Disc. 久石譲 『効果音楽ライブラリー 10 きらめくリズム』

1978年6月 EP発売 GH-50
1992年10月1日 CDS発売 CODG-90

 

効果音楽シリーズ 全10作品
LP盤:効果音楽ライブラリー (1-10)
CD盤:ミュージック・エフェクト・コレクション (1-10)

ステレオ新録音
名場面を演出する コロムビア効果音楽ライブラリー
監修・構成:羽仁進 音楽:久石譲

 

「効果音楽ライブラリー 10 きらめくリズム」

 

8ミリでも、演劇でも、あるいはVTRでも、一つの作品に生命が吹き込まれるキメ手は、仕上げです。どんなによい素材にめぐまれ、製作の過程が順調でも、最後の仕上げがうまくいかないと、観客にはなにも伝わらないで終ってしまいます。自分では力一杯やったと思うのに、さっぱり反響がない。そんな場合に、まず検討して見る必要のあるのも仕上げの方法です。

音楽はそのなかでも、特に大切なものです。音楽の使い方ひとつで、同じ作品がまるで違ってしまったという体験は、アマでもプロでもみんな持っている筈です。

舞台上の演出でも、映像作品でも、観客の心に働きかけないと成功しません。いくら説明が巧みでも、それだけでは、頭にしか通じない。心に働きかけ、感情を動かすことが必要です。音楽は、なによりもその点に、強い力をもっているのです。

テーマ音楽とよばれるものがあります。作品の中心になる人物、出来事、主張、象徴などを表現する音楽です。観客の心と、作品の官女を一つにする、その中心として働く音楽です。みなさん方は、このレコード集の中から、めいめいの作品に一番ぴったり合ったものを見つけ出して下さい。音楽を探していく作業は、いろんな意味で興味深いものがあります。この曲が適当だろうか、あの曲が良いか、と考えることは、台本や計画をもう一度考え直すことにもなるので、演出プランを作る全体の作業にも大変役に立ちます。不世出の喜劇役者チャップリンが、出演する作品の演出は、すべて自分でやったというのはよく知られていますが、音楽の作曲から編曲まで、すべて自分でやったことは御存知でしょうか?

あなたも、チャップリンのようなつもりで、このレコードの中から、気に入る音楽をえらび出し、それを自分の手で構成してみて下さい。音楽はそれ自体の美しさもさりながら、配置によってまるでふんい気が変わります。また、タイミングが大切です。

どのキッカケで音楽を出し、どこから音楽をおさえてセリフに入るか。つきない楽しみが生まれてくるのです。

(EPライナーノーツより)

 

 

きらめくリズム

曲想は、ズバリ題名に示されている。もちろん、それぞれの民族的なリズムには、その現地で録音された音楽もあるし、アレンジした新曲も少なくない。しかし注意をしなければならないのは、他の曲とまぜて使う場合の取扱い方である。個性の強い曲程、互いに調和して、構成の中に一役演じるのは難しい。特に民俗の匂いがあらゆる所にしみ込んでくる曲の場合、一曲だけを切り離して、他の曲と組み合わせるには、余程の工夫が必要だ。このレコードに収められている曲は、それぞれの音楽の特色を生かしながら、他のレコードの曲との調和にも注意が払われているから、効果音楽として使用するためには有利だということができるだろう。

最近は、海外旅行などの8ミリをはじめ、記録作品もだいぶ増えてきた。演劇作品でも、現実の舞台は日本でありながら、風俗として、象徴として、海外の事物や人間をモチーフにするものがある。この種の音楽の使用は、ますます増えていくだろう。

更に考えられるのは、生活の中での効果としての音楽である。

今まで効果音楽というと、演劇や映像などの作品に限って考えることが多かった。しかし、例えばVTRのような機材の場合は、すでに今までの作品とは、かなり違った世界を予見している。演劇は、特定の舞台に上演して、はじめて作品となる。映像作品も、現像などの加工過程を経て、はじめて作品となるものが多かった。しかし、家庭用VTRが普及してくると、撮影したその場で、すぐに映像を見ることができる。つまり、生活即撮影、両者の間の距離がどんどん狭まってくる。今までの作品では、音楽は、ほとんど製作過程の最後でつけかえられるものだった。台本が出来、俳優が練習をつみ、舞台装置が出来、いよいよ仕上げの段階で、音楽が聞こえてくる。あるいは、フィルムが撮影され、編集されてから、最後に音楽が録音される。

ところが、VTRの場合で、子供の生活を記録しようとすれば、まず気に入ったレコードをかけてからVTRカメラを子供に向けると、映像と音楽はその場で、同時に収録される。これは、音楽が作者によって映像に後から付け加えられるのとは大違いだ。写されている子供自身も、レコードの音楽になにかの反応をするだろう。よく考えると、これは日常生活ではあたりまえのことだ。現代人の生活は音楽、いや音楽以外の音響効果も含めて、音と密接に結びついている。効果音楽も、作品の演出だけに役に立つと思う方がおかしいのかもしれない。別にVTRを写さなくても、生活そのものの中で、効果音楽の利用価値はますます広がっていくのではないだろうか。

(EPライナーノーツ より)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(EPジャケット / EP盤 / ライナーノーツ)

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 10 きらめくリズム 1

(CDSジャケット)

 

 

(EPジャケット)

 

1.ジャズ BGM
2.ロック BGM
3.フォーク BGM
4.ハワイアン BGM
5.ボサノヴァ BGM
6.サンバ BGM
7.タンゴ BGM
8.オリエンタルムード BGM

*BGM(バックグラウンドミュージック)

 

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