Blog. 「別冊カドカワ 総力特集 ゆず 2009」 久石譲インタビュー内容

Posted on 2018/10/19

「別冊カドカワ 総力特集 ゆず 2009」に掲載された久石譲インタビュー内容です。ゆずオリジナルアルバム『WONDERFUL WORLD』に久石譲プロデュース・指揮楽曲「ワンダフル・ワールド」が収録されています。

 

 

特別寄稿 2

久石譲(音楽家)

前アルバムの表題曲「ワンダフルワールド」のプロデュースを手掛けた久石譲。シンプルなデモテープとして手渡されたこの曲の種に壮大な世界観を読み取った久石は、オーケストレーションによるスケールの大きなアレンジを施し、楽曲を育んだ。曲の誕生秘話、ゆずの魅力、新作に感じる成長について、メッセージを寄せてもらった。

フルオーケストラをバックに歌っても、ゆずは「ゆずであった」

出会った時の第一印象は、二人とも非常に爽やかであったこと。今の若者の中にあって変なクセもなく、すごく前向きで純粋な、いい青年たちだなあと思いました。「ワンダフルワールド」の話をもらった当時の僕は、映画の仕事が立て込んでいて、少し違う世界のことをしてみたいなと思っていたところだったんです。そこに届いた曲が「ワンダフルワールド」でした。ギターと歌だけのデモテープは、おそらくこれまでのゆずとは違うであろう世界観があり、社会性も感じられました。

僕の曲で、「WORLD DREAMS」という、ある種、国歌のような朗々としたメロディが頭を過って書いた祝典序曲があるんですが、それを作っていた時は、9.11のテロの映像や、悲惨な状況下で逃げ惑うイラクの子供たちの映像が頭の中に浮かんできていました。実はこの「ワンダフルワールド」を聴いた時にも、同じ感じが過って、「あ、これは自分ならこうしたい」というイメージが湧いたんです。そんな話を、ゆずの二人との打ち合わせの場でもした記憶があります。

大きい世界観があったので、楽器編成はどうしてもオーケストラでやるのがいいと思いました。しかし、ある意味で西洋的な世界だけでは表現できないと思ったので、そこにエスニックパーカッションといったものを取り入れ、もっと第三世界の雰囲気を表現しました。そして最終的には「We are The World」のように皆が参加できるような、そういう世界観になったら良いなと思い、少しスケールの大きなアレンジを試みました。結果としては、自分でも非常に満足する出来です。

大人数のフルオーケストラをバックに歌っても、ゆずはゆずだった。「ゆずであった」というのはどういうことかと言うと、決してオケにも負けていないし、彼らの歌はオケと「対立」するのではなくて、むしろオケを「味方」にして、より歌がスケールアップしていたということです。そういうところが一緒にやっていてとてもエキサイティングだったし、楽しかったところです。

彼らの歌からは「いろいろ悩みも一杯あるんだろうけれど、前向きに生きようよ」というようなメッセージが、いつも伝わってきます。ですから、みんなにそういう勇気をしっかり与える力を彼らはきっと持っているんだと思う。そこがゆずの素晴らしい魅力です。

最新アルバム『FURUSATO』を聴くと、1曲目に弦などを使って、より大人の鑑賞に堪えるような世界観に持ち込もうとしていますね。コード進行一つにしてもツボを心得ているというか、すごく人の気持ちが高まるところで効果的なコードをきちんと使っていて、以前に比べて1歩も2歩もその世界観が大きくなっている。そして、もちろん二人の歌声は変わらず自信を持っている声に聴こえるし、キャリアを積むに従って、より音楽性も高くなっている。それはとても素晴らしいことだと思うので、これからも彼らを見守っていきたいと思います。

(別冊カドカワ 総力特集 ゆず 2009 より)

 

 

 

 

 

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