Disc. 久石譲 『Prime of Youth』 *Unreleased

2010年 委嘱

 

2010年11月5日~2011年1月16日開催「久石譲アジアツアー2010」にて初演(東京/大阪/韓国のみプログラム)。

■Prime of Youth
2010年、大阪青年会議所のピース・カンファレンス・オブ・ユース事業のテーマソングとして書き下ろされた。ファンファーレのように高らかに鳴り響く冒頭と、それに続く8分の11拍子の変拍子のリズムから紡ぎだされるミニマル・ミュージックとシンフォニックな響きが特徴的な作品。

 

 

2015.11. 追記

2015年12月11日開催「久石譲 第九スペシャル 2015」にて、「Orbis ~混声合唱、オルガンとオーケストラのための~」の第3楽章に組み込まれる。合唱編成をともなう加筆と修正によって新たに改作されている。

 

 

Disc. 久石譲 『Melodyphony メロディフォニー ~Best of JOE HISAISHI〜』

久石譲 『メロディフォニー』

2010年10月27日 CD発売
2CD+DVD(初回限定盤A)UMCK-9386
CD+DVD(初回限定盤B)UMCK-9387
CD(通常盤)UMCK-1369
2018年4月25日 LP発売 UMJK-9079/80

 

一般アンケートで上位に選ばれた楽曲を中心に 「誰もが知っている久石譲メロディー」 を久石譲の指揮・ピアノと世界最高峰のオーケストラ、ロンドン交響楽団の演奏で贈るベストアルバム。

 

 

Joe Hisaishi “Melodyphony” に寄せて

スピーカーからオープニングを飾る「Water Traveller」が流れ出してすぐに僕はその見事なオーケストレーションに唸らされた。以前から映画音楽からCM音楽、自身のアルバム、それにコンサート活動、イベント制作に至るまで驚くべき仕事量をどれも高いクオリティでこなしてきた久石譲は3年ほど前からさらにそのレベルを上げ、創作活動を拡大、かつ加速させている感があるが、聴き進めていくうちに『Melodyphony』と題されたこの新作には久石譲の音楽を創ることの喜びと自信がみなぎっているとはっきりと思った。

収録されているのは映画『水の旅人~侍KIDS』のメインテーマである「Water Traveller」から映画『となりのトトロ』のエンディング曲「My Neighbor TOTORO」まで全9曲。僕はこれまでにも幾度となく、久石譲の手になる曲がまるで魔法のように形を変え、新たな魅力を持った作品になってしまうのをコンサート会場で目撃、またCDでも耳にしてきたが、一般のファンからの投票も受けつけて選ばれた曲は、ロンドン交響楽団という世界最高峰と称賛されているオーケストラと久石譲の完璧ともいえるコラボレーションによって、時空を超えたマジカルな作品になっている。

同じロンドン交響楽団とロンドンのアビー・ロード・スタジオでレコーディングされた『ミニマリズム』が深い森のような、とても入り組んだ構造を持ち、神秘的ともいえる雰囲気を漂わせていたのに対し、この『Melodyphony』はこれまでに本当に多くの人に感動と夢を与えてきた久石メロディが大きな客船や帆船になり、大海原を航海しているような印象を受ける作品。完成したばかりのCDと一緒に手元に届けられたDVDにはロンドン交響楽団とのレコーディング風景とともにインタビューも収録されていたが、「2度目であるということもあって非常にいい協調する関係ができ、去年よりもお互いに理解しあえた。1回目より2回目、2回目より3回目とうまくいってれば、音楽の上でもすごくコミュニケーションがとれる。ほぼ去年と同じメンバーの人たちがマリンバとかすごく難しいところがあるとか、去年と同じとか、デジャ・ヴとか言ってけっこう楽しみながら演奏してたから自分が書いている音楽のスタイルが理解してもらえたっていうのがある」と満足気に話す久石譲のロンドン交響楽団についてのコメントは何故彼が多忙なスケジュールをさいてロンドンまで出かけ、ロンドン交響楽団と一緒にレコーディングするのかの解答にもなっていると思う。

そして「こういうセッションのレコーディングっていうのは、1曲1時間半ぐらいであげていかなきゃならないんですけど、それにしては音符の数とか難易度は非常に高い。でも、そのレベルをこなしてしまうというロンドン交響楽団の奥深さというか、弦はどんな高い所であってもヒリヒリはしてこないし、豊かで下まで響いている音を作ってくれる。それからホルンも含めて難しいものを難しいように演奏するのではなく、音楽的に表現する。やはりこの辺で世界最高峰のオケなんだなとすごく思いました。」というコメント。

このコメントはそのままメロディとシンフォニーという言葉の造語である『Melodyphony』というアルバムの魅力、聴きどころを言い当ててもいる。

「難しいものを難しいように演奏るのではなく、音楽的に表現する」という言葉は作曲家、編曲家、ピアニスト、プロデューサーという肩書きに数年前から指揮者という肩書も加わり、昨年にはクラシックの指揮者デビューまで果たしてしまった久石譲の作り出す作品全てに共通する魅力であり、久石譲がアルバムのレコーディング・エンジニアであるピーター・コービンも口にしていた通り”Special Musician”であることの大きなポイントでもあるが、音楽の構築力ということでは世界でも有数のアーティストではないだろうか。

軽い思いつきや簡単なひらめきなどから生まれた音楽とは全く次元が違う、十分に練り上げられ、精密な作業を続けた結果として高みに位置している久石譲の音楽。この『Melodyphony』制作の動機についても「昨年『ミニマリズム』ってアルバムを作って、長い間の夢だったミニマル・ミュージックが出来上がったんですが、同時に自分がやってきたメロディアスなオーケストラを録りたいと思っていたんです。ミニマリズムは出来たけれど、その作家性の部分と、メロディ・メイカーというか、メロディを作っていく自分というのを両方出したい。それを昨年ここでレコーディングが終わった時から思っていて、年が明けてこれはやはり両方あって自分ではないかという思いがどんどん強くなった。ミニマリズムっていうのはミニマルとリズムという言葉の合成語だったんだけど、今回はメロディとシンフォニックなオーケストラ、メロディとシンフォニー、これが合体することでメロディフォニーっていうアルバムを作る、これで全て自分が表現できる、そう思えた」と話しているが、その思い、発想は完璧かつ理想的な形で1枚のCDに結実している。

「昔の作品はもっと編成が小さかったので、それを今回用に直したりすることと、映像音楽として書いた曲はそのままになっていてコンサート・ピースとしては完成させていないものが多かったので、それを今回まとめて作品として聴けるようにすることを考えた。例えば『坂の上の雲』もものすごい量があるわけですよ。それを11~2分にきっちり作品としてまとめる。あるいは『魔女の宅急便』、個人的には1回もレコーディングしていない。武道館で演ったりはしたけれど、CDとしてはないので、今回きちんと弦とピアノでやるとか、そういうことで今、現在としてのメロディとシンフォニック・オーケストラが一番合体する方法、それを一番気をつけました。ただ選ぶ段階で、インターネットなどでみなさんに投票してもらって、何が聴きたいのか、それも参考にして上位に入っているものはほとんど網羅しましたね」という言葉はそれをはっきりと裏付けているし、今やオーケストラを自由自在に操る才能ということでは、かけがえのない音楽家になっているのではないだろうか。ピーター・コービンが口にしていた”Best musician in the World”という言葉もとても現実味をおびている。

だから、僕は出来る限りの音量でこの『Melodyphony』を聴いて欲しいと思う。20年以上の時を超えて、メロディがシンフォニー・オーケストラと合体した作品群が聴く者にもたらしてくれる高揚感は”良い音楽”の力と永遠性を実感させてくれるし、聴き慣れた曲がまるで魔法のように変化していく様は久石版”ファンタジア”と形容してもいいかも知れない。

僕はこの『Melodyphony』を聴くときに、久石譲がクラシックの指揮者デビューを果たした記念すべきアルバム「JOE HISAISHI CLASSICS 1 ドヴォルザーク 交響曲第9番 《新世界より》/シューベルト 交響曲第7番 《未完成》」のライヴ録音の際に語った「ドヴォルザークはチェコの偉大な作曲家だ。彼は今でいう最も優れたキャッチーな作曲家だろう。スコアを追っていくとよくわかるのだが、とても緻密に、色々なモチーフ(音型)を散りばめ、沢山構築している。ところが、幸か不幸か、あまりにもメロディがキャッチーすぎるため、我々はその裏側に隠された彼の緻密さになかなか気づくことができないのである」という言葉の”ドヴォルザーク”をそのまま”久石譲”に置きかえると、久石ワールドを聴き手に十分に堪能させながら新しいアプローチや様々な仕掛けをしているこのアルバムの”凄さ”がわかることをつけ加えておきたい。「シューベルトの一番わかりやすい天才的な部分は、ハーモニー感覚の凄さだ。普通は、ある調からある調に移るには正当な手続きを踏んで新たなキーに転調するように書くのだが、シューベルトはたった一音で次の調に自然に転調してしまう。これほどの天才は他に見たことがない」という言葉もそこにつながっていく。

そして、もしまだ久石譲の原点ともいえる「MKWAJU」から「自分の中のクラシック音楽に重点を置き、音楽的な意味での、例えば複合的なリズムの組み合わせであるとか、冒頭に出てくる四度、五度の要素をどこまで発展させて音楽的な建築物を作るか、ということを純粋に突き詰めていった。」…と本人が書いている「Sinfonia」、「The End of the World」といった魅力的な作品が収録された『ミニマリズム』をお持ちでない人がいたら、すぐ手に入れて、連続して聴いて欲しいと思う。僕はこの原稿を書くため、以前久石譲も出演してくれたことがある彫刻の森美術館でのコンサートの仕事をするべく箱根に向かう車の中で久しぶりに『ミニマリズム』を聴き、クラクラするくらいの魅惑的空間に連れていかれたが、ラストの「DA・MA・SHI・絵」が終わってすぐに流れ始めた「Water Traveller」を聴いた時に、この2枚のアルバムは完全に一対のものであることがよくわかった。

その音楽性の幅広さと完成度の高さ。僕は今回の『Melodyphony』を初めて聴いた時、一体この人はどこまで飛翔していくのだろうかと思わされたが、「サントリー 1万人の第九」の25周年記念序曲として2007年に作曲された「Orbis」はメロディとシンフォニー・オーケストラの合体に、さらに現代音楽の要素が大胆に盛り込まれた久石譲ならではの作品に仕上がっていることも最後につけ加えておきたい。

『ミニマリズム』にも参加していたロンドンでは由緒ある合唱団、London Voicesとパイプオルガンを加えて出来上がった華やかな祝典序曲。ラテン語の”Orbis”には”環”や”輪”などの意味もあり、本人は生命の起源となる水の小さな水泡が繋がって、やがて大きな環となるようなイメージで作ったようだが、それはミニマル・ミュージックに対する久石譲の思いそのものでもあり、もし図形で表すとすると、この曲が『ミニマリズム』をつなぐポイントになると思う。

久石譲自身が『Melodyphony』の核になっていると感じているというのも納得できる。DVDの中で久石譲は「ひとつひとつの仕事を区切りにしながら挑戦して解消し、次のことを考えていく…」という言葉も口にしていたが、『Melodyphony』はその姿勢が見事に反映したアルバムであり、これからもその歩みは決して止まることがないだろう。その歩みを追いかけることは今や僕の楽しみになっている。

2010年夏 箱根にて 立川直樹

(CDライナーノーツより 抜粋)

 

 

『ミニマリズム』 『メロディフォニー』 久石譲インタビュー内容(Web/DVD収録)

音楽業界では、世界で最高峰の機材を英国人たちが作っているんですよ。「ロード・オブ・ザ・リング」も「ハリー・ポッター」も、サウンド・トラックはロンドンで録音していますよね。ハリウッド映画だって、一番大事な音楽はほとんどロンドンで録ってるんですよ。すると、やはりここは世界で一番良い音楽環境ということになる。ロンドンでのレコーディングを続けていると、そのレベルを絶えず意識させられます。

ロンドン交響楽団とは、15年くらい前に、「水の旅人 -侍KIDS」という映画のテーマ音楽を録ったんですね。また昨年には、前作となる「ミニマリズム」の録音も行いました。日本以外で音楽を表現できる場として、ロンドンでの活動がまた復活したというのがうれしいですね。

私には、大きな夢が2つありました。一つは、芸術家としての自分が追い求める、ミニマル・ミュージックをテーマとしたアルバムを完成させること。この目標は、昨年の時点で「ミニマリズム」というアルバムを完成させることで実現しました。ただそれだけではなくてもう一つ、これもやはり自分が長年続けてきた映画音楽やテレビ・ドラマのサウンド・トラックに代表されるメロディアスな音楽を、オーケストラを使って録りたいと去年からずっと思っていたんですよ。つまり、作家としての自分と、メロディー・メーカーとしての自分の両方を生かしたいというか。去年の「ミニマリズム」の録音時に書いていたノートを引っくり返してみると、両方の種類の音楽についてのメモを残しているんですね。年が明けて考えてみて、やはりこれは両方あってこそ自分の姿ではないか、と強く思うようになって。「ミニマリズム」と「メロディフォニー」の2つを持って、自分をすべて表現できるという気持ちです。

レコーディングでこちらに来る直前まで編曲作業などを行っていたので、ピアノを触る時間が1日に1時間もなかったんですよ。ピアノは間違いなく練習量が比例してくる楽器ですから。通常だと1日7、8時間は練習するのに、今回は1時間くらいしかできなかった。

3日間にわたってオーケストラとのレコーディングがあり、その後に迎えたピアノ演奏の収録の日は、朝から別の録音作業を始めて、午後は50人くらいのコーラスを指揮して、疲労もピーク。それからピアノの演奏をするのは少し厳しいんじゃないかと思っていたんですが、その中でも実は起きていたんで。限界を超えているときは、変に休まない。確か夜中に4時間くらいぶっ通しでピアノを弾いてました。疲れているときは、ピークを超したらひたすら集中する。休まずにもうひたすらそこに向かったのが、良い結果になったのではないかと思いますね。

もっと完成されたものを考えたい、もっとレベルの高いものをという思いはいつも根底にはあるのですが、結局はディテールの積み重ねなんですよ。一つひとつの仕事を区切りにしながら、一個一個調整をしていく。指揮者としてもきちんとしたものができるようになりたい。もちろん作曲家としても。そういうようなことを僕は考えちゃいますね。

Blog. 久石譲 「ミニマリズム」「メロディフォニー」 Webインタビュー内容

 

 

 

【楽曲解説】

1. Water Traveller
1993年、大林宣彦監督の映画『水の旅人 ~侍KIDS』よりメインテーマ。身長約17センチの水の精霊と主人公の少年の交流を描いた末谷真澄原作の『雨の旅人』を映画化したSFXファンタジー映画。サウンドトラック収録も、ロンドン交響楽団の演奏で行った。当時のオリジナル楽譜のホルン6本の編成を甦らせ、壮大な世界観が見事再現されている。

2. Oriental Wind
2004年より放映中のサントリー緑茶・京都福寿園「伊右衛門」CM曲。今やお茶の間でお馴染みとなった美しい旋律は、黄河のようなアジアの大河の悠々とした流れをイメージしてつくられた。朗々とした格調高い優雅なメロディの裏では、繊細なリズムや激しいパッセージの複雑な内声部が繰り広げられ、より深い味わいを加えている。

3. Kiki’s Delivery Service
1989年、宮崎駿監督の映画『魔女の宅急便』より。「海の見える街」を本アルバムのために、ピアノとヴァイオリン、弦楽オーケストラを主体に書き下ろした楽曲。愛くるしさいっぱいの軽やかなリズムと可憐なメロディ、中間部の大人びたジャジーな曲調は、大人へと成長をとげる魔女の子・キキのように、様々な表情を魅せてくれる。

4. Saka No Ue No Kumo
NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』より。司馬遼太郎の同名長編小説をもとに映像化され、2009年より足掛け3年間にわたり放映。明治時代の過渡期を生きた人々を描く壮大なスケールの物語。重厚なオーケストレーションは日本の五音階と西洋のモダンな音階を融合させ、独自の世界観を引き出している。”凛として立つ”美しき姿をイメージしたというメインテーマ「Stand Alone」を含む、「時代の風」「蹉跌」「戦争の悲劇」の4つのテーマを組曲形式で再構築した。

5. Departures
2008年、米国アカデミー賞外国語映画賞に輝いた滝田洋二郎監督作品、映画『おくりびと』のサウンドトラックより、メインテーマを含む複数の主要テーマを組曲として書き直した。元チェリストの主人公が納棺師になる設定から、チェロをメインに据える楽曲の構想が練られた。楽器の特性を最大限に活かしたメロディは、時には優しく、時には激しく、時折コミカルさも覗かせながら、心の揺れ動きを表現している。

6. Summer
1999年に公開された北野武監督の映画『菊次郎の夏』より、メインテーマ「Summer」。軽快な弦のピッツィカートからはじまる冒頭部と、中間部の美しいピアノの旋律が印象的な楽曲は、ひと夏の冒険を描いた映画の世界を爽やかにうたいあげている。トヨタ「カローラ」のCMでも起用された楽曲。

7. Orbis
「サントリー 1万人の第九」の25周年記念委嘱曲として2007年制作。初演時には、大阪城ホールとサントリーホールとを衛星中継で同時演奏し話題を呼んだ。パイプオルガンとオーケストラ、1万人の合唱から成る華やかな祝典序曲を、フルオーケストラ用に書き直した。散文的なキーワードを組み込んだ歌詞を世界有数の合唱団London Voicesが歌う。生命の起源となる水の小さな水泡が繋がって、やがて大きな環となる…。Orbisとはラテン語で「環」「輪」などの意。

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「Orbis」 ~混声合唱、オルガンとオーケストラのための~
曲名はラテン語で”環”や”繋がり”を意味します。2007年の「サントリー1万人の第九」のために作曲した序曲で、サントリーホールのパイプオルガンと大阪城ホールを二元中継で”繋ぐ”という発想から生まれました。祝典序曲的な華やかな性格と、水面に落ちた水滴が波紋の”環”を広げていくようなイメージを意識しながら作曲しています。歌詞に関しては、ベートーヴェンの《第九》と同じように、いくつかのキーワードとなる言葉を配置し、その言葉の持つアクセントが音楽的要素として器楽の中でどこまで利用できるか、という点に比重を置きました。”声楽曲”のように歌詞の意味内容を深く追求していく音楽とは異なります。言葉として選んだ「レティーシア/歓喜」や「パラディウス/天国」といったラテン語は、結果的にベートーヴェンが《第九》のために選んだ歌詞と近い内容になっていますね。作曲の発想としては、音楽をフレーズごとに組み立てていくのではなく、拍が1拍ずつズレていくミニマル・ミュージックの手法を用いているので、演奏が大変難しい作品です。

「Orbis」ラテン語のキーワード

・Orbis = 環 ・Laetitia = 喜び ・Anima = 魂 ・Sonus, Sonitus =音 ・Paradisus = 天国
・Jubilatio = 歓喜 ・Sol = 太陽 ・Rosa = 薔薇 ・Aqua = 水 ・Caritas, Fraternitatis = 兄弟愛
・Mundus = 世界 ・Victoria = 勝利 ・Amicus = 友人

Blog. 「久石譲 第九スペシャル」 コンサート・プログラムより
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8. One Summer’s Day
2001年公開、宮崎駿監督の映画『千と千尋の神隠し』より「あの夏へ」。神々の住まう不思議な世界に迷い込んでしまった10歳の少女・千尋が、湯屋「油屋」で下働きしながら次第に生きる力を取り戻していく物語。郷愁をかきたてる美しいメロディと、ピアノをフィーチャーした繊細なオーケストレーションは秀逸。

9. My Neighbour TOTORO
1988年の宮崎駿監督作品、映画『となりのトトロ』より、エンディングテーマ曲「となりのトトロ」。父親とともに郊外に引っ越してきたサツキとメイの幼い姉妹が、森で不思議な生き物・トトロと出会う。心躍るファンタジーの要素をふんだんに取り入れたアレンジとシンプルなメロディは、久石譲の代表作の一つ。

(【楽曲解説】 ~CDライナーノーツより)

 

 

【補足】
DVD収録内容について

本作品より選ばれた楽曲のレコーディング映像を編集したものである。またドキュメンタリーなどとは違い、レコーディング映像中心で楽曲も省略されたり途中で終わることなく一曲通して聴くことができるのもありがたい。CDと同じように音楽だけが響いている。CD同様に楽曲を楽しみ、かつパートごとに映し出される楽器や奏者を映像で楽しむことによって、臨場感や緊張感が伝わりより深く作品を味わうことができる。

インタビューに関しては本作品ライナーノーツでの楽曲解説や久石譲インタビューと重複内容も多く、言葉として文章として参考にされたい。

また久石譲インタビューの前に、レコーディング・エンジニアであるピーター・コービンのインタビューも収められている。ここではその内容を一部抜粋して紹介する。海外からみた久石譲、世界屈指の一流音楽家たちからみた久石譲を垣間見ることができる貴重な証言である。

 

「彼は完成された音楽家です。作曲家としてももちろん尊敬していますし、オーケストラにとっては、実際に作曲する指揮者と共に演奏する事が最も幸せな事なのです。言語の違いはあるけれど、コミュニケーションも問題なく、オーケストラの中でも尊敬されています。自分の音楽を誰よりも把握しているし、具体的な指揮をしているからです。リズムとメロディーを通じて、明確な指揮をしていると感じます。」

「去年収録した『ミニマリズム』と今回のアルバムの違いは、前回はリズムが特徴的でしたが、今回のアルバムではメロディーが中心になっています。楽曲から映像が想像できる美しいメロディーが存在しています。映像的なメロディーは、彼の卓越した感性と技術から成るものです。メロディーとリズムを絶妙に組み合わせるのが上手いのです。」

(ピーター・コービン DVD収録インタビューより 書き起こし)

 

 

「つくり終わって大変満足しています。やっとこれでトータルな自分の音楽が完成したなと。なぜかと言うと去年『ミニマリズム』という作家性の強い作品をつくって。その制作中から今回のようなエンタテインメントのメロディー中心の曲をオーケストラで録りたいと思っていたんです。だから2年がかりでひとつのコンセプトが完成したという感じ。自分の持っている内生的な部分と外に向かって人を楽しませたいという部分。その両面をこれで表現できたなと思います。やはりどちらかだけではダメなんですよね。」

「それはですね、映像の仕事の場合、基本的には監督にインスパイアされて、すごく一所懸命曲を書くわけです。ところがやはり映像の制約というものもある。『このシーンは3分です』だとか。だから映像の中のドラマ性に合わせなくてはいけなくて。映像と音楽合わせて100パーセント、もしくは音楽がちょっと足りないくらいがいいときもある。そこから解放されて音楽自体で表現、音楽だけで100に。つまり本来曲がもっている力を音楽的にすべて表現できる。そこが今作なんです。」

Blog. 「週刊アスキー 2010年11月9日号」「メロディフォニー」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「サビの部分で日本のオーケストラは『トトロ…』と歌を知っているので楽譜の音符ではなく、言葉のリズムで弾くんですが、LSOは譜面に忠実に演奏するので、イントネーションが違ってきたんです」

Blog. 「モーストリー・クラシック 2010年12月号 vol.163」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「昨年、ストイックに現代音楽を追求した「ミニマリズム」という作品を作って長年の夢をかなえた。でも、実はその時から対になるメロディーを重視したアルバムを出したいという構想があったんだ。「ミニマリズム」に続いてロンドン交響楽団に演奏してもらったのは、「となりのトトロ」など、僕の曲をほとんど聴いたことがないであろうオーケストラが演奏するとどうなるか興味があったんだ。結果はとても面白いことになった。「トットロ トットーロ」というフレーズも、彼らは元の歌を知らないのであくまでシンフォニーを支えるモチーフの一つとして捉えて演奏していたんだ。」

Info. 2010/10/13 ベストアルバム「メロディフォニー」を発売 久石譲さんに聞く(読売新聞より) 抜粋)

 

 

 

久石譲が全曲を編曲、監修した作曲家自身によるオフィシャルスコア。久石の映画音楽の楽譜がオーケストラ・スコアの形で公表されることは、これまでほとんどありませんでした。久石サウンドの秘密を探る絶好の楽譜となっています。

 

 

 

2018年4月25日 LP発売 UMJK-9079/80
完全生産限定盤/重量盤レコード/初LP化

 

 

 

久石譲 『メロディフォニー』

1. Water Traveller (映画『水の旅人』メインテーマ)
2. Oriental Wind (サントリー緑茶「伊右衛門」CM)
3. Kiki’s Delivery Service (映画『魔女の宅急便』より「海の見える街」)
4. Saka No Ue No Kumo (NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』より)
5. Departures (映画『おくりびと』より)
6. Summer (映画『菊次郎の夏』メインテーマ / トヨタ・カローラCM)
7. Orbis (サントリー「1万人の第九」25回記念序曲 委嘱作品)
8. One Summer’s Day (映画『千と千尋の神隠し』より「あの夏へ」)
9. My Neighbor TOTORO (映画『となりのトトロ』より「となりのトトロ」)

指揮・ピアノ:久石譲
演奏:ロンドン交響楽団 London Symphony Orchestra
コーラス:ロンドン・ヴォイシズ London Voices 7.

録音:アビーロード・スタジオ(ロンドン・イギリス)

 

初回限定盤
レコーディング映像とインタビューを収録したDVD付豪華デジパック仕様

《初回限定盤DVD》 (メロディフォニー映像)
Melodyphony Recording Video
・Departures
・One Summer’s Day
・Kiki’s Delivery Service
・Interview

 

【初回限定盤A】
CD2+DVD
CD ~「Melodyphony」 / 「Minima_Rhythm」
DVD ~「Melodyphony映像」「Minima_Rhythm映像」
※「Minima_Rhythm」CDおよびDVD内容は同作品初回限定盤に同じ
スペシャル・ブックレット

【初回限定盤B】
CD+DVD
CD ~「Melodyphony」
DVD ~「Melodyphony映像」「Minima_Rhythm映像」
※「Minima_Rhythm」CDおよびDVD内容は同作品初回限定盤に同じ

【通常版】
CD
CD ~「Melodyphony」

 

Disc. 久石譲 『Minima_Rhythm ミニマリズム』

久石譲 『ミニマリズム』

2009年8月12日 CD発売
CD+DVD(初回限定盤)UMCK-9292
CD(通常盤)UMCK-1321
2018年4月25日 LP発売 UMJK-9077/8

 

久石譲の原点ともいえる「MKWAJU」から新作「Sinfonia」までをロンドン交響楽団の演奏で完全収録。コーラスにはロンドン・ヴォイシズも加わり、シンフォニックなミニマルミュージックの世界を存分に味わえる貴重な一枚!

 

 

【楽曲解説】

Minima_Rhythm

かつて僕が現代音楽の作曲家だった頃、ずっと書いていたのがミニマル・ミュージックだった。そのミニマル・ミュージックにもう一度向き合って、僕自身の中で作品という形にした。そんな思いからアルバムはスタートした。

「Minima_Rhythm」というタイトルは、ミニマル・ミュージックの「Minimal」という字と、リズムの「Rhythm」を合わせた造語だが、リズムを重視したミニマル・ミュージックの作品を作りたいという作家の思いからつけた。

僕の大学時代は、不協和音でスコアが真っ黒になるような(半音ずつぶつけたような)ものばかり書いていたのだが、その当時の現代音楽は、様々な特殊奏法を含めて、響きを重視することばかりに偏ってしまっていた。人間が聴いて理解する範囲を超えてしまう譜面で溢れてしまい、作曲家は自己満足のように、できるだけ緻密な曲を書くということに執着してしまっていた。僕もその一人だったが、何か違うと感じていて、この方法では表現しきれない、というより、これは自分のやりたいものではないと感じていた。そのときに出会ったのがミニマル・ミュージックだった。不協和音ばかりに偏重してしまった現代音楽の中でも、ミニマル・ミュージックには、調性もリズムもあった。現代音楽が忘れてしまったのがリズムだったとするならば、それをミニマル・ミュージックは持っていた。

その後30年近く、映画音楽やポップスのフィールドで仕事をしてきた。言うまでもなくポップスの基本はリズムであり、またメロディーにもある。そこで培ってきた現代的なリズム感やグルーヴ感、そういうものをきちんと取り入れて、両立させることで独自の曲ができるのではないか。もう一回、作品を書きたいという気持が強くなったとき、自分の原点であるミニマル・ミュージックから出発すること、同時に新しいリズムの構造を作ること、それが自分が辿るべき道であると確信した。それがごく自然なことだった。

 

Links
2007年のCoFesta(JAPAN国際コンテンツフェスティバル)からの委嘱作品。
実はこの「Links」を作る前に「Winter Garden」というヴァイオリンとピアノのための曲を書いたのだが、変拍子のリズムと、それでも違和感が無いメロディーが合体するヒントが掴めた。それと同じアプローチでオーケストラに発展させたものが「Links」だ。この「Links」を書いたことによって、徐々に自分の中でミニマル・ミュージックへ戻るウォーミング・アップが出来た。

今回は、レコーディング初日の1曲目に「Links」を録ったのだが、それが良かった。僕の書いた映画音楽はオーケストラの人もよく知っていて「”Spirited Away”(『千と千尋の神隠し』) is Fantastic!!」とか、ずいぶん声をかけてくれた。たぶん、その延長線上にあるレコーディングだと思っていたのかもしれない。が、「Links」を振りはじめた瞬間、ロンドン交響楽団の人たちの目つきが変わった。「これはチャレンジだ!新しいオーケストラ曲だ」と、コンサートマスターのカルミナは言った。だから、アルバムもこの「Links」でスタートするのが自然だった。

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JAPAN国際コンテンツフェスティバル(通称 CoFesta)のテーマ曲として2007年につくられた楽曲。ミニマル・ミュージックのスタイルを多分に踏襲した楽曲。冒頭に現れるリズミックで特徴的なフレーズを様々な形に発展、展開させていき、後半にいくにつれ、緊張感とともに盛り上がりをみせる。15拍子という変拍子であるが、グルーヴさえも感じさせる久石らしい、スピード感溢れる楽曲。
*(「久石譲 Asia Tour 2010」コンサート・プログラム 楽曲紹介 より)
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前述した「Winter Garden」や「Links」といった最近の僕の作品には、11拍子や17拍子といった特殊拍子が必ず出てくるのですが、そういう変拍子なのだけれどもグルーヴを感じさせるリズムの使い方が、現在の自分にとって気に入っているパターンです。
Blog. 久石譲「Orchetra Concert 2009 Minima_Rhythm tour」コンサート・パンフレットより
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Sinfonia  for Camber Orchestra
「Sinfonia」は、作品を書くと決めたときの出発点と言ったら良いのだろうか。逆に言うと、30年近い空白を埋めるための大事なプライベート作品ということになる。もちろん、今までもミニマル・ミュージックをベースにした曲は作ってきたのだが、やはりそれは、半分ポップス・フィールドに片足を残して一般の人に聴いてもらうために(もっと言うとCDセールスのために)妥協しなければならないことが多々あったのは事実だ。だから、完全に作品とは言い切れない部分を僕は認める。

だが、この「Sinfonia」に関しては、自分の中のクラシック音楽に重点を置き、音楽的な意味での、例えば複合的なリズムの組み合わせであるとか、冒頭に出てくる四度、五度の要素をどこまで発展させて音楽的な建築物を作るか、ということを純粋に突き詰めていった。もう一つ、副題として”クラシカル・ミニマル・シンフォニー”とつけたいくらいなのだが、それは、クラシック音楽が持っている三和音などの古典的な要素をきちんと取り入れてミニマル・ミュージックの作品にしたかった。

第一楽章の「Pulsation」という曲は、昔、現代音楽家として最後に書いた「パルゼーション」という曲の構造を発展させたものだ。リズムというよりも、機械的なパルスお組み合わせで、四分音符、八分音符、三連符、十六分音符のリズムが複合的に組み合わされ、五度ずつ上がっていく全部の調でそれが展開される。

第二楽章の「Fugue」は、雲のように霞がかったり消えたりするようなコード進行の部分と、いわゆるバッハなどの古典派的なフーガの部分とで構成されている。これも第一楽章と同じで五度ずつハーモニーが上昇し、全部の調で演奏されて終わる。

第三楽章の「Divertimento」は、直前のクラシックのコンサート(※2009年5月24日、久石譲Classics vol.1)で初演した曲。そのときは弦楽オーケストラだけだったが、今回は管楽器などを加えて書き直した。ティンパニやホルンなどが入ったおかげで、より一層古典派的なニュアンスが強調されて、初演の弦楽オーケストラとは一味違う曲になった。

 

MKWAJU 1891-2009
東アフリカの草原に、理由もなくポツンと生えているものすごく大きな木、それがムクワジュだ。素材にしたのは、東アフリカの民俗音楽。アフリカのリズムが持っている多重的な要素を取り入れて、その音型をもとに作品にした。

1981年に発表したときには、個人的なことだが、自身の技術力が追いついていなくて、素材を上手に使いきれていなかった。色々仕掛けをしていたはずなのだが、どこか幼稚さが残ってしまっていた。フレーズが半拍ずつズレていくところを、単にズレただけで、ちゃんと聴かせるだけの技術力がなかった。

今回新たに書き直すことによって、その当時は表現しきれなかったズレをしっかり聴かせられる作品に仕上がったと思う。

ミニマル・ミュージックのような繰り返しの音楽は、実はものすごく難しい。単に同じ素材を繰り返しているだけだと当然飽きてしまうから、微妙にアングルを変えていくように微細な変化をさせていかなければならない。聴いている人には単に繰り返しているように聴こえるが、徐々に川の流れのように変化している。いわばその変化を無意識の世界に訴えているわけだ。二つ目にもっと大事なことは、素材が良いこと。ミニマル・ミュージックが成立するかしないかは、この二点に係る。そういう意味では、この「MKWAJU」は本当に良い音型に出会えた。この♪タンタンタカタカタカタカタッタッというフレーズを、オーケストラの人たちがアールグレイの紅茶を片手に老化を歩きながら口ずさんでいるのを聞いたときには、ヤッタ!と思いましたね、ホント。

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アフリカの民族楽器を素材に、多重的なリズム要素の音型をもとに作品にした楽曲。「♪タンタンタカタカタカタカタッタッ」という心地よいリズムの音型が全編を通して微細に変化していく久石のミニマル・ミュージック作品の代表格。1981年に初出した小編成だったものを、2009年の「ミニマリズム」に収録する際に、オーケストラ曲として再構築した。
*(「久石譲 Asia Tour 2010」コンサート・プログラム 楽曲紹介 より)
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The End of the World
僕はどちらかと言うと、音楽は純粋に音楽で表現するべきだと捉えているのだが、この「The End of the World」は社会的なメッセージ性を込めた数少ない作品の一つだ。その一つに、1992年に作った『My Lost City』というアルバムがある。世界大恐慌が起こった1930年代に、狂乱の日々を送って破壊的な人生を歩んだ米国の作家F・スコット・フィッツジェラルドをテーマにしつつ、実は日本のバブルに対する警鐘の意味を込めていた。日本人、こんなに浮かれていたら大変なことになるぞ、と。案の定、バブルは崩壊して日本は本当に漂流を始めたわけだが。

この「The End of the World」では「After 9.11」をテーマに扱った。「9.11」を契機に、世界の価値観が完全におかしくなってしまった。どっちに向かえば良いかわからない、指針のない不安な時代を生き抜くのは容易なことではない。せめて自分自身をしっかり見つめて、自分を見失わないように生きるしかない。世界はもうよくはならない。この動乱の時代を生き抜くには一に体力、ニに気力、三、四がなくて五にすべてを受け入れること。まわりが自分をよくしれくれることはもうない。自らの手で自分自身を、そして、まわりを変えていく意思を持とう、というある意味ではポジティブなメッセージでもある。

オリジナルは12人のチェロ、ハープ、パーカッション、コントラバスとピアノの編成だったが、今回オーケストラ楽曲用に大幅に加筆し書き直し、数年前の構想段階で考えていたコーラスも復活させた。「世界は終わる」という意味のことばと、「悲しみと危機は愛によって去る」というラテン語の歌詞を当てはめたことによって、やっと完成した。ロンドン・ヴォイシズのコーラスを聴いたとき、この曲が本来行くべきところにやっと辿り着いた、という感動がこみ上げてきた。

 

mundus finis 世界は終わる

mundus finis 世界は終わる

homines precor 人々は祈る

tristitia et articulus licentia per amor 悲しみと危機は愛によって去る

「The End of the World ~ III. Beyond the World~」より

 

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第1楽章の「Collapse」は、グランド・ゼロに着想を得て作られた。冒頭から絶えず打ち鳴らされるピアノのリズムは、後の全楽章に通ずる主要動機となり、強烈なメッセージを投げかけ続ける。チェロやハープ、マリンバのアンサンブルが主要動機と複雑に絡み合い、焦点の定まらない危うさを醸し出している。

グランド・ゼロに程近いセント・ポール教会の名を称した、第2楽章「Grace of the St. Paul」は、人々の嘆きや祈り、悲しみを題材としている。チェロソロのイスラム的なメロディーとティンパニの主要動機による対話から始まる。一転してコントラバス、ピアノ、ヴィブラフォンによるジャジーなメロディーは、調性の定まらない浮遊感を漂わせる。

第3楽章「Beyond the World」は、人々の不安や悲哀が極限まで膨張する様を描くが、同時に人間の持つ混沌としたエネルギーに対する肯定的ない見も含まれている。8分の11拍子の複雑かつ緻密に関わり合うパッセージは、常に緊迫感を持ち大きな渦となって膨らみ続ける。我々の住む世界の”向こう側”には何があるのだろうか…。
オリジナル・アルバム『Another Piano Stories ~The End of the World~』 CDライナーノーツより
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「実は、直前まで決定するのに苦しんでいて、やっと「The End of the World」というタイトルに決まったんです。この「The End of the World」には同名のスタンダード曲も存在して、「あなたがいないと私の世界が終わる」というような意味のラブソングです。でも、この曲のあなたを複数形でとらえ、あなたたちが存在していなければ、世界は終わってしまうといった、もっと広い意味で捉えると、たぶん今、僕が考えている世界観にとても近いんじゃないかと感じて、敢えてこの同じタイトルを用いた理由です。楽曲は、1楽章は4分の6拍子から始まり、最終楽章が8分の11拍子という、大変難しい曲。おまけに、絶えずピアノが鳴らす基本リズムがあり、それに他の楽器が絡み合う、本当に”世界のカオス”、まさに”混沌”を表現するような、アンサンブル自体がカオスになってしまうんじゃないかというくらいの難曲になってしまいました。」
Blog. 「久石譲 ~Piano Stories 2008~」 コンサート・パンフレット より
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実は、僕はコーラス曲を書くのはあまり好きではなかった。というのも、言葉の問題と折り合いをつけることがどうしても難しかったからなのですが。でも、何年か前の「Orbis」(※2007年12月、サントリー1万人の第九の第25回記念序曲としての委嘱作品)でコーラスに取り組み、散文的な幾つかのキーワードを用いることで楽曲として成立させることが可能だとわかった。それからミュージカル『トゥーランドット』を経て、『崖の上のポニョ』でもコーラスを使っています。それと昨年の武道館コンサートでは200名のオーケストラと800名の混声合唱団で全開にしていますし、今では”オーケストラ+コーラス”は僕の定番みたいになっていますね(笑)。

今回の「Beyond the World」では、ロンドン・ヴォイシズからコーラス譜の書き方を誉められたんです。「ジョー、お前はどこで勉強してきたんだ?ジュリアードかパリのコンセルバトワールか?」「いや、ジャスト日本!」「アンビリーバブル!こんなに上手くコーラス譜を書ける奴はいないよ!」と。これはちょっと嬉しかったですね。
Blog. 久石譲「Orchetra Concert 2009 Minima_Rhythm tour」コンサート・パンフレットより
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DA・MA・SHI・絵
1985年の『α-BET-CITY』で発表した作品。その後も1996年にオーケストラに直しているがコンサートのみの演奏だったので、オーケストラ曲としては初の収録となる。

メイン音型と7つから成るフレーズの組み合わせを今回一新して(オリジナル音型は残したまま)組み替えたため、結局ゼロから作り直したようなまったく新しい世界が出来上がった。

ミニマル・ミュージックの基本音型というのは、組み合わせを一つでも変えると、全部作り直ししなければならなくなる。一部分だけ直すということはあり得ない。ある日、ここが違うな、と直しだすとそれ以降全部パターンが変わってしまう。要するに八割方できた気がしても、ちょっと直すとまたゼロからの作業になるというその繰り返し。普通、映画音楽などを作曲するときには、時間をかけて作った分だけ必ずレベルがアップして良くなっていく場合が多いのだが、ミニマル・ミュージックに関しては、完成に近づくまでの試行錯誤が大変だ。行きつ戻りつしながら、真っ暗闇の中で遠くに見える微かな灯りを目指すように、何かありそうだなと思って作り出すのだが、多くの絶望の時間の果てに、曲が本来求めている形に出会えた時の嬉しさといったらない。その幸せを味わうために僕は今日も、孤独な作業(作曲)を続けている。

2009年7月 久石 譲

(【楽曲解説】 ~CDライナーノーツより)

 

 

『ミニマリズム』 久石譲インタビュー内容

「クラシックのフィールドに立つと、“作品”を書かなくてはならない。それ自体が音楽として成立するような作品を絶えず書き続ける必要があります。でもポップスに身を移してからは、作品を一切書かなくなりました。もちろん、折々にアプローチはしてきました。ポップスのフィールドにありながらギリギリ許せる範囲でミニマルに寄った曲を作ってきました。でもそれはクラシック的な意味あいでの“作品を作る”ことではなかった」

「このごろ、よくクラシックの指揮をします。僕は大学時代、ほとんどいわゆる“クラシック”を勉強してこなかったんです。やりたい現代音楽に夢中だった。たとえばベートーヴェンの『運命』なんてのは、当然アナリーゼ(楽曲分析)の授業でやりましたけど、“ああ、クラシックね、はいはい”っていう意識しかなくて(笑)。でもいざ自分で振るとなるとまったく別なんですね。ひとつのシンフォニーを指揮するには、3カ月は譜読みをします。同じ曲なのに、大学時代とは違うものが見えます。 ある仕掛けが生み出す効果や、“なるほど”と思うことが非常に多くて。それで、僕は自分のなかのクラシックをもう一度見てみたいと思うようになったんです」

「だから今回は、今までの立ち位置ではなく、もう一度完全にクラシックに自分を戻して書いたんです。そういう意味では、これは僕の“作家宣言”といっていいでしょうね」

Blog. 「Web R25」 久石譲 ロングインタビュー (2009年)

 

 

久石は自分と藤澤守の関係についてこう語る。「人間って元に戻りますね。ぼくはやっぱり藤澤守なんですよ。去年『ミニマリズム』を作るときに作曲者名は全部、藤澤守でやろうと思った。エンターテイメントは久石でやっているけど、作品は藤澤だろうと。2日に一遍はそのことを考える。今度の曲は絶対藤澤守で出してやるぞと」

-でもそうしたら売れない?

「うん。いつか作曲・藤澤守、指揮・久石譲でやりたい。それが理想ですね、ぼくの」

久石は二人分の人生を生きているのだった。時間が足りないわけである。

Blog. 久石譲 雑誌「AERA」(2010.11.1号 No.48) インタビュー

 

 

2009 久石譲 in London
ABBEY ROAD STUDIOS &LONDON SYMPHONY ORCHESTRA

2009年6月、久石譲の新作アルバム「Minima_Rhythm」のレコーディングがロンドンで行われた。アビー・ロード・スタジオ、ロンドン交響楽団の演奏、このレコーディングには”或るストーリー”があった。

-アビー・ロード・スタジオへの想い

久石:
僕がロンドンに住んでいた頃、アビー・ロード・スタジオにマイク・ジャレットというとても親しいチーフエンジニアがいたんです。一緒にレコーディングをすることも多く、本当に信頼の置ける人物だったのですが、惜しいことに若くしてガンで亡くなってしまった。彼の最後のセッションが僕との仕事で、ロンドン交響楽団演奏による『水の旅人』のメイン・テーマのレコーディングだったんです。そのときはエアー・スタジオのリンドハース・ホールで録ったんですが。そしてマイクは亡くなり、僕はロンドンを引き払った。そのあたりのことは『パラダイス・ロスト』という本にかなり詳しく書いています。その後、ロンドンでのレコーディングは何度もしたんだけど、アビー・ロード・スタジオでのレコーディングは避けた。ちょっと行くのがきつかった……。

数年前、『ハウルの動く城』のとき、チェコ・フィルハーモニー交響楽団でレコーディングしたものを、アビー・ロード・スタジオでサイモン・ローズとMixしたんです。それが久しぶりでしたね。そのとき、このスタジオに戻ってきたなぁという感慨があって、スタジオの隅、地下のレストラン、どこもマイクの遺していった匂いのようなものが感じられた。イギリス人独特のユーモアや品の良さ、クリエイティブな匂いとでもいうのかな。

そして今回、僕としては最も大切なレコーディングになるので、それはアビー・ロード・スタジオ、そしてロンドン交響楽団しか考えられなかったのです。マイクの亡き後も、アビー・ロード・スタジオでは伝統がきちんと引き継がれています。マイクのアシスタントだったサイモンは、今はジョン・ウィリアムズ等を録る一流のエンジニアになっているし、今回のエンジニアのピーター・コビンは、マイクの抜けた穴を埋めるべく、オーストラリアのEMIからスカウトされた。高い水準を維持するために。

今回ついたアシスタントも非常に優秀で、何にも指示されなくても動けちゃうんですよ。たぶんまた5年後、10年後になると彼らが素晴らしいチーフエンジニアに成長していくんだろうと、そういう人や技術の継承をとってもても、やっぱりナンバーワンのスタジオですね。

Blog. 久石譲「Orchetra Concert 2009 Minima_Rhythm tour」コンサート・パンフレットより

 

 

-そういった古典音楽の手法が使われていながら、ミニマルの規則的に移り変わって行く音楽の特徴はそのままなので、演奏は至難では。

久石:
それもあって、名手ぞろいのロンドン交響楽団とアビーロード・スタジオで録音しました。アビーロード・スタジオのチーフエンジニアやコンサートマスターのカルミネ・ラウリが参加、最初は映画音楽の録音と思っていたようですが、事務局に曲のことを説明し、譜面も送っていたので、ロンドン響もクラシック音楽を演奏するときの陣容で録音に臨んでくれました。

曲のリハーサルをやっているうちに、ミニマル特有の音型を繰り返す音楽なので、縦の線を合わせるために、クリック(規則正しく繰り返される電子音)をつけてずれないように演奏し、録音もうまく行きました。

彼らはジョン・アダムズなどのミニマルの作曲家の作品も手がけていることもあって、とてもふくよかで豊かな演奏になっています。それに、録音後のマスタリングでも、ポピュラーや映画音楽などはCDのプレイボタンを押すとすぐ音楽が始まるように設定しているんですが、別にこちらからオーダーしたわけではないのですが、クラシック音楽のように、音が出るまで時間をあけてくれたんです。作品を聴いて、彼らがそう感じてくれたのは嬉しかったですね。

Blog. 「モーストリー・クラシック 2009年10月号」 久石譲インタビュー内容

 

 

このシンフォニアというのは全3楽章から出来ていて、1楽章目が「パルゼーション」。これは「パルス」ですね。四分音符のタン・タン・タン・タン、八分音符のタン・タン・タン・タン、三連符のタタタ・タタタ、十六分音符のタタタタ・タタタタ。そういう色々なものがただ組み合わされて、パーツで見ると何をしているか非常に明解な曲なんですね。それから2曲目の「フーガ」というのは、朝礼で使われる「ドミナントコード」というのがあるのですが、この和音ばかりを繋げて出来ています。普通ドミナントいうのは必ず解決しますが、これは解決しないまま次々と行ってしまうんですね。3曲目の「ディヴェルティメント」は、「ミニマル・ミュージック」と「古典」の音楽を融合させています。テーマは単純に第九のモティーフと一緒です。これを使って出来るだけシンプルに構成する。僕がやっているミニマル・ミュージックというのはあくまでもリズムがベースになるんですね。それを徹底してやろうと思いました。

Blog. 「読響シンフォニックライブ 2012年8月15日」 放送内容 より一部抜粋)

 

 

DVD収録内容について

本作品より選ばれた楽曲のレコーディング映像を編集したものである。またドキュメンタリーなどとは違い、レコーディング映像中心で楽曲も省略されたり途中で終わることなく一曲通して聴くことができるのもありがたい。CDと同じように音楽だけが響いている。CD同様に楽曲を楽しみ、かつパートごとに映し出される楽器や奏者を映像で楽しむことによって、臨場感や緊張感が伝わりより深く作品を味わうことができる。

インタビューに関しては本作品ライナーノーツでの楽曲解説や久石譲インタビューと重複内容も多く、言葉として文章として参考にされたい。

 

ロンドン交響楽団:弦14型3管編成
ロンドン・ヴォイシズ:50名

 

 

2018年4月25日 LP発売 UMJK-9077/8
完全生産限定盤/重量盤レコード/初LP化

 

 

久石譲 『ミニマリズム』

1.Links (CoFesta Japan国際コンテンツフェスティバル テーマ曲)
2.Sinfonia for Chamber Orchestra I.Pulsation
3.Sinfonia for Chamber Orchestra II.Fugue
4.Sinfonia for Chamber Orchestra III.Divertimento
5.MKWAJU 1981-2009
6.The End of the World I.Collapse
7.The End of the World II.Grace Of St. Paul
8.The End of the World III.Beyond The World
9. DA・MA・SHI・絵

指揮・ピアノ:久石譲
演奏:ロンドン交響楽団
コーラス:ロンドン・ヴォイシズ 8.

録音:アビーロード・スタジオ (ロンドン・イギリス)

 

初回限定盤
レコーディング映像とインタビューを収録したDVD付豪華デジパック仕様

《初回限定盤DVD》
Minima_Rhythm Recording Video
・MKWAJU 1981-2009
・The End of the World  III. Beyond the World
・Interview

 

Score. 久石譲 「ミニマリズム -オリジナル・スコア-」 [スコア]
現代音楽作曲家・久石譲のオーケストラ作品を集めたスタディ・スコアです。収められている全5作品は、作曲家自身が原点と述べる「ミニマル・ミュージック」に立ち返って作曲、あるいは過去の自作を編曲したもので、久石最初期の作品を全面的に改稿した《ムクワジュ 1981–2009》《Da・Ma・Shi・絵》、今世紀に入って作曲された近作《リンクス》《ジ・エンド・オヴ・ザ・ワールド》《シンフォニア》の5曲が収められています。

 

Minima_Rhythm

1.Links
2.Sinfonia for Chamber Orchestra – I. Pulsation
3.Sinfonia for Chamber Orchestra – II. Fugue
4.Sinfonia for Chamber Orchestra – III. Divertimento
5.MKWAJU 1981-2009
6.The End of the World – I. Collapse
7.The End of the World – II. Grace Of St. Paul
8.The End of the World – III. Beyond The World
9. DA-MA-SHI-E

 

Disc. 久石譲 『神奈川県立厚木清南高等学校 校歌 SEINAN』 *Unreleased

2005年4月1日 開校

 

神奈川県立厚木清南高等学校の開校にあわせて校歌を久石譲が作曲している。

 

校歌制作経緯

歌詞は、公募に応じてくださった大阪市の方の作品を土台として、生徒やPTAの方も入った会議で決まったものです。曲は久石譲氏によるもので、初代校長が久石氏のファンクラブにメールで歌詞を送ったところ、作曲を快諾してくださり、お願いしたものです。

出典:神奈川県ホームページ|厚木清南高等学校 より抜粋

 

 

なお、神奈川県立厚木清南高等学校ホームページにて、メロディ譜と歌唱(ピアノ伴奏付き)が閲覧・試聴・ダウンロードできる。

*2019年3月現在

公式サイト:神奈川県立厚木清南高等学校
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/atsugiseinan-h/gaiyou/index.html

 

「SEINAN」
作詞:光源弘、佐竹久典
作曲:久石譲

 

上記URLページ内
校歌「SEINAN」PDF (メロディ譜)
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/atsugiseinan-h/gaiyou/documents/kouka_seinan.pdf
歌唱(ピアノ伴奏)mp3
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/atsugiseinan-h/gaiyou/documents/seinan_vocal.mp3

 

 

 

Disc. 久石譲 『a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos 2003 ETUDE & ENCORE TOUR-』

久石譲 『a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos  2003 ETUDE&ENCORE TOUR-』

2003年6月25日 DVD発売 UPBH-1094

 

2003年3月から行われた久石譲のコンサート・ツアーの中から4月16日に東京オペラシティーにて行われたコンサートの模様を収録。オリジナルアルバム「ENCORE」「ETUDE~a Wish to the Moon」からの曲を中心に披露したベストライブ。

 

 

長い音楽活動とコンサート活動のなかで、意外にもコンサートDVDとしては初作品化である。公演プログラムの曲間に、リハーサル風景やピアノ練習風景などが、ドキュメンタリータッチで記録されている。

 

 

 

a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos  2003 ETUDE&ENCORE TOUR

– Encore & Others –
KIKI
谷への道
View of Silence
風のとおり道
Asian Dream Song
Friends
Summer
One Summer’s Day
HANA-BI

– Etude –
Moonlight Serenade 〜 Silence
月に憑かれた男
impossible Dream
夢の星空
Bolero
a Wish to the Moon

Musée Imaginaire
la pioggia
Tango X.T.C.

ToToRo
Madness
君だけを見ていた

本編111分

Recorded at Tokyo Opera City Concert Hall on April 16,2003

Composed (except “Moonlight Serenade”),
Arranged and Produced,
Conducted and Piano
by
Joe Hisaishi

Violoncello
1st
Hiroshi Kondo ~Concert Master,Solist
Takashi Kondo
Susumu Miyake
2nd
Makoto Osawa
Haruki Matsuba
3rd
Yoshihiko Maeda
Masanori Taniguchi
4th
Hiromi Uekusa
Seiko Ishida

 

Disc. 久石譲 『4MOVEMENT』

久石譲 『4 MOVEMENT』

2003年3月19日 DVD/CD発売 PCBE-50470

 

2001年「うつくしま未来博」ナイトファンタジア上映作品 『4 MOVEMENT』
監督:久石譲 音楽:久石譲

久石譲 第二回監督作品

 

日本映画音楽の第一人者、久石譲が奏でる
音楽と映像のシンフォニー、「QUARTET」に続き、
自ら監督を務めた待望の映像ファンタジー!

人は心の中にいくつもの顔を持っている。
優しさと人には言えない暗い部分を…。
ミオは成長していく中で心の中の闇に生まれた
もう一人の自分とどう向き合っていくか?
音楽の精ポコとともに巨大な怪物、
黒鳥と闘いながら見つけ出していく…

【STAFF】
監督・音楽:久石譲
プロデューサー:石原真
原案:ドリアン助川
脚本:小川智子
撮影:阪本善尚
音響:橋本文雄

【CAST】
Pace Wu、黄川田将也、浅野優梨愛、山本小百合、相ヶ瀬龍史、若林淳

 

 

【ストーリー】

MOVEMENT 1
殺伐とした大都会。雑然とした風景が闇に転じると少しずつ鼓動が聞こえ、閉ざされた空間(CUBE)から一人の少女・ミオが現れる。暗闇の中で戸惑うミオが目にする1台のピアノ。彼女が鍵盤をたたくと光りが現れ、その中から可愛らしい音楽の精・ポコが誕生する。ミオの良心の象徴であるポコは、彼女の奏でるフレーズを歓喜に満ちたメロディーに導き、それはやがて大きな光とともに新たな世界へと広がっていく…

MOVEMENT 2
大自然に包まれた世界。10才になったミオはポコとともに鬱蒼と生い茂る森を進み、そこでアルトという名の少年に出会う。彼がミオ自身の心の闇であるとも知らず、その不思議な魅力に惹かれ後をついていくが、突然豹変したアルトに翻弄され、自然の脅威にもまれながら闇へと流されていく…

MOVEMENT 3
無機質な人々の流れの中にいるミオは、黒衣をまとった男と出会う。彼に導かれるまま進む道は、人間の愚かさを具現化した殺伐と狂気の世界であった。ミオは怯えと哀しみにもまれながら傷つく人々の間をさまよい歩いていく。全てが焼き尽くされた大地に辿り着いたミオは、そこで朽ち果てた1台のピアノを見つける。ピアノを弾くミオ、幼い頃の思い出が蘇る。が…

MOVEMENT 4
アルトと再会するミオ。20才に成長した二人は思い出の森へと向かい、お互いの想いに気付く。一瞬の安らぎを得たミオだったが、ふと気づくと巨大な黒鳥に変貌したアルトが、邪悪な牙でミオに襲いかかる。ポコとの必死の戦いも空しく、湖畔へ追い詰められていくミオ。しかし、そこで意外な真実が明らかにされていくのであった…

 

 

【メッセージ】

この物語は、主人公のミオが5歳、10歳、20歳と成長していく、4つの楽章(MOVEMENT)から成り立っている。ひとりの人間の心の中には様々な顔があり、とてもやさしい部分と、人にはいえない暗い部分とを皆んなが持っている。ひとりひとりの中にあるものは小さくても、世界中の人間の、つまり60億分ものエネルギーとなると、それが戦争や、憎しみといった世の中の様々な問題を起こしているのではないか。ひとりひとりの中にある問題が連鎖拡大されて戦争が起こったりする。それを解決するのは、自分自身であって、問題は自分の外にあるのではなくて、自分の中にある。「心の中の闇に生まれたもうひとりの自分とどう向き合っていくか」がこの作品の大きなテーマである。  -久石譲

 

 

 

「『4 MOVEMENT』というんですけど、これは1本目の反省から、最新テクノロジーを駆使する方法でやってるんですよ。やっぱり100パーセント満足することって、ないじゃないですか。『カルテット』を撮りおえたあとも、あのシーン、なんでもうひとつ顔のアップを撮っておかなかったんだとか、そんなことばかり考えてたら、もう1本撮りたくなっちゃんたんですよね。『4 MOVEMENT』はね、すごくいい映像が何カットか撮れてるんです」

「あっ、そういうこと言っちゃいけないか(笑)。でも、実はこれが映画のピンポイントなんですよ。北野監督もみんなおっしゃるんですけど、このシーンを撮りたくてストーリーを作ったということはあるんです。それが5つか6つ、その監督が命がけで、どうしてもこれを撮りたかったというシーンを持っている映画は、すべていい映画ですよ」

Blog. 「月刊ピアノ 2001年7月号」映画『Quartet』 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

当時博覧会会場中央の池にて、夜間開催期間中、野外特設ステージとしてウォータースクリーンにて上映された。噴水などの演出とスクリーンによる映像と音楽である。

 

音楽について。

本編でも登場する(登場人物が奏でる)ピアノやフルート、そしてシンセサイザーを基調としたサウンド構成となっている。シンプルで可愛らしい無邪気なアコースティックサウンド、反面ダークな部分を描いたシンセサイザーサウンドなどである。

主人公がピアノの鍵盤に触れるなにげない音は、同博覧会イメージソング「永遠の心」のモティーフにもなっている。その他の場面にも同メロディーの変奏が、バリエーションとして登場している。

「Crossing」にみられるミニマル的音楽要素も盛り込まれている。

同時期公開(および制作期間においても)であった映画『千と千尋の神隠し』(2001)のエッセンスを思わせるような楽曲もあり、そういった久石譲の音楽時代として聴くこともまたおもしろい。

映像音楽とはいえ、監督・音楽の両方を担っていることから、サウンドトラックという枠にはおさまらない、オリジナル・ソロ作品という捉えかたもできる作品である。

自身が監督を務める作品だけあって、映像と音楽がほぼシンクロするような緻密に練られたサウンド構成となっている。それぞれの楽曲は短いが(1-2分程度)、本編30分、サウンドトラック27分ということからも、ほぼ本編全体で音楽が流れているということでもある。

本編エンドロールにて流れる「VIEW OF SILENCE」は、オリジナル・ソロアルバム『PRETENDER』(1989)に収録されていた楽曲である。メロディーメイカーとして久石譲が存分に堪能できる、ピアノとストリングスの美しい旋律と洗練されたアレンジである。なぜこの楽曲がこの作品に取り上げられたかは、メイキングでのインタビューなどでも語られてはいない。

欲をいえば、イメージソング「永遠の心」のインストゥルメンタル・バージョンを、サウンドトラックのボーナス・トラックとしてでも収録してほしかった。DVDメイキング映像の冒頭と最後のエンドクレジットにて、「永遠の心」オーケストラ・インストゥルメンタル・バージョンが流れる。ピアノとシンフォニーによる美しい構成となっている。フェードイン・フェードアウトのため、1曲全体をとおしてこのシンフォニー版を聴くことはできない。

 

メイキング映像は、撮影記録と久石譲インタビューによって構成されている。森の撮影は屋久島で行われていることや、その他撮影場所、特殊撮影などの様子が記録されている。

音楽の精・ポコは、音符をイメージしてキャラクター化されている。

 

 

 

久石譲 『4 MOVEMENT』

【セル収録内容】
DVD ~ 本編30分 / メイキング(映像)42分
CD ~ オリジナル・サウンドトラック

初回封入特典:オリジナルポストカード

4 MOVEMENT
SOUND TRACK CD

1. Nobody
2. Poco Dance
3. Mio’s Forest
4. Alto ~もう1人の私~
5. Escape
6. Crossing
7. Darkness
8. Sand Piano
9. Refrain
10. Crisis
11. You are …
12. VIEW OF SILENCE

All Music Composed , Arranged and Produced by Joe Hisaishi
Recording Studios : Wonder Station , Avaco Creative Stuidios

 

Disc. 久石譲 『天空の城ラピュタと空想科学の機械達展』 *Unreleased

2002年10月2日 公開

 

公開期間:2002年10月2日~2004年5月9日

短編アニメーション『空想の空とぶ機械達』
原作・脚本・監督:宮崎駿
音楽:久石譲
上映時間:約6分
*2007年7月から断続的に日本航空の一部飛行機にて本作品が機内上映されている

 

この作品の音楽は「天空の城ラピュタ」からの音楽も使用されている。

 

 

短編アニメーション『空想の機械達の中の破壊の発明』
企画:宮崎駿
原作・脚本・監督:庵野秀明
音楽:久石譲
上映時間:約3分
*企画展示終了をもって公開終了

 

楽曲情報
・空想の空とぶ機械達 M-1 ~ M-3
・空想の機械達の中の破壊の発明 M1

 

 

短編実写ドキュメンタリー『オーニソプター物語~飛べ!ひよどり天狗号』
構成・演出:浦谷年良
音楽:久石譲
上映時間:約4分

 

楽曲情報
・オーニソプター物語 M-1 ~ M-5

 

 

 

Disc. 久石譲 『三鷹の森ジブリ美術館 Original BGM』 *Unreleased

久石譲 三鷹の森ジブリ美術館

2001年10月1日 開館

 

2001年開館の三鷹の森ジブリ美術館。その館内BGM用、展示室用BGMとして作曲され寄与された楽曲。「動きはじめの部屋」などで流れるオリジナルBGMでピアノ曲やオルゴール風の小曲。

ジブリ美術館 映像展示室「土星座」にて短編映画本編上演前に流れる過去短編作品プロモーション映像にも久石譲が献呈した音楽が使われている。BGMのいずれかが該当するのか別楽曲なのかは不明である。

 

 

2001年「Musica del Museo」(ジブリ美術館オリジナルBGM1)
美術館展示室「動きはじめの部屋」BGM

MDGP-1001 Not for Sale

ジブリ美術館 BGM 非売品 ジブリ美術館 BGM 非売品 2

2001年「ムゼオ虫」(ジブリの森のえいがサウンドロゴ)
美術館で上映される短編アニメーション映画のオープニング用

2006年「Birthday 15+ (Musica del Museo Seconda Parte)」(ジブリ美術館オリジナルBGM2)
宮崎駿監督65歳の誕生日にプレゼント

2008年「La neve è rimossa (Musica del Museo Terzo Parte)」(ジブリ美術館オリジナルBGM3)
宮崎駿監督67歳の誕生日にプレゼント
副題は「雪解け」 同曲名は「雪がとける」という意味のイタリア語

2008年「クマのうちの歌」(作詞:宮崎駿 作曲:久石譲)
ジブリ社内保育園「3匹の熊の家」の園歌

2009年「Wave (Musica del Museo Quarto Parte)」(ジブリ美術館オリジナルBGM4)
宮崎駿監督68歳の誕生日にプレゼント

2010年「Stormy Sea of Spring」(ジブリ美術館オリジナルBMG5)
宮崎駿監督69歳の誕生日にプレゼント

2015年「祈りのうた for Piano」(ジブリ美術館オリジナルBGM6)
宮崎駿監督74歳の誕生日にプレゼント

2017年「小さな曲」(ジブリ美術館オリジナルBGM7)
宮崎駿監督76歳の誕生日にプレゼント

2018年「The Bird Seeing The Bridge」(ジブリ美術館オリジナルBGM8)
宮崎駿監督77歳の誕生日にプレゼント

 

 

三鷹の森ジブリ美術館でしか聴けない楽曲でCD化もされていない。

 

2008年の『久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~』のコンサートにて開演前のBGMとしても流れていた(「Musica del Museo」「Birthday 15+」「La neve è rimossa」の3曲)。コンサートのアンコールなどで「Wave」は演奏している。

 

「Musica del Museo」
北野武監督『Dolls オリジナル・サウンドトラック』収録の「感 -FEEL-」という曲にどことなく似た雰囲気が漂う、穏やかなピアノ曲。メロディアスなはっきりとしたメロディーではなく、叙情的なコードが展開していく。

「Wave」
16音符が冒頭から終盤まで流れるように展開していく。こちらも一度聴いたらその空気感が離れないとても印象的なピアノ曲。まるでフィルムやセル画の1コマ1コマをつないで流れていくような、16音符の1粒1粒が流れては織り重なっていき、ストーリーの起承転結を奏でている。聴けば聴くほどに感情の揺れも表現しているようなドラマチックな楽曲である。

「Stormy Sea of Spring」
未聴だが、ジブリ美術館スタッフブログには、「波を思わせるようなゆったりとしたピアノの調べ」とあった。

「祈りのうた for Piano」
久石譲初のホーリー・ミニマリズムのようなシンプルな三和音を使った楽曲。

 

 

2002年三鷹の森ジブリ美術館の企画展示「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」のために制作された映像作品の音楽を手がけている。

 

 

 

2015.8.5 追記

ついに音源化!
「WAVE」「祈りのうた for Piano」を収録したCD作品

Minima_Rhythm II

 

 

2018.1.9 追記

「三鷹の森ジブリ美術館」を訪ねて。「動きはじめの部屋(The Beginning of Movement)」展示室で流れる音楽について。現在は午前と午後ふたつの曲を流している。午前中聴いた曲は初めて聴くもので、バッハのピアノ曲のような流れる旋律が織りなす美しいピアノ曲。スタッフの人に尋ねたら「午前は少し爽やかなものがいいかなと思いこちらを流すようになりました」とのこと。まさに朝のゆったりとした時間にぴったりな曲。久石譲が宮崎駿監督の誕生日に献呈している曲のひとつを使用している。曲名不明、制作年不明。午後は、2001年開館以来おなじみの「Musica del Museo」(ジブリ美術館オリジナルBGM1)が流れている。こちらは「動きはじめの部屋」展示室のために書き下ろされた楽曲。

ほぼ毎年一曲ずつ宮崎駿監督にプレゼントしている慣例ピアノ曲だが、公表されておらずこの年はプレゼントしたのか?曲名は?などは、都度の情報や久石譲インタビューから推しはかるしかない。いつの日かその詳細情報がすべて公になり、また三鷹の森ジブリ美術館BGM集としてCD化されることを切望している。

 

 

 

久石譲 三鷹の森ジブリ美術館

 

Disc. 岩崎宏美 『あとかたもなく』

あとかたもなく 岩崎宏美

2001年5月9日 CDS発売 TECN-13713

 

カップリング曲「永遠の心」
作詞:ドリアン助川 作曲/編曲:久石譲
うつくしま未来博 イメージソング

 

 

−はじめに宮本総合プロデューサーより概要について。

宮本:イメージソングは未来博のテーマを表現したものです。大きく広い愛、世界観を考えて、「永遠の心」というタイトルになりました。「うつくしまナイトファンタジア」のプロデューサー・久石譲さんが作曲を担当。作詞は「叫ぶ詩人の会」のドリアン助川さん。様々な活動を通し、自分の気持ちをストレートに表現することで、若い人たちを中心に支持を集めている方です。そして歌は、岩崎宏美さん。透明感にあふれ、広い包容力があり、愛を感じさせるアーティストは岩崎さんをおいて他にはいないということで是非にとお願いいたしました。未来博は21世紀のくらしを考える場であり、さらに大きく広い愛をカタチにする場にしたいと考えています。「永遠の心」は、それにふさわしい曲であり、いろんな場で口ずさんでいただきたいと思います。

 

−岩崎宏美さんよりイメージソングについて。

岩崎:作詞のドリアン助川さんからお電話をいただきました。福島県の未来博のイメージソングを作っているが、ぜひ歌って欲しいということで。作曲が久石譲さんと聞いて、2つ返事でお受けしました。久石さんとは初めて仕事をご一緒しましたが、日本人なら絶対に分かるサビのメロディが気に入っています。これまでの私の曲は恋愛をテーマにしたものが多かったですが、未来博ということで、もう一回り大きな愛に包まれた曲になったと思います。福島県の皆さんにはカラオケなどで、どんどん歌っていただいて、未来博の会場で皆さんと合唱できると嬉しいですね。来年の未来博がとても楽しみです。

(未来博ホームページより)

 

 

久石譲 『4 MOVEMENT』

 

DVD『4 MOVEMENT』の特典映像において、メイキング映像の冒頭と最後のエンドクレジット、「永遠の心」オーケストラ・インストゥルメンタル・バージョンが流れる。ピアノとシンフォニーによる美しい構成となっている。フェードイン・フェードアウトのため、1曲全体をとおしてこのシンフォニー版を聴くことはできない。

 

 

 

あとかたもなく 岩崎宏美

1. あとかたもなく 作詞:エリ 作曲:松田良 編曲:T.N.T.M.
2. 約束 作詞:山田ひろし 作曲:松本俊明 編曲:萩田光雄
3. 永遠の心 作詞:ドリアン助川 作曲・編曲:久石譲
4.あとかたもなく(オリジナル・カラオケ)
5.約束(オリジナル・カラオケ)
6.永遠の心(オリジナル・カラオケ)

 

Disc. 久石譲 『WORKS II Orchestra Nights』

久石譲 『WORKS2』

1999年9月22日 CD発売 POCH-1830

 

コンサートツアー「Piano Stories ’98 Orchestra Night」での名演を収録した7年振りの貴重なオーケストラ・ライブ録音

24bitデジタル・レコーディングによるナチュラルなサウンドで臨場感を余さず収録

 

 

寄稿

いい音楽には永遠の生命力がある。

時代とか流行、様式とか国籍…そうしたものすべてを超えて存在する音楽。「WORKS」と名づけられたシリーズは久石譲という稀有な才能を持った音楽家の”仕事”を数々の映画音楽の曲を中心にオーケストラとの共演という形で再構築していくものだが、新たに録音された曲を聞くと、改めてその音楽性の高さとオリジンルな魅力を実感することができる。一度聞いただけで記憶の奥底に刻みつけられてしまう美しいメロディと卓抜したアレンジ、それにピアニストとしての力量。今回の「WORKS II」は7年ぶりのオーケストラ・コンサートのライブ録音という形になっているが、ひとつひとつの音符の鳴り方、そこから紡ぎ出されたハーモニーの美しさは、驚くほどに完成度が高い。

だから、僕は出来ることなら可能な限りの音量でこのアルバムを聞いて欲しいと思う。収録された13曲は、インストゥルメンタルでありながら大量生産、大量遺棄されるヒット曲とは一線を画す本物の”唄”というのはどんなものかを教えてくれるし、ロマンティシズムとダイナミズムが完璧な形で同居し、輝ける結晶体になっていることがわかる。

そして、次にはそこに自分自身の記憶や思いを重ね合わせていくといい。映像は形になって残っているが、いい音楽というのはそこから離れて空間の中で旋回し始めるのである。「WORKS」はいい仕事の理屈抜きの証拠品である。

立川直樹

(寄稿 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

久石譲 『WORKS2』

交響組曲「もののけ姫」より
1. アシタカせっ記
2. もののけ姫
3. TA・TA・RI・GAMI
4. アシタカとサン
5. Nostalgia (サントリー山崎CF曲)
6. Cinema Nostalgia (日本テレビ系列「金曜ロードショー」オープニングテーマ)
7. la pioggia (映画「時雨の記」メインテーマ)
8. HANA-BI (映画「HANA-BI」メインテーマ)
9. Sonatine (映画「Sonatine」より)
10. Tango X.T.C (映画「はるか、ノスタルジィ」より)
11. Madness (映画「紅の豚」より)
12. Friends
13. Asian Dream Song (長野パラリンピック冬季競技大会テーマ曲)

ピアノ:久石譲
指揮:曽我大介
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団 (東京)
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団 (大阪)
録音:1998年10月19日 東京芸術劇場
録音:1998年10月27日 ザ・シンフォニーホール

 

WORKS II Orchestra Nights

1.The Legend of Ashitaka (Symphonic Suite “Princess Mononoke”)
2.Princess Mononoke (Symphonic Suite “Princess Mononoke”)
3.TA-TA-RI-GAMI (The Demon God) (Symphonic Suite “Princess Mononoke”)
4.Ashitaka and San (Symphonic Suite “Princess Mononoke”)
5.Nostalgia
6.Cinema Nostalgia
7.la pioggia
8.HANA-BI
9.Sonatine
10.Tango X.T.C.
11.Madness
12.Friends
13.Asian Dream Song