Disc. 久石譲 『NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』

久石譲 『PIANO STORIES 3』

1998年10月14日 CD発売 POCH-1731

 

1988年から続くピアノ・ストーリーズ・シリーズ第3弾
北イタリアの情景をモチーフに作られた作品

 

 

イタリアには唄がある。
伸びやかなメロディーは人生の哀歓や、ユーモアをおりまぜひらすら唄う。
ふと、幸せという名前の思い出を数えてみた。
そのすきまからこぼれおちる哀しみの時間(とき)。
イタリアっ子は言うだろうな「Quel che sara sara -なるようになるさ」。
そして今日もまた唄っている。たぶん・・・・

久石譲

(CDライナーノーツより)

 

 

久石:
「Nostalgia」は、イタリアで現地のオーケストラとレコーディングしましたけど、オケには機能性よりも『唄』を望みました。多少荒っぽくても、そこには『唄』があるというアルバムを作りたかった。だからイタリアにしたんです。

次に自分のソロアルバムを、と考えたとき、根底に『唄』を表現したいということがありました。それは、去年「HANA-BI」でベネチアへ行って、公式記者会見で外国人記者から「音楽がすごくイタリア的なメロディだ」と指摘されて、「ああ、そうなのかな」と思ったのがきっかけです。確かにベネチアで「HANA-BI」を観たとき、自分でも「この音楽、イタリア的に聴こえるなあ」と思いました。そのあたりですね。イタリア的な『唄』を表現しようと思ったのは。

それと、今回のアルバムでは、イタリアというテーマの中でカヴァーをやってみたいと思って、サン=サーンスのオペラ「サムソンとデリラ」の有名なアリア(アルバムでは「バビロンの丘」)とニノ・ロータの「太陽がいっぱい」を、最もイタリア的な香りのするメロディということで選びました。アレンジという部分も自分の中の大事な要素ですから、人のメロディを借りてきても自分の世界が作れるというところにチャレンジしてみたかったのです。

技術的な面でも現時点で可能な限りの最先端の技術で録るという、徹底的にハードディスク・レコーディングを行いました。ここが大事なところなんだけど、古臭いやりかたでノスタルジックな音を録ったら、本当に古臭くなってしまう。それは僕の欲してる音ではないんですよ。それで、オケがそのレコーディング方式に不慣れだったってこともあって、レコーディングの2日目からは予定外に僕がピアノを弾いて、オケをひっぱるという、同時録音に切り替えざる得なかったんです。でも、そのうちに現場の雰囲気が一変して、オケがピタッとついてくるのがわかりました。そういう意味では柔軟性のある若いオーケストラでよかったですね。

イタリアにはやっぱり、日本のオーケストラにも、またイギリスのオーケストラにもない、独特のおおらかなメロディーの唄い方がありました。結果をみても、これはイタリアに行かなかったら成立しないアルバムだったと、今、改めて思っています。

(久石譲インタビュー ~「久石譲 PIANO STORIES ’98 Orchestra Night」 コンサートパンフレット より)

 

 

「サウンドはガッチリと構築するスタイルなのですが、このスタイルを一回壊してみたい。メロディに集約し直してみたい。僕の場合、作曲もアレンジも演奏も自分でやってしまいますから、少し荒っぽくてもいいから原質が出るような、そういうアルバムを作ってみたいなというのが一番根底にありました。で、北野武監督『HANA-BI』ベネチア映画祭出品の間などでイタリアへ行って、イタリア的ニュアンスなんだというのが自分なりに分かりましてね。イタリアというとカンツォーネだとかオペラだとか、歌という感じがありますね。何かそういうところのアプローチをしたいなという……。

タイトルが『ノスタルジア』だからといって、郷愁といったニュアンスでは作っていないんです。われわれふだんレコーディングしていると、どうしてもドンカマで作っていく傾向がすごく多い。そればっかりだと、揺らぎのある音楽から遠ざかっちゃうんですね。歌のエスプリみたいなものが最近の音楽では、ほとんど聴くことが出来ませんよね。今、忘れがちになっているそういう重要な要素に、もう1回スポットを当ててみたい。それが最も新鮮なんじゃないか。そういうのが大まかなコンセプトです」

Blog. 「FM fan 1998 No.25 11.16-11.29」 『NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

 

 

サウンドもアコーディオンやハーモニカがフィーチャーされイタリアンテイストたっぷりに仕上がっている。イタリア的な「唄」をコンセプトに、自身の作曲作品のみならず、イタリア名作映画からの映画音楽も選曲。

1998年、イタリアの古都モデナにて。「時代の波に流されずにひたむきに生き、個々それぞれの世界を築き上げた人々を描きたい」という久石譲はアルバムのイメージとしてこう語っている。

時代設定は「1930年台のイタリアを中心とするヨーロッパ」。そこでレコーディングはイタリアで行われることになった。「音楽の原点の”歌”に戻って」制作したというこのアルバムでは、ピアノが1930年イタリアという時空で交錯する人々の思いを、雄弁に語っている。

 

 

 

久石譲 『PIANO STORIES 3』

1. Nostalgia (サントリー山崎CF曲)
2. 旅情
3. Cinema Nostalgia (日本テレビ系列「金曜ロードショー」オープニングテーマ)
4. il porco rosso (映画「紅の豚」より)
5. Cassanova
6. 太陽がいっぱい
7. HANA-BI (映画「HANA-BI」メインテーマ)
8. Nocturne
9. バビロンの丘
10. la pioggia (映画「時雨の記」メインテーマ)

指揮:レナート・セリオ 演奏:フェラーラ管弦楽団

Composed by JOE HISAISHI , except 6. 9.

Piano:JOE HISAISHI
Orchestra:ORCHESTRA CITTA DI FERRARA
Conductor:RENATO SERIO

Piano,Rhodes:MASAHIRO SAYAMA 4.

(アコーディオン 2. / バンドネオン 6.)

Musicians
ORCHESTRA CITTA DI FERRARA
RENATO SERIO(Conductor)
Nobuo Yagi(Harmonica)
Fumihiko Kazama(Accordion)
Chuei Yoshikawa(Guitar)
Hideo Yamaki(Drum)
Kunimitsu Inaba(W.Bass)
Masahiro Sayama(Piano Rhodes)
Tomonao Hara(Flugel Horn)
Ryota Komatsu(Bandoneon)
etc.

Recorded at:
TEATRO STORCHI DI MODENA,KIOI HALL,Wonder Station
August-September, 1998

 

NOSTALGIA – PIANO STORIES III

1.Nostalgia
2.Sentimenti di Viaggio
3.Cinema Nostalgia
4.il porco rosso
5.Casanova
6.Plein Soleil
7.HANA-BI
8.Nocturne
9.A Hill of Babylon
10.la pioggia

 

Disc. 久石譲 『PIANO STORIES II ~The Wind of Life』

久石譲 『PIANO STORIES 2』

1996年10月25日 CD発売 POCH-1604

 

 

【MEMORANDUM】

Friends
子供の頃思った。「お酒飲んでたばこ吸って、それにカウンターに座って寿司だっていつか食べてやる」気づいたらバーの片隅に一人座っていた。

Sunday
日曜日の午後、ふらっと画廊を訪れるのもよい。スコーンととびきり上等のアフターヌーンティーを飲みながら眺めるワッツの絵画は、本物の英国の香りがする。

Asian Dream Song
滔々と流れる黄河、人を寄せ付けないヒマラヤの山々、砂漠の民ベドウィン、インドの過去から未来に連なる永遠の時間の流れ、モダンでほんとうはヨーロッパよりも深い歴史と近代性をもっていた日本。僕はアジアの一員でしかも日本人であってほんとうによかった。

Angel Springs
6年間もあるウイスキーのコマーシャルにつき合った。何も足さない、何も引かない、このコンセプトは美しい。人が手を加えないことは現代では極めて難しい。例えばひとりの少年がいる。手を加えて型にはめるより、ほうっておいて発酵するのを待つ。もしかして天才が生まれるかも知れませんよ。

Kids Return
ミニマルミュージックの香りのする青春音楽。クールでどこか切なげ、ワイルドで繊細、淡々としているのに衝撃的、二律背反の世界、それが僕だ。僕の白は限りなく黒を連想させ、優しさは限りなく毒を含んでいる。見せかけのヒューマンは独裁者の心を隠し、愛と感動のメロディーは限りなく前衛の心の鎧となる。

Rain Garden
ふと、ラヴェルが弾きたくなった。その響きが心に微かな波紋となって広がっていく。フランス印象派は空ろいゆく時の陽炎(かげろう)。

Highlander
地図で見る英国は左の上の端にある。そのまた上の方にHighlanderがある。寒くて荒涼とした土地、手が届きそうに低く垂れ下がった天空。ケルトの里は何処か毅然としていて生きる厳しさと尊さを教えてくれる。

White Night
夕暮れ、密やかに闇が訪れ、家々の窓には灯がともる。空からは軽やかなダンスを踊っているかのような温かい(心の)雪が舞い降りている。もしかしたらマッチ売りの少女は幸せだったんだ。

Les Aventuriers
「冒険者たち」という映画があった。男はこの言葉が好きだ。冒険に乗りだす時の昂揚感、細心の注意と計画。大胆にも繊細な神経、思いがけない緊張感。でも実際の映画はふたりの男と一人の女の友情と愛情の物語り。はしゃぐ大人たちは幼稚な子供心を引きずったピノキオ。でもリノバンチュラだったら良いか?
PS.演奏が難しすぎた。プロのミュージシャンがほとんど弾けなかった。5拍子なんて人間の生理に合わないのか?でも「Take 5」や「Mission impossible」はとても心地良いのに…。ええい!一気の緊張、極限のスイードもありなんだよ。

The Wind of Life
日々の積み重ねの上に人の一生は成り立つ。淡々と繰り返される日々、でもその日々が大変だ。泣いたり怒ったり絶望したり歓喜の涙をこぼしたり誠に忙しい。でも同じ日は二度と来ないのだから日々を受け入れ真摯な精神で生きる事が肝心だ。生命の風、人の一生を一塵の風に託す。陽は昇り、やがて沈む。花は咲き、そして散る。風のように生きたいと思った。

(【メモランダム】 久石譲)

 

 

 

「難しかったんだよね。それまでガッチリとコンセプトを組んできたんだけれど、最後の最後で自分を信じた感覚的な決断をしたということです。あの弦の書き方って異常に特殊なんです。普通は例えば8・6・4・4・2とだんだん小さくなりますね。それを8・6・6・6・2と低域が大きい形にしてある。なおかつディヴィージで全部デパートに分けたりして……。チェロなんかまともにユニゾンしているところなんて一箇所もないですよ。ここまで徹底的に書いたことは今までない。結果として想像以上のものになってしまって、ピアノより弦が主張してる……ヤバイ……と(笑)。」

「僕は戻りって性格的にできないし、オール・オア・ナッシングなんですね。時代って円運動しながら前へ進んでいると思うんですが、自分にとってのミニマルとか弦とか、原点に立ち返るというのは前に戻るのではなく、そのスタイルをとりながら全く新しいところへ行くことだと。そうでなければ意味がない。単なる懐古趣味に終わってしまうでしょう。ピアノというコンセプトでソロアルバムを作るということに変わりはなかったけれども、思い切りターボエンジンに切り替える必要があったわけです。」

Blog. 「キネマ旬報 1996年11月上旬特別号 No.1205」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「8年前に出した時は、打ち込みを多用して音楽を作っていた時期だった。その時に、あえて「今自分ひとりで何ができるか」と立ち返ったのがピアノだったんです。つまり、いちばんピュアな音楽をやろうと思って作ったのが『Piano Stories』だった。そしてもう1度今、自分にとっていちばん原点になるべきものはなんだろうと考えたら、「ピアノとストリングスをメインにしたアルバム」だろう、ということになった。この1~2年ずっと考えていたことです。タイトルを『Piano Stories II』にしたのは、これが精神的に前作とつながるからです。」

「たとえば、クロノス・カルテットでジミ・ヘンドリックスの「パープル・ヘイズ」をやってますよね。僕もいろいろとリズムを作ってレコーディングをするからよくわかるんだけど、(リズムを)キープする楽器がない時って、実はすごく大変なわけ。でも、ドラムを入れてしまえばリズムがまとまるというものでもなくて、(そのドラムに)寄りかかってしまうわけだから、逆にそこからは細かいニュアンスって出てこない。弦楽カルテットとか今回のような編成の時は、そうとうしっかりしないとリズム・キープもまともにできない。だからみんな避けてしまうけど、あえて大変なところに今回は挑みました。ポップスの人がよく思い浮かべる弦楽カルテットは、ビートルズの「Yesterday」のバックとか(笑)そういう清らかなイメージかもしれない。でも、実は「Kids Return」のようにゴリゴリしていてすごく大変なリズムもある。中途半端にリズムが入っているものよりずっとワイルドな感じが出るんです。そういう方向でやってみたんですよ。」

「「Les Aventuriers」ですね。先日のリサイタルではやりませんでしたが、11月の赤坂Blitzではやりますよ。そうとう(演奏が)厳しいから(笑)。ソロ・アルバムの弦の音はずっとロンドンで録ってきていたので、日本で作ったのは本当に久しぶりなんです。それで、ちょっと”浦島太郎状態”になっちゃった曲です(笑)。つまり言い方はへんなんだけど、日本の(弦の)人たちはうまいけど、リズムが違うんですよ。僕が弦に託しているのは、打楽器扱いの弦みたいなリズミックな部分が大きいんです。そういうニュアンスが当たり前と思っていたんですが、それなりの訓練をしないと無理なわけで…。そのあたり、思いのままにはできなかったのでちょっと残念でしたけどね。」

「「Rain Gaeden」ですね。クラシックですよね。意外なんだけど、フランス印象派みたいなピアノ、ドビュッシーとかラベルとか、あのへんのラインを今まであまり自分の作品に取り入れていなかったんです。好きなんだけど、なぜかなかった。ただこのところ個人的に、練習のためにラベルとかクラシックをよく弾いているんです。ラベルのソナチネなんか弾いていると、自分がすごく好きだということがよくわかる。その中で出てきたアイディアで、たまたまこういう曲ができたんです。」

Blog. 「KB SPECiAL キーボード・スペシャル 1996年12月号 No.143」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

The Wind of Lifeは、「JOE HISAISHI PIANO STORIES 2000 Pf solo & Quintet」コンサートなどにおいて、原曲とは少し異なるアレンジ(和音)にて演奏されている。

 

 

 

 

久石譲 『PIANO STORIES 2』

1. Friends (トヨタクラウンマジェスタCMより)
2. Sunday (NHK「日曜美術館」テーマ曲)
3. Asian Dream Song (TOTATAカローラCMより / 1998年長野パラリンピックテーマ曲)
4. Angel Springs (サントリーウイスキー 山崎CMより)
5. Kids Return (映画「キッズ・リターン」より)
6. Rain Garden
7. Highlander
8. White Night
9. Les Aventuriers
10. The Wind of Life

Musicians
Pan Strings
Yuichiro Goto String Quartet
Daisuke Mogi(Oboe)
Takashi Asahi(Flute)
Masayoshi FUrukawa(Guitar)
etc.

Recorded at:
Wonder Station
Victor Studio
Sound City

 

Disc. 久石譲 『銀河鉄道の夜 / NOKTO DE LA GALAKSIA FERVOJO』

久石譲 『銀河鉄道の夜』

1996年7月20日 CD発売 COCC-13556
2013年7月24日 CD発売 COCB-54072

 

久石譲が音楽でつづる宮沢賢治の世界
ピアノとシンセサイザーによる極上のヒーリング・ミュージック
ノンタイアップという企画作品ながら名曲たちが彩る

 

 

優しくも光が瞬くような (1) をはじめ「銀河鉄道の夜」の世界へ連れて行ってくれる。(3) でのヴァイオリンとピアノの美しく呼吸しあう旋律、(5) でのチェロとピアノの刻みあうリズミカルで弾ける音、(7) でのシンセサイザーをバックに響くピアノの神秘的なメロディー、どの曲もシンプルでいて美しい。ヴァイオリン、チェロ、オボーエなどとシンセサイザーの優しい音色が、満天の星空を映しだしてくれる。

サウンドトラックとは趣向が違うため、どの曲もひとつの作品としてメロディーが成立しているからかもしれない。それほどまでにリリカルな情緒的な佳曲がならぶ。これが映像作品とはまったく切り離された、音楽だけで作り上げられたコンセプトアルバムだけに贅沢な1枚である。

 

 

 

2013年7月24日 Blu-spec CD発売

宮沢賢治の没後80年(2013年時)を記念して、久石譲が「銀河鉄道の夜」を描いた1996年のオリジナル作品を再リリース。日本的情緒にあふれる癒しの音楽が、最新リマスタリング&Blu-spec CDで生まれ変わる。

 

 

久石譲 『銀河鉄道の夜』

1. 銀河鉄道の夜
2. 三人の漂流者
3. プリオシン海岸
4. 天気輪のワルツ
5. 鳥を捕る人
6. ジョバンニの風景
7. 北十字
8. サザンクロスの祈り ~New World~
9. カムパネルラ
10. 銀河鉄道の夜 (reprise)

except track8:「新世界より 第二楽章」/アントニン・ドヴォルザーク

Produced by 久石譲
All Songs Composed and Arranged by 久石譲

All Instruments Performed by 久石譲
except:原えつこ (Violin, Track 3&5) , 諸岡由美子 (Cello, Track 5)

イラストレーション:東逸子
原作:宮沢賢治

 

Disc. 久石譲 『NATURAL WONDER LAND KUTCHAN』

1992年6月28日 CD発売 AKCD-210 ※倶知安町役場限定販売(開催期間)

 

倶知安町開祖百周年記念映画
「NATURAL WONDER LAND KUTCHAN」

 

豪雪の地”倶知安”は、先人のたゆまぬ努力と熱意により厳しい試練を乗り越え、今日の豊かな緑の大地を築きあげました。この度、開基百年を記念し「交響詩 倶知安」を制作致しました。天与の極めて優れた自然環境の中で培われてきた歴史、文化を継承し、次代の更なる発展を願いつつ本町第2世紀を皆様とともに奏でたいと思います。制作にあたり作曲家久石譲先生はじめ関係各位に深く感謝を申しあげご挨拶と致します。

倶知安町長 宮下 雄一郎

 

 

■メッセージ
豊かな水、豪雪に耐える逞しい人々、そして秀峰羊蹄山、それぞれに思いを込めて、「Main Theme AQUA」 「YAKUDOU」 「YOUTEI-ZAN」を作曲しました。皆様に愛されますなら幸いです。

久石譲

(CDライナノーツより)

 

●この音楽は倶知安町開基百年記念映像に使用されたものです

 

 

ピアノを基調とした澄んだ清らかなメロディ。同年発表のオリジナル・ソロアルバム「I am」に近い空気感と雰囲気。ピアノ、ギター、シンセサイザー、ストリングスといった、シンプルな楽器構成。自然の壮大さ、みずみずしさ、そして軽快さもあり、「タスマニア物語」や「仔鹿物語」といった同年代の作品とも共通する音楽世界。

現在は廃盤となった、施設/イベントへの音楽として貴重な作品。

 

 

NATURAL WONDER LAND KUTCHAN 倶知安 久石譲 sc

1.PROLOGUE
2.AQUA (Main Theme)
3.YAKUDOU
4.YOUTEI-ZAN
5.AQUA (Main Theme)

 

Disc. 久石譲 『君だけを見ていた』

久石譲 『君だけを見ていた』

1992年3月4日 CDS発売 TODT-2810

 

1992年放送 フジテレビ系ドラマ「大人は判ってくれない」

オープニング・テーマ曲「君だけを見ていた」
エンディング・テーマ曲「Tango X.T.C」

 

 

両A面シングルとして発売された。「Tango X.T.C.」は約1ヶ月前にリリースされたオリジナル・ソロアルバム『My Lost City』収録と同曲である。

「君だけを見ていた」はファンのあいだでも人気の高い幻の名曲である。幻と言われる所以は、このシングル盤しか存在せず、アルバム等には未収録楽曲だからである。またオリジナル版のみならず、リアレンジなどでも収録はなく、唯一コンサートDVDにて久石譲ピアノ・ソロ・ヴァージョンを聴くことができる。

そのピアノ版をも今となっては貴重な記録となっている。

 

 

 

 

 

 

久石譲 『君だけを見ていた』

1.君だけを見ていた
2.TANGO X.T.C.

「君だけを見ていた」
Joe Hisaishi:Paino & SYnth.
Kisyoshi Hiyama:Chorus
Fujimaru Yoshino:Guitar
Fumihiko Kazama:Accordion
Masatsugu Shinozaki:Strings
Recorded at
Wonder Station, Tokyo
Hitokuchizaka Studio, Tokyo

「Tango X.T.C.」
Joe Hisaishi:Piano & Synth.
Richard Galliano:Bandonéon
Phil Todd:Sax
Chris Laurence:Bass
Recorded at
Abby Road Studio, London
Studio Guillame Tell, Paris

 

Disc. 久石譲 『あの夏、いちばん静かな海 』

久石譲 『あの夏、いちばん静かな海。』

1991年10月9日 CD発売 TOCP-6907
2001年6月28日 CD発売 WRCT-1002

 

1991年公開 映画「あの夏、いちばん静かな海。」
監督:北野武 音楽:久石譲 出演:真木蔵人 他

 

 

映画「あの夏、いちばん静かな海」 プロデューサー 森昌行

「物事の決め事を、一度ははずして考える」-これは、映画に限らずタレント・ビートたけし、そして北野武の活動において、一環した姿勢の一つです。従って、「映画に音楽はつきもの」という常識は北野作品には通用せず、それが全く音楽のない前作「3-4X10月」を生み出しました。このことは逆に言えば、映像と音楽の関係について、その必然性においても、クオリティーにおいても、音楽のもつ力を大変重要視しているということです。

今回の作品については、その企画の段階から、音楽をつけることを前提としてスタートしました。というのは、セリフのない主人公にニュアンスをつけていくのは、数々の具体的なエピソードを映像でつみ重ねていくのではなく、音楽によって表現しようという意図を、明確に演出的な手法として導入したかったからです。ただ、実際、どんな音楽かということについては、漠然としたイメージはあったものの、正直言って久石さんに作っていただくまで、確信を持てずにいました。そういう意味では、今回の作品は久石さんの音楽に随分と助けていただいたと思います。あらためて、その才能に感謝したいと思います。

北野映画の中における音楽の位置づけというのは、今後作ってゆく作品にあっても、常に大きなテーマでありつづけると思います。それは、久石さんにとっても、同じだと思いますが、それにつけても今回の出逢いは素晴らしかったと思います。

(CDライナーノーツ より)

 

 

〈episode 1〉
この作品に関しては、監督自身も認めているように、もともと主人公の2人(生まれながらの聴覚障害者)に台詞がないところへもってきて、後半は台詞も何もなく、この作品そのものをふり返るように、主人公たちの思い出が日記帳のごとく滔々と連ねられているわけですが、あそこはどう考えても音楽がないと成立しない部分といいますか、音楽にあれこれ語ってもらったカットなんですね。

つまり最初から音楽を入れ込むことを想定して意識的に撮ったシーンなんです。武さんが自らの映像にあれほど音楽を求めたことは珍しいんじゃないですかね。久石さんとのコラボレーションはこの作品が最初だったわけですけど、登場人物の台詞が極端に少ないぶん、音楽がもたらす効用への期待感は、ほかのどの作品よりも高かったと思いますし、それだけに久石さんは苦労されたんじゃないでしょうか。結果的に、言葉(台詞)以上に主人公の感情や作品自体の情感を雄弁に物語るかのような音楽をつけていただいて、作品のクォリティや価値を随分高めていただいたような気がします。

〈サウンドトラック制作進行ノート〉
1991年7月 ワンダーステーション六本木にてレコーディング。

(「joe hisaishi meets kitano films」CDライナーノーツより)

 

 

「あのときは、ニューヨークでレコーディングをしていたときにプロデューサーから電話がかかってきて。「ビートたけしさんの映画をお願いしたいんですが」って言われて、「あ、なにかの間違いです」って思わず言っちゃったという(笑)。基本的には好きな監督だったんですよ。ただ、『その男、凶暴につき』とか『3-4×10月』をみると、僕のところに話が来ると思わなかったんですね。でも帰国してから、『あの夏、いちばん静かな海。』のラッシュをみたら、「これなら分かる」と。もっときちんとみていたら見落とさずに済んだんだけど、北野さんの作品というのはすごくピュアなんですよ。表面的には暴力があったりとかいろいろあるんだけれども、その奥の精神とか出てくる人間たちって、中途半端な屈折をしていないんですね。だからその一点で考えると、自分の音楽がなぜ必要とされるかというのがよく分かったんです。

ただ、やっぱり最初はね、台詞が極端に少ないし、劇的な要素もないし、どうしようかなと思ったんです。そしたら、北野さんが、「通常、音楽が入る場面から全部、音楽を抜きましょうか」というので、「そうですね。面白いですね」って僕も答えちゃって(笑)。それで通常音楽が入るところを極力音楽を抜いたんですよ。それがすごくうまくいったと思うんですよね。あとね、「朗々とした大きな感じじゃなくて、シンプルな、寄せてはかえすようなメロディ」と言われていて、僕としては「それはミニマルの精神と同じだから」と理解しましたね。」

Blog. 「キネマ旬報増刊 1998年2月3日号 No.1247」北野武映画 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

この映画の音楽制作にあたっては、当時コンサートツアーとスケジュールが重なっていた久石譲は一旦断ったという経緯がある。その時北野武監督はコンサートツアーが終わるまで一ヶ月間待つという決断をした。一般的にはあり得ない画期的なことで、音楽家のスケジュールのために映画スタッフをその間拘束することになり膨大な出費にもつながる。そこまでしての強いオファーだったことがうかがえるエピソードである。

当初想定していたメインテーマはサティ風のものだったが、「サイレントラブ」を聴いた北野武監督はこの曲をメインテーマにすえることを強く希望。結果こちらが採用され、サティ風の楽曲は映画のサブテーマにまわることになった。北野武監督は前作『その男、凶暴につき』でサティの楽曲を使用していて、そういう背景と監督の判断によるところも大きかったようだ。

 

 

久石譲 『あの夏、いちばん静かな海。』

1. Silent Love (Main Theme)
2. Clifside Waltz I
3. Island Song
4. Silent Love (In Search Of Something)
5. Bus Stop
6. While At Work
7. Clifside Waltz II
8. Solitude
9. Melody Of Love
10. Silent Love (Forever)
11. Alone
12. Next Is My Turn
13. Wave Cruising
14. Clifside Waltz III

All Composed by Joe Hisaishi
Produced by Joe Hisaishi
Arranged by Joe Hisaishi

Recorded at Wonder Station

Musicians:
Piano / Joe Hisaishi
Guitar / Hiroki Miyano
Bass / Makoto Saito
Violin / Masatsugu Shinozaki
Cello / Masami Horisawa
Vocal / Junko Hirotani
Fairlight Programming / Joe Hisaishi

 

 

なお発売後の経過により一度廃盤となった本作品は、2001年にワンダーランド・レコードより復刻・再販させることとなった。ジャケットが一新され、リマスター音源として復刻されている。収録内容はオリジナル盤と同一である。

 

2001年6月28日 CD発売 WRCT-1002

あの夏、いちばん静かな海 リマスター

 

 

Disc. 久石譲 『I am』

久石譲 『i am』

1991年2月22日 CD発売 TOCP-6610
2003年7月30日 CD発売 TOCT-25121

 

クラシックやイージー・リスニングではなく、ニュー・エイジミュージックでもない。
ポップだけれど、アヴァンギャルド…
屈指のメロディー・メーカー、久石譲のピアノ・ワールド。
ロンドン・ストリングスとの華麗でスリリングなセッションを経て、
どんなジャンルにも属さない久石譲の世界が完成。

 

 

INTERVIEW

Q.今回のアルバムに収録されている「Venus」や「Echoes」に聴かれる民族音楽との出逢いはいつ頃でしょうか?

久石:
民族音楽はもともと最初から好きだったんですね。エスニックな音楽が大好きで、そこから得る要素は自分の体験外のものなので……。と同時に、僕がやってきた「ミニマル・ミュージック」の音楽的な構造が民族音楽と近い要素を持っていますからね。ミニマル・ミュージックを始めた頃、アフリカ民族音楽のリズム構造を研究したり、中近東のインド音楽に聴ける16拍子の曲や複雑なリズム構成とか、同時にその音楽の時間の流れなど、特殊な時間の流れですよね。そうやって研究していくうちに民族音楽の魅力に魅せられて、気づいてみたらクラシックの勉強と同じかそれ以上ぐらい、自分の中にエスニック的な要素が色濃く染み付いていましたね。

民族音楽的な要素をシンセサイザーで表現する場合、比較的そのニュアンスは出しやすいんだけど、今回のような”ピアノ”と”ストリングス”という「西洋音楽の王者」みたいな楽器編成で演奏する場合、難しいことなんですね。当初は、エスニック的な要素を取り入れられなくて悩んでいたんです。悩んでいたというよりは、取り入れられないだろうなって思ってましたから……。作品を仕上げていく段階で、結果的に「Venus」や「Echoes」の中に、本来の自分らしさを出せたので、とても嬉しいですね。

 

Q.今回のアルバムのコンセプトを教えてください。

久石:
基本的には、現在の商業ベースで作られている音楽の典型的なことはいっさいやめようと……。例えば、誰が聴いてもみんな同じように聴こえるようなものは意味がないしね。全曲に共通していえることなんですけど、基本ラインとして”ピアノだけで表現する(音楽性を保たせる)”ことがポイントなんですね。そして、そこに弦楽のアレンジを入れると。つまり、弦楽を入れて曲を保たせるのではなく、あくまでも”ピアノ”がメインということですね。それに、ぜいたくに弦楽の音色を必要最小限に加えるというコンセプトです。

アルバムをピアノと弦楽だけで作り上げることは非常に難しいことです。なぜ難しいかというと、その編成に耐えうるだけの強力なメロディーを生み出せなければならないし……。そういう意味でいえば、自分には”Hisaishi Melody”とみなさんがおっしゃってくれてるものもあるし、チャレンジできるのではないかなって……。

作品を作り上げていく段階で、一歩間違えるとそれが単にイージ・リスニングになってしまう可能性があるし、イージ・リスニングにしない為には、自分を含めて共演者の持っている確固たるアーティスト性やパーソナリティーがなくてはいけないわけですよ。つまりとても危ういところで作りあげていて、山岳の崖っぷちを歩いているようなものですね。例えば、一歩間違ったらリチャード・クレイダーマンになってしまうし、その反対に踏み外してしまえば、非常に難解なものにもなってしまう。また、要素を剃り落としている分だけ、飽きてしまう可能性も出てきます。

そんな中で、生み出すメロディーを信じて、そして、余計なものをどこまで剃り落とすか? という作業をしながら、例えば、「エスニック的なものが好き」という自分の志向する要素を含めたところでの、削り採る作業とっていいのかな? 音楽的な無駄を排除し、必要最小限の音で作り上げる……これが今回のアルバムで一番重要なことでしたね。

 

Q.完成されたアルバムを客観的に聴きかえしてみてどのような感想をお持ちになりましたか?

久石:
そうですね。初めて完成されたソロ・アルバムを作ったなって印象を持ちましたね。レコーディング中に、何百回、何千回って聴いていますから、トラック・ダウンが終了した頃には、あまり聴きたくないんですよね。でも今回のアルバムに関しては、その後、何度も繰り返して聴いても飽きないんです。それは、「完成されているアルバム」で、僕が創造したという意識を超えて、聴いていられる。

なんていったらいいのかな、不思議なもんでね、アルバムの完成度が高ければ高いほど、その作った作家から作品は離れて行くんですよ。とても客観的な作品になってしまう。そういう意味でいうと、自分の作品であっても、もう僕の作品じゃないっていうような、自分でいうのも変だけど、すぐれた作品に仕上がったと思いますね。

作品を完成させる段階で、ものすごく苦しんだり、悩んだりしました。微妙なコード進行の変化や、1音を付け加えるか、加えないかによって、その曲の雰囲気が変わってしまう……そういう微妙なところで物凄く苦しんだわけです。端の人はどんなことで、どうして苦しんでいる理由が分からないような細かいことで悩んでいたわけでしょ、ところが、苦しんで苦しんだほど、そうやって生まれ出てきた作品にはその苦しんだあとかたもないんですよ。そうして完成した作品は素晴らしいわけです。つまり、作家が苦しんだ形跡が見えるような作品にはろくなものがない。苦しんだ形跡が分かる作品は、カッコが悪いわけで、そして完成度が低い。

完成した作品は、「おお、ここでこんなことをやってる、凄いことやってるな」、「何だこのコード進行は? 何だこのモードは?」ってなプロ志向的な聴き方もできるし、反対に音楽に詳しい方でなくとも、さり気なくBGMとして流したり、「まあ綺麗なメロディーね、楽しい!」というような音楽本来の楽しむ為の聴き方もできるんですね。そんな僕が考える音楽の理想的なことがこのアルバムでできたなって気がしますね。

 

Q.作家の手から離れて行った作品がスタンダードになっていくわけですね? そして聴き続けられると同時に、弾き続けられていくと……?

久石:
できたらね、そういうスタンダードになって欲しいという願いを込めて作ったアルバムですね。例えば、前作『Piano Stories』は、日々アルバムがみなさんの手元に送り出されているわけで、そして、その楽譜もみなさんの手元に届いて、僕の曲を復習(さら)っていてくれると、そうするとその曲は定着しますよね。そのことは、作家にとってとても幸せなことですよ。

今回のアルバムの一つ一つの作品を完成するにあたっても、例えば、とんがり過ぎちゃえば1回聴いて(弾いて)、「おもしろかったな」で終わっちゃう。そういうことのないように、何度も聴いて(弾いて)楽しめる、そう意図して作り上げました。そういう意味では、現代のスタンダードを目指したといってもいいかも知れませんね。

「Piano Solo 久石譲/アイ・アム (I am)」楽譜 インタビュー より抜粋)

 

 

楽曲曲想
演奏解釈のための楽曲イメージ Commentary by 久石譲

Deer’s Wind
本楽曲は来年(1991年)のゴールデン・ウィークに東宝系全国一斉公開される映画『仔鹿物語』のメイン・テーマです。少年と仔鹿との「心の交流」をモチーフにした映画で、楽曲のテーマは、自然の中で繰り広げられる少年と仔鹿との「心の交流」を現す「優しさ」と、それを包む「大自然」を歌ったものです。優しさと同時に、大作映画の「おおらかさ」と「大自然」のスケール感を意識して仕上げてみました。

On The Sunny Shore
この曲は、前作『Piano Stories』に収録されている「Lady of Spring」とサウンド的にも、コード的にも同じ系列に入る曲です。曲のコンセプトとしては、隙間があって、その合間を縫うような淡々としたメロディーが奏でられる……。そして、モードを駆使したような響きと、その中に大人の優しさが出てくれば、と思って書き上げてみました。特に、弦楽のアレンジに関していえば”超スペシャル・アレンジ”で、トレモロや様々な要素を多様し、凝縮しています。アレンジの雰囲気は”空気感”。空気に漂っている”浮遊感”をものすごく意識してみました。今後アレンジャーを目指す方は、是非ともこのアレンジを研究してみてください。また、原曲では「ハーモニカ」が特徴的なフレーズを演奏していますので、メロディー・ラインを他の楽器で奏でてみるのもよいでしょう。いろいろな編成で演奏してみてください。

Venus
この楽曲は、8年ぐらい前に実は作った曲で、3~4回レコーディングをしています。どうも自分の中では形態がなかなか定まらなかったのですが、今回のアルバムでは”エスニック的”な要素を玩味した形態で成り立ち、やっと居場所を見つけ、完成しました。左手のオスティナートを続けながら、右手にロマンティックな割りには、とても器楽的なフレーズが続く不思議な曲です。本来の自分らしさの一部である”エスニック志向”がムクムクと出てきた1曲です。

Dream
本楽曲は、心の奥深い所での響きというか、その包みこむような優しさや味わい深さが出せればと思って書き上げました。Intro.やサビで使っている「Em」のメロディーのところを特に”ジャジー”なイメージにして、大人のけだるさというか、そのような感じを出してみたかったところです。原曲の弦楽のアレンジがかなり凝っていて、後半のピアノと弦楽が非常にダイナミックに絡むところは是非聴いて欲しいところですね。

Modern Strings
この曲は今回のアルバムに収録している曲の中で、もっとも”アヴァンギャルド”的な要素を多様した作品です。「単に驚かす為に」…というアヴァンギャルド的なものはカッコ悪いわけで、むしろ楽曲を聴いていくうちに「エッ?」と思う、本当の意味で深い味わいがあるアヴァンギャルドを打ち出した楽曲です。原曲の弦楽アレンジを具体的に言いますと、冒頭から弦楽が頭打してない点が特徴です。全部が裏拍になっていて、よく聴いていないと分からないかもしれませんね。そして、その「裏拍」がいったん分かると、この楽曲の変な魔力にひかれてしまいます。その魔力といい、スピード感といい、とてもたまらない曲になるんじゃないかと……。原曲の後半でピアノと弦楽が絡むところがとてもスリリングな響きになっています。楽曲のイメージやメロディーの雰囲気が「フランス映画」の感じで、その工夫として、レコーディングの時に、ピアノのタッチや音色を「鼻にかかる音色(鼻音的な音質)」に変えてみました。原曲でサックスを吹いているミュージシャンは”Mr.Steve Gregory”で、彼は「ワム!のケアレス・ウィスパー」で、あの印象的なサックスを吹いている方なのです。「泣ける、大人の味わい」をとても気持ちのいいサックスで演奏してくれていますので、じくりと聴いてみてください。

Tasmania Story
本楽曲は今年(1990年)の夏に東宝系全国一斉公開された映画『タスマニア物語』のメイン・テーマです。サントラ盤では、ピアノとオーケストラでしたが、本ヴァージョンは、ピアノとストリングスをメインにして、スケールの大きなフレーズの中から、そのしっとりした優しさを引き出してみました。レコーディングでのストリングス・セクションは、ロンドンの精鋭達が一同に会して、そのストリングスは、演奏の随所で歌ってくれて、狙い通り以上の演奏が展開できて非常に満足した仕上がりになっています。また、ピアノ自体のアレンジもサントラ盤とは違うヴァージョンです。

伝言
この曲は数年前にオンエアされたTVドラマのメイン・テーマです。当時の僕、というか”Hisaishi Melody”とみなさんに言われていた、典型的なスタイルの楽曲で、伴奏形式やメロディーにそれが現れています。今回のレコーディングでは、ピアノをメインにし、ストリングス・アレンジを最小限におさえて仕上げてみました。また、原曲のハーモニカもじっくりと聴いてみてください。

Echoes
本楽曲は、僕自身は、今回のアルバムのメイン曲だと思っています。オリエント・ミュージック(僕が付けた呼称です)を現した「アジアの夜明け」、「アジアのこだま」というような意味で作り上げた曲で、とても大切にしている曲でもあります。原曲には民族楽器のタブラーと胡弓が入っています。ピアノの特徴としては、ベーゼンドルファーのピアノでしか出せない超低音を出しており、その深い響きの中で、胡弓がメロディーを奏でる箇所はとても印象的で、僕自身とても気に入っています。原曲で胡弓が奏でるメロディーが終わった後に出てくる、ストリングスの不思議なコード進行も味わってみてください。微妙に変化していくコードの響きが特徴です。

Silencio de Parc Güell
ピアノ・ソロ作品として、あたかもシューベルトの「楽興の時」を思わせるような、さりげない優しい小品をイメージして仕上げてみました。曲のタイトルの「パルク・グエル」は、スペインのバルセロナにある”グエル公園”からです。スペインの鬼才、建築家”アントニオ・ガウディ”が作った印象的な公園で、その「静けさ」にとても感動して、曲名を付けました。

White Island
本楽曲は、テレビ朝日開局30周年記念特別番組の、メイン・テーマ曲です。「南極」をテーマにしたスペシャル・ドキュメンタリーで、この特別番組の為に作曲したものなのですが、放映時からとてもみなさんにご好評いただいた曲だったので、今回のアルバムに収録することになりました。メロディーが持っている親しみやすさ、優しさと同時に、スケール感あふれる形態を兼ね備えている楽曲なので、本アルバムの最後を飾るのがふさわしいのではないかと……。じっくりと聴いてみてください。

楽曲曲想 ~「Piano Solo 久石譲/I AM」楽譜より)

 

 

「ストリングスはロンドン・シンフォニーとロンドン・フィルのメンバーに協力してもらいました。ロンドンの──特に弦の音は、僕の求めている音に合うんです。録音はアビィ・ロード・スタジオ。あそこはね、ルーム・エコーが非常にいいんですよ。ピアノのパートは日本で録音しました。ピアノはベーゼンドルファー・インペリアル。低音部分にこだわってみたので」

「結構ね、難しいことやってるんですよ。普通だったら使わないような手法とか。でもさすがに向こうの人たちはその意図をわかってくれて、のってやってくれた。イギリス人のユーモアというか、あけっぴろげなアメリカとはまた違って、楽しい共同作業になりました」

Blog. 「ショパン CHOPIN’ 1991年3月号」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

東芝日曜劇場 「伝言」 テーマ曲 TV Original Versionについては下記ご参照。

Disc. 久石譲 『The Passing Words』 *Unreleased

 

CM曲に使用された楽曲のCMオリジナルヴァージョンについては下記ご参照。

「Sunny Shore」 日産『サニー』
「Dream」 サントリー『ピュアモルトウイスキー 山崎』

 

 

久石譲 『i am』

1.Deer’s Wind (from Main Theme of“Kojika Story”) (映画「仔鹿物語」より)
2.Sunny Shore
3.Venus
4.Dream
5.Modern Strings
6.Tasmania Story (映画「タスマニア物語」より)
7.伝言~Passing The Words (東芝日曜劇場「伝言」より)
8.Echoes
9.Silencio de Parc Güell
10.White Island (TV「南極大陸1万3000キロ」より)

Musicians
Gavyn Wright London Strings
(Strings Condactor:Nick Ingman)
Toshihiro Nakanishi String Quartet
Tommy Reiry(Harmonica)
Steve Gregory(sax)
Pandit Dinesh(tabla)
Jia Peng Fang(kokyu)
Chuei Yoshikawa(A.Guitar)
Motoya Hamaguchi(L.Prec.)
Toshihiro Nakanishi(E.Vl.)
Hideo Yamaki(Drums)

Recorded at:
Abbey Road Studio London
Taihei Recording Studio Tokyo
Music Inn Yamanakako Studio Yamanashi
Wonder Station Tokyo

 

Recorded at ABBEY ROAD STUDIOS, LONDON
TAIHEI RECORDING STUDIO, TOKYO
MUSIC INN YAMANAKAKO STUDIO, YAMANASHI
WONDER STATION, TOKYO
Produced by JOE HISAISHI
Co-Produced by NAOKI TACHIKAWA
Arranged by JOE HISAISHI

Executive Produced by KEI ISHIZAKA (TOSHIBA EMI)
ICHIRO ASATSUMA (FUJI PACIFIC MUSIC INC.)
MAMORU FUJISAWA (WONDER CITY)
Recording Engineer:
MIKE JARRATT (ABBEY ROAD STUDIO)
YASUO MORIMOTO (ONKIO HAUS)
ATSUSHI KAJI (HEAVY MOON)
SUMINOBU HAMADA (WONDER STATION)
TOHRU OKITSU (WONDER STATION)
Mixing Engineer: MIKE JARRATT (ABBEY ROAD STUDIO)
Mastering Engineer: STEVE JOHNS (ABBEY ROAD STUDIO)

Musicians are: JOE HISAISHI-Piano
GAVYN WRIGHT LONDON STRINGS
(Strings Condactor: Nick Ingman)
TOSHIHIRO NAKANISHI STRING QUARTET (“Venus”)
TOMMY REIRY-Harmonica (“On The Sunny Shore”, “Rumor”)
STEVE GREGORY-Sax (“Venus”, “Modern Strings”)
PANDIT DINESH-Tabla (“Echoes”)
JIA PENG FANG-Kokyu (“Echoes”)
CHUEI YOSHIKAWA-Guitar (“On The Sunny Shore”, “Venus”)
MOTOYA HAMAGUCHI-L.Perc. (“Venus”, “White Island”)
TOSHIHIRO NAKANISHI-E. VI. (“Echoes”, “White Island”)
HIDEO YAMAKI-Drs. (“Modern Strings”)

 

Disc. 久石譲 『Dream』 *Unreleased

1990年 CM放送

 

サントリー 「ピュアモルトウイスキー 山崎」 60秒

音楽:久石譲「Dream」

 

 

幻想的なフェアライトのヴォイスとピアノで始まり、メロディもピアノを基調とした優雅で美しい旋律。後半にかけてシンセサイザーによるストリングス・ヴォイスが重なり、神秘的でもあり上品な世界観を演出している。

曲名「Dream」であることから、オリジナルアルバム『I am』収録の「Dream」と基本は同曲である。ただし異なる箇所の多い。

メロディの旋律が異なる、調性が異なる、アレンジが異なる。

CM版は変ホ長調でありCD版はト長調、調性が異なるだけでも雰囲気は変わってくる。またCM版の音色・アレンジ・構成は上記のとおりで、CD版はアコースティックなピアノと弦楽合奏を基調としている。おそらくCM版の完成が先であり、その後アルバム収録に際して楽曲を練り直したために、結果メロディも多少異なる動きとなったのだと推測される。

CMヴァージョンもとても完成度が高く、CD化してほしいほどの幻の名曲である。

 

 

(CM映像より)

 

Disc. 久石譲 『グリーン・レクイエム』 *Unreleased

1988年8月20日 劇場公開日

 

1988年公開 映画「グリーン・レクイエム」
原作:新井素子 監督:今関よしあき 音楽:久石譲 出演:鳥居かおり 坂上忍 他

 

1985年映画化、諸事情により公開は3年後の1988年公開作品。

 

 

-話はかわりますが、久石さんが音楽を担当されたもので長い間お蔵になっていた「グリーン・レクイエム」が公開されますが、あの音楽についてはどうですか。

久石:
「あの作品は、結構イメージ・ビデオっぽかったんですよ、イメージ映画というか、一種のファンタジーだったんで、どう取り組もうか悩みまして、「卒業」のサイモン&ガーファンクルのような感じで歌を効果的に使っていこうとなったんです。いわゆる映画音楽的なインストもあるんですが、重要な部分はほとんど歌になるように仕上げました。因みにこの『グリーン・レクイエム』映画自体はとても冬っぽいものなんですけど、テーマは常夏のモルジブで思い浮かんだんですよ。でもうまく合いましたね。」

Blog. 「キネマ旬報 1988年8月下旬号 No.991」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

メイン・テーマ曲は「グリーン・レクイエム」。

オープニングでピアノ独奏にて流れるほか、本編中歌曲化されたヴォーカル・バージョンや、クライマックスのシンセサイザー・バージョンなどがある。エンドクレジットではピアノソロを基調に、バッグにシンセサイザーのコード伴奏(ストリングス系)が加わった、オープニングとも少し異なるバージョンが使用されている。

久石譲がこの映画のために書き下ろしたオリジナル歌曲は5楽曲。先の「グリーン・レクイエム」のボーカル版の他、「本当は帰りたくない」「ジェラシー・エフェクト」「どこかで見た風景」「戸惑いの扉」という楽曲である。どの楽曲も本編BGM的な扱いで随所に流れている。全5楽曲の作曲・編曲は久石譲である。エンドクレジットの文字からは字が潰れて読み取りにくいが、作詞には松井五郎他、歌には忍足敦子他、参加している。

インストゥルメンタルとしての本編音楽もいくつか書き下ろしているが、場面音楽として必要な数カ所のみで、あとは上記のメイン・テーマおよびそのバリエーションが主軸であり、その他歌曲5楽曲が登場する。

 

本作品における音楽ならびにサウンドトラックは発売されていない。

久石譲作品のなかではオリジナル・ソロアルバム『Piano Stories』に久石譲自身によるピアノ・ソロ作品として収録されている。映画冒頭でも同様のピアノソロ・バージョンではあるが、映画版はよりクラシカルでカデンツァ的な速いパッセージのあるピアノ奏法であり、少しバージョンが異なる。おそらく映画版の演奏はクラシックを専門としたピアニストであると思われる。

またチェリスト藤原真理の作品『藤原真理 『風 -Winds ~ナウシカの思い出に捧げる』にも収録されている。この作品は久石譲プロデュース・アルバムとなっている。こちらでは、チェロが旋律を奏で、久石譲によるシンセサイザーアレンジがバックに使われている。

 

 

グリーン・レクイエム VHS sc

(VHS)

 

Disc. 久石譲 『Piano Stories』

久石譲 『piano stories』

1988年7月21日 CD発売 N32C-701
1988年7月21日 LP発売 N28U-701
1988年7月21日 CT発売 N28T-701
1992年11月21日 CD発売 NACL-1504
2000年12月6日 CD発売 WRCT-1001

 

数々の映画音楽をピアノソロ用にアレンジした
ピアノ・ソロアルバム、そのシリーズ第1作であり代表作

砂は湿り、水も冷たい。かもめが波しぶきの間をあてもなく飛び交う。
上昇、下降をくり返す。5:00am夏の日の浜辺。

 

 

ピアノ・ストーリーズについて

「Piano Stories」というアルバムは、日頃シンセサイザーを使用する仕事の多い僕が、一度原点に戻りたいということで制作したアルバムです。それがピアノソロだったわけで、まず虚飾を取り去り、表現をシンプルにする。そしてそれを如何に一枚のアルバムとして構成するか……それが、この作品の鍵となっていたわけです。

僕の音楽というのは、言ってみれば鏡のようなものです。

情緒や感性だけに流されずに表現したい……それはどんな作品でも必ず自分が心がけていることです。虚飾を取り去ったぎりぎりの音に出会った時、聴く人は自分のその時の状況、心境、その他いろいろな思い入れをそこに投影させることが出来る。しかし、逆に作家が思い入れを激しくすると、聴き手にその気持ちを限定してしまうということが起こるわけです。

このアルバムに関してもそれが言えて、ともするとメロディーに感情を込め過ぎて流されるところを、例えば左手の伴奏ひとつにしても出来るだけ表現をシンプルにして、右手で歌う。そういうシンプルさを心がけることによって、通常のピアノアルバムとは違った世界が作れるのではないかと考えたのです。

レコーディングには約3年程かかりました。1986年秋、ロンドンのサームウェストスタジオで、Resphoina、Lady of Spring、Green Requiem、そしてInnocentの4曲をベーゼンドルファーのピアノで、残りの曲はその後1988年1月、東京でスタインウェイのピアノで録音することが出来ました。

演奏方法は、かなりラフなスケッチを用意して、スタジオに入ってから即興的に演奏をしながら録音を進めていきました。それで出来るだけ自然に聴こえるように心がけたのです。

この楽譜を演奏するにあたって、特別に注意する点はありません。むしろ、音をひとつひとつ大切に、味わうように弾いて頂ければ曲の良さは出ると思います。ただ多少くせがあるのは、通常のクラシックのように3度とか6度などの指の配置からできているのではなく、比較的4度関係の音程が出てくるので、その点を心がけてもらえれば、僕が好んで出す響きについて、とてもわかりやすくなると思います。

ピアノという楽器は大変素晴らしい楽器で、たった一人のオーケストラと言われているように表現力が豊かです。これからも「Piano Stories 2」「Piano Stories 3」と、どんどん発展させていけたら、と思っています。そして皆さんに、それを一部でも弾いていただければ幸せです。

1989年1月 久石譲

(「Piano Stories -オリジナル・エディション」楽譜より 寄稿文)

 

 

「実は、僕の『Piano Stories』(1988年)を聞いて、タッチにマル・ウォルドロンと共通するものがあると指摘した友人が少なくなかった。いわれてみると、そうかもしれない。マルの曲はずいぶんコピーして弾いたことがあるからだ。たとえば、『レフト・アローン』の全曲、「オール・アローン」、ビリー・ホリデイに捧げたいくつかの曲だ。もちろん、アドリブのパートも含めてだ。だから、いつもまにか、マル風のピアノの弾き方が身に付いてしまっているのにちがいない。」

(書籍「I am 遙かなる音楽の道へ」 より 抜粋)

 

 

-この『ピアノ・ストーリーズ』というタイトルの由来は。

久石:
「映画のテーマを集めてはいるんですけど、その映画を見た人がああこの音楽はあの映画で見た時が懐かしかったね、と思うために作っているのではなくて、逆に映画で扱われた事を全然無視して、聞いた人が新たにストーリーを再構成するといいますか、新たに架空のサウンド・トラックみたいな感じでとらえて欲しい、ということで『Piano Stories』としたんです。」

Blog. 「キネマ旬報 1988年8月下旬号 No.991」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

 

2000年12月6日 リマスター盤CD発売

ジャケットをオリジナルデザインに完全復刻。
さらに音源もリマスターを加え、久石譲の原点が最新技術によりここに甦る。

銘器スタインウェイとベーゼンドルファーが深い陰影を刻む久石譲のピアノソロ。
RECORDING:1986.11~1988.1

Things left behind time

誰にも、過ぎ去った時の彼方に置き忘れてきたものがある。
それは心の奥深くに沈澱して、振り返られる時を静かに待ちつづけている。
久石譲の音楽は、心理時間と心理空間を共振させる重力場だ。
そこではもはや時間と空間は意識を失う。その重力場に足を踏み入れた者は出会うだろう。
忘れかけていたもの、忘れていたはずのものと。

 

「メロディこそが、送り手と聴き手の橋渡しになってくれるんです。どんなに複雑なアレンジの曲でも、しっかりしたメロディがあれば、それは人の心に残る。それはメロディが、時間軸と空間軸上の記憶回路だからなんですね。だから今はしっかりしたメロディを作ることを根本にしています。いいメロディさえあれば、バックがたとえどんなにアバンギャルドであっても許されると思うんです」(久石譲/1989年)

(デジタルリマスター盤 CDライナーノーツより)

 

 

久石譲 『piano stories』

Prologue:
1. A Summer’s Day [サマーズ・デイ]
Act 1:
2. Resphoina [レスフィーナ] (映画「アリオン」より)
3. W Nocturne [Wの悲劇] (映画「Wの悲劇」より)
Act 2:
4. Lady of Spring [早春物語] (映画「早春物語」より)
5. The Wind Forest [風のとおり道] (映画「となりのトトロ」より)
6. Dreamy Child [ドリーミー・チャイルド]
Act 3:
7. Green Requiem [グリーン・レクイエム] (映画「グリーン・レクイエム」より)
8. The Twilight Shore [砂丘] (映画「恋人たちの時刻より)
Act 4:
9. Innocent [空から降ってきた少女] (映画「天空の城ラピュタ」より)
10. Fantasia (for Nausicaä) [風の伝説] (映画「風の谷のナウシカ」より)
Epilogue:
11. A Summer’s Day [サマーズ・デイ]

Produced by JOE HISAISHI

All songs Composed and Arranged by JOE HISAISHI

Recorded at:
Sarm West Studio London
Hitokuchizaka Studio Tokyo
Taihei Studio Tokyo
Wonder Station Tokyo

Recorded on November 1986 ~ January 1988