Disc. 久石譲 『人生のメリーゴーランド (ジブリパーク ver.)』 *Unreleased

2024年3月16日 オープン

2022年11月1日開設ジブリパーク、その新エリアがオープン。『魔女の谷』エリアの遊具「メリーゴーランド」で流れる音楽を久石譲が担当している。映画『ハウルの動く城』より「人生のメリーゴーランド」、当施設のための新しい編曲になっている。

 

 

メリーゴーランド

「年に一度、村にやってくる移動遊園地」をイメージした乗り物遊具です。『魔女の宅急便』や『ハウルの動く城』、『もののけ姫』といった作品に登場する乗り物や動物・キャラクターをモチーフに装飾しています。屋根には『ハウルの動く城』のハウルとソフィーの装飾があり、乗車中は特別にアレンジされた同作品の背景音楽「人生のメリーゴーランド」が流れます。

(ジブリパーク公式サイトより)

 

 

約2分半。原曲にもあったアコーディオンやマンドリンを前面に押し出し、手回しオルガンのような音色も追加されている。フル・オーケストラだったオリジナル版から、先の楽器にベースなども加えたアンサンブル編成になっている。小気味よく散りばめられたパーカッション群もチャーミングに効いている。

原曲にはなかった曲想に、イントロとアウトロに回転性を連想させるミニマルなパートを新たに施している。ワクワクちょっとこわい魔法の世界、そんな気持ちのアップダウンまで現わしているようだ。何回聴いても飽きのこない絶妙なアレンジに磨きあげられている。遊具「メリーゴーランド」にふさわしいメルヘンチックとマジカルさで、新たな装いに胸躍るニュー・バージョンとなっている。

未音源化作品。

 

*当ページで「人生のメリーゴーランド (ジブリパーク ver.)」と表記している曲タイトルは任意で仮のもの

 

 

(ジブリパーク公式サイトより)

 

Disc. V.A. 『スタジオジブリトリビュートアルバム「ジブリをうたう」』

2023年11月1日 CD発売 VICL-65894
2024年1月10日 LP発売 VIJL-60311~60312

 

武部聡志プロデュースによるスタジオジブリ音楽のトリビュートアルバム

日本国内に留まらず、今や世界中を魅了し、世代を超えて愛されるアニメーションを制作し続けるスタジオジブリ。その素晴らしい作品たちには、いつも素晴らしい音楽たちがドラマを彩っていました。映画と共に愛され続ける数多の心に残る名曲たち。音楽プロデューサー武部聡志プロデュースのもと、そんなスタジオジブリ作品の楽曲たちを世代を超えた様々なアーティストたちが新たな解釈でカバーする、スタジオジブリ音楽のトリビュートアルバムが完成。

※宮崎吾朗監督書き下ろしイラストジャケット仕様

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

映画「コクリコ坂から」「アーヤと魔女」では音楽を担当するなどスタジオジブリ作品とも縁の深い、作・編曲家、音楽プロデューサー武部聡志が全面プロデュースする初のスタジオジブリ トリビュートアルバム

 

 

原曲が久石譲曲の映画主題歌/メインテーマは、「01.となりのトトロ」「03.いのちの名前」「04.君をのせて」「06.人生のメリーゴーランド」「11.もののけ姫」の5曲。

 

 

01.となりのトトロ(映画「となりのトトロ」より) / 岸田繁(くるり)
  作詞:宮﨑駿 / 作曲:久石譲 / 編曲:武部聡志 / コーラスアレンジ:岸田繁
02.カントリー・ロード(映画「耳をすませば」より) / 松下洸平
  作詞・作曲:JOHN DENVER、TAFFY NIVERT、BILL DANOFF / 日本語詞:鈴木麻実子(補作:宮﨑駿) / 編曲:武部聡志
03.いのちの名前(映画「千と千尋の神隠し」より) / 幾田りら
  作詞:覚和歌子 / 曲:久石譲 / 編曲:武部聡志
04.君をのせて(映画「天空の城ラピュタ」より) / 家入レオ
  作詞:宮﨑駿 / 作曲:久石譲 / 編曲:武部聡志
05.テルーの唄(映画「ゲド戦記」より) / Little Glee Monster
  作詞:宮崎吾朗 / 作曲:谷山浩子 / 編曲:寺嶋民哉
06.人生のメリーゴーランド(映画「ハウルの動く城」より) / 角野隼斗
  作曲:久石譲 / 編曲:角野隼斗
07.風の谷のナウシカ(映画「風の谷のナウシカ」より) / 玉井詩織(ももいろクローバーZ)
  作詞:松本隆 / 作曲:細野晴臣 / 編曲:武部聡志
08.ルージュの伝言(映画「魔女の宅急便」より) / 木村カエラ
  作詞・作曲:荒井由実 / 編曲:武部聡志
09.ひとりぼっちはやめた(映画「ホーホケキョ となりの山田くん」より) / 満島ひかり
  作詞・作曲:矢野顕子 / 編曲:武部聡志
10.海になれたら(映画「海がきこえる」より) / GReeeeN
  作詞:望月智充 / 作曲:永田茂 / 編曲:武部聡志
11.もののけ姫(映画「もののけ姫」より) / Wakana
  作詞:宮﨑駿 / 作曲:久石譲 / 編曲:武部聡志
12.時には昔の話を(映画「紅の豚」より) / 渋谷龍太(SUPER BEAVER)
  作詞・作曲:加藤登紀子 / 編曲:武部聡志
13.さよならの夏~コクリコ坂から~(映画「コクリコ坂から」より) / 武部聡志
  作詞:万里村ゆき子 / 作曲:坂田晃一 / 編曲:武部聡志

 

Disc. 久石譲 『君たちはどう生きるか サウンドトラック』

2023年8月9日 CD発売 TKCA-75200
2023年8月16日 配信開始

 

宮﨑駿監督10年ぶりとなる、長編映画最新作 「君たちはどう生きるか」のサウンドトラック。
宮﨑監督のオリジナルストーリー作品。

2023年7月14日(金)全国劇場公開
スタジオジブリ最新作
「君たちはどう生きるか」
原作・脚本・監督:宮﨑駿
配給:東宝
製作:スタジオジブリ
音楽:久石譲

主題歌含む37曲収録

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

久石さんからの誕生日プレゼント

年の初めに、いつのまにか恒例になった行事がある。毎年1月5日になると、久石譲さんが宮﨑駿のアトリエに顔を出す。その日、出来上がったばかりの曲を携えて。

1月5日は宮﨑駿の誕生日。その曲は、宮さんへの誕生日プレゼントだ。なにしろ、新曲だ。何時ごろ完成するのか、分からない。早いときもあれば、そうじゃない時もある。調子のいい悪いもあるだろう。

お迎えは、ずっとぼくと宮さんのふたり。そして、新しい曲をふたりで聴く。

この時、ぼくはいつも緊張が走る。いい曲であって欲しいと。祈りに近い。宮さんは大概、目を閉じている。宮さんの前でいつも笑顔を絶やさない久石さんも、その表情が変わる。

聞き終わる。宮さんが相好を崩す。久石さんとぼくは安堵する。こうして、ぼくらの新しい年が始まる。

プレゼントの曲は、ぼくの記憶だと、そのほとんどがミニマルミュージック。久石さんの得意とする音楽だ。久石譲さんといえばオーケストラと思う人が多いと思うが、それは映画音楽をやる時の久石さんの顔だ。本当は音楽大学で電子音楽を基調とするミニマルミュージックを専攻した人。つまり、現代音楽の勉強をした人だ。

これまでも、映画の時は、メロディを中心としたオーケストラで映画音楽を作って来た。しかし、大事な場面ではミニマルを挿入する。それが久石さんの大きな特徴だった。

「となりのトトロ」のサツキがトトロと出会う、雨のバス停のシーン。あのミニマルの曲はいまだに傑作だ。あのシーンはあの曲によって補完され、子どもたちはむろんのこと、大人たちもトトロの実在を信じることが出来たとぼくは思っている。

「君たちはどう生きるか」。この作品で久石さんは、大きな勝負に出た。ミニマルだけで、映画音楽を成立させることが出来るのか? ミニマルにはメロディらしいメロディは無い。聴く人によって、表情が変わるのがミニマルの大きな特徴だ。楽しい悲しいをフィルムに固定することも出来ない。

ぼくはドキドキしながら、映画の完成を待った。試写を見終わったぼくは、久石さんが、その勝負に、賭けに勝ったのだと思った。

使われた曲の多くは、誕生日プレゼントの曲だった。

「君たちはどう生きるか」プロデューサー
鈴木敏夫

(CDライナーノーツより)

 

 

久石さん やりましたね!
全部ミニマルで通すなんて.
ありがとう

みやざき

(CDライナーノーツより 直筆メッセージ)

 

 

 

2024.08 update

映画『君たちはどう生きるか』サウンドトラック楽曲解説

(1)イントロダクション
(2)方法論
(3)方法論 継
(4)Ask me why
(5)白壁・聖域・祈りのうた
(6)青サギ・黄昏の羽根 ほか
(7)ワラワラ・炎の少女 ほか
(8)追憶・陽動 ほか
(9)眞人とヒミ・大伯父 ほか
(10)ネクストアップ

 

 

 

 

 

 

 

1. Ask me why(疎開)
2. 白壁
3. 青サギ
4. 追憶
5. 青サギⅡ
6. 黄昏の羽根
7. 思春期
8. 青サギⅢ
9. 静寂
10. 青サギの呪い
11. 矢羽根
12. Ask me why(母の思い)
13. ワナ
14. 聖域
15. 墓の主
16. 箱船
17. ワラワラ
18. 転生
19. 火の雨
20. 呪われた海
21. 別れ
22. 回顧
23. 急接近
24. 陽動
25. 炎の少女
26. 眞人とヒミ
27. 回廊の扉
28. 巣穴
29. 祈りのうた(産屋)
30. 大伯父
31. 隠密
32. 大王の行進
33. 大伯父の思い
34. Ask me why(眞人の決意)
35. 大崩壊
36. 最後のほほえみ
37. 地球儀 / 米津玄師

 

作曲・編曲・プロデュース:久石譲

指揮・ピアノ:久石譲
演奏:Future Orchestra Classics
ゲストコンサートマスター:郷古簾
コーラス:麻衣&リトルキャロル

マニピュレーター:前田泰弘
レコーディング&ミキシングエンジニア:秋田裕之
アシスタントエンジニア:安中龍磨(Bunkamuraスタジオ)、萩原雪乃(ビクタースタジオ)
マスタリングエンジニア:藤野成喜(ユニバーサルミュージック)

音楽制作マネージメント:川本伸治、佐藤蓉子、宮國力
楽譜制作:蓑毛沙織、蓮沼淳史
マネージメントオフィス:ワンダーシティ

スタジオ:Bunkamuraスタジオ、ビクタースタジオ

音楽製作:スタジオジブリ
製作プロデューサー:鈴木敏夫

 

主題歌
地球儀 米津玄師

作詞・作曲・プロデュース:米津玄師
編曲:米津玄師、坂東祐大

レコーディング ミックス:小森雅仁
マスタリング:ランディ・メリル/スターリングサウンド

ボーカル:米津玄師
ドラム:石若駿
ピアノ,シンセベース:坂東祐大
バグパイプ:十亀正司
制作:リイシューレコーズ

 

and more…

 

 

『The Boy and the Heron (Original Soundtrack)』
Joe Hisaishi

01 Ask Me Why (Evacuation)
02 White Wall
03 Gray Heron
04 Memories
05 Gray Heron II
06 A Feather in the Dusk
07 Adolescence
08 Gray Heron III
09 Silence
10 The Curse of the Gray Heron
11 Feather Fletching
12 Ask Me Why (Mother’s Message)
13 A Trap
14 Sanctuary
15 The Master of the Tomb
16 Ark
17 Warawara
18 Reincarnation
19 Rain of Fire
20 Cursed Sea
21 Farewell
22 Reminiscence
23 Close Encounter
24 Diversion
25 A Girl of Fire
26 Mahito and Himi
27 The Corridor Door
28 A Burrow
29 A Song of Prayer (The Delivery Room)
30 Granduncle
31 In Secret
32 The King’s Parade
33 Granduncle’s Desire
34 Ask Me Why (Mahito’s Commitment)
35 The Great Collapse
36 The Last Smile
37 Spinning Globe / Kenshi Yonezu

 

Disc. ニコラス・ホルヴァート 『Studio Ghibli Piano Collection』

2023年7月21日 CD発売 RBCP6825
2023年7月21日 LP発売 RBJE2078

 

スタジオ・ジブリの素晴らしい映画音楽が、美しいピアノソロ作品に!

フィリップ・グラス、フランツ・リスト、クロード・ドビュッシー、エリック・サティらといったクラシック曲の名演で世界的に名を馳せ、名誉あるスタインウェイ・アンド・サンズ アーティストにも選出されているフランス人ピアニスト”ニコラ・ホルヴ”によるアレンジとピアノソロ演奏による作品。久石譲の公式ピアノスコアに基づきながらも新鮮さに溢れるアレンジと、どこまでも美しいピアノソロの音色は、ジブリ・ファンのみならず、音楽ファンをも新たな音世界へと誘います。

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

CD1枚組全23曲
LP2枚組全24曲
Deep Sea Pastures (CD Edition only)
Starting the Job (Vinyl Edition only)
Mother Sea (Vinyl Edition only)

2023年6月1日より先行デジタル配信/サブスク開始
CD/LP収録曲違い含め全25曲

 

 

原曲を基本としながら端正で流麗なピアノ演奏を楽しむことができる。またオーケストラ曲からピアノアレンジされたものも多く、たしかなテクニックで魅せる仕上がりになっている。ふだんピアノソロとして聴けないような楽曲もあり、ピアノ好きな人には、まるで上級用楽譜をまるごと一冊聴いて楽しめるような、クラシカルなピアノアルバムだ。

 

ダイジェスト動画も公開されている。

Studio Ghibli Piano Collection (約19分)

from Wayo Records YouTube

 

 

Studio Ghibli – Wayo Piano Collections (CD)

01 Fantasia for Nausicaä
02 The Road to the Valley
03 Confessions in the Moonlight
04 The Lost Paradise
05 The Wind Forest
06 My Neighbor Totoro
07 Kiki’s Delivery Service
08 Heartbroken Kiki
09 Porco e Bella
10 Madness
11 Ashitaka and San
12 Kodamas
13 Princess Mononoke
14 One Summer’s Day
15 Sootballs
16 The Sixth Station
17 Merry-Go-Round of Life
18 Deep Sea Pastures
19 Ponyo on the Cliff by the Sea
20 A Journey (A Dream of Flight)
21 Nahoko (An Unexpected Meeting)
22 The Procession of Celestial Beings
23 When I Remember This Life

Time: 79:16

輸入盤:国内流通仕様
デジパック仕様

 

 

Studio Ghibli – Wayo Piano Collections (LP)

SIDE A
01 Fantasia for Nausicaä
02 The Road to the Valley
03 Confessions in the Moonlight
04 The Lost Paradise
05 The Wind Forest
06 My Neighbor Totoro

SIDE B
01 Kiki’s Delivery Service
02 Starting the Job
03 Heartbroken Kiki
04 Porco e Bella
05 Madness
06 Ashitaka and San

SIDE C
01 Kodamas
02 Princess Mononoke
03 One Summer’s Day
04 Sootballs
05 The Sixth Station
06 Merry-Go-Round of Life

SIDE D
01 Mother Sea
02 Ponyo on the Cliff by the Sea
03 A Journey (A Dream of Flight)
04 Nahoko (An Unexpected Meeting)
05 The Procession of Celestial Beings
06 When I Remember This Life

Time: 80:50

輸入盤:国内流通仕様

 

Disc. 井上あずみ 『Dear GHIBLI II』

2023年7月5日 CD発売 FRCA-1321

 

「となりのトトロ」「さんぽ」「君をのせて」…ジブリの歌姫、井上あずみのジブリカバー集!

ジブリ映画『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』の主題歌、テーマ曲を歌う井上あずみのデビュー40周年を記念するアルバムです。2010年に自身の曲のセルフカバーを含め全14曲のジブリカバーアルバムを発売。今回はその第二弾となり、「君をのせて」「となりのトトロ」「さんぽ」「風の通り道」を含むジブリの名曲を全12曲、新規録音で収録します。

(メーカーインフォメーションより)

 

 

 

 

01. いのちの名前
 「千と千尋の神隠し」テーマソング
02. となりのトトロ (2023)
 「となりのトトロ」エンディング主題歌
03. 風になる
 「猫の恩返し」主題歌
04. 君をのせて (2023)
 「天空の城ラピュタ」挿入歌
05. さよならの夏
 「コクリコ坂から」主題歌
06. Arrietty’s Song
 「借りぐらしのアリエッティ」主題歌
07. ルージュの伝言
 「魔女の宅急便」挿入歌
08. 鳥になった私
 「魔女の宅急便 ヴォーカルアルバム」より
09. ひこうき雲
 「風立ちぬ」主題歌
10. テルーの唄
 「ゲド戦記」挿入歌
11. さんぽ (2023)
 「となりのトトロ」オープニング主題歌
12. 風のとおり道
 「となりのトトロ イメージソング集」より

 

Disc. 久石譲 『A Symphonic Celebration』(Domestic / International)

2023年6月30日 CD発売
通常盤 UMCK-1731
限定盤 UMCK-7191/2

2023年9月29日 LP発売 UMJK-9119/20
*生産限定盤/日本盤

 

クラシック名門レーベル、ドイツ・グラモフォンからの記念すべき第一弾アルバム!
宮崎駿監督映画作品への提供曲をロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団と共にロンドンにてオーケストラ録音。

(CD帯より)

 

クラシック名門のドイツ・グラモフォンとの契約を発表した久石譲のグラモフォンからの第一弾アルバムは、なんと全曲宮崎駿監督作品に提供した自作曲を、新たなアレンジでオーケストラ録音。ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団と共にロンドンで録音されたこの作品は、クラシック/J-POPアニメのどのジャンルにも通用する普遍的なサウンド。アニメ映画界で特別な存在感を持ち愛され続けるジブリ映画と久石譲のコラボレーションの結晶となっている。

デラックス・エディションのボーナスディスクには、世界中でストリーミングヒットを記録している「人生のメリーゴーランド(「ハウルの動く城」より、そして「あの夏へ(「千と千尋の神隠し」より)英語ヴァージョン」の2曲を新規アレンジにて特別収録。

 

【通常盤】
1CD
日本語解説付き

【デラックス・エディション】【限定盤】
2CD
デジパック仕様
歌詞収録
日本語解説付き

【アナログ】【生産限定盤】
2LP
日本語解説付き

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

クラシック名門レーベル、ドイツ・グラモフォンからの記念すべき第一弾アルバム、全世界発売開始。

今年3月にクラシック名門レーベルのドイツ・グラモフォンとの独占契約を発表した久石譲。『千と千尋の神隠し』『もののけ姫』『となりのトトロ』等、宮崎駿監督映画への提供曲をシンフォニック・アレンジで収録した待望の第一弾アルバムが全世界発売された。『A Symphonic Celebration』というタイトルにふさわしく、久石譲指揮によりロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とロンドンで制作されたこのアルバムは、アニメ映画界で特別な存在感を持ち愛され続けるジブリ映画と久石譲のコラボレーションが結実したものとなっており、ジャケット写真も、その宮崎駿監督の原画を使用したものになっている。

その先駆けとして、世界でストリーミング・ヒットを記録した「人生のメリーゴーランド」(映画『ハウルの動く城』より)の新バージョンが1stシングルとして配信されると同時にYouTubeにてMusic Videoも公開された。続いて映画『魔女の宅急便』の「かあさんのほうき」と「海の見える街」の美しい新ヴァージョンもスマッシュ・ヒットを記録しているが、映画『千と千尋の神隠し』の「あの夏へ(One Summer’s Day)」の英語ヴァージョンがYouTubeにて公開された。こちらは今アルバムの為に特別に英語詞により録音された「初英語ヴァージョン」となり、イギリスのソプラニスト、グレース・デヴィッドソンの透き通るヴォーカルと久石譲のピアノ演奏が、この有名曲に新たな息吹をもたらしている。

(メーカー・トピックスより 編)

 

 

 

A Symphonic Celebration
Music from the Studio Ghibli films of Hayao Miyazaki

ヒッチコックとハーマン、スピルバーグとウィリアムズ、ゼメキスとシルベストリ、バートンとエルフマン、フェリーニとロータ。長期間に渡り映画監督と作曲家が組んで仕事をすると、ある種の魔法がかかる。彼らの想像力は芸術的な感性によって火がつき、必然的に絡み合う。そして、このような二人のアーティストの深い理解により、記憶に残り、伝説的ですらある映画体験がもたらされる。だが、同様に名前を挙げ、称えるべき映画監督と作曲家のパートナーシップは他にも存在する。それは、宮崎駿監督と作曲家の久石譲である。

宮崎のスタジオジブリは、日本映画のみならず、世界中の映画界で愛される芸術的な存在となり、久石譲はその道のりの一歩一歩に寄り添ってきた。宮崎は長編アニメーションの最高傑作の数々を手作業で丹念に作り上げ、日本アニメを世界に知らしめたが、それに続き、久石譲も世界中から注目を集めるようになった。

宮崎の映画と久石の音楽には、大きな愛情が込められている。二人はまさに手を取り合い、お互いを燃え立たせている。実際のところ、久石が宮崎映画の音楽制作に着手する際には、まずスケッチ画と描写のみ、後に絵コンテを基に始める。タイムコードに縛られることもなく、登場人物の声が発されるずっと前から、この作曲家は宮崎が思い描く映画のアイデアそのものに触発された音楽を創り出す。生まれてくるその音楽は、宮崎監督の創作過程に反映され、彼の想像力を更に膨らませ、より大胆に発展していく。久石が映画のために手がけた初期の音楽案は「イメージ・アルバム」としてまとめられ、本質的には後に登場する映画スコアのコンセプト・アルバムであった。その後、これらのアイデアは磨き上げられ、完成した映画に使用された。それは、確かに風変りな仕事の進め方だが、1984年の『風の谷のナウシカ』以来、ほぼ40年に渡る共同製作で二人が培ってきた創造的な過程(プロセス)である。

宮崎は、幻想的でありながら、どこか親しみのある世界を創り出すことを好み、ストックホルムやサンフランシスコを彷彿とさせるような想像上の街を物語の舞台に設定している。また、時代設定はあるかもしれないし、ないのかもしれない。時には、私たちが既に知っていると思われる過去の別バージョンのようなものもある。このぼやけた曖昧さと融合性は、久石が自国文化から触発されたサウンドとメロディーにポップス、ほんの少量のミニマリズム、そして恐らく古典主義をひとつまみ加えることで、その音楽にも昇華されている。彼らの作品は、何故か理にかなっており、あたかも以前からそうであったかのように感じられる混成型(ハイブリット)であり輝かしい坩堝(メルティング・ポット)なのだ。

よって、このアルバムは、その比類なき芸術的コラボレーションの蒸留物であり、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とソリストのために再創造された音楽である。彼が過去に発表した「イメージ・アルバム」のように、映画の枠から解き放たれた久石譲の音楽的ヴィジョンが打ち出されているが、同作品では更に自由な空間に、可能な限りの、更なる精魂が傾けられている。

風の谷のナウシカ(1984年)
宮崎と久石が初めて組んだ同映画では、二人が進むべき道を歩み始めた。『風の谷のナウシカ』は、宮崎自身が手掛けた漫画を原作とした大作で、近隣諸国が戦争に巻き込まれた終末的(ポスト・アポカリプス)な汚染された世界を舞台にしている。宮崎監督の意に反して、ニューワールド・ピクチャーズにより大幅にカットされた英語版が公開されたが、2005年にはディズニー社がアリソン・ローマン、パトリック・スチュワート、ユマ・サーマンを起用し、ようやく新たな英語版キャストによる完全版を再公開した。久石のオリジナル・スコアは、オーケストラの色彩、パーカッション、シンセ音の数々を織り交ぜており、彼の新しい組曲は、心を奪うようなストリングスの音色やおとぎ話のような雰囲気、そしてバッハ合唱団が歌う箇所で僅かに取り入れたヘンデル作品からのモチーフにより、大きな深みが増している。

魔女の宅急便(1989年)
(宮崎と久石の)二人が手がけた4作目の映画は、10代の魔女が新しい町に溶け込むために空飛ぶ宅配業を開業するという、角野栄子による小説を原作として製作された。この作品で監督を務めるつもりはなかった宮崎は当初プロデューサーとして関わっていたが、製作中の展開に納得できず、このプロジェクトと引き継ぐことになった。オリジナル・キャストとして、キキを高山みなみが、猫のジジを佐久間レイが担当し、英語版ではキルスティン・ダンストと故フィル・ハートマンがこれらの役を担当した。ギターやアコーディオンに加え、オカリナやハンマー・ダルシマーが印象的な久石のオリジナル・スコアには、さり気ない魅力がある。この新たな組曲は、まるで魔法のように繊細なピチカート・ストリングス、官能的なワルツ調のテーマ、そして後にはバイオリン独奏とオーケストラのための完璧な幻想曲(ファンタジー)で構成されており、私たちを夢中にさせる。

もののけ姫(1997年)
この映画をきっかけに世界中の観客がスタジオジブリに注目するようになり、本国の日本ではスティーヴン・スピルバーグの『E.T』が記録した興行収入を塗り替えた(ジェームズ・キャメロンの『タイタニック』が登場するまで)。封建時代の日本を舞台にした宮崎による原作は、ニール・ゲイマンが英訳を監修している。あらすじは、自分が受けた呪いを解くために必死で旅をする少年が、自分の村の人々と森の神々との激しい戦いに巻き込まれるという内容。この映画の成功は、公開後に引退予定だった宮崎を驚かせた。日本アカデミー賞受賞は勿論のこと、興行的にも大きな成功を収めたお陰で彼は考えを改めた。オリジナル・キャストには石田ゆり子や松田洋治が含まれ、英語版にはミニー・ドライヴァー、ビリー・ボブ・ソーントン、ジリアン・アンダーソン等が出演。鳴り響く低音の弦楽器や打楽器の響きが印象的な原曲は、これまでに久石が手がけたジブリ作品の中では最もシンフォニックなスコアかもしれない。この組曲では、壮大なオーケストラの雰囲気、荘厳な合唱、渦巻く弦楽器、唸るような金管楽器が、ドラマをさらに盛り上げる。まさに音楽的大渦巻だ。

風立ちぬ(2013年)
漫画が原作の同作品は、伝記映画である点が宮崎作品としては恐らく珍しいだろう。堀越二郎は、とりわけ第二次世界大戦中の日本の航空に纏わる物語で重要な役割を果たし、尊敬を集めた航空機設計者。この映画は堀越の人生物語を描いており、日本史における重要な瞬間に触れている。英語版ではジョセフ・ゴードン=レヴィットが堀越の声を担当し(オリジナル版では庵野秀明)、その他キャストにはスタンリー・トゥッチ、ジョン・クラシンスキー、エミリー・ブラント等が含まれる。同作品はアカデミー賞長編アニメーション映画賞にノミネートされ、アニー賞脚本賞を受賞し、宮崎と久石はまたもや極めて重要な成功を収めた。堀越が劇中の登場人物でもあるイタリアの航空機設計者ジョヴァンニ・カプローニに強い影響を受けているため、日本アカデミー賞を受賞した久石のスコアには、ヨーロッパ的音楽観が際立っている。マンドリン、アコーディオン、ギター、そして、ほんの僅かのヴィヴァルディ的な要素が、スコアに心に残る瞬間をもたらす。今回の組曲では、マンドリンが重要な役割を担っており、そのエネルギーは素晴らしくバレエ的だ。

崖の上のポニョ(2008年)
恐らく他の作品よりもずっと若い視聴者層をターゲットにしたと思われる『崖の上のポニョ』は、瓶の中に入った魚の女の子を見つけた男の子を描いた可愛らしい物語。実はその魚の正体はプリンセスで、自分を救出してくれた男の子と恋に落ち、人間に変身してしまう。だが、ポニョの逃亡を快く思わない魔法使いの父親は、娘を連れ戻すために海面を上昇させ、皆を危険にさらしてしまう。奇妙な友情という設定は、『崖の上のポニョ』の英語版を担当した脚本家、故メリッサ・マティソンにとって目新しいものではなかった。彼女が脚本を手がけた『E.T』や『ワイルド・ブラック/少年の黒い馬(原題:Black Stallion)』は多くの人々から愛され、彼女はディズニーの『リトル・マーメイド』に触発された本作に独自の魔法をかけた。英語版では、ケイト・ブランシュット、リーアム・ニーソン、マット・デイモンが、オリジナル版では天海祐希、所ジョージ、長嶋一茂が演じた役を引き継いでいる。久石は、『崖の上のポニョ』のために制作した同作品で6度目の日本アカデミー賞を受賞した。チェレスタとヴィオラ独奏のある本作品は、魔法と輝きに満ちており、新たなこの組曲には、海面下を冒険するような驚嘆すべき不思議な感覚がある。木管楽器と弦楽器は、軽快なオーボエに合わせた美しいソプラノ独唱へと誘う。その後、久石はオーケストラを大海原での音楽的冒険へと放ち、合唱団による可愛らしく遊び心のある歌で同曲はフィナーレを迎える。

天空の城ラピュタ(1986年)
スタジオジブリ設立直前に製作された『風の谷のナウシカ』に続くこの映画は、正式にはスタジオジブリによる第一作となった。前作同様、『天空の城ラピュタ』も激動の冒険物語で、空の海賊や怪しい政府特務機関から逃れようとする二人の孤児たちが、ラピュタ(作品名となった天空の城)を探す旅に出る。この映画は、ラピュタという空飛ぶ島が登場するジョナサン・スウィフトの『ガリバー旅行記』をモチーフにしており、シータ役をよこざわけい子、パズー役を田中真弓が、英語版ではアンナ・パキンとジェームズ・ヴァン・デル・ビークが声を担当した。『風の谷のナウシカ』同様に、宮崎との2作目となる本作でも、久石は馴染み深いピアノ、弦楽器、声楽の他に、電子音やシンセ音をふんだんに取り入れた。新たな組曲では、壮大なオーケストラのサウンドと、ある程度英国的な、感情を抑えた威厳のあるホーンをフィーチャーしている。また、大人と子供で構成された合唱団は、心に残るような哀愁を帯びた雰囲気を与えている。奮い立たせるような、英雄的な楽曲だ。

紅の豚(1992年)
紅の豚(クリムゾン・ピッグ)!『紅の豚』は、日本の航空会社のために製作された短編映画としてスタートしたが、今日私たちが大好きな、素晴らしく奇妙な作品に発展した。漫画『飛行艇時代』を原作としたこの映画は、1930年代のイタリアに住む元空軍のエース・パイロット、ポルコ・ロッソ(別名マルコ・パゴット)が、雇われヒーローとして飛行を請け負う物語。豚のようなその姿はある種の呪いであることは明らかだが、詳細はあまり説明されていない。だが、後半ではポルコがキスされた後に人間に戻る姿が示唆されている。典型的なドタバタした色彩豊かな物語で、映画のテーマはむしろ大人向けだが、間違いなく印象に残る作品である。豚の主人公の声を、英語版ではマイケル・キートン、フランス語版ではジャン・レノが、オリジナル版で森山周一郎が担当した役を引き継いだ。原曲には同映画にふさわしく冒険とスリルに満ちた遊び心があり、ジャズ・ピアノの切なさを感じる瞬間もある。久石はこの曲に切なげなジャズ・ピアノをリードとして使い、紅の豚(ポルコ・ロッソ)にぴったりな、威厳のある堂々たる雰囲気を醸し出している。

ハウルの動く城(2004年)
この映画は、美しい圧巻の叙事詩であり、今もなお愛され続けている名作。原作はダイアナ・ウィン・ジョーンズの小説で、魔女に呪われて老婆になった若い女性ソフィの物語が描かれている。彼女は、忘れ難き足のついた家であちこち移動する気まぐれな若き魔法使いを探しに出かけ、ようやく辿り着くと、呪いを解くためにその家に住む火の悪魔と契約をする。だが、その代償は? 英語版では、同作が最後の映画出演となったジーン・シモンズの他、クリスチャン・ベイルやブライス・ダナーも素晴らしい声の出演を披露した。久石によるこのオリジナル・スコアは、彼の作品の中でも最も壮大かつ親しみやすい一つであり、彼が最も大切にしていると思われるテーマを使用している。そのワルツは、主にピアノで演奏されているが、スコア全体を通して登場する。この新しい組曲は、すでに交響的なスペクタクルのようなものが先導し、聴き手の心をまるでバレエのように跳ねさせ、踊らせる。久石は、まさに息を呑むような、喜劇的かつ色彩豊かな音詩(トーン・ポエム)を創り上げた。

千と千尋の神隠し(2001年)
『ハウルの動く城』に圧巻される前に、観客たちは『千と千尋の神隠し』に心を奪われた。この輝かしい芸術作品は、2001年の公開時に日本映画史上最高の興行収入を記録。アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞した同作品は世界中に影響を及ぼし、観客はその物語に魅了された。同作品は、家族が郊外での新生活に向かう途中で道を間違えたために少女が異世界に閉じ込められてしまう話で、久石の華麗なピアノとストリングスのスコアもさることながら、印象的なキャラクターと驚くべきビジュアルに満ちた世界が登場する。この組曲のために、彼は色彩のパレットを拡大しており、『ハウルの動く城』の組曲と同様に、これは音楽で紡ぐストーリーテリングのレッスンである。久石は、ピアノ独奏、美しい夢のような歌唱、素晴らしいシンフォニックな華麗さとペーソス的瞬間で、鮮やかな絵を描いている。

となりのトトロ(1988年)
アルバムの最終曲は、ファンの間で人気が高く、恐らく宮崎作品の中で初めて多数の支持者を得るきっかけとなった作品であり、それは少なからず、入院中の母親の近くに住むために引っ越したばかりの姉妹が好奇心を抱いた、非常に愛らしい森の精霊、トトロのお陰だろう。だが、メイとサツキが見続けるこの奇妙な生き物たちは何だろう? 同作品は、甘美でエモーショナルな冒険であり、脚本家兼監督の宮崎にとっても、実の母親が病気で長い間家を離れていたこともあり、個人的な物語でもある。この映画と登場人物は、スタジオジブリの象徴的な存在となっており、特に「大トトロ」(キング・トトロ)は、現在まさにスタジオジブリの顔。サツキとメイの声は、オリジナル版では日高のり子と坂本千夏、英語版では実の姉妹であるダコタとエル・ファニングが吹き替えを担当した。久石の音楽は、快活なシンセ音をふんだんに使っており、非常に当時らしいサウンドだ。フィナーレを飾るこの組曲では、「Hey Let’s Go(邦題:さんぽ)」という曲中の冒険への楽しい呼びかけは勿論のこと、素晴らしい祝祭的雰囲気を醸し出している。また、後半部分では、木管、金管、弦楽器がワイルドかつ活気ある威勢(スワッガー)で盛り上げ、歓喜に満ちた高揚感で締めくくる。

ーマイケル・ビーク(BBC Music Magazine)

(翻訳:湯山恵子)

(CD封入 日本語解説より)

 

 

世界共通盤ブックレットには、上記解説の英文オリジナル・テキストと共に久石譲バイオグラフィ”JOE HISAISHI Composer, Conductor, Dreamer”(3ページ)が英文で収められている。

歌詞収録は、楽曲ごとに本盤で歌われた言語による掲載となっている。「03. PRINCESS MONONOKE」日本詞、「05.PONYO ON THE CLIFF BY THE SEA」日本詞/英詞、「09. SPIRITED AWAY」日本詞/英詞(Bonus Track)、「10.MY NEIGHBOR TOTORO」英詞/日本詞 である。

各国流通仕様盤の封入解説(日本語解説など)には歌詞かつ訳詞は載っていない。つまりは、世界共通盤ブックレットのほうに多くの楽曲で歌われている日本語がそのまま収録されている。宮崎駿監督はじめ作詞者へのリスペクト、日本語へのリスペスト、ドメスティックなものをそのままインターナショナルに届けたいこの扱い方の意義は大きいと思われる。

 

 

 

 

リリースを迎えるまでの時系列インフォメーション、先行配信リリース、Music Video、久石譲インタビュー動画、アナログ盤などについてはこちらにまとめている。

 

 

 

フィジカル(CD/LP)は作品ごとにワントラックにまとめられている。デジタル(ダウンロード/ストリーミング)は作品ごとに構成楽曲で区切った複数トラックになっている。トラックリストは下記ご参照。

 

 

久石譲
A Symphonic Celebration – Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki

JOE HISAISHI
Royal Philharmonic Orchestra

Disc1
01. NAUSICAÄ OF THE VALLEY OF THE WIND (映画『風の谷のナウシカ』より)
02. KIKI’S DELIVERY SERVICE (映画『魔女の宅急便』より)
03. PRINCESS MONONOKE (映画『もののけ姫』より)
04. THE WIND RISES (映画『風立ちぬ』より)
05. PONYO ON THE CLIFF BY THE SEA (映画『崖の上のポニョ』より)
06. CASTLE IN THE SKY (映画『天空の城ラピュタ』より)
07. PORCO ROSSO (映画『紅の豚』より)
08. HOWL’S MOVING CASTLE (映画『ハウルの動く城』より)
09. SPIRITED AWAY (映画『千と千尋の神隠し』より)
10. MY NEIGHBOR TOTORO (映画『となりのトトロ』より)

Disc2 – Bonus Tracks
01. MERRY-GO-ROUND OF LIFE (映画『ハウルの動く城』より)
02. ONE SUMMER’S DAY (THE NAME OF LIFE) (ENGLISH VERSION) (映画『千と千尋の神隠し』より)

レーベル Universal Music LLC
収録曲数 全12曲
収録時間 1:27:15

 

DIGITAL

01. Merry-Go-Round of Life (from ‘Howl’s Moving Castle’)
02. One Summer’s Day (The Name of Life) (English Version / from ‘Spirited Away’)
03. The Legend of the Wind (from ‘Nausicaä of the Valley of the Wind’)
04. Nausicaä Requiem (from ‘Nausicaä of the Valley of the Wind’)
05. The Battle between Mehve and Corvette (from ‘Nausicaä of the Valley of the Wind’)
06. The Distant Days (from ‘Nausicaä of the Valley of the Wind’)
07. The Bird Man (from ‘Nausicaä of the Valley of the Wind’)
08. A Town with an Ocean View (from ‘Kiki’s Delivery Service’)
09. Heartbroken Kiki (from ‘Kiki’s Delivery Service’)
10. Mother’s Broom (from ‘Kiki’s Delivery Service’)
11. The Legend of Ashitaka (from ‘Princess Mononoke’)
12. The Demon God (from ‘Princess Mononoke’)
13. Princess Mononoke (from ‘Princess Mononoke’)
14. A Journey (A Dream of Flight) (from ‘The Wind Rises’)
15. Nahoko (The Encounter) (from ‘The Wind Rises’)
16. A Journey (A Kingdom of Dreams) (from ‘The Wind Rises’)
17. Deep Sea Pastures (from ‘Ponyo on the Cliff by the Sea’)
18. Mother Sea (from ‘Ponyo on the Cliff by the Sea’)
19. Ponyo’s Sisters Lend a Hand – A Song for Mothers and the Sea (from ‘Ponyo on the Cliff by the Sea’)
20. Ponyo on the Cliff by the Sea (from ‘Ponyo on the Cliff by the Sea’)
21. Doves and the Boy (from ‘Castle in the Sky’)
22. Carrying You (from ‘Castle in the Sky’)
23. Bygone Days (from ‘Porco Rosso’)
24. Symphonic Variation “Merry-Go-Round + Cave of Mind” (from ‘Howl’s Moving Castle’)
25. One Summer’s Day (The Name of Life) (Japanese Version / from ‘Spirited Away’)
26. Reprise (from ‘Spirited Away’)
27. The Path of the Wind (from ‘My Neighbor Totoro’)
28. Hey Let’s Go (from ‘My Neighbor Totoro’)
29. My Neighbor Totoro (from ‘My Neighbor Totoro’)

June 30, 2023
29 Songs, 1 hour, 27 minutes
℗ 2023 UNIVERSAL MUSIC LLC, in collaboration with Deutsche Grammophon

 

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi
Orchestra Contractor: Joe Hisaishi
Orchestra: Royal Philharmonic Orchestra
Recording Producer: Anna Barry
Recorded and Mixed by Mike Hatch
Mixed by Takeshi Muramatsu (Octavia Records Inc.)
Mastering Engineer: Shigeki Fujino (Universal Music Japan)
Recorded at St Giles Cripplegate Church

Disc 1

1. NAUSICAÄ OF THE VALLEY OF THE WIND
Choir: The Bach Choir / The Tiffin Choirs
Conductor of The Bach Choir: Mark Austin
Music Director of the Tiffin Choirs: James Day
Japanese Language Coach: Satoshi Kudo

2. KIKI’S DELIVERY SERVICE
Violin Solo: Stephen Morris

3. PRINCESS MONONOKE
Soprano Solo: Grace Davidson
Choir: The Bach Choir
Conductor of The Bach Choir: Mark Austin

4. THE WIND RISES
Mandolin Solo: Avi Avital

5. PONYO ON THE CLIFF BY THE SEA
Soprano Solo: Grace Davidson
Choir: The Bach Choir
Conductor of The Bach Choir: Mark Austin

6. CASTLE IN THE SKY
Choir: The Bach Choir / The Tiffin Choirs
Conductor of The Bach Choir: Mark Austin
Music Director of the Tiffin Choirs: James Day
Japanese Language Coach: Satoshi Kudo

7. PORCO ROSSO

8. HOWL’S MOVING CASTLE
Trumpet Solo: Phil Cobb

9. SPIRITED AWAY
Vocal Solo: Mai Fujisawa

10. MY NEIGHBOR TOTORO
Choir: The Bach Choir / The Tiffin Choirs
Conductor of The Bach Choir: Mark Austin
Music Director of the Tiffin Choirs: James Day
Japanese Language Coach: Satoshi Kudo

Disc2 – Bonus Tracks

1. MERRY-GO-ROUND OF LIFE
Trumpet Solo: Phil Cobb

2. ONE SUMMER’S DAY (THE NAME OF LIFE) (ENGLISH VERSION)
Soprano Solo: Grace Davidson

Marketing Management: Murray Rose
Product Coordination Management: Lina Matschinko
Executive Producer: Kleopatra Sofronius
Recording Producer: Anna Barry
A&R Management: Anusch Alimirzaie

Balance Engineer: Floating Earth – Mike Hatch
Recording Engineer: Floating Earth – Sophie Watson
Editors: Ian Watson and Tom Lewington
Photography: Nick Rutter
Design: Yuka Araki (T&M Creative)

Special Thanks to
PRO – Ian Maclay and Eleanor Clements
Hajime Isogai, Naohiro Fukao, Spike Sugiyama

Cover illustration © 2004 Studio Ghibli・NDDMT

 

Disc. 久石譲 & 新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ 『Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021』

2022年7月20日 CD発売 UMCK-1715

 

久石譲 & 新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
交響組曲「もののけ姫」

Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021
Joe Hisaishi & New Japan Philharmonic World Dream Orchestra

交響組曲もののけ姫
20年以上の時を経て蘇る

(CD帯より)

 

 

解説

久石譲が音楽監督を務める新日本フィルハーモニー交響楽団ワールド・ドリーム・オーケストラ(以下、W.D.O.)は、2004年の結成以来、これまで数多くの名演を繰り広げてきた。そのどれもが忘れがたく、観客に熱い感動を与えてきたが、こと2021年の活動に限って言えば、「不条理との戦い」の一言に尽きるかと思う。オーケストラが置かれた社会的な状況という意味においても、また、公演で披露した演奏曲という意味においても。

結成10周年を迎えた2014年以降、W.D.O.は毎年夏にコンサート・ツアーを開催してきたが、2020年は(当初予定されていた)東京オリンピックのために演奏会場の確保が困難になると予想され、かなり早い段階でツアー開催の見送りが決まっていた。結果的に、2020年は新型コロナウィルスのパンデミックが猛威を振るっていた1年だったので、たとえ会場が見つかったとしても開催は不可能だった。問題は翌年の2021年である。

日本国内の感染状況とワクチン接種状況にあまり詳しくない海外のリスナーのために少し説明しておくと、2021年2月の段階でワクチン接種(1回め)は医療従事者などごく一部に限られ、一般人の接種時期はそれから数カ月後になりそうな状況であった。クラシックの演奏会に関して言えば、すでに2020年半ばから開催可能となっていたが、観客数を大幅に減らしたり、あるいはオーケストラの演奏曲目も2管編成を越えない程度の規模に限定したりするなど、さまざまな制約を余儀なくされる状態が1年近く続いていた。しかも、感染拡大状況に応じて日本政府から緊急事態宣言が発令された場合、その時点で予定されていた該当地域の演奏会はほぼすべて中止になる。そんなリスクを抱えながらも、演奏活動の火を絶やさないため、関係者が日夜努力を惜しまぬ状況が続いた。

こうした中、2021年1月から東京都を含む地域で約2ヶ月半継続していた緊急事態宣言が同年3月に解除されたことを受け、久石とW.D.O.は2年ぶりとなるツアー開催を決断し、4月21日から京都、神戸、東京の3都市でコンサートを開催することになった。ところがツアー開始後、大都市圏における変異株急増が深刻化し(日本国内でのいわるゆ第4波)、4月25日から緊急事態宣言(日本国内では3回目)が発令されることになった。W.D.O.が予定していた3回の東京公演のうち、辛うじて4月24日の公演は開催に漕ぎ着けることが出来たが、25日と27日の公演は会場そのものが臨時休館という形で閉鎖されたため、有観客演奏はもちろんのこと、無観客演奏による収録・配信も不可能になった。W.D.O.始まって以来のツアー中断という異例の事態。久石も、オーケストラの団員も、公演を支える関係者も、そして言うまでもなく観客も、誰もが不条理を感じていたに違いない。とりわけ、不条理を描いた『もののけ姫』の音楽を含むプログラムを用意していた今回のツアーにおいては。

タタリ神との闘いによって死の呪いを受けることになったアシタカは、不条理な運命を背負うことになった存在である。山犬に育てられ、もののけ姫として生きることを余儀なくされたサンも、やはり不条理な存在である。パンデミックの不条理とは若干異なるかもしれないが、不可抗力の事態によって生き方を変えることを余儀なくされたという意味においては、少なくとも2021年当初の我々がごく自然に共感できたキャラクターである。戦いに明け暮れる『もののけ姫』の中世であれ、パンデミックに苦しむ2021年であれ、人間が置かれている状況は、実はそれほど違っていない。だからといって、不条理な運命を悲しんでいるだけでは何も変わらない。いや、変わらないどころか、消滅してしまうだろう。だから、不条理と向き合い、戦わなければならない。『もののけ姫』の有名なキャッチコピー「生きろ。」も、おそらくそういう意味ではないかと思う。

久石が『もののけ姫』の作曲(より正確にはイメージアルバムの制作)に着手してから、すでに四半世紀以上の時間が経過しているが、今回のツアーで初めて披露された《Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021》に到るまで、久石がしばしば『もののけ姫』の交響組曲に取り組んでいるのは、『もののけ姫』という映画とその音楽が、「不条理と戦いながら生きる」という人間の本質をきわめて直截に表現しているからではないだろうか? わかりやすく言うと、我々が不条理な世の中に生きている以上、『もののけ姫』を繰り返し演奏していかなければならない。単に宮﨑駿監督の映画のために書かれた音楽という次元を越え、我々自身のことを描いている音楽だからである。そうした意味において、《Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021》は四半世紀以上にわたって取り組んできた久石のライフワークの、現時点における到達点と言えるだろう。

『もののけ姫』の最後に演奏される〈アシタカとサン〉の晴れやかな音楽のように第4波の猛威がようやく落ち着き、2021年6月下旬に緊急事態宣言が解除されたことを受け、開催中止を余儀なくされたW.D.O.の4月25日と27日の振替公演が7月25日と26日にようやく実現した。本盤に聴かれる《Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021》《Asian Works 2021》《World Dreams 2021》は、その時の演奏を収録したものである。

言わずもがなだが、本盤は久石とW.D.O.が向き合わざるえを得なくなった、パンデミックの不条理の単なる記録ではない。2022年、別の不条理が世界を覆っている現在にこそ聴かれるべきアルバムだ。不条理と戦いながら、夢を追って生きていく人間たちへの讃歌ーーW.D.O.というプロジェクトに込めた久石の意図が、これほどまでにリアルに感じられる時代はないからである。

 

 

楽曲解説

Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021

タタリ神によって死の呪いをかけられた青年アシタカは、呪いを解くために西の地に向かい、タタラ場の村に辿り着く。そこでアシタカが見たものは、エボシ御前が率いる村人たちが鉄を鋳造するため、神々の森の自然を破壊している姿だった。さらにアシタカは、森を守るためにタタラ場を襲う”もののけ姫”サンの存在を知る。サンと心を通わせるうち、アシタカは人間と森が共生できる道が存在しないのか、苦悩し始める……。宮﨑駿監督が構想16年、製作日数3年を費やした『もののけ姫』(1997)は、作曲家としての久石にとっても大きなターニングポイントとなった最重要作のひとつである。映画公開の約2年前から作曲に着手した久石は、宮﨑監督の世界観を余すところなく表現すべく、大編成のシンフォニー・オーケストラ、シンセサイザー、邦楽器や南米の民俗楽器など、ありとあらゆる手段を投入してサウンドトラックを完成させ、当時の日本映画の制作現場では珍しかった5.1チャンネルの音楽ミックスにも初めて挑んだ。映画さながらの総力戦である。このような成り立ちゆえ、サウンドトラックはそのままの状態では演奏不可能なので、久石は常設の交響楽団で演奏可能な全8楽章の交響組曲を新たに作り上げ、1998年7月、すなわち『もののけ姫』公開1周年を記念する形でアルバム『交響組曲 もののけ姫』(1998年版)を発表した。それから18年後、宮﨑監督作品の音楽を交響組曲化していくプロジェクトの第2弾といて、1998年版の組曲を大幅にブラッシュアップしたヴァージョン(2016年版)が2016年W.D.O.公演で初披露された。1998年版と2016年版の大きな違いは、1998年版に含まれていなかった〈コダマ達〉が追加され、さらにオーケストラの響きを出来るだけサウンドトラックの印象に近づけるべく、オーケストレーションそのものが大幅に見直された点などを挙げることが出来る。この2016年版をさらに改訂したものが、本盤に聴かれるヴァージョン(2021年版)である。2016年版に含まれていなかった映画終盤のクライマックスの音楽、すなわち「世界の崩壊」を表現した楽曲群を追加することで、宮﨑監督がこの映画に込めた「破壊と再生」というテーマが音楽だけではっきり伝わるようにしたこと、歌詞を聴き取りやすくするために主題歌〈もののけ姫〉のキーを下げたこと、さらに久石が海外で指揮しているコンサート「Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki」のためのオーケストレーションが採り入れられたことなどが、今回の改訂の大きなポイントとなっている。以下に、組曲を構成する各楽曲を解説する。

まず「むかし、この国は深い森におおわれ、そこには太古からの神々がすんでいた。」というタイトルと共に始まるオープニングの音楽〈アシタカ𦻙記(せっき)〉。あたかも古代の詩人が雄大な叙事詩を語り始めるような荘重な面持ちで奏でられるこのテーマは、映画本編の中で主人公アシタカを象徴するテーマとして何度も登場することになる。

続いてタタリ神とアシタカが死闘を繰り広げるシーンで流れる〈タタリ神〉。無調音楽のように敢えてメロディアスな要素を排除することで、タタリ神の持つ凶暴性を見事に表現したテーマだが、日本の伝統文化になじみの薄い海外のリスナーが聴くと、日本古来の祭の音楽、すなわり”祭囃子”にインスパイアされたダイナミックなオーケストレーションに驚かれるかもしれない。この”祭囃子”は、タタリ神がかけられた呪い(その呪いは実は人間に対する憎しみに由来する)が何らかの形で鎮めなければならない超自然的存在、すなわち厄災をもたらす神であるということを暗示している。

次の〈旅立ち~西へ〉は、タタリ神を倒した代償として死の呪いを受けたアシタカが、大カモシカのヤックルに跨り、呪いを解くために西の地に向かうシーンの音楽。ここでメインテーマ〈もののけ姫〉のメロディーが初めて登場し、アシタカが出遭うことになるサンすなわちもののけ姫の存在をほのめかす。

続いて、負傷した村人を背負って森の中を進むアシタカが森の精霊コダマと遭遇するシーンで流れる〈コダマ達〉。コダマは英語に直訳すると「木の精霊」となるが、久石は木質の打楽器や弦楽器のピツィカートを巧みに用いて”木の響き”を強調しながら、森の雰囲気を見事に表現している。

本編の物語の流れと前後するが、次の〈呪われた力〉は、アシタカの放った矢が略奪を繰り返す地侍に惨たらしい死をもたらすシーンの音楽。タタリ神の呪いは、人間に死をもたらすだけでなく、人間に超人的な能力を与えてしまう。そうしたメタフォリカルな設定を表現した音楽として、短いながらも強烈なインパクトをリスナーにあたえる楽曲である。

続く〈シシ神の森〉は、傷ついた人間に癒やしをもたらすシシ神のテーマを、ほぼフル・ヴァージョンで演奏した楽曲。ストラヴィンスキー風のオーケストレーションが、シシ神の森を覆うアニミズム的な世界観を暗示している。

そして〈もののけ姫〉は、サンの介抱によって体力を回復したアシタカが人間と森の共生をめぐり、犬神のモロの君と諍うシーンで流れる主題歌。映画全体のメインテーマであり、もののけ姫のテーマでもあるが、サウンドトラックのヴォーカル・レコーディングに立ち会った宮﨑監督はこの主題歌を「アシタカのサンへの気持ちを歌っている」楽曲と位置づけている。

次の〈黄泉の世界〉から物語終盤の音楽となり、エボシ御前によって首を討ち取られたシシ神が液状化し、巨大なディダラボッチに変容する凄まじい光景が描かれる。途中、〈もののけ姫〉のテーマの断片と〈アシタカ𦻙記〉のテーマの断片が「森は死んだ…」「まだ終わらない」というサンとアシタカのやりとりを表現する。再び、シシ神すなわちディダラボッチの凶暴な音楽に戻った後、アシタカとサンがシシ神に首を返すシーンの〈生と死のアダージョ〉となり、凄まじいクライマックスを迎える。

朝日が差すように音楽が一転すると、シシ神の消えた森に緑がよみがえり、アシタカとサンが互いの世界で生きていくことを誓い合うラストの音楽〈アシタカとサン〉となる。宮﨑監督をして「すべて破壊されたものが最後に再生していく時、画だけで全部表現出来るか心配だったけど、この音楽が相乗的にシンクロしたおかげで、言いたいことが全部表現出来た」と言わしめた名曲である。今回の組曲では、ヴァイオリンとピアノの二重奏の形でメロディが導入された後、麻衣が作詞した歌詞をソプラノ(本盤での歌唱は安井陽子)が歌う編曲となっている。

 

Merry-Go-Round 2019

荒地の魔女の呪いにより、90歳の老婆に姿を変えさせられた帽子屋の少女ソフィーと、人間の心臓を食べると噂される魔法使いハウルのラブストーリーを描いた、宮﨑駿監督『ハウルの動く城』(2004)のメインテーマ《人生のメリーゴーランド》。本盤に聴かれる演奏は、2019年のW.D.O.公演で披露されたヴァージョンで、今回が初リリースとなる。楽曲の構成自体は本編のエンドクレジットで演奏されるメインテーマのフル・ヴァージョンとほぼ同じだが、序奏を演奏するハープやテーマ旋律を導入するチェレスタ、その旋律を優雅なワルツとして演奏するアコーディオンとマンドリンなど、新たなオーケストレーションを施すことによって、映画の世界観が見事に凝縮されたヴァージョンとなっている。

 

Asian Works 2020

パンデミックの真っ只中にあった2020年、久石が手掛けた商業音楽(エンタテインメント音楽)を3つの楽章から構成される組曲としてまとめたもの。アジア地域からの委嘱という共通点を除けば、3曲のあいだに直接的な関連はないが、こうして3曲続けて聴いてみると、ミニマリストとしての久石、メロディメイカーとしての久石、エンタテインメント音楽の第一人者としての久石と、彼の3つの側面が図らずもくっきり浮かび上がってくるのが、大変に興味深いところである。

 

I. Will be the wind

LEXUS CHINAの委嘱で作曲。2020年9月、中国市場向けのプロモーション映像のための音楽として初めて公開された。作曲にあたって久石が重視したという「疾走感」がミニマリズムの反復音形と鮮やかな転調の繰り返しによって表現されているが、同時にレクサスという車種にふさわしい重量感が巧みなオーケストレーションから伝わってくる。演奏時間がわずか4分ながら、きわめてコンセプチュアルに書かれた楽曲と言えるだろう。

II. Yinglian

2020年12月にワールドプレミアを迎えた中国・香港合作のファンタジー映画『Soul Snatcher』(原題は『赤狐書生』、日本では『レジェンド・オブ・フォックス 妖狐伝説』の邦題で2021年10月劇場公開)の愛のテーマが原曲。かつて久石がスコアを作曲した『海洋天堂』(2010)も手掛けた香港の名プロデューサー、ビル・コン(江志強)が製作を務めており、彼の強い希望で久石との10年ぶりの再タッグが実現したという。人間の姿をした狐妖・十三(リー・シエン)が伝説の狐仙となるべく旅立ち、狐仙への変容の鍵を握る書生・子進(チェン・リーノン)と友情を育みながら、妖怪や悪霊に立ち向かうというのが、物語の大筋である。曲名の《Yinglian》は、ふたりが旅の途中で立ち寄る妓楼の遊女・英蓮(ハニ・ケジー)に由来する。どこか哀愁を帯びたクラリネットの優しいメロディが、英蓮の妖艶な美しさと哀しい運命を見事に描いている。

III. Xpark

2020年8月、台湾・高鉄桃園駅前にグランドオープンした新都市型水族館『Xpark』のために久石が書き下ろした全7曲の館内音楽から、水族館の「観客の皆さんが楽しい気分で帰って欲しい」と意図して作曲したEXIT用の楽曲。最初にフルートが導入する、足取りが軽くなるような親しみやすいテーマを変奏していく形で構成されているが、途中には台湾を意識したペンタトニック風の変奏も登場する。

 

World Dreams 2021

2004年、久石が新日本フィルと共にW.D.O.を立ち上げた際に書き下ろしたテーマ曲。「作曲している時、僕の頭を過っていた映像は9.11のビルに突っ込む飛行機、アフガン、イラクの逃げまどう一般の人々や子供たちだった。『何で……』そんな思いの中、静かで優しく語りかけ、しかもマイナーではなくある種、国歌のような格調あるメロディーが頭を過った」。作曲から18年を経た2022年の今、この曲が以前にも増して力強いメッセージを伝えているように感じられるのは、おそらく筆者ひとりだけではないはずである。

 

前島秀国 / Hidekuni Maejima
サウンド&ヴィジュアル・ライター
2022/6/10

(CDライナーノーツより)

 

*ライナーノーツ 日・英文解説(英文ライナーノーツ封入)

 

 

補足)
上の楽曲解説は4月公演とそのプログラムノートに基づいており、7月公演を収めた本盤のライヴパフォーマンスとは一部異なる箇所もある。納得のいくまで作品の完成度を追求する一面がみえる。

 

 

 

以下の楽曲レビューは「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサート・レポートで記したものから一部抜粋している。

 

Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021

<構成楽曲>
1.アシタカせっ記(交響組曲 第一章 アシタカせっ記)
2.タタリ神
3.旅立ち -西へ-
7.コダマ達
4.呪われた力
8.神の森(交響組曲 第五章 シシ神の森)
20.もののけ姫 ヴォーカル(交響組曲 第四章 もののけ姫)
28.黄泉の世界
29.黄泉の世界 II
30.死と生のアダージョ II
31.アシタカとサン(交響組曲 第八章 アシタカとサン)

Track.曲名『もののけ姫 サウンドトラック』(『交響組曲もののけ姫CD版』)

 

交響組曲作品『千と千尋の神隠し』や『魔女の宅急便』のあり方にならって、映画本編で使用した音楽を中心に、サウンドトラック盤ベースに楽曲構成するというコンセプトに大きく軌道修正したように思います。一方では、楽曲によって『交響組曲もののけ姫CD版』のオーケストレーションを活かしているところもあります。

『交響組曲もののけ姫CD版』にしかなかった独自のメロディやパートは極力除外したということになります。「神の森」は「交響組曲 第五章 シシ神の森」の楽曲構成に近いですが、イメージアルバム「シシ神の森」の楽曲構成と世界観から取り込んでいるとするのが、正しいに近いと思います。風の谷のナウシカの交響組曲もイメージアルバムから「谷への道」を導入したように。初期の構想からすでに生まれていたけれど映画本編には使われなかった曲。

「呪われた力」、2016年版「レクイエム」パート中にもありましたが、前半に単曲で新規追加されました。細かくいうとアレンジは交響組曲CD中のもの、およびサントラ盤「23.呪われた力 II」に近いです。物語にそった組曲を目指したこと、呪われた力の凶暴性を出すことで、のちのシシ神の森のシーンや終盤の黄泉の世界までしっかりとつながっていきます。

「黄泉の世界I,II~生と死のアダージョII」、久石譲楽曲解説に ”新たに世界の崩壊のクライマックスを入れた” とあたります。シシ神殺しのパートをダイレクトに入れ込むことで、破壊と再生、生と死、『もののけ姫』作品世界の内在する二極を表現しています。そして前半の「呪われた力」にあった、決して消えることのない痣、いつ濃くなり蝕むかわからない痣を思い起こさせます。それは、決して簡単に答えの出ない世界で生きていく私たちへと、しっかりと刻み込まれる思いがします。

「黄泉の世界I,II~生と死のアダージョII」、たしかにと納得してしまいます。これぞ入って『もののけ姫』の世界と強く膝を打ちたくなります。そうして、それでもしっかりと生きていかなければいけない私たちへと迫り浴びせられる地割れのする管弦楽の轟きの後、希望と再生へとつながっていきます。

「アシタカとサン」(vn/vo)、やっぱり導入は僕がエスコートしないと(幻の声)、1コーラス目は久石譲ピアノが迎え入れたソロ・ヴァイオリンが美しいメロディを奏でます。2コーラス目にソプラノによって丁寧に歌われることもあって、豊嶋泰嗣さんのフェイク(メロディラインの持つ雰囲気は残しつつも、ある程度装飾的な要素を加えつつ崩して演奏すること)が光っています。

「アシタカとサン」(vn/vo)、2コーラス目はソプラノによって歌われます。「信じて~」からの天からやさしく降りそそぐ光ようなストリングス(武道館verから)、チューブラーベルの希望の鐘が高らかに、やさしい余韻へと。(vo)についてはのちほど…。

 

2021年版を聴いて「歌は必要なんだ!」と強く思いました。『もののけ姫』という作品において、歌(言葉)による精神性の表現というのは大切なことなのかもしれません。世界ツアー版で「もののけ姫」はソプラノによる日本語歌唱、「アシタカとサン」はコーラスによる英語詞で歌われています。でも、だから2021年版もやっぱり歌で、と言っているわけじゃないんです。

それは、「日本語による歌唱」です。ここに強くこだわっているように思えてきました。世界ツアー版とは異なり、これから先《Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021》が海外公演されるときは、現地オーケストラと現地ソリストによる共演になります。そして、きっと2曲とも「日本語による歌唱」です。これはたぶん揺るがない。

《Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021》でめざしたのは、『もののけ姫』の世界を音楽で表現すること、日本的なメロディ・ハーモニー・リズムを余すことなく表現すること、そのなかに日本語の美しさを表現することも含まれる。そう強く思いました。オペラなどと同じように、純正の日本語でしっかりとした作品をのこす。「日本語っていいね、きれいな響きだね」と言われるものをつくる。

物語にそった音楽構成と日本語の美しさで『交響組曲 もののけ姫』完全版ここに極まる。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサート・レポート より抜粋)

 

 

Merry-Go-Round 2019

「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」アンコールで披露されたもの。

映画『ハウルの動く城』から「人生のメリーゴーランド」です。2018年NCO公演で初演されたヴァージョンで、それ以降海外公演でも披露されています。オリジナル版は言えばすぐ浮かぶ、ピアノの切ないイントロに始まり、ピアノの美しいメロディがつづきます。タイトル「Merry-Go-Round」となっているこのヴァージョンは、ピアノがありません。イントロをハープで、出だしのメロディをグロッケンシュピールとチェレスタで、というようにピアノパートがオーケストラ楽器に置き替わっています。楽曲構成は同じですが印象は変わります。よりヨーロッパになったかなあ、というか、これなら久石譲以外のコンサートでもっと爆発的に演奏されるんじゃないかな、そんな新しい魅力も。アメリカやヨーロッパをはじめ海外指揮者・海外オケによる純粋な管弦楽作品として披露できる。

おっと、これは言っておかないといけない。本公演は「交響組曲 魔女の宅急便」でマンドリンとアコーディオンが編成されていたこともあって、この曲にも特別に参加しているスペシャルヴァージョンです。よりサントラ版に近い印象で、すごくよかったです。いや、すごく得した気分です。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2019」コンサート・レポート より抜粋)

 

 

Asian Works 2020

I. Will be the wind
叙情的でミニマルなピアノの旋律と室内オーケストラ編成で構成されている。ミニマルなモチーフのくり返しを基調とし、奏でる楽器を置き換えたり、モチーフを変形(変奏)させたり、転調を行き来しながら、めまぐるしく映り変わるカットシーンのように進んでいく。

後半はミニマルなピアノモチーフの上に、弦楽の大きな旋律が弧を描き、エモーショナルを増幅しながら展開していく。かたちをもたない風、安定して吹きつづける風、一瞬襲う強い風、淡い風、遠くにのびる風。決して止むことのない風、それは常に変化している、それは常にひとつの場所にとどまらない。ミニマルとメロディアスをかけあわせた、スマートでハイブリットな楽曲。

 

II. Yinglian
愛のテーマ。主要キャラクターの一人、女性が登場するシーンで多く聴かれる楽曲。お香のような、ゆらゆらと、ふわっとした、無軌道な和音ですすむ。ゆるやかな独奏、メロディとアドリブのあいだのような、動きまわりすぎない加減の無軌道な旋律がのる。魅惑的で妖艶な曲想は、これまでの久石譲には珍しい。クラリネット、ピアノ、フリューゲルホルン、フルート、ストリングス。登場するたびにメロディを奏でる楽器たちを変え、まるで衣装替えに見惚れるように、つややかに彩る(Track.17,20,25,27)。この曲はTrack.17「英蓮 / Yinglian」をフィーチャーしたもの。

 

III. Xpark
明るく軽やかな曲です。音符の粒の細かいメロディがつながってラインになって、楽しそうに転げているようです。そして広がりのある曲です。ありそうでなかった!そんな久石譲曲です。番組音楽に使わせてください!そんな久石譲曲です。後半のソロ・ヴァイオリンの旋律も耳奪われる演出です。ホンキートンク・ピアノのように、ちょっとチューニングの狂った調子っぱずれのニュアンスで、小躍りするほど浮足立った弾みを表現しているようにも聴こえてきます。してやったりなコンマスと指揮者の目配せに笑みこぼれます。こんな音楽でおでかけの楽しい一日が締めくくれたらなんて素敵だろう。

映画『海獣の子供』公開時、コラボレーション企画として国内いくつかの水族館で、この映画音楽を使ったショータイムが開催されました。撮影OK!拡散Welcome!ということもあって、よくSNSで動画見かけました。それを目にしてのオファーだったのかはわかりません。でも、久石譲のミニマル・オーケストレーションは、ほんと海や宇宙のミクロマクロな世界観と抜群Good!なことはわかります。

 

World Dreams 2021

「9.11」から20年の今年。このことだけでも重みのある一曲です。そして「Covid-19」の渦中にある今。どんな時でも必ず演奏される曲。こんな一面も、4月24日無念さを残しながら、それでも今できることをかみしめるように演奏したWDOオーケストラメンバーのSNSの声も印象的でした。観客だけじゃなく、楽団員にとっても大きな一曲は、中断を経て新しい完走地点の7月25,26日いろいろな想い駆け巡りながら、会場に響きわたりました。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサート・レポート より抜粋)

 

 

 

Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021
1. The Legend Of Ashitaka アシタカ𦻙記
2. TA TA RI GAMI タタリ神
3. The Journey Of The West ~ Kodamas 旅立ち―西へ― ~ コダマ達
4. The Demon Power ~ The Forest Of The Dear God 呪われた力 ~ シシ神の森
5. Mononoke Hime もののけ姫
6. The World Of The Dead ~ Adagio Of Life & Death 黄泉の世界 ~ 生と死のアダージョ
7. Ashitaka And San アシタカとサン

8. Merry-Go-Round 2019

Asian Works 2020
9. Ⅰ Will be the wind
10. Ⅱ Yinglian
11. Ⅲ Xpark

12. World Dreams 2021

 

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by New Japan Philharmonic World Dream Orchestra, Yasushi Toyoshima (solo concertmaster)

Recorded at
Tokyo Metropolitan Theatre Concert Hall (July 25th, 2021)
Sumida Triphony Hall (July 26th, 2021)

Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021
Soprano: Yoko Yasui

Merry-Go-Round 2019
Accordion: Tomomi Ota
Mandolin: Tadashi Aoyama

Recording & Mixing Engineer: Takeshi Muramatsu (Octavia Records Inc.)
Mixed at EXTON Studio Yokohama
Mastering Engineer: Shigeki Fujino (UNIVERSAL MUSIC STUDIOS TOKYO)

Art Direction & Design: Daisaku Takahama
Artwork Coordination: Maiko Mori (UNIVERSAL MUSIC)

and more…

 

Disc. 麻衣 with リトルキャロル 『BEAUTIFUL HARMONY』

2022年4月20日 CD発売 COCQ-85580
2022年4月20日 ハイレゾ配信 COKM-43809

 

天翔る歌声が、永遠の時を奏でる

(CD帯より)

 

ジブリ作品への参加でも知られるヴォーカリストの麻衣が音楽監督を務める、女性のみのコーラスグループ、リトルキャロル。その一体感のあるハーモニーは、各地のイベントなどで好評を博しています。現在、感染症や気候変動など、様々な状況の中で、分断され、傷つけられた人々の心を癒やす究極のハーモニーを届けるために、麻衣が、リトルキャロルをフィーチャーして新たにプロデュースしたアルバムが、この「Beautiful Harmony」です。日本を代表する作曲家である久石譲や村松崇嗣が紡ぎ出した心に残るメロディーなど、全11曲を集め、麻衣の透明感溢れる声とリトルキャロルの美しいハーモニーが、ポストクラシカルな世界を奏でるアルバムです。

(メーカーインフォメーションより)

 

 

アルバムに寄せて

ウィルスが世界を震憾させてから、3年目になる2022年、まだまだ終わりがみえない日々のなかで、このアルバム制作はわたしの光となりました。

このアルバムの大きな鍵は、女声合唱リトルキャロルです。私は5歳からNHK東京児童合唱団で合唱の基礎を学び、卒団後、同級生たちとこの合唱団を立ち上げました。今年で活動26年目になります。合唱団時代を合わせると、38年も一緒に歌い続けている人たちもいます。26年間、ほぼ毎週練習を続けてきた仲間との絆や歴史は、私のかけがえのない財産です。

合唱は、どれだけ個人を消せるかが勝負、一方で自分が輝ける場所を探していくという、追求するときりがない世界で、だからこそ、この感覚を持ち合わせている同じ感性の人たちと、この長い間合唱を続けて来られていると思います。

この何年間で失われてしまっているのは、喜びの感情と誰かと一緒に時間を過ごすことだと思います。毎日、懐かしい場所を探しているような気分になりました。なので、、、1人でいる時でも、誰かのことを思って、どこか懐かしさを感じられるアルバムにしたいと思いました。

どんなことが起こっても、世の中には素敵なことがたくさんあり、いつでも帰って来られる場所がある、そう思えることがどんなに幸せだろう、と思います。私にとってはそれがリトルキャロルであり、その喜びが、このアルバムを通じて、みなさまに少しでも伝われば、こんなに嬉しいことはありません。

麻衣 2022年春

 

 

児童合唱のようなピュアさと、大人の奥行きをもった表現力

「合唱」「コーラス」という言葉を耳にしたとき、咄嗟にどんな音楽をイメージするだろう? たとえば、学校の合唱コンクール、社会人によるアマチュア合唱団、結婚式の聖歌隊、ゴスペルのコーラス……等など。これらは音楽のスタイルも雰囲気も様々だが、歌い手の気持ちがひとつになった”力強さ”や”祈りの力”が、合唱ならではの魅力として共通している。年末の風物詩「第九」が象徴的だが、多くの日本人にとって合唱は、特別な機会にコンサートホールや教会で聴く”非日常”の音楽として定着しているのではないだろうか。

しかしながらコーラスの起源であるヨーロッパでは、キリスト教文化と密接に結びついているため、生活のなかで最も身近な音楽のひとつが合唱なのだ。たとえ一緒に声を発さなくても気持ちさえ共鳴すれば、合唱は聴き手の心を力づけ、癒やすことが出来るし、複数の声が重なっているからこそ、直感的に「自分はひとりじゃない」と感じさせてくれる音楽にもなりうるのだ。

では、現代の日本で「あなたはひとりじゃない」と寄り添ってくれる合唱があるとしたら、どのようなものなのだろう? その答えとなるのが、このアルバム『Beautiful Harmony』だ。今年で活動26周年を迎えたリトルキャロルは、児童合唱のようなピュアさと、大人の奥行きをもった表現力を両立した稀有なコーラスグループである。ポップスとクラシックを融合させた独自のスタイルを追求してきた結果、2019年にはQueenの「Bohemian Rhapsody」を歌い、女声合唱のイメージを刷新するような圧巻のパフォーマンスを披露している。

2020年にコロナ禍となってからも、毎週末にリモートでの練習を欠かさなかった彼女たちは、タイムラグがあって声を合わせることが困難な状況を逆手に取って、これまで以上に個々人のレベルアップに着手。ところが個人の能力が上がっても、久々に対面で歌ってみると”ハモり”が悪いことに自分たちでも驚いてしまう。あらゆるスポーツと同様、単に上手い人々が集まったところで良いチームにはならないのだ。

様々な理由によって分断され、共通する心の拠りどころが失われつつある日本において、リトルキャロルのリーダー麻衣とも関わりの深いスタジオジブリは、年代を越えて日本の原風景となりつつあるように思える──平成や令和生まれが『となりのトトロ』を通して、昭和の田舎風景を知っているように。これからも世代と地域にとらわれることなく、日本で歌われ続けるであろう音楽を、最上級の『Beautiful Harmony』で包み込んだ本盤は、多くの人々の”日常”に長く寄り添ってくれるはずだ。

小室敬之(音楽ライター)

(CDライナーノーツより)

 

 

楽曲解説

1.ひこうき雲
もともとは雪村いづみが若い世代の音楽を歌うという企画のため、荒井由実(後の松任谷由実)が高校時代に身近で体験した”ふたつの死”を題材にして作詞作曲した歌。雪村の録音が1990年までお蔵入りとなってしまったため、作者自身の歌唱で1973年にリリース。それが40年後に『風立ちぬ』(2013年/監督 宮崎駿)の主題歌に選ばれたことで、若い世代にも知られるようになった。本盤全体を貫くテーマ「祈り」が込められた1曲である。

2.風のとおり道
『となりのトトロ』(1988年/監督 宮崎駿)では、オープニングの「さんぽ」とエンディングの「となりのトトロ」がメインテーマとなっているが、作曲者久石が裏テーマとみなしていたのが、この曲だ。劇中ではインストゥルメンタル(歌なし曲)として流れるが、映画完成前に作られた『イメージ・ソング集』では杉並児童合唱団が歌っている。宮崎と共にジブリを背負ってきた名匠・高畑勲監督はこの曲について「現代人が”日本的”だと感じられる新しい旋律表現が登場したと思いました」と評している。

3.ひまわりの家の輪舞曲
『崖の上のポニョ』(2008年/監督 宮崎駿)の『イメージアルバム』の最後に収録された楽曲である。麻衣は、父・久石譲が作曲した歌が録音される際に、いわゆる仮歌(デモ音源用に録る歌)を担当することが多いそうなのだが、この曲は最終的にそのまま麻衣が歌うことになったのだという。その純粋無垢な歌声には、作詞をした宮崎自身も涙ぐんだほどだ。なお「ひまわりの家」というのは映画本編に登場する高齢者向け介護施設の名前だ。劇中では歌詞こそ付いていないが、やはり麻衣がヴォカリーズ(母音唱法)でこの旋律を歌っている。

4.いのちの歌
連続テレビ小説『だんだん』(2008年9月~2009年9月)は、マナカナこと三倉茉奈と三倉佳奈が『ふたりっ子』以来、2度目となる主演を務めたことで話題になった朝ドラだ。劇中でマナカナが演じる双子のヒロインは、カバー曲を歌う双子デュオとして全国デビューを果たすも解散。デュオとして唯一のオリジナル曲が、この曲という設定だった。村松崇継が手掛けた劇伴の1曲「母なる宍道湖」に歌詞を付けたもので、作詞者Miyabiの正体がドラマで主題歌とナレーションを担当していた竹内まりやだったことは後に明かされた。

5.The Prayer
もともとはワーナー・ブラザースのアニメ映画『魔法の剣 キャメロット』(1998年公開)のために、1970年代以降のポップ・ミュージックシーンを席巻した人気作曲家のデイヴィッド・フォスターが書き下ろした楽曲である。映画の評判は芳しくなく現在では振り返られることはなくなってしまったが、セリーヌ・ディオンとアンドレア・ボチェッリによって歌われたこの曲だけはその後も世界中の名歌手によって歌い継がれている。麻衣とリトルキャロルが歌うと男女デュエットと異なるイメージが喚起されるはずだ。

6.わたしの光
1998年10月の放送開始以来、NHKEテレで20年以上愛されているアニメ『おじゃる丸』(原案:犬丸りん)。通常の1話10分よりも長いスペシャルがこれまでに4回放送されているのだが、戦後70年記念で作られた『おじゃる丸スペシャル わすれた森のヒナタ』(2015年8月14日放送)の主題歌として作られたのがこの曲だ。記憶を失った少女ヒナタとの出会いと別れを描いた物語で、作詞も担当した麻衣は「別れはつらいけれども、誰かと心を通わせた思いは、自分の中で光となって残ってゆく」というメッセージを込めたと語っている。

7.君をのせて
『天空の城ラピュタ』(1986年/監督 宮崎駿)のメインテーマとして知られる楽曲である。もともと、イメージアルバムの段階では「天空の城ラピュタ」という題の付いた別のメインテーマがあったのだが、久石とこの映画のプロデューサー高畑で、どの場面にどのメロディをあてがうのか検討していった結果、「シータとパズー」という別の曲の旋律をメインテーマに抜擢することに。高畑の指示で曲が作り直され、宮崎の詞がつけられたのが「君をのせて」である。

8.Sleeper’s Prayer
久石は、米国のテリー・ライリーの音楽との出会いがきっかけとなり、以来(シンプルな音型の反復で作られる)ミニマル音楽から大きな影響を受けている(『風の谷のナウシカ』などの映画音楽もミニマルの影響が大きい)。ミニマルのようにリズム反復に依拠しつつも、それ以外の要素を自由に加えていった音楽はポストミニマルと呼ばれることが多いのだが、ラングはその代表格だ。麻衣はニューヨークで彼の音楽に出会ってご本人に声をかけたところ、後にラングの娘が久石のファンだったことが分かり、以来家族で親交を持つように。2016年に作曲され、2019年には合唱にもアレンジされたこの曲は、ユダヤ教徒の就寝前の祈りを題材にしている。

9.聖フランシスの祈りの歌
1960年代前半に行われた第2バチカン公会議によって、カトリックの典礼音楽でラテン語以外の言語が使用できるようになった。南アフリカに生まれ、英国を経て、米国に渡ったテンプルはカトリックに改宗。自らギターを弾き語るフォーク風のスタイルで典礼音楽を作曲し、1967年に『Happy the Man』というアルバムを発表。この中に収録された1曲が”聖フランシスの祈り”に音楽を付けた「Make Me a Channel of Your Peace」である(ただし、この詞は聖フランシス本人によるものではなく、1912年に匿名で出版されたもの)。1997年、ダイアナ妃の葬儀で歌われて世界的に有名になった。

10.たがいによろこび
現存する資料としては17世紀半ばに遡ることが出来る、イギリスの古いクリスマス・キャロルだ。いま一般的に知られている旋律は19世紀半ばの楽譜に基づいている。当時書かれたチャールズ・ディケンズの小説にも登場していることからも、その頃から人気だったことがうかがえる。

11.Stand Alone
2009~11年の年末に放送されたNHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』(原作:司馬遼太郎)のエンディングテーマとして作曲された歌。2009年放送の第1部(全5話)ではミュージカルの世界で一世を風靡した歌姫サラ・ブライトマン、2010年の第2部(全4話)では日本を代表するオペラ歌手の森麻季、そして2011年の第3部(全4話)では麻衣が歌唱を担当していた。「ひとりの祈りが心をつないでいく」という歌詞は、麻衣とリトルキャロルがこのアルバムに込めた思いを象徴するものだといえるだろう。

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

麻衣

東京生まれ。2歳からピアノを始める。4歳で、父、久石譲が音楽を手がけた、映画『風の谷のナウシカ』の劇中歌「ナウシカ・レクイエム」を歌う。6歳からNHK東京児童合唱団に所属。2005年韓国映画『トンマッコルへようこそ』テーマ曲によってソロ活動を本格化。2007年日産スカイラインCM曲「I will be」では作詞も手がける。2008年宮崎駿監督『崖の上のポニョ』のイメージアルバム収録「ひまわりの家の輪舞曲」を歌う。また、この都市リリースされたDAISHI DANCEのハウスミュージックアルバム『the ジブリset』に、麻衣がうたう「君をのせて」が収録。2011年7月に全世界で公開された映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 Part2』のオープニングテーマを、同年12月のNHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』第3部主題歌「Stand Alone」を歌う。『マレフィセント』日本語版主題歌「Once Upon a Dream ~いつか夢で~」、『シンデレラ』日本語版エンドソング「夢はひそかに(Duet version)」と、ディズニー映画の作詞を手がける。長野県中野市音楽親善アンバサダー。1996年に結成された女声合唱団リトルキャロルを主宰。2017年パリから始まった「Joe Hisaishi Symphonic Concert: Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki」世界ツアーにソリストとして参加。2022年には、ニューヨーク Radio City Concert Hall、ロンドン Wembly Stadium、シアトル公演他を予定している。

 

リトルキャロル

1996年、現NHK東京児童合唱団の卒団生により結成された女性コーラスグループ。現在、約30名のメンバーで構成され、ポップスとクラシックが融合した独自の世界観を築き上げている。クリスマスシーズンを中心に数々のコンサートやイベントに参加しており、日本ユニセフ協会主催のチャリティイベント「ハンド・イン・ハンド」、久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラのコンサート、六本木ヒルズアリーナで行われている「クリスマスコンサート」に出演など、さまざまな舞台で幅広く活動している。単独コンサートも行っており、2006年は東京オペラシティコンサートホールにて、2009年からは紀尾井ホールにてクリスマスコンサートを開催し、26周年になる今年も、10月にコンサートを予定している。これまでワンダーランドレコードより3枚のアルバムを発売。全音楽譜出版社より日本語で歌える女声合唱作品「女声合唱とピアノのためのくるみ割り人形」の楽譜もリリース。メンバーは多岐分野で活躍する逸材が集結したバラエティにあふれる顔ぶれ。“歌うこと”に出会っていなければ接点がなかったかもしれない仲間たちが集結し、“歌う喜び”を感じながら日々練習に励んでいる。

 

 

ひまわりの家の輪舞曲(崖の上のポニョ)麻衣×リトルキャロル

わたしの光(おじゃる丸)麻衣×リトルキャロル

The Prayer(魔法の剣 キャメロット) 麻衣×リトルキャロル

Stand Alone(坂の上の雲)麻衣×リトルキャロル

from Little Carol / リトルキャロル YouTube

 

 

レビュー

やさしい光のようなアルバムだった。美しいハーモニーのための澄んだアレンジにのびやかな合唱。ここには安心して老若男女におすすめできる、やさしい風のように耳におすすめできる、そんなメロディやハーモニーがたっぷり込められている。

空の恋しくなる「ひこうき雲」、神秘的な音色とコーラスワークの溶け合った「風のとおり道」、オリジナル・レパートリーともいえる「ひまわりの家の輪舞曲」、このバージョンでNHKみんなのうたにリバイバルされていいと思えるほど純粋感涙な「いのちの歌」など、収録曲の序盤から美しい音楽に包みこまれる。

「君をのせて」、麻衣はプロフィールにあるとおりDAISHI DANCEのふたつのアルバムでハウスアレンジの同曲を英語詞・日本語詞でそれぞれ歌いあげている。本盤に収録された無伴奏合唱つまりアカペラ・バージョンは、麻衣がリードボーカルを務め、リトルキャロルがハーモニーをのせる。すぐに『天空の城ラピュタ サウンドトラック 飛行石の謎』(1986)に収録された「ラピュタの崩壊 (合唱/杉並児童合唱団)」を思い浮かべる。対極にあるともいえるふたつのアカペラ版は、その世界観はもちろん深みのある声部の充実へと、たしかな印象の違いを届けてくれている。

「Sleeper’s Prayer」、「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.5」(2018)コンサートにおいて日本初演された「prayers for night and sleep 1. night / 2. sleep」の第2曲にあたる。麻衣は自身のコンサートステージでもこの曲をプログラムしている。ここにリトルキャロルとともに音源化されたことは動向を追ってきたファンとしてこよなくうれしい。

 

アルバムタイトルは「ビューティフル・ハーモニー」、美しいハーモニーは隠しようもなく美しいメロディを味わえる曲が選ばれている。歌を愛する人のためのスタンダード・アルバムになってほしい。

 

 

 

1.ひこうき雲 (映画「風立ちぬ」主題歌)
 作詞・作曲:荒井由実
2.風のとおり道 (映画「となりのトトロ」より)
 作詞:宮崎駿 作曲:久石譲
3.ひまわりの家の輪舞曲 (映画「崖の上のポニョ」より)
 作詞:宮崎駿 作曲:久石譲
4.いのちの歌 (NHK連続テレビ小説「だんだん」より)
 作詞:Miyabi 作曲:村松崇継
5.The Prayer
 作詞:Carole Bayer Sager 訳詞:吉元由美 作曲:David Foster
6.わたしの光 (NHKおじゃる丸スペシャル 「わすれた森のヒナタ」主題歌)
 作詞:麻衣 作曲:村松崇継
7.君をのせて (映画「天空の城ラピュタ」より)
 作詞:宮崎駿 作曲:久石譲
8.Sleeper’s Prayer
 作詞・作曲:David Lang
9.聖フランシスの祈りの歌  Prayer of St. Francis: Make Me a Channel of Your Peace
 作詞者不詳 日本語詞:麻衣 作曲:Sebastian Temple
10.たがいによろこび  God Rest You Merry, Gentlemen 聖歌128番
 作者不詳
11.Stand Alone (NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」エンディング曲)
 作詞:小山薫堂 作曲:久石譲

編曲:篠田大介 (1,2,3,4,5,8,9,11)、村松崇嗣 (6)
コーラス編曲:麻衣 (3,6,7,9,11)、篠田大介 (1,2,4,5)

 

Disc. 佐藤友紀 『いのちの名前』

2021年12月17日 CD発売 MYCL00024

 

心癒すトランペットの美しい調べ。
艶やかなサウンドが描くジブリ映画の名曲たち。

東京交響楽団首席トランペット奏者やソリストなどで活躍著しい佐藤友紀のソロ・アルバムです。「だれが聴いても、心温まるトランペット作品集を! 」というコンセプトのもと、本アルバムでは久石譲のジブリ映画音楽を中心に、誰もが知る名曲ばかりをセレクトしました。人の心に優しく寄り添う美しいメロディを、艶やかで豊かな音色のトランペットが奏でます。佐藤友紀の深みのある柔和なサウンドに心癒されることでしょう。また、クリスタルに煌めく大野真由子か奏でるピアノ。石川亮太の彩り豊かなアレンジにも注目です。音楽を愛するすべての人々に捧げる、癒しの名曲集です。

(メーカーインフォメーションより)

 

 

 

<曲目>
1. 久石譲:いのちの名前
2. 木村弓:世界の約束
3. 久石譲:風のとおり道
4. ジョン・デンバー:カントリーロード
5. 久石譲:遠い日々
6. 久石譲:空とぶ宅急便
7. 久石譲:メイがいない
8. 久石譲:ねこバス
9. 久石譲:アシタカせっ記
10. S.キャビー、C.コルベル:アリエッティーズ・ソング
11. 谷山浩子:テルーの唄
12. 久石譲:君をのせて
13. 久石譲:真紅の翼
14. 久石譲:ハトと少年

<演奏>
佐藤友紀(トランペット…1、3、4、7-9、11、12、14、フリューゲルホルン…2、5、6、13、ピッコロトランペット…5、10)
大野真由子(ピアノ)

石川亮太(アレンジ)

<収録>
2021年5月11-13日
神奈川県、相模湖交流センター ラックスマンホール

 

Disc. 白石光隆 『ニーノ・ロータと久石譲 ピアノ作品集』

2021年9月25日 CD発売 MM-4097

 

聴き終えて胸に深いものを残す

映画音楽の分野で極めた業績と名声によって、作曲家、ひいては音楽家としての全体像が見えにくくなっている。そんな人物がいるとすれば、イタリアの生んだニーノ・ロータ、そして日本の久石譲はさしずめ最右翼の存在ではないだろうか 。奇しくも共通点を持つ2人の音楽に共感を寄せるピアニストが、深々と響く美音によって、彼らの魅力を解き明かしてくれる。耳にはいたって優しく、しかし聴き終えて胸に深いものを残す。 そんな楽の音が刻み込まれ たアルバムだ。 (木幡 一誠)

(メーカーインフォメーションより)

 

 

久石譲作品はもちろん全曲において、オリジナル楽譜/音源をもとに演奏されている。クレジットもないように独自に編曲された曲はない。とても忠実で丁寧なピアノカバー作品になっている。純粋な聴きくらべを味わうことができる。

とりわけ「人生のメリーゴーランド」「Oriental Wind」の2曲はピアノ愛好家こそうれしい収録といえる。この2曲は久石譲によるピアノソロが録音されていないからだ。オリジナルアルバム『FREEDOM PIANO STORIES 4』(2004)で聴けるのはピアノと弦楽のアンサンブル。そしてピアノ譜『FREEDOM PIANO STORIES 4 -オリジナル・エディション-』はそれをもとにピアノソロ用に直したしたもの。本盤白石光隆のピアノ演奏は、このオリジナル楽譜を忠実に再現している。これは必聴というほかない。リスニングにお手本に。またひとつ聴く楽しみと弾く楽しみを運んでくれるアルバムの登場はこよなくうれしい。

 

 

 

 

 

 

 

ニーノ・ロータ
1. 15の前奏曲より 第2番
2. 15の前奏曲より 第6番
3. 15の前奏曲より 第9番
4. 15の前奏曲より 第10番
5. 15の前奏曲より 第13番
6. 戯れるイッポーリト
7. 子どものための7つの小品より 第1番 ジャンプとゲーム
8. 子どものための7つの小品より 第4番 小さな階段
9. 子どものための7つの小品より 第7番 アクロバット

久石譲
10. One Summer’s Day
11. HANA-BI
12. Ashitaka and San
13. Innocent
14. The Wind Forest
15. 人生のメリーゴーランド
16. Oriental Wind

ニーノ・ロータ
17. アマルコルド
18. 8 1/2
19. 甘い生活

ピアノ:白石光隆