Info. 2018/09/10 《速報》「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」(中国) プログラム 【9/14 Update!!】

Posted on 2018/09/10

8月9日から8月21日まで国内9都市開催、いよいよファイナル公演は海を渡って中国・深圳「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」コンサートツアー。待ちわびた中国ファンは期待に胸がいっぱいだったはず!W.D.O.2018日本公演を完全移植!Bプログラムは熱気と感動に包まれたようです。オール久石譲作品プログラム、スタジオジブリ映画・CM音楽・ミニマル作品まで。生で聴いてみたかったあの曲この曲ギュッとつまった夢の時間です。 “Info. 2018/09/10 《速報》「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」(中国) プログラム 【9/14 Update!!】” の続きを読む

Info. 2019/01/11 「TBS系 日曜劇場 この世界の片隅に」DVD BOX / Blu-ray BOX 発売決定

7月スタート「TBS系 日曜劇場 この世界の片隅に」が早くもDVD/Blu-rayにて登場!ドラマの音楽担当は久石譲です。松本穂香さんが歌う挿入歌「山の向こうへ」も話題になっています。 “Info. 2019/01/11 「TBS系 日曜劇場 この世界の片隅に」DVD BOX / Blu-ray BOX 発売決定” の続きを読む

Blog. 「CREA クレア 1998年12月号 創刊9周年記念特大号」 久石譲インタビュー内容

Posted on 2018/09/10

映画情報誌「CREA クレア 1998年12月号 創刊9周年記念特大号」に掲載された久石譲インタビューです。

北野武監督映画の話から、オリジナルソロアルバム『NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』まで、当時の現在進行系の話を織り交ぜながら、芯のはっきりした映画論・映画音楽論がいっぱいに詰めこまれた内容になっています。

 

 

Real Voices 09

久石譲

音楽のない『HANA-BI』や『もののけ姫』を想像してほしい。衝撃の瞬間に、あるいは悲しみや寂しさと一枚の布を織り上げるように、流れてくるメロディ。久石さんが最初に出会う映画は、それらが一切ない静寂の世界だ。

「まず台本をじっくり読んで監督が描こうとする世界観をつかむ。日本の場合は映画は監督のものだから、監督が何を表現したいかがすべての基礎になります」

ただし監督の思いははっきりとした言葉で出てくるとは限らない。

「そこで『監督、これ何ですか』って聞いたら終わっちゃう。僕も物を作る立場だから、監督が音を聴いてどういうふうに感じたか敏感にわかる。それは3時間語られるよりきついんです。精神的には監督との闘いだけど、もめるのとは違う。たいへん静かですよ」

たとえば北野武監督との熱く静かなるバトル。

「北野さんの映画は完全な台本がないことが多い。撮影の現場でもどんどん変わっていくから、音楽を完全に作ってしまうとズレてくる。でも、いい映画は5分見ればわかります。北野さんの映画もラッシュを20分見れば、タッチは明快。個性的だから。映像自体に語らせようとする監督ですね。たいがいの日本の映画はくどい。あるシーンをビジュアルでもセリフでも音楽でも訴えようとする。北野さんは不必要なところを省いてしまう。彼と仕事をするときは、音楽からなるべく情緒を外して、感情表現ではない方向で音をつけるやり方をしますね」

強烈な俳優の存在が音楽の方向性を決定することも?

「いや、役者さんに影響を受けることは全然ありません。主人公のテーマ曲なんてナンセンスだと思う。映画の部品でしかない役者が泣いたり笑ったりしているのに合わせて作ったら、映画音楽は低俗なものになってしまう。メインテーマが決まっていて、中の音楽だけ書いてくれという仕事も断っています。映画の顔を他人に明け渡して胴体だけ作るのでは、音楽の主張が不明確になるから」

久石さんの主張はひとつの音やイメージから始まる。

「精神状態がフラットな、朝の布団の中とかシャワー浴びているときに、この映画、このアルバムにはコレが絶対必要だと確信を抱く瞬間があるんですね。音でもフレーズでもイメージでも、それが決まればもうできたも同然なんです。あとは技術で仕上げるだけだから」

『もののけ姫』では『アシタカせっ記』のフレーズが出てきたときに「いける!」と思った。

「でも初めはあのフレーズはウケが悪くてね。『あの夏、いちばん静かな海。』のように、メインテーマとして僕が予定していたものと違う曲を監督が取り上げることもある。たいていは監督の考えのほうが正しいですよ。僕は音楽が専門だから逆に音楽が見えない。ドビュッシーでも自分で代表作と思う楽曲と世間が評価している音楽は違っていたりする。本人が気に入っている音楽はマニアックなことが多い。そこで自分が正しいと思っちゃいけないんです。僕は芸術家じゃなくて、他人が聴いてはじめて成り立つ仕事をしているんだから」

他からの評価といえば、国内外での高い評価が悪い効果を生むことも。つまりパクられちゃう。

「テレビをつけると1時間に4曲は僕の曲が流れてる。腹が立って訴えようかと思うこともあるけど、朝になるとおさまってるね」

ところで久石さんは子供の頃、年間300本も見ていた生粋の映画ファンだ。さすがに今は超多忙ゆえ、映画はビデオで。

「自宅の130インチのプロジェクターで観ます。僕はどうやら、映像中毒なんですよ。1週間ビデオや映画を見ないとイライラする。深夜まで仕事をして、朝4時頃から映画を見始めたりします」

公開される映画はほぼ網羅する。

「なるべく素人っぽく見るようにしている」とはいえ、音楽の使い方はどうしても気になって……。

「ああエンニオ・モリコーネも終わったな、とかね。ハリウッド映画は最初から最後まで音楽をつけますから、音楽が主張しているようでしていない。ヨーロッパ映画は音楽を入れる量が多くないから、かえって印象に残る。想像以上に音楽が映画に与える影響は大きいですよ。映像が記憶に残るときは音と一緒になっていることが多いでしょう。日本の映画はもっと音楽を大事にしないと、しんどいだろうと思いますね」

一方で、映像と音楽の密接な関係は音楽家としては「怖い」とも。

「映像の怖さをわかっているから、僕は映画のために作った音楽をソロアルバムにはなるべく持ち込まない。夕日を思い浮かべながら作曲しました、なんていうのは信じられないですね。ただ映画で仕事をしてきたおかげで構成を練るようになった。始まりがあって、何かが起こって、終焉に向かうというような。CD1枚で映画とはいわなくても40分の映像を1本見終わったぐらいの充実感が欲しい」

10月に発売された『ノスタルジア』は郷愁をテーマに、イタリアを舞台に構成を組み立てた。

「イタリアは『歌』なんですよ。カンツォーネのように強く大きなメロディがあれば成立してしまう。僕はサウンドを緻密に組み立てたいほうだから、そういう世界はあまり好きじゃなかったんだけどね」

しかし今回は『歌』をていねいに作った。ときに大地を、ときに風を想わせる歌。歌うのは歌手ではなく、久石さんのピアノであり、イタリアのオーケストラだ。

「僕の理想はメロディラインがきっちり作られている音楽。メロディができあがっていれば、アバンギャルドなアレンジや音楽性を裏に押し込んでも、音楽をよく知らない人から詳しい人まで楽しんでもらえると思う」

メロディが心の何かを揺り起こす。それは記憶の底にある、自分自身が編んだ映像かもしれない。

(CREA クレア 1998年12月号 創刊9周年記念特大号 より)

 

 

 

Blog. 「週刊朝日 1998年10月2日号」 久石譲インタビュー内容

Posted on 2018/09/09

「週刊朝日 1998年10月2日号」の人間万歳コーナーにて5ページにわたってカラー特集されました。写真は「醍醐寺音舞台」コンサートのステージ風景などが大きく掲載されています。

ピアノと椅子との距離40センチへのこだわり、北野武監督が語る久石譲、いい曲が残るということ、むき出しの貴重な内容です。

 

 

人間万歳 NINGEN BANZAI

40センチの音楽創造 作曲家 久石譲

宮崎駿監督の「もののけ姫」、北野武監督の「HANA-BI」など、いまや日本を代表する映画には、この人の音楽が欠かせない。作曲家、久石譲(47)。コンサートでも、レコーディングでも、ピアノといすとの距離は常に40センチ。ストイックなまでに優れた音を求めてやまない久石の音楽へのこだわりとは──。

 

北野武は、久石を評して「聖人か君子かもしれないな」と言う。二人は、北野の三作目「あの夏、いちばん静かな海。」(91年)以来コンビを組み、ベネチア国際映画祭金獅子賞の「HANA-BI」の音楽も彼が担当した。そのほか映画音楽を手がけているのは、宮崎駿、大林宣彦、澤井信一郎と、名監督の作品ばかり。だが、いずれの監督も相当クセがある。

特に北野の場合、撮影中に脚本が変更になるのは当たり前。打ち合わせをしても、撮影後に「もう一度イメージの折り合わせを」ということになる。加えて、共同作業というわけではないらしい。

「いつも『さあ、この場面に音楽をつけてみやがれ!』といった挑発的な姿勢でやってきたので、自分の撮ったシーンと久石さんの音楽が、ある意味ケンカしているようになることもある」(北野)

こんな作業を毎回繰り返しても久石は笑顔で仕事を引き受け、しかも「お手並みには感服させられる」と北野が舌を巻くのだから、まさに彼にとっては、”聖人”となるのかもしれない。

しかしその素顔は、聖人と呼ぶには程遠い険しさに満ちていた。

それは、新作ソロアルバム「NOSTALGIA PIANO STORIES III」のレコーディングでのこと。毎回、久石担当の調律師がピアノの音を調節する。彼が最後に行うのが、測量メジャーを取り出し、ピアノの鍵盤といすの距離を測ること。約40センチ。この距離について久石は言う。

「一種のバロメーターみたいなもの。体調が悪いと、演奏するときにどうしても前かがみになるから、ピアノの鍵盤と顔の距離が近くなる。鍵盤といすとの距離をいつも同じにしておけば、『今日は調子が悪いな』とかわかるからね」

そして演奏が終われば、さっと両手に白手袋をはめ、たばこを吸うときでさえはずさない。聞けばレコーディングの期間は、重い荷物も、持たないのだという。極力、演奏以外のことで両腕に負担をかけないよう注意している。

 

いい曲が残るのが大切

「いい音楽を作るということと、自分が幸せになるということは、全く別のことです。極端にいえば、音楽を作るうえでは世界中の人に嫌われてもいいと思ってる。ウチのスタッフにもよく言うんです。『死ね』って。死んでもいいんだ、オレがいい曲を書ければ。それは、オレが書いたということが大事じゃなくて、 そこにいい曲が残るということが大切なんですよ。」

とにかく、音楽一筋の人なのだ。バイオリンを習い始めたのが4歳のとき。音楽好きでクラシックから歌謡曲まで空気を吸うのと同じくらい音楽に浸り、ごく自然に音楽の道を志したという。

もともとの志望は、現代音楽の作曲家。映画やドラマの仕事は当初、「収入のため」という要素が強かったようだ。もっとも、バイオリンを手にしたころ、父親に連れられ、年間約300本も映画を見ていたというのだから、歩むべくして歩んできた道なのだろう。

「でもね、基本的に映画音楽というのは、自分の仕事の中の半分がベストで、それ以上はやりたくない、映画の仕事が2、3本続くと飽きちゃうんですよ。だからといって歌手のプロデュースも年に一枚しか作りたくないと思うし、ソロアルバムの制作で『自分が、自分が』とやっていると、世界が狭くなってしまう。だからそれらを交互にやるのが、精神安定上もっともいいんですけどね(笑)」

その言葉が示すように、今年は長野パラリンピックの総合プロデューサーを務めるなど、一音楽家にとどまらぬ活動をしている。西田ひかるのアルバムのプロデュースをしたり、9月5日は京都・醍醐寺で、フランスやイギリスからアーティストを招き、「醍醐寺音舞台」と題したコンサートの演出も手がけた。実に忙しい。

 

「五十歳で引退」を公言

そのためコンサートでは、直前まで手がけたソロアルバムの楽譜書きで、両腕が腱鞘炎になったままステージに立った。両腕のひじから手首にかけて湿布を張り、鍵盤に顔を近づけながら、ピアノのソロ演奏も披露した。

「やっぱり、ちょっと働きすぎかな(笑)。でも、演奏家としては悔いの残るステージだけど、演出家としては満足しているから」

ところで久石は、「五十歳で引退」を公言している。といっても音楽活動をいっさいやめてしまうわけではなく、自分の好きな音楽のみを作り、「お金を頂いて作曲するのはやめよう」ということらしい。

「やっぱり映画音楽をやっていたりすると、ビジュアルというのが自分のなかで大きくなっている。例えば音と映像、音と舞台のようにトータルに何かできないかと。まっ、来年は集大成を作りますから。”何か”は、ヒミツです(笑)」

(週刊朝日 1998年10月2日号 より)

 

 

Blog. 「週刊ポスト 1997年9月19日号」 久石譲インタビュー内容

Posted on 2018/09/08

雑誌「週刊ポスト 1997年9月19日号」にて紹介された記事です。

 

 

パラリンピックのテーマ曲『旅立ちの時~Asian Dream Song~』を手掛けた作曲家・久石譲とBOOMの宮沢和史氏

「もうひとつの長野」を盛り上げるこのふたり

1972年の札幌以来、実に26年ぶりに日本で開催される長野冬季オリンピック。夏が終わったばかりでは、冬のオリンピックの話題で盛り上がるわけがないが、もっと盛り上がらないのがパラリンピック。この冬季パラリンピックは、来年3月の長野冬季オリンピック終了後、同じ会場で開催される。障害者たちが最高の技を競う「もうひとつのオリンピック」ではあるが、日本での認知度は低く、支援体制も乏しい。アトランタ五輪の直後に開かれたパラリンピックで日本チームが14個の金を含む37個のメダルを獲得するという好結果を残したにもかかわらずである。障害者スポーツでも入場料を取り、スポンサー付きの冠大会もあり、プロ選手までいるアメリカや北欧の状況とは雲泥の差。

が、ここで朗報である。長野パラリンピックのテーマソングが完成したのだ。その応援歌『旅立ちの時~Asian Dream Song~』を手掛けたのは、作詞・ドリアン助川、作曲・久石譲、そしてボーカルがTHE BOOMの宮沢和史という強力メンバー。写真は、音部門担当の久石譲と宮沢和史の両氏。久石さんは、長野パラリンピックの式典・文化イベント担当の総合プロデューサーでもある。

「曲を書いた後、ドリアンさんと何度か打ち合わせを重ねて、詞が生まれました。歌は宮沢君の『島唄』を聴いて、アジアを表現できる人だと思いお願いしました。そしたら、パラリンピックなら是非やりたいという返事もらって。すごく嬉しかったですね」

宮沢さんも大会の趣旨に大いに賛同した。

「人間の手や足でできないものをこれ以上作って何のためになるんでしょうか。こういう時代だからこそ、肉体の美しさ、素晴らしさに感動する。もうひとつの肉体の祭典パラリンピックで歌が歌えることを心から喜んでいます。大会には肉声で参加したい」

とはいえ、日本では先日もJOCがパラリンピック選手に五輪選手と同じユニホーム着用を許可しないなどというまったくの愚行が問題になったばかり。久石さんも「僕も含めて、まだ日本は障害者の人々との付き合いがうまくない。自分たちの生活から障害者を切り離して、自分たちのリズムを壊さないようにしている感じがある。日常生活の中で、共に生きる意識を持たなくては」と指摘する。アジアの雄大さを訴えるこの歌が、日本の障害者が置かれた状況改善に、少しでも寄与してくれるよう祈りたい。

(週刊ポスト 1997年9月19日号 より)

 

 

旅立ちの時 久石譲

 

 

 

Blog. 「KB SPECiAL キーボード・スペシャル 1994年9月号 No.116」 久石譲インタビュー内容

Posted on 2018/09/07

音楽雑誌「KB SPECiAL キーボード・スペシャル 1994年9月号 No.116」に掲載された久石譲インタビューです。

NHK連続テレビ小説「ぴあの」からソロ・アルバム「地上の楽園」のことまで、とても掘り下げた濃い内容になっています。

 

 

『地上の楽園』は”都会で生活する人の孤独”や”世紀末的な死生観”をテーマにしたアルバムです。

ロンドン、ニューヨークと、1年の大半を海外で過ごす、日本が誇る偉大なるサウンド・クリエーター、久石譲さんの動きが活発になっている。6月から3ヵ月連続でアルバムをリリースしているのだ。今回は7月に出たソロ・アルバム『地上の楽園』を中心に、お話をうかがった。

 

★映画と同じクオリティのテレビ用サントラ

-ソロ活動と並行して”JOE’S PROJECT”をスタートさせた経緯から教えてください。

久石:
「もともと僕はいろいろな面を持っているんですけど、ピアノにしぼりこんだソロとは違う、それ以外の自分のテイストを出せる場所が”JOE’S PROJECT”。もっと歌モノ的といいますか、自分がプロデュース寄りになれる場所と言ってもいい。で、前にもレーベルは持っていたんですけれども、今回新たに”Wonder East”レーベルを発足させました。」

-レーベル第1弾のアルバムが、NHK連続テレビ小説「ぴあの」の『オリジナル・サウンドトラック ぴあの Vol.1』。今までも映画は多数手がけていらっしゃいますけど、今回はテレビということで作業形態も変化されたと思いますが。

久石:
「(映画などの)メイン・テーマやNHKのドキュメンタリー番組「人体」とか、作品として残る仕事以外は断っていたので、テレビの劇伴は10年ぶりなんです。ずっと映画だけやってきているから、テーマをもとに適当にセレクトしてやればいいところを、映画のようにきちんと合わせて作っちゃった(笑)。NHK側が思いっきり恐縮していましたけど(笑)。15分番組だと約5曲入れてるから、週に6本で30曲でしょ? 10週書くと300曲。もちろん決まったテーマはあるから全部新しいわけじゃないけれども、途中でハッと気づいたら、とんでもない量を作ってたんです(笑)。『オリジナル・サウンドトラック ぴあの Vol.2』(8月発売予定)と合わせてもその中の抜粋でしかなくて、5枚ぐらい出せるんじゃないかっていう(笑)。でも、しかたがないですね。流れ作業的なテレビのやり方が、僕はあまり好きじゃないから。」

-今回ストリングスは、めずらしく小編成スタイルをとられてましたよね。

久石:
「ええ。テレビのスタイルに合わせて小編成にしたんですが、基本的にシンセサイザーが中心で、最後に全部まとめて録った生と混ぜてます。全体的なことで言えば、今回は半年間、毎朝流れるので何度聴いても飽きがこないように配慮してました。」

 

★テーマは、ミルトンの「失楽園」

-次に7月にリリースされたソロ・アルバム『地上の楽園』についてお聞きしたいのですが、まずコンセプトから教えてください。

久石:
「都会で生活する人たちの孤独や、根なし草になってしまった根本的な問題が、僕はすごくひっかかっていたんです。それと、1920年代はスコット・フィッツジェラルドが生きてた時代…”Age of Illusion”と言われてますが、世界大恐慌が来るまでいちばん芸術が考えられた時代で、混沌としていた時でもあった。それが、20世紀が終わろうとしている現在とだぶらせることができたので、象徴的な扱いでフィッツジェラルドをテーマにしながら現代を表現する…というのが、前作の『MY LOST CITY』だったんです。ただし、この前作では現状告発はできたけど、次はどう生きるのかということにニヒリズムではない前向きな発言がしきれなかったので、今回はそのコンセプトを固めた、と。で、『MY LOST CITY』の世紀末観をひきずってたというか、自分の中でまだしっくりこないところが今回もありましたが、あえてアイロニカルに『地上の楽園』というタイトルにしました。そのほうが、かえって今に合ってると思ったんです。」

-今回の大きな特徴は、歌モノがメインになっている点だと思うのですが。

久石:
「そうですね。今、僕といっしょにやってくれてるブルー・ウィバーは、ビー・ジーズのワールド・ツアーとかを死ぬほどやったひとりだから、歌の伴奏の極致のようなワザを持っていて、ロンドンでやる時は彼と相談しながら作っていったんです。歌モノが中心なので、アレンジは複雑なポリフォニックなリズムとかではなく、もっと直線的な扱いになりましたが、いわゆる日本の歌伴奏的なものではないエレメントが欲しかったので、とてもいい勉強になりましたね。メロディ・ラインをボーカル・ラインに切り換えたことにも通じるんですが、この数年間は弦とピアノのピュアな世界を作ってましたから、今度はカオス…混沌とさせるぐらいにいろんな要素が入ってるサウンドということで、限定する作業から開放する作業に切り換えたんです。」

-混沌と言えば、曲調がワールドワイドで、バラエティに富んでいますよね。タンゴ的な要素のある曲とか。

久石:
「バンドネオンという楽器にこだわりがあって、前回の「タンゴ・エクスタシー」に引き続き、今回も1曲やりたいと思ってたんです。あれだけ色の濃い楽器はないでしょ? アコーディオンはシャンソンで象徴されるように比較的洗練された楽器だけれども、バンドネオンはアタックが想像以上に強くてキレがすごいから、鳴ってるだけで世界観がひとつできてしまうようなところがあるし…。ちなみに、この曲「THE WALTZ(For World’s End)」は映画「女ざかり」のテーマに使われています。」

-これだけさまざまな要素を取り入れつつも、アルバム全体に、ある種の統一感が生まれているのが興味深く思いました。

久石:
「ミルトンの「失楽園」が全体の精神的なベースになってるんですが、「さくらが咲いたよ」という曲のベーシックは坂口安吾。ハウスっぽい曲「She’s Dead」のラップは死の問題を扱っていて、それぞれ無関係のようで、死という概念から見れば統一感が出てくる。意図してなかったのに結果的に全部そういう世界に向いていて、自分でも驚いてるんですよ。今年は「チベットの死者の書」とかが注目を集めたりと、死が以前のように恐れる存在でなく、死を考えることによって逆に生を考えようみたいな風潮になってきてますから、ちょうどいいタイミングで発表できてよかったなと思いますね。」

 

★やっと納得できるシステムが完備

-メインで使用されたシーケンサは、Vision Ver 2.02ですか?

久石:
「ええ。今までフェアライトのシーケンサとVisionとで使い分けてたんですが、今年から極力Visionで統一するようにしてます。本当はフェアライトで組んだものを、そのままVisionなりPerformerに吸い上げてニュアンスを追求する、両方いっぺんにパラで回す併用型がいちばん理想なんですが、ロンドンでやる時にインターフェイスとかの関係で必ず同期モノでモメるのね。それで3時間レコーディングがストップしたりするから、1種類に限定してしまおう、と。今はVisionとStudio5LXで、やっと自分が納得できるシステムになってきました。フェアライトもMOを導入したので、VisionとフェアライトのMOを3~4枚持っていけば世界中どこででも同じ音を作れる状態にはなってます。」

-打ち込みによる曲では、グルーヴ感など、どのような配慮をされていますか?

久石:
「ドラムで言うと、みんなやっているようにパーセンテージで細かく見ていくとか、ハイハットもベロシティで変化が出るようにする。中でもドラムで難しいのはフィル・インなので、タムやシンバルはローランドのオクタパットでリアルタイムでやるようにしてますね。音に関しては、3、4種類のキックをうまく使い分けていくやり方。ただし、僕は生のシミュレートは時間のムダづかいと思ってるのでやりません。たとえば今回参加してもらったビル・ブラッフォード(キング・クリムゾン)にしても、彼独特のスネアの音とフィーリングが欲しければ彼に頼んだほうがよいわけだから。」

-生弦とシンセ・ストリングスの使い分けは?

久石:
「漂った感じを出したい時やパッド的な扱いの時はシンセ・ストリングス。そのほうが奥ゆき感が出たりするんですよ。僕の場合、フェアライトの音源やK1000とかだけで成り立つぐらいのクオリティの音を作っておいたものに、生の弦を入れるやり方で、いつも両方コンバインしながら作っていくんですが、生弦に関しては今回はロンドン・シンフォニーということもあって、シンセはいっさい足してません。」

-コルグのi2やWAVESTATION SRなどは、どういった役割で使用されてますか?

久石:
「音自体のクオリティ云々ということはともかく、パッド系など後ろでジャマにならないように鳴らすには都合がよくて、それが僕はわりと好きなんです。だから、存在感が欲しい場合はProphet-5とかで、逆にパッドの場合はi2やWAVESTATION SR、という使い分けをしてますね。実際に今回も、わりとあたりさわりのないストリングス・コードとかでK1000を使うより、結果的に気持ちがよかったケースが何曲かありましたから。」

-「MIRAGE」では、その2タイプに属さない、ベンドがかった印象的な音も聴かれましたが。

久石:
「フェアライトIIの時代のいちばん誰も使わない音を、あえて使ってるんです(笑)。ハダカで聴いたらクオリティの悪い音だけれども、実はその音が持ってる不思議なエキゾチックな世界観が僕にとってはすごく大切なんですよ。ただし、あの音を支えるためにかなりのストリングスがユニゾンで鳴っていて、ほとんど聴けないぐらいの状態でM1もなぞってるはず。何を際立たせるかによって、いろんなものを組み合せて考えていく方法を僕はとってます。」

 

『地上の楽園』

[使用機材]
☆マスター・キーボード
AKAI MX76
☆シーケンサ
Macintosh Quadra 610/Vision Ver 2.02
☆音源
Fairlight SERIES III/SEQUENCIAL CIRCUIT Prophet-5/YAMAHA DX7/YAMAHA DX7 II FD/MIDI MINI/KORG i2/KORG WAVESTATION SR/KORG M1R/KURTZWEIL K1000/KURTZWEIL K1000PX Plus/E-MU Proformance/YAMAHA TX81Z

(KB SPECiAL キーボード・スペシャル 1994年9月号 No.116 より)

 

 

久石譲 『ぴあの オリジナル・サウンドトラック Volume 1』

久石譲 『ぴあの オリジナル・サウンドトラック Volume 2』

地上の楽園

 

 

 

Info. 2018/09/05 「ミュージック・フューチャー Vol.5」デヴィット・ラング インタビュー動画公開

今年11月にニューヨークと東京で開催する
「Joe Hisaishi presents MUSIC FUTURE VOL.5」より

作曲家デヴィット・ラング氏のインタビュー動画をアップいたしました。

こちら>>>
久石譲YouTube公式チャンネル

(久石譲オフィシャルサイト より) “Info. 2018/09/05 「ミュージック・フューチャー Vol.5」デヴィット・ラング インタビュー動画公開” の続きを読む

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」 コンサート・レポート

Posted on 2018/09/02

8月9日から8月21日まで国内9都市で開催された「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」コンサートツアー。9月9日中国公演も控えています。昨年につづきABふたつのプログラムを引き下げ、宮崎駿監督作品の楽曲を交響組曲にするプロジェクトは第4弾「千と千尋の神隠し」。さらには「交響幻想曲 かぐや姫の物語」、久石譲ミニマル作品も披露するなど、今年のW.D.O.も熱い夏。

予定プログラムが変更されたりAB会場が変更されたりと、珍しい慌ただしさは直前まで続きましたが、すべてはベスト・パフォーマンスのために!オール・プログラム久石譲作品は圧巻、各会場スタンディングオベーションで熱気と感動に包まれました。

 

 

まずは演奏プログラム・アンコールのセットリストから。

 

久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018
JOE HISAISHI & WORLD DREAM ORCHESTRA 2018

[公演期間]  
2018/08/09 – 2018/09/09

[公演回数]
10公演
8/9 岩手・岩手県民会館 A
8/10 東京・サントリーホール A
8/13 岡山・岡山シンフォニーホール B
8/14 香川・レクザムホール B
8/15 大阪・フェスティバルホール B
8/17 群馬・ベイシア文化ホール A
8/19 石川・石川県立音楽堂 A
8/20 東京・サントリーホール B
8/21 東京・すみだトリフォニーホール B
9/9 中国・深圳湾体育中心(Shenzhen Bay Sports Center) B

[編成]
指揮・ピアノ:久石譲
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ

[曲目] 
【PROGRAM A】 All Music by Joe Hisaishi
[Minima_Rhythm]
Links
Encounter
DA・MA・SHI・絵

DEAD for Strings, Perc.,Harpe and Piano
1. D.e.a.d / 2. The Abyss ~深淵を臨く者は・・・・~ / 3. 死の巡礼 / 4. 復活 ~愛の歌~

—-intermission—-

[Melodies]
Dream More
The Path of the Wind 2018 *改訂初演
Kiki’s Delivery Service 2018 *改訂初演

Spirited Away Suite /「千と千尋の神隠し」組曲 *世界初演
Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon

—-encore—-
Oriental Wind 2018
World Dreams

 

【PROGRAM B】 All Music by Joe Hisaishi
[Minima_Rhythm]
Links
Encounter
DA・MA・SHI・絵

Symphonic Fantasy “The Tale of the Princess Kaguya” /交響幻想曲「かぐや姫の物語」

—-intermission—-

[Melodies]
Dream More
The Path of the Wind 2018 *改訂初演
Kiki’s Delivery Service 2018 *改訂初演

Spirited Away Suite /「千と千尋の神隠し」組曲 *世界初演
Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon

—-encore—-
Le Petit Poucet
World Dreams

 

 

さて、個人的な感想はひとまず置いておいて、会場にて販売された公式パンフレットより紐解いていきます。

 

 

PROGRAM NOTE

今年も「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」の夏がやったきた。
久石譲がプログラムの魅力を語った。

-開幕を飾るのは「Links」。

祝祭性があってメロディアスな曲。『ミニマリズム』というアルバムでロンドン・シンフォニーとレコーディングしたこともある評判の良い曲なので、1曲目に持ってきました。

-続く「Encounter」はもともと弦楽のために書かれた曲ですね。

エッシャーのだまし絵からインスピレーションを得た「String Quartet No.1」という4楽章からなる弦楽四重奏曲の第1曲目です。それを後に、長野のチェンバー・オーケストラのために書き直しました。リズミックで、ちょっとブラックなユーモアのある曲。マーラーもシューベルトの弦楽四重奏曲を弦楽合奏用に直していますが、厚くなる部分と、ソロの部分をうまく活かしてよりダイナミックに作っている。僕もそこが一番大事だと思っています。

-続いてAプロは「DEAD」組曲。折々で演奏されてきた大事な曲だと思いますが、改めてタイトルの意味も含めて教えていただけますか。

「DEAD」はもちろん「死」を意味しますが、そのスペルはディー(D) イー(E) エー(A) ディー(D)。これを音階に置き換えるとレ・ミ・ラ・レとなります。そのレミラレの4つの音だけで作った曲なんです。ある部分は非常に現代音楽的で不協和音の官能的な世界。一方、そのレミラレを使ったメロディアスな部分も出てくる。音楽的にいうとミニマル的なやり方とある種映画音楽的なアプローチが両方あるんです。両側に振り幅を持っていて、まとまりがあるのかないのか、絶えず疑問に思ってしまう一方、最も自分らしい曲でもあると言えますね。

-Bプロは「交響幻想曲『かぐや姫の物語』」。

昨年(2017年)、この曲をチェコのプラハで演奏した際、すごく反応が良かったんです。いかにも日本的、ということをやっていないのに、結果的にモダンな日本の美みたいなものを感じて喜んでくれた。その時にこの組曲は世界に通用すると思ったんです。それでぜひ今回再演しようと決めた矢先に高畑さんがお亡くなりになってしまいました。追悼という意味を込めて、今年は大切に演奏したいと思っています。高畑さんの書いた「わらべ唄」のメロディーも入っていますし、全部が僕の曲ではなくて、高畑さんとの共作だと思っています。

-最後は宮崎駿監督の作品を交響組曲にするシリーズ最新作『千と千尋の神隠し』より「Spirited Away Suite」。

アメリカのアカデミー賞長編アニメーション賞を獲った作品で、海外からも一番これを演奏してほしいという要望が強いんですよね。すごく強いのですが、なぜかチャレンジをずっと避けていた曲なんです。今年本格的に取り組んでみて、思った以上に激しい曲が多くて驚きました。人間世界から異世界に迷い込んで、千尋という名前が千に変わり、両親が豚に変えられたりする中で、様々な危機が来る。当然、音楽も激しくなるわけです。一方でこの作品には「六番目の駅」に代表されるような、現実と黄泉の世界の狭間が色濃く表現されている。宮崎さんが辿り着いた死生観が漂っている気がします。でもだからこそ生きていることが大事なんだ、ということをちゃんと謳っている。その思いが伝わればいいなと思っています。

久石譲

(「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」コンサート・パンフレット より)

*変更プログラムの楽曲紹介は掲載していません。

 

パンフレットには「久石譲×高畑勲 映画と音楽、その”到達点”へ。」対談も収載されています。原典は2013年11月25日 読売新聞に掲載、その後書籍にも収められています。パンフレットは読みやすいよう再編集されたものになります。

 

 

 

さて、久石譲本人による楽曲解説で充分にコンサートの雰囲気は伝わると思います。補足程度に感想や参考作品、アンコールもまじえてご紹介していきます。

 

 

[Minima_Rhythm]

Links 【AB】
久石譲 ”Minima_Rhythm”(ミニマル・ミュージックの「Minimal」とリズムの「Rhythm」を合わせた造語)の代名詞ともいえる楽曲。変拍子のもつ独特のグルーヴ感と華やかな祝典序曲のような品格で人気があります。後半の重厚感と高揚感の加速は、やもすると感情的にテンポをあげたり横揺れしそうな演奏になるところを、あくまでもエモーショナルをおさえたところで迎える最高潮。楽譜でいう縦のライン、リズムや音粒をきっちりそろえることで到達しうるミニマル小宇宙。そんな演奏にしびれました。

久石譲 『ミニマリズム』

Disc. 久石譲 『Minima_Rhythm ミニマリズム』

 

 

Encounter 【AB】
ひとつのモチーフをもとに展開する楽曲。弦楽器のみで奏されるなか、主旋律の楽器を変えたり、ピッチカートなど奏法を変えたり、ユニゾンや合奏で厚みをましたり。それと並行して進行するミニマルのズレ。コンサート会場ならではの、音の前後左右、高低差、厚みや濃淡。決して聴きやすい楽曲ではないかもしれないけれど、おもしろいがつまった曲。

シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」も、最小限に削られ磨かれた四重奏版と、マーラーが編成を拡大し編曲した弦楽オーケストラ版。オリジナルを損なわない核は保ちつつ、作品の新しい持ち味や可能性を引き出しています。久石譲自身による「Encounter」のふたつの版も同じことが言えます。それは「厚くなる部分と、ソロの部分をうまく活かしてよりダイナミックに作っている。僕もそこが一番大事だと思っています」と久石譲が語っているところからも、追求したかったこと、具現化された自信や納得のようなものを感じます。はやく音源化されたものが聴きたい作品です。

Disc. 久石譲 『Minima_Rhythm II ミニマリズム 2』
*弦楽四重奏版収録

 

 

DA・MA・SHI・絵 【AB】
2009年以来の国内披露となったこの曲は、とても印象深いものでした。音楽構成はほぼ同じはずなのにとても新鮮に聴こえてくる。そのキーワードは、久石譲が推し進める”現代的アプローチ”ということになるのですが、それは久石譲本人が語ったものから後述します。

すべての楽器においてフレーズにおいて、きちんとそろえられた音価。一音一音の大きさも長さも均等に、約8分の楽曲を緊張感を持続して奏しきる。圧巻のパフォーマンスでした。なかでも印象的だったのが、金管楽器によるロングトーン。曲の展開や転調するタイミングで、トランペットやトロンボーンが一つの音を長く持続して吹いています。これがすごい。あれ、こんなにインパクトあったかなと指折り数えていたら、4小節間ノンビブラートにまっすぐ吹きっぱなし(奏者間の吹き直しの連携はあるでしょう)。5拍子の楽曲なので、拍数にして20拍分。いま手で数えてみてもその長さがわかります。久石譲が指揮をしている姿を見ても、ここにすごく神経を使っていたのがわかるほどでした。あれ、こんなにアクセントになってたかなとCDを聴き返したところ、音が消えていく印象もあるでしょう、ロングトーンがはっきりと聴こえるのはそれぞれ3小節くらい。ロンドン・シンフォニーとのCD盤は、まさに演奏が踊っているような躍動感があります。そして、今回W.D.O.で披露されたアプローチはポーカーフェイス。オーケストラが自ら躍ることのない一歩引いたところ、決して躍ることを強要していない俯瞰な響き。だからこそ聴く人は思い思いに覚醒させられてしまう。神の視点のような演奏に鳥肌ものでした。ミニマルの啓示のような……ちょっと!早く!また!聴きたい。

久石譲 『ミニマリズム』

Disc. 久石譲 『Minima_Rhythm ミニマリズム』

 

 

ここまでの [Minima_Rhythm] コーナー、久石譲が語る”現代的アプローチ”とは…

 

「それともう一個あったのは、必ず自分の曲なり現代の曲とクラシックを組み合わせてるんです。これは在京のオーケストラでもありますね、ジョン・アダムズの曲とチャイコフスキーとかってある。ところが、それはそれ、これはこれ、なんですよ、演奏が。だけど重要なのは、ミニマル系のリズムをはっきりした現代曲をアプローチした、そのリズムの姿勢のままクラシックをやるべきなんですよ。そうすると今までのとは違うんです。これやってるオケはひとつもないんですよ。それで僕はそれをやってるわけ。それをやることによって、今の時代のクラシックをもう一回リ・クリエイトすると。そういうふうに思いだしたら、すごく楽しくなっちゃって、やりがいを感じちゃったもんですから、一生懸命やってる(笑)。」

「ワールド・ドリーム・オーケストラは新日本フィルさんとやってるやつなんですけど、これはもうベージック・エンターテインメントなんですよ。ですから映画だったり、それからやっぱり前半にはいくつかこういう音楽もあるんだよというのをお客さまに見てほしいから、ちょっとミニマル的なものがある。」

「一緒に考えるということですよね。たとえばミニマル系の現代曲をといっても、実は譜面どおりに弾くなら日本の人はうまいんですよ。すごくうまいんですよ、その通りに弾く。たぶん外国のオケよりもうまいかもしれない。だが、それを音楽にするのがね、もう一つハードル高いんですよね。たとえば、非常にアップテンポのリズムが主体でちょっとしたズレを聴かせていくってなると、リズムをきちんとキープしなければならない。ところが、このリズムをきちんとキープするっていうこと自体がすごく難しいんですよ。なおかつオーケストラになりますと、指揮者と一番後ろのパーカッションの人まで15メートル以上離れてますね。そうすると、瞬間的にザーンッ!だとかメロディ歌ってやるのは平気なんだが、ずっとリズムをお互いにキープしあわないと音楽にならないっていうものをやると、根底からオーケストラのリズムのあり方を変えなきゃいけなくなるんですね。もっとシンプルなことでいうと、ヴァイオリンを弾いた時の音の出る速度と、木管が吹くフルートならフルートが吹く音になる速度、ピアノはもう弾いたらすぐに出ますね、ポーンと出ますよね。みんな違うんですよ。これをどこまでそろえるかとかっていう。これフレーズによってもきちっとやっていかなきゃいけない。ところがこれって、そういうことを要求されてないから一流のオケでもアバウトなんですよ。だからミニマルは下手なんです。で、結局これって言われないと気がつけませんよね。0.0何秒でしょうね。こういうふうにもう全然違っちゃうんですよ。そういうことを要求されたことがない人たちに、いやそれ必要なんだよって話になると、自分たちもやり方変えなきゃいけなくなりますよね。で、その経験を積ませないと、この手の音楽はできない。ということを、誰かがやってかなきゃいけないんですよ。と思って、それでできるだけ、日本にもそういう人がいるっていうのを育てなきゃいけない、そういうふうに思ってます。」

Blog. TBSラジオ「辻井いつ子の今日の風、なに色?」久石譲ゲスト出演 番組内容 より抜粋)

 

 

DEAD for Strings, Perc.,Harpe and Piano 【A】
1. D.e.a.d / 2. The Abyss ~深淵を臨く者は・・・・~ / 3. 死の巡礼 / 4. 復活 ~愛の歌~
13年ぶりにコンサート披露となった久石譲オリジナル作品。エンターテインメント業界で映画音楽やTVCM音楽の第一線を走りつづけた久石譲が「自分の作品を書きたい、自分の作品を残したい」と強い意志をもってうまれた2005年作品。昨年W.D.O.2017にて完全版として姿を現した「ASIAN SYMPHONY」よりも前に書かれた、現代作曲家・ミニマル作曲家という原点を強く追求しはじめたエポック的作品です。

今でこそクラシック音楽の指揮活動も活発で、近年オリジナル作品ではその語法や方法論も反映されている、と思います。と思っていましたが、今回改めてDEADを聴いて考えを改めました。レミラレの旋律やその音型は、第1楽章の冒頭で、ユニゾンつまりレミラレのフレーズを楽器を重ねて高低重厚感を増しながら堂々と4回くり返します。第2楽章では官能的に、第3楽章ではミニマル色を強く打ち出し、第4楽章ではレミラレが愛の歌旋律になります。同じモチーフ(主題)を楽章をまたいで登場展開させることを、クラシック音楽では循環主題といったりします。第1楽章では短調だった旋律が、第4楽章では長調に変化することで豊かにドラマティックになるチャイコフスキー作品などのように。

実はこのDEAD、初映画監督作品『Quartet/カルテット』の前に撮る予定だった映画のために書いた曲でもあります。つまり映画のように一貫したテーマ、映画音楽のようにイマジネーションをかきたてる、なんともくるおしい世界観。第3楽章でも途中に第4楽章愛の歌メロディが登場し、それを打ち消すかのようなミニマルの渦。

楽器編成も久石譲らしい前衛的なもので、この作品を表現するにはこれしかないと言えるほど。現代的な不協和音とミニマル・ミュージック、そして高々に謳いあげるメロディメーカー紡ぐ愛の歌。そう、久石譲のミニマルとメロディがもっともストレートに詰まった作品それがDEADです。「自分の作品を書きたい」分岐点となった第一作目で、現代作曲家としてすでに極まってるじゃないか!そう改めて見つめなおしながら聴き染みていました。もっと聴いてほしい、もっと演奏してほしい、久石譲オリジナル作品です。発表当時、これまでの久石譲イメージを覆すにたる衝撃を与えたCD盤は、本公演と同じ新日本フィルハーモニー交響楽団との共演でレコーディングされたものです。

 

久石譲 『WORKS3』

 

 

Symphonic Fantasy “The Tale of the Princess Kaguya” /交響幻想曲「かぐや姫の物語」 【B】
高畑勲監督追悼の想いもあるなか、実は当初から予定されていた、なにか運命的なものを感じるプログラムです。海外公演でも反応が良かったという久石譲コメントは、この作品が映像はもちろん音楽も世界に通用する、日本の誇れるものとして大きな手応えになったことがうかがえます。実際に、国内でも『千と千尋の神隠し』に勝るとも劣らない『かぐや姫の物語』への期待と喜びは、コンサート前から多くの声が飛び交い、コンサート後の感想でもそれは同じでした。

日本的な旋律を奏でながら、日本人が聴いても古めかしさを感じない、日本昔ばなしにならないのは、現代的で複雑な響きを散りばめた久石譲だからこそ。日本人が思い描く原風景、今でもたしかにある原風景のように、懐古だけではない受け継がれ生きつづける日本の象徴のようなもの、それを音楽にしているようです。「天人の音楽」も、日本人がイメージするあちらの世界を180度変えてしまうほどのインパクト、価値観の転換点となっていくのかもしれない。多くの日本人にとっても海外からみた日本においても。とんでもない大きなものを提起し遺した高畑勲×久石譲。高畑勲監督の「わらべ唄」と久石譲の「なよたけのテーマ」が紡ぎ合う冒頭と終部は何度聴いても感慨深いものがあります。「超ドメスティックはインターナショナルになる」(久石譲)ことをまたひとつかたちにした記念碑的作品です。

 

 

 

 

[Melodies]

Dream More 【AB】
サントリー「ザ・プレミアム・モルツ・マスターズドリーム」CM曲。ノスタルジックなメロディと味わいのある多重奏をコンセプトに作られた楽曲は、コンサートでオーケストラ版が幾多披露される新しい定番曲となっています。久石譲の旬が詰まった楽曲は、華やかでリズミカルでありながら中間部には優美なヴァイオリンソロも堪能できる、聴かせどころの多いところも魅力。切れ味のいいオーケストレーションはソリッドで、リズムを担うパートはとても緻密で複雑。たとえばメロディの後ろで刻むリズム的フレーズも、フレーズとしてはひとかたまりなんだけれど、細かく見聴きすると高中弦楽器から中低弦楽器へスムーズに受け渡すようになっていたり。しかも細かい休符をはさんだリズミックなフレーズを軽やかに。メロディは優雅に歌うように流れていくなか、バックではかなり難易度の高いことを要求されている楽曲なのかもしれません。久石譲がこの作品で追求していることは、メロディアスのフリをしながら、音楽構成におけるリズム・演奏におけるリズム、とことんリズムを追求しているような気がしてきます。エンターテイメントの顔を装いながら、音楽的にやりたいことが実現できている。ゆえに近年の定番曲なのかもしれませんね。LiveCD盤として収録された2015年の演奏よりも、テンポをあげたものが定着しオーケストレーションも精巧に修正されている。ぜひCDとW.D.O.2017スカパー!TV放送版を聴き比べてみてください。このふたつ、30~40秒間くらい違います。

 

 

The Path of the Wind 2018 【AB】
ピアノとヴァイオリンを基調に弦楽オーケストラが包みこむ「風のとおり道」。久石譲の弾き振り(ピアノを弾きながら指揮もする)も奏者たち音たちに緊張感と楽しさをリードしているようでした。映画『となりのトトロ』のもうひとつのテーマとして人気高いこの曲、こんなにも新しく生まれ変わるんだ!というほどの衝撃と新鮮さでした。とりわけストリングスのオーケストレーションがすばらしい。とても現代的でここまでくるともうそれは芸術の域。大きいくすの木が風に吹かれて揺れている音、そんなイメージが浮かびます。

 

「久石さんの音楽で僕が感心したことがあるんです。それは『となりのトトロ』で「風のとおり道」という曲を作られたのですが、あの曲によって、現代人が“日本的”だと感じられる新しい旋律表現が登場したと思いました。音楽において“日本的”と呼べる表現の範囲は非常に狭いのですが、そこに新しい感覚を盛られた功績は大きいと思います。」(高畑勲)

高畑勲監督が絶賛していたこの曲を、W.D.O.2018でプログラムすることも、なにか想いがあったのかもしれません。ツアー期間中8月9日にTV NHK「ジブリのうた」でも五嶋龍さんとのピアノ&ヴァイオリン版をうっとりするくらいの極上デュオで聴かせてくれました。2018版は同じ構成をベースにしながらも、コンサートマスター豊嶋泰嗣さんとのかけあいに、新しいストリングスの調べ。決してデュオ版が物足りなくなるとかではないんですね。こんなにも素敵なプレゼントをふたつももらっていいんですか!そんな気持ちです。

 

 

『Melodies for Piano and Strings』(仮・夢盤)、昨年のW.D.O.2017でも披露されたピアノ&ストリングス・コーナー、【mládí】「Summer」「HANA-BI」「Kids Return」、【Hope】「View of Silence」「Two of Us」「Asian Dream Song」、そして今年の「The Path of the Wind 2018」。こんな名曲たちが一枚のアルバムに集ったら……『Melodyphony』に匹敵するんじゃないか! ベストアルバム的な選曲はもちろんですが、久石さんの熟成された今のピアノ演奏、久石さんの現在進行系が色濃いストリングス。シンフォニーをコンセプトにした『メロディフォニー』とはまたひと味もふた味もちがう『Melodies for Piano and Strings』夢盤です!

 

 

Kiki’s Delivery Service 2018 【AB】
映画『魔女の宅急便』から「海の見える街」フルオーケストラ版。『WORKS IV』(2014)に収録されたヴァージョンはクラシカルにヨーロッパに、2018版は管楽器やパーカッションがより活躍するゴージャスなものに。中間部のスウィングするパートはジャジーさが増し、ホーンセクションやドラムスのシンバルが印象的でした。少し大人になったキキがパーティーを楽しんでいるような新しい魅力です。カスタネットやタンバリンも前面に押し出したスパニッシュさに、『ロシュフォールの恋人たち』や『ラ・ラ・ランド』『美女と野獣』のようなミュージカル・タッチの雰囲気も。そうミュージカル映画のワンシーンのよう。華やかで大人の魅力つまった魔女の宅急便でした。アメリカを向いているというのかな、久石譲音楽とミュージカルがつながったことは新鮮な驚きで、、ちょっとこれはこの先これがこうなってああなったら、、おもしろいなあ、いやそんな可能性もあながち、、(うまく言葉にできない)。ミュージカル音楽だけが持ち得る歌心・華やかさ・優美さ・ドラマティックさ・リズム感ってあると思うんです。セリフ歌のかけあいとかもそう。そういったものがこの楽曲から感じとれるとは!どこまで新しい魅力を秘めているんだろう。現代の室内交響曲にも通じるような、斬新で遊び心ある活き活きした音づくり、あっという間のひとときでした。

 

 

”2018” 楽曲について…

”2018”と銘打って演奏された「The Path of the Wind」「Kiki’s Delivery Service」「Oriental Wind」。キーワードは ”ソリッド” ”現代的なリズミック” 。近年の音楽活動をみたときに、ミュージック・フューチャー・コンサート、ナガノ・チェンバー・オーケストラ、これらの創作活動や指揮活動がなければ生まれなかったヴァージョンだったんじゃないかなと思っています。モダンなストリングス・オーケストレーションは、これまでのエンターテインメント音楽で施してきたものとは一線を画する「The Path of the Wind」、現代の室内交響曲のように固定概念にとわられない遊び心つまった「Kiki’s Delivery Service」、メロディや伴奏をリズミックに配置して新鮮味をあたえた「Oriental Wind」。この3つの作品で表現された音楽は注目です。2018版での実験や進化は、きっと次の作品につながってくるはず。そうワクワクしています。

 

 

Spirited Away Suite /「千と千尋の神隠し」組曲 【AB】
今年のW.D.O.は“あの夏へ”がやってくる。──このキャッチコピーのとおり、目玉となるジブリ交響作品化シリーズ第4弾。2001年映画公開年に組曲化した「Super Orchestra Night 2001」収録版を遥かに超える完全版が巨大な姿を現しました。多種多彩な音楽を盛り込んだオリジナル・サウンドトラック盤から、ストーリーにそって展開される組曲。「あの夏へ」「夜来る」「神さま達」「湯屋の朝」「底なし穴」「竜の少年」「カオナシ」「6番目の駅」「ふたたび」「帰る家」映画のシーンを象徴する10楽曲です。今、このサントラ楽曲たちをプレイリストで一気に流してみても圧巻ですが、フルオーケストラ版でヴァージョンアップした組曲は、まさにオーケストラのフルスペック。映像化・音源化されるその日まで多くを語ることができません。海外からも一番要望の強い作品、きっとこれを聴いたら度肝を抜かれるでしょう。

強く思ったこと。ファンタジー音楽の金字塔。たとえば『ハリーポッター』が西洋ファンタジーをうまく表現していたときに、『千と千尋の神隠し』は東洋ファンタジーとして誇れるものです。映像と音楽を切り離しても『ハリーポッター』は西洋ファンタジー音楽の魅力がつまっています。同じように『千と千尋の神隠し』は東洋ファンタジー音楽の象徴のようです。これってすごいことだな、と改めて思ったわけです。ファンタジーならではの夢・異世界・冒険・活劇・希望。ここに日本やアジアのエッセンスを見事に盛り込んでファンタジー音楽にしている。日本のアニメーションはすごいと言われます。でも、あえて言うなら、もっと大きな枠でファンタジーと言ってもいいんじゃないか。海外からも一番要望の強い作品、それは宮崎駿作品だから、日本アニメーションだから、それだけかな、ファンタジーとして評価されているんじゃないかな。そして久石譲が築きあげた音楽は、東洋ファンタジー音楽の象徴として熱望されているんじゃないかな。実写やアニメーションという枠をとっぱらって。そんなことを強く思いました。だから僕は、『千と千尋の神隠し』音楽はファンタジー音楽の金字塔、と言いたい。

”あの夏へ”にはじまり”あの夏へ”におわる。久石譲ピアノにはじまり久石譲ピアノにおわる。”One Summer’s day”のメロディは世界中のファンをうっとり魅了します。ピアノの音がゆっくり空気に包まれていく余韻まで、久石譲が鍵盤から指をはなして静止した数秒間まで。日本の”間”をたっぷりと感じとってほしいエンディングです。

久石譲 『千と千尋の神隠し サウンドトラック』

 

 

—-encore—-

Oriental Wind 2018 【A】
「サントリー緑茶 伊右衛門」CM曲としておなじみの楽曲。久石譲代名詞のひとつ。余談ですが、「伊右衛門も久石譲だったのか」という声を耳にすることも少しだけ増えたように思います。時間の流れを感じると同時に、それは今でも現役バリバリに多くの曲を送り出しているからでもあります。ということでここらで一発!この楽曲も映像化・音源化してほしかった(過去形ではないんですが…)。2004年発表当時から一貫したそのメロディは、2018年CM版では旋律配置や変拍子を巧みに交錯させ、安心する懐かしさにみずみずしい新鮮味を与えてくれます。爽やかなCMヴァージョンが2コーラス奏され(1コーラス目ピアノメロディ~2コーラス目フルートメロディ)、「WORKS III」オーケストラ版イントロへ。中間部のサクソフォンパートはカットし、転調してクライマックスへ。現代的なアプローチで進化した2018版。そのCMヴァージョンが聴けたのもうれしいですが、中間部をカットしたこともあり「タリラリラ~ン」のメロディが始まりから終わりまで怒涛のようにたたみかけてきます。飲むごとに美味しいヴァージョンです。

久石譲 『WORKS3』

 

 

Le Petit Poucet 【B】
2001年フランス映画『Le Petit Poucet』(邦題:プセの冒険 真紅の魔法靴)からメインテーマ。日本未公開DVD化されている映画ですが、まさかこの曲が!と往年ファンの心をくすぐる隠れた名曲です。いくつかのCDにそれぞれのヴァージョンが収録されています(「Super Orchestra Night 2001」「パリのアメリカ人」他)。本演アンコールで演奏されたのはオリジナル・サウンドトラック盤に近かったかなと思います。Track-2. Le Petit Poucet (Main theme) の前半 ~ Track-17. “La lune brille pour toi” (Générique de fin) の後半で構成されたようなフル・オーケストラ版。ザ・久石メロディともいえる美しい曲ですが、ハーモニーが独特でどこか異国情緒を漂わせています。『千と千尋の神隠し』も2001年作品、同時期の作品としてなにか共鳴するものがあったのか、驚きと喜びのサプライズ選曲でした。

Le Petit Poucet (プセの冒険 真紅の魔法靴) オリジナル・サウンドトラック

 

 

World Dreams 【AB】
2004年「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ」発足に合わせて書き下ろされた曲。まさにW.D.O.コンサートのテーマ曲ともいえる大切な一曲です。毎年演奏されながら全公演で演奏されながら、CDの焼きましにはならない一期一会の音楽。キメにいくところで長くたっぷりとタメたり、悠々と高々に謳いあげたり、その会場だけのとっておきの演奏。ツイッターなどを見ても「毎年、4年ぶり、十数年ぶり」、コンサートに足を運ぶ頻度は違えどこの曲には必ず出会える。「音楽と記憶は直結する」と言ったのは久石譲。まさにW.D.O.コンサートの思い出づくりには欠かせないギフトです。

当初予定されていた「World Dreams I,II」は見送りとなりました。とても残念です。でも、そういう構想があるんだ!そんな進化する可能性を秘めているんだ!、それがわかっただけでもファンとしては胸躍るうれしさです。いつの日か、満を持して世界初演される日を夢みて、未来への楽しみがまたひとつふえました。

久石譲 『WORLD DREAMS』

 

 

 

今年も昨年につづきコンサート・パンフレット&CDのセット販売。CDは慣例化しつつある前年W.D.O.コンサートの音源化。今終わったばかりのコンサート余韻にひたりながら、一年前のコンサート感動が甦ってくる。もちろんコンサートには行ってなくても、久石譲音楽を日常に持って帰れる。各会場販売コーナーは長蛇の列で大盛況、SNSでパンフレットと一緒に感動を投稿している人も年々増加傾向にあるようです!

 

お礼が最後になってしまいました。

ツアーコンサートだからこその膨大ツイートをランダムに集めさせてもらいました。期待と感動の勢いそのままに封じこめられた久石譲音楽への溢れる想い。圧巻のツイート・スタンディングオベーション!

 

 

ファンサイトではコンサート・レポートも募集、とても具体的な楽曲解説と臨場感あふれる感想を届けてくれました。コンサートでもらった感動を!コンサートのありがとう!を。久石さんや新日本フィルのみなさんへめぐりめぐって届きますように。こんな輪がもっと広がって感動や感想が刻まれていきますように。

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団公式ツイッターでは、ツアー期間中会場ごとのコンサート風景やリハーサル風景がリアルタイムに写真付き公開されていました。毎日楽しみにしていた人も多いと思います。コンサート日を待ち遠しく指折り数える人、コンサートの感動に包まれる人。速報性のあるSNSならではのうれしい演出です。

リンク先:新日本フィルハーモニー交響楽団 公式ツイッター

 

 

またオーケストラ楽団員からみたコンサート、これもまたツアー期間中発信されていました。普段は知ることのできない貴重な準備過程や、コンサートで感じたことなど。いくつかチョイスさせてもらいました。好きな楽器や奏者の方から、音楽の楽しみを広げるのもいいですね。

 

荒川洋(フルート)
https://twitter.com/nekoranpa2/status/1027915015880245248

https://twitter.com/nekoranpa2/status/1028979562783301633

https://twitter.com/nekoranpa2/status/1029377001520414720

https://twitter.com/nekoranpa2/status/1029644144455471106

https://twitter.com/nekoranpa2/status/1030018847024144386

https://twitter.com/nekoranpa2/status/1030425857582452736

https://twitter.com/nekoranpa2/status/1031105246531969024

https://twitter.com/nekoranpa2/status/1031527662668283904

https://twitter.com/nekoranpa2/status/1031531513853009921

https://twitter.com/nekoranpa2/status/1031914804791762945

 

高橋ドレミ(ピアノ/チェレスタ)
https://twitter.com/si_doremi21/status/1026818020826443776

https://twitter.com/si_doremi21/status/1031935562813329415

 

石川晃(ファゴット)
https://twitter.com/fg_akira/status/1031097266793107456

https://twitter.com/fg_akira/status/1031525319289626624

 

 

映像収録も音源収録もしっかりとされていたコンサート。次の朗報が待ち遠しいですね!

 

 

2019.1.7 追記

 

 

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最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

Overtone.第18回 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」コンサート・レポート by ふじかさん

posted on 2018/08/31

ふらいすとーんです。

8月9日岩手を皮切りに国内9公演で開催された「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018」コンサートツアー。各会場ともにスタンディングオベーションの大盛況!

今回ご紹介するのは、久石譲ファンの一人、ふじかさんのコンサート・レポートです。初日公演、まさに世界初演幕開けの瞬間、とても臨場感あふれる感想です。

 

 

久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2018

[公演期間]  
2018/08/09 – 2018/09/09

[公演回数]
10公演
8/9 岩手・岩手県民会館 A
8/10 東京・サントリーホール A
8/13 岡山・岡山シンフォニーホール B
8/14 香川・レクザムホール B
8/15 大阪・フェスティバルホール B
8/17 群馬・ベイシア文化ホール A
8/19 石川・石川県立音楽堂 A
8/20 東京・サントリーホール B
8/21 東京・すみだトリフォニーホール B
9/9 中国・深圳湾体育中心(Shenzhen Bay Sports Center) B

[編成]
指揮・ピアノ:久石譲
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ

[曲目] 
【PROGRAM A】 All Music by Joe Hisaishi
[Minima_Rhythm]
Links
Encounter
DA・MA・SHI・絵

DEAD for Strings, Perc.,Harpe and Piano
1. D.e.a.d / 2. The Abyss ~深淵を臨く者は・・・・~ / 3. 死の巡礼 / 4. 復活 ~愛の歌~

—-intermission—-

[Melodies]
Dream More
The Path of the Wind 2018 *改訂初演
Kiki’s Delivery Service 2018 *改訂初演

Spirited Away Suite /「千と千尋の神隠し」組曲 *世界初演
Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon

—-encore—-
Oriental Wind 2018
World Dreams

 

【PROGRAM B】 All Music by Joe Hisaishi
[Minima_Rhythm]
Links
Encounter
DA・MA・SHI・絵

Symphonic Fantasy “The Tale of the Princess Kaguya” /交響幻想曲「かぐや姫の物語」

—-intermission—-

[Melodies]
Dream More
The Path of the Wind 2018 *改訂初演
Kiki’s Delivery Service 2018 *改訂初演

Spirited Away Suite /「千と千尋の神隠し」組曲 *世界初演
Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon

—-encore—-
Le Petit Poucet
World Dreams

 

 

WDO2018 盛岡公演の模様をレポートさせて頂きます。

2018年8月9日 岩手県民会館 19:00開演

久石さんの岩手県での公演は2010年の「ハートフルコンサート2010」以来、8年ぶりの公演となりました。

会場に入ると、ステージ上ではさっそく木管パートの演奏者の方が練習をしておりました。『Links』や『DA・MA・SHI・絵』のメロディがところどころ聞こえて本番へのわくわくが止まりません。指揮台の脇にはすでにピアノが設置されていて、前半から弾き振りが行われるのかな?と期待でいっぱいです。

開演時間と同時に他の楽団の皆様がステージに登壇し、チューニングがはじまると同時に会場の照明が落とされました。ほどなくして、久石さんが笑顔で登場。いよいよコンサートがはじまります。

 

『Links』
8分の15拍子という変拍子と、短くてもメロディアスな要素を様々な楽器で繋いていくこの楽曲は、このコンサートにふさわしい1曲目となりました。今回の演奏は『Minima_Rhythm』収録のものに比べてテンポが少しゆっくりな気がしました。よりはっきり聴こえる、それぞれの楽器の音色。そして曲が進むごとに増してゆくグルーブ感。最終パートへ向けての疾走感は生演奏で聞くと本当に病みつきになってしまいます。

 

『Encounter』
以前発表の弦楽四重奏曲第1番の1楽章を独立させた楽曲ということでしたが、今回初めて聴くことができました。ストリングオーケストラの編成に装いあらたに披露されています。カルテット編成のときは、より鋭く聴こえた音色が、ストリングの人数が増えるとことで柔らかみが増しました。コントラバスが新たに加わることによってより土台がはっきりとした印象を受けました。主題を提示→ピチカート変奏→音域を広げて演奏→弦楽8重奏→フィナーレパートと、同じメロディを執拗に繰り返し、発展させていく様子は迫力がありました。久石さんは指揮棒を持たず、手のみで指揮をしていて、細かいニュアンスを指示していたものと思われます。

 

『DA・MA・SHI・絵』
生演奏で聞くのは2009年のミニマリズムツアー以来でした。様々な要素を繰り返し、増やし、音をずれさせ、発展させていくこの楽曲はまるで「音のおもちゃ箱」という感じを聴くたびに思います。途中のトランペットソロの音程が怪しくてちょっとハラハラするところもありましたが…(^_^;) これも生演奏の醍醐味ですよね!

 

『DEAD for Strings,Perc.,Harpe and Piano』
1. D.e.a.d / 2. The Abyss ~深淵を臨く者は・・・・~ / 3. 死の巡礼 / 4. 復活 ~愛の歌~
今回はこの楽曲を生で聴きたいが為に盛岡公演を選びました。

1楽章から始まる[レ・ミ・ラ・レ]の音型の提示。死への恐怖心を表すような1楽章は不協和音の要素もあり、とても迫力がありました。

2楽章ではWDO2015で『The End of the World』での3楽章の影響もあり。どうしてもカウンターテナーがほしくなってしまいました。途中で現れる4楽章のフレーズがとても美しいです。

3楽章の刻みのリズムの繰り返しはミニマルミュージックの醍醐味ですね!こちらでも後半で現れる4楽章のメロディが、リズムの刻みの中、突如として現れるので、4楽章への期待が高まります。

そして4楽章。久石さんが、指揮台から降りてピアノへ。イントロのソロから本当に美しかったです。同じ[レ・ミ・ラ・レ]の要素なのにここまで琴線に響くメロディに発展させてしまう久石さんは恐ろしいですね 笑 シンプルなのにとても切なく、美しい。ナウシカの『風の伝説』のソロメロディに通ずるものがあるような感じがします。

この組曲内でも久石さんは指揮棒を持たず指揮されてました。そして、初めて聴く方が多かったのか、楽章ごとに拍手も入りました。

 

ここで休憩です。
休憩中も木管パートの方が練習されてました。魔女の宅急便のメロディや千と千尋のメロディがちらちらと聴こえました。

 

『Dream More』
ここ数年のWDOでの定番曲となりつつありますね。華やかな楽曲ではありますが、郷愁を誘うメロディ、個々の楽器の音色の美しさを堪能できる楽曲でもありますよね。今回中間部で、チェロの副旋律が追加されているような気がしましたが、CDでは聴こえない音だったのでしょうか? 豊嶋さんのソロパートも堪能できました。

 

『The Path of the Wind 2018』
となりのトトロより『風のとおり道』ですが、今回は新たにアレンジが加わっていました。同日NHKで放送された「ジブリのうた」内でのアレンジが基調になっていて、豊嶋さんのソロヴァイオリンと久石さんのピアノ、それにオーケストラが全体をつつみこむようなアレンジに変更されていました。この曲では1曲まるまる久石さんもピアノ演奏で参加していて、とても贅沢な時間でした。

 

『Kiki’s Delivery Service 2018』
『WORKS Ⅳ』ではクラシカルな装いで披露された楽曲ですが、今回は新たに金管パートが追加されていたのと『メロディフォニー』でのパーカッションパートも継承されて、より華やかな進化をとげていました。後半のスパニッシュワルツの部分は、よりジャージーな要素も加わり、とてもお洒落な印象を受けました。

 

『Spirited Away Suite』
今回のコンサートの目玉。「千と千尋の神隠し」組曲です。まず、サントラの曲名で構成を報告します。「あの夏へ(弾き振り)→夜来る→神さま達→湯屋の朝→底なし穴→竜の少年→カオナシ→6番目の駅(弾き振り)→ふたたび(指揮のみ)→帰る家(弾き振り)→One Summer’s Dayの終結部」という構成でした。

久石さんの分散和音から始まる『あの夏へ』。後半はあの世界へといざなうドライブのシーンもオーケストラで完全再現です。いままでコンサートで披露されてこなかった楽曲もふんだんに取り入れられていて、圧倒されました。『カオナシ』までもが完全再現で演奏されとは思いませんでした。大迫力です。これまでの交響組曲の中でも久石さんがピアノ演奏する場面もかなり多かったです。『6番目の駅』での不安を表すようなアルペジオと浮遊感のあるメロディ。とても繊細でした。『ふたたび』でフィナーレかな?と思ってましたが、まさか『帰る家』まで組まれているとは思いませんでした。『あの夏へ』と『帰る家』は同じメロディですが、映画を見ても思いますが、全然雰囲気が異なる印象を受けてしまいます。最初では不安とさみしさを感じさせるのですが、最後では思い出と希望を持ち帰る感じがします。それを今回の生演奏でも感じられて感無量でした。そして最終的に『One Summer’s Day』のアウトロに結びつきました。今回もかなりのクオリティの交響組曲に仕上がっていて、かなり感動しました。

 

拍手喝采のなか、アンコールへと進みます。

 

『Oriental Wind 2018』
事前のプログラムで変更されて、消えてしまった楽曲でしたが、まさかのアンコールでの初披露となりました。しかも2018年のCMでのアレンジが冒頭で2コーラス繰り返されて、いままでの『Oriental WInd』に繋がる構成になっていました。中間部はカットされ、そのまま最後の転調後の大サビへ。

 

『World Dreams』
そして最後は恒例のこの曲でコンサートは締めくくられます。この日の演奏はCDよりも少しテンポアップな印象。祝典序曲のような希望のメロディがこの日も高らかに唄われていましたよ!最後のチューブラーベルズの鐘の音でこの日の演奏はフィナーレを迎えました。

 

この後カーテンコールが何度か行われたあと、初日なのに関わらず会場はスタンディングオベーションへ!観客も大興奮でこのコンサートは終わりました。

 

以上で盛岡公演のレポは終わりです。

初めてのコンサートレポで読みにくい上に、誤字脱字もしていると思いますm(__)m

他公演の様子はどうでしたか?皆様で譲報共有していきたいです!

 

ふじか

 

後日談) by ふじかさん

いつもはコンサートに行ったきりになってしまってたので、今回はゆっくりと思い返す時間になり、よかったです(^^)

人それぞれ感じ方も違いますし、どこが特に良かったのか気になるので、僕もいろいろな人のコンサートレポは読みたいところです。

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団 公式Twitterより

【久石譲&WDO】マエストロもオーケストラも無事に盛岡に到着し、リハーサルを開始しました!本日の岩手公演は予定通り開催します。台風情報に注意してご来場ください。

https://twitter.com/newjapanphil/status/1027462651561955328(写真あり)

久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ初日、盛岡の熱いお客様のスタンディングオベーションで幕を閉じました!明日は東京に舞い戻りサントリーホールにてツアー2日目です。

https://twitter.com/newjapanphil/status/1027557951958016001(写真あり)

8月9日付

 

ツアー期間中、各会場のコンサート風景やリハーサル風景がリアルタイムに投稿されています。

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」。やっぱりいいですよね、いろいろな人の感想がみれるのって。会場ごとにプログラムが違うことはもちろん、演奏や雰囲気だって違う。盛岡公演に行けたような得した気分です。

Twitterに放たれた無数のコンサート感想もランダムに集めさせてもらいました。その勢いには圧倒されますし、時をへて読み返したい久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラへのありがとうの寄せ書きです。同じように、もっとフォーカスして一人のファンとしてたしかに存在する具体的な声。こんな輪がもっと広がりますように。

 

 

 

ふじかさんとは今年7月にはじめた「久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋」ツイッターでつながりました。一期一会の出会いに感謝です。いろんな出会いのきっかけがあって、全国各地の久石譲ファンとつながれて、これからも一緒に久石譲音楽を楽しんでいく。いい時代です。次はコンサート会場でリアルにお会いしたいですね!

 

 

reverb.
ツイッターってアカウントなくても見るだけOK♪ 毎日ファン同士のコミュニケーション飛び交ってるから、ついつい参加したくなりますよ!(^^)

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪

 

Disc. 久石譲 『TBS系 日曜劇場 この世界の片隅に オリジナル・サウンドトラック』

2018年8月29日 CD発売 UMCK-1606

 

TBS系 日曜劇場 「この世界の片隅に」
原作:こうの史代
脚本:岡田惠和
演出:土井裕泰、吉田健
音楽:久石譲
出演:松本穂香、松坂桃李、村上虹郎、二階堂ふみ、尾野真千子、伊藤蘭、田口トモロヲ 宮本信子 他
放送期間:2018年7月15日 ~ 2018年9月16日(全9回)

 

 

ヒロイン・すずを演じる松本穂香が歌う「山の向こうへ」(作詞:岡田惠和 作曲:久石譲)を含むドラマを彩る音楽が収録されたオリジナル・サウンドトラック。

劇中歌「山の向こうへ」は8月12日先行配信リリースされる。

 

 

■ 久石譲コメント

このお話をいただいて原作を読み「あ、いい話だな」と思いました。監督やプロデューサーとの最初の打ち合わせでもありましたが、“すずのやさしさ”を感じられる音楽にしたいと思い、久しぶりにメロディを中心に作っていきました。昭和の時代ですから、ちょっと日本的なものとモダンなものがうまく組み合わされるといいなと思い、そのあたりも意識しました。呉や尾道、広島はよく行っていましたので、雰囲気はよくわかります。そういう点は少し影響があるかもしれませんね。自分としてはとても満足した仕上がりになっています。

私が音楽を提供して、その作品ができ上がって、うまく見てくれる人に伝わる、その手助けになればいいなと思います。

 

 

■ 松本穂香コメント

レコーディングは初体験なので、すごくドキドキしました。終わってほっとしました(笑)。

久石さんの曲と岡田さんの歌詞がとても合っていて、すずさんたちが暮らしている広島の江波や呉のちょっと昔の風景がふっと浮かぶような、優しい歌だなと思いました。

何度か歌わせていただいたのですが、最後のほうは、スタッフさんやみんなの顔を思い浮かべながら歌いました。歌っていて自分自身、優しい気持ちになれました。

久石さんが作ってくださった曲も、ドラマ全体の雰囲気も、とても優しく穏やかな時間が流れています。ぜひ、この歌を聞いて、ドラマもご家族そろって見ていただきたいです。

 

 

■ 佐野亜裕美プロデューサーコメント

子守唄のようにも、わらべ唄のようにも、労働歌のようにも聴こえる、ドラマオリジナルの劇中歌をつくりたい、その想いからスタートしました。

久石さんが素晴らしい曲をつくってくれ、岡田さんが素敵な詞をつけてくれました。松本穂香さんが一生懸命歌ってくれました。

この歌が皆さんの心に残って、いつまでも響いてくれるといいなと思います。

 

 

 

久石譲曰く「メロディを中心に作った」とあるとおり、とても親しみやすい聴いていて心おちつく楽曲が並んでいる。素朴なメロディを活かした素朴な音色たち。フルオーケストラではない小編成アンサンブル編成をとりながら、ティン・ホイッスルやリュートなど印象的な楽器が世界観をつくりあげる大きな効果になっている。また楽器そのものの音(音色ではなく楽器が音を出すためにうまれる音)がしっかり入っているものいい。呼吸感や空気感のようなもの音が生きている。ちゃんと存在している、だからこそリアルさが迫ってきてさらにせつない。

メロディを最大限活かすために、久石譲の持ち味のひとつ緻密な音楽構成がこの作品では極力おさえられている。メロディと複雑に絡み合う複数の対旋律を配置することなく、あくまでもメロディが浮き立つように構成されている。

また見逃してはいけないのが、通奏和音が少ないということ。わかりやすくいうとコード進行やコード展開をなるべく印象づけない方法がとられている。ストリングスでずっとハーモニーが鳴っている、ベース低音通奏と合わせて和音になる、これらを避けている。音楽としてはシンプルで余白のある聴き手がそのスペースにすっと入っていける心地よさがある(前のめりな音楽ではなく)。またメロディやひとつひとつの楽器を浮き立たせる効果もある。映像と音楽がうまく絡み合う効果もある。もっと突っ込んで考えてみると、テレビドラマ音楽に必要な切り取り使用つまり楽曲をあてる編集がしやすい。場合によっては数秒・数十秒しか使われないそのシーンにつけるドラマ楽曲。小節にしたら4小節から10小節程度ということもある。でも、この作品の楽曲たちはミニマル・ミュージックではなくメロディ中心。和音やコード進行といったハーモニー感を極力おさえることで、曲が展開している途中で楽曲が切り取られたという印象を与えない。このことに集中してドラマを見返してみたけれど、あれ、曲がぶつっと切れたなと思った箇所はほとんどない。

もっと言う。でもメロディがしっかりしているなら、メロディが途中で切れたっていう印象は受けるのでは? そう思って聴き返す。「この世界の片隅に」「すずのテーマ / 山の向こうへ」を例にとっても、なるほどすごい!メインテーマ「この世界の片隅に」は、ABCというシンプルなメロディ構成になっている。Aパートが1コーラスだけ流れることもある。Bももちろん。注目したのはメロディの最後の音、旋律の流れを追うと音が上がっていかない。音が駆け上がっていく旋律であれば、次に続いていく印象をうけるし、音が下がって終わっていれば一旦ここでひと呼吸、終われます着地できますとなる。挿入歌にもなっている「すずのテーマ / 山の向こうへ」は、ABというシンプルなメロディ構成で、これまたサビ(B)に行くまえのメロディの音は下がって終わっている。さあ、ここから盛り上がりますよ、という音が駆け上がってはいかないし膨らみを助長しない(伴奏もふくめて)。そんななか、二楽曲ともちゃんと盛り上がって終わりましたという印象を受けるのはCとサビ(B)がしっかり音域が高く広がって終わっているから。そう、どこを切り取られれても大丈夫なメロディ展開になっていたのは、パートごとに一旦ここでひと呼吸終われますよ着地できますよ、というかなり高度なテクニックがあったからではないか、そんな発見ができたならうれしい。

シンプルで素朴、高揚感をおさえる、聴き手に押し売りしない寄り添ってくれる音楽たち。この作品の音楽的世界観は、楽器や音楽設計によるものだけではない、メロディ一音一音に、パートごとの終止音となめらかなパートつながりによって成立している。

これはおそらく過去の久石譲テレビドラマ音楽とは一線を画する。24年ぶりのテレビドラマ音楽担当、その音楽的進化は計り知れない。なぜ今回この仕事を引き受けたのか。劇伴になりやすい(短い尺・効果音のような使われ方)、切り取られる編集に不満、そのくせ楽曲必要数が多い。以前なら頭をもたげていた懸念材料に自ら解決策を導きだしたという進化。ドラマ音楽につきまとう問題を払拭し見事クリアしてみせる技と自信があったから、テレビドラマ的使われ方をしたとしても”久石譲音楽”としてしっかりと世界観を演出できるという確信があったからだと思うと、末恐ろしくふるえる。ほかのテレビドラマ音楽にはない画期的な職人技。映画『かぐや姫の物語』やゲーム『二ノ国 II レヴァナントキングダム』などの音楽を経てその点と点がつないでいる線であるように思う。

 

「平和な日々」、軽快でコミカルな楽曲。重くなってしまう作品の世界を緩和するだけでなく、そこにはその時代活き活きと生活している人たちが確かにいた、ということを示してくれる。こういったサントラのなかでは味つけ的な楽曲も、場面やシーンの空気感や温度感によって、どの部分を切り取って使われてもいいように、楽器変え変奏まじえ、短いモチーフが効果的に展開している。

「愛しさ」、主要テーマ「すずのテーマ」の変奏版ともとれる双子性ともとれる楽曲。ドラマでどういった場面や人によく使われていたかあまり覚えていないが、すずに使われていただろうかリンに使われていただろうか。人物としての共通性や二面性、どちらがどちら側になってもおかしくなかったその時代の表裏一体。愛しさと哀しさが溢れてくる楽曲。

「不穏 ~忍び寄る影~」、とても重厚な楽曲だが、序盤の数小節だけ巧みに使われるなど、こちらもシーンによってうまく活用できる構成。また「不穏  <打楽器&弦バージョン>」は、打楽器パートだけを効果音のように使い良い意味での無機質・無表情な印象づけをしながら、緊迫感・緊張感・不穏な予感の演出に一役かっていた。映画『家族はつらいよ』シリーズ(山田洋次監督)の音楽でも随所に見られる、パーカッションを効果音のように使いながら旋律をもった楽曲として成立させる手法のひとつ。

「すずのテーテ / 山の向こうへ」、いろいろなバリエーションで聴くことができる主要曲。口ずさみたくなるような、鼻歌で歌いやすい音域で旋律流れるAメロと、感情をこめて歌いうたいあげたいBメロ(サビ)。このふたつの構成のみという潔いシンプルさながら、胸うつせつなさや印象に残るインパクトはすごい。誰が聴いても日本的、昭和の日本を感じるのはなぜだろう。ここあるのはザ・久石メロディと言われるもの、これこそが久石譲が長い年月培ってきたアイデンティティのひとつ。裏を返せば、「風のとおり道」も「Oriental Wind」も、久石譲が紡いできたメロディこそが日本人の涙腺にふれる日本的なものである、と言えてしまうことになる。またこの楽曲では、メロディとかけあう対旋律に五音音階的なフレーズを配置することで、モダンさを巧みに演出しているように思う。

 

テレビドラマに使われてサウンドトラック盤未収録の楽曲もある。「山の向こうへ  <インストゥルメンタル・バージョン>」に近いバージョンだが、ピアノとギターのみで2コーラス奏される。1コーラス目はピアノメロディ、2コーラス目も1オクターブ高くピアノメロディ。第4話中盤、第5話冒頭、第6話序盤、第7話終盤、第8話終盤、第9話序盤。短縮なしで一番たっぷり聴けるのは第6話。「山の向こうへ  <インストゥルメンタル・バージョン>」の冒頭部に近いけれど、譜面の上で他楽器を抜いてピアノとギターだけにしたというものではなく、メロディも伴奏も奏で方が異なる。短いシンプル曲だけど、サントラ完全収録してほしかった一曲。

 

この音楽作品をレビューするにあたって、聴いてうける感情や印象をどう分解できるのか、どう言葉で表現できるのか。少しマニアックに掘り下げたところもあるけれど、それはひとつの回答。頭で聴く音楽の楽しみ方もあるし新しい発見や聴こえ方もある。でも、純粋に心で聴いて素晴らしい音楽。

 

 

公式ピアノ楽譜集も発売される。

 

 

 

1. この世界の片隅に ~メインテーマ~
2. 平和な日々
3. 絆
4. すずのテーマ
5. 家族
6. この世界の片隅に ~時代の波~
7. 愛しさ
8. 不穏 ~忍び寄る影~
9. すずのテーマ ~望郷~
10. 愛しさ 2
11. 恐怖
12. 山の向こうへ  <インストゥルメンタル・バージョン>
13. 不穏  <打楽器&弦バージョン>
14. この世界の片隅に  <ピアノソロ・バージョン>
15. 山の向こうへ (唄:松本穂香)
ボーナストラック
16. 山の向こうへ  <カラオケ>

 

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Conducted by Joe Hisaishi

Performed by
Flute:Mitsuharu Saito
Oboe & English Horn:Ami Kaneko
Clarinet:Hidehito Naka
Bassoon:Tetsuya Cho
Horn:Yoshiyuki Uema
Trumpet:Kenichi Tsujimoto
Trombone:Hikaru Koga
Timpani:Atsushi Muto
Percussion:Akihiro Oba
Harp:Kazuko Shinozaki
Piano, Celesta & Solo Piano:Febian Reza Pane
Lute:Hiroshi Kaneko
Tin Whistle:Akio Noguchi
Guitar:Go Tsukada (Track-15,16)
W.Bass:Yoshinobu Takeshita (Track-15,16)
Strings:Manabe Strings

Recorded at Victor Studio, Bunkamura Studio
Mixed at Bunkamura Studio
Recording & Mixing Engineer:Hiroyuki Akita

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