Disc. 久石譲 『JOE HISAISHI CLASSICS 3 』

久石譲 『JOE HISAISHI CLASSICS 3 』

2011年8月3日 CD発売 WRCT-2003

 

「久石譲 クラシックス・シリーズ」第3弾

音楽家 久石譲が作曲家・演奏家としてではなく
指揮者として新しい視点とアプローチでクラシック音楽に挑んだ
選りすぐりのクラシック名曲集。

 

 

初めてでも聴きやすい、クラシク珠玉の名曲集!

2009年よりクラシックコンサートの指揮者として本格的な活動を開始した久石譲。このアルバムシリーズは、久石がクラシック指揮者として演奏したオーケストラのコンサートをライブ録音し、会場の感動をそのままに、アルバム化したものである。

久石が感じたクラシックの素晴らしさを、作曲家独自の解釈で、指揮者として表現することによって多くの人と共有したい。本アルバムには、そんな熱い想いが詰め込まれている。

クラシックに久石が新しい生命を吹き込み、聴く者を久石ワールドに連れ込むであろう。そして、作曲家だからこそわかる偉人達の作品の凄さを、クラシック愛好家にはもちろんのこと、クラシック初心者にもわかりやすく、豊富な経験と知識をもとに新鮮な感覚をもって、存分に魅力を届けてくれるコンセプチュアルなアルバムである。

 

 

寄稿

それまで僕が久石さんへ抱いていた印象は、どちらかというとクールで物静かなイメージだった。しかし2008年2月、僕らの楽曲『ワンダフルワールド』のレコーディングでフルオーケストラにタクトを振るその姿を間近で見て僕の心は一変する。演奏が始まる30分前、久石さんはスタジオの片隅で一人ストレッチを始めた。これから音楽を奏でるというよりは、何かの競技を始めるかの様に入念に。壇上に立ち演奏が始まった。オーケストラの音が響き渡る。それはまるで巨大な生命体のような音のうねりを、久石さんは時に激しく、時に静かに、一瞬の気を抜くことなくまとめあげていく。全身が震え、胸が熱くなった。コンサートでもないのに演奏が終わるとスタジオ中に拍手が巻き起こった。久石さんはそれこそ何かの競技が終わったかのように汗だくで、清々しい少年のような顔で微笑んでいた。綿密に構築され、しなやかに流れていく旋律の奥底にはいつも、久石さんの真摯な音楽に向き合う無骨な情熱を感じます。アルバムを聴きながら目を閉じると、あの日と同じように想いを込めてタクトを振る久石さんが浮かんできました。

北川悠仁(ゆず)

(寄稿 ~CDライナーノーツより)

 

 

【楽曲解説】

ロッシーニ/歌劇「ウィリアム・テル」序曲

ロッシーニは初期ロマン派に属する作曲家で、19世紀の前半を通じて全ヨーロッパのオペラ界の王者のような人気作曲家であった。彼がヨーロッパ各地にまき起こしたつむじ風は、ベートーヴェンの存在さえ影のうすいものにしたといわれている。ロッシーニの最後のオペラ作品「ウィリアム・テル」は、ゲーテと並んでドイツ最大の詩人とされているシルレルの劇にもとづいて、フランス人ド・ジュイがオペラ向きに脚色した台本に作曲したものである。オペラ全曲初演、1829年8月3日、パリ・オペラ座。

第1部「夜明け」アンダンテ、ホ短調、3/4拍子
チェロの5重奏を主体にして、チェロの残部とコントラバス、ティンパニのみで静かにアルプス山間の夜明けを画いたものである。始めはチェロの独奏で、間に他の4本のチェロが答えるように奏す。つづいてホ長調になり、コントラバス、チェロの残部のピトカートの伴奏にのり、やわらかな旋律を歌う。旋律のとぎれたところへ、ティンパニが次の嵐を思わせるかのようにきかせる。その後またもとのやわらかな旋律を奏しつづけて、始めのチェロ独奏のモティーフを変化しつつ第1部(夜明け)を終っていく。

第2部「嵐」アレグロ、2/2拍子
初めに弦楽器によって嵐の来襲を示す疾風の描写があり、やがて全管弦楽器により凄まじい暴風雨が到来する。この激しい嵐がしだいに遠ざかって、ティンパニの遠雷とフルートの名残の雨だれのような独奏にて次の第3部に移る。

第3部「牧歌」アンダンティーノ、ト長調、3/8拍子
嵐はやみアルプスの山々の頂に白く光る雪の峰は、晴れ渡った青空とともに平和で自由なスイスの前途を祝福しているかのようであり、この自由な牧歌が遠くの山々にこだまする。嵐の静まったあとに平和な牧歌が歌われる。田園に吹きならす牧笛の音がイングリッシュ・ホルンの独奏で、これにからむフルートの技巧的なオブリガードが全体に美しい効果をあげている。この主題を今一度、音をかえして奏し第2の主題に入る。

第4部「スイス独立軍の行進」アレグロ・ビバーチェ、ホ長調、2/4拍子
スイスに平和をもたらした独立軍の行進と勝利の賛歌である。トランペットの勢いのよいファンファーレ的な独奏に導かれて、全管楽器の合奏が序奏を奏し終わると華やかできざむようなリズムで弦楽群、クラリネット、ファゴット、ホルンにて行進曲を歌いはじめる。終結部は全管弦楽器によりクライマックスをつくりながら前に出てきた主題を少しずつ変化させて民衆の限りない喜びを歌い、最高潮の興奮にわきこの序曲の最大のクライマックスに入る。GPのあと最終結までのところはまさに最高潮に達し興奮と歓喜にあふれる終結部で、まことにベルリオーズが「4つの部分による交響曲といってもふさわしい」と賞賛したいほどの壮麗で調子の高い序曲である。

 

チャイコフスキー/バレエ組曲「くるみ割り人形」作品71a

チャイコフスキーはロシア生まれの作曲家である。ドイツ系ロマン派、フランス系ロマン派、そしてロシアの音楽からそれぞれ影響を受けており、特にブラームスの時代まで相容れなかった二つのロマン派を融合させたような作風は、当時のドイツやフランスの作曲家には見られないものである。作品は実に多岐にわたるが、とりわけ後期の交響曲・バレエ音楽・協奏曲などが特に愛好されている。

《くるみ割り人形》はチャイコフスキーのバレエ音楽最後の作品になる。ドイツ・ロマン主義の作家ホフマンの『くるみ割り人形とねずみの王』が原拠だが、バレエの直接の原典はデュマのフランス語版『くるみ割り人形』をベースにし、プティパが台本をまとめている。当時、ロシア音楽協会から新作の演奏会を急に依頼されたが、新作を手掛ける時間もなく作曲中のバレエ「くるみ割り人形」から8曲を選んで、組曲「くるみ割り人形」作品71aとしてバレエより先に発表した。

組曲初演/1892年3月19日
ペテルブルグのロシア音楽協会演奏会
バレエ初演/1892年12月17日
サンクトペテルブルグ/マリンスキー劇場

バレエそのものは少女クララが見たクリスマス・イヴの夢。くるみ割り人形とお菓子の国、それにすてきなプリンスとのラブ・ロマンス。いたって楽しいおとぎバレエでもある。

1.小序曲 Overture Miniature
展開部を省いた小ソナタ形式。行進曲的だが、甘美な幻想的な輝きを持つ。弦楽器によるひそやかに弾むような主題で始まり、第2主題は弦のピチカートの上に流れるようなカンタービレが歌われる。この2つの主題が繰り返されて第1幕へ。

2.行進曲 March
第1幕で子供たちが入って来る音楽。無邪気な快活な主題がトランペットとホルンとクラリネットで奏され、弦に引きつがれ次第にいろいろな楽器で繰り広げられて行く。全曲の中でもきわめて有名な曲。

3.こんぺい糖の精の踊り Dance of the Sugar Plum Fairy
第2幕で城の女王の踊りである。彼女は物柔らかなチェレスタの響きを中心とする幻想的な音楽に乗って光りつつ踊る。チェレスタの輝かしい音色とバスクラリネットの低いフシが印象的である。終わり方が組曲版と全曲版では違っている。

※チェレスタは1886年にパリのミュステルが発明したものだが、チャイコフスキーは1891年の旅行の時パリでこれを見て早速ここに使った。しかしこの楽器がまだ普及していないので、楽譜にはピアノで奏してもよいと記してある。

4.ロシアの踊り(トレパーク) Russian Dance (Trepak)
夢のお城でチョコレートの精が踊る。モルトヴィヴァーチェという指定どおり非常に活気のる曲。力強いメロディが第1ヴァイオリンによって繰り返される。後半はテンポを上げ、嵐のようなアッチェレランドで一気に曲が終わる。

5.アラビアの踊り Arabian Dance
コーヒーの精の踊り。東洋風のキャラクターダンス。もとグルジアの子守唄。チェロとヴィオラがこの調の主音と属音とを重ねて全曲にわたる低属音を8分音符で単調に聞かせている。旋律はクラリネットからヴァイオリンへと進み、さらにバスーン、弦、クラリネット、フルート、弦と動いて間を縫うタンブリンの弱い響きが魅力を持つ。甘い、ものうい、モヤのような東洋的な曲である。

6.中国の踊り Chinese Dance
お茶の精の踊り。バスーンと弦のピッチカートとの単調なリズムに乗って、フルートが高い音で駈け廻りながら叫ぶ。弦楽器によるピッチカートが中国風の味を出している。

7.あし笛の踊り Dance of the Mirlitons
玩具の笛の踊り。低い弦のピッチカートの慌しいリズムの上にフルートの三重奏が跳ね廻るような旋律を出し、やがてトランペットが急ぎ足で華やかに行進曲風な感じを出し、再びフルート三重奏の跳ね廻る調べに入って終わる。

8.花のワルツ Waltz of the Flowers
全曲中もっとも華やかで有名な曲。あらゆる花が舞い出し玩具もお菓子も一緒に踊る。木管とホルンによる序奏に続いてハープのカデンツァ。これに続くワルツ主部はロンド形式になっている。

 

ストラヴィンスキー/バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)

ストラヴィンスキーはロシアの作曲家である。生涯に、原始主義、新古典主義、セリー主義と作風を次々に変え続けたことで知られ「カメレオン」というあだ名をつけられるほど創作の分野は多岐にわたった。さまざまな分野で多くの作品を残しているが、その中でも初期に作曲された3つのバレエ音楽(『火の鳥』、『ペトルーシュカ』、『春の祭典』)が名高く、特に原始主義時代の代表作『春の祭典』は、20世紀の最高傑作と言われている。また作曲家としてのみならず、指揮者、ピアニストとしても幅広く活動した。20世紀を代表する作曲家の1人として知られ、20世紀の芸術に広く影響を及ぼした音楽家の1人である。

オーケストラ作品ではリムスキー=コルサコフ仕込みの管弦楽法が遺憾なく発揮され、さらにそこから一歩踏み込んだ表現力を実現することに成功している。これらの作品によってベルリオーズやラヴェル、師のリムスキー=コルサコフなどと並び称される色彩派のオーケストレーションの巨匠としても知られるに至っている。

「火の鳥」はロシアの民話に基づく1幕2場のバレエ音楽およびそれに基づくバレエ作品。音楽はリムスキー=コルサコフに献呈された。オリジナルのバレエ音楽と3種類の組曲(1910年版・1919年版・1945年版)があり、オーケストレーションが大幅に異なる。組曲版では一部曲名が異なる部分もある。元々はディアギレフからリャードフに依頼されたのだが作曲がはかどらなかったために無名の新人ストラヴィンスキーに白羽の矢がたった。振付師ミハイル・フォーキンと台本を練り、1909年から1910年にかけて約半年で火の鳥の音楽を作曲した。1910年6月25日パリ・オペラ座にてガブリエル・ピエルネの指揮によって初演される。この初演は画期的な成功となり、一夜のうちに彼はスター作曲家として認知された。

バレエとしても人気があり、初演後も多くのバレエ団で再演が行われている。

組曲(1919年版)は、手ごろな管弦楽の編成と規模から実演では最も演奏機会の多い版である。「魔王カスチェイの凶悪な踊り」での有名なトロンボーンのグリッサンドはこのバージョンで導入された。一般的な二管編成になり、打楽器が減らされている。チェレスタは必須ではなく「子守歌」のピアノパートに「またはチェレスタ」の注釈が添えられている。

1.序奏 Introduction
不死の魔王カスチェイの庭園。大太鼓の弱いトレモロに乗って、弱音器をつけたチェロとコントラバスがゆっくりとした不気味な音形を弾き始める。物語があける前の夜の情景である。

2.火の鳥とその踊り The Firebird and Its Dance
幕が上がるとカスチェイの住む魔法の庭園、琥珀色に輝くリンゴの木が茂り、弦のトリルで鳥の羽音を模した音楽で美しい火の鳥が現れ「火の鳥とその踊り」が始まる。

3.火の鳥のヴァリアシオン Variation Of The Firebird
王子イワンは木陰に隠れてその様子を窺いやがて火の鳥を捕らえるが、火の鳥の命乞いに応じる。喜んだ火の鳥は不思議な力を持った自らの羽根を王子に送った。

4.王女たちのロンド (ホロヴォード) The Princesses’ Rondo
イワン王子の迷い込んだ庭園には、カスチェイに囚われた13人の乙女たちがとらえられていた。ハープの伴奏でオーボエで奏でられるロマンあふれる旋律は、ロシア民謡による乙女たちの踊りである。王子は彼女たちを助けようとするが、逆に捕らえられてしまう。しかし手に入れた火の鳥の羽のため、魔王の魔法はかからない。

5.魔王カスチェイの凶悪な踊り Infernal Dance Of King Kashchei
やがて火の鳥が現れ、王子に襲いかかろうとするカスチェイ一党を自らの魔法で強制的に踊らせ始める。凶暴で迫力に満ちたこの難曲は、魔王カスチェイの凶悪な踊りである。踊りはどんどんエスカレートしていき、一党は限界に達してバタバタとその場に倒れていく。

6.子守歌 Lullaby
踊り疲れたカスチェイ一党に火の鳥は、ファゴットで歌われる「子守歌」で彼らを眠らせてしまう。やがてカスチェイは目を覚ますが、イワン王子は魔王の魂入りのたまごを見つけて破壊し、魔王及びその一党を消し去った。

7.終曲 Finale
弦のトレモロに乗ってホルンが主題を吹く。魔法の庭園に平和が戻り、乙女たちは自由の身になり、王子は改めて王女に求婚。2人は火の鳥や乙女たちから祝福を受ける。火の鳥は幸福そうな人々をその場に残し、いずこもなく飛び去って行く。

 

ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ

ラヴェルは「管弦楽の魔術師」、「オーケストレーションの天才」という異名を持つほど管弦楽法にとても優れた作曲家である。彼は若くして自分のスタイルを確立した作曲家であり、パリ音楽院在学中から個性的な作品を次々に発表した。

「亡き王女のためのパヴァーヌ」は、「グロテスクなセレナード」、「古風なメヌエット」に続いて3番目に出版されたピアノ作品で、パリ音楽院在学中に作曲した初期を代表する傑作であり、彼の代表作の1つと言える。1899年にピアノ曲として作曲し、1910年に自身が管弦楽曲に編曲した。この曲は出版されるやフランス中で大人気となり、一躍ラヴェルは人気作曲家の仲間入りを果たした。ルーヴル美術館を訪ねた時にあった、17世紀スペインの宮殿画家ディエゴ・ベラスケスが描いたマルガリータ王女の肖像画からインスピレーションを得て作曲したとされる。ラヴェルによるとこの題名は、「亡くなった王女の葬送の哀歌」ではなく、「昔、スペインの宮殿で小さな王女が踊ったようなパヴァーヌ」だとしている。パヴァーヌとは、16世紀から17世紀にかけてヨーロッパの宮廷で普及していた舞踏のこと。歴史上の特定の王女に捧げて作られたものではなく、スペインにおける風習や情緒に対するノスタルジアを表現したものであり、こうした表現はラヴェルによる他の作品(例えば『スペイン狂詩曲』や『ボレロ』)、あるいはドビュッシーやアルベニスといった同年代の作曲家の作品にも見られる。

初期のラヴェルは他の作曲家の影響が明確である場合が多く、この作品はその典型である。ラヴェルはサティを尊敬しており、またシャブリエも好んでいた。後にラヴェル自らこの曲に対し、「シャブリエの影響があまりにも明らかであるし、形式もかなり貧弱である」という評価を下している。

ラヴェルは和音はかなり独創的なことをしていたにも関わらず、なぜか形式はきちっとしている。この曲はとてもわかりやすいロンド形式を取った明確なト長調である。当時は音楽がまだシンプルであり、その絶妙な和音の中にもすごくわかりやすい旋律を持っている。

それが今でもなお絶大な人気を博す理由の1つであろう。特に若い女声に人気を博し、100年経った今も女性受けの良い曲とされている。

晩年、記憶障害に悩まされたラヴェルはこの曲を聴いて、「とても美しい曲だ。しかしいったい誰が作ったのだろう。」と語っていたそうである。これこそ作曲者自身がこの曲に下した真の評価ということではないだろうか。

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

久石譲 『JOE HISAISHI CLASSICS 3 』

Rossini William Tell Overture
1.ロッシーニ / 歌劇 『ウィリアム・テル』 序曲
Tchaikovsky The Nutcracker, op.71a
チャイコフスキー / バレエ組曲 『くるみ割り人形』 作品71a
2.Overture Miniature 小序曲
3.March 行進曲
4.Dance of the Sugar Plum Fairy こんぺい糖の精の踊り
5.Russian Dance (Trepak) ロシア舞曲(トレパーク)
6.Arabian Dance アラビアの踊り
7.Chinese Dance 中国の踊り
8.Dance of the Mirlitons あし笛の踊り
9.Waltz of the Flowers 花のワルツ
Stravinsky The Fire Bird (1919 Version)
ストラヴィンスキー / バレエ組曲 『火の鳥』 1919年版
10.Introduction 序奏
11.The Firebird and Its Dance 火の鳥とその踊り
Variation Of The Firebird 火の鳥のヴァリアシオン
12.The Princesses’ Rondo 王女たちのロンド(ホロヴォード)
13.Infernal Dance Of King Kashchei 魔王カスチェイの凶暴な踊り
14.Lullaby 子守歌
15.Finale 終曲
Ravel Pavane for a Dead Princess
16.ラヴェル / 亡き王女のためのパヴァーヌ

指揮:久石譲
演奏:新日本フィルフィルハーモニー交響楽団
録音:
2010年1月7日 東京・サントリーホール
2010年1月9日 東京・オーチャードホール
2010年8月7日 東京・すみだトリフォニーホール

 

Disc. 森高千里 『ペコちゃんの歌』

2010年10月29日 CD発売 TGCS-6408 数量限定

 

不二家創業100周年記念ソング
作詞:麻衣 作曲・編曲:久石譲 歌:森高千里

 

テンポの良いリズムで、子供から大人まで口ずさんでしまう元気なかわいい曲。ウクレレやストリングスに加えて、バンジョー、パーカッション、クイーカが使われている。

CDでは、1曲目:ボーカル 森高千里 2曲目:カラオケバージョンを不二家公式サイトでは、子供たちによる合唱バーションを聴くことができる。

 

このCDは一般のCD販売店での販売はなく、不二家洋菓子店舗、不二家ネットショップ「ファミリータウン」、2010年銀座ペコちゃんミュージアムで数量限定販売された。

 

 

不二家 ペコちゃんの歌 1

不二家 ペコちゃんの歌 2

不二家 ペコちゃんの歌 3

不二家 ペコちゃんの歌 4

不二家 ペコちゃんの歌 5

 

Disc. 久石譲 『JOE HISAISHI CLASSICS 2 』

久石譲 『JOE HISAISHI CLASSICS 2 』

2010年9月1日 CD発売 WRCT-2002

 

久石譲「クラシックス・シリーズ」第2弾

久石譲指揮 クラシックでありながら新しい!
作曲家ならではの”血の共感”なくしてはあり得ない
伝統にとらわれない新たなクラシックがここに生まれる…

 

 

久石さんのブラームスとモーツァルトの指揮に寄せて

昨年2009年の夏、シュトックハウゼン作曲「グルッペン」の演奏会場で久石さんの姿をお見かけした時は、本当にびっくりした。3群のオーケストラと3人の指揮者が同時に演奏する「グルッペン」は、いわば独墺系オーケストラ音楽の極北に位置するような作品で、欧米でも滅多に演奏されない。驚くべきことに、久石さんは35年前の「グルッペン」日本初演にも足を運んでいたのだった。かつてシュトックハウゼンをはじめとする現代音楽の先人たちと真剣に格闘し、今もなお、その情熱を保ち続けている”永遠の音楽学生”の興奮が、久石さんの表情から伝わってきた。

本盤に収録されたブラームス「交響曲第1番」の久石さんの指揮には、”ブラームスの先人との格闘”が、これ以上望むべくもない明瞭な姿で刻みこまれている。その”先人”とは、久石さん自身の楽曲解説にもあるようにベートーヴェンだ。ブラームスの第1楽章主部全体を貫く「タタタ」あるいは「タタタ・ター」という三連のリズム。これがベートーヴェンの「運命」の有名なリズムに由来することは言うまでもない。それを実証するため、久石さんはブラームスの代名詞というべき濃厚なロマンティシズムからやや距離を置き、ブラームスがスコアの中に散りばめた運命リズムを、ひとつの洩れもなく丁寧に叩いていく。ブラームスの演奏で、これほど運命リズムを強調した解釈も珍しい。その結果、ブラームスがいかにベートーヴェン流の作曲原理を咀嚼し、それを自らの養分としていったか、その格闘のドラマがヴィヴィッドに伝わってくる。こういう解釈は、作曲家ならではの”血の共感”なくしては不可能だろう。

モーツァルト「交響曲第40番」の演奏も、最初の一音から久石さんのコンセプトは明瞭だ。つまり、バス(低音)声部と内声部の強調である。モーツァルトが得意としたポリフォニー音楽は、西洋音楽の調性と和声進行の原理を最大限に利用したものだった。その土台となるのが、言うまでもなく和音の構成音である。それをしっかり認識しなくては、モーツァルトの本当の凄さがわからない。だから久石さんは、一点の曇りもなく、バス声部と内声部を堂々と鳴らしていく。「第40番」が、これほど巨大な建築物のように聞こえたことは、久しくなかったのではあるまいか。

かつてシュトックハウゼンがモーツァルトを演奏し、ブラームスがベートーヴェンの作曲技法を嘆賞したように、作曲家たちは常に先人たちの仕事を振り返り、自らの音楽を豊かにしていく新古典主義(ネオ・クラシシズム)の運動を繰り返してきた。久石さんも、実はそうした作曲家のひとりに他ならない。2009年に久石さんが初演した「シンフォニア~弦楽オーケストラのための~」の明快この上ない形式感は、明らかに久石さんの新古典主義的関心を示すものであった。そして今、久石さんは指揮者として、先人たちの偉大なクラシック作品と格闘する、壮大な”ネオ・クラシック”の冒険を始めようとしている。

前島秀国(サウンド&ヴィジュアル・ライター)

(CDライナーノーツより)

 

 

【楽曲解説】

ブラームス/交響曲 第1番 ハ短調 作品68

ブラームスはまさに地上の音楽である。例え天地創造を謳ったとしても、この北ドイツのハンブルクで生まれた天才の音楽には、悩み苦しみ希望に向かって生きていく、地に足をつけた人間の姿がそこにある。だからこそ人はその音楽に共感し感動するのではないだろうか。

交響曲第1番は構想から完成まで20年近い歳月を要した。1855年にシューマンの《マンフレッド》序曲を聴いて若きブラームスは大きな感銘を受け、自らも交響曲の構想を練りはじめた。ところが、第1楽章の原型が完成をみたのは1986年の夏のことであったという。その後も長い放置状態が続くが、1874年頃からようやく集中して作曲が進められるようになり、1876年ブラームスが43歳のときに全曲が完成した。

ブラームスがこれほど用心深く交響曲の作曲にあたったのは、ベートーヴェンを強く意識していたからに他ならない。第1楽章のハ短調に対して第2楽章は長三度上のホ長調、第3楽章は変イ長調、第4楽章はハ短調-ハ長調と、楽章が進むにつれて長三度ずつ上方へ進行し、終楽章において主調に戻っている。これはすでにベートーヴェンに見られたものであり、両端1・4楽章が長・短調の関係をもって明暗のコントラストを持つこともベートーヴェンの第5番(運命)に類似している。

だが、この第1番の初演のとき終楽章の主題がベートーヴェンの第9交響曲〈合唱付き〉と似ているという指摘に対してブラームスは「そんなことは驢馬(ろば)にだってわかる」と言ってのけている。つまりベートーヴェンの影響下にあることは織り込み済みの上で彼にはもっと大きな自信があったのだろう。実際リストやワーグナー派が主流になった当時のロマン派的風潮の中で、ブラームスはむしろ時代と逆行して形式を重んずるバロック音楽やベートーヴェンを手本として独自な世界を作っていった。本来持つロマン的な感性と思考としての論理性の葛藤の中で、ブラームスは誰も成し得なかった独自の交響曲を創作していったのである。

第1楽章は、序奏を持つソナタ形式。序奏では重厚なハーモニーがティンパニによって導かれ、全曲を統一する主要動機が次々に現れ緊迫感を高めていく。主部はアレグロ ハ短調 8分の6拍子。ヴァイオリンによるエネルギッシュな第1主題が提示され展開された後、第2主題が木管によって柔和に歌いだされ、激しく展開されていく。

第2楽章はアンダンテ・ソステヌート ホ長調 4分の3拍子で三部形式である。ヴァイオリンが美しい第1主題を提示するのだが、その背後にファゴットが同じテーマをユニゾンで演奏している。この辺りは北の大地ハンブルク生まれのブラームス特有の分厚いオーケストレーションの特徴となっている。その後オーボエが表情豊かに第2主題を奏でるのだが、第3部では同じ主題が独奏ヴァイオリンによって極めて印象的に演奏される。

第3楽章も三部形式で、ウン・ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ 変イ長調 4分の2拍子。第1主題はクラリネットで牧歌風に始まるのだが、10小節から成るこの主題は前半の5小節のフレーズがそのまま反転して後半の5小節を形成している。この辺りはブラームスのユーモアに満ちた遊びということだけでなく、論理的なこだわりという意味で細部まで徹底するのに十数年という歳月を要した原因ではないかと考える。中間部ではブラームスが生涯好んで用いた2つの動機が現れる。〈運命の動機〉が管楽器に現れ、弦楽器による〈死の動機〉がそれに応える。なおこの2つの動機はリズムの核として全編を通して登場する。

第4楽章、アダージョ ハ短調の序奏と、アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・ブリオ ハ長調 4分の4拍子で展開部の無いソナタ形式。再現部で展開部を兼ねさせているのが大きな特徴だ。重々しい序奏とまるで嵐のような激しい弦のパッセージの後、ピウ・アンダンテ ハ長調の美しいアルペンホルン風の旋律は、ブラームスが愛するクララ・シューマンに贈った歌曲から引用されている。そして歓喜のコラールともいえる第1主題がヴァイオリンによって歌いだされ、様々な変奏の後、経過句的な第2主題が提示される。それと同時に音楽は熱を帯び、輝かしいクライマックスへと向かっていく。そしてこの「勝利のフィナーレ」が発想のすべてのもとであり、最初に構想されたのではないかと僕は考える。

初演は、1876年11月にカールスルーエの宮廷劇場でオットー・デッソフの指揮によって行われ、直後にはブラームスの指揮によりマンハイム、ミュンヘン、ウィーンでも演奏された。

 

モーツァルト/交響曲 第40番 ト短調 K.550

「モーツァルトの三大交響曲」と呼ばれる第39番から第41番までは、死の3年前にウィーンで書き上げられた。第39番が1788年の6月26日、続いてト短調の第40番が7月25日、第41番(ジュピター)が8月10日という驚くべき速さである。それぞれの交響曲が1ヶ月足らずで作曲され、そのうえこの3曲が音楽史に燦然と輝く不朽の名作なのだから畏れ入る。だが、どういった目的で作曲されたのか、つまり委嘱を受けて書いたのか、コンサートのためなのか自発的に書きたいから書いたのか(当時の状況からするとあり得ない)判明せず、実際に演奏されたのかでさえ疑わしいのである。

が、ト短調の第40番は演奏された確率が高い。その根拠は原曲にはクラリネットが入っていないのだが、改訂版には入っている。つまり何らかの必要に迫られて改訂されたのだから、用途(演奏)はあったということになる。

曲の美しさと完成度は人類が到達できる最高峰のものであることは間違いない。しかし、この名曲は同時に当時では考えられない調性の実験をしている。

第1楽章の展開部はなんと半音下の嬰ヘ短調から始まりさらに下降するという不安定な調性が続いていくのである。美しさと裏腹のこの不気味さがいっそうこの曲の神秘さを増している。

第2楽章は、まれに見る高雅で気品ある緩徐楽章である、と言われているがそれは表面だけ、これほど完璧な方程式のような無駄のない書法は、情緒的なものなど寄せ付けない厳しさがある。第3楽章のメヌエットは、ヴァイオリン群の強い2拍子系とヴィオラ・チェロ・コントラバスの3拍子系という上下2つの声部に分割され、対位法的な鋭い緊張とエネルギーをはらんで絡み合う。これに対してトリオ部では、なだらかな旋律が優しく歌いかわされるのだが、それが救いではある。

終楽章は、強弱対比の著しい第1主題で始まり激烈なパッセージが続き、一気に我々をデモーニッシュな世界へ連れて行く。ここでも展開部では刺激的な転調を重ねながら対位法的な声部の交差で劇的なクライマックスへと上り詰める。ブラームスが地上の音楽であるとするならば、モーツァルトはすべてを超越した、まさに天上の音楽である。

 

最後にこの2曲を指揮するにあたって、僕が考えたことはできるだけスコア(総譜)から読み取れる情報をそのまま再現すること、ブラームス、モーツァルトが作曲するにあたってどこに苦心したか、どう響いてほしいかを作曲家としての眼で読み取ることであった。だから、ドイツ的、ウィーン的なヨーロピアンな響きということには重きを置いていない。それはベルリンフィル、ウィーンフィルの演奏を聴いたほうがいい。常々考えることがある。我々、亜細亜人がクラシックを演奏するということは、そして少しでも価値があるとするならば、伝統にとらわれない自由な解釈(それもまっとうな)をする、あるいは徹底的に譜面を読み込み、別の視点で再構築することしかないのではないか。それが古典芸能ではなく、現代に通じるクラシック音楽のあり方ではないかと僕は考える。

久石譲

(【楽曲解説】 ~CDライナーノーツより)

 

 

「ブラームスの交響曲第1番。作曲家として譜面に思いを馳せると圧倒されて、自分の曲作りが止まってしまった。20年近くかけて作られただけあって実によく練られている。あらゆるパートが基本のモチーフと関係しながら進行していくのに、そのモチーフが非常に繊細で見落としやすく、読み込むのに相当な時間を要した。バーンスタインがマーラーに取り組むと3か月間は他のことができないと言っていたそうだけど、分かる気がした。その分、強い精神力が養われたけどね。ただ、あんまり突き詰めたもんだから、今度は多くの人に届くような曲がもう一度作れるだろうかという不安な気持ちも出てきた。芸術家は「自分はアーティストだ」と宣言した瞬間に成立するけど、エンターテインメントの世界でやっていくには、受け手の支持がないと始まらない。そういう時にたまたまSMAPの曲(「We are SMAP!」)を依頼されて、「遠慮せず行けるところまで行ってみよう」と振り切ることができたんだ。」

Info. 2010/10/13 ベストアルバム「メロディフォニー」を発売 久石譲さんに聞く(読売新聞より) 抜粋)

 

 

 

久石譲 『JOE HISAISHI CLASSICS 2 』

Brahms Symphony No.1 in C minor Op.68
ブラームス / 交響曲第1番 ハ短調 作品68
1. I. Un poco sostenuto-Allegro
2. II. Andante sostenuto
3. III. Un poco allegretto e grazioso
4. IV. Adagio-Più andante-Allegro non troppo, ma con brio
Mozart Symphony No.40 in G minor K.550
モーツァルト / 交響曲第40番 ト短調 K.550
5. I. Molto allegro
6. II. Andante
7. III. Menuetto:Allegretto
8. IV.Finale:Allegro assai

指揮:久石譲
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
録音:2010年2月16日 東京・サントリーホール

 

Disc. 久石譲 『JOE HISAISHI CLASSICS 1 』

久石譲 『JOE HISAISHI CLASSICS 1 』

2010年7月28日 CD発売 WRCT-2001

 

「久石譲 クラシックス・シリーズ」第1弾

音楽家 久石譲が作曲家・演奏家としてではなく
指揮者として新しい視点とアプローチでクラシック音楽に挑んだ
選りすぐりのクラシック名曲集。

音楽はこれほどまでに論理的だったのか!
微細(ミニマル)な音までこだわった究極のクラシック

 

 

「誰がために音楽はあるか」

”久石譲クラシックス・シリーズ”のアルバムを発売することになった。

クラシック音楽は、一応音楽大学でモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、マーラー、バルトークなどの古典を勉強したが……「?」 それよりシュトックハウゼン、ジョン・ケージ、クセナキスといった現代音楽の方にのめり込んだ。

不協和音の複雑な音響とそれぞれの作曲家の思想に当時の今を感じたからだ。当然スコア(総譜)は何連音符も重なり真っ黒でありそこには調性もリズムもなかった。人間が理解する限界を超えた作品も多かった。「誰がこれを聞くのか?」「誰が理解できるのか?」という素朴な疑問も浮かんだその頃は「これが芸術だ」という時代の先端のカッコ良さを感じた。

その後、ミニマル・ミュージックに出会った。ミニマル・ミュージックは1960年代にアメリカで始まった新しい手法(当時は)で最小音型を繰り返しながら微細な変化を聴く音楽である。ここには調性もリズムもあった。僕がそこで取り組んだのは集団即興演奏の今で言うシステム構築に当たる方法の追求である。

次第に譜面は図形化していき丸い円の中にいくつかの音符が存在するという、もう生粋の前衛スタイルになっていた。また繰り返しの音楽は、やはり独特の演奏スタイルが必要なのでプラーナ(古伝書)アンサンブルという演奏団体も作った。誰もいない客席に向かって僕たちは新作を発表し続けた。

また何人かの若手作曲家と共同で新作の発表会も続けた。前衛的な音楽ではその音楽を成立させている思想性が重要になり、そこで流れる音自体はさほど問題ではない。あくまで結果なのである。いきおい仲間内では議論が多くなり、相手を論破することに夢中になる。徹夜の議論を繰り返していくうちに疑問がわいた。「これは音楽をすることなのか?」「これがオレのやりたい音楽なのか?」そして「誰に聞かせたいのか?」

その気持ちが年々強くなっていったとき、フィル・マンザネラやブライアン・イーノのロキシー・ミュージックを聴いた。ロックグループなのだがベーシックなアプローチはミニマル的要素が大きかった。そこには現代音楽が失った自由があった。そしてマイク・オールドフィールドの「チューブラー・ベルズ」(これは映画『エクソシスト』にも使われた)、タンジェリン・ドリーム、テクノ・ポップのクラフトワークなど、ミニマル的アプローチのロックグループが次々に現れてきたのをみて僕は動揺した。そちらの世界がうらやましくなったのだ。そしてオブスキュア・レーベルの一連のロック、ミニマルの融合したアルバムを聴くにおよんで前衛作曲家、ひいてはクラシック音楽の世界と決別し、エンターテインメントの音楽世界に身を投じた。その方が良いミニマル的なアプローチができると思ったからだ。

エンターテインメント音楽は非常に厳しい世界だ。芸術家は自分がある日「芸術家だ」と標榜すれば、あるいはそう思えは芸術家なのである。そしていつの日か認められる(シューベルトなど)ことを信じて生きていくことはできるが、エンターテインメント音楽は自分が決めるのではなく聴衆が決めるのである。つまり支持されないと仕事は来ない。しかも書法のテクニックなど無関係に時代の世相、流行に左右される。ある意味でジャンクフードをうまそうに食べるような逞しさも必要だ。

毎年200名近い人が音楽大学の作曲科を卒業し、その人たちがずっと何十年もたまっているのだから、それはもう数万人規模の作曲科卒とバンド出身の作曲家がいて、そしてそのほとんどの人が映画やテレビの音楽を担当したがっているのである。だから仕事をゲットすることはサッカーのワールドカップ決勝戦のチケットを手に入れることの数万倍、数十万倍難しいのである(この原稿当時ワールドカップが南アフリカで開催されていた)。

などと鼻息が荒くなったが、要は色々苦労してやっと映画音楽や様々な音楽を書く機会に出会えたということだ。もちろんミニマル作家としてのプライドもあり、色々なところにミニマル的要素を織り込んだことは間違いない。

段々規模の大きな作品を担当するようになると、オーケストラを使う機会が多くなった。そこで参考として、いわゆるクラシック作品の楽譜を眺めていると、実に多くのヒントを受けるようになった。

学生時代に授業で受けたスコアリーディングのベートーヴェンは退屈きわまりなかったし、チャイコフスキーに至ってはただしつこく繰り返しながらクライマックスに向かう山師的コザックおじさん、ブラームスはただただ音の分厚い暗い人くらいに思っていたのが(ちょっと誇張しているが)、今では細部の和音の扱い、弦楽器の音域配置、低弦でのリズム処理など恐ろしく知的で、これに行き着くために血みどろの葛藤があったことが読み取れるようになった。僕は感動し、クラシック音楽の前にひざまずいた。まさしく僕にとってクラシックは玉手箱(パンドラの箱)であった。

それは2004年に始めた新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラといったプロジェクトでクラシックの指揮をするようになったことにも起因している。作曲家として読む譜面と指揮者で読む譜面はまるで違う。前者は音の組み立てやリズムの構造、全体の構造などモチーフに則した楽曲の成り立ちに主眼をおくし、後者はそこまでの過程は同じでも演奏するための実践的な各パートへの指示などを中心に組み立てていくのである。

そうすると今まで見えていなかった景色が見えて来た。何故金管楽器をここで休ませたか? ここのフェルマータの意味は? 考えていくとすべてが必然であり、すべての指示には意味があった。先人たちの深い知恵に脱帽した。もっと知りたいしこの感動を指揮者として多くの聴衆に伝えたい。

そして「久石譲クラシックス」とうコンサートシリーズを開始した。同時にその思いは諦めたはずの現代音楽の作曲家としての自分を「Minima_Rhythm(ロンドン交響楽団と共演)」というアルバムを作ることで復活させ、今年からは国立音楽大学の作曲科の授業で学生たちとも接することになった。クラシックの世界に戻ったというか、放蕩息子、火宅の人がやっとたどり着くべき我が家に帰ったのに近い感覚だ。

しかしそれまでの回り道も悪くない、「色々な音楽を体験した」のは僕であり、それだからこそわかることもある。自分の生きる原点は音楽にあり、目指す彼方も音楽なのである。だから「誰がために音楽はあるか」の問いに僕は「自分が生きるため」と答えるし、それは多くの人たちの「自分のため」の音楽とリンクしているはずだ。その人たちに向かって僕は発信し続けていく。

そんなことを考えている中で「久石譲クラシックス」のライヴ盤がCD化される。恥ずかしさと同時に今でしか伝えられないこともあると思う。それはシューベルトやドヴォルザーク、ブラームスやモーツァルトなどといった曲は、小・中学校の音楽の授業でも扱うくらい一般的で(もちろん実際クラシックのコンサートでも頻繁に取り上げられているが)おなじみの曲ではあるのだが、実際指揮者として譜面を勉強してみると、何と深く立派な作品であることかと驚く。長い間人々に支持された曲はそれだけで充分名曲なのである。

だが、例えばドヴォルザークの「新世界より」を何十回も振っていたら消えてしまうであろう新鮮さといった類を、そのまま新鮮と感じているうちに、皆さんと共有したい。もちろん素晴らしいオーケストラの団員のサポートがあってこそ成立しているのだが。

またこの機会に今までなじみが無かったクラシック音楽に自分も接してみたいと思う人が一人でも現れたら、このCDの存在意義は達成されると僕は考える。

もちろん歴史的な名曲たちを現代の作曲家の観点からもう一度再構築したいという野望は当然ある。作曲家が頭の中で辿ったはずの曲を作る過程を追体験し、彼らが構築したかったこと、うまくいかなかったこと、こだわったこと、そして何よりも純粋に音の機能と運動性を重視して表現したい、それが西洋の伝統を持たない我々の表現であるし、今という時代とクラシックの唯一の接点であると考える。それは「誰がために音楽はあるか」の答えでもあると僕は考えている。

2010年6月 久石譲

(CDライナーノーツより)

 

 

久石さんの「新世界より」と「未完成」の指揮に寄せて

「個人的な希望だけど、指揮者として『運命』『新世界より』『未完成』を振ってみたい」。3年前の夏、久石さんの口からこんな発言が飛び出した時、ぼくは本当に驚いた。ぼくたちが普段親しでいる”久石譲”と、誰もが一度は耳にしたことがある”学校名曲”が、にわかに結びつかなかったからだ。しかし、本盤に収録された「新世界より」と「未完成」のライヴ録音を聴いて、ぼくは3年前の驚き以上の衝撃を受けた。「楽譜に書かれている音符は、聴衆の前ですべてを明らかにする」という分析的なアプローチを、久石さんが頑なに守り通し、また、それを見事に実践いていたからである。

本盤を手に取られたリスナーは、「楽譜なんか怖くて読んだことがない」と尻込みせずに、ぜひともオーケストラの総譜(ミニチュアスコアが簡単に入手できる)を眺めてほしい。久石さんの指揮を聴きながら楽譜を見ると、音符を目で追うことがとても易しく、しかも楽しく感じられるはずだ。それだけでなく、久石さんの演奏は「新世界より」と「未完成」を何百回となく聴きこんできたリスナーにも、多くの新鮮な発見と驚きをもたらしてくれる。

例えば、「遠き山に陽は落ちて」のイングリッシュホルンの第1主題でおなじみの「新世界より」~第2楽章も、久石さんのタクトにかかると全く違った表情を見せ始める。第1主題を第1ヴァイオリンが受け継ぐ時、第2ヴァイオリンがひそやかに囁くシンコペーションの意味深さ(30小節目から)。あるいは嬰ハ短調の中間部、フルートとオーボエがひなびた歌を奏でている裏で、反復パターンを繰り返す第1ヴァイオリンの木の葉のざわめき(54小節目から)。久石さんは、まるで「細部に神は宿りぬ」と言わんばかりに、どんな小さな音符や音形も見逃さず、すべてを白日の下に晒していく。これら膨大な細部の積み重ねなくして、「遠き山に陽は落ちて」が人々の記憶に残ることはあり得なかった。その厳然たる事実を、久石さんは慎重にメスを執る解剖学者のように明らかにしていくのである。

巨匠風の重々しいテンポで演奏される「未完成」も実にショッキングな演奏だ。その第1楽章、木管が「♯ファーシー♯ラシ♯ド」と吹く第1主題や、チェロが「ソーレーソ♯ファソラー」と弾く第2主題が美しいことは、誰でも知っている。だから久石さんは、それらを必要以上にカンタービレを強調して歌わせることはしない。その代わり、シューベルトの歌謡的な旋律の美しさの影に隠れた”地味”な側面を、久石さんは謙虚に、しかし確信をもって強調していく。第1主題の裏でいつ果てるともなく繰り返しを続ける、ヴァイオリンの16分音符と低弦のリズムのうねり(9小節目から)。あるいは、展開部に入ると弦が刻み続ける、全身を揺さぶるようなトレモロの震え(338小節目から)。これらリズムやトレモロを、久石さんは一音たりとも疎かにせず、まるで階段を一段一段踏みしめていくように、はっきりと、魂をこめて演奏していく。その結果、もはや「未完成」が”学校名曲”のままでいることは、あり得ない。この曲が驚くほど微小(ミニマル)なモザイクの上に築き上げられているという核心的な真実を、ぼくたちは久石さんの指揮を通じて知ってしまったからである。

前島秀国(サウンド&ヴィジュアル・ライター)

(CDライナーノーツより)

 

 

【楽曲解説】

ドヴォルザーク/交響曲 第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」

19世紀後半のチェコの偉大な作曲家ドヴォルザークは何といってもクラシックの3大メロディーメーカーのひとりである。勝手に僕が決めているだけなのだが、ちなみに後の二人はビゼーとチャイコフスキーだといっているのだが、それではシューベルトはどうなのかと問われたらもちろん、と答えてしまう程度のタニマチ的ベスト3なのである。

とにかく今で言うところの、最も優れたキャッチーな作曲家である。ブラームスは「彼がゴミ箱に捨てたスケッチでシンフォニーが1曲書ける」というほどドヴォルザークのメロディを評価していた。

が、それだけではなくスコアを追っていくとよくわかるのだが、とても緻密にオーケストラを書いている。色々なモチーフ(音型)を散りばめ、ポリフォニックに構築しながら全体の構成に気を配っている。ところが、幸か不幸か、あまりにもメロディがキャッチーなため、「タータータータータターン(第4楽章の10小節目)」と派手にホルンとトランペットが第1テーマを鳴り響かすと、聴衆の耳はそちらに集中するので、メロディの後ろの緻密さにはなかなか気づかない。

「新世界より」は、ドヴォルザークがニューヨークにある音楽院の学長として呼ばれ、1983年、アメリカで最初に書いたシンフォニーである。初演はカーネギーホールでニューヨーク・フィルハーモニック協会管弦楽団によっておこなわれた。それは一大センセーショナルを巻き起こすほどの大変な成功を収めた。

この楽曲の本質はタイトルから迫ることができるだろう。楽譜を出版する際にドヴォルザーク自身の合意のもとでつけられたのが「新世界(The New World)」ではなく、「From the New World(新世界より)」だった。

ドヴォルザークが異国の地であるニューヨークに滞在したときに一番考えたことは、自分の故郷であるチェコのことではないだろうか。異国の地に長く滞在すると感じる望郷の念を、おそらく彼も人一倍に感じたに違いない。そのうえアメリカの先住民(インディアン)や多種多様なフォークソング(民謡)黒人霊歌に接する機会があり、作曲的なインスピレーションも受けた。だからこの曲に関して言えば、新天地・アメリカと、故郷・チェコのモチーフが、微妙に交じり合い独特な情緒的世界を築いている。

そして、忘れてはならないドヴォルザークのもう一つの大きな特徴は、独特なリズム感にある。我々日本人には到底真似できないほどの複雑なリズム、これは彼のおそらく血の中にあるスラブ的リズムだろう。特に第3楽章では、顕著に現れる。3拍子の速い楽曲なのだが、そのリズムも聴きどころの一つである。

 

シューベルト/交響曲 第7番 ロ短調 D.759 「未完成」

シューベルトは、31歳で亡くなった。が、その若さで、実に膨大な数の曲を書いている。1822年に作曲されたこの「未完成」は、彼が没後45年目に初演されたのだから、生前は一度もこの曲を聴いていないことになる。

だからなのだろうか、実はこのスコアをみると(こんな偉大な先達にこんな言い方は失礼千万なのだが)、これはあり得ないだろうと思う譜面の書き方をしている箇所がある。例えば、クラシックをかじった人ならわかると思うのだが、ソ・シ・レ・ファという和音があると、ソとファの長二度でぶつかる音をそのまま、フルートからオーボエ、クラリネット、ファゴットまで、オクターブユニゾンで書いてある。

実演していたならば、きっと書き直したに違いないと思ったが、実際に僕がリハーサルで指揮をして気づいたことは、そのナタで割ったようなスパッとした書き方が、この「未完成」という曲の独特の魅力になっていることだった。もちろん響きを作るうえでこの「未完成」はとても難しい曲である。オーケストレーションに問題は確かにある。が、美しいメロディの裏側にある激しい感情の起伏をどうとらえるか表現方法は全く異なってしまう。また2つの楽章が同じ3拍子で、楽想も長調と短調の差はあるが極端なコントラストを描いてはいない。実際シューベルトの音楽はこの長調と短調を揺れるがごとく行き来するので、すべての感情は哀しみに包まれるのだが、それゆえ全体の構成が掴みづらいのである。

そのうえ成立しなかった第3楽章のスケッチが残っているのだが、これも確か3拍子であったと記憶している。思いに任せて書き綴っていったが長い交響曲の性格上、これでは構成的ににっちもさっちもいかなくなって先が続かなかった、つまり「未完成」に終わったというのが僕の推理である。が、しかしそれがこの曲を中途半端にしたわけではない。むしろ同じ方向で書くべきことはすべて書き尽くしたから筆を休めたわけで、沢山の曲を平行して作っていったシューベルトは、しかも締め切りは無く思いつくまま作曲していたのだから、またいつかこの曲の神が降りて来てもおかしくないわけで、続きを本当に書くつもりだったのかもしれない。何よりも音楽史上最も魅力的な言葉「未完成」を手に入れたのだから作曲家冥利に尽きる。

シューベルトの最も天才的な部分は、ハーモニー感覚の凄さにある。普通は、ある調からある調に移るには正当な手続きを踏んで転調するように書くのだが、シューベルトはたった一音で次の調に自然に移ってしまう。例えば、第1楽章の38小節目のホルンとファゴットが最後の2音だけで転調してしまうのだ。或いは、第2楽章の後半で、第1ヴァイオリンだけになり、その最後のたった一音で完全に転調してしまう(280小節、295小節など)。これほどの天才は他に見たことがない。

シューベルトは本当に書きたいから書いた。注文を受けて書いたのでも、コンサートがあるから書いたわけでもない。村上春樹氏曰く、ひたすら自分が書きたいから書いた。クラシックの世界での評価は形式がイマイチである、歌曲のメロディのようだといった風評があるが、僕の考えでは、そんな次元の人ではない。本当に書きたいから書いた。湧いて出るから書いた。

最後に音楽評論家吉田秀和氏の言葉を引用しておく。「シューベルトは、社会の中に自分のいる場所がどこにも無いことを発見した、最初の近代音楽家であった。彼のように、他の人間を誰ひとり傷つけることなく、創造一途に生きる人間は、社会からはじきだされるほかなかったのである。誰から注文されたわけもないのに、音楽を書き、いつ演奏されるというあてもないのに音楽を書くということは、モーツァルトにも、ベートーヴェンにも、非常に稀な場合のほかには考えもおよばないことだった。~中略~彼は虚空に向かって、歌を歌った」 虚空に向かって、歌を歌ったシューベルトを僕は表現できたのだろうか……。

久石譲

(【楽曲解説】 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

「僕の指揮はメロディーのパートをほとんど振ってなくて、ビオラなど内声を受け持つ人たちに「もっと出して!」って指示している。CDに収録したドボルザークの「新世界より」はその典型だよね。メロディーが有名すぎて、ともすれば他の音の印象が薄くなってしまうけど、それぞれのハーモニーが持っている素晴らしい響きを伝えたかった。作曲する時も同様で、内声をどう書くかで表情が決まる。メロディーの果たす役割は大切だけど、楽曲にとっては全体の一部でしかないんだ。」

「指揮をするにあたり、東洋人がクラシック音楽をやるのはどういうことなのかということを考え続けた。西洋音楽として本格的なものを味わいたければ、ウィーンフィルやベルリンフィルを聴けばいい。しかし、現代音楽の作曲家としてその楽曲をどうとらえるかという観点では、今を生きる自分がやる意味がある。」

Info. 2010/10/13 ベストアルバム「メロディフォニー」を発売 久石譲さんに聞く(読売新聞より) 抜粋)

 

 

 

久石譲 『JOE HISAISHI CLASSICS 1 』

Dvořák Symphony No.9 in E minor Op.95 《From the New World》
ドヴォルザーク / 交響曲 第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」
1. I. Adagio-Allegro molto
2. II. Largo
3. III. Scherzo. Molto vivace
4. IV. Allegro con fuoco
Schubert Symphony No.7 in B minor D.759 《Unfinished》
シューベルト / 交響曲第7番 ロ短調 D.759 「未完成」
5. I. Allegro moderato
6. II. Andante con moto

指揮:久石譲
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
録音:2009年3月24日 東京・サントリーホール

 

Disc. V.A. 『栄冠は君に輝く』

栄冠は君に輝く

2003年7月23日 CDS発売 COCG-15542

 

1948年発表全国高校野球のテーマ曲「栄冠は君に輝く」
作詞:加賀大介 作曲:古関裕而 編曲:古関裕而

 

 

誰もが聴いたことのある夏の風物詩高校野球のテーマソング。その合唱ヴァージョン、行進曲のマーチ・ヴァージョン、学校紹介用のエレクトリックピアノ・バージョンなどが収録された作品。

実はこの(2)行進曲 の編曲を担当しているのが久石譲。この仕事を担当したのは下記EP情報からも、1980年代の仕事であることがわかる。原曲に忠実なオーソドックスなブラスバンド・吹奏楽アレンジとなっている。

 

 

1985年4月 EP発売 EH-1013

(EPジャケット / EP盤)

 

 

 

栄光は君に輝く sc

全国高等学校野球選手権大会の歌

1. 栄冠は君に輝く (合唱バージョン)
作詞:加賀大介 作曲:古関裕而 編曲:古関裕而 演奏:コロムビア合唱団、コロムビア・オーケストラ
2. 栄冠は君に輝く (行進曲)
作曲:古関裕而 編曲:久石譲 演奏:コロムビア・オーケストラ
3. 栄冠は君に輝く (NHK学校紹介用BGM)
作曲:古関裕而 編曲:龍野順義 演奏:龍野順義
4. 栄冠は君に輝く (オリジナル復刻盤)
作詞:加賀大介 作曲:古関裕而 編曲:古関裕而
演奏:伊藤久男、コロムビア合唱団、コロムビア・オーケストラ

※オリジナル復刻盤は、当時の録音のままを収録しております。一部、歌詞が異っておりますが、ご了承ください。

音源提供:NHK/NHKサービスセンター (Track.3)

 

Disc. 東京佼成ウインドオーケストラ 『ニュー・サウンズ・レア・トラックス』

1999年2月3日 CD発売

 

ニュー・サウンズ初期のCD化されていない貴重な音源が一枚になったお宝CD!

指揮:岩井直溥
演奏:東京佼成ウィンドオーケストラ 他

 

久石譲が初期作品で編曲を担当した5楽曲が収録されている。

 

楽曲解説

1.愛情の花咲く樹
世界歌謡祭の73年度入賞曲。今評判の高い”シュキ&アビバ”が歌いヒットしました。どちらかと云えば日本調の歌で親しみやすい。ダイナミックな序奏1コーラスに続いて2度の転調を伴いながらロックのリズムで歌う。金管の歯切れ良いリズム、しっかりしたビートの上で歌はリズムに乗ってたっぷりと歌います。

技術的には難しくないが、思い切り良く明るく演奏することが大切。日本語の歌詞があるので、会場皆で歌わせても面白く使えます。

 

2.愛のテーマ
曲はダイナミックなシネラマ・サウンドに始まり、テーマは(in 2)の早いテンポに乗って全編をゆるやかに流れます。中間部でサックスのアドリブが12小節加わり、いよいよ曲に迫力とスピード感が増える感じです。

演奏に際しては、何よりも正確な細かなリズムをしっかりと固めることが必要で、それに加え、基礎となる4分音符、8分音符のシンコペーションを伴ったリズム形を歯切れよく、この早いリズムに乗せることが決め手となります。えてしてこの機に早いテンポの曲は、ただ景気のよいにぎやかなものになってしまいがちですが、正確なリズムに重ねるゆるやかなメロディーの乗せ方は、充分注意して”味”を出すことが大切です。サックスのソロはフルートにも置き換えが出来ましょう。

 

3.ハッスル
ヴァン・マッコイの作曲と歌で大ヒットの軽快なロック。ディスコ調に巧みにアレンジされている。メロディーは特に特徴のあるものではないが、流れるメロディーラインと歯切れのよいリズムの対照がこの曲のポイントです。

演奏に際しては先ず早くリズムに乗ってしまうことが肝心。楽譜のCとGは特にサックス・セクションの巾一杯のブローが大切。金管も1、2、3番のバランスが均等になる様注意する。それにドラムはアフタービートを効かし、明快にリードすることが決め手となります。コンサートのプログラム中、ハードな曲として位置づけてください。

 

4.夢想花
昨年秋の第9回世界歌謡祭でのグランプリ受賞曲で、”翔んでる”時代と云われる今日を象徴するヒット曲となっていますし、航空会社のコマーシャル・ソングとしても使われているタイムリーなレパートリーです。美しいメロディーがソプラノ・サックスで歌われ、木琴のソロが効果的です。

サラッとアンコール等で使いたいバラードです。

 

5.ライズ
ティファナ・ブラスのトランペット奏者、ハーブ・アルパートが久びさにヒットさせた軽快なディスコ・ナンバー。79年秋には全米ナンバー・ワンと云われるヒット曲となった正にニュー・サウンズ。全編を通じて細かな同じパターンのリズムに乗って、トランペットのユニゾンを柱に哀愁を帯びたゆるやかなメロディーが流れて行く。サックスとブラス・セクションの重厚なハーモニーを作り出すには、各パートの音量バランスを平均化することが大切。おとなのムードを持ったしゃれたアレンジです。

 

6.マスター・ブラスター
スティーヴィー・ワンダーの新曲で、前作の「愛するデューク」などと同様、大変風変わりでモダンな味のある曲です。全編を通じ付点8分音符のリズムが低音で流れるが、これは跳ね過ぎぬ様3連音風に演奏します。又オクターブの飛躍、ユニゾンも多く、トロンボーンのアドリブも含め正に”ニュー・サウンズ”ではあるが、かなり演奏も難しく、テクニックのしっかりした大人のバンド向の曲です。

 

7.ナイス・ショット
日本ジャズ界の鬼才、”ナベサダ”の愛称でおなじみのサキソフォンプレイヤー、渡辺貞夫の作品です。もちろん主役はA・サックスで全編を通じたゆるやかなアドリブは、大変ナウなムードを持つシャレた曲です。曲そのものは単調ですが、ホルン、トロンボーンとドラムがきざむ歯切れのよいリズムが斬新、それにサックスとブラス群のオクターブの響きもよい。大人のバンドに演奏してもらいたい曲です。

 

8.ア・ディープ(海溝)
ヤマハ音楽復興会が主催するジュニア・オリジナル・コンサート(JOC)は、子供たちが自分が創った曲を自ら演奏する独創的な運動で、その楽しさと子供たちの無限の可能性の発見で、世界中の注目を集めています。

この曲は、この運動の中で14歳の少年が作り、エレクトーンで演奏したもので、海溝の深く暗いイメージを、美しいメロディーで表現しています。

 

9.ワッキー・ダスト
ジャズ・シンガーの大御所、エラ・フィッツジェラルドが歌い、最近ではモダン・ヴォーカル・グループの”マンハッタン・トランスファー”が歌っている明るい曲です。

古い素材ながら、大変モダンなスタイルの編曲で、市民バンド、大学バンドのレパートリーに好適です。

 

10.ルート101
メキシコのマリアッチとアメリカ感覚をミックスしたようなティファナ・ブラス。かつてそのリーダーであり、トランペットの名手でもあるハーブ・アルパートのナウイ作品。ラテン系、アメリカン、それに現代感覚をすべて融け合わせたフュージョン。大学、市民バンドの若者なら、誰でも演って見たくなるだろう。トランペット・ソロが素晴らしい。

 

11.ナイト バーズ
イギリス生まれのフュージョン・バンド、”シャカタク”の代表的ヒット曲。軽快なビートとマイナーのメロディーは、現代風大人感覚そのものと言った、シャレたもの。16ビートに乗って、ピアノ、E.ギターのアドリブがあり、演奏にはかなりの道具だてと熟練が必要だが、大学、市民バンドには是非演奏して欲しい曲。若い女性に受けること必至である。レコードも素晴らしく息の合ったサウンド、見事な演奏である。

 

12.今夜はビートイット
今をときめく、アメリカポップス界の第一人者、マイケル・ジャクソンのヒット曲。ソプラノ。サックスがおどけた調子のメロディーを歌い、中低音がユニゾンでディスコ調を作り出す。ニュー・サウンズらしい、最もファッショナブルな曲。皆んなで早いうちに調子よくやろうぜ!!

 

13.ネバーエンディング・ストーリーのテーマ
映画主題歌。リマールが歌って大ヒット。大変きれいなメロディーを持つ上品な曲で、アルト・サックスのソロ、アドリブが美しい。

 

14.フェリス
人気楽団フランク・プゥールセルの演奏で知られる軽快なムード音楽。トランペット・ソロを中心とした小品。

 

15.雨にぬれても
1969年に制作されたモダンな西部劇「明日に向かって撃て!」の主題歌で、70年度のアカデミー・オリジナル作曲・歌曲の両賞をうけた曲です。この軽快なたのしいメロディーは、誰もが一度は口ずさんだことがある程有名です。歌詞の内容は”雨が私の頭を打っている ちょうどこれは充たすものがなく、自分のベッドが広すぎると思っている男の気持ちのようなものだ…しかし私は自由で思い悩むことはない”というものです。この編曲はテレビ番組やレコーディングの第一線に活躍している東海林修氏で、ダイナミックなフルバンドのひびきを水槽が来にうまくとり入れて新鮮なサウンドを生み出しています。

 

16.サンホセへの道
1969年に大ヒットして、アメリカのレコード大賞であるグラミー賞を受けた曲です。このレコードでは前記の黒人女性歌手ディオンヌ・ワーウィックが歌いました。”サンホセへの道を知っているかい。長いこと離れていたので道を忘れてしまった。私はサンホセにもどって心の平和をみつけたいものだ。ロスアンゼルスは大都会で一週間でスターを作り、一年もたたぬうちに忘れられてしまうような所だ。早くサンホセにかえりたい”という内容の歌。この大ヒットで、バカラックとデビッドはサンホセの名誉市民になりました。サンホセはサンフランシスコ湾の低部(北)、サンフランシスコとロスアンゼルスの間のずっとサンフランシスコ寄りにあります。この編曲はやはり若手の編曲者として有名な服部克久氏のものです。

※解説は初版当初のものを転用いたしました。

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

ニュー・サウンズ・レア・トラックス

1.愛情の花咲く樹 LOVE IS LIKE
2.愛のテーマ LOVE’S THEME
3.ハッスル THE HUSTLE
4.夢想花 FLY ON ALL THE WAY
5.ライズ RISE
6.マスター・ブラスター MASTER BLASTER
7.ナイス・ショット NICE SHOT
8.ア・ディープ(海溝) A DEEP
9.ワッキー・ダスト WACKY DUST
10.ルート 101 ROUTE 101
11.ナイトバーズ NIGHT BIRDS
12.今夜はビートイット BEAT IT
13.ネバーエンディング・ストーリーのテーマ THE NEVER ENDING STORY
14.フェリス (ファンキー・ソンブレロ) FELICE
15.雨にぬれても RAINDROPS KEEP FALLIN’ ON MY HEAD
16.サンホセへの道 DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE

指揮:岩井直溥

演奏:
東京佼成ウィンドオーケストラ 2.-14.
東京アンサンブルアカデミー 1.
ニュー・サウンズ・ウィンド・アンサンブル 15. 16.

編曲:
岩井直溥 2,3,10,13,14
野波光雄 1
小野崎孝輔 4,5
久石譲 6-9,12
中川賢二 11
東海林修 15
服部克久 16

 

Disc. 久石譲 『長野パラリンピック支援アルバム HOPE』

久石譲 『長野パラリンピック支援アルバム HOPE』

1998年2月25日 CD発売 TKCA-71348

 

HOPE  NAGANO PARALYMPICS 1998 TRIBUTE

 

 

”HOPE” Note 久石譲

98年3月、長野パラリンピック冬季競技大会が行われる。身体障害者のためのもう一つのオリンピックである。選手がそれぞれの肉体の限界の挑戦するこの大会は多くの人々に感動と希望を与えてくれる。

文化イヴェント総合プロデューサーとして3年間参加してきた私は、一音楽家として何ができるかを考えた末、このアルバムの制作に取りかかった。

多くのアーティストが参加して(それは容易なことではないのだが)それぞれの個性的な楽曲で応援のメッセージを伝えてくれた。

その他、各レコード会社、スタジオ協会など、数えきれないほど多くの人々の善意によってこのアルバムが完成した。

売り上げは障害者のスポーツ振興のために役立てられる。それが、たとえひとひらの雪のように小さなものであっても、積もれば世界を変えてゆくことができると私は考える。

より多くの人々に聞いてほしい。

(CDライナーノーツより)

 

 

「HOPE」

長野パラリンピックは、アジアで初めて開催される冬季競技大会であり、20世紀最後の大会となります。大きな時代の変わり目の時、開会式は希望「HOPE」をテーマにしました。

そして、このテーマの出発点となったのが、フレデリック・ワッツの描いた一枚の絵「HOPE」です。今回このアルバムに参加して頂いたアーティストには、この絵を見てもらったイメージから新曲を作って頂いたり、演奏して頂いたりしています。

 

HOPE 地上の楽園

GEORGE FREDERIC WATTS with assistants
Hope 1886
Oil on canvas 142.2 x 111.8 cm
Tate Gallery (NO1640)
Presented by the artist 1897

(CDライナーノーツより)

 

 

「パラリンピックの文化イベントの総合プロデューサーをやっていて、それなりに自分では十分やってたと思っていたんですけど、10月に、たまたまテレビでドキュメンタリーで清水さんという、パラリンピックの選手を20年間ボランティアで追い続けている人のドキュメンタリーを見て、感動しましてね。オレはまだ音楽家として、ちゃんとやることをやっていないかもしれないと、急に思い立って。それが去年の暮れ。でもどう見ても時間がないわけですよ。仕事っぽくなるのも嫌だったから、事務所を通さずに一人一人電話して、こういう趣旨でというのを説明して口説いて、それで始まったんですけどね」

「そのテーマ曲『旅立ちの時』を彼が朗読して、僕がピアノを弾く予定だったんですよ。そのつもりでスタジオに入ったら『旅立ちの時』のイントロともいえる、まったく新しい詩を書いた詞で臨んできたんです。気合が入ってるなーと思って、ドリアンさんの朗読と僕のピアノだけの、ほかは一切使わない一騎打ち勝負の『鮮やか』という新曲を2人で録りました」

「これがうまかった。猿岩石の『上を向いて歩こう』がすごくいい。4PMとか長渕さんとか、いろんな『上を向いて歩こう』があるけど、それとはまったく違う素朴さがあって、ストレートな青春ソングというか、すごくいい上がりでしたね。今まで聞いた『上を向いて歩こう』の中では一番好きですね」

Blog. 「ダカーポ 1998年2月18日号 NO.391」久石譲インタビュー内容 より一部抜粋)

 

 

「今回、長野パラリンピックのトリビュート・アルバム『HOPE』を作ったときに、ポップスの人から、ジャズ、クラシック、いろんなジャンルから参加していただきました。クラシックでは藤原真理さんと、オーボエの茂木大輔さん、カウンターテノールの米良美一さん、和太鼓の林英哲さんです。

で、どの曲をやろうかという段階で、チェロとピアノでは不可能かなと思いつつ、アダージェットをやってみたいという提案をしたんですね。真理さんと改めてもう1回聴いてみて、はたしてこれはチェロとピアノになるんだろうか、どうなるかわからないけれども、とにかく置き換えてみます、と編曲を始めたんです。

ところが、弦のスタティックな曲だから、音符がのびないとサマにならないんですね。弦は音を延ばすことは可能だけれども、ピアノはどうしても音が減衰していっちゃいますからね。原曲の響きや世界観をいかに変えずにピアノに置き換えるかで、ずいぶん苦しんだんですよ(笑)。そのレコーディングは相当うまくいって、これからきっとチェロの人のレパートリーに入るんじゃないか、それくらいのアレンジはできたし、自分も納得してるんです。もちろん原点にあったのは、あのアダージェットという楽曲の持っているすばらしさです。」

Blog. 「音楽の友 1998年4月 特大号」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

 

 

久石譲 『長野パラリンピック支援アルバム HOPE』

1. 旅立ちの時 ~Asian Dream Song~ / 宮沢和史 with 久石譲
作詞:ドリアン助川 作曲・編曲:久石譲
2. 上を向いて歩こう / 猿岩石
作詞:永六輔 作曲:中村八大 編曲:久石譲
3. waltz / 池田聡
作詞:井上睦都実, 池田聡 作曲:池田聡 編曲:久石譲
4. 愛の木 / 加藤登紀子
作詞・作曲:加藤登紀子 編曲:久石譲
5. 悲しくてやりきれない / 加藤和彦, ムッシュかまやつ
作詞:サトウハチロー 作曲・編曲:加藤和彦
6. 君のさがしもの/ EPO, 桜井鉄太郎
作詞・作曲:EPO 編曲:桜井鉄太郎
7. 言い出せずにいるけど -LET IT SHINE ON YOU / 上田正樹
作詞・作曲:上田正樹 編曲:朝本千可
8. Bolero / 林英哲,茂木大輔
作曲:M.ラヴェル 編曲:久石譲
9. PRIMITIVE / 近藤等則
作曲・編曲:近藤等則
10. Ave Maria / 米良美一
作曲:G.カッチーニ 編曲:長生淳
11. Adagietto ”マーラー交響曲第五番第四楽章” / 藤原真理, 山洞智
作曲:G.マーラー 編曲:久石譲
12. 鮮やか ~Asian Dream Song~ / ドリアン助川 with 久石譲
作詞:ドリアン助川 作曲・編曲:久石譲

Produced by 久石譲
Except (M-5) by 加藤和彦

 

Disc. 宮沢和史 with 久石譲 『旅立ちの時 ~Asian Dream Song~』

旅立ちの時 久石譲

1997年9月10日 CDS発売 TODT-5042

 

長野パラリンピック冬季大会テーマ・ソング
作詞:ドリアン助川 作曲/編曲:久石譲 歌:宮沢和史

 

 

“雄大なるアジアの中の日本”

「滔々と流れる黄河 人を寄せつけないヒマラヤの山々 砂漠の民ベドウィン インドの 過去から未来に連なる永遠の流れ モダンで ほんとうはヨーロッパよりも深い歴史と近代性をもっていた日本 僕はアジアの一員で しかも日本人であって ほんとうによかった」
(久石譲 Asian Dream Song メモより)

 

 

旅立ちの時 ~Asian Dream Song~
作詞:ドリアン助川 作曲・編曲:久石譲 歌:宮沢和史

君の瞳に 花開く
夢をかなでる 心
風に吹かれるこの道さえも
星明りに照らされ
今 ただ一人歩こう

胸を震わせるときめきを
空と大地に歌おう
哀しみも笑顔もぬくもりも
熱い思いに揺れて
今 抱きしめて歩こう

旅立ちの勇気を
地平線の光りと分かち合うこの時
微笑みながら ふりむかずに

夢をつかむ者たちよ
君だけの花を咲かせよう

争いの日々を乗り越えて
青空に歌う時
かけがえのない命のはてに
名もない花を咲かそう
今 地球(ここ)に生きる者よ

旅立ちの勇気を
虹色の彼方に語りかけるこの時
微笑みながら ふりむかずに

夢をつかむ者たちよ
君だけの花を咲かせよう

夢をつかむ者たちよ
君だけの花を咲かせよう

(歌詞:シングルCD掲載オリジナル 書き起こし)

 

 

「曲を書いた後、ドリアンさんと何度か打ち合わせを重ねて、詞が生まれました。歌は宮沢君の『島唄』を聴いて、アジアを表現できる人だと思いお願いしました。そしたら、パラリンピックなら是非やりたいという返事もらって。すごく嬉しかったですね」

Blog. 「週刊ポスト 1997年9月19日号」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

 

2. Asian Dream Song -Instrumental-
『Piano Stories II』に収録されたピアノ&弦楽によるオリジナル版インストゥルメンタル・ヴァージョンではない。このシングルにのみ収録された貴重な音源である。構成は歌曲化された1.で新たに加えられた大サビは除かれている。つまり、楽曲構成はオリジナル版のかたちをとりながら、音はシンセサイザーのみで作られている。アレンジは1.に近いが、生楽器や生ドラムからをもすべてシンセサイザー音源に変更されている。また民族音楽のようなコーラスやサンプリングも多様されている。同時期に「Kids Return」や「パラサイト・イヴ」といったデジタル楽器を駆使した作品を作っているが、その大きな流れのなかのひとつにあった時代の作品とみることもできる。

 

 

 

 

旅立ちの時 久石譲

1.旅立ちの時 ~Asian Dream Song~ 歌:宮沢和史
2.Asian Dream Song -Instrumental-
3.旅立ちの時 ~Asian Dream Song~ (オリジナル・カラオケ)

 

Disc. 久石譲 『宇宙へのドア』歌/井上あずみ ※非売品

1994年 CDS ND94-1216A 非売品

 

デンソー社会
日本電装株式会社 創立45周年記念 社歌

「宇宙へのドア」
作詞:中尾陽子
補作詞:伊藤アキラ
作曲:久石譲
歌:井上あずみ

 

宇宙へのドア 久石譲 井上あずみ 1

宇宙へのドア 久石譲 井上あずみ 2

宇宙へのドア 久石譲 井上あずみ 3

宇宙へのドア 久石譲 井上あずみ 4

 

1.歌入り
2.カラオケ
3.BGM
4.オルゴール
5.創立10周年記念 社歌「若きいのち」 作詞:西条八十 作曲:古関裕而 歌:コロムビア合唱団

 

※クレジットがないため不明だが、聴いたかぎりでは、3.4.の編曲は他者だと思われる。

 

 

非売品だった同作品は、2009年社歌コンピレーション・アルバムに収録されている。

 

●日本企業の優れた社歌を集めた、本邦初のCDが登場!門外不出の歌が多数初CD化!!
●一流企業は、社歌も超一流!著名な作家による歌がずらり。社歌に対するイメージが大きく変わる珠玉の1枚!!
●鉄道ファンには幻の名曲として知られ、朝日新聞でも大きく取り上げられたJR九州社歌「浪漫鉄道」をなんと初CD化で収録!歌唱は勿論ハイ・ファイ・セット。フルコーラスで堪能して下さい!!
●さらに日本で大ブレイクしたMR.BIGが株式会社マキタに捧げた「I Love You Japan」を始めママとキッズに絶大な人気を誇る井上あずみが歌うデンソー社歌「宇宙へのドア」やB.B.クイーンズでミリオン・ヒットを飛ばした坪倉唯子の歌声が冴える大鵬薬品工業社歌「スマイル・フォー・ミー」なども収録し、話題のコンピなること間違いなし!
●監修は著書『社歌』(文芸春秋社刊)が話題となった弓狩匡純氏。200社以上への取材から得られた社歌にまつわる知られざるエピソードも楽しめる解説付き。

(メーカーインフォメーションより)

 

社歌

2009年1月21日 CD発売 KICS-1424

社歌

≪収録楽曲≫
*キヤノン株式会社
1.キヤノン社歌「共生のハーモニー」
作詞・山川啓介 作曲・前田憲男 編曲・前田憲男 歌・東京混声合唱団

*九州旅客鉄道株式会社(JR九州)
2.「浪漫鉄道」
作詞・永富正廣 作曲・鈴木キサブロー 歌・ハイ・ファイ・セット

*株式会社資生堂
3.「資生堂社歌」
作詞・土岐善麿 作曲・橋本國彦 歌・資生堂コーラス部

*シャープ株式会社
4.コーポレートソング「ひかりを超えて」
作詞・伊藤アキラ 作曲・タケカワユキヒデ 歌・ハイ・ファイ・セット

5.イメージソング「地球にひとつの」
作詞・伊藤アキラ 作曲・タケカワユキヒデ 歌・ハイ・ファイ・セット

*大同生命保険相互会社
6.大同生命キックオフソング「夢直行便」
作詞・松浦康介 補作詞・伊藤アキラ 作曲・服部克久 編曲・服部克久

*大鵬薬品工業株式会社
7.コーポレート ソング「スマイル・フォー・ミー」
作詞・猿田潤一 補作詞・伊藤アキラ 作曲・井上大輔 歌・坪倉唯子

*株式会社デンソー
8.「宇宙へのドア」
作詞・中尾陽子 補作詞・伊藤アキラ 作曲・久石譲 歌・井上あずみ

*TOTO株式会社
9.「ととべんきのうた」
作詞・不明 作曲・不明 編曲・赤坂東児 歌・坂田おさむ コーラス・こすもすダンスファミリー

*東宝株式会社
10.「東宝株式会社社歌」 – ※モノラル録音
作詞・佐原文吾 補作詞・岩谷時子 作曲・古関裕而 歌・高島忠夫、草笛光子

*日産自動車株式会社
11.「世界の恋人」 – ※モノラル録音
作詞・野上彰 作曲・芥川也寸志 編曲・大野雄二 歌・シンガーズ・スリー

*株式会社日本ブレイク工業
12.日本ブレイク工業「社歌」2007
作詞・manzo 作曲・manzo 編曲・manzo 歌・萬Z(量産型)

*北海道旅客鉄道株式会社(JR北海道)
13.「北の大地」
作詞・山上路夫 作曲・森田公一 編曲・森田公一 歌・ダーク・ダックス

*株式会社マキタ
14.「I Love You Japan / アイ・ラヴ・ユー・ジャパン (SONG FOR MAKITA & JAPANESE FANS)」 – ※ライブ録音
作詞・Paul Gilbert 作曲・Paul Gilbert 歌・MR.BIG

*ユニ・チャーム株式会社
15.「ユニ・チャームグループ社歌」
作詞・羽柴秀彦 作曲・小林亜星 編曲・佐々木康綱 歌・沖野グループ

*ロート製薬株式会社
16.ロート製薬企業キャラクターソング「Happy Surprise! ~よろこビックリの唄~」
作詞・遠野向詩+ロート社員 作曲・小杉保夫 歌・鳥山あかね

*株式会社ワコール
17.新ワコール社歌「限りなき飛翔」 – ※モノラル録音
作詞・山崎辰巳 作曲・吉田正 編曲・吉田正 歌・友竹正則

*キングレコード株式会社
18.「キングレコード株式会社社歌」 – ※モノラル録音
作詞・高橋掬太郎 作曲・細川潤一 編曲・細川潤一 歌・林伊佐緒、井口小夜子

 

 

このアルバムにも収録されている。

 

「井上あずみ ベスト セレブレーション」

2013年10月9日 CD発売 FRCA-1252

ディスク1
1. 君をのせて
2. さんぽ
3. おかあさん
4. まいご
5. となりのトトロ
6. めぐる季節
7. キミが大好き
8. Little Flower
9. 夢はるか
10. 風標
11. ヒカリの種
12. やったね♪マーチ
13. 宇宙へのドア
14. テレシーズと歩こう
15. Bye-Bye! (with ゆーゆ)

ディスク2
1. たくさんのゆめ (with ゆーゆ)
2. しあわせのうた~風とおさんぽ~
3. ちいさなあなたへ
4. 花みずきの詩
5. ままどおる
6. てのひらに風の色
7. 恋するこの星~ちいさないのちを愛するきみがすき~
8. ななかまどの秋
9. ハロー! エムっとスマイル
10. 夢・自由が丘
11. ビリーブ
12. 夢きらめいて
13. ハーモニー
14. 旅立ちの日に
15. はばたけ、未来へ
16. 愛の本当のこと

 

Disc. 久石譲 『効果音楽シリーズ ミュージック・エフェクト・コレクション 1-10』

1978年6月 EP発売
1992年10月1日 CDS発売

 

効果音楽シリーズ 全10作品
EP盤:効果音楽ライブラリー (1-10)
CD盤:ミュージック・エフェクト・コレクション (1-10)

ステレオ新録音
名場面を演出する コロムビア効果音楽ライブラリー
監修・構成:羽仁進 音楽:久石譲

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 1 季節の詩

CDS:CODG-81
EP:GH-41

1.花のワルツ
2.春の風
3.青い空
4.初夏
5.暑い夏
6.秋の曲
7.枯葉
8.冬
9.銀世界

ミュージック・エフェクト・コレクション 1 季節の詩 sc

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 2 レジャーと活動

CDS:CODG-82
EP:GH-42

1.旅のアルバム
2.楽しい集い
3.野山を行く
4.旧友再会
5.家族団らん
6.祝福
7.スポーツの喜び
8.村の祭り
9.成長の思い出

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 3 自然と風景

CDS:CODG-83
EP:GH-43

1.雄大な風景
2.海の情景
3.さびしい場景
4.美しい風景
5.古都の場景
6.神秘的な風景
7.険しい情景

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 4 雰囲気の世界

CDS:CODG-84
EP:GH-44

1.なつかしき世界のテーマ
2.なつかしき世界のブリッジ
3.なつかしき世界のコード
4.なつかしき世界のエンディング
5.朝の光
6.おやすみなさい
7.想い出
8.影の世界
9.わらべ唄によせて
10.心やすらぐ時

ミュージック・エフェクト・コレクション 4 雰囲気の世界 sc

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 5 愛と青春

CDS:CODG-85
EP:GH-45

1.愛のテーマ
2.愛のブリッジ
3.愛のコード
4.愛のエンディング
5.夜のよそおい
6.青春の情感
7.愛に捧ぐ
8.悲しみをこめて
9.ほのぼのと
10.孤独
11.若い喜び
12/悩みの時

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 6 人物登場

CDS:CODG-86
EP:GH-46

1.かわいい!
2.優しい少女
3.なつかしいおじいさん
4.ずっこけマーチ
5.さっそうと行く
6.恋する二人
7.サスペンスに挑戦する
8.誠実に

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 7 アクションと表現

CDS:CODG-87
EP:GH-47

1.アクションのテーマ
2.アクションのブリッジ
3.アクションのコード
4.アクションのエンディング
5.追跡
6.対決
7.西部劇のテーマ
8.西部劇のコードA
9.西部劇のコードB
10.西部劇のエンディング
11.ファンファーレA
12.ファンファーレB
13.不安、おや!、あれ?
14.絶対絶命、警鐘、迫りくる恐怖
15.不気味に、おどろき、コミック

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 8 メルヘンの世界

CDS:CODG-88
EP:GH-48

1.メルヘンのテーマ
2.メルヘンのブリッジ
3.メルヘンのコード
4.メルヘンのエンディング
5.愉快に進もう
6.ひと安心
7.おいかけっこ
8.民話のテーマ
9.民話のブリッジ
10.民話のコード
11.民話のエンディング
12.あら不思議
13.怪しいものが来る
14.大失敗
15.大成功

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 9 未知の世界

CDS:CODG-89
EP:GH-49

1.宇宙音A
2.宇宙音B
3.宇宙音C
4.宇宙音D
5.地底音
6.水中音A
7.水中音B
8.水中音C
9.特殊音A
10.特殊音B
11.衝撃音A・B・C
12.マンガ音A・B・C
13.原始リズムA
14.原始リズムB
15.原始リズムC
16.ドラム・ソロ
17.短い効果音 スチールギター / エレキベース / トランペット
18.琴A・B・C・D

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 10 きらめくリズム

CDS:CODG-90
EP:GH-50

1.ジャズ
2.ロック
3.フォーク
4.ハワイアン
5.ボサノヴァ
6.サンバ
7.タンゴ
8.オリエンタルムード

 

 

 

 

 

なお、2013年これからのシリーズからコンパイルされたCDが発売されている。