式のうちにダイナミックな展開が繰り広げられている。最後のコーダでは、序奏に示されたコラールも力強く再現され、圧倒的な高揚のうちに全曲が閉じられる。

(てらにし・もとゆき)

(CDライナーノーツより)

 

*ライナーノーツ全文 日・英文 

 

 

フューチャー・オーケストラ・クラシックス
Future Orchestra Classics(FOC)

2019年に久石譲の呼び掛けのもと新たな名称で再スタートを切ったオーケストラ。2016年から長野市芸術館を本拠地として活動していた元ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)を母体とし、国内外で活躍する若手トップクラスの演奏家たちが集結。作曲家・久石譲ならではの視点で分析したリズムを重視した演奏は、推進力と活力に溢れ、革新的なアプローチでクラシック音楽を現代に蘇らせる。久石作品を含む「現代の音楽」を織り交ぜたプログラムが好評を博している。2016年から3年をかけ、ベートーヴェンの交響曲全曲演奏に取り組んだ、久石がプロデュースする「MUSIC FUTURE」のコンセプトを取り込み、日本から世界へ発信するオーケストラとしての展開を目指している。

(CDライナーノーツより)

 

 

 

「奇をてらったわけではない。ブラームスは今、いかにもドイツ風に重々しく演奏されるが、楽譜には『ウン・ポーコ・ソステヌート』、つまり(音の長さを保つ)テヌート気味に演奏する、としか書いていない。しかも初演は40人で演奏したとか。重々しいブラームスをやったわけがない。書かれたことをきっちり表現し、まだクラシックにこんな可能性がある、と提示できれば」

「ビブラートはいかにも豊かには聞こえるが、雑音も増すし、音が遠くまで飛ばなくなる。古楽器の奏法をまねしたわけではなく、リズムにベースを置いて、スピード感を大事にするやり方に合わないからやめた」

「合わせるところは世界で一番きっちり合わせ、歌うところは歌う。使い分けられるようになれば、オケの表現力はすごく広くなる」

「ブラームスが迷いながら作った交響曲第1番の第1楽章は絶えず不安定。それを本番で振っていて、最も『今的』と思った。世界がこんなに混沌としているじゃないですか」

Blog. 読売新聞夕刊 3月5日付 「久石譲 未来形ブラームス」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

 

ブラームス
交響曲 第1番 ハ短調 作品68

1. Un poco sostenuto – Allegro
2. Andante sostenuto
3. Un poco Allegeretto e grazioso
4. Adagio -Piu Andante – Allegro troppo, ma con brio

Total Time 39:42

久石譲(指揮)
フューチャー・オーケストラ・クラシックス

2020年2月12-13日 東京オペラシティ コンサートホールにてライヴ収録

高音質 DSD11.2MHz録音 [Hybrid Layer Disc]

 

Info. 2020/08/19 『Kikiʼs Delivery Service Suite/久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ』CD発売決定!!

Posted on 2020/07/21

久石譲&WDO、待望のニューアルバムが発売決定しました!

 

商品紹介

2019年に初演された「World Dreams」と「魔女の宅急便」の2大組曲を軸に久石メロディを堪能できるW.D.O.2019コンサートライヴ盤。 “Info. 2020/08/19 『Kikiʼs Delivery Service Suite/久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ』CD発売決定!!” の続きを読む

Info. 2020/08/04 「久石譲、ベートーヴェンを振る!」新日本フィルハーモニー交響楽団 コンサート決定!! 【7/15 Update!!】

Posted on 2020/03/25

毎年夏に開催されている音楽祭、「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2020」。今年は久石譲×新日本フィルがラインナップされています。数年前、同フェスタ開催期間中にW.D.O.コンサートが組み込まれたこともあります。 “Info. 2020/08/04 「久石譲、ベートーヴェンを振る!」新日本フィルハーモニー交響楽団 コンサート決定!! 【7/15 Update!!】” の続きを読む