Disc. 久石譲 『私は貝になりたい オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『私は貝になりたい オリジナル・サウンドトラック』

2008年11月19日 CD発売 UMCK-1273

 

2008年公開 映画「私は貝になりたい」
監督:福澤克雄 音楽:久石譲 出演:中居正広、仲間由紀恵

 

 

INTERVIEW

福澤監督と最初に打ち合わせをしたとき、この作品の音楽のイメージは、夫婦のドラマをメインに膨らませていくということで意見が一致しました。脚本の橋本さんは、房江が豊松のために署名を集めるシーンの音楽を大切にしてほしいとおっしゃいました。そこで、この場面にメインテーマを合わせたいと考え、どのような曲を流すかに苦心しました。今どきない本格派の映画なので、音楽の組み立て方も難しい点でした。

テーマに社会性があり、夫婦愛の物語にメロドラマのような音楽をつけると安っぽくなってしまいます。それに、上映時間も長い作品であるからこそ、きちんと核がある曲を作りたかったのです。結果、到達したのがワルツです。ワルツは重たくなりすぎることも、軽くなりすぎることもありません。

この映画の素晴らしさは、悲劇は悲劇として描き切ったところです。最終的には絶望的な内容にも見えます。しかし、そのなかに人間的な優しさや、愛に溢れた世界観を出したいと思いました。

演奏は、東京フィルハーモニー交響楽団が行い、東京オペラシティのコンサートホールでレコーディングしました。70人以上の大きなオーケストラの包み込むような空気感溢れる演奏によって、この作品のもつ人間の感情の大きな起伏やダイナミックな心の流れを表現することに成功しました。

特に映画の冒頭1曲目、広大な海の実景から土佐の町へカメラが切り替わっていくシーンの音楽は気に入っています。弦とピアノだけのこの場面の音楽が完成したとき、手応えを感じましたね。

(映画「私は貝になりたい」劇場用パンフレット より)

 

 

主要テーマ曲である(2)と(3)を軸にしてシーンの展開に合わせ様々なバリエーションでモチーフが展開していく。その他トランペットをはじめとしたホーンセッションが多く聴かれるところに戦時中の緊張感や悲劇といったイメージが重なる。主要テーマ曲をはじめ哀愁漂うメロディアスな旋律は戦争・昭和の日本という世界観を表現している。

また『Another Piano Stories ~The End of the World~』CD作品では、メインテーマのピアノソロ曲をしっとりと聴くことができる。 (「13.I’d rather be a Shellfish」)

 

 

久石譲 『私は貝になりたい オリジナル・サウンドトラック』

1.プロローグ
2.豊松のテーマ
3.出会い~メインテーマ
4.軍人訓練
5.B29
6.13 ~大北山事件~
7.連行~汐見岬との別れ
8.判決
9.聖書と靴音
10.友情 I
11.道行き
12.友情 II
13.汐見岬 ~愛しさ~
14.チェンジブロック
15.酷
16.13 ~葡萄酒~
17.私は貝になりたい

All Music, Composed, Arranged,
Conducted and Produced by Joe Hisaishi

Performed by Tokyo Philharmonic Orchestra
Concertmaster:Akihiro Miura

Piano Solo:Febian Reza Pane
A.Guitar:Masayoshi Furukawa

Recorded at Tokyo Opera City Concert Hall
Recording & Mixing Engineer : Hiroyuki Akita (Wonder Station)
Manipulator : Yasuhiro Maeda (Wonder City Inc.)
Assistant Engineers : Akihiro Tabuchi (Wonder Station)
Masashi Okada (SCI)
Hitomi Joko (ON AIR AZABU STATION)
Mixed at ON AIR AZABU STATION
Mastered by Hiroyuki Hosaka (H2 mastering)

 

Disc. 久石譲 『崖の上のポニョ サウンドトラック』

久石譲 『崖の上のポニョ サウンドトラック』

2008年7月16日 CD発売 TKCA-73340
2021年4月24日 LP発売 TJJA-10032

 

2008年公開 スタジオジブリ作品 映画「崖の上のポニョ」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

フルオーケストラと大コーラスで奏でる空前の宮崎駿ファンタジー
久石譲渾身の書き下ろし大作!!

映画本編の楽曲を収録。新日フィルハーモニー交響楽団の演奏に加え、本作では栗友会合唱団による大編成のコーラスが加わり“海と生命”をダイナミックに表現している。録音は2008年5月。林正子、藤岡藤巻と大橋のぞみの主題歌も収録。

 

 

ポニョと宗介のストレートな感情を音楽に

今回はすごく幸運なことに、『崖の上のポニョ』という曲が宮崎さんとこの作品の最初の打ち合わせをしている時に浮かんだんです。ただシンプルすぎて、これがメインのテーマ曲になるのかなと、しばらく寝かせておいたんですけど、2、3ヵ月経ってもそのメロディが頭から離れないので、この曲を今回の映画音楽の主役として随所で聴こえるようにしました。

あとは、この映画の主人公が5歳の男の子と女の子で、とにかく感情表現がストレートですから、彼らがお互いを好きになる勢いみたいなものをそのまま音楽で表現しています。映画の音楽を映像につける方法として一番シンプルな、原点に戻ったところで作業をした感じですね。そうした中でどれだけ壮大さを音楽で表現できるかということを意識していました。

また、今回はこの映画の根底にある宮崎さんの思想につながるグランマンマーレのテーマ曲を作っています。彼女はベーシックな意味で生命のもとが海にある。海なる母というこの映画全体のテーマそのものですから、全体の基調になるものとして曲を書きました。

演奏形態については、この映画にとって、また今の僕自身にとってもぴったりした表現方法だと思い、約90名の3管編成・フルオーケストラに演奏してもらいました。あとはコーラスですね。宮崎さんの作品でコーラスをしっかり入れたのは実は今回が初めてです。オーケストレーションという点でも存分に楽しんで頂けるように書けたと思います。

無駄なく完成されている宮崎さんの映像に調和する音楽をつけるのはかなり難しい。僕は映画音楽は映像と音楽がお互いに重量物になることなく、時には寄り添い、時には対立しながら常に対等でいるのが一番正しいと思っています。宮崎さんの作品は、そんな映像と音楽の関係を存分に出せる最高の仕事です。

この映画は、最近の宮崎さんの作品の中では101分と少し短めですが、中身はとても凝縮されていて、観終わった瞬間にもう一度観たくなります。ものすごくイマジネーションが豊かで、勇気が出ましたね。どのシーンもとにかくすごい!その中で、あえて僕が好きなシーンをあげると、宗介がいなくなってしまったリサを探して「リサーっ!!リサーっ!!」と叫ぶところです。このシーンの音楽は、僕のピアノソロで、音楽的にもすごく気持ちが入りました。

(映画「崖の上のポニョ」劇場用パンフレット より)

 

 

新しい海の唄の誕生 ~覚 和歌子作「さかな」より翻案

宮崎監督は、「崖の上のポニョ」で、これまでにない”新しい海の唄”を作りたいと考えていました。これまで海の唄というと「うみはひろいな 大きいな」(文部省唱歌「うみ」)という唱歌に代表されるように、海を風景や舞台として捉えた唄ばかりでした。監督は今回の作品のために、”海そのもの”を歌った唄を作りたいと思い悩んでいたのです。そんなある日、覚和歌子さんの詩集『海のような大人になる』(理論社刊)の中の一編の詩「さかな」に出会い衝撃を受けます。その詩には、監督が思い描いていた”海そのもの”が表現されていたからです。そして、宮崎監督はこの詩を元に、「海のおかあさん」の歌詞を書き上げたのでした。後日、音楽担当の久石譲氏に手渡された音楽ノートには、歌詞とともに次の一文が添えられていました。《これは覚和歌子さんの詩集『海のような大人になる』の一編「さかな」を元にしました。》こうして、宮崎監督と覚和歌子さんと久石譲さんによる全く新しい海の唄、「海のおかあさん」が生まれたのです。

(CDライナーノーツより)

 

 

ソーミ、ドーソソソの六音からなるこのフレーズは単純だけれども、だからこそさまざまにアレンジすることができる。この機能性は映画音楽では最高の武器だ。困ったらこのメロディに戻ればいいわけで、水戸黄門の印籠のようなものである。この瞬間、迷いは霧散した。

Blog. 「文藝春秋 2008年10月号」「ポニョ」が閃いた瞬間 久石譲 より抜粋)

 

 

久石:
だから逆に、音楽のほうも割り切った、新しいスタイルいできないかなと思って、今、取り組んでいるんですよ。というか、どちらかというとぼくは、長く曲をつけるのが好きだったんですよ、今までは。入り出したら2分とか、長く続けるのが好きで、その方式をとってきたんだけど、今回は逆に、5秒とかね。

鈴木:
ああ、短いんですよね。

久石:
すごく短い。ようするに、「はい、始まった。終わった」っていうよりも、(音が)「あった」。そのかわり、間もあるんだけど、「また、あった」みたいなね。まあ、理想で言うと、どこから音楽が始まって、どこで終わったか、あまりわかんない方式をとれないかなと思って。

鈴木:
いろいろ考えてますねえ。

久石:
いやいや……(笑)。

 

鈴木:
今回の『ポニョ』では、久石さんに作っていただいた曲がね、ラストシーンを決めました。

久石:
あははは(笑)。

鈴木:
いや、そういうことがあるんですよ。あの音楽によって、「ラストは、こうやればいいんだ」と、宮さん本人もわかったっていう……

久石:
いやあ、責任重大ですね。

Blog. 「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ 3」久石譲登場回(2008)「ジブリアニメとの25年」内容 より抜粋)

 

 

「子どもから大人まで誰もが口ずさめるような歌を作ってほしいというのが宮崎さんの希望でした。そうなると、一番大事なのがメインテーマ。幸いなことに、宮崎さんとの最初の打ち合わせのときに浮かんできたんですよ。”ポ~ニョポ~ニョポニョ”っていう部分のメロディーが。でも、あまりにもシンプルなメロディーだったので、2~3カ月くらい寝かせてたんです。でも結局、それが一番良いと思ったので、デモを作って宮崎さんに渡してみたら気に入ってくださって。最大の難関になるはずのメインテーマが最初にできたというのは非常に助かりましたね」

「作っていくうちに”これは難しいな”と思ったことがありました。主人公の宗介は5歳の男の子なんですけど、それくらいの年齢の子は感情のブレがないんです。”行きたい””好き””会いたい”とか、とにかく真っすぐですからね。映画音楽では、主人公が揺れてくれるとありがたいんです。揺れると心理描写が入りますから、いろんなバリエーションの音楽を入れやすいんですよ。宗介もポニョも真っすぐなので、そこは大変でした(笑)。でも、『崖の上のポニョ』という作品は”子ども向け”に見えますけど、全然”子ども向け”じゃないですからね。人間の生と死とか、現実に生きている世界と裏返しの世界の間の物語なんですよ。グランマンマーレとか、向こうの世界の存在ですし、永遠の生命とか、まさに東洋哲学ですよね。でも、ただ深いものとして見せるんじゃなくて、子どもにも分かるように作るという、難しいことに挑戦した作品なんじゃないのかなって。僕はそう感じたので、作っている途中で”これは大変だなぁ”って思いました。一番大切なことは、作品の深さに見合った音楽を書かなくてはいけないということでした。つまり、表面に出てくるメロディーはシンプルなものだとしても、水面下にものすごく深いものがないと成立しないんです」

「小学校の音楽の授業で習うことですけど、音楽の中には”メロディー”と”ハーモニー”と”リズム”という三要素があるんです。僕らが音楽を作る上でも重要なのはこの三要素なんですよ。今回、メインテーマの”メロディー”が非常にシンプルで分かりやすいので、”リズム”や”ハーモニー”が相当複雑な構成になっても成立するんです。そこは良かったところですね。この曲の良さは、”ポ~ニョポ~ニョポニョさかなのこ”という最初の部分のメロディーですべて分かってしまうところ。そのメロディーを認識させるために4小節とか8小節とか必要としないですから。1フレーズだけで分かるので、どんな場面でも使えるんです。すごく悲しい感じにもできるし、すごく快活にもできるから、いくつでもバリエーションが作れるんです。メインテーマのアレンジを変えて使うという方法は、前作の『ハウルの動く城』の経験が生きましたね。今回、『崖の上のポニョ』でも徹底的にアレンジを変えました。使い回しは一つもありませんよ」

「音楽を入れるのに楽なところは一つもありません。その中でも悩んだところは、宗介が”リサ!リサ!”って叫ぶ場面と、その後のおばあちゃんたちがいる”ひまわりの家”が水没している場面ですね。ひまわりの家の場面には音楽が必要だと思ったんですが、そうすると宗介のシーンには音楽が入れられないなって。2つの連続する場面のどちらにも音楽が入っていたら”音楽ベッタリ”な感じになってしまいますからね。僕も宮崎さんも悩んだんですけど、宗介のシーンには音楽は要らないという話になりました。ところが、作っていくうちに、”やっぱりこれだとおかしい”っていうふうに思えてきたので、宗介のところにも音楽を入れることにしたんです。でも、ひまわりの家の部分がフルオーケストラなので、違いが出せるように宗介のところはピアノ一本で入れることに。いやぁ、うまくいきましたね。惜しいのは、僕のピアノがちょっと強かったことかな。オケの録音の後にとったので、ちょっと力が入り過ぎたみたいです(笑)」

「そうなんですよ。トータルバランスを考えて作るということが大切です。この映画の上映時間は1時間41分ですから、音楽も1時間41分の長さのシンフォニー(交響曲)を書くつもりで取り掛からないといけません。ずっとフルテンションの分厚い音楽だったら飽きちゃいますよね。厚い部分があれば薄い部分もあって、速い部分があれば遅い部分もある。その音楽がトータルで何を表現したいのかを考えないと作品として成立しないんです。音楽が入ってない場面も出てきますよね。”この場面には音楽を入れない”と決めるのも、僕の仕事なんです」

Blog. 「別冊カドカワ 総力特集 崖の上のポニョ featuring スタジオジブリ」(2008) 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

今作の作曲は、物語のはじめから終わりに向かって順番通りに書き下ろされている。久石譲曰く「通常とらない方法」とのこと。録音はホールにてオーケストラと総勢約70名のコーラスを別録りではなく同時録音する方法が採用されている。日本に4個しかないホルンのミュートも集め使用されている。

本格的にコーラスを取り入れた本作品、「深海牧場」などに聴かれるコーラスはラテン語から「mare(海)」「aqua(水)」「amor(愛)」「mater(母」「navigo(航海する)」「vita(生命)」等、映画に関連する単語を組み合わせてはめ込まれている。

 

 

 

 

書籍「折り返し点 1997~2008」/宮崎駿・著に、『久石譲さんへの音楽メモ』、作品についての説明とあわせて「ポニョ来る」「子守歌」「さんご塔」「ひまわりの家のロンド」「水魚」「発光信号」「いもうと達」といった詩やメモが収載されている。これは監督から久石譲へ作品イメージを伝えるために書いたもの。イメージアルバムの曲および曲名・歌詞として生かされている。

 

 

 

2021.4 Update

2021年発売LP盤には、新しく書き下ろされたライナーノーツが封入された。時間を経てとても具体的で貴重な解説になっている。

 

 

 

 

久石譲 『崖の上のポニョ サウンドトラック』

01. 深海牧場
02. 海のおかあさん 歌:林正子
03. 出会い
04. 浦の町
05. クミコちゃん
06. ポニョと宗介
07. からっぽのバケツ
08. 発光信号
09. 人間になる!
10. フジモト
11. いもうと達
12. ポニョの飛行
13. 嵐のひまわりの家
14. 波の魚のポニョ
15. ポニョと宗介 II
16. リサの家
17. 新しい家族
18. ポニョの子守唄
19. リサの決意
20. グランマンマーレ
21. 流れ星の夜
22. ポンポン船
23. ディプノリンクスの海へ
24. 船団マーチ
25. 赤ちゃんとポニョ
26. 船団マーチ II
27. 宗介の航海
28. 宗介のなみだ
29. 水中の町
30. 母の愛
31. トンネル
32. トキさん
33. いもうと達の活躍
34. 母と海の讃歌
35. フィナーレ
36. 崖の上のポニョ (映画バージョン) 歌:藤岡藤巻と大橋のぞみ

音楽:久石譲
指揮・ピアノ:久石譲
演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団 ソロ・コンサートマスター:崔文洙
合唱:栗友会合唱団
ヴォイス:麻衣

音楽収録:すみだトリフォニーホール 2008年5月
ミキシングスタジオ:ON AIR 麻布スタジオ

16面パノラマブックレット封入

 

Ponyo on the Cliff by the Sea (Original Soundtrack)

1.Deep Sea Pastures
2.Mother Sea
3.The First Meeting
4.Town by a Cove
5.Kumiko
6.Ponyo and Sosuke
7.The Empty Bucket
8.Night Signals
9.I Want to Be a Girl!
10.Fujimoto
11.Ponyo’s Sisters
12.Ponyo Flies
13.The Sunflower House Caught in the Storm
14.Ponyo Rides a Sea of Fish
15.Ponyo and Sosuke II
16.Lisa’s House
17.A New Family Member
18.Ponyo’s Lullaby
19.Lisa’s Resolve
20.Gran Mamare
21.A Night of Shooting Stars
22.The Toy Boat
23.Towards the Sea of the Dipnorhynchus
24.March of the Boats
25.The Baby and Ponyo
26.March of the Boats II
27.Sosuke’s Voyage
28.Sosuke’s Tears
29.Underwater Town
30.A Mother’s Love
31.The Tunnel
32.Toki
33.Ponyo’s Sisters Lend a Hand
34.A Song for Mothers and the Sea
35.The Grand Finale
36.Ponyo on the Cliff by the Sea (Movie Version)

 

벼랑 위의 포뇨 Original Soundtrack
(South Korea, 2008) PCKD 20203

01 심해 목장
02 바다의 엄마
03 만남
04 포구의 마을
05 쿠미코
06 포뇨와 소스케
07 텅빈 양동이
08 발광신호
09 사람이 될래!
10 후지모토
11 포뇨 여동생들
12 포뇨의 비행
13 폭풍 속의 해바라기 집
14 파도 타는 물고기 포뇨
15 포뇨와 소스케Ⅱ
16 리사의 집
17 새로운 가족
18 포뇨의 자장가
19 리사의 결의
20 그란만마레
21 유성이 떨어지는 밤
22 통통배
23 디프노링크스의 바다로
24 호위함의 행진곡
25 아기와 포뇨
26 호위함의 행진곡Ⅱ
27 소스케의 항해
28 소스케의 눈물
29 수중 마을
30 엄마의 사랑
31 터널
32 토키
33 포뇨 여동생들의 활약
34 엄마와 바다의 찬가
35 피날레
36 벼랑 위의 포뇨(영화버전)

 

Disc. ゆず 『WONDERFUL WORLD』

2008年4月16日 CD発売
CD+DVD(初回限定盤)SNCC-86917
CD(通常盤)SNCC-86918

 

ゆず通算8枚目のオリジナルアルバム

 

 

フルオーケストラをバックに歌っても、ゆずは「ゆずであった」

出会った時の第一印象は、二人とも非常に爽やかであったこと。今の若者の中にあって変なクセもなく、すごく前向きで純粋な、いい青年たちだなあと思いました。「ワンダフルワールド」の話をもらった当時の僕は、映画の仕事が立て込んでいて、少し違う世界のことをしてみたいなと思っていたところだったんです。そこに届いた曲が「ワンダフルワールド」でした。ギターと歌だけのデモテープは、おそらくこれまでのゆずとは違うであろう世界観があり、社会性も感じられました。

僕の曲で、「WORLD DREAMS」という、ある種、国歌のような朗々としたメロディが頭を過って書いた祝典序曲があるんですが、それを作っていた時は、9.11のテロの映像や、悲惨な状況下で逃げ惑うイラクの子供たちの映像が頭の中に浮かんできていました。実はこの「ワンダフルワールド」を聴いた時にも、同じ感じが過って、「あ、これは自分ならこうしたい」というイメージが湧いたんです。そんな話を、ゆずの二人との打ち合わせの場でもした記憶があります。

大きい世界観があったので、楽器編成はどうしてもオーケストラでやるのがいいと思いました。しかし、ある意味で西洋的な世界だけでは表現できないと思ったので、そこにエスニックパーカッションといったものを取り入れ、もっと第三世界の雰囲気を表現しました。そして最終的には「We are The World」のように皆が参加できるような、そういう世界観になったら良いなと思い、少しスケールの大きなアレンジを試みました。結果としては、自分でも非常に満足する出来です。

大人数のフルオーケストラをバックに歌っても、ゆずはゆずだった。「ゆずであった」というのはどういうことかと言うと、決してオケにも負けていないし、彼らの歌はオケと「対立」するのではなくて、むしろオケを「味方」にして、より歌がスケールアップしていたということです。そういうところが一緒にやっていてとてもエキサイティングだったし、楽しかったところです。

Blog. 「別冊カドカワ 総力特集 ゆず 2009」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

「ワンダフルワールド」にて、久石譲がプロデュースおよび指揮で参加している。初回盤DVDには同曲のミュージッククリップと、制作ドキュメントが収録されており、久石譲も登場する。

また、この楽曲がきっかけとなり、TV「NHK SONGS 第45回 ゆず」放送回にもゲスト出演している。ゆず×久石譲による「ワンダフルワールド」を披露しただけでなく、ゆず×久石譲の対談も実現した。

「ワンダフルワールド」は、70人編成のオーケストラによる壮大な楽曲。約30名の児童合唱団も参加していて、リズミカルなパーカッションの共演など聴きどころ満載な作品である。久石譲が作曲を担当しない曲で、編曲/プロデュース/指揮でという参加は極めて珍しい。

 

 

 

初回盤(CD+DVD)

通常版(CD)

1. WONDERFUL WORLD
作曲:北川悠仁 プロデュース:蔦谷好位置&ゆず
2. ストーリー
作詞・作曲:北川悠仁 プロデュース:寺岡呼人&ゆず
3. モンテ
作詞・作曲:北川悠仁 プロデュース:ゆず
4. おでかけサンバ
作詞・作曲:北川悠仁 プロデュース:寺岡呼人&ゆず
5. うまく言えない
作詞・作曲:北川悠仁 プロデュース:寺岡呼人&ゆず 編曲:亀田誠治
6. 黄昏散歩
作詞・作曲:岩沢厚治 プロデュース:ゆず
7. 凸凹
作詞・作曲:北川悠仁 プロデュース:蔦谷好位置&ゆず
8. 人間狂詩曲
作詞・作曲:岩沢厚治 プロデュース:寺岡呼人&ゆず
9. 春風
作詞・作曲:岩沢厚治 プロデュース:寺岡呼人&ゆず コラボレーション:葉加瀬太郎
10. 明日天気になぁれ
作詞・作曲:北川悠仁 プロデュース:寺岡呼人&ゆず
11. 行こっか
作詞・作曲:岩沢厚治 プロデュース:ゆず
12. 眼差し
作詞・作曲:北川悠仁 プロデュース:寺岡呼人&ゆず 編曲:亀田誠治
13. 君宛のメロディー
作詞・作曲:岩沢厚治 プロデュース:寺岡呼人&ゆず
14. つぶやき
作詞・作曲:岩沢厚治 プロデュース:寺岡呼人&ゆず
15. ワンダフルワールド
作詞・作曲:北川悠仁 プロデュース: 久石譲&ゆず

※楽曲「ワンダフルワールド」の印税の一部は、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に寄付し、世界中の難民キャンプでの植樹事業など「みどりを増やす」プロジェクトを推進していきます。

「ワンダフルワールド」
Produced by 久石譲&ゆず
Orchestrated & Conducted by 久石譲
Orchestra:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
Percussion:梯郁夫
Chorus:TOKYO FM 少年合唱団, すずかけ児童合唱団, WONDERFUL CHORUS
Recorded & Mixed at Bunkamura Studio
Recorded at Avano Creative Studio

 

初回限定盤DVD付
1.ワンダフルワールド (ミュージック・ビデオ)
2.WONDERFUL DAYS recording of ワンダフルワールド

 

Disc. 『太王四神記 プロローグDVD』

2008年2月27日 DVD発売  AVBF26633

 

韓国テレビドラマ「太王四神記」
監督:キム・ジョンハク 音楽:久石譲 出演:ペ・ヨンジュン 他
放送期間:2008年4月5日~2008年9月27日 (全24回) NHS総合
(韓国では2007年9~12月放送)

 

韓国で番組放送スタート直前にオンエアされた話題のスペシャル番組が待望のDVD化!ついにペ・ヨンジュン自身がタムドクを語る独占インタビューほか、最新メイキング映像も収録した、プロローグDVD!

 

 

本作品で聴かれる音楽は、実際に本編およびサウンド・トラック盤に収録されている楽曲が中心である。

ただし、その中でもシンセサイザーによるデモ音源や、本編およびサウンド・トラックには収録されていない別バージョンが収録されている。実際にオーケストラとレコーディングした音源、かつ、未使用バージョンである。

本作品ではチェロ独奏によるメインテーマや、「ヒョンゴのテーマ」のピッチカート・バージョン(オリジナルは木管アンサンブル)が要所要所にて使用されている。

この傾向と未使用楽曲に関しては「太王四神記 ナビゲートDVD」と同じである。

 

 

太王四神記 プロローグDVD

DVD収録内容

Disc 1
・太王四神記スペシャル番組
・太王四神記韓国版予告編

本編67分

Disc 2
・太王四神記の主人公たち ~人物紹介&最新インタビュー~
タムドクの紹介(ペ・ヨンジュン)、キハの紹介(ムン・ソリ)、スジニの紹介(イ・ジア)、ホゲの紹介(ユン・テヨン)
・太王四神記 ~主要人物関係~
タムドクとキハ、タムドクとスジニ、スジニとキハ、ホゲとキハ、タムドクとホゲ
・冷めない情熱 ~キム・ジョンハク監督~
・ファンへのひと言

本編71分

 

Disc. 久石譲 『太王四神記 オリジナル・サウンドトラック Vol.2』

久石譲 『太王四神記 オリジナル・サウンドトラック 2 』

2008年1月25日 CD+DVD発売 AVCF-26630/B

 

2006年 韓国歴史ファンタジードラマ「太王四神記」(全24話)
日本語吹き替え版
2007年12月〜 NHK BSにて放送
2008年4月〜 NHK総合にて放送
監督:キム・ジョンハク 音楽:久石譲 出演:ペ・ヨンジュン 他

 

ペ・ヨンジュン主演 韓国TVドラマ「太王四神記」オリジナル・サウンドトラック第2弾!
東方神起、ジュンソの歌唱曲を含む、フルオーケストラ収録の全18曲。
DVDには、東方神起「千年恋歌」他計2曲を本編映像で綴ったミュージックビデオつき。

 

 

 

 

久石譲 『太王四神記 オリジナル・サウンドトラック 2 』

1.千年恋歌 / 東方神起
2.タムドク 〜哀しく〜
3.スジニのテーマ 〜コミカル〜
4.儀式
5.団結 -ストリングバージョン-
6.運命 -サウンドトラックバージョン-
7.キハのテーマ 〜願い〜
8.神話
9.スジニのテーマ 〜黒朱雀へ〜
10.悲劇的
11.時は流れて
12.運命 -ストリングバージョン-
13.かなわぬ恋
14.コムル村
15.初恋
16.運命 -ピアノ&ハープバージョン-
17.スジニのテーマ 〜Love Theme〜
18.ゆるして / ジュンソ

[DVD]
1.タムドクのテーマ 〜メインテーマ〜
2.千年恋歌
3.ゆるして

初回限定特典:
1.スリーブ仕様
2.ピクチャーレーベル
3.ステッカー封入

「千年恋歌」
Vocal:東方神起
Composed by Joe Hisaishi
Arranged by Maestro-T
Lyrics by Lim bo Kyung

「ゆるして」
Vocal:Jun Seo
Composed by Joe Hisaishi
Arranged by Jeong hoon ann, In young Park
Lyrics by Gab won Choi

All composed, arranged, conducted and produced by Joe Hisaishi (except Tr.1&18)

Piano (Tr.7&17):Joe Hisaishi

Performed by New Japan Philharmonic
Concertmaster:Munsu Choi

Ethnic Pipes:Wang Ming Jun
Taiko Drums:Shuichi Hidano, Daisuke Takagi, Masayoshi Tanaka

Recorded at
Toda City Culture Hall (Saitama)
Wonder Station (Tokyo)

Recording Engineer : Suminobu Hamada [Wonder Station], Hiroyuki Akita [Wonder Station]
Co-operatred : Takeshi Muramatsu [Octavia Records Inc.], SCI
Mixed at Landmark Studio (Yokohama)
Mixing Engineer : Suminobu Hamada [Wonder Station]
Mastered at UNIVERSAL MUSIC (Tokyo)
Mastering Engineer : Shigeki Fujino [UNIVERSAL MUSIC]

 

Disc. 久石譲 『おばさんのポストモダン生活』 *Unreleased

2007年 中国公開

 

2007年 中国映画「おばさんのポストモダン生活 (The Postmodern Life of My Aunt)」
監督:アン・ホイ 音楽:久石譲 出演:スーチン・ガオワー 他

日本未公開作品

 

この作品において、第27回香港電影金像奨(香港アカデミー賞)最優秀音楽賞を受賞している。

チャイナ・フィルハーモニーとの共演により中国で当時初の5.1chサラウンド音響によって、レコーディングが行われた。レコーディングは北京YYYDスタジオにて2006年4月21日~26日にかけて行われた。

レコーディングに使用された中国民族楽器は、二胡(にこ)、琵琶(びわ)、古筝(こそう)、楊琴(やんちん)、三弦(さんげん)、笛子(てきし)の6つである。さらに、アイリッシュハープ、リュート、リコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴィオラ・ダ・モーレという、古楽器・民族楽器ばかりを集めためずらしい編成でのレコーディングがなされている。

チャイナ・フィルハーモニーによる、悠々とした弦の響きと、民族楽器が奏でる旋律。アジアンテイストなメロディラインに、より一層のアジア色を反映した楽曲になっている。

映画本編では全体的に音楽に占める割合が少なく、オープニングとエンディングにかけてメインテーマを中心に構成されている程度。そういった意味ではサウンドトラックとしてCD化するほどの曲数はないのかもしれない。

 

『Asian X.T.C.』にて、この作品のメインテーマを聴くことができる。民族楽器はここでも活躍しているが、サウンドトラックのオーケストラ編成とは異なり、アコースティックなサウンドに仕上がっている。

 

 

 

久石譲 おばさんのポストモダン生活

 

Disc. 久石譲 『太王四神記 オリジナル・サウンドトラック Vol.1』

太王四神記 オリジナル・サウンドトラック vol.1

2007年12月12日 CD発売 AVCF-26629

 

2006年 韓国歴史ファンタジードラマ「太王四神記」(全24話)
日本語吹き替え版
2007年12月〜 NHK BSにて放送
2008年4月〜 NHK総合にて放送
監督:キム・ジョンハク 音楽:久石譲 出演:ペ・ヨンジュン 他

 

ペ・ヨンジュン主演 韓国TVドラマ「太王四神記」オリジナル・サウンドトラック第1弾!
メインテーマなどを中心に選曲した、フルオーケストラ収録の全21曲!

 

映画並みの巨額の予算をかけたファンタジー時代劇。神話をもとにした物語は歴史ファンタジードラマとも称される。日本ではNHKにて放送される。

 

 

『太王四神記』制作レポート

~中略~

当初、久石は慣れていないドラマ音楽の制作にかなり不安を抱いていました。通常、映画音楽を制作する場合、映像編集が終わって、後は音楽だけ、という状態の作品を見ながら久石は作曲をしています。だからこそ映像にピッタリとマッチした音楽が作れるわけですが、今回はいつもとかなり様子が違います。海外で制作されている連続ドラマ、なおかつ、未だ撮影中、未編集…。つまり、映像の完成より先に音楽を完成させなくてはいけないのです。映像が無い状態で、それでも映像にあわせた音楽をつくらなくてはいけない、難しいですよね…。

最初はこの制作のスタイルにとまどっていた久石ですが、制作終盤にさしかかるとこのスタイルにも慣れた様子で、むしろ、映像や時間、タイミングに束縛されずに音楽を作り出すことを楽しんでいるかのようにも見受けられました。時間的にも体力的にも厳しい状況の中で、久石は着々と曲を仕上げていき、レコーディング直前まで全力疾走で駆け抜けました。メインとなる曲が完成したのはレコーディング数日前、最後の曲が完成したのはレコーディング前日でした。

~中略~

二日間にわたるオーケストラとのレコーディング終了後は、昨年の世界遺産コンサートでもお世話になった和太鼓奏者・ヒダノさんを迎えての和太鼓ダビング(本編とは別に録音すること)です。大きなトラックでたくさんの太鼓が会場に搬入され、舞台上はかなり賑やか、壮観な風景でした。大きな太鼓から繰り出される音はさすがにダイナミックで、やっぱり打楽器の生み出すパワーは違いますね。壮大なシーンや戦闘のシーンに華やかな彩りを添えそうです。

~中略~

実は久石、今回はなんと総数約50もの曲を事前に作曲しました(分数に換算するとなんと180分!)。さらに、レコーディング当日の演奏家のみなさんのご協力により、テンポや編成を変えたバージョンを即興でレコーディング。終わってみたらなんと60以上もの曲が!この中から実際、ドラマに使用される曲は何曲あるのか、いったいどの曲がどのような場面に使用されるのか、今の段階では全く想像できない状況です。

~中略~

(『太王四神記』制作レポート ファンクラブ会報 JOE CLUB vol.4 2007.06 より)

 

 

 

 

同ドラマ放送開始前、および同サウンドトラック発売前において、DVDで発売されたプロモーション関連作品にて、主要楽曲のシンセ版(デモ音源)を聴くことができる。

音楽も制作期間であったこと、また録音前であったこと、同時並行的に制作されていた時期に発売されたからこそ貴重な音源として残っている。メロディや旋律が完成版と異なっていたり、アレンジやパート構成も違うなどといったレア音源である。

(DVD 金盤/銀盤/ナビゲート/プロモーション 計4作品)

 

 

太王四神記 オリジナル・サウンドトラック vol.1

1.オープニング
2.聖戦
3.タムドクのテーマ 〜メインテーマ〜
4.スジニのテーマ 〜淋しさ〜
5.キハのテーマ 〜運命的な出会い〜
6.団結 -オーケストラバージョン-
7.敵軍の攻撃
8.タムドクのテーマ 〜コミカル〜
9.鍛冶村
10.不信・疑惑・嫉妬
11.ホゲのテーマ
12.神々の戦い
13.ヒョンゴのテーマ
14.タムドクのテーマ 〜悲劇的〜
15.王宮
16.ファチョン会
17.運命 -木管メロディーバージョン-
18.タムドクのテーマ 〜勇壮に〜
19.勝利へ
20.運命 -オリジナルバージョン-
21.スジニのテーマ -ピアノソロバージョン-

All composed, arranged, conducted and produced by Joe Hisaishi

Piano (Tr.21):Joe Hisaishi

Performed by New Japan Philharmonic
Concertmaster:Munsu Choi

Ethnic Pipes:Wang Ming Jun
Ethnic Voice:Little Carol
Taiko Drums:Shuichi Hidano, Daisuke Takagi, Masayoshi Tanaka

Recorded at
Toda City Culture Hall (Saitama)
Sony Music Studios (Tokyo)
Wonder Station (Tokyo)

初回限定特典:
1.スリーブ仕様
2.ピクチャーレーベル
3.ステッカー封入

 

Disc. 久石譲 『マリと子犬の物語 オリジナル・サウンドトラック』

マリと子犬の物語 オリジナル・サウンドトラック

2007年12月5日 CD発売 MUCD-1175

 

2007年公開 映画「マリと子犬の物語」
監督:猪俣隆一 音楽:久石譲

 

2004年の新潟中越地震での実際のエピソードをもとに映画化された作品。
フルオーケストラ・スコアによる映画「マリと子犬の物語」オリジナル・サウンドトラック。

 

 

INTERVIEW

文章でいえば、最後に句読点をつける役割が、映画音楽だと思います。英語で言うところの”アトモスフィア”、つまり、そのときの空気感や状況を表現していくこと。さらに人間の心理も表現する。映画の伝えたい事をピリオドで明確にして際立たせる。それが映画音楽だと僕は考えています。

この映画の導入は難しいんです。実際に山古志で地震が起こっているわけですから。出だしから災害がある、と予感させる手法もあるわけですよね。でも、最終的に監督が伝えたいことは希望。力強く、人々を励ます導入を目指しました。ストリングス(弦楽器)でさり気なく入っていくのが常套ではあるけれど、ここではいきなりブラス(管楽器)で始まるんです。

説明的な音楽にしたくありませんでした。たとえば、親が包み込む愛情は説明できるものはありませんからね。それに意外に長尺の映画なので、甘口の音楽をつけていくと、画面が流れてしまう。激しいところは激しく、明快に打ち出し、ダイナミックレンジをなるべく拡げるという作業を意識的にしましたね。予定調和に流れすぎると、観る側のインパクトはどんどんなくなっていきますから。

音楽の最も多い分、全体をどう構成していくか正直、作曲するときは苦しみました。通常よりも時間はかかったし、なかなか大変でしたね。メロディとメロディのひき出し方、その兼ね合いにいちばん悩みました。

この映画には悪役がいません。全員善い人なんです。だからこそ音楽的にあまり平和になりすぎると単調になってしまうので、それをお客さんがハラハラしながら見ていけるようにどう立体的にするのか考えました。

王道を往くオーケストラで、正当な映画音楽をこの映画にはつけたいと思いました。まず王道がしっかりあるからトリッキーなものが作れる。今、少なくなってきているこの王道を往く方法できちんとしたものを作っておかなければ、と思いましたね。この映画に関しては、スケール感のある音楽で包み込むということ。それができた手ごたえはあります。音楽が映像に寄り添っていくようにしたいと思っていました。

あの地震のときは、僕の実家がある長野もかなり揺れたようです。ですから他人事ではありませんでした。ちょうどコンサートツアーの直前でもあり、リハーサルをしているときでした。新潟公演も控えていたのですがそのような状況下で、はたしてコンサートをやっていいものかどうか、僕自身、かなり悩みましたね。コンサートは中止しようかという話もあったんです。そうしたら長岡のファンの方から一通の手紙をもらいました。そこには「いまは希望がないけれど、コンサートは何が何でも行きます。それが希望です」と書かれていて。それでやる決心がついたんです。その結果、新潟のコンサートは僕自身、燃焼することができましたし、パーフェクトな出来だったと思います。あの日は観客との素晴らしい一体感がありましたね。

Blog. 映画『マリと子犬の物語』(2007) 久石譲インタビュー 劇場用パンフレットより

 

 

Production Notes

音楽

久石譲は、東宝の実写映画に久々の登板。近年は、宮崎駿監督や北野武監督の作品、中国・韓国の作品などでおなじみの巨匠だが、かつては『タスマニア物語』など、国民映画と呼ばれる作品も手がけていた。製作サイドは、”東宝のファミリームービーは実は久石さん向きなのではないか?”と考え、依頼。快諾していただいた。なお、猪俣隆一監督は大の久石ファン。冒頭、タイトルが出るまで延々音楽が流れる想定で撮影。久石自ら「音楽映画」と呼ぶほど、その楽曲を存分に鳴らしまくった。また、久石が作曲を手がけた主題歌「今、風の中で」を歌うのは平原綾香。実は平原は、中越地震とは縁が深い。震災後、FM長岡へのリクエストが相次いだことからデビュー曲「Jupiter」が”復興ソング”のように親しまれることとなり、2005年の長岡花火大会では、同曲を現地で熱唱しているのだ。今回の「今、風の中で」は被災者の方々に捧げられた1曲である。

Blog. 映画『マリと子犬の物語』(2007) 久石譲インタビュー 劇場用パンフレットより

 

 

 

メインテーマとなる(7)は、ファミリー映画らしい温かい曲。このメインテーマは(1) (15) (18) (22) などでも聴くことができる。また(24)では主題歌として平原綾香がヴォーカルを担当している。

劇中盤の楽曲は、その曲名からもわかるように、シリアスなものもあるが、前半や後半は心温まる家族愛、また子犬のかわいらしさを表現したものなど、映画「タスマニア物語」の音楽に通じるような世界観を味わうことができる。

この後2009年にはスタッフ・キャストが再結集した映画「ウルルの森の物語」が製作されている。もちろん音楽も久石譲が再び務めている。

 

 

マリと子犬の物語 オリジナル・サウンドトラック

1.ふるさと
2.ついて来る…
3.子犬と彩
4.お母さんの手紙
5.おじいちゃんの隠し事
6.母への想い
7.あたらしい家族
8.予兆
9.パニック
10.マリの救出劇
11.倒壊
12.ふるさとの悲劇
13.マリの活躍
14.災害救助隊
15.別れ
16.母と子と
17.マリに会いたい
18.彩と亮太
19.家族の絆
20.まほうのつえ
21.グー・チョキ・パー
22.奇跡の再会
23.かけがえのないもの
24.「今、風の中で」映画バージョン 歌:平原綾香

Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by Tokyo Philharmonic Orchestra

Recording & Mixing Engineer : Hiroyuki Akita [Wonder Station]
Assistant Engineer : Yosuke Watanabe [Victor Studio],Yuta Yoneyama [On Air Azabu]
Mastering Engineer : Shigeki Fujino [UNIVERSAL MUSIC]
Recorded at Victor Studio (Tokyo)
Mixed at On Air Azabu Studio (Tokyo)

 

「今、風の中で」
作詞:平原綾香 作曲:久石譲 編曲:島健

Keyboards : Ken Shima
Bass : Hideki Matsubara
Drums : Yuichi Togashiki
Guitars : Hirokazu Ogura
Percussion : Matarou Misawa
Strings : Chieko Kinbara Strings

Directed by Fumie Kaneko
Recorded & Mixed by Shunichi Kogai

 

Disc. 久石譲 『太王四神記 OST』

太王四神記 韓国盤

2007年10月17日 CD+DVD発売 DK 0530 ※輸入盤

 

2006年 韓国歴史ファンタジードラマ「太王四神記」(全24話)
日本語吹き替え版
2007年12月〜 NHK BSにて放送
2008年4月〜 NHK総合にて放送
監督:キム・ジョンハク 音楽:久石譲 出演:ペ・ヨンジュン 他

 

CD+DVD(ミュージックビデオ)のOST韓国盤

 

日本国内盤サウンドトラック Vol.1~Vol.2をおりまぜた選曲になっていてそれぞれ同一楽曲である。

 

 

太王四神記 韓国盤

ディスク:1 (CD)
1. オープニング
2. 聖戦
3. タムドクのテーマ 〜メインテーマ〜
4. スジニのテーマ 〜淋しさ〜
5. キハのテーマ 〜運命的な出会い〜
6. 運命 -オリジナルバージョン-
7. ファチョン会
8. 神々の戦い
9. タムドクのテーマ 〜勇壮に〜
10. コムル村
11. 敵軍の攻撃
12. 団結 -オーケストラバージョン-
13. 勝利へ
14. ゆるして / ジュンソ
15. 時は流れて
16. かなわぬ恋
17. 初恋
18. スジニのテーマ -ピアノソロバージョン-
19. 千年恋歌 / 東方神起

ディスク:2 (DVD)
1. 千年恋歌 /Drama Music Video
2. タムドクのテーマ 〜メインテーマ〜 -ペ・ヨンジュン/Drama Music Video

 

 

太王四神記 (태왕사신기) Original Soundtrack & Music DVD

1.Opening
2.성전 Sacred War
3.담덕의 테마 ~ 메인테마 Damdok ~ Main Theme
4.수지니의 ~ 테마 Sujini ~ Solitude
5.기하의 테마 ~ 운명적인 만남 Kiha ~ Destiny
6.운명 Destiny
7.화천회 Hwacheonhwe
8.신들의 전쟁 Battle Of The Gods
9.담덕의 테마 ~ 용맹 Damdok ~ Brave
10.거믈촌 GomulChon
11.적군의 공격 Hostile Attack
12.단결 Union
13.승리 Victory
14.허락 許諾 Forgive Me
15.세월은 흐르고 As Time Passes
16.이루어지지 않는 사랑 Tragic Love
17.첫사랑 The First Love
18.수지니의 테마 ~ 피아노 솔로 Sujini ~ Piano Solo Version
19.천년연가 千年戀歌 Eternal Love

1.천년연가 千年戀歌 Eternal Love
2.담덕의 테마 ~ 메인테마 Damdok ~ Main Theme

 

Disc. 久石譲 『太陽照常升起 / The Sun Also Rises Original Movie Soundtrack』

久石譲 『太陽照常 オリジナル・サウンドトラック』

2007年9月19日 CD発売 GE0029C ※輸入盤のみ

 

中国映画「太陽照常升起 (The Sun Also Rises)」(邦題:陽もまた昇る)オリジナル・サウンドトラック

 

ちなみに同監督 姜文(チアン・ウェン) 2011年作品中国映画「さらば復讐の狼たちよ (Let the Bullets Fly)」(原題:譲子弾飛)にもこの作品のテーマ音楽が使用されている。(日本公開2012年7月6日)

アイリッシュハープ、リュート、リコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴィオラ・ダ・モーレなどの民族楽器も多く取り入れられている。

 

 

久石譲 『太陽照常 オリジナル・サウンドトラック』

1.黒眼睛的姑娘 – Singanushiga 人聲清澈晶瑩, 主唱:伊再提・伊力亞斯(イザイティ・イリヤス)
2.前奏曲/瘋狂之開始 – Prologue/When Madness Sets In
3.阿遼莎 – Just Call Me Aloysha
4.樹上的瘋子 – Madman On A Tree
5.尋找母親 – Looking For Mother <鼓聲度向準確>
6.母親在何方? – Where Is Mother?
7.再一次 – Here She Goes Again
8.回憶 – Reminiscence
9.母親的秘密小白宮 – Mother’s Secret Lair <神秘美聲掀動心扇>
10.神奇的康復 – A Miraculous Recovery
11.母親消失 – The Mother Vanishes
12.進行曲 – The Parade
13.心靈深處 – One From Her Heart
14.暗戀者的表白 – Confession of A Secret Admirer
15.狩獵進行曲 – The Hunting Party
16.引誘 – Seduction
17.狩獵/小白宮 – The Hunt/The Lair
18.背叛之夜 – Night Of The Betrayal
19.最後的一槍 – Final Reckoning
20.黑眼睛的姑娘 – Singanushiga 人聲2重唱.;主唱: 葉爾江·馬合甫什/阿斯哈爾·買買提
葉爾江・馬合甫什(イェアルジャン・マハーブシー)&阿斯哈爾・買買提(アスハール・マイマイティ)
21.太陽照常升起 – The Sun Also Rises

Produced, Composed & Conducted by Joe Hisaishi

Performed by Tokyo City Philharmonic Orchestra
Concert master:Hikaru Yamanaka
Irish Harp:Tomoyuki Asakawa
Tin Whistle/Bass Recorder:Hideyo Takakuwa
Lute:Koichiro Tashiro
Viola da Gamba:Hiroshi Fukuzawa
Viola d’amore:Mina Fukasawa
Percussion:Ikuo Kakehashi
Vocals:Yizaiti Yiliyasi (Track-1) , Ye’erjiang Mahefushi & Asiha’er Maimaiti (Track-20)

Recording & Mixing Engineer: Suminobu Hamada (Wonder Station)
Recording Engineer: Hiroyuki Akita (Wonder Station)
Mastering Engineer: Shigeki Fujino
Recorded at Wonder Station, Victor Studio (Japan)
Mixed at Sony Music Studios (Japan)
Mastered at UNIVERSAL MUSIC (Japan)