Blog. 「崖の上のポニョ サウンドトラック」(LP・2021) 新ライナーノーツより

Posted on 2021/05/24

2021年4月24日、映画公開当時はLPでは発売されていなかった「崖の上のポニョ」「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」の3作品に、あらたにマスタリングを施し、ジャケットも新しい絵柄にして発売されました。各サウンドトラック盤には、前島秀国氏による新ライナーノーツが書き下ろされています。時間を経てとても具体的かつ貴重な解説になっています。

 

 

宮崎駿監督と久石譲のコラボレーション第9作目『崖の上のポニョ』は、それまで2人が築き上げてきた方法論の集大成的な作品と位置づけることが出来る。スコア全体の出発点となっているのは、『となりのトトロ』と同様、宮崎監督が希望した「誰もが口ずさめる歌」であり、宮崎監督との音楽打ち合わせから生まれた楽曲(ヴォーカル曲6曲とインストゥルメンタル4曲)が、まずは『崖の上のポニョ イメージアルバム』として録音された。その後、改めて本盤に収録されているサウンドトラックの作曲と録音が行われている。

ヴォーカル・パート以外に3管編成のオーケストラと混声4部合唱を要する巨大な編成で演奏された『崖の上のポニョ』の音楽は、疑いもなく日本映画音楽史上最大規模を誇るスコアのひとつであり、実際、本作の組曲が2008年8月開催のコンサート『久石譲 in 武道館』で世界初演された時は、マーラーの《千人の交響曲》世界初演時の編成を凌ぐ1160余名の大編成で演奏された。また、藤岡藤巻と大橋のぞみが歌ったエンディング主題歌は、2008年7月21日付オリコンデイリーシングルランキング第1位、同年8月4日付から4週連続でオリコン週間シングルランキング第3位を記録し、藤岡藤巻と大橋がNHK紅白歌合戦出場を果たすなど、『崖の上のポニョ』の音楽はひとつの社会現象となった。

さらに、映画公開時に久石が受けた取材のコメント、すなわち「(『崖の上のポニョ』は)死後の世界、輪廻、魂の不滅など哲学的なテーマを投げかけている。でも、子供の目からは、冒険物語の一部として、自然に受け入れられる。この二重構造をどう音楽で表現するかそこからが大変でした」(2008年7月30日付読売新聞インタビュー)は、現在ではこの作品を評する上で必ずと言っていいほど引用される、最も重要な発言のひとつとして知られている。

このように『崖の上のポニョ』は音楽的、社会的、文化的にも大きなインパクトを与えた作品として記憶されているが、なぜ、本作の音楽がこれほどの成功を収めたのか、さらには久石が実際に「二重構造をどう音楽で表現」したのか、それを解き明かした論考は、現在に至るまでひとつも存在しないと言っても過言ではない。本解説は、公開当時から現在に至るまで必ずしも充分に探査されているとは言えない深海、すなわち『崖の上のポニョ』のスコアという深海に潜水を試みた、ささやかな記録である。

まず強調しておきたいのは、有名な主題歌を書き下ろす最初の段階から、久石がきわめて論理的な作曲アプローチを貫いていたという点である。これに関しては、久石自身が本作の作曲着手から約1年が経過した2007年夏に執筆したエッセイが存在するので、それを引用する。

”宮崎さんとの最初の打ち合わせは昨年の秋(=2006年秋)だった。「子供から大人まで誰もが口ずさめるような歌を作ってほしい」という依頼だった。そのとき最初に浮かんだのは、「となりのトトロ」の「さんぽ」を作曲したときのことだった。声を張り上げて元気に歌える曲を、という依頼だったと思うが(20年前のことなので不確かだが)今回も同じ世界観なのだろうか? と考えた。「さんぽ」は幸運なことに最初の打ち合わせのときに、「あるこう あるこう わたしは げんき」のメロディが浮かんだ。密かに絵コンテの裏に5線を引いて書きつけた覚えがある。絵本『ぐりとぐら』で知られる児童文学作家の中川李枝子さんが書いた詞、その言葉の持つ力強さが自然にメロディを喚起したのだと思う。(中略)ところが、「となりのトトロ」から20年経った今、新しいアプローチでこの作品に挑もうと思った矢先、本当に幸運なことに今回もメロディが浮かんできたのである。それも宮崎さんと鈴木(敏夫プロデューサー)さんの目の前で。「ポニョ」という言葉は新鮮で独特のリズムがある。”ポ”は破裂音で発音時にアクセントが自然につくし”ニョ”へはイントネーションが下降しているので、メロディラインも上昇形ではなく下がっていくほうが自然だ。基本的にボクは言葉のリズムやイントネーションには逆らわない方法をとる。(中略)「ポニョ、ポニョ、……」と何度か呟いているうちに自然にメロディの輪郭が浮かんできた。もちろんこの2音節だけではサビのインパクトには欠けるので何度か繰り返す方法をとった。(中略)和音の進行もシンプルなものを使用することにした。(中略)後はリズムなのだが、それは先ほど書いたように言葉のイントネーションを採用する。” (久石譲「今、誰もが”口ずさめる歌”をつくるということ」 スタジオジブリ『熱風』2007年8月号)

このような論理的なアプローチに裏打ちされていたからこそ、主題歌のメロディを「誰もが口ずさむ」ことが可能となり、その結果、あれだけの大ヒットに繋がったという点を見逃してはならないだろう。

歌に関してはもう1曲、より声楽曲的なアプローチで書かれたオープニング主題歌《海のおかあさん》が、本作の世界観を構築する上できわめて重要な役割を果たしている。その作曲については、久石が本作の初号試写を鑑賞した直後、筆者との取材に応じた記録があるので、以下にご紹介する。

”日本で”海”の歌というと、「♪うみはひろいな 大きいな」の童謡くらいしか頭にパッと思い浮かびませんよね。宮崎監督との最初の打ち合わせの段階で、監督が「なにかもうちょっと、文部省唱歌じゃない”海”の歌が日本にもあってもいいですよね」という話をされていたので、「では、何かそういうものをひとつ作りましょうか」と。覚和歌子さんの詩をもとにしたイメージ・ポエムを宮崎監督から頂いた時に、”海”の詩に近いものがあったので、それを用いて作曲したのが《海のおかあさん》なんです。でも、これを普通のポップス歌手に歌わせても、あまり面白くない。そこで「今回は、ちょっとクラシックのテイストもアリですよね」と宮崎監督にお断りしてから、ソプラノ歌手の林正子さんに歌っていただいたら、すごく良かったんです。もともとはイメージアルバムに収録する予定だったのですが、曲を聴いていただいた鈴木(敏夫)プロデューサーの独特の嗅覚で、「映画でこの曲が出ると、凄いぞ」と。そこで、ソプラノの歌をオープニング主題歌で使うことが決まり、イメージアルバムでは敢えてヴァイオリンのインストゥルメンタル版を収録したんです。「こんなことは今まで誰もやっていないぞ」という意外性を演出するために、ソプラノのことは公開ギリギリまで伏せていた感じですね。” (2008年6月25日の筆者との取材)

これら2つの歌、すなわち《崖の上のポニョ》(ポニョのテーマ)と、《海のおかあさん》(グランマンマーレのテーマ)を主軸としながら、本作のスコアはオーケストラというパレットから豊かな色彩を存分に引き出した、正統的なクラシックの音楽語法で作曲されている。これに関しても、久石は非常に論理的なアプローチを貫いているので、再び久石との取材記録を引用する。

”簡単に言うと、この作品の内容はピュアなラブストーリーです。人間がある程度年齢を積み重ねながら、いろいろな経験をしていくと、「本当はこうだけど……」とか、いろんな思いが錯綜していきます。ところが、5歳ぐらいの子供というのはそういうものが全くない。「好きは好き」と、ポーンと気持ちを出すわけです。その潔い感じが、今回、宮崎監督がどうしても描きたかった部分のひとつだと思うんですね。では、そういう場合に音楽はどうするか? 音楽って、人間の気持ちが揺れ動いているときに一番入りやすいんです。例えば「好き」といったら、どういう感じで好きなのか、その感情のヒダを出すために音楽が効果を発揮します。だけど、この作品の主人公たちは果汁100%のジュースみたいなものだから、気持ちが揺れていない。つまり、葛藤というものがないんです。これほどストレートな”直球”だと(音楽でヒダを表現しようとしても)あんまり意味がないんですよ。もうひとつ、この映画で圧倒的に凄いのは、どのシーンを見てもムダなカットがひとつもない。つまり、本当に必要な長さだけを、必要な配分できっちり徹底的に切り詰めて作っている作品なんです。こういう場合は、音楽を相当激しく書いて、映像とぶつかっていっても大丈夫です。つまり、抑えて抑えてという書き方よりは、作曲家としてある程度やりたいことを全部出して映像にぶつけていかないと、かえって音楽が足を引っ張る恐れがある。そこで、音楽を書くための方法論としては、純正なクラシックのスタイル、つまりエスニックや(シンセサイザーのような)飛び道具を使わず、クラシックの王道という”直球”だけで極力行けるところまで行くことにしました。宮崎監督は、どちらかというとフランス印象派的な音楽の扱い方はあまりお好きではないので、こちらもずっと避けてきた部分でもあるのですが、今回は”海”を舞台にしたファンタジーですし、これだけイマジネーション豊かな世界が展開しますからね。今日、初号試写を見たら、単音でメロディを鳴らしているところから、オーケストラがすごく分厚いところまで、非常にヴァリエーションが豊かなので、その起伏の大きさがこの作品ではうまくいったと実感しています。” (2008年6月25日の筆者との取材)

以上のような方法論で作曲されたスコアは、あたかもそれ自体が”海”であるかのようにドラマティックなうねりを生み出しながら、物語の中で重要な役割を果たすいくつかのテーマを海原の小舟のように運んでいく。「ポニョのテーマ」と「グランマンマーレのテーマ」に関してはすでに触れてきたので、それ以外のテーマと、対応する本盤収録曲を以下に列挙する(テーマ名は、筆者が暫定的に付けたもの。「」はテーマ名、《》は本盤収録曲を示す)。

「宗介のテーマ」
「ポニョのテーマ」と共に、本作の物語を担っていくテーマ。《ポニョと宗介》の中で「ポニョのテーマ」の対旋律として初めて登場した後、《からっぽのバケツ》《ポニョと宗介 II》《ディプノリンクスの海へ》《宗介の航海》《宗介のなみだ》《いもうと達の活躍》で登場し、シーンの状況に応じてヒロイックに鳴り響いたり、あるいは(《ポニョと宗介 II》に聴かれるように)旋律の一部が断片的に展開されたりする。特に最後の《いもうと達の活躍》の前半部においては、「宗介のテーマ」に基づく勇壮なファンファーレとコーラスがバレエ音楽のクライマックスのように活躍し、本作が宗介の壮大な冒険物語として閉じる結末を予告している。

「リサのテーマ」
イメージアルバムおよび本盤で《発光信号》として演奏されているテーマで、《リサの家》や《リサの決意》でも登場する。物語終盤に混声4部合唱で歌われる《母の愛》が端的に示しているように、母親としてのリサの愛情を表現した美しいテーマである。

「フジモトのテーマ」
イメージアルバムでは藤岡藤巻が歌っていた《フジモトのテーマ》。本編では《浦の海》で最初に登場する。さらに《フジモト》では、木管楽器のソロをユーモラスに用い、どこか間の抜けた楽曲として演奏される。

「いもうと達のテーマ」
イメージアルバムで女性コーラス・グループのリトルキャロルが歌っていた《いもうと達》のオーケストラ・ヴァージョン。お姉ちゃん、すなわちポニョに対する愛情をストレートに表現したテーマ。

「ポニョの子守唄」
イメージアルバムでは大橋のぞみが歌っていた《ポニョの子守唄》を、オルゴールを思わせるチェレスタなどで演奏したもの。

「海のテーマ」
イメージアルバムで《サンゴ塔》として演奏されていたテーマ。本編冒頭の《深海牧場》、グランマンマーレが初めて姿を現すシーンの《グランマンマーレ》、《母と海の讃歌》のコーダ部分、そして《いもうと達の活躍》の後半部に聴くことが出来る。大海原と深海の神秘を表現したテーマであると同時に、グランマンマーレを表現したもうひとつのテーマでもある。

「船団マーチ」
海軍マーチと大漁節の2つの性格を併せ持つ。歌詞こそ付いていないが、人間(主として海洋で働く男性たち)が海を崇め奉る勇壮な歌、という側面を持っている。

「ひまわりの家のテーマ」
イメージアルバムでは麻衣が歌うヴォーカル曲《ひまわりの家の輪舞曲》として収録されていたテーマ。本編においては、木管セクションのニュアンス豊かな表現が印象的な《嵐のひまわりの家》と、麻衣がヴォカリーズで歌った《水中の町》の形で登場する。メイキングビデオ『ポニョはこうして生まれた。~宮崎駿の思考過程~』をご覧になったリスナーならば、宮崎監督が《ひまわりの家の輪舞曲》を何度も聴き返しながら、「♪おむかえは まだ来ないから その間に 一寸だけ歩かせて」という歌詞(作詞は宮崎監督)に涙ぐむ場面をご記憶だろう。このように、《ひまわりの家の輪舞曲》には明らかに死を意識した心境が反映されている。ただし、本編で流れる《水中の町》においては歌詞を敢えて削除し、あたかもセイレーン──ギリシャ神話に登場する、甘美な歌声で船乗りたちを死へ誘う半人半鳥の怪物──が歌いかけるようなヴォカリーズにすることで、水没したひまわりの家が生の世界に属しているのか死後の世界に属しているのかわからないような、幻想的な表現を獲得している。

「生のものと火を通したもののテーマ」
本稿執筆時点でも適当なテーマ名が思い浮かばないので、人類学者レヴィ=ストロースの神話分析の名著『生のものと火を通したもの(Le Cru et le Cuit)』をもじってテーマ名を暫定的に付けた。久石の言う「二重構造」の秘密を解く鍵とも言える、非常に多義的な性格を備えたテーマである。

このテーマが最初に登場するのは《リサの家》の後半、すなわちテーブルの上に足を乗せたポニョが、人間とは思えないほど──この時点ではまだ人間になっていないから当然なのだが──自由に足の指を動かす場面である。同じトラックの最後、再びこのテーマが登場すると、ポニョはあたたかいハチミツミルクを──人間の宗介を真似しながら──飲み干す。つまりポニョは、食(正確には火を通した飲み物)を通じて初めて人間の文化を学んでいくのである。

さらにこのテーマがファゴットで導入される《船団マーチ》前半の場面では、赤ちゃんにスープを飲ませようとしたポニョが、そのままでは赤ちゃんが飲めないこと、つまりスープを飲んだお母さんのおっぱいとして赤ちゃんが栄養を摂取できると知る。つまりこのテーマは、ポニョが人間の文化や生態に触れることで、人間というものを体得していく過程を表現していると考えることが出来る。

たいへん驚くべきことに、このテーマは短3度の上行音程を繰り返す形で構成されている。なぜ驚くべきかと言えば、それは他ならぬ「ポニョのテーマ」の出だし──「♪ポーニョ ポニョポニョ」の最初の「ポーニョ」──が短3度の下行音程で書かれているからだ。それにならってこのテーマを記せば、「♪ニョーポー ニョーポー ニョポニョポー」ということになる。このことから、このテーマは、人間ならざるもの(=さかなの子)が人間になろうとしている過程を象徴したテーマと解釈することが可能だろう。

さらに興味深いことに、このテーマは《新しい家族》の後半部分、すなわち夫・耕一の身を案じるリサが庭先にアマチュア無線用のアンテナを立てるシーンでも流れてくる。「リサ みんな沈没しちゃったのかな」という宗介のセリフが示唆しているように、この時点では耕一が生の世界に属しているか死の世界に属しているのかわからない。つまり、生(=人間である)と死(=もはや人間ではない)の曖昧な境界の中で、耕一に再び生の世界への帰還を強く願う家族の絆、すなわち家族愛をも象徴していると言える(その意味では、家族のテーマと解釈することも可能である)。そうした家族愛を知ることも、人間になるための重要なステップのひとつなのである。

以上分析してきたように、本作のスコアは”歌”を出発点としながら、正統的なクラシックのスタイルと、キャラクターや事象や哲学的問題を象徴するテーマを用い、冒険物語と生命の神話の二重構造を表現した音楽と考えることが出来る。これに近い音楽表現が他に存在するとすれば、それは間違いなく、伝説や神話を題材にした交響詩や楽劇だろう。それほどまでに、壮大なスケールを持つスコアを、映画音楽という枠組みの中で実現してしまったところに、久石の並々ならぬ意欲と作曲家としての矜持が感じられるのである。

最後に、本作の製作中に宮崎監督が愛聴し、物語の中にも影響が現れているワーグナーの楽劇《ワルキューレ》について。

”実は、ポニョが津波に乗ってやってくるシーンのために書いた曲も出来上がっていたのですが、《ワルキューレ》で思い切り行きたいという宮崎監督の意向を尊重し、《ポニョの飛行》という曲を新たに書きました。もちろん、ワーグナーをそのままコピーする気はありませんし、あくまでも僕のオリジナルとして書いているのですが、このシーンに関しては、《ワルキューレ》のような世界観でガーンと行くような音楽を書かなければいけないと。” (2008年6月25日の筆者との取材)

本作が公開された2008年の時点で、ある作曲家が既存のクラシック作品を素材に用いながら、その作曲家のオリジナリティを発揮していくリコンポーズ(再作曲)という概念は、一般にはほとんど知られていなかった。それから10年以上が経過した現在の時点から聴き直せば、《ポニョの飛行》が他ならぬ《ワルキューレ》のリコンポーズだということに気がつくはずだ。このように、既存のクラシック曲を宮崎作品の世界観に即した形で書き改めていく手法は、本作公開の2年後に宮崎監督が発表した短編『パン種とタマゴ姫』において、久石がヴィヴァルディの《ラ・フォリア》をリコンポーズしたスコアでさらなる実験が試みられることになる(文中敬称略)。

2020年12月6日、久石譲の誕生日に
前島秀国 サウンド&ヴィジュアル・ライター

(LPライナーノーツより)

 

 

 

 

崖の上のポニョ/サウンドトラック

品番:TJJA-10032
価格:¥4,800+税
※2枚組ダブルジャケット
(SIDE-A,B,Cに音楽収録 SIDE-C裏面はキャラクターのレーザーエッチング加工)
(CD発売日2008.7.16)
音楽:久石譲 全36曲

新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏に加え、本作では栗友会合唱団による大編成のコーラスが加わり、“海と生命”をダイナミックに表現している。林正子、藤岡藤巻と大橋のぞみの主題歌も収録。

 

Overtone.第41回 「ジョン・ウィリアムズ ライヴ・イン・ウィーン」を聴く

Posted on 2021/05/20

ふらいすとーんです。

映画音楽のレジェンド、ジョン・ウィリアムズです。わりと新しいCD作品から、ジョン・ウィリアムズが到達した偉業の集大成であり、かつ現在進行系でもある、そんなホットなアルバムを紹介します。4回にわたる予定、その4回目になります。

 

前回まで

 

 

黄金ディスクの誕生です!ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、クラシック音楽の歴史をそのまま体現してきたといっていい世界屈指のオーケストラと、ジョン・ウィリアムズ指揮による奇跡のコンサート。毎年「ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート」も開催される、あの黄金のホール音響を完全収録したものです。

 

CD帯にはこうあります。

心躍るメロディが最高の演奏で甦る!最高峰のオーケストラが本気で燃えた、白熱のライヴ映像!

世界最高のオーケストラが10年越しのラヴ・コールを実らせた奇跡のコンサート。映画音楽の神様ジョン・ウィリアムズとウィーン・フィルの全身全霊の気迫がこもった”一期一会”の演奏は聴く者全ての心を鷲掴みしに、元気と勇気を与えてくれるものです。

(CD帯より)

 

 

発売直前には、久石譲はじめ各界著名人がコメントを寄せたことでも話題は広がりました。

 

“これは素晴らしいコンサートだ。ウィーン楽友協会におけるジョン・ウィリアムズの楽曲は、誰でも知っている名曲ばかりで楽しめる。ウィーン・フィルはアメリカのオーケストラとは一味違った奥行きのある演奏で臨んでいるし、ゲストのヴァイオリニスト、アンネ=ゾフィー・ムターも若々しい演奏をしている。ジョン・ウィリアムズの楽曲はクラシック音楽のエッセンスが鏤め(ちりばめ)られており、彼がいかにクラシック音楽を愛でているかわかる。映画音楽の巨匠と世界最高峰のオーケストラの共演であるこのCD及びブルーレイは我々の財産となった。”

久石譲

 

 

結果(いまのところ)。

2020年8月に世界同時発売された本盤は、2020年度オリコン年間クラシックアルバムランキングで第1位を獲得しています。2020年、最も売れたクラシック作品となりました。その人気は日本のみならず、世界のランキングを席巻。アメリカ、イギリス、オーストラリアのクラシカル・チャートでは首位を獲得。ドイツ、オーストリアでは、ポップス・チャート10位圏内にランクイン。ストリーミング回数も1億5千万回を超え、iTunesクラシカル・アルバムチャートでは、世界15ヵ国以上で1位を記録するなど、発売から半年あまりの時点(2020.12月)ですでに快挙です。

 

 

ジョン・ウィリアムズ ライヴ・イン・ウィーン
JOHN WILLIAMS LIVE IN VIENNA

【デラックス盤(日本)】

CD
1.ネヴァーランドへの飛行 (『フック』から)
2.『未知との遭遇』から抜粋
3.悪魔のダンス (『イーストウィックの魔女たち』から)
4.地上の冒険 (『E.T.』から)
5.『ジュラシック・パーク』のテーマ
6.ダートムア、1912年 (『戦火の馬』から)
7.鮫狩り – 檻の用意!  (『ジョーズ』から)
8.マリオンのテーマ (『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』から)
9.メイン・タイトル (『スター・ウォーズ/新たなる希望』から)
10.レベリオン・イズ・リボーン (『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』から)
11.ルークとレイア (『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』から)
12.帝国のマーチ (『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』から)
13.レイダース・マーチ (『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』から)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 
ジョン・ウィリアムズ(指揮)
アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン3 & 13)
録音時期:2020年1月
録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)

[Blu-rayビデオ]
01.ネヴァーランドへの飛行 (『フック』から)
02.『未知との遭遇』から抜粋
03.ヘドウィグのテーマ (『ハリー・ポッターと賢者の石』から) ※
04.『サブリナ』のテーマ ※
05.ドニーブルーク・フェア (『遥かなる大地へ』から) ※
06.悪魔のダンス (『イーストウィックの魔女たち』から)
07.地上の冒険 (『E.T.』から)
08.『ジュラシック・パーク』のテーマ
09.ダートムア、1912年 (『戦火の馬』から)
10.鮫狩り – 檻の用意!  (『ジョーズ』から)
11.マリオンのテーマ (『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』から)
12.レベリオン・イズ・リボーン (『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』から)
13.ルークとレイア (『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』から)
14.メイン・タイトル (『スター・ウォーズ/新たなる希望』から)
15.すてきな貴方 (『シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛』から) ※
16.決闘 (『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』から) ※
17.追憶 (『シンドラーのリスト』から) ※
18.レイダース・マーチ (『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』から)
19.帝国のマーチ (『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』から)
ボーナス:
ジョン・ウィリアムズとアンネ=ゾフィー・ムターの対談 (約27分) ※

※ ブルーレイのみ収録

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ジョン・ウィリアムズ(指揮)
アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン3-6 & 15-18)
収録:2020年1月 ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴ

 

 

パッケージ補足

◇本盤(2020年8月発売)はCD・LP・CD+Blu-ray(デラックス盤)として発売され、さらには日本盤と海外盤ではUHQCD、MQACD(ハイレゾ音源)の可否など、さまざまなタイプがあります。

◇Blu-ray映像はライヴ完全収録で、CDは全19曲から13曲が選ばれています(約74分)。収録時間の影響でしょうか。またCDは曲順が異なり、1曲終わるごとの拍手もきれいにカット、CD作品として聴いてほしいこだわりも伝わってきます。

◇完全収録されているCD+Blu-ray(デラックス盤)をおすすめします。日本盤は、音質も最新技術採用で、映像も日本語字幕付きで曲合間のジョン・ウィリアムズMCも楽しめます。もちろんジョン・ウィリアムズとムターの対談も日本語テロップ付き。

↓ここから最新情報追加↓

◆2021年2月には、2CD完全収録盤(SACDハイブリッド)と、ブルーレイ単体(デラックス盤からの分売)が発売されました。ただ…この2CDは映像から音楽だけを抜き出したような一体化した音像になっています。一般的に観客席から聴いたような。拍手もそのまま入っています。ステージの幾重のマイクから収録した音像は従来盤(CD・LP・CD+Blu-ray)のほうなので、やっぱりデラックス盤をおすすめします。

◆音響ファンもなやます最先端の録音技術でそれぞれパッケージ化されています。CDはどのタイプを選んだとしても、通常の音楽プレイヤー再生OKです。

 

パッケージ全ラインナップは公式サイトをご参照ください。

ユニバーサル・ミュージック・ジャパン|ジョン・ウィリアムズ
https://www.universal-music.co.jp/john-williams/discography/

 

 

ジョン・ウィリアムズが語ったこと

ムジークフェライン(ウィーン楽友協会)で偉大なウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮するという特権は、私の生涯における大きな名誉となりました。有名な大ホールの音響は、伝え聞く通り素晴らしいもので、ドイツ・グラモフォンが見事に演奏を収録しました。オーケストラのあたたかい待遇と、音楽に対する輝かしい熱意にも深い感銘を受けました。世界中の音楽家と聴衆が、同じ空間で音楽の喜びを共有することが困難な現在において、今回の特別なコンサートを愛おしく振り返りながら、私が美しいウィーンで体験した喜びのいくばくかを、リスナーの皆様にお伝えすることが出来ればと願っております。

(CDライナーノーツより)

 

 

レコード芸術誌から四連発!

本盤は、クラシック音楽誌「レコード芸術 2020年9月号」〈先取り!最新盤レビュー〉コーナーでいち早く紹介されただけでなく、翌「レコード芸術 2020年10月号」の新譜月評で特選盤にも選ばれています。専門家たちのレビューも、いつにもまして跳ねるように軽やかで、まるでいちファンのような距離感がこちらにもストレートに伝わってきます。

 

 

個人的なレビューいらずの、音楽専門家たちの声をご紹介します。

 

 

先取り!最新盤レヴュー

ウィーン・フィルで聴く&観る
圧巻のジョン・ウィリアムズの世界

遂にウィーン・フィルを振るジョン・ウィリアムズ

天下のイエロー・レーベルから、ジョン・ウィリアムズが指揮した自作自演集が出る、(~中略~)、今回のディスクで演奏しているのが、ウィーン・フィル(以下VPO)だという情報を目にした時には、さすがにびっくりした。

さて、音を聴いていこうではないか(今回はWAVファイルでの試聴)。ジョン・ウィリアムズに限らず、映画音楽の場合、サウンドトラックが映画館のスピーカーからの再生を前提にしていることもあり、オリジナル・スコアで演奏しても、音圧の面をはじめとして、どこか物足りなく感じるケースもあるのだが、当盤の1曲目に配されている《ネヴァーランドへの飛行》(『フック』から)では、シンフォニックな厚みが十分に確保されているのが好ましい。麗しいホルンの調べをはじめ、VPOのサウンドもじつにすばらしい。

ジョン・ウィリアムズのシンフォニック・スコアが備えているコルンゴルト的な味わい(さらに遡ればマーラーの第7番の終楽章)を、VPOが見事なまでに引き出しているのが圧巻だ。ムターがソロを担当したナンバーでは、その圧倒的なテクニックに加え、絶妙なフレージングと美音が耳に残ることだろう。そして、作曲者本人も絶賛したという《帝国のマーチ》(『スター・ウォーズ』から)もエキサイティングだ。

 

映像盤がつく「デラックス」はいっそうの楽しさ

なお、デラックス盤には、ブルーレイ・ビデオがプラスされ、コンサートの映像(通常盤には入っていない曲も収録)を見ることができる。ジョン・ウィリアムズが指揮台にのぼると、聴衆がスタンディング・オベーションで迎える様子や、真っ青なドレスに身を包んだムターの演奏姿に加え、VPOの楽団員がじつに満足そうに、そして、時には笑みを浮かべながらプレイしているのが確認できる。それこそ、あのムジークフェラインザールのステージには、あふれんばかりに弦楽器奏者たちがひしめき、《メイン・タイトル》(『スター・ウォーズ/新たなる希望』から)では、ウィンナ・ホルン奏者が8人も映っているカットも出てくるほどだ。なるほど、これだけの特大編成であるが故に、豊麗でシンフォニックなサウンドが、喜びをもって湧きあがってくるのだろう。老ジョン・ウィリアムズも、じつに幸せそうに指揮をしている。ここは、ぜひとも、デラックス盤をお勧めしたいと思う。

満津岡信育

(「レコード芸術 2020年9月号 Vol.69 No.840」より 抜粋)

 

 

特選盤

まちがいなく今年最高の話題盤だろう。今年1月、ウィーン・フィルはジョン・ウィリアムズを指揮台に招き、彼の作品ばかりによる演奏会を行なった。当盤はその模様を収める。演奏は最高の一言だ。ウィーン・フィルの輝かしい響きとのびやかな歌いぶりは、ウィリアムズの音楽と予想以上にぴったりで、ハリウッドの映画音楽が目指した理想のサウンドはこれだったのではないかとさえ感じる。ウィーン・フィルはこれまで夏の野外コンサートで『スター・ウォーズ』や『ハリー・ポッター』を演奏したことがあるが、比べものにならない。8曲(CDでは2曲)で独奏を務めるムターも興が乗っている。なお、このアルバムには複数のヴァージョンがあるが、もし買えるなら、ブルーレイ(映像)ディスクの入ったデラックス・エディションを強くお薦めする。CDより6曲も多いし、前島秀国氏の愛情あふれる解説も読めるし、曲間のウィリアムズの話も、短いが面白いし、なにより楽員や聴衆やウィリアムズ自身の笑顔が見られる。彼らの幸せそうな顔を見ていると、近年、20世紀音楽のレパートリー拡大やHIPの普及によってやや存在感の低下していたウィーン・フィルにとって、彼らがもっとも得意とするロマン派から20世紀前半あたりまでのクラシックを随所で参照するウィリアムズの音楽との出会いは、今後、彼らが進むべき道のひとつを示唆する歴史的なできごととなったのではないかとさえ感じた。

 

[録音評]

ステージ上のオーケストラから若干離れたところから見ているサウンド・ステージ。ホール自体の響きの魅力も含めてジョン・ウィリアムズの世界が音色的な深みを獲得。ステージ上の前後の距離感もきちんと見えてくるがさすがにマルチ・マイクで音数の多さの豪華絢爛なこと。ソロ・ヴァイオリンは若干のトリミング感はあるがオーケストラとの一体感も失っていない。CDでもいい録音だが、デコードして聴くとさらに空間の広がりがあり、現場の空気感が見事に再現されている。いい意味で金のかかった録音。

(「レコード芸術 2020年10月号 Vol.69 No.841」より 抜粋)

 

 

さらに(三発目)、翌「レコード芸術 2020年11月号 Vol.67 No.842」連載「View point」(音楽評論家二人が毎月一枚のディスクを取り上げて語りあうコーナー)では、6ページにわたってその魅力についてクラシックな視点で多角度的に語られています。ボリュームがすぎるため、ぜひ本誌を手にとってみてください。

そうして(四発目)、本盤は「レコード芸術」誌が主催する日本で最も権威のあるクラシック音楽賞「2020年度第58回レコード・アカデミー賞」において「特別部門 企画・制作賞」を受賞し高い評価を得ています。

 

 

オススメは溢れる。

夢のコンサートは、夢のディスクになった。黄金の輝きは、世界中の音楽ファンも黄金の笑顔に輝かせた。もうお祭り状態なんだけれど、イベント感に終わらない高い芸術性の到達点。どれほど言葉をついやすよりも、至福の音楽を浴びることで感じること。オススメしたい言葉や気持ちは溢れるばかり、行き着く先は、聴いて!の三文字になってしまいます。

 

 

ドイツグラモフォン公式チャンネルには、いくつか公式動画が公開されています。

 

John Williams & Vienna Philharmonic – Williams: Theme from “Jurassic Park”

ふくよかなホルン、壮観でしなやかな演奏。ウィーン・フィルの美質を輝かせるかのような作品です。ブラームス交響曲の、あのホルン名旋律や重厚な弦楽旋律にも引けを取りません。

 

John Williams & Wiener Philharmoniker – “Main Title” from “Star Wars: A New Hope”

純粋にシンフォニックなオーケストラ作品であり、ライト・モチーフなどの手法はワーグナーにも通じます。映画登場人物たちを象徴する旋律たちが、次々と奏であいながら、壮大な宇宙の物語を表現しています。果てのない宇宙空間が広がっているような、大きな音楽空間です。

 

Marion’s Theme (From “Indiana Jones and the Raiders of the Lost Ark”)

極上のシルクのようなストリングスにうっとりです。やわらかく、なめらかで、つやのある弦楽器の音色に、透明感のある木管楽器。珠玉の宝石のようです。

 

John Williams & Vienna Philharmonic feat. Anne-Sophie Mutter – “Hedwig’s Theme” From “Harry Potter”

クラシック音楽でいう「トランスクリプション(編曲)」の手法で、新たな可能性を示してくれた曲です。パガニーニやリストにもつながる超絶技巧を追求したコンサート・ピースと呼べるものに昇華していて、ムターのパフォーマンスは圧巻です。

CDには収録されなかった6曲は、すべてムター共演曲です。前年『アクロス・ザ・スターズ ~ジョン・ウィリアムズ傑作選』CDに、ウィーン・フィルではないですがセッション録音されすべて収録されています。コンサートからCDへの収録時間の調整で、優先順位からなくなく除外されたものと思われます。

ムターとウィリアムズがつくりあげたCD作品が先にあったからこそ、ウィーン・フィルとの歴史的コンサートで実現できた、ムタープログラムが華を添えるというスペシャルな演出ができたことはたしかです。

 

John Williams & Vienna Philharmonic – Williams: “Devil’s Dance” from “The Witches of Eastwick”

このムター共演曲は、『アクロス・ザ・スターズ ~ジョン・ウィリアムズ傑作選』発売時にはない、本盤CDに収録された世界初録音です。冒頭から1分間の緊張感にみちた無伴奏のヴァイオリン独奏は、もう映画音楽とは思えないほどです。アクロバティックな技術を、美麗にエモーショナルに聴かせるムターは、音楽のむずかしさではなく、音楽の魅力や楽しめる表現力で魅せてくれます。

 

John Williams & Vienna Philharmonic – Williams: Imperial March (from “Star Wars”)

from ドイツ・グラモフォン公式YouTube

ほとんど原曲から不変なこの楽曲は、最初からフル・オーケストラを前提にした楽曲であった証です。ウィーン・フィルの金管楽器奏者たちたっての希望でプログラムに追加されアンコールで披露されました。ジョン・ウィリアムズも「これまでで最高の演奏のひとつ」と語ったほど渾身の演奏です。

曲がはじまってからすぐに反応する、観客たちの最高潮に達したボルテージもすごいです。映像では熱気そのままに伝わってきますが、CD盤ではきれいに観客側の音はすべてカットされています。この曲だけでなく、全曲にいえることですが、曲が終わるごとに拍手喝采の起こったコンサート。曲終結部に起こる食い気味な拍手も歓声も、すべてきれいにカットされています。臨場感はライヴ音響そのままに、楽器ごとの音を細かく拾うマイクで、CD作品としても聴いてほしいこだわりを極めた、感嘆のため息がもれます。

ライブ会場の観客のリアクションを見ながら、まるで自分も観客の一員になれたような感覚になります。祝祭ムードに包まれたコンサートは、映像からも音楽からもきらびやかな喜びや幸せが舞っているようです。こんなにも心揺さぶられる、自然と笑顔になる、エネルギーが湧きあがってくる。コンサートは現代文化の宝物です。

 

 

ドイツ・グラモフォン公式チャンネルには、上の映像盤からの公式動画だけでなく、CD盤全13曲の公式音源も公開されていると思います。

また、CDライナーノーツは一曲ごとに充実した楽曲解説になっています。久石譲CD作品でもおなじみ前島秀国さんによる音楽的解説と、映画シーンから見た視点なども盛り込まれ、とても深く紐解いた分析になっています。ぜひ手にとってみてください。

 

 

「ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート」のジョン・ウィリアムズ映画音楽版といっていいほどです。ウィーンにゆかりのある曲たちで構成されたニューイヤー・コンサートと同じように、映画音楽のみでプログラムされた演奏会。そんななかでも、有名どころのメインテーマを並べたわけではない、短い曲を抜群の選曲と流れで配置し、飽きさせないフルコースのように仕立てられています。このあたりの曲と曲の流れるようなテンポ感もニューイヤー・コンサートに近いです。『E.T.』や『シンドラーのリスト』からの曲は、曲の後半ではじめてメインテーマが登場するなど、主題曲からではない再現部のような構成をもった楽曲が選ばれていて、あとから追いかけてくる感動があります。夢のテーマパークを、フリーパスで心おきなく楽しんだような幸せなコンサートです。

 

現代の大衆娯楽と伝統的な芸術のひとつの到達点。「カルミナ・ブラーナ」(カール・オルフ)だって、当時の大衆文化や世俗習慣を大いに盛り込んだ作品として誕生し、今ではクラシック音楽演奏会で人気のある作品になっています。現代の大衆娯楽である映画、その映画音楽のなかには伝統的な芸術であるオーケストラ作品として独立できる楽曲がある。オーケストラの魅力を伝えることのできる作品に、これはポップス寄りだとかこれは邪道だとか、、ジャンルの先入観や境界はもういらない。ジョン・ウィリアムズ×ウィーン・フィルの歴史的な公演は、そのことを力強く高らかに宣誓してくれました。

 

 

ジョン・ウィリアムズのCD作品は、年代ごとにいろいろなコンセプト盤やベスト盤が刻まれてきました。僕も同じ歩みで聴いてきたCDも多いなか、いくつか聴きなおしながら、今おすすめしたい4枚のディスクを4回にわたって紹介してきました。それぞれしっかりとしたカラーやコンセプトのあるアルバムです。ぜひゆっくり選んで聴いてみてください。

それではまた。

 

reverb.
この奇跡のコンサートは、COVID-19前夜の2020年1月開催でした。

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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Info. 2021/05/05 新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」劇中曲の配信決定、「風の伝説」「王蟲との交流」など6曲 (Webニュースより)

Posted on 2021/05/05

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」劇中曲の配信決定、「風の伝説」「王蟲との交流」など6曲

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」のサウンドトラックが、本日5月5日にiTunes Store、Amazon Musicほか配信サイトで販売された。 “Info. 2021/05/05 新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」劇中曲の配信決定、「風の伝説」「王蟲との交流」など6曲 (Webニュースより)” の続きを読む

Disc. V.A. 『新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」サウンドトラック』

2021年5月5日 デジタルリリース ANTCD-38078

 

2021年上演 新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」

 

このたび配信が決定したのは、久石譲が作曲、新内多賀太夫が編曲を手がけた「風の伝説」「王蟲との交流」「鳥の人」と、新内が作曲した「ナウシカのテーマ」「クシャナのテーマ」「巨神兵のテーマ」の劇中曲6曲。いずれも作品の世界観に合わせ、和楽器で演奏された楽曲となる。

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」は、2019年に東京・新橋演舞場で上演された作品。宮崎駿の同名マンガをもとにした本作では、脚本を丹羽圭子と戸部和久、演出をG2が務め、全7幕で原作のストーリーすべてが舞台化された。出演者にはナウシカ役の尾上菊之助、クシャナ役の中村七之助らが名を連ねている。なお今年1月には、公演映像が収められたBlu-ray / DVDがウォルト・ディズニー・ジャパンから発売された。

(Webニュースより)

 

 

上演版およびパッケージ化されたDVD本編は、エンドロールに流れる「風の伝説」「鳥の人」は終結部のバージョンが異なっている。具体的には楽曲構成(パート展開や時間)とアレンジが少し違う。

 

 

1.風の伝説  新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」より
作曲:久石譲 編曲:新内多賀太夫
2.王蟲との交流  新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」より
作曲:久石譲 編曲:新内多賀太夫
3.鳥の人  新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」より
作曲:久石譲 編曲:新内多賀太夫
4.ナウシカのテーマ  新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」より
作曲:新内多賀太夫
5.クシャナのテーマ  新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」より
作曲:新内多賀太夫
6.巨神兵のテーマ  新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」より
作曲:新内多賀太夫

 

Info. 2021/04/30 「久石譲コンサート 2021 in ザ・シンフォニーホール」ライヴ映像公開

Posted on 2021/04/30

3月24日開催「久石譲コンサート 2021 in ザ・シンフォニーホール」のコンサート模様が、アンコールまでふくめて動画公開されました。

ぜひご覧ください。 “Info. 2021/04/30 「久石譲コンサート 2021 in ザ・シンフォニーホール」ライヴ映像公開” の続きを読む

Info. 2021/04/21-27 「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ2021」コンサート・ツアー開催決定!! 【重要 4/27 Update!!】

Posted on 2021/03/08

久石譲&W.D.O.2021のお知らせ

久石譲と新日本フィルによるワールド・ドリーム・オーケストラ、2年ぶりの公演決定!待望のシンフォニーNo.2、いよいよ完成。そして交響組曲「もののけ姫」完全版を披露。 “Info. 2021/04/21-27 「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ2021」コンサート・ツアー開催決定!! 【重要 4/27 Update!!】” の続きを読む

【お知らせ】「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」レポート掲載しません

Posted on 2021/04/25

4月21日~27日「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」コンサートにおいて、緊急事態宣言に伴い25日・27日公演が中止となってしまいました。あわせて27日公演のライブ配信も中止となってしまいました。 “【お知らせ】「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」レポート掲載しません” の続きを読む

Info. 2021/04/25 ジブリ名曲生んだ久石譲 70歳でオケ首席客演指揮者に (日本経済新聞より)

Posted on 2021/04/25

ジブリ名曲生んだ久石譲 70歳でオケ首席客演指揮者に
「新しいクラシックやる」日本センチュリー交響楽団で

作曲家の久石譲が日本センチュリー交響楽団(大阪府豊中市)の首席客演指揮者に就任した。70歳にして、オーケストラの正式な指揮者ポストに挑戦する。 “Info. 2021/04/25 ジブリ名曲生んだ久石譲 70歳でオケ首席客演指揮者に (日本経済新聞より)” の続きを読む

Info. 2021/04/21 スタジオジブリアナログ盤シリーズ完結記念 制作者座談会 前編/後編 (アニソン on VINYLより)

Posted on 2021/04/21

(4月14日付け)

4月24日(土)開催のアニソン on VINYLで「崖の上のポニョ」「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」がリリースされ、『宮崎駿・高畑勲 監督&音楽 久石譲』作品アナログ盤シリーズがついに完結。シリーズ全25作品の完結を記念し、制作者による座談会を実施!制作秘話やアナログ盤の魅力をたっぷりと語って頂きました。 “Info. 2021/04/21 スタジオジブリアナログ盤シリーズ完結記念 制作者座談会 前編/後編 (アニソン on VINYLより)” の続きを読む