Posted on 2025/03/01
《前編》はジブリフィルムコンサートのプログラムや楽器編成そのほか参考作品までを見ていきました。《中編》《後編》は作品ごとに見ていきます。
▽プログラム
▽出演/楽器編成
▽歌
▽参考作品(DVD/TV/CD)
▽MUSIC VIDEO
▽INTERVIEW VIDEO
▽コンサート軌跡
▽風の谷のナウシカ
▽魔女の宅急便
▽もののけ姫
▽風立ちぬ
▽崖の上のポニョ
▽天空の城ラピュタ
▽紅の豚
▽ハウルの動く城
▽千と千尋の神隠し
▽となりのトトロ
天空の城ラピュタ
CASTLE IN THE SKY
武道館コンサート/パリ・コンサート
ハトと少年
君をのせて
大樹
編成特記:
マーチングバンド、合唱
↓
グラモフォン・アルバム
ハトと少年
君をのせて
Doves and the Boy
Carrying You
編成特記:
管楽、合唱、バンダ
全体構成は武道館/パリと変わっていません。
世界ツアーは公演ごとにマーチングバンドあり・なしで演奏形態が異なり、それに合わせて構成曲も三曲目「大樹/The Eternal Tree of Life」あり・なしになります。グラモフォン・アルバムはマーチングバンドではないオーケストラの管楽セクションと合唱で演奏される二曲です。世界ツアー版と位置づけられています。
《ハトと少年》武道館コンサートとパリ・コンサートは、観客席通路にくまなく配置された大所帯のマーチングバンドが魅力的です。後半部のくり返しと転調とで曲尺は長くなっています。グラモフォン・アルバムは、トランペットのメロディとホルンによって導かれます。パーカッション群も加わっていくこのパートは交響組曲とほぼ同じ構成と曲尺になっています。
コンサートではバンダによって演奏されます。バンダとは舞台上の編成とは別に離れた位置で演奏する演奏手法のことで、ここではトランペットとホルンが会場二階席の前方左右に分かれています。まるで映画本編でパズーがスラッグ渓谷からトランペットを吹いているように会場にメロディが降ってきます。
《君をのせて》武道館コンサートとパリ・コンサートは、引き続き観客席通路にくまなく配置された大所帯のマーチングバンドとステージの合唱・児童合唱で演奏されます。グラモフォン・アルバムは、オーケストラの弦楽器を除いた木管・金管楽器そしてパーカッション+合唱・児童合唱で演奏されます。この曲は日本語で歌われます。歌に寄り添うようにずっと吹き続けるトランペットの旋律もエスコートヒーローのパズーらしい。威厳ある英国風の曲想に仕上がっています。
《大樹》武道館コンサートとパリ・コンサートそして世界ツアーのマーチングバンドあり公演では演奏されます。パリ・コンサートがTV放送された「久石譲 in パリ」ではカットされていますがしっかり本演では演奏されています。
この作品は、児童合唱(ユースコーラス)が出演しない公演ではメインの合唱団のみで歌われます。
オーケストラのためのプログラム構成と楽器編成について。世界ツアーを展開していくなかで当初は組み込まれていなかった休憩時間も入るようになります。それにより『天空の城ラピュタ』開始前にバンダへ移動準備する時間もとれるようになります。『天空の城ラピュタ』は弦楽セクションの出番はないため楽器調整など休憩時間にあてることができます。次のプログラム『紅の豚』は管楽セクションの出番はないため楽器調整など休憩時間にあてることができます。プログラムの流れは『天空の城ラピュタ』でも演奏していたトロンボーンやクラリネットらがステージ中央に移動してきます。
紅の豚
PORCO ROSSO
帰らざる日々
Bygone Days
編成特記(武道館コンサート):
トロンボーン3、バストロンボーン1、テューバ1、アルトサックス1、テナーサックス1、大太鼓(グランカッサ)、シンバル、スネア
編成特記(パリ・コンサート/グラモフォン・アルバム):
トロンボーン3、バストロンボーン1、テューバ1、クラリネット2、バスクラリネット1、大太鼓(グランカッサ)、シンバル、スネア
全体構成は武道館/パリ/グラモフォンと変わっていませんが、楽器編成から変化を見てとれます。
《帰らざる日々》久石譲によるピアノと10~11名の奏者によるジャジーなアンサンブルです。武道館コンサートは5人の金管楽器と2人のサクソフォン、そして3人のパーカッションです。パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムはサクソフォンからクラリネットへと切り替わっています。サックスのほうが雰囲気でる、武道館のその印象が強い、そう思う人も多いかもしれませんが、そこにはしっかりとした理由あります。
武道館コンサートはオーケストラ編成のなかにアルトサックス1、テナーサックス1も入っていました。これは久石譲の創作活動においてこの時代のひとつの特徴とも言えます。サクソフォンの音色パレットの効いた作品には「Oriental Wind for Orchestra」(2005/2010)、「MKWAJU 1981-2009」(2009)、「The End of the World」(2009/2015)などがあります。以降、クラシック音楽の指揮活動を本格化させるなかで合わせて自作品もオーケストラの楽器編成と編成規模は標準化の流れへと向かいます。一般的なオーケストラ編成にサクソフォンは入っていません。これにより従来サクソフォンも編成された作品が改訂される際にはクラリネットなど他の楽器へと切り替わっていきます。編成に残っている作品もあります。ジャズクラリネットも多くのスタンダード曲があります。落ち着いた雰囲気でくゆらすクラリネットと円熟したピアノと。
コンサートではフィンガースナップ(指パッチン)も演出で聴くことができます。その歴史は2018年9月ロサンゼルス公演まではない、2018年11月カーネギーホールで開催されたニューヨーク公演ではある、ここから始まっているようです。もしかしたらリハーサルまでもなかったのかも、本演中に管楽器奏者の粋な演出で自然発生的に起こったことかもしれません。そうならさすがジャズの街ニューヨークらしいエピソードです。以降の公演でも定着していくことになるパフォーマンスです。
武道館コンサートはこの後メッセージ動画が流れます。パリ・コンサートはこの後鈴木敏夫プロデューサーと宮崎駿監督のメッセージがスクリーンに映し出されています。映画『君たちはどう生きるか』公開後はどうなっているのでしょう。
ハウルの動く城
HOWL’S MOVING CASTLE
シンフォニック・ヴァリエーション「メリーゴーランド+ケイヴ・オブ・マインド」
Symphonic Variation “Merry-go-round + Cave of Mind”
編成特記:
バンダ(*武道館コンサートのみ)
全体構成は武道館/パリ/グラモフォンと変わっていませんが、楽器編成から変化を見てとれます。
交響変奏曲は「人生のメリーゴーランド」の変幻自在する旋律と「星をのんだ少年」の美しいメロディが組み込まれた作品です。武道館コンサートは「ケイヴ・オブ・マインド」パートはバンダによって演奏されます。バンダとは舞台上の編成とは別に離れた位置で演奏する演奏手法のことで、ここではトランペットとトロンボーンが会場二階席の前方左右に分かれています。各4人ずつ左右で計8人です。会場全体にこだまして響き渡っています。こんな離れ業ができたのも大編成だったおかげです。もともとトランペット8、トロンボーン8いた大規模編成はバンダ要員に配置してもしっかりステージにトランペット4、トロンボーン4と残っています。
パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは一般的なオーケストラ編成でトランペット3、トロンボーン3、バストロンボーン1です。「ケイヴ・オブ・マインド」冒頭からのメロディはトランペット1とイングリッシュホルン(コーラングレ)で奏でられます。バンダではなくステージから聴こえてきます。ここでもまたオーケストラ編成の変化からオーケストレーションの修正が施されています。
うっかり目から鱗かもしれませんがこの作品も待望の音源です。オリジナルアルバム『WORKS III』に収録されているのは「Symphonic Variation “Merry-go-round”」で「ケイヴ・オブ・マインド」パートはありません。「ハウルの動く城 オーケストラのための -オリジナル・スコア-」(2014)スコアの完全音源化とも言えてしまいます。これまでは参考音源は『久石譲 in 武道館』(ライヴ映像)や『The Best of Cinema Music』(ライヴ音源)としていたところに、編成規模もオーケストレーションも同じに対向配置でセッション録音されたものになるからです。今では世界中のコンサートで演奏されている作品です。演奏団体の皆さん、ぜひグラモフォン・アルバムを由緒ある参考音源にしてください。スコアを手に聴きながら、もし異なる箇所に気づけたとすればあの半音和音で揺れ動く久石譲のピアノイントロの長さやメロディ装飾ぐらいだったかもしれません(パート番号25)。
うっかり勘違いしてしまうかもしれませんが「Symphonic Variation “Merry-go-round + Cave of Mind”」は単純に「ケイヴ・オブ・マインド」パートをプラスでくっつけたものではありません。「Symphonic Variation “Merry-go-round”」の楽曲構成からパートの短縮やカットを経て「ケイヴ・オブ・マインド」パートが組み込まれています。その証拠に「Symphonic Variation “Merry-go-round”」約14分、「Symphonic Variation “Merry-go-round + Cave of Mind”」は約12分と演奏時間は短くなる魔法です。またオリジナル・スコアには代替バージョン(Alternative Version)も並べて書き記されています。近年久石譲が指揮するクラシック演奏会などでアンコールに選ばれることもある曲名「Merry-go-round」、冒頭のピアノパートがハープやグロッケンシュピールらに切り替わっているそのバージョンです(パート番号25)。
この作品で「人生のメリーゴーランド」のメロディを一度も弾いていないオーケストラ楽器ってあるかな、というほどの秀逸さです。グラモフォン・アルバムのCD限定盤DISC2には後半部の「人生のメリーゴーランド」パートを抜粋したトラックが特別収録されています。単曲でもオリジナル・スコアと同じに演奏することができます。代替バージョンでも演奏することができます。
オーケストレーションも楽器もすべての修正は論理的である。ゆえに説明できる。(by …)
千と千尋の神隠し
SPIRITED AWAY
あの夏へ(いのちの名前)
ふたたび
One Summer’s Day (The Name of Life)
Reprise
編成特記:
ヴォーカル
全体構成は武道館/パリ/グラモフォンと変わっていませんが、楽曲ごとには変化を見てとれます。
《あの夏へ(いのちの名前)》武道館コンサートは《あの夏へ vocal version 「いのちの名前」》歌とピアノのコラボレーションです。パリ・コンサートは久石譲によるピアノソロで披露されていて近年コンサートで聴けるものと同じになります。世界ツアーを展開していくなかでピアノソロとピアノ&ヴォーカルの両方が候補にあった時期も経ながら現在はグラモフォン・アルバムに収録されている最新版が定着しています。ピアノと歌どちらも輝き溢れる結晶は世界ツアー版と位置づけることができます。前半はスキャットで後半は日本語で歌われます。
2022年10月フランス3都市公演から英語バージョンも登場するようになります。これにはゲストヴォーカルがグラモフォン・アルバムで歌唱しているグレース・デイヴッドソンさんその人だったこともありそうです(アルバム録音2022年6月/アルバム発売2023年6月)。2023年9月ロンドン公演、2024年4月パリ公演、2024年5月ドイツ2都市公演も同様です。この曲は公演ごとのゲストヴォーカルによって日本語ver.と英語ver.とが選ばれていくのかもしれません。グラモフォン・アルバムのCD限定盤DISC2には英語バージョンも特別収録されています。
《ふたたび》武道館コンサートからグラモフォン・アルバムまでDVD/TV/CDと三つの音源を並べてみてオーケストレーションも少しずつ変化しているように聴こえます。とりわけ歌の最後でピアノとハープだけの伴奏になるところなど、フレーズとしてもピアノが前面に出てきたグラモフォン・アルバムです。振り返ってみるとイメージアルバム「千尋のワルツ」だった頃からピアノは主役のひとつでした。《あの夏へ(いのちの名前)》から《ふたたび》まで世界ツアー版は千尋をより鮮明に表現したものになっているのかもしれません。この曲は日本語で歌われます。交響組曲とはまた別モノでどちらも存分に楽しむことができます。
世界ツアー版は交響組曲の抜粋や短縮にあらず。どちらも曇りなき眼で見定めよ。(by …)
となりのトトロ
MY NEIGHBOR TOTORO
風のとおり道
さんぽ
となりのトトロ
The Path of the Wind
Hey Let’s Go
My Neighbor Totoro
編成特記:
合唱
全体構成は武道館/パリ/グラモフォンと変わっていませんが、楽曲ごとには変化を見てとれます。
《風のとおり道》武道館コンサートは、チェレスタ、ハープ、グロッケンシュピール、ウィンドチャイム、ピアノらの打楽器・鍵盤打楽器による演奏でした。パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは、ピアノは外れてそこにマリンバやビブラフォンが配置されているように聴こえます。神秘性に包まれた精緻な音世界です。
《さんぽ》武道館コンサートは合唱とゲストヴォーカル総出演で歌詞の1番から3番までを日本語で歌いつないでいきます。パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは合唱によって英語で歌われます。この曲はオーケストラの楽器紹介もそなえた「オーケストラストーリーズ となりのトトロ」ver.がベースになっています。それを承知したうえでパート構成はこのように変化しています。
武道館コンサート:日本語
1番 木管楽器/合唱 ー 2番 金管楽器/合唱 ー 3番 弦楽器/児童合唱 ー 1番 打楽器・ピッツィカート/ゲストヴォーカル ー 3番 オーケストラ/大合唱 5times
パリ・コンサート グラモフォン・アルバム:英語
1番 木管楽器/合唱 ー 3番 金管楽器・打楽器/合唱 ー 1番 弦楽器/児童合唱 ー 1番 オーケストラ/大合唱 4times
世界ツアー version A:英語
1番 木管楽器/合唱 ー 3番 金管楽器/合唱 ー 1番 弦楽器/児童合唱 ー 1番 打楽器・ピッツィカート/ゲストヴォーカル ー 1番 オーケストラ/大合唱 5times
世界ツアー version B:英語
1番 木管楽器/合唱 ー 3番 金管楽器・打楽器/合唱 ー 1番 弦楽器/ゲストヴォーカル ー 1番 オーケストラ/大合唱 4times
世界ツアー version C:英語
1番 木管楽器/合唱 ー 3番 金管楽器/合唱 ー 1番 弦楽器/ゲストヴォーカル ー 1番 オーケストラ/大合唱 4times
武道館コンサートは、オーケストラストーリーズver.をそのまま土台としてパート構成は進みます。加えて編成されていたサクソフォンも間奏でしっかりフィーチャーしていたことも特徴です。
パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは、ゲストヴォーカルの1コーラス分がなくオーケストラの金管楽器・打楽器パートが合体しています。もともとあったものをなるべく忠実に配置しながらピッツィカートは外れています。
世界ツアーはABCと3つのバージョンがあるのではないかと推察しています。正確性は探求の余地があります。それはゲストヴォーカル参加で児童合唱(ユースコーラス)の出演あり・なしによって1コーラス分異なっているバージョンです。金管楽器・打楽器パートの合体具合(B,C)がよく掴めていない。これからコンサートで聴けるときには、グラモフォン・アルバムで予習しながらも世界ツアーversion A,B,Cのいずれかになるのではと思っています。もう何回も聴いておなじみと思っていた《さんぽ》も世界ツアーでしっかりアップデートされていて複数のバージョンが用意されています。
《となりのトトロ》武道館コンサートからグラモフォン・アルバムまで変わらない名曲です。変わる必要のないパーフェクトさです。中間部には久石譲によるピアノ演奏も入ります。コンサートではソプラノとヴォーカルのパートも入りながら熱狂的なコーダを迎えます。この曲は日本語で歌われます。スタジオジブリのシンボル的キャラクターでロゴにもなっているトトロです。同じようにジブリの夢を音楽のかたちにしたら「となりのトトロ」この曲だと言えてしまう輝きがあります。オーケストラの魅力、ピアノの魅力、歌の魅力、トトロの魅力、パーフェクトです。
この作品は、児童合唱(ユースコーラス)が出演しない公演ではメインの合唱団のみで歌われます。
武道館コンサートでは《さんぽ》のあとに宮崎駿監督の短いVTRが流れます。歌を口ずさんでいる映像の余韻にフェードインするように《となりのトトロ》が始まります。そして演奏後には鑑賞していた客席からステージへ歩いて向かい宮崎駿監督から久石譲へ花束が渡されるシーンは何度見ても感動的です。Blu-ray/DVDはアンコールまで完全収録されています。パリ・コンサートのTV放送はここまでです。アンコールはカットされています。グラモフォン・アルバムはアンコールにあたる楽曲は収録されていません。
—–アンコール—–
Madness (「紅の豚」より)
アシタカとサン (「もののけ姫」より)
—–encore—-
Madness from Porco Rosso
Ashitaka and San from Princess Mononoke
《Madness》武道館コンサートは久石譲によるピアノも冒頭メロディ、中間部の強打和音、終結部のメロディワンフレーズにと指揮とピアノを慌ただしく移動しています。アルバム『The End of the World』(2015)に最新の録音があります。世界ツアーはそれよりも少し短縮バージョンになります。そして終結部のメロディワンフレーズはフルートのみに切り替わっています。赤い照明演出も印象的です。
《アシタカとサン》武道館コンサートは日本語で、世界ツアーは英語で歌われます。久石譲によるピアノが1コーラスをオーケストラとともに奏で、間奏を挟んで合唱が1コーラスを歌います。コンサートでは間奏のところで今伝えたい久石譲のメッセージがスクリーンに映し出されています。2021年インタビューで「スタジオジブリフィルムコンサート世界ツアーで使用しているオーケストレーションを関連楽曲に導入した」(交響組曲もののけ姫について)と語っているとおり、歌われるキーの高さやオーケストレーションなど統一性もあります。そのうえで交響組曲はソロ・ヴァイオリンが1コーラスを奏で間奏を挟んでソプラノによって日本語で歌われます。
この作品は、児童合唱(ユースコーラス)が出演しない公演ではメインの合唱団のみで歌われます。
Joe Hisaishi said:
宮崎さんが「すべて破壊されたものが最後に再生していく時、画だけで全部表現出来るか心配だったけど、この音楽が相乗的にシンクロしたおかげで、言いたいことが全部表現できた」と話されていたことが、とても印象に残っています。
(Blog. 久石譲 「ナウシカ」から「ポニョ」までを語る 『久石譲 in 武道館』より 一部抜粋)
映画「もののけ姫」のラストで「ともに生きよう」というセリフがある。それはお互いの痛みを分かち合いながら、希望を持ってそれぞれの場所でしっかり行動せよという意味にも僕には取れる。
(Blog. 「久石譲 3.11 チャリティーコンサート」(2011) コンサート・パンフレットより 一部抜粋)
ここまででコンサートの全てです。アンコールとはなっていますが切り離すことのできないプログラムです。それは映画エンドロールのあとに続くエピローグのようなもの大切なパートです。本演が終わって夢の時間を楽しんだで終わってしまっては…。今私たちが直面している世界を強く投影したかのような《Madness》、そして私たちの今と未来を問いかける《アシタカとサン》。現実と希望とをこの二曲が私たちに照り返しているようです。これから世界ツアーはどこまで羽ばたいていくでしょうか。アジアそして日本での凱旋公演も待ち望まれます。『君たちはどう生きるか』プログラムも加わってさらにパワーアップするのかどうなのか、夢はいつも膨らむばかりです。
グラモフォン・アルバム『A Symphonic Celebration』はジブリフィルムコンサートのマッチングアルバムとも言えます。けれど公式の商品情報では「世界ツアー中のジブリフィルムコンサートを最新録音で待望の音源化!」などと一切の関連ワード含めて使われていません。一番効果的かつインパクトのある宣伝で謳っていない。
そこには、アンコールまで完全収録されていないからとか、まだまだプログラムがバージョンアップするかもしれないとか、マーチングバンドあり・なしなど出演者によって演奏形態バージョンがあるとかいろいろあるのかもしれません。一番大切なことは「ジブリフィルムコンサート」は映像×音楽の対等で最高のパフォーマンスだということです。やっぱりコンサートで体感するしかないところが大いにある。もしこれからコンサートに行ける時が来たらチャンスを掴みとりましょう。スタジオジブリと久石譲が仕掛ける一大プロジェクト、その歴史の一ページにいたい。歴史の生き証人になって未来へ伝えたい。最高の瞬間を。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
- Blog. ジブリフィルムコンサートを聴く(武道館/パリ/グラモフォン)《前編》
- Blog. ジブリフィルムコンサートを聴く(武道館/パリ/グラモフォン)《中編》
- Blog. ジブリフィルムコンサートを聴く(武道館/パリ/グラモフォン)《後編》