Disc. 久石譲 『宮崎アニメ The BEST』

久石譲 『宮崎アニメ The BEST』

1993年12月21日 CD発売 TKCA-70248
1993年12月21日 CT発売 TKTA-20351
2004年9月29日 CD発売 TKCA-72748

 

スタジオジブリ作品 「風の谷のナウシカ」から「紅の豚」まで
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「紅の豚」各イメージアルバム、サウンドトラックより、メインテーマや主題歌など主要楽曲を収録したベスト盤。

オリジナル楽曲収録アルバムは曲名右に記載している。

 

 

久石譲 『宮崎アニメ The BEST』

1. オープニング「風の谷のナウシカ」 (風の谷のナウシカ サントラより)
2. 風の谷のナウシカ 歌:安田成美 ※シングル盤
3. エンディング「鳥の人」 (風の谷のナウシカ サントラより)
4. 空から降ってきた少女 (天空の城ラピュタ サントラより)
5. 天空の城ラピュタ (天空の城ラピュタ イメージアルバムより)
6. 君をのせて 歌:井上あずみ ※シングル盤
7. さんぽ 歌:井上あずみ (となりのトトロ サントラより)
8. まいご 歌:井上あずみ (となりのトトロ イメージソング集より)
9. おかあさん 歌:井上あずみ (となりのトトロ イメージソング集より)
10. 風のとおり道 ~Acoustic Version (となりのトトロ サウンドブックより)
11. となりのトトロ 歌:井上あずみ (となりのトトロ サントラより)
12. めぐる季節 歌:井上あずみ (魔女の宅急便 ヴォーカルアルバムより)
13. 鳥になった私 歌:宝野ありか (魔女の宅急便 ヴォーカルアルバムより)
14. 好きなのに ! 歌:宝野ありか (魔女の宅急便 ヴォーカルアルバムより)
15. アドリア海の青い空 (紅の豚 イメージアルバムより)
16. マルコとジーナのテーマ (紅の豚 イメージアルバムより)

音楽/久石譲

 

Disc. 久石譲 『水の旅人 -侍KIDS- オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『水の旅人 オリジナル・サウンドトラック』

1993年8月4日 CD発売 KICS-335

 

1993年公開 映画「水の旅人」
監督:大林宣彦 音楽:久石譲 出演:山崎努 他

 

 

「あなたになら…」 中山美穂

1993年7月7日 CDS発売 KIDS-141

あなたになら 水の旅人 中山美穂

1. あなたになら… 作詞:中山美穂 作曲・編曲:久石譲
2. Holiday 作詞:田久保真見 作曲:尾関昌也 編曲:URAN
3. あなたになら… (オリジナル・カラオケ)

 

先行シングルとして主題歌が発売されている。オリジナル・サウンドトラック盤では短縮バージョンとなっているが、こちらではフル・バージョンとしてリリースされた。

 

 

音楽=久石譲インタビュー
「水の旅人」 音と映像のアンサンブル

-今回の『水の旅人』の映画音楽づくりは、どんなところから始められたんですか?

久石:
今回はまずふたつのポイントがありましてね。ひとつは『タスマニア物語』に続いて手掛けるフジテレビの大作ということで、その風格というか、そういう感覚、スタンスがまずある。もうひとつは、大林さんの映画の音楽をずっとやってきているということ。ここには、はっきりとした大林宣彦の世界があるわけです。フジテレビに大林さん、両方とも自分が関わってきて、それがここで一緒になっちゃったわけですよね。ですから、大作としての風格と大林作品が持っているヒューマンな部分とが、全部生かされるような音楽を一番意図したわけです。

-結果としてはいかがでしたか?

久石:
まずメインテーマですが、これはロンドン・シンフォニーオーケストラ85人を使って実に壮大なシンフォニーを作りました。

-ロンドン・シンフォニーというと『スター・ウォーズ』などを手掛けたジョン・ウィリアムズもよく使うところですね。

久石:
そうです。ですからメインテーマは男性的なメロディというか、力強いテーマですね。圧倒するぞって感じです(笑)。ロンドン・シンフォニーのメンバーも興奮してたし、喜んでましたよ。ただこうしたスケール感の大きいメロディに対して、やはりみんな久石メロディといったものを望むでしょうから、主題歌のヴォーカルの方は極力心の優しさといったものを出したつもりです。

-主題歌は今回中山美穂さんですね。

久石:
ええ。ヴォーカルのレコーディングもロンドンでやりました。これは映画の最後のエンディングロールで流れるんですが、メインテーマと主題歌と、共に映画音楽の顔に当たる曲を自分なりにかなりの完成度で、思い通りに仕上げることができて僕自身は非常に満足しています。

Blog. 映画『水の旅人 -侍KIDS』(1993) 久石譲インタビュー 劇場用パンフレットより 抜粋)

 

 

 

久石譲 『水の旅人 オリジナル・サウンドトラック』

1. 水の旅人~プロローグ~
2. 悟と家族
3. カルチャーワルツ
4. 悟と少名彦
5. 公園の散歩道
6. カラスとの決闘
7. 夢を叶えて
8. ダムに沈む村
9. 水車小屋
10. レクイエム
11. 父の宝物
12. 武士道
13. 少名彦の願い
14. ウォーターシュート
15. 悟の願い
16. 水の旅人~メイン・テーマ~
17. あなたになら…~オリジナル・サントラ・ヴァージョン (歌:中山美穂)

Produced by JOE HISAISHI

All Songs composed and arranged by JOE HISAISHI

Recorded and Mixed by
MIKE JARRATT (for Abbey Road Studios)
Steve “Barney” Chase (for THE TOWNHOUSE)
SUMINOBU HAMADA (for Wonder Station)
TORU OKITSU (for Wonde Station)

Recorded and Mixed at
Abbey Road Studios , Air Studios , Lyndhurst Hall , Wonder Station
Avaco Creative Studios , Kawaguchiko Studio

Performed by
London Symphony Orchestra [1,7,16]

Dedicated to memory of MIKE JARRATT

 

Disc. 久石譲 『紅の豚 BOX ベスト・セレクション』

1992年12月21日 CD発売 TKCA-30732

 

1992年公開 スタジオジブリ作品 映画「紅の豚」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

本作品は、『紅の豚 イメージアルバム』と『紅の豚 サウンドトラック』から選曲された全14曲と、紅の豚オリジナル・グッズ「懐中時計」をセットにしたBOX作品。

 

紅の豚BOX 懐中時計

(オリジナルグッズ:懐中時計)

 

収録内容

『紅の豚 イメージアルバム カッコイイとは、こういうことさ。』より
Track 1,3,6,10,11

『紅の豚 サウンドトラック 飛ばねぇ豚は、ただのブタだ!』より
Track 2,4,5,7,8,9,12,13,14

 

 

 

紅の豚 BOX ベストセレクション sc

1. アドリア海の青い空
2. 時代の風 -人が人でいられた時-
3. ダボハゼ
4. 帰らざる日々
5. セリビア行進曲(マーチ)
6. 雲海のサボイア
7. Doom -雲の罠-
8. Fio Seventeen
9. ピッコロの女たち
10. 冒険飛行家の時代
11. アドリアーノの窓
12. 失われた魂 -LOST SPIRIT-
13. Porco e Bella -Ending-
14. 時には昔の話を 歌:加藤登紀子

プロデュース、コンポーズ&アレンジ:久石譲

 

Disc. V.A. 『青春デンデケデケデケ オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『青春デンデケデケデケ オリジナル・サウンドトラック』

1992年11月25日 CD発売 TOCP-7156

 

1992年公開 映画「青春デンデケデケデケ」
監督:大林宣彦 音楽:久石譲

 

本作品に収録されている楽曲でアーティスト名”ロッキング・ホースメン”とは、映画本編にて登場人物たちが結成したバンドであり、その劇中でも演奏された音源が収録されている。

 

映画ラスト10分間の音楽を依頼された久石譲は、4ビートで昔なつかしいハリウッド調の音楽を書き下ろす。これを非常に気に入った大林監督は、オープニングや中盤でも流し映画全体を有機的につなげるように使っている。これは久石譲が書き下ろした楽曲の、そのバリエーションを書いていたものを使ったもので、久石譲は当時を振り返り「新しい音楽の付け方を知った映画となった」と語っている。

 

 

久石譲 『青春デンデケデケデケ オリジナル・サウンドトラック』

1. 青春のモニュメント(オープニング)/久石譲
2. パイプライン/ベンチャーズ
3. ロック・アラウンド・ザ・クロック/ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツ
4. 青春のモニュメント(ピアノ)/久石譲
5. 慕情/レターメン
6. パサディナのおばあちゃん/ジャン&ディーン
7. ウォーク・ドント・ラン/ベンチャーズ
8. ダイアモンド・ヘッド/ベンチャーズ
9. モナ・リザ/ナット・キング・コール
10. いとしのパオラ/アダモ
11. のっぽのサリー/ロッキング・ホースメン
12. 悲しき願い/アニマルズ
13. ジングル・ベル/ロッキング・ホースメン
14. プリティ・ウーマン/ロッキング・ホースメン
15. 渚のデート/コニー・フランシス
16. ボーイハント(日本語)/コニー・フランシス
17. 青春のモニュメント(トランペット)/久石譲
18. 太陽のかなたに/ロッキング・ホースメン
19. アイ・フィール・ファイン/ロッキング・ホースメン
20. 青春のモニュメント(フルサイズ)/久石譲
21. ジョニー・B・グッド/ロッキング・ホースメン
22. 青春のモニュメント/久石譲

 

Disc. 久石譲 『アニメージュ・コンプリート・コレクション』

アニメージュ・コンプリート・コレクション

1992年11月25日 CD発売 TKCA-30706
1992年11月25日 CT発売 TKTA-20266

 

スタジオジブリ作品 「風の谷のナウシカ」から「紅の豚」まで
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「紅の豚」各イメージアルバム、サウンドトラックより、メインテーマや主題歌など主要楽曲を収録したベスト盤。

オリジナル楽曲収録アルバムは曲名右に記載している。

 

 

アニメージュ・コンプリート・コレクション

1. 時代の風 ~人が人でいられた時~ (紅の豚 サントラより)
2. 空飛ぶ宅急便 (魔女の宅急便 サントラより)
3. 風のとおり道 歌:杉並児童合唱団 (となりのトトロイメージソング集より)
4. さんぽ (合唱つき) 歌:井上あずみ・杉並児童合唱団 (となりのトトロ サントラより)
5. Porco e Bella (紅の豚 サントラより)
6. 空から降ってきた少女 (天空の城ラピュタ サントラよりより)
7. 風の谷のナウシカ~オープニング (風の谷のナウシカ サントラより)
8. 遠き時代を求めて (紅の豚 サントラより)
9. となりのトトロ 歌:井上あずみ (となりのトトロ サントラより)
10. すすわたり 歌:杉並児童合唱団 (となりのトトロ イメージソング集より)
11. おかあさん 歌:井上あずみ (となりのトトロ イメージソング集より)
12. ねこバス 歌:北原拓 (となりのトトロ イメージソング集より)
13. 小さな写真 歌:久石譲 (となりのトトロ イメージソング集より)
14. マルコとジーナのテーマ (紅の豚 イメージアルバムより)
15. 世界って広いわ (魔女の宅急便 イメージアルバムより)
16. 君をのせて 歌:井上あずみ (天空の城ラピュタ サントラより)
17. アドリアの海へ (紅の豚 サントラより)
18. 旅立ち (魔女の宅急便 サントラより)
19. 天空の城ラピュタ (天空の城ラピュタ サントラより)
20. 鳥の人~ナウシカのテーマ (風の谷のナウシカ イメージアルバムより)

音楽/久石譲

 

Disc. 久石譲 『紅の豚 ドラマ編』

1992年9月25日 CD発売 TKCA-30683
1992年9月25日 CT発売 TKTA-20255

 

1992年公開 スタジオジブリ作品 映画「紅の豚」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

本作品は映画本編を映像なしの音声のみで聴く作品である。BGMはもちろんセリフや効果音などもそのまま収録されている。

 

 

紅の豚 ドラマ編

1. 空の賞金稼ぎ〜さくらんぼの実る頃〜
歌:加藤登紀子 (by the courtesy of Sony Records)
2. ピッコロの孫娘
3. 飛行艇乗りの誇り
4. 最後の夏〜時には昔の話を〜
歌:加藤登紀子 (by the courtesy of Sony Records)

 

Disc. 久石譲 『Symphonic Best Selection』

久石譲『Symphonic Best Selection』

1992年9月9日 CD発売 TOCT-6675
1992年12月2日 MD発売 TOYT-5018
2003年7月30日 CD発売 TOCT-25123

 

東京芸術劇場にて公演されたシンフォニックコンサートのライブ音源

 

 

寄稿

それまではスクリーンやブラウン管の向こう側に見え隠れしていた姿をかなりはっきりさせた形で一般の音楽ファンに見せたのが『I AM』だとしたら、久石譲は『MY LOST CITY』という力作を通過していよいよその巨大な姿を見せてしまった。

僕は今、完成したライブ・アルバムを聞いてはっきりとそう思う。5月20日と21日の両日、東京芸術劇場大ホールのステージで金洪才の指揮する新日本フィルハーモニー交響楽団をバックにピアノを弾く姿を見ながらもそのことは十分過ぎるほど予感はしていたが、CDというひとつの形になった時に、作曲家としても、編曲家としても、ピアニストとしても久石譲が稀有な魅力と才能の持主であることをこの最新作は理屈抜きで示している。

そして『MY LOST CITY』のオープニング・ナンバー「プロローグ」について、彼自身が書いた「僕にとってのピアノとストリングス、それは永遠に彷徨う旅人の心を歌うには最も相応した形態だ。新しい旅の始まり。」というコメントを引き合いに出せば、この最新作は彼が映像と音楽という無限の荒野を歩んできた長い旅のひとつの集大成でもある。演奏されているどの曲にも例外なく永遠の生命力がみなぎっているのも”いい音楽”が流行や傾向といったものに関係なく存在し続けることの証しと言えるだろうし、スケールの大きさと繊細さ、オーソドックスと前衛がうまく同居したストリングスの編曲の巧みさについては、リスナーに聞くたびに新たな発見の喜びをもたらしてくれるだろう。

立川直樹

(寄稿 ~CDライナーノーツより)

 

 

「完全決定ではないんですが、このライヴをやった時には、一応ライヴ盤も作ってみようという発想はあったんです。ただああいうクラシックの形態だと後で手直しがきかないんですよ。ですから、上がったもののクオリティによって出すか出さないかを最終的に決めようというスタンスはとってたんです。ただ、録るということに対する最大限の努力としてアビー・ロード・スタジオのチーフ・エンジニアのマイク・ジャレットを呼んだりとか、サウンドのクオリティが高いものになるよう万全は期したつもりです。」

「従来のソロ・アルバムとはまったく違うタイプですから、まったく違うものとして満足しています。中にはミス・タッチもあれば、オケとずれたりとか、いろんな部分があるんですが、その時、お客さんがいてオーケストラがいて僕がいてという独特の熱気、そういうのはスタジオ作品ではちょっと味わえないものがあるんですね。それが出てる部分で僕は凄く満足しています。特に本当にその場でテンポが揺れて気合で行くような時が多いライヴは、その時のエモーショナルな部分っていうのがそのまま演奏に出てくるから、そういう意味で作品がうまく再現されているということです。」

「基本的にクオリティの高い音楽をやっているから、音楽性を求める人に聴いて欲しいですよね。でももっと大事なのは、そういう音楽性の高い人にしかわからない音楽をやってるつもりはなくて、「あら、きれいなメロディだわ、ちょっとバックに流しながらお風呂に入っちゃおう」みたいなノリでもいいんですよ。それからその人がいろんな音楽を聴いて自分の音楽的レベルが上がると「このレコードこんなこともやってるんだ」というように、なおさら楽しいレコードが自分の理想なんですよ。不特定多数の聴ける音楽ができればいいなあと思います。」

Blog. 「キーボード・マガジン 1992年10月号」「Symphonic Best Selection」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

(MDパッケージ)

 

 

久石譲『Symphonic Best Selection』

「ナウシカ組曲」
1. 風の伝説
2. 谷への道
3. 鳥の人
「I am」より
4. DREAM
「MY LOST CITY」
5. PROLOGUE〜DRIFTING IN THE CITY
6. 1920〜AGE OF ILLUSION
7. SOLITUDE〜IN HER…
8. CAPE HOTEL〜MADNESS
9. 冬の夢
10. TANGO X.T.C.
「MELODY FAIR」
11. 魔女の宅急便
12. レスフィーナ
13. 天空の城ラピュタ
14. タスマニア物語

All Composed & Arranged by Joe Hisaishi

Produced by Naoki Tachikawa
Recording & Mixing Engineer:Mike Jarratt (Abbey Road Studio)
Mixed at Wonder Station, Tokyo

Musicians are:
Joe Hisaishi / Piano
Kim Hang Je / Strings, Conductor
Yasushi Toyoshima / Violin Solo (N.J.P)
Mitsuo Ikeda / Bandonéon
New Japan Philharmonic

ピアノ:久石譲
指揮:金洪才
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
録音:1992年5月21,22日 東京芸術劇場

 

Disc. 久石譲 『紅の豚 サウンドトラック』

久石譲 『紅の豚 サウンドトラック』

1992年7月25日 CD発売 TKCA-30596
1992年7月25日 CT発売 TKTA-20245
1997年5月21日 CD発売 TKCA-71156
2020年3月11日 LP発売 TJJA-10023

 

1992年公開 スタジオジブリ作品 映画「紅の豚」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

映画本編で使用された楽曲を収録したサントラ盤。アコースティックなサウンドにこだわり、ほぼ70名のフルオーケストラで録音。収録は1992年5~6月に行われた。加藤登紀子の歌2曲も収録。本作から、LPの発売は行われなくなった。

 

 

同時代に生きるアーティストとして
音楽監督・久石譲

「紅の豚」は、宮崎監督との仕事では「ナウシカ」から数えて、もう5作目になります。最初の打ち合わせでちょっと驚いたのは、映画の舞台が1920年代末期だという事。というのは、そのとき制作中だったソロアルバム(「My Lost City」 東芝EMI)でテーマにしていたのが、1920年代、アールデコの時代だったんです。同じ時代を生きるアーティストとして、どこか通じるところがあったのかも知れません。

ただ、通じ合ったということがイコール、音楽のレベルに結びつくとは限らない。たとえば「トトロ」ですが、自分の得意とする分野ではないのですが、それがかえって客観的かつ冷静に作れたせいか、思わぬ?レベルに達していてとても気に入っています。

そういう意味でいうと、今回もすべてスムーズに行ったというわけではありません。僕も宮崎監督も、お互いに妥協することが嫌いな方ですから(笑)。しかし、それによってこちらのテンションも上がったし、それがより高いレベルでの仕事につながったと思います。また今回はアコースティックなサウンドにこだわって70名のフルオーケストラでほぼ録音しました。

とにかく幸運にも、5作品も一緒に仕事をしてくると、毎回毎回が真剣勝負ですね。

1992年6月4日、アオイスタジオにて談

(CDライナーノーツより)

 

 

久石:
宮崎さんの個人的な思いが結構強く出てる映画ですよね。宮崎さんが前面に出てくるときの音楽のあり方っていうのは、僕はあんまりうまくなかった。どちらかというと、うんと引いてやるべきだったんだけれども、舞台がアドリア海で空飛ぶっていうので、ちょっと活劇調に振りそうになる部分と、そうじゃなくてほんとにパーソナルな思いっていうところで、たぶん僕があんまりこの作品を理解していなかったのかもしれない。今でもちょっとそれは反省してるんですよね。

鈴木:
いや、でも素晴らしかった。忘れもしない、久石さんにスタジオに来てもらって、宮崎の注文は「恥ずかしい曲を作ってください!盛り上げてください!」。いろいろな映画を観るとここで盛り上げるっていうときにほとんどの曲が盛り上がらない、そんな曲ばかり聴いてるとうんざりすると。でも久石さんなら、そこでほんとに高々に盛り上げてくれる曲、それをやってほしい、見事に期待に応じてくれたんですよ。だからあの曲ができたときに、宮崎が大喜びしたのを覚えています。

久石:
個人的にはある種映画「カサブランカ」のようなイメージで。ノスタルジックなんだけど男のかっこよさみたいな、そんなのが出たらいいなあっていう感じです。

鈴木:
ほんと一発で宮崎が気に入りましたから。(マルコとジーナのテーマを口ずさむ)久石さんのピアノで弾くところが宮崎が好きだったんですけどねえ、実にそれがうまくいって、絶賛でした。

Blog. NHK FM 「今日は一日”久石譲”三昧」 番組内容 -トーク編- より抜粋)

 

 

「嬉しかったのは、宮崎さんが舞台を1920年代の末に設定してこの映画を作り、そのことをまったく知らない状態で、僕も1920年代にこだわって『My Lost City』を作っていたことだ。およそ10歳、ワンジェネレーション離れている宮崎さんと僕が、同じ時期に、同じ時代のことを想定しながら、自分のいちばん大切なものを同時に作っていた。そのことにとても運命的なものを感じた。同じ時代を想定して作ったせいもあるだろう、宮崎さん自身も、僕の『My Lost City』をとても気に入ってくれた。「あの曲が全部欲しい、全部『紅の豚』に欲しい」と言っていたほどだ。事実、オープニングの曲は、『My Lost City』の「1920~Age of Illusion」を想定したものを書いて欲しいという依頼で作ったし、壊れた飛行機をもう一回作り直して、細い運河から飛び立つシーンは、『My Lost City』の「狂気」をそのまま使っている。」

(映画『紅の豚』 宮崎駿監督が久石譲に渡した詩の世界)

 

 

「時には昔の話を」(宮崎駿・加藤登紀子著)は、映画『紅の話』のエンディング用に宮崎駿監督が描き下ろした22枚の絵や、加藤登紀子さんとの対談、たくさんの詩がおさめられた大人の絵本的な作品。その本には5つの詩も収められている。「飛行艇乗りのタンゴ」「上昇」「黄昏のアドリア海」「夜間飛行」「秘密の庭」「メリーゴーランド」=詩/宮崎駿 これらの詩は映画『紅の豚』の音楽を久石譲にお願いするにあたり、音楽作りのヒントとして手渡されたものである。

なおこの本に収録されている22枚のイラストからの一部抜粋や、宮崎駿と加藤登紀子さんによる対談内容は、「ジブリの教科書 7 紅の話」にも収録されている。宮崎駿監督の6つの詩は本著のみ収録。

 

 

 

2020.03 Update

2020年発売LP盤には、新しく書き下ろされたライナーノーツが封入された。時間を経てとても具体的で貴重な解説になっている。

 

 

 

 

久石譲 『紅の豚 サウンドトラック』

1 .時代の風 -人が人でいられた時-
2. MAMMAIUTO(マンマユート)
3. Addio!(アディオ)
4. 帰らざる日々
5. セピア色の写真
6. セリビア行進曲(マーチ)
7. Flying boatmen
8. Doom -雲の罠-
9. Porco e Bella(ポルコ エ ベッラ)
10. Fio Seventeen
11. ピッコロの女たち
12. Friend
13. Partner ship
14. 狂気 -飛翔- (「My Lost City」より)
15. アドリアの海へ
16. 遠き時代を求めて
17. 荒野の一目惚れ
18. 夏の終わりに
19. 失われた魂 -LOST SPIRIT-
20. Dog fight
21. Porco e Bella -Ending-
22. さくらんぼの実る頃 歌:加藤登紀子
23. 時には昔の話を 歌:加藤登紀子

 

Porco Rosso (Original Soundtrack)

1.The Wind of Ages – When a Human Can be a Human
2.Mammaiuto
3.Addio!
4.Bygone Days
5.A Picture in Sepia
6.Serbian March
7.Flying Boatmen
8.Doom – Trap of Clouds
9.Porco e Bella
10.Fio – Seventeen
11.Women of Piccolo
12.Friend
13.Partnership
15.To the Adriatic Sea
16.In Search of the Distant Era
17.Love at the First Sight in the Wildness
18. At the End of the Summer
19.Lost Spirit
20.Dog Fight
21.Porco e Bella – Ending

*Track.14はデジタル収録されていない

 

Porco Rosso
(France, 1995) LBS 10 950602

1.L’EPOQUE DU VENT – Le temps où l’Homme était un Homme
2.MAMMAIUTO
3.ADDIO
4.LES JOURS SANS RETOUR
5.LA PHOTO COULEUR SEPIA
6.SERIVIA MARCH
7.FLYING BOATMEN
8.DOOM-LE PIEGE DES NUAGES
9.PORCO E BELLA
10.FIO-SEVENTEEN
11.LES FEMMES DE PICCOLO
12.FRIEND
13.PARTNERSHIP
14.VERS L’ADRIATIQUE
15.A LA RECHERCHE DU TEMPS PASSE
16.COUP DE COEUR DANS LE DESERT
17.LA FIN DE L’ETE
18.LOST SPIRIT
19.DOG FIGHT

 

붉은 돼지 Original Soundtrack
(South Korea, 2004) PCKD-20158

1.시대의 바람 -사람이 사람다울 때-
2.MAMMA AIUTO
3.Addio!
4.지난날
5.세피아 색의 사진
6.세르비아 행진곡
7.Flying Boatmen
8.Doom -구름의 덫-
9.Porco e Bella
10.Fio – Seventeen
11피코로의 여인들
12.Friend
13.Partner ship
14.광기 비상 –
15.아드리아해를 향해
16.머나먼 시대를 찾아서
17.황야에서의 첫 만남, 그리고 사랑
18.여름의 끝자락
19.잃어버린 영혼 -LOST SPIRIT-
20.Dog fight
21.Porco e Bella -Ending-
22.체리가 익어갈 무렵
23.때로는 옛 이야기를

 

Disc. 久石譲 『君だけを見ていた』

久石譲 『君だけを見ていた』

1992年3月4日 CDS発売 TODT-2810

 

1992年放送 フジテレビ系ドラマ「大人は判ってくれない」

オープニング・テーマ曲「君だけを見ていた」
エンディング・テーマ曲「Tango X.T.C」

 

 

両A面シングルとして発売された。「Tango X.T.C.」は約1ヶ月前にリリースされたオリジナル・ソロアルバム『My Lost City』収録と同曲である。

「君だけを見ていた」はファンのあいだでも人気の高い幻の名曲である。幻と言われる所以は、このシングル盤しか存在せず、アルバム等には未収録楽曲だからである。またオリジナル版のみならず、リアレンジなどでも収録はなく、唯一コンサートDVDにて久石譲ピアノ・ソロ・ヴァージョンを聴くことができる。

そのピアノ版をも今となっては貴重な記録となっている。

 

 

 

 

 

 

久石譲 『君だけを見ていた』

1.君だけを見ていた
2.TANGO X.T.C.

「君だけを見ていた」
Joe Hisaishi:Paino & SYnth.
Kisyoshi Hiyama:Chorus
Fujimaru Yoshino:Guitar
Fumihiko Kazama:Accordion
Masatsugu Shinozaki:Strings
Recorded at
Wonder Station, Tokyo
Hitokuchizaka Studio, Tokyo

「Tango X.T.C.」
Joe Hisaishi:Piano & Synth.
Richard Galliano:Bandonéon
Phil Todd:Sax
Chris Laurence:Bass
Recorded at
Abby Road Studio, London
Studio Guillame Tell, Paris

 

Disc. 久石譲 『My Lost City』

My Lost City

1992年2月12日 CD発売 TOCT-6414
2003年7月30日 CD発売 TOCT-25122

 

1920年代、アール・デコの時代にインスピレーションを抱いた会心作

ロンドンのストリングス、パリのバンドネオン、最高の音楽を求めて
久石譲のピアノは、1920年代を、そして世紀末を彷徨った。

 

 

Prologue
僕にとってのピアノとストリングス、それは永遠に彷徨う旅人の心を歌うには最も相応しい形態だ。
新しい旅の始まり。

漂流者 ~Drifting in the City
都市の漂流者。行く場所さえない心のさすらい人。
「彼は自分の身勝手さを重々承知しながらも芸術家になるための戦いから身を退くことができず、
そのせいで彼の人生は何処か悲劇的気高さを帯びるに至ったのである。」

1920 ~Age of Illusion
バリエーション、音の変奏、それはうつろいゆくもの。
映画のカメラで言えば、特徴を使って絶えず移動するようなもの。
交通機関と一緒で都市と都市の間を結ぶ、移動祝祭空間だ。
そしてテーマは、主役、立ち止り確認すること。音の都市なのだ。
テーマからテーマへ、人から人へ、絶えずうつろい行く、それがバリエーションだ。
そこには予想もつかない未来のように、スリリングな展開となる。

Solitude ~in her・‥
それは不可能な試みだった。芸術行為とは自我の放出だ。
発生する自我と放出される自我のバランスを常に一定に保つことなど不可能なのだ。
実現不可能な目標に向けてなされる超人的努力の行き着く先は、精神と肉体の崩壊だ。

Two of Us
幸せの時は流れて・‥Floating

Jealousy
人はえてして合い反する感情のなかに自分の身を置く。
優しさ────傲慢さ センチメンタリズム────シニシズム
楽天性────自己破壊への欲望 上昇志向────降下感覚
そんな合い反する感情の向かう先は…

Cape Hotel
リビエラ、ジェラルド・マーフィとセーラ・マーフィの夫婦は何を考えていたのだろうか?
サティの作品は文学的に縛られていたのだろうか?
表層的な都市で育つ音楽はその資源的な根を絶たれる。
明快で表面のみからなる音楽は文学的な表現とは違う土壌にある。

狂気
目標を達成することで自分を駆り立てていた悪霊を統御できるはず。
自己を証明することによって平安を得られる。

冬の夢
魂の孤独な旅、寒い「氷の宮殿」を抜けて何処へ行くのか?
人は様々な感情のなかで成功と失敗を繰り返して、何処へ行くのか?
シューベルトの「冬の旅」から「白鳥の歌」には深い人生への慈愛と悲しみに満ちている。

Tango X.T.C.
なぜ1920年代のタンゴはセンチメンタルなのか?
ブエノスアイレスは。世紀末から都市化されたのであり、ニューヨークとほとんど同じなのだ。
とすれば20年代に置いてこの都市は
大自然の平原から引き抜かれた根なし草の悲哀を味わっていた
パンパ────ブエノスアイレス────パリ、これはタンゴの道そのものだ。
20年代のタンゴには草原から切り離されて、
再び戻ることのできない都市生活者の悲しみが響いている。

My Lost City
彼を描くのが目的ではない。
彼を通して自分を見つめるのが目的なのだ。
それはあたかも意志を持った鏡のように(彼と僕が同じだということ、又は似ている事ではなく)
そこで乱反射されたものを受けとることなのだ。
つまり僕が彼という鏡を通して写る姿を見たときまで見えなかった自分が
写しだされるかも知れないのだ。
そこは何処までも果てしなく続くビルの谷間ではなかった。
そこには限りがあった。
想像の世界に営々と築き上げてきた光り輝く宮殿は、脆くも地上に崩れ落ちた。

久石譲

 

 

アビーロード・スタジオでの録音、深い絆で結ばれたマイク・ジャレット(エンジニア)、チェロ版ナウシカ組曲などでも有名な藤原真理(チェロ)による「Two of Us」「冬の夢」、リチャード・ガリアーノ(バンドネオン)による「Jealousy」「Tango X.T.C.」、そして久石譲の決意表明にして渾身の名曲「漂流者 -Drifting in the City」。最高の音楽を求めて、当時できうるすべてを注ぎこんだ作品。

当時の久石譲が純度高く封じ込まれている本作品は、当時の著書にも詳しく書かれている。1920年代という時代について、MY LOST CITY・漂流者というキーワードやコンセプトについて、バンドネオンやタンゴへのこだわりについて。

「漂流者—Drifting in the City」の出だしの音型を決めるのに10日以上悩んだとあるとおり、人に受けようとするのではなく、自分が納得するものを追い求めた決意表明のようなもの渾身の楽曲。非常にシンプルなメロディで8分も展開していくための厳選されたメロディ、出たしからその世界観が広がるような強いメロディ。

当時久石譲はこのように語っている。「華やかでなくて、でも優しくて、それで寂しくて、乾いていて、激しくて、劇的で、人間の強さと脆さ、優しさと哀しさ、すべてを持っていて、すべてから距離を保っている、そういうメロディに行き着きたいという思いが、ずっとあった。いろんな人にいろんな感情を抱いてもらう。そのためには、こちら側は自分の感情をぶつけないことだ。ぎりぎりまでテンションを盛り上げたところで作れば、聴く人にいろんなインスピレーションを持ってもらえる。」

 

 

 

My Lost City

MY LOST CITY
HOMMAGE A Mr. SCOTT FITZGERALD

1. PROLOGUE
2. 漂流者~DRIFTING IN THE CITY
3. 1920〜AGE OF ILLUSION
4. SOLITUDE〜IN HER・‥
5. TWO OF US
6. JEALOUSY
7. CAPE HOTEL
8. 狂気 MADNESS
9. 冬の夢 WINTER DREAMS
10. TANGO X.T.C.
11. MY LOST CITY

Recorded at Abbey Road Studio, London etc
Recording Engineer:Mike Jarratt (Abbey Road Studio)
Mixing Engineer: Mike Jarratt(Abbey Road Studio)

Musicians are
Piano:Joe Hisaishi
Strings:Gavyn Wright Londons Strings (14Vioins,4Violas,2Cello,2Bass)
Flute:Andy Findon 3. 8.
Bandonéon:Richard Galliano 6. 10.
Cello:Mari Fujiwara 5. 9.

Musicians
Gavyn Wright London Strings
(Strings Conductor:Mick Ingman)
Andy Findon(Flute)
Mari Fujisawa(Cello)
Masatsugu Shinozaki(Violin)
Gavyn Wright(Violin)
Wilf Gibson(Violin)
George Robertson(Viola)
Anthony Pleeth(Cello)
Chris Laurence(Dble Bass)
Richard Galliano(Bandoneon)
Phil Todd(Sax)
Frank Ricotti(Vib.)

Recorded at:
Abbey Road Studio,London
Studio Guillame Tell,Paris
Wonder Station,Tokyo
Onkio Haus,Tokyo
Sedie Studio,Tokyo
Marine Studio,Kannon-zaki