Disc. 久石譲 『Asian X.T.C.』

久石譲 『 Asian X.T.C.』

2006年10月4日 CD発売 UPCI-1051

 

近年アジアでの活躍めざましい久石譲による”美しく官能的でポップなASIA”をテーマにした壮大なコンセプトのソロ・アルバム。

近年韓国・中国・香港に活動の幅を広げ特に韓国では日本人で初めて大韓民国映画大賞にて、最優秀音楽賞を受賞するなど活躍が目覚しい。演奏はイギリスのバラネスク・カルテットとの共演、ゲストで二胡奏者のジャン・ジェンホアが参加。

 

 

Asian X.T.C.

見事なまでの傑作!まずはこう断言してしまった方が久石譲のピアノをフィーチャーしたアルバムとしては『FREEDOM PIANO STORIES 4』以来1年9ヶ月ぶりになる最新作『Asian X.T.C.』の素晴しさを伝えるにはてっとり早い。

2005年に韓国でNo.1ヒットを記録し、久石譲が日本人初の最優秀音楽賞を受賞した韓国映画『トンマッコルへようこそ』をはじめとして、香港映画や中国映画の音楽を担当したことがきっかけで、アジアの中の日本を意識するようになった久石譲が「自分もアジアの人間として生きている現実を見つめ、自分の血の中にあるアジアとアジアへの気持ちを表現することから始めてみよう」と考えて作り上げた『Asian X.T.C.』。エレクトリック・シタールの音色が印象的なタイトル曲から、久石譲の作曲家・編曲家としての力量が遺憾なく発揮されている「Dawn of Asia」までの10曲は”アジアの官能”というアルバムのコンセプトを完璧に構築しているのである。

その全曲を作曲し、編曲し、ピアノを弾き、プロデュースしている久石譲という音楽家の恐るべき才能。ソロ・アルバムから映画音楽にCM音楽の制作、はたまた新日本フィルハーモニー交響楽団が結成した”新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ”の音楽監督としても仕事をし、自らのユニットでコンサート・ツアーも行うという旺盛な活動を続けている久石譲は、12年ぶりの著作『感動をつくれますか?』(角川書店 角川oneテーマ21)のはじめに、「僕は作曲家である。作曲家を、海外では”composer”と称する。音楽を構成する者という意味あいだ。この英語表現のほうが、僕のやっていることがわかりやすいと思う」と書いているが、まさに言い得て妙といった感じで『Asian X.T.C.』では見事に構成された音楽というものが何物にも勝る魅力があることを理屈抜きで実感できる。

と同時に、僕はプロフェッショナルな仕事の凄さというものをこのアルバムから多くの人に感じとって欲しいと思う。先の著作の中で「僕の根本的な考えは、より完成度の高い”良い音楽”を書くことだ」と言い切った久石譲は「優れたプロとは、継続して自分の表現をしていける人」とも書いているが、自分のスタンスをより明確にし、”様々な経験と知識を高度なテクニックを使って形にしたこのアルバムで久石譲は確実に新しい地平に達している。僕はそれを心から称賛した。

あとは、東京と横浜、そしてロンドンで国籍も様々な優れたミュージシャンがスタジオ入してレコーディングし、ミックスされたアルバムを聴いて自由にイマジネーションを飛翔させればいい。『Asian X.T.C.』には、このアルバムのために書き下ろされたオリジナル作品と、映画の主題曲やCM曲などが混在しているが、天賦の才を持った”composer”久石譲は、それらの作品を1本の映画のように完璧に構成している。

それは10のストーリーを持った、スクリーンのない映画とでも形容したらいいだろうか。その著作の中で「音楽も文学も映画なども、時間の経過のうえで成り立っているものは論理的構造を持っている」と書いている久石譲は、時空をも超えた、そんな音楽を作ることができる世界レベルの音楽家なのである。

 

陽side [Pop side]
001. Asian X.T.C.
アルバムのタイトル曲であり、オープニングを飾るにふさわしい曲。「僕は、この時代に生きている作曲家としての意味ある表現をしたい。ポップスもクラシックも、ジャズも民族音楽も、さまざまな音楽を踏まえ、ジャンルに捉われない中で、できるだけ今日性を表現していきたい」と著作の中で書いている久石譲ならではのメロディーと構造を持っており、心は確実にアジアのどこかに連れていかれる。その深さは美しい闇に続いている。

002. Welcome to Dongmakgol
敵対する兵士たちがトンマッコルの村人との交流を通して、戦うことをやめ、人種・国籍に関係なく笑顔になっていく様子を涙と笑い、そしてファンタジーの香りを豊かに描き、2005年の韓国映画界で最大のヒットになった『トンマッコルへようこそ』の主題曲が、DEPAPEPEをゲストに迎え、アコースティック・ギター2本とピアノの編成で編曲し直された。「舞台は韓国で、しかも冬のシーンにもかかわらず、あえて沖縄の音階を使ってみた」という久石譲の試みは見事に結実している。

003. Venuses
カネボウのシャンプー「いち髪」のCM曲。CMの15~30秒バージョンからこのバージョンに編曲し直される際にリトル・キャロルの民族風で無邪気な味のあるコーラスが加えられた。エレクトリック・シタールと中国楽器の古箏、それにピアノのフレーズがとても魅力のある不思議な綾を成している。分析不可能なアジアの美しい混沌…。

004. The Post Modern Life
世界的にその名を知られるアン・ホイ監督による今年公開予定の中国映画『叔母さんのポストモダン生活』の主題曲。久石譲は「老年期に差し掛かった女声の日常を描く、非常に現実的な話」が故に、「情緒を排除するために、わざと音域を広げたメロディーを書いた」と、その著作で明かしているが、メイン・テーマの最初で民族楽器を使い、それを後半でストリングスやピアノを絡めて融合させる方法論で、聴く者は夢の中にひきこまれていく。

005. A Chinese Tall Story
2005年の映画『A Chinese Tall Story』の主題曲で、基本的に人物に沿って音楽をつけるやり方をしない久石譲が「僕も必要に応じて人物につけることもある。例えば、香港映画『A Chinese Tall Story』のときは、西遊記をベースにしたCG満載の娯楽もので、ハリウッド映画のアジア版みたいなものだったから、あえてそうした。同時に”愛”というテーマがはっきりしていたので、全体をラブストーリーになるように音楽も構成した」と著作の中で書いているが、ピアノとジャン・ジェンホアの二胡、そしてストリングスが織り成すアンサンブルは涙が出そうになるほど美しく切ない。アジアの官能の闇につかまってしまいそうな感じになる。

006. Zai-Jian
アナログ・レコードの時代だとここでA面が終わることになる。久石譲はメロディアスな曲を並べて”陽side [Pop side]”とし、ミニマル色を強く打ち出した4曲を”陰side [Minimal side]”として、全体を構成しているが、このアルバム唯一のピアノ・ソロは”陽side”をしめくくるには実にふさわしい。タイトルは中国語で別れの時に使われる「さよなら、また」という意味。いつの間にか書かれて、タイトルも決まっていたというが、それも天才たる所以か。

陰side [Minimal side]
007. Asian Crisis
NHKの世界遺産コンサートに合わせ、フルオーケストラ楽曲として書き下ろされたものを、このアルバムのために再編曲した曲。久石譲は著作の中でフィリップ・グラスとマイケル・ナイマンをひきあいに出し「日本でミニマル・ミュージックのスタンスを取っていた僕もまた、映画音楽をつくっている。にもかかわらず、僕は現代クラシックでの作品を作ってきていない。もちろん僕の作ってきた音楽に、ミニマル的テイストはあちこちに入っている。だが、作品といえるものはない。今、作曲家として僕がやらなければならないテーマは何だろうかと思ったとき、そこが気になりだした。これは、今の僕のそうした心境を反映させた新しいスタイルの曲だ」と書いているが、その思いはまぎれもなくひとつの形になっている。

008. Hurly-Burly
4歳の頃からヴァイオリンを学び、国立音楽大学作曲科に入学した久石譲が最初に感化されたのが”ミニマル・ミュージック”で、出発点が現代音楽の作曲家だったということは、久石譲というアーティストの本質を理解する上では非常に重要なポイントだが、ミニマルをこれだけポップに表現できるアーティストはそう多くないだろう。6月7日に久石譲自身が主宰するレーベル、ワンダーランドレコードのベスト・セレクション『THE BEST COLLECTION』のライナーノーツにも書いたが、アメリカのフィリップ・グラス、イギリスのマイケル・ナイマンと久石譲は確実に横位置に並んでいる。

009. Monkey Forest
バリ島のウブドにあるストリートの名前をタイトルにした曲で、芸術家村としても知られるウブドがガムランの発祥地であることを考えると、様々なアイデアが練り込まれていることがよくわかる。バラネスク・カルテットとレコーディングすることを念頭に作られた曲で、このアルバムの中で、ボーナス・トラックとして収録された「Woman ~Next Stage~」を除いて一番最後にできたものだという。

010. Dawn of Asia
アルバム『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』や久石譲自らが監督した映画『Quartet』のサウンドトラックにも参加していたバラネスク・カルテットのヴァイオリンと二胡が同じメロディーを繰り返す曲で、官能的でスピード感のある仕上がりは、このアルバムのラストを見事にしめくくっている。わかりやすいメロディーと複雑なアンサンブルの融合のさせ方は久石譲の最も得意とするところであり、それは「僕の作曲家としての原点はミニマルであり、一方で僕を有名にしてくれた映画音楽では叙情的なメロディー作家であることを基本にした。ただそのいずれも決して新しい方法論ではない。全く別物の両者を融合することで、本当の意味でも久石独自の音楽を確立できると思う。ミニマル的な、わずか数小節の短いフレーズの中で、人の心を捉える旋律を表現できないか…」という言葉がフラッシュバックしてきた。

2006年8月 立川直樹

(解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

Asian X.T.C.
亜細亜は矛盾する2つのものを受け入れる。それは僕たち一人一人の中にある2面性を肯定しているようだ。例えば善と悪、両方あるからこそ世界は成立する。そんな考え方が僕は好きだ。

●陽side (Pop side)

001. Asian X.T.C.
Piano:Joe Hisaishi / E.Stiar, Guzheng, Dizi, Pecussion, Bass, Strings
ヘルマン・ヘッセの「シッダールタ」を読んだ。西洋人のフィルターを通したとしてもそこに描かれている東洋思想の世界は官能的ですらある。悟りはエクスタシーかもしれない。それを探しに?僕は亜細亜に旅立った。

002. Welcome to Dongmakgol
Piano:Joe Hisaishi / A.Guitar:DEPAPEPE / Percussion
ハングル文字の看板が立ち並ぶ路地裏の小さな店で50歳酒を飲んだ。焼酎の眞露と薬草酒の100歳酒を割ったものだが、これがいい。酩酊しながらふと考えた、ソウル(Seoul)というスペルはSoul(魂)ではないかと。

003. Venuses
Piano:Joe Hisaishi / E.Sitar, Guzheng, Percussion, Dizi, Bass, Chorus, Strings
バリ島の海岸を歩いていたとき乳房も露に波と戯れている若い女性たちを見た。夕日に照らされたそのシルエットは僕の脳裏に焼き付いた。

004. The Post Modern Life
Piano:Joe Hisaishi / Violin, Cello, A.Guitar, Guzheng, Erhu, Dizi, Percussion, Bass
紫禁城は大きすぎる。こんなところで暮らしたら寂しくて人恋しくなって死んでしまうと思いながら外の広場に出たら人、人、人で溢れていた。孤独なんて黄砂の中で霞んでしまった。

005. A Chinese Tall Story
Piano:Joe Hisaishi / Erhu, Strings
香港の渡し船(フェリー)から見る夕日は美しい。九龍の島影が波間に揺れる。哀しい昨日と希望の明日が一瞬交差した。でもそんな想いは強い海風がビールの泡とともにデッキから吹き飛ばしてしまった。

006. Zai-Jian
Piano:Joe Hisaishi
上海は亜細亜そのものだ。運河を挟んでモダンな高層ビルと混沌の旧市街が対峙する。でもその両方があるからこそ街は活きている。運河を渡る風に乗せて僕はピアノを弾いた。

●陰side (Minimal side)

007. Asian Crisis
Piano:Joe Hisaishi / Strings:The Balanescu Quartet / Sax, Marimba & Vibraphone, Percussion, Guzheng, Erhu, Oboe & Zurna, Bass
長い間封印していたことがある。青春の蹉跌の中で措いて来たものに立ち向かうほど僕は強くなれたのだろうか?

008. Hurly-Burly
Piano:Joe Hisaishi / Strings:The Balanescu Quartet / Sax, Percussion, Marimba, Bass
台北の雑踏はエナジーに満ち溢れている。富と貧、老若、病と健康、喜びや悲しみ、笑い泣き、怒鳴り合う人々の顔は生命そのものだ。目の前を50ccのバイクが通り過ぎた。そこにはX’masツリーのように6人の子供を乗せたお父さんの逞しい姿があった。

009. Monkey Forest
Piano:Joe Hisaishi / Strings:The Balanescue Quartet
モンキーフォレスト通りを歩いていたとき天が裂けたとしか思えないほどの雨が降り注いだ。軒先の濡れたみやげ品を何事もなかったかのように片付けている少女を見て僕は意味のない傘を捨てた。

010. Dawn of Asia
Piano:Joe Hisaishi / Strings:The Balanescu Quartet / Sax, Percussion, Marimba, Guzheng, Erhu, Bass
亜細亜の夜明けは神秘的だ。まるで山水画のようなモノトーンから赤や黄色や緑の剥き出しの陽中に変貌していく。その力の前に人間なんて小さいものだと気づく。いい日もあれば落ち込む日もある。善と悪もミジンコも宇宙もすべては僕の中にあり、外にある。また新しい夜明け(Dawn)が始まる。

注)アルバムでは昔のLPのようにA(陽)面、B(陰)面に分けてその2面性を表現した。

文・久石譲

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

アジア趣向の中にきらめく新たな「久石譲」のかたち
~New Album「Asian X.T.C.」をめぐって~

アジアをテーマに制作した最新アルバム「Asian X.T.C.」は、単にアジア風味が効いたポップス作品集に終わらず、そのままズバリ、久石譲という作曲家の現在を映す鏡となった。その一つの証左となるのがミニマル技法への回帰である。毅然と「今の僕は過渡期だ」と言い切るその表情には、作曲家として完成すること=巨匠への道を避け、新たな可能性を追い求める最前線の戦士としてのさわやかな野心がみなぎる。

「リセットしたというのかな。原点に戻るというよりも、らせんのように描いていって、その先でもう一回遭遇したような感じだね。ミニマルをベースにやってきた経験とポップスをやって培ったリズム感、単純にいうならノリ、グルーヴ感。それが両方きちんと息づいたところでの自分にしかできない曲。それを書いていこうと決心がついた最初のアルバムが『Asian X.T.C.』なんです」

アジアというテーマも伊達ではない。「美しく官能的でポップなアジア」と銘打たれたそこには、同時に深遠な東洋思想への共鳴があった。

「アジアって善と悪が共存していて、悪はダメっていう発想がない。人間が持っている二面性も決めなくていい、両方持っているのが自分なんだと。この考えにたどり着いたとき、やっとアルバムの方向が見えたんだね」

その「決心」はアルバム構成に具体的に集約された。映画やCM曲の楽曲群(陽サイド)と、ミニマル・ベースの楽曲群(陰サイド)がそれぞれ別個に固められて前後に並んでいる。まるでLPレコードの表裏を連想させる「二面性」をあえて1枚のディスクの中で訴えているのだ。統合性や平衡感覚に囚われず、はっきり違ったものがザクっと並んでいてもいいではないか。そんな力強い作曲者の声が、手に取るように伝わる。

「曲を書き終えたあとに初めて構成が決められたんです。とりあえず今、自分がやれることはこれなんだと。その決断ですね」

アルバムの詳細に今少し踏み込むなら、全11曲を収めたアルバムには、韓国映画「トンマッコルへようこそ」、中国映画「叔母さんのポストモダン生活」、香港映画「A Chinese Tall Story」の主題曲が盛り込まれており、最近目覚ましいアジア圏での作曲者の活動が簡潔に伝えられている。ピアノは久石自身が担当し、ゲストにバラネスク・カルテット、ギター・デュオのDEPAPEPEが連なり、二胡、古箏などの中国楽器も加わる。テーマに掲げられた「ポップ」とは要は「かっこいいこと」に通じ、「官能的」とはバリ島で刺激を受けたという闇、その体験談に顕著な「神秘性=ゾクゾク感」という表現に換言することができるだろう。音色といい、発想といい、整然とした世界がそこに広がる。

「僕は論理性を重んじて曲を書いています。でも、音楽ってそれだけでは通じない。直接脳に行っちゃう良さが歴然とあるわけだし、それは大事にしないといけない。そこまで行かないと作品にはならないね」

これまた今回のテーマを地でいく声として注目してよく、要するに感性と論理性の拮抗こそが作曲家・久石譲の本質であり、この二面性を正面から引き受けなければいけないという意識において、実のところ従来と変わらぬ野心と探究心の表れでもあろう。

アジアへの展望を通して、久石譲は新たな出発ちのときを迎えた。

取材・文=賀来タクト

「Piano Stories 2006 Joe Hisaishi Asian X.T.C.」コンサート・パンフレット より)

 

 

 

「一つは、最近、韓国、中国、香港から映画音楽の依頼が続いていて、自然とアジアを感じる機会が増えたこと。もう一つは、作曲家として今後、何を書いていこうかと考えているなかで、原点に戻ろうという気持ちが高まってきたことにある。僕にとっての原点は、現代音楽の一つであるミニマル・ミュージック。フィリップ・グラスやマイケル・ナイマンといったミニマル音楽家は、映画音楽も手がけながら、自分の作品を作り続けているが、僕は彼らと違って、ミニマルの作品をほとんど作ってこなかった。だけど、そろそろ原点に戻って、ミニマルの作品を書きたいという思いが強くなってきた。そこで、グラスともナイマンとも違う僕の世界は何かと考えているうちに、自分がアジア人だということに行き着いた。」

「30歳の時、もはやクラシックとなってしまった現代音楽に限界を感じて、ポップスの分野でやっていこうと決意した時から、ずっと距離を置いてきた。もちろん、自分の中に脈々とあるものだから、これまでも映画音楽などにはミニマル的な要素は入ってきたけど、作品として取り組もうとは思わなかった。それが昨年、「WORKSIII」というアルバムで、ミニマル色の強い「DEAD」という組曲を作ったあたりから、押さえきれないものが沸いてきていることに気がついた。」

Info. 2006/09/12 ヨミウリオンライン「ミニマルとアジアで原点回帰 久石譲に聞く」掲載 より抜粋)

 

 

「それはね、一つ正しい。そのとおりだと思う。たぶん、いちばんつらかった時期は、4、5年前くらいから一昨年くらいの間かな。あのまま行ったら巨匠の道を歩んでいたと思うし、実際歩みつつあった。特に『FREEDOM PIANO STORIES 4』というアルバムの頃はそっちに行きそうな悪い予感がしてた。それが『WORKS III』っていうアルバムを作ったときに組曲の『DEAD』を完成させたでしょう。あのときに自分が何をやりたいのか、非常に明快に思ったことが一個あって、それは要するに”作品を書きたい”ってこと。もうすごく単純に。アメリカのフィリップ・グラス、イギリスのマイケル・ナイマン、どちらもミニマルの作家で、映画の音楽も書いているでしょう。そんな彼らと僕の大きな違いって何かというと”作品”を書いていないことなんですね。作家としていい曲を書いて売れることはもちろん大事。でも、それだけでは生きていたくない自分というのも確かにいる。やっぱり”作品”を書くことなんだね。それを考えたときに、いわゆる巨匠の道はやめたんです」

Blog. 「キネマ旬報 2006年10月下旬号 No.1469」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「アジア人のミニマリストっていないとマズイんですよ。いるべきだと僕は思う。それを誰がこの時代で担うのかといったら、僕しかいないだろうと。グラスって東洋思想に刺激を受けてやっていたけれど、それって形式からの脱却を考えてあがいた結果、東洋に目を向けたわけだよね。でも、そういうふうに目を向けられている肝心のアジアから誰も育たないというのは変ですよ。で、考えてみたら、僕のベースはアジアで、端からそういうものが血の中にある。ミニマルが原点だった自分がやっぱりきちんとやらないといけないだろうと。アジアをテーマにするというのも、その意味で必然性があったわけ。ミニマルに戻るってことと、アジアに目を向けることは同じ延長線上にあるんです」

Blog. 「キネマ旬報 2006年11月上旬号 No.1470」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「例えばフィリップ・グラスは東洋思想に刺激を受けて作品を作っていましたが、その対象となったアジアから誰も育たないというのは変でしょ。アジア人のミニマリストが、ちゃんといるべきじゃないか。じゃ、それを誰が担うのかといえば、アジアがベースにあって、そのうえミニマルを原点に持っている僕しかいないだろうと」

「ミニマルをベースにやってきた経験と、ポップスで培ったリズム感、単純に言えばノリ、グルーヴ。それが両方きちんと息づいたところでの、自分にしかできない曲。それを書いていこうと決心がついた最初のアルバムです」

Blog. 「Invitation インビテーション 2006年11月号 No.45」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「ガムラン、ケチャの発祥の地、バリ島のウブドゥは世界で最も好きな場所の一つである。だから《モンキー・フォレスト》という曲まで作っている(ケチャのことをモンキーダンスともいうことがある)。突然降りだす激しい雨は文字通りバケツをひっくり返したようであり、夜の闇は本当に漆黒なのである。食べ物はおいしく、人々の笑みには謎があり……まさにストレンジャー・ザン・ウブドゥなのだ。」

Blog. 「クラシック プレミアム 15 ~ベートーヴェン3~」(CDマガジン) レビュー より抜粋)

 

 

 

 

「Venuses」(カネボウ「いち髪」CMソング)は、CM Original versionはすべてシンセサイザーによる音色となっている。本作品に収録版はバラネスク・カルテットによる弦楽合奏となっており、大きくアレンジが異なるわけではないが、CM版と響きは異なる。その他リズムパーカッションもCM版のほうが前面に出ており、CMという短い時間でのインパクトに一役かっている。

 

 

 

久石譲 『 Asina X.T.C.』

●陽side (Pop side)
1. Asian X.T.C.
2. Welcome to Dongmakgol (韓国映画「トンマッコルへようこそ」主題曲)
3. Venuses (カネボウ「いち髪」CMソング)
4. The Post Modern Life (中国映画「おばさんのポストモダン生活」主題曲)
5. A Chinese Tall Story (香港映画「A Chinese Tall Story」主題曲)
6. Zai-Jian
●陽side (Pop side)
7. Asian Crisis (NHK「名曲の旅・世界遺産コンサート」書き下ろし曲)
8. Hurly-Burly
9. Monkey Forest
10. Dawn of Asia
Bonus Track
11. Woman 〜Next Stage〜 (レリアンCMソング)

All Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Performed by The Balanescu Quartet , Jiang Jianhua , DEPAPEPE

M-11 Piano:Takehiko Yamada / Bandoneon:Koji Kyotani / Strings:Supeciosa Strings

Recorded at
Wonder Station (Tokyo)
Angel Studios (UK)
Landmark Studio (Yokohama)
Victor Studio (Tokyo)
Sony Music Studios Tokyo

Mixed at Lansdowne Studios (UK)

in BEIJIN アジアを探しに… 3.24~3.27
in LONDON レコーディング&TD 7.28~7.31 & 8.18~8.23

 

Disc. 久石譲 『WORKS III』

久石譲 『WORKS3』

2005年7月27日 CD発売 UPCI-1027

 

 

世紀をまたいで終結を迎えたDEAD

今回のコンサートのために書いた組曲「DEAD Suite」は、僕がクラシック、現代音楽の世界から離れて19年ぶりに書き上げた楽曲だ。DEAD-英語音名で言う「レ・ミ・ラ・レ」をモティーフにして作曲された楽曲だ。いささかポップスのフィールドを逸脱したかもしれないが、20代後半にポップスの世界に転向して以来、初めての本格的な現代音楽作品になる。リズムが変わり、不協和音ぎりぎりのところで構成されたこの楽曲は、なぜ今まで自分が音楽をやってきたのか? を問い詰めながら、今世紀末のひとつの区切りとして僕にとって通らなくてはいけない道、なくてはならない楽曲となった。最終的には4曲から成り立つ組曲を考えているが、今回のコンサートで披露できるのはその内2曲までになる。後は、来年書き足そうと思っている。

久石譲 (PIANO STORIES ’99 ツアーパンフレットより)

 

 

夜中に、ふと思う。自分がなぜ今まで音楽をやってきたのか?
20世紀末にも確かにこの疑問にたどり着いた。
「DEAD」。あの未完成な組曲を完成させなくては・・・・
そんな思いに掻き立てられ、一気に書き上げた。
なぜ今DEADなのか・・・・
このツアー中に僕自身が「深淵」を臨くことになるのだろうか。

 

Deadのモティーフは「死」だ。
誰にも訪れる「死」を考えることは「生」を考えることでもある。
「生きる」ことの基本は「愛」だ。
幸福を求めるその先には「愛」がある。
だからこの作品は「愛」を唄った音楽でもある。

久石譲

 

 

「WORKS III」解説より

DEAD-英語音名で言う「レ・ミ・ラ・レ」をモティーフにして作曲された楽曲。初映画監督作品「カルテット」の前に撮る予定だった映画のために書いた曲でもある。第一楽章、第四楽章は、99年「PIANO STORIES ’99」ツアーで、弦楽四重奏Balanescu Quartetと共演し、アルバム「Shoot The Violist~ヴィオリストを撃て~」にも収録されている。今年7月に発売された「WORKS III」にて、第二楽章、第三楽章を書き足し弦楽オーケストラ組曲として完成した。

第一楽章 「D.e.a.d」
普遍的なテーマへの旅立ちに対する不安や恐怖、期待が入り混じった壮大なオーケストレーションによる刺激的な音楽。

第二楽章 「The Abyss~深淵を臨く者は・・・・~」
ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」に代表される哲学的なバックグラウンドを持つこの組曲にふさわしいタイトルで、官能的な響きが大きなキーワードになった。

第三楽章 「死の巡礼」
一貫してミニマル・ミュージックにこだわってきた久石譲ならではのミニマル色が強く打ち出されている。

第四楽章 「復活~愛の歌~」
ぎりぎりの不協和音と協和音の間で揺れるメロディに至っては、心地よい疲労感にも近い感動すら覚えるほどだ。

今回第二、第三楽章が加えられたことで、クリエイティヴなテーマがさらにディープに進化しているし、底知れぬイマジネーションの世界は映像的でもある。いつか映画が完成する可能性もあるはずで、この組曲の次のアプローチに注目したい。

村岡裕司

(「久石譲 Symphonic Special 2005」コンサート・パンフレット より)

 

 

CD解説

映画音楽家として活動する時の久石譲は、つねに映像と真剣勝負をするストイックなクリエーターとしての姿勢を崩さないが、一人の音楽家としてレコーディングやコンサートに臨む際の氏は、映画をきっかけにした曲にしてもオリジナル曲にしても、アーティストとしての底知れぬ可能性を謳歌するように新しい創造に立ち向かう。きっとその創造の裏側には、生みの苦しみがあるのだろうが、幸運にも彼の作品を聴く側にいる我々は、音楽を聴いて楽しみ笑い泣き、時には勇気付けられたりして、久石ミュージックと旅に出ることが出来る。これまで久石譲が発表してきた数々のソロ作品が支持されてきたのは、マルチなキャリアを積んでいる氏の音楽が、妥協を許さない創作姿勢を貫いているからだろう。

久石ワールドを伝える『WORKS』シリーズの第3弾となるこの新作は、現在の彼の音楽を満喫するには十分すぎるほどの魅力を凝縮させた豪華な内容となった。CMでおなじみの「Oriental Wind」にメガ・ヒット作『ハウルの動く城』から生まれた名曲「人生のメリーゴーランド/Merry-go-round」、久石譲の大きなテーマを包含した組曲「DEAD」、バスター・キートンのハリウッド・クラシックに新たに音楽を加えるというユニークな手法による「THE GENERAL」という、4つの異なるアプローチから生まれた音楽で構成されている。現在の久石譲の多面的な創作を知る上でも非常に興味深いコンセプトだ。

アルバムのハイライトとなるのは、組曲として全貌を明らかにした「DEAD」である。

元々は『Quartet』(2001)に先駆けて氏の監督第一作に予定されていた映画のために、第1楽章と第4楽章は書かれたもので、5年前にバラネスクカルテットと共に弦楽四重奏&ピアノの編成で全国ツアーをまわった。『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』(2000)にも収録されたが、組曲としては未完だった。それが2005年に入って、新たに第1楽章「D.e.a.d」第2楽章「The Abyss 〜深淵を臨く者は・・・・〜」と第3楽章「死の巡礼」第4楽章「復活~愛の歌~」という形で組曲として完成したものである。タイトルの「DEAD」は英語の階名”レ、ミ、ラ、レ”を示していて、このユニゾンのフレーズの提示に従って音楽も構成されている。後期ロマン派から近代にかけてのスタイルを取り入れ、ミニマル・ミュージック的な表現を行うなど、久石譲の幅広い音楽的なバックグラウンドが投影された。もちろん、モチーフは”人間の死”であるが、”人間はどこから来てどこにいくのか、いつか死ぬことは決まっているが、生きている間に感ずる人間に対する愛”についても重要なモチーフになっている。

既に発表されている「D.e.a.d」と「復活~愛の歌~」は、今回初の試みとしてストリングス・オーケストラ用にアレンジが行われ、組曲としての一貫性が強調された。「D.e.a.d」は普遍的なテーマへの旅立ちに対する不安や恐怖、期待が入り混じった壮大なオーケストレーションによる刺激的な音楽。続く「The Abyss 〜深淵を臨く者は・・・・〜」は、ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」に代表される哲学的なバックグラウンドを持つこの組曲にふさわしいタイトルで、官能的な響きが大きなキーワードになった。「死の巡礼」は一貫してミニマル・ミュージックにこだわってきた久石譲ならではのミニマル色が強く打ち出されている。ぎりぎりの不協和音と協和音の間で揺れるメロディによる第4楽章の「復活~愛の歌~」に至っては、心地よい疲労感にも近い感動すら覚えるほどだ。今回第2と第3楽章が加えられたことで、クリエイティヴなテーマがさらにディープに進化しているし、底知れぬイマジネーションの世界は映像的でもある。いつか映画が完成する可能性もあるはずで、この組曲の次のアプローチに注目したい。

他の曲もこのアルバムのコンセプトに欠かせない重要な作品ばかり。オープニングの「Oriental Wind」は記録的なセールスになったサントリー緑茶「伊右衛門」のCMソングとして親しまれているナンバーである。メロディメーカーとしての氏の才能が発揮された。CFの映像やタイトルが示しているように、日本人のテイストを触発するエモーショナルなメロディラインが強烈な印象を与えた。先に発表された『FREEDOM PIANO STORIES 4』では、ピアノによるアコースティック・ヴァージョンが収録されていたが、ここではオーケストラによる重厚なシンフォニーになっている。瑞々しいメロディを基調とした演奏は、何度聴いても感情移入出来る。続く「人生のメリーゴーランド」は宮崎駿監督の『ハウルの動く城』の核をなす名曲である。これも『FREEDOM PIANO STORIES 4』に収録されているが、ここでは、おなじみのメロディを様々なアレンジでリフレインさせて、曲の魅力を堪能させてくれる。様々なプロセスを持つ人生のようでもあるし、四季折々の変化でもあるように、これまたイマジネーションを触発させる作品だ。カーニヴァルやサーカスの世界を彷彿させる音楽は、一連のフェリーニ作品でおなじみのニーノ・ロータや、アカデミー賞の音楽賞に輝いた『リリー』(1953)のプロニスロウ・ケイパーが有名だが、久石譲は彼らとはひと味ちがうカーニヴァルやサーカスの世界を創り上げている。

ラストを飾る組曲「THE GENERAL」は、喜劇王バスター・キートンのサイレント映画の傑作『大列車強盗(キートン将軍)/The General』(1927)に、久石譲が新たに付けたスコアを組曲にしたものだ。昨年カンヌ映画祭で日本人としては初となる氏本人の指揮によって初演された。

サイレント映画に音楽を加える試みは、フランシス・フォード・コッポラの父親のカーマイン・コッポラによる『ナポレオン』(1927)や、ジョルジオ・モロダーによる元祖SF映画『メトロポリス』(1927)など、これまでにもしばしば行われているが、久石譲と「大列車強盗(キートン将軍)」の出会いは、フランスの映画会社のオファーによって実現した。すなわち、アメリカの歴史的な名画が、フランスの会社を介して、日本の音楽家によって音楽を加えられるという、国際的な連係で可能になったプロダクツから生まれた音楽なのだ。

サイレント・エラの喜劇王というと、どうしても警官やビーチの水着美人たちが登場する一連のキーストン社のドタバタ・コメディをイメージしてしまうが、キートンの映画は単純なお笑いではなく、彼の人生観や世界観が投影されたドラマとしても素晴らしく、アーティストや表現者としての彼は、本国よりもフランスで再評価されたという経緯もある。その流れが今回の試みにも継承されているのは言うまでもない。実際作品を観てみると、久石譲のスコアが古典的な名作が包含する永遠のテーマを浮き彫りにしているし、ステレオ・タイプになりがちなサイレント映画のスコアに世界を、久石流に表現することにも成功している。ここでも映像に向き合う氏の姿勢が色濃く投影された組曲に仕上がっている。

なお、このアルバム・リリースと時を同じくして行われるコンサートでは、『ハウルの動く城』や『THE GENERAL』がメイン・プログラムで演奏される他、注目の「DEAD」も演奏される予定だ。それだけにこの作品の発表の意義は大きいと思う。

2005年6月16日 村岡裕司/YUJI MURAOKA

(CD解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

ーやはり『WORKS III』で特筆すべきは、組曲「DEAD」だと思うのですが。これは数年前にご自分がメガホンを取る予定だった映画のために書いた曲だそうですね。

久石:
「そう。4、5年前ですね。でもその映画の内容が、人が死んだりとか、ちょっときついものだったので、時期をみようということになって、先に『カルテット』を撮ったんです。でもテーマ曲はできていて、そのときは2曲だけだったけど、僕の頭の中では4楽章の組曲にしようと思っていまして。今年こそは完成させたくてね。やっと発表できました。今回のアルバムはこの曲のために作った、といっても過言じゃないくらい(笑)」

ーDEADのスペルD,E,A,Dを音名に置き換えた、レ、ミ、ラ、レを主に使った作りになってるんですね、どの楽章も。おもしろい。

久石:
「映画の内容を考えながら、最初に思いついたアイデアだったんだけど、明快でしょう。明快だから音のインパクトも強い。だからどうしても弦楽オーケストラでやりたかったんです。フルだといろんな音色がありすぎちゃって派手になっちゃうから。弦だけの方がきっと深い世界が表現できるなあと思ってね」

ー元々久石さんがやってらっしゃった、現代音楽的なアプローチの作品ですよね。特に3楽章なんか、バリバリ、ミニマルですね。

久石:
「やっぱりそれは僕の本籍地みたいなものだから。すごく真剣になるとスタンスがそこに戻っちゃうんだよね、どうしても。でもね、もう一歩踏み込んじゃうと、ほんとうに現代音楽の作品になっちゃうんだけど、僕がいまやってるフィールドで考えると、それをポップスという世界の中に留める、ということが大事になってくるんです。僕は特別な人たち相手に音楽を作る芸術家じゃないからね。宮崎映画とか北野映画から僕の音楽を知ってくれたような多くの人たちと、コミュニケーションできる音楽でなくちゃいけないんです。今回はそのギリギリ(笑)。だいぶ挑戦的なことはしたなと思いますけどね」

Blog. 「月刊ピアノ 2005年9月号」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「そうですね。作られた目的が映画でもCMでも構わないんですけど、それを独立した楽曲として成立させるということは音楽家としてやらなきゃいけないことなんです。どうしても映像と対になってしか存在しないという映画音楽やCM音楽が、実はしっかり作られているというのを確認してもらうには、こういうシリーズが必要なんですね。」

「全体的にサウンドを少し厚くゴージャスにしています。映画の場合、音楽にいろいろな要素を入れ過ぎてしまうとセリフとぶつかってしまうんです。オリジナルでは主旋律だけしかない曲に、オブリガートのメロディを足すなどの作業はしていますね。」

「「人生のメリーゴーランド」のメロディなど、ソロの部分はだいたい僕が弾いてますね。それ以外はオーケストラのピアニストに弾いてもらっています。」

「すみだトリフォニーホールのスタインウェイです。響きを大事にしたかったので、スタジオではなくホールで録音しました。」

「指揮しながらピアノを弾いていると、そこが難しいんですよね。まず、オーケストラを録って、リズムがちゃんと感じられる部分はあとでピアノをかぶせようと思うんですが、なかなかニュアンスが一緒にならない。相手が出す音に対してこっちが反応し、こっちが出した音に相手が反応するのが音楽なのに、ダビングするとその双方向のコミュニケーションがなくなってしまう。「DEAD」の第4楽章は最初にオーケストラと録ったときにうまくいかなかったので、”すみません”って言って、翌日もう1回オケと一緒に録り直しました。自分で指揮をしているから分かってるつもりなんですけど、実際に自分が弾いた音にオケが反応するのと、別々で録音するのでは全然違いますね。クリックを使っていないので、オーバーダビングするにしても簡単じゃないですし。本当は同時録音がいいんですが、指揮とピアノを両方やっているとどちらも中途半端になりがちなんです。その辺をいつもレコーディングの直前までどうするか悩んでいるんですよ。」

Blog. 「キーボード・マガジン 2005年10月号 No.329」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

久石譲 『WORKS3』

1. Oriental Wind 〜for Orchestra〜
2. Symphonic Variation 「Merry-go-round」 (映画「ハウルの動く城」より)

DEAD for Strings,Perc.,Harpe and Piano
3. 01. D.e.a.d
4. 02. The Abyss 〜深淵を臨く者は・・・・〜
5. 03. 死の巡礼
6. 04. 復活 〜愛の歌〜

Keaton’s 「THE GENERAL」
7. Movement 1
8. Movement 2
9. Movement 3
10. Movement 4
11. Movement 5

初回限定:「Oriental Wind」
(サントリー緑茶 伊右衛門CM曲)ピアノ譜封入

All Composed , Arranged , Conducted and Produced by Joe Hisaishi
Piano:Joe Hisaishi (excep Keaton’s “THE GENERAL”)

演奏:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
録音:すみだトリフォニーホール

 

Co-produced by Eiichi Fujimoto
Directed by Akira Watanabe (FujiPacific Music Inc.)
Recorded by Suminobu Hamada, Hiroyuki Akita (Wonder Station)
Mixed by Suminobu Hamada (Wonder Station)
Mastered by Hiroyuki Hosaka (Hitokuchizaka Studios)
Piano Technician: Masanori Hanaoka (YAMAHA Corporation)
Music Sheet Preparation: Kenji Ashimoto
Technical Support: Ken Muramatsu (Octavia Records)

Recorded at Sumida Triphony Hall
Edited & Mixed at Wonder Station

 

WORKS III

1.Oriental Wind (For Orchestra)
2.Symphonic Variation “Merry-Go-Round”
3.DEAD for Strings, Percussion, Harp and Piano: 1. D.e.a.d
4.DEAD for Strings, Percussion, Harp and Piano: 2. The Abyss
5.DEAD for Strings, Percussion, Harp and Piano: 3. Death Pilgrimage
6.DEAD for Strings, Percussion, Harp and Piano: 4. Rebirth – Love Song
7.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 1
8.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 2
9.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 3
10.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 4
11.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 5

 

Disc. 久石譲 『FREEDOM PIANO STORIES 4』

久石譲 『PIANO STORIES 4 FREEDOM』

2005年1月26日 CD発売 UPCI-1014

 

日常に追われ、がんじがらめの生活。
息苦しい、閉塞感。
人は少なからずそんな思いを心に宿しているのでは?

いつの日だったろう? 夢をあきらめ自分の手の届く範囲で納得しようと言い聞かせてしまったのは。
その大きな壁を作っているのは自分なのでは?
でも、それも自分自身の人生。

それを受け入れた上で、自由に、そして心を解き放てたら。
自分の中で自由な気持ちを取り戻せたら、きっと楽になれるのでは。

Freedom

久石譲

(「Joe Hisaishi Freedom Piano Stories 2004」コンサート・パンフレット より)

 

 

「実は、サブタイトルに”心の自由を求めて”ってつけようかなって思ってたくらい、最近、なんとなく世の中に閉塞感があって生きづらくなってると思うんです。たとえば”なにかやろう”って思っても、結果がなんとなくわかっちゃうんですよね。そうすると”これやっても仕方がない””これもやっても先が見えてる”みたいな感じで自分のほうで壁を作っちゃってなにもやらなくなってきてる気がしてて。僕自身もそうだし、周りの人たちなんかを見ててもすごくそういうのを感じていて。だから、自分の中のそういうバリアをはずしてやったらもっと生きやすくなるんじゃないかなぁって。そんな思いからこういうコンセプトになったんです」

「そうですね。僕にとってこの”FREEDOM”は過渡期だったと思うんですよ。いまの世の中みたいに価値観がボロボロに崩れだした時代は、作家ってどうしても発言をきちっとしたいんですよ。自分が感じる世の中だったりとか、僕もそうしたくなってたんですけど、でもなんかそれは違うなっていう予感だけがあって。それで悩んだんです。でも、結果的に宮崎さんの『ハウルの動く城』も、たとえば『もののけ姫』のときのような壮大な、”人間とは?”っていう問いかけはしていないですよね。決して重い作品ではないし。きっとこの時代に、シリアスな発言しても疲れきってる人間にそれ言ってなんになる? っていうことなんです。それだったら、隣の人とつながってるんだとか、一日一日の思いを大切にするんだとか、もっと身近なことを言うくらいがせいぜいかなって。だから僕にとっても、宮崎さんにとっても次のための準備期間でありオアシス的作品になったんじゃないかな」

「あのね、僕にとって2004年はワルツの年だったんですよ。実は『ハウル~』だけじゃなくて、バスター・キートンもテーマがワルツだったし、ワールド・ドリーム・オーケストラでもショスタコーヴィチのワルツを演奏したし。すごくワルツに凝った1年だったなぁって。なんかね、ワルツのあのリズムっていうのが、前作の『ETUDE』なんかでちょっと行き過ぎちゃった自分をもう一回戻してくれたんだよね。それが『ハウル~』の映像にも不思議とハマったんだよね」

Blog. 「月刊ピアノ 2005年2月号」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

2003年9月6日CM放送開始「東ハト キャラメルコーン」では、本作収録曲「Ikaros」が使用されているが、CM original versionとは少し異なる。CMでは伴奏にアコスティックギターも使われ、メロディーから最後のサウンドロゴまでの流れを手がけている。

2003年11月25日CM放送開始「ベネッセコーポレーション 進研ゼミ」では、本作収録曲「Spring」が使用されているが、CM original versionとは少し異なる。CMでは、伴奏のピアノに加えてアコースティックギターも重なり16分音符粒が細かく、より爽快で軽快な印象になっている。

2004年3月6日CM放送開始「サントリー 京都福寿園 伊右衛門」では、本作収録曲「Oriental Wind」がしようされているが、CM original versionとは異なる。

 

 

久石譲 『PIANO STORIES 4 FREEDOM』

1.人生のメリーゴーランド (映画「ハウルの動く城」メインテーマ リアレンジヴァージョン)
2.Ikaros (Tohato「キャラメルコーン」CFソング)
3.Spring (Benesse「進研ゼミ」CFソング)
4.Fragile Dream
5.Oriental Wind (サントリー緑茶「伊右衛門」CFソング)
6.Legend (MBS「美の京都遺産」テーマソング)
7.Lost Sheep on the bed
8.Constriction
9.Birthday

初回盤:「人生のメリーゴーランド」ピアノ譜 封入

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Piano:Joe Hisaishi

Strings:Angèle Dubeau & La Pietà (except Track-9)
Solo Violin:Angèle Dubeau
Percussion:Sawako Yasue
Bandoneon:Koji Kyotani
Guitar:Masayoshi Furukawa
Pianica:Joe Hisaishi
Strings:Koike Hiroyuki Strings (Track-9)
Interpreter:Iris Germain

Recorded at
Wonder Station
Victor Studio
HAKUJU HALL

 

FREEDOM PIANO STORIES 4

1.Merry-Go-Round of Life (from ‘Howl’s Moving Castle’)
2.Ikaros
3.Spring
4.Fragile Dream
5.Oriental Wind
6.Legend
7.Lost Sheep on the bed
8.Constriction
9.Birthday

 

Disc. 久石譲 『世界の約束 / 人生のメリーゴーランド』

久石譲 『ハウルの動く城 主題歌 世界の約束』

2004年10月27日 CDS発売 TKCA-72774

 

2004年公開 スタジオジブリ作品 映画「ハウルの動く城」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲 主題歌:倍賞千恵子

 

 

本作品に収録されている「人生のメリーゴーランド」は、「ハウルの動く城 サウンドトラック」に収録のものと、尺(パート構成/繰り返し)などが異なる。サウンドトラック未収録versionとなる。

 

 

久石譲 『ハウルの動く城 主題歌 世界の約束』

1. 主題歌:世界の約束 歌:倍賞千恵子
2. テーマ:人生のメリーゴーランド (インストゥルメンタル)
3. 世界の約束 (オリジナルカラオケ)

「世界の約束」
作詞:谷川俊太郎 作曲:木村弓 編曲:久石譲

プロデュース:久石譲

ジャケット監修:宮崎駿

 

Disc. 『宮崎駿プロデュースの1枚のCDは、こうして生まれた。』

2004年8月6日 DVD発売 VWDZ-8066

 

ジブリがいっぱいCOLLECTIONスペシャル
『宮崎駿プロデュースの1枚のCDは、こうして生まれた。』

 

「大人が聴く歌、大人が唄える歌が欲しい」

宮崎駿監督のそんな想いから、このCDアルバム 「お母さんの写真」 製作プロジェクトは動き始めました。友人、上條恒彦の魂を揺さぶる歌声に感動し、この人に唄ってほしいという宮崎監督の強い願いは、糸井重里や久石譲など多くの人々を動かし、やがて、みんなの想いが1つの形になりました。CDの企画から出来上がるまでを収めたドキュメンタリー映像の第1部と、その完成を記念して三鷹の森ジブリ美術館で行われた上條恒彦のコンサートを収録した第2部との2部構成になっています。これは、大人が唄える歌探しに夢中になった大人たちの心温まる記録です。

 

【第1部】
大人が唄える歌をさがして。 構成・演出/浦谷年良
製作委員会のミーティングやレコーディング風景、宮崎監督や仲間達の熱い思いが伝わります。(約98分)

【第2部】
上條恒彦コンサート in 三鷹の森ジブリ美術館 構成・演出/関根聖一郎
アルバムからの6曲のほかに、「大きな古時計」、「だれかが風の中で」、「さんぽ」も唄われます。(約40分)

【映像特典】
宮崎駿監督作品
2003年夏 ハウス食品「おうちで食べよう。」シリーズ TV-CM
・ままごと篇 ・おつかい篇 ・路地裏篇 ・宣伝力一篇

 

 

久石譲も「油屋」「お母さんの写真」のレコーディング風景で登場する。宮崎駿監督や上條恒彦とのスタジオ内での録音のやりとりを収めた貴重な記録。(第1部、チャプター4,5)

 

 

【第1部】
大人が唄える歌をさがして。 構成・演出/浦谷年良
1.アルバムの発端
2.#見果てぬ夢
3.アルバムの企画会議
4.最初の録音日
5.#油屋&#お母さんの写真
6.#鞦韆(ぶらんこ)
7.#秋
8.#豚の丸焼き背中にかついで&#ひとつやくそく
9.#椅子
10.#牧場の朝&#冬の星座
11.アルバム製作委員会
12.#花あかり
13.#オルガンの丘#真夏の振り子
14.#祝祭
15.#何もいらない&#中央線

【第2部】
上條恒彦コンサート in 三鷹の森ジブリ美術館 構成・演出/関根聖一郎
1.油屋
2.お母さんの写真
3.真夏の振り子
4.中央線
5.冬の星座
6.牧場の朝
7.大きな古時計
8.だれかが風の中で
9.さんぽ

 

Disc. 久石譲 『空想美術館 ~2003 LIVE BEST~』

久石譲 『空想美術館』 2003 LIVE BEST

2003年10月22日 CD発売 UPCH-1299
2018年4月25日 LP発売 UMJK-9073/4

 

 

~空想美術館紀行~

久石譲さんの演奏には必ず光景が伴う。オーケストラや観客、或いは久石さん本人の向う側に、かつて旅で出会った人々やその時々の風のようなものが立ち上がるのだ。たとえ有名な映画曲であろうと、目をつぶれば私には独自のシーンが浮かんでくる。見事、としか言い様がない魔法である。

 

Musée imaginaire (Orchestra Ver.)
エクアドルの首都キトからバスでアンデス山脈を越えた時、高度四千メートルで突然もやが晴れ、笑顔で手を振るインディオの子供たちが現れた。この曲をあの峠でもう一度聴いてみたい。

Summer
米国オレゴン州のキャノンビーチには日本の風鈴八百個と暮らす老人がいた。彼は東京を空襲したパイロットで、海風に鳴りやまぬ風鈴を聴きながら静かに枯れ枝と化していくのだった。風鈴はまだ揺れているだろうか。

MIBU
展開とともにまったく新しいイメージが湧きあがるこの曲は、アンコールワットの日の出を思い出させた。たとえ大地が戦乱の荒廃にあったとしても、日輪は何万もの色彩をもって新たな一日を祝福しようとしたのだ。

Silence
トルコのエフェス遺跡のイメージ。エーゲ文明の遥か昔に愛しあった男女の吐息が、今もなお朽ちた柱に絡み付いているようだった。風は時の向う側から情念と音楽を運んでくるらしい。

月に憑かれた男
三年間暮らしたニューヨークで、やるせない気持ちになる度にブルックリン橋を歩き、そこから見える窓灯りを数えていた。どの窓にも命があり、苦悩があり、歓喜がある。その痛いような感覚を思い出させる曲。

夢の星空
ベトナムの漁村を夜明けに訪れたら、歩き始めたばかりの漁民の子が丸太の上に乗って用を足し始めた。あっけらかんとした笑い声、世界で一番幸せそうだったあの子の笑顔に、いつまでも美しい星空とこの曲を捧げたい。

Bolero
チェコの田舎街道はひまわり畑に埋もれているため、夏になると地平線までの黄色で覆われる。しかしその横を走る線路はかつてアウシュビッツまで続いていたのだ。無数の魂が風にそよいでいたようなあの夏空。黄色。

a Wish to the Moon
沖縄から台湾までは貨物船の旅がお薦め。島をひとつ経る度に珊瑚礁の色は濃くなり、五線譜から飛び出す音符のようにイルカたちがジャンプを繰り返していた。

KIKI
洞窟ホタルを見るためにオーストラリアのアウトバックを踏破した夜。気がつけば横をカンガルーの群れが並走していた。この曲のように心が舞い続けた夜。

谷への道
ヨルダン砂漠のロレンス砦に行った時、どこまでも続く赤い砂漠の果てに、三千年前の落書きがあることを知った。どうしてこの曲はあの時のジープの荷台を思い出させるのだろう。歴史なんて一瞬で、それよりも大切なのは今生きているこの鼓動なのだと曲が伝えているようである。

Musée imaginaire (9 Cellos Ver.)
バージョンが変われば曲がイメージさせる疾走感も異なる。世界で一番好きな列車、ハンブルグ発ブダペスト行のハムレット号だ。エルベ川沿いの小鹿飛び出す列車の旅を、この曲を聴いたすべての人に体験してもらえたらと思う。

TETSUYA (ex. ドリアン助川)

(空想美術館紀行 ~CDライナーノートより)

 

 

2003年春のチェリストとのツアーと、同年夏の新日本フィルとのツアー、この2つのツアーからベスト・テイクを選りすぐったライヴ・ベスト盤。ピアノ・ソロアルバム『ETUDE』の名曲たちをシンフォニック・アレンジで聴くことができる。

 

 

2018年4月25日 LP発売 UMJK-9073/4
完全生産限定盤/重量盤レコード/初LP化

 

 

 

久石譲 『空想美術館』 2003 LIVE BEST

1.Musée imaginaire (Orchestra Ver.) (NHK「世界美術館紀行」より)
2.Summer (映画「菊次郎の夏」/トヨタ カローラ CM より)
3.MIBU (映画「壬生義士伝」より)
4.Moonlight Serenade
5.Silence (ダンロップ VEURO CMより)
6.月に憑かれた男
7.夢の星空
8.Bolero
9.a Wish to the Moon (キリン一番搾り生ビール CMより)
10.KIKI (映画「魔女の宅急便」より)
11.谷への道 (映画「風の谷のナウシカ」より)
12.Musée imaginaire (9 Cellos Ver.) (NHK「世界美術館紀行」より)

Recorded at Tokyo Metropolitan Art Space , Tokyo Opera City Concert Hall , Niigata-City Performing Arts Center

Conducted by Kim Hongje (except M10-12) , Joe Hisaishi (M10-12)

Orchestra:New Japan Philharmonic

 

Disc. 上條恒彦 『お母さんの写真』

お母さんの写真 久石譲

2003年7月30日 CD発売 TOCT-25120
2013年6月5日 CD発売 TKCA-73918

 

「おとなが歌える歌」をテーマに、宮崎駿のプロデュースで上條恒彦が歌ったアルバム

 

 

作家陣にはジブリ映画でおなじみの宮崎駿(作詞)、覚和歌子(作詞)、糸井重里(作詞)、久石譲(作曲)、矢野顕子(作曲)に加えて、上條恒彦本人、クニ河内、井上鑑などが参加。

年輪を重ねてきた者でなければ出せない、大地に根を下ろした大樹のような、野太くどっしりとした力強い歌声。演奏の方も、ストリングスやアコースティック・ギターを多用したやわらかく重厚なアレンジが、彼の歌を盛り立てている。

ハウス食品「おうちで食べようシリーズ」CMソングの「お母さんの写真」は、『となりのトトロ イメージ・ソング集』に収録されていた楽曲である。オリジナル版は久石譲本人による歌唱である(曲名「小さな写真」)。

また本作品のドキュメンタリーDVD『宮崎駿プロデュースの1枚のCDは、こうして生まれた。』も発売されている。企画から制作、久石譲参加のレコーディング風景も記録されている。

 

 

お母さんの写真 久石譲

1. お母さんの写真(ハウス食品『おうちで食べよう。』CMソング)
作詞/宮崎駿 作曲・編曲/久石譲 
2. オルガンの丘
作詞/覚和歌子 作曲/丸尾めぐみ 編曲:斎藤ネコ
3. 中央線
作詞・作曲/宮沢和史 編曲/高野寛
4. 牧場の朝
文部省唱歌 作曲/船橋栄吉 編曲/美野春樹
5. 鞦韆(ぶらんこ)
作詞/覚和歌子 作曲/上野洋子 編曲/斎藤ネコ
6. 真夏の振り子
作詞/覚和歌子 作曲/丸尾めぐみ 編曲/斎藤ネコ
7. 油屋
作詞/宮崎駿 作曲・編曲/久石譲
8. 豚の丸焼き背中にかついで
作詞/糸井重里 作曲/クニ河内 編曲/井上鑑
9. ひとつ やくそく
作詞/糸井重里 作曲/クニ河内 編曲/井上鑑
10. 椅子
作詞/伊藤アキラ 作曲・編曲/井上鑑
11. 秋
作詞/矢川澄子 作曲/矢野顕子 編曲/井上鑑
12. 花あかり
作詞・作曲/上條恒彦 編曲/井上鑑
13. 冬の星座
日本語詞/堀内敬三 作曲/William Shakespeare Hays 編曲/美野春樹
14. 何もいらない
作詞・作曲/宮沢和史 編曲/高野寛
15. 祝祭
作詞/覚和歌子 作曲/上野洋子 編曲/井上鑑
16. 見果てぬ夢 (ライブ・レコーディング)
日本語詞/福井峻 作曲/Mitch Leigh

 

Disc. 久石譲 『a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos 2003 ETUDE & ENCORE TOUR-』

久石譲 『a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos  2003 ETUDE&ENCORE TOUR-』

2003年6月25日 DVD発売 UPBH-1094

 

2003年3月から行われた久石譲のコンサート・ツアーの中から4月16日に東京オペラシティーにて行われたコンサートの模様を収録。オリジナルアルバム「ENCORE」「ETUDE~a Wish to the Moon」からの曲を中心に披露したベストライブ。

 

 

長い音楽活動とコンサート活動のなかで、意外にもコンサートDVDとしては初作品化である。公演プログラムの曲間に、リハーサル風景やピアノ練習風景などが、ドキュメンタリータッチで記録されている。

 

 

 

a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos  2003 ETUDE&ENCORE TOUR

– Encore & Others –
KIKI
谷への道
View of Silence
風のとおり道
Asian Dream Song
Friends
Summer
One Summer’s Day
HANA-BI

– Etude –
Moonlight Serenade 〜 Silence
月に憑かれた男
impossible Dream
夢の星空
Bolero
a Wish to the Moon

Musée Imaginaire
la pioggia
Tango X.T.C.

ToToRo
Madness
君だけを見ていた

本編111分

Recorded at Tokyo Opera City Concert Hall on April 16,2003

Composed (except “Moonlight Serenade”),
Arranged and Produced,
Conducted and Piano
by
Joe Hisaishi

Violoncello
1st
Hiroshi Kondo ~Concert Master,Solist
Takashi Kondo
Susumu Miyake
2nd
Makoto Osawa
Haruki Matsuba
3rd
Yoshihiko Maeda
Masanori Taniguchi
4th
Hiromi Uekusa
Seiko Ishida

 

Disc. 久石譲 『ETUDE ~a Wish to the Moon~』

久石譲 『ETUDE』

2003年3月12日 CD発売 UPCH-1221

 

 

ETUDE ~a Wish to the Moon~

このアルバムは、映画音楽のように大勢の人に向けて発信するというよりは、聴いてくれる皆さんひとりひとりに語りかけたいと久石は語る。コンセプトは「月」。ルナティックという言葉があるように月は人を変えてしまうと言われている。しかし彼はこう考える。人間の奥底にあるものを引き出してしまうものだと。狂気というものは誰もが潜在的にもっているもの。普段はそれを出さずにいるだけ…だと。人はみな自分を納得させながら、ある意味、偽りながら生きているもの。自分の脳を裏切りながら生きている。しかし、そんな自分に納得できないもうひとりの自分が存在する。そのもうひとりの自分に「月」が持っている力を借りて訴えかけるようなアルバムを作りたいと。

「月」に向かって願い事をする…
それは、たぶん叶い難い夢。密やかに願う願い事。
人はそんな夢、願い事を叶うと信じ続ける事で生きてゆける。

このアルバムの制作にあたっては構想から2年、たいへん贅沢な過程をたどる事になった。東京・初台にある東京オペラシティ・コンサートホール:タケミツメモリアルを何度も借り切ってのレコーディング。このホールは昨年3月に発売された久石のアルバム「ENCORE」のレコーディング現場でもあり、今回のツアー最終日もここである。最近の彼にとってはホームグラウンド的なものとなった。誰もいない1632席の客席のステージにたった1人、久石だけの世界。「もったいない…」とも思ったという。そして、同時にプレッシャーも感じたと。

昨年、ベストメロディー集「ENCORE」の制作が完了したとき、彼には少しの不満が残った。それは、このアルバムのために1曲も作曲をしていないという事。これは作曲家・久石譲にとって少なからず欲求不満であった。そんな思いもあり、今回のアルバム「ETUDE ~a Wish to the Moon~」は特別力を注いだ作品になった。

(「Joe Hisaishi Concert ~a Wish to the Moon~ ETUDE &ENCORE PIANO STORIES 2003」コンサート・パンフレット より)

 

 

万を期して発表されたオリジナル・アルバム”ETUDE ~a Wish to the Moon~”は、聴けば聴きこむほど、ピアノの醍醐味をじっくりと味わうことができる。度重ねられたレコーディングでは、音色を追及すると同時に、”いつか夢は叶う・・・”、このコンセプトのもと1曲1曲に対してさまざまなアプローチが試みられた。

ピアノ・ソロの世界は、シンプル、孤独感・・・それでいて、たった1台のピアノでオーケストラの響きを醸し出せるようなダイナミックな主張を持つ楽器。そんな楽器で語られた世界は、ポップスとクラシックのフィールドの中で見事に融合しつつ、ひとつひとつ丁寧に作られた作品は、高いストーリー性を持ったアルバムに仕上がった。

(「Joe Hisaishi Concert ~a Wish to the Moon~ ETUDE &ENCORE PIANO STORIES 2003」コンサート・パンフレット より)

 

 

 

ETUDE ~a Wish to the Moon~  SHORT STORIES

Silence ~内声和音とオクターブのエチュード~
今、君は沈黙の中にいる。音の重さと等しい無音の中にいる。
辺りは闇だ。心の中……闇と言う字は門の中で音が閉ざされたと書く。
視覚の問題ではない。
人の言葉を、あるいは音楽を拒絶する君には、鏡のような水面に落ちる
水滴の音は聞こえないのだろうか……。

Bolero ~同音連打、右手と左手の交差のエチュード~
(Dedicated to Issac Abléniz)
心踊る一時、でもアルベニーは言った。心とリズムはシンクロしない。
激しいリズムの果てに見えるのは廃墟の世界……。
例え地球が滅びようとも、僕は世界の果てまで君を探しに行く。

Choral ~美しく和音を響かせるためのエチュード~
優しさは誰にもある。でも同じくらいの残酷さが誰の心にも潜んでいる。
Pretender~自分に忠実であることは難しい。
だから、と僕は呟く。「心の声を聞け」と……。

Moon Light ~アルペジョのエチュード~
人は月に密かな願いをするんです。
月に願うことは悲しい。実現不可能な夢をこっそり呟く、その時の君は美しい。
そして、いつか夢は叶う……。

MONOCHROMATIC ~半音階のエチュード~
グールドは白鍵と黒鍵の交差の中に何を見たのだろうか?
日々向かい合うモノクロームの世界、徐々に言葉は失われていく。
でも、意外に居心地は悪くない。
不安定な心の揺れは、意識も揺れると安定になる。

月に憑かれた男 ~スタッカートのエチュード~
ルナチック、狼男は月を見て変身する。
現実をこえた強い願望は人を狂気の世界に誘う。狂おしい激情が君らにわかるか?
でも、そんなメロドラマは俯瞰で見るととても滑稽だ。
街路灯に涙する君のヒロイズムは、最高のコメディーだ。

impossible Dream ~6度のエチュード~
叶わぬ夢……でも、僕は信じる。

夢の星空 ~3度のエチュード~
キラキラ光る夜空の星。大きな月に照らされて僕は砂漠を歩いている。
乾いた砂が頬を過ると、もう何も感じなくなった。
月齢26歳、後2日で僕は消え、また復活する……。
ふと小さな自分の存在が愛おしくなる。
そう、希望はある。

Dawn Flight ~5/4拍子の激しいリズム、及び和音連打のエチュード~
そろそろ僕は行かなくちゃ……。
君を思う気持ちは変わらないが、何時までもこだわってはいられない。
世界は動いている、夜明け前に旅立たなくては……。

a Wish to the Moon ~同音連打の指替えとラグタイムビートのエチュード~
「神様、お月さま、私をもっと美しくして下さい」
「お月さま、お願い、私の彼氏を返して」
「お月さま、お金はそんなに欲しくないんだけど、エルメスのバッグだけ買えるお金がほしい」
「お月さま、テレビ局に入りたいんだけど……」
「お月さま、……心の安らぎが欲しいのですが……」
……あるか、そんなモン!
でも願い事(夢)がある限り、君は生きていける。
月のクレーターだってウサギのダンスに見えるじゃないですか。

久石譲

 

Etude circle

 

 

「ETUDE」

02年の4月から、およそ1年間かけて完成させたのが「ETUDE」というアルバムだ。

13曲書いたが、最終的に3曲をボツにして10曲。それを週に1回、2曲ずつ東京オペラシティに通ってレコーディングした。これはボクにとって特別な作品で、ソロアルバムとしては、「My Lost City」と並んで自分の代表作だと思っている。その後に手がける「ハウルの動く城」や「ワールド・ドリーム・オーケストラ」(WDO)などにも影響を及ぼすことになったわけで、音楽的な面でも意味の大きいアルバムだ。

「ETUDE」は、それまでのいわゆる「久石メロディ(?)」とは異なり、ポップスフィールドに入るかどうかという意味ですら、ギリギリに位置する音楽と言える。

このアルバムを完成させたとき、はっきり自覚したことは、作曲家として「作品として形を残そう」という意識が自分の中で強くなってきている、ということだった。作家性を意識しながらも商業音楽のベースを外さず仕事をしていた作曲家が、「作品を残したい」という意識を強く持つことは、ある意味レールの外にはずれてしまうのかもしれない。

しかしボクは、またもとの道へ戻ることを拒否することで、新しい音楽的境地へ向かった。そうして誕生したのが後に続く「WORKS III」の「組曲DEAD」や「ハウルの動く城」だった。

Blog. 久石譲ソロアルバム『ETUDE』 音楽制作秘話 (久石譲著書より) 抜粋)

 

 

 

2003年「キリン一番搾り生ビール」CM音楽「a wish to the moon」

制作エピソード(久石譲)

「音楽ってね、すごく悲しいとか、すごくハッピーだとか、ものすごく強いものだと書きやすいんですが、こういうほのぼのとして、身近な感じの雰囲気を作るというのは、すごく難しいんですよ。原色をガンガン使うのではなく、淡い色合いの世界観で、しかもオリジナリティのあるものを書くっていうのは意外と難しいんです。今回、候補として3曲書いたんですけど、その中でもCM曲に決まった曲というのは、もっともシンプルなものなんです。クリスマスソングにも感じれば、子守唄にも感じるようなメロディラインで、歌詞をつけて歌になるとちょうどいい…そういう曲なんです。実は、あまりにシンプルすぎるので、採用されるかな?という危惧もあったんですよ。でもこの曲に決まれば、後々ボーカルでもいけるし、いろんなアレンジも可能になるから、そういう意味では、これに決まって欲しいなと、望んでいた曲だったんです。ですから、この曲に決まって、すごく嬉しかったですよ。」

「映画は、2時間なら2時間で構成するので、論理的な構造や構成が大事なんです。だけどCMは、15秒が基本なんですよね。その中で勝負しなければならないわけですから、論理的なものよりも瞬間で感じるものに焦点を当てた書き方に変えるので、アプローチがすっかり変わりますよね。15秒書けばいいっていうと、短いように思うけど、実はその中に、多くの人を引きつけなければいけない、そういう部分が必要なわけだから、とても難しいんですよ。」

 

 

 

技術的にも曲の難易度が高いが、かといってエチュード(練習曲)の枠を超えた1曲1曲として完成された世界、凛としたメロディーたち。映像音楽ではない音楽世界ゆえに、聴く人にイメージや想像力をふくらませる。ピアノのみで表現したとは思えないドラマチックな展開。

(1)「Silence」は水を打ったような幻想的で神秘的な世界。心地よい静寂がその時間を空気を風景を満たしてくれる。

(2)「Bolero」や(6)「月に憑かれた男」などは、あたかもショートフィルムを見ているようなドラマチックな臨場感。

(8)「夢の星空」はピアノとメロディーの美しさが素晴らしい。澄んだ空に星たちが輝く、月が揺れる。満天の夜空。透明の清らかな空気たちが空から降りてきそう。

(10)「a Wish to the Moon」は月でウサギがダンスを踊っているような、軽快なメロディーとジャジーでもありモダンでもあり、良き時代に想いをはせるようでもあり、新しい時代への願いでもあり。本作のハイライトでありクライマックスである。

 

本作ライナーノーツには、久石譲自身が書き下ろした曲ごとのショートストーリーも記されている。

また曲ごとに副題が示され、◯◯のエチュード(練習)と書かれている。内声和音とオクターブ、半音階、スタッカート、3度など。技術練習や音階という音楽形式や楽典になぞらえたうえで、その縛りにとらわれない創造的世界が見事に展開している。

一連の「ピアノ・ストーリーズ」シリーズがその時代ごとの映画・CMなどの映像作品も盛り込みながら、ピアノを軸にアコースティックサウンドで音楽単体として成立させたものとすれば、この本作『ETUDE』はそれとも一線を画した、まさに独創的な音楽世界。ピアニスト久石譲と作曲家久石譲だけで追求され完成した、まさに代表作の1枚。ショパンのエチュードは24曲で構成されていて、すべての調(全24調)で書かれているためこの作品は10曲であり、まだ未完成、いずれ発表したいと当時語っている。

また久石譲本人は、この作品を「My Lost City」と並ぶ自身の代表作だとしていて、「自分の作品を残したい」という強い思いから約1年をかけて制作、それ以降の「ハウルの動く城」や「W.D.O」にも影響を与えることになった、大きな転機となったアルバムであると語っている。

『空想美術館 2003 LIVE BEST』では、本作のオーケストラ・アレンジ、LIVE音源を聴くことができる。(1) (2) (6) (8) (10) などである。ピアノの美しい調べがオーケストラにより表情豊かに彩られ、楽器や編曲による音楽的発展、無限な可能性を感じることができる。

 

 

 

久石譲 『ETUDE』

1. Silence (ダンロップVEURO CM曲)
2. Bolero
3. Choral
4. MoonLight
5. MONOCHROMATIC
6. 月に憑かれた男
7. Impossible Dream
8. 夢の星空
9. Dawn Flight
10. a Wish to the Moon (キリン一番搾り CM曲)

Recording Term:Jul. 2002 – Feb. 2003
Recorded at Tokyo Opera City Concert Hall

All Music Composed, Arranged and Performed by Joe Hisaishi

Produced by Masayoshi Okawa, Joe Hisaishi
Recording Engineer: Tomoyoshi Ezaki (Octavia Records Inc.)
Technical Engineer: Suminobu Hamada (Wonder Station Inc.)
Assistant Engineers: Takeshi Muramatsu (Octavia Records Inc.), Hiroyuki Akita (Wonder Station Inc.)
Piano Technician: Masanori Hanaoka, Toshiro Suzuki (YAMAHA Corporation)
Mastering Engineer: Shigeki Fujino (Universal Music K.K.)
Recording Term: Jul.2002 – Feb.2003
Recorded at Tokyo Opera City Concert Hall
Instrument: Steinway D type, YAMAHA CF III S
Edited at Wonder Station
Mastered at Universal Music Studio

 

ETUDE – A Wish to the Moon

1.Silence
2.Bolero
3.Choral
4.MoonLight
5.MONOCHROMATIC
6.Homme lunaire
7.Impossible Dream
8.Stars in a Dream
9. Dawn Flight
10.A Wish to the Moon

 

Disc. 久石譲 『CURVED MUSIC II CM Tracks of JOE HISAISHI』

久石譲 『CURVED MUSIC 2』

2003年1月29日 CD発売 UPCH-1216

 

CM音楽だけを集めた「CURVED MUSIC」第2弾

久石譲がTVより発信する数々のメロディ!最新CM集を一枚に凝縮!

本作収録の「Summer」は「菊次郎の夏 オリジナル・サウンドトラック」音源

 

 

「Happin’ Hoppin’」制作エピソード(久石譲)

「アレンジしているときに、ピアノを主体に、弦とか木管を入れたんですけど、どうしても何か足りなくてね。ドラムとかではなくて、なにかありきたりではない方法で、もう少しリズム感を前に出せる方法はないかなぁとずっと考えていて。それで、映像を繰り返し見ていたら、あったんですよ。ザッザザッザっていういい刻み音を出せる楽器が。それがウクレレ!ギターだと当たり前で、あの雰囲気は出ないんです。どちらかというと、僕はミスマッチが好きな人間ですから、「冬の温泉場とウクレレ」…これがピッタリだ!とか思って(笑)。それを見つけた瞬間にね、頭の中で全部がこう、いきいきとリズミックになって、「絶対これは勝ち!」って思いましたね(笑)。」

 

 

 

久石譲 『CURVED MUSIC 2』

1. Asian Dream Song (TOYOTAカローラ CM曲)
2. Happin’ Hoppin’ (キリンビール一番搾り おんたまくんたま編 CM曲)
3. Happin’ Hoppin’ (キリンビール一番搾り 春だこ編 CM曲)
4. Happin’ Hoppin’ (キリンビール一番搾り 樽生編 CM曲)
5. Happin’ Hoppin’ (キリンビール一番搾り ゴーヤー編 CM曲)
6. Happin’ Hoppin’ (キリンビール一番搾り 毬花編 CM曲)
7. Ballet au lait (バレトレ) (全国牛乳普及協会 CM曲)
8. Summer (Guitar Version) (TOYOTAカローラスパシオ CM曲)
9. Summer 映画『菊次郎の夏』より (TOYOTAカローラ CM曲)
10. Silence (short Version) (ダンロップ VEURO CM曲)

all music composed, arranged, produced and performed by JOE HISAISHI

recording engineers : SUMINOBU HAMADA, HIROYUKI AKITA, TOSHIYUKI TAKAHASHI (wonder station inc.), TORU OKITSU
recording studio : WONDER STATION
mastering engineer : SHIGEKI FUJINO (universal music)