Info. 2023/01/06,13 [TV] 金曜ロードショー 2週連続スタジオジブリ『ハウルの動く城』『思い出のマーニー』放送

Posted on 2022/12/16

宮﨑駿監督最新作公開イヤー 2023年も2週連続スタジオジブリでスタート!【1.6】『ハウルの動く城』【1.13】『思い出のマーニー』

先日、待望の宮﨑駿監督最新作『君たちはどう生きるか』が来年夏に公開されることが発表されました。そんな2023年のスタートは、2週連続スタジオジブリ作品でお楽しみください! “Info. 2023/01/06,13 [TV] 金曜ロードショー 2週連続スタジオジブリ『ハウルの動く城』『思い出のマーニー』放送” の続きを読む

Info. 2022/12/08-16 「ザ・キングズ・シンガーズ 2022 日本ツアー」(国内7都市)久石譲 委嘱作品 世界初演 【12/11 update!!】

Posted on 2022/08/27

イギリスを代表するアカペラ・グループ「キングズ・シンガーズ」のクリスマス・コンサートにて久石譲・委嘱作品「I was there」が世界初演される予定です。日本ツアー公演で国内7都市で開催予定となっています。 “Info. 2022/12/08-16 「ザ・キングズ・シンガーズ 2022 日本ツアー」(国内7都市)久石譲 委嘱作品 世界初演 【12/11 update!!】” の続きを読む

Disc. 久石譲 『I was there』

2022年12月10日 世界初演

 

2022年12月8~16日開催「ザ・キングズ・シンガーズ 2022 日本ツアー」にて世界初演。東京・広島・大阪・長野など7都市をめぐる10日の東京公演、久石譲も会場へ駆けつけ客席鑑賞するなか披露された。

 

ザ・キングズ・シンガーズ 2022 日本ツアー
The King’s Singers  Japan Tour 2022

[出演]
ザ・キングズ・シンガーズ
パトリック・ダナキー(カウンターテナー)
ティモシー・ウェイン=ライト(カウンターテナー)
ジュリアン・グレゴリー(テナー)
クリストファー・ブリュートン(バリトン)
クリストファー・ガビタス(バリトン)
ジョナサン・ハワード(バス)

[スケジュール]
12/8 仙台・電気ホール
12/10 東京・サントリーホール
12/11 岩手・キャラホール
12/13 神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホール
12/14 広島・JMSアステールプラザホール 大ホール
12/15 大阪・ザ・シンフォニーホール
12/16 長野・ホクト文化ホール 中ホール

 

 

~平和~
久石譲:I was there(委嘱作品/世界初演)
Joe hisaishi: I was there (World Premiere on this tour)

”I was there”はThe King’s Singersの委嘱によって作曲した。”I Want to Talk to You”(2020年作曲)に続く英詞作品の第2弾である。当初から”I was there”というコンセプトは決めていた。そして2001年の9.11ニューヨークの世界貿易センターへのテロ、2011年の3.11東日本大震災、2020~22年のCOVID-19の犠牲者による証言、現場で命を失った人たちの手紙などを元に人々が最後に何を考えたか、何を願ったかを音楽で表現しようと考えた。しかし、かなりの長さが必要なこと、重いテーマであること、The King’s Singersの爽やかなコーラスには合わないことを考慮してタイトルだけ残し、音の構成に重点を置いて、約8分半の楽曲として作曲した。

繰り返される”I was there”という言葉とメロディーはミニマル的なズレを生じさせながら、徐々に変容していき、日本語の言葉も登場する。作詞はMAIで”I was there”と関連用語だけにした。ただ言葉としては使われていないが、言外に僕の最初に考えたことは行間から滲み出ていると思う。

The King’s Singersの6名の音域表(各自微妙に違う)を見ながら作曲をしていくうちに、如何にこの6声であることが有効かわかってきた。つまり通常コーラスは4声部で描くことが多いが、6声だと3声ずつ2グループにできること、カウンターテナーの低域での音量などの問題が出た時の補強、ハーモニーの時の微妙なバランスを取る時などの他、各パートが自由に動ける、または休めるなど多くの利点があった。

だが最大の強みは彼らが単に歌うだけのグループではなく、信頼し合い響き合うFamilyのような絆と人としての知性なのではないか、と僕は思った。

12月に初演される予定だが、その時2022年がどういう年であったか、そして新しい年はどういう年になるのか?彼らの歌を聞きながら思いを馳せたい。

久石譲

(ザ・キングズ・シンガーズ 2022 日本ツアープログラムブック より)

 

 

Q.
久石譲さんに委嘱をされたということですが、作曲を依頼された経緯を教えてください。

A.
私たちメンバーは皆子供の頃、久石譲さんの音楽(スタジオジブリのアニメや映画)を聴いて育ちました。この音楽は世界中で愛され、今尚、無数の人々をインスパイアしています。私たちも人々と同じく久石さんの音楽を知っていたのです。2017年、創設50周年記念でニコ・ミューリー(1981-)に委嘱を依頼し、ケンブリッジ大学キングズ・カレッジのチャペルで委嘱作品を初演しましたが、それはとても素晴らしかったです。ニコが初演のために渡英した際、久石さん、およびチームと娘の麻衣さんを紹介してくれたのです。その後チームと麻衣さんとはお友達として時々会う中で、お互いの音楽や技巧などについて相互に敬意を持っていきました。その後私たちは『Finding Harmony』というプロジェクトを立ち上げました。人間が何世紀にも渡り、音楽を通して苦しい時も嬉しい時も分かち合える、癒しのパワーがあるというものです。このようなテーマの楽曲をどんな作曲家に書いてもらうかを考えた時、私たちは久石さんを思い浮かべました。久石さんの音楽は人々を繋げる力と共に、幸せな気持ちになるだけでなく癒しの力もあるからです。2020年の来日はコロナ禍でキャンセルされましたが、久石さんは委嘱を快諾して下さり、晴れて今年の12月の日本公演で世界初演できることになりました。とてもご多忙なスケジュールの合間に時間を見つけて作曲してくださったのです。さらに久石さんがはじめてアカペラ・グループ用に作曲することになった曲でもあります。作品のタイトルは「I was there」。ニューヨークで起きた9.11同時テロ事件の犠牲者、3.11東日本大震災の犠牲者、コロナ禍の犠牲者達が、最後の瞬間に何を考え、何を望んだのかということを犠牲者によるメッセージや手紙などから感じて音楽で表現しています。この作品はミニマリズム*(注釈)なスタイルで書かれていますが、久石さんは近年このスタイルを作曲に取り入れていらっしゃいます。私たちもレコーディングを行った際にこのスタイルがとても気に入り、また多くを勉強させていただきました。久石さんのカラーがふんだんに取り入れられたこの新曲がまさに私たちのために書かれた曲だと強く感じました。私たちは、歌うほどにこの作品に引き込まれ、新たなスタイルに大変魅了されています。今回久石さんやスタッフさんと新たなコラボレーションが実現することを私たちは心待ちにしていました。本日初めてこの曲を歌うにあたり、久石さんへの正義感と尊敬の意を示すことができれば嬉しく思います。ここが始まりの地となり、今後たくさんこの曲を歌うことができる事を願っています。

(ジュリアン・グレゴリー)

注釈)*完成度の追求のために必要最小限まで省略する表現スタイル(または様式)。日本国内では、「シンプル・イズ・ベスト」という格言も生まれた。(Wikipediaより一部引用)

(ザ・キングズ・シンガーズ 2022 日本ツアープログラムブック より抜粋)

 

 

ザ・キングズ・シンガーズ
The King’s Singers

1968年、ケンブリッジ大学のキングズ・カレッジの学生6人によって結成。その比類ない音楽性と機知に富んだステージ・パフォーマンスで、デビュー後瞬く間にイギリス音楽界でトップ・アーティストに昇りつめる。国際的にも人気を博し、デビューして50年近く経った今に至ってもアメリカ、アジア、オーストラリア、南米各国など世界中でコンサートを行って毎年100万人以上の観客を動員し、世界最高のヴォーカル・アンサンブルとして評価を不動のものとしている。

レパートリーは通算で2000曲以上にも上り、そのジャンルも中世のマドリガルからルネッサンス、古典歌曲から現代、そして世界の民謡やジャズ・ポップスなど幅広い。また、これまでにベリオ、リゲティ、ペンデレツキ、武満徹、ウィテカーなど各時代を代表する現代作曲家が200を超える作品を捧げてきた。

教育・育成活動にも力を入れており、レジデント・アンサンブルを務めるロンドン大学で夏のマスタークラスを定期的に行っているほか、ザ・キングズ・シンガーズ財団の助成により新進作曲家を対象とした聖歌の作曲コンクールを開催し、入賞者にケンブリッジ大学のキングズ・カレッジ・チャペルにて発表の機会を提供するなど若手音楽家への支援を行っている。

録音も数多く、中でも2009年にシグナム・クラシックよりリリースされたアルバムで、また2012年にはユニバーサル=デッカによるウィテカー作品「ライト・アンド・ゴールド」のCDでグラミー賞を2度受賞した。また、今でも世界各国でチケットが続々完売し公演が激賞され続けていることが評価され、英国の権威グラモフォン誌の殿堂入りアーティストに選ばれている。

今回は2019年の特別公演以来の3年ぶりの来日。

(コンサートフライヤー/日本ツアープログラムブック より)

 

 

レビュー

約8分半の作品。アカペラ6声部のための楽曲。久石譲による楽曲解説(「」)をもとにレビューする。「”I Want to Talk to You”(2020年作曲)に続く英詞作品の第2弾である」、とても雰囲気の近い作品といえる。同じ作曲手法による連作とみれるほどと感じた。

「繰り返される”I was there”という言葉とメロディーはミニマル的なズレを生じさせながら、徐々に変容していき、日本語の言葉も登場する。作詞はMAIで”I was there”と関連用語だけにした。」とある。”I was there”を基本とする短い歌詞とその言葉を乗せる基本モチーフがミニマルに折り重なっていく。主旋律や生まれるハーモニーは厳かでまるでグレゴリオ聖歌のような神聖さを感じる。”I was there, I will be there, I should be there”などと関連用語に変容していく。”私はそこにいた”(そのままの歌詞引用ではない/ツアーブックふくめ歌詞未収載)といった日本語に置き換えた関連用語も登場する。さらに、6声部の効果を発揮して英詞と日本詞が同時に交錯するところがある。演出や響きの妙としてとても魅力的に惹きこまれた。

「かなりの長さが必要なこと、重いテーマであること、The King’s Singersの爽やかなコーラスには合わないことを考慮してタイトルだけ残し、音の構成に重点を置いて、約8分半の楽曲として作曲した。」とある。この作品は、ポップスや歌曲のような構成(Aメロ,Bメロ,サビ)をとっていない。第1主題・第2主題・展開部・再現部というように、いくつかのモチーフや展開が絡み合う構成をとっている。ノンビブラートによる歌唱は、雲間から薄く射しこめる光の層のようにまっすぐに伸びる。それがまた感情移入をこばむ俯瞰さをもち、一歩引いた、あるいは上から眺めているのかもしれない。I Want to Talk to You作品の弦楽オーケストラ版もノンビブラート奏法であり、クラシックの手法と現代的アプローチは一貫している。

「つまり通常コーラスは4声部で描くことが多いが、6声だと3声ずつ2グループにできること、カウンターテナーの低域での音量などの問題が出た時の補強、ハーモニーの時の微妙なバランスを取る時などの他~」とある。音楽3要素のメロディ・ハーモニー・リズムを充実して構成できる編成といえる。カウンターテナー×2+テノール+バリトン×2+バス。旋律やミニマルから生まれるリズムとは別に”トゥー、ルッ、ルッ、ルッ”といったリズム的役割をもったパートがふんだんに盛り込まれている。ここからみても、I Want to Talk to You作品が弦楽四重奏ではなく弦楽オーケストラ版および合唱版として存在していることとつながりが見えてくる。I was there作品もまた弦楽オーケストラ版にリコンポーズすることは可能であろうし元より構想にあるのかもしれない。さらには、将来誕生するかもしれない交響作品の一楽章として組み込む可能性をも秘めていると感じる。それほどまでに骨格の強い、今の久石譲のアプローチが如実に反映されている。

もう一度戻る。「かなりの長さが必要なこと、重いテーマであること、The King’s Singersの爽やかなコーラスには合わないことを考慮してタイトルだけ残し、音の構成に重点を置いて、約8分半の楽曲として作曲した。」とある。タイトルと音の構造だけにフォーカスして約8分半の楽曲にまとめた、とも受け取ることができる。かなりの長さをもった重いテーマの作品はまた別に誕生するのかもしれない。そのとき同じテーマに息づくI was there作品が一部分となるのか、あるいは全く新しい長大作品となるのか、とも受け取ることができる。

久石譲楽曲解説からの振り返りはここまで。公演はすべて日本語MCで行われた。初めと終わりの挨拶程度ではない、3曲おきのMCは全メンバー交代でipad原稿を見ながら流暢に聞き取りやすいローマ字日本語の発音、その姿勢にただただ感動する。久石譲楽曲については、上記ツアープログラム内容と重複するが、「苦難を表現、その向こう側にたどり着く人間の強さ」という紹介があった。これは、久石譲とザ・キングズ・シンガーズどちらの発言に由来するかは不明だが、お互いやりとりするなかで出てきた言葉であろうことは想像できる。曲を受け取る助けになる。

ザ・キングズ・シンガーズのファンがつめかけた日本ツアーにおいて、各公演のSNS評判もよく、長く歌われてほしいという声もあった。アーティストのファンからも好評だったということは、グループの魅力を発揮できている曲という証であるし、楽曲そのものに新鮮や美しさの佇まいがあったということ、とてもうれしい。これから世界中で歌われること、これから久石譲作品として発展していくこと、つよく期待している。この作品はいろいろなかたちで触れる機会が訪れるかもしれない、つよく楽しみにしている。

 

 

日本ツアーの詳細、久石譲とのリハーサル風景動画、久石譲とのバックステージ写真などはこちらにまとめている。

 

 

2023.03.27 追記

放送内容も記した。

 

 

2023.09.22 追記

ギングズ・シンガーズのアルバム『ワンダーランド』にセッション録音で音源化された。

 

 

 

Disc. 久石譲 『Shaking Anxiety and Dreamy Globe for Two Violoncellos』 *Unreleased

2022年12月9日 初演

 

2022年12月9日開催「現代室内楽の夕べ 四人組とその仲間たちコンサート2022」にて初演。第28回を迎えるコンサート・シリーズのゲスト作曲家として久石譲出演、当日はステージトークも行われた。またコンサートの模様はYouTubeにてLIVE無料配信され、過去シリーズふくめアーカイブ視聴も提供されている。

 

 

プログラムノート

◆久石譲:《揺れ動く不安と夢の球体》 2台チェロのための
“Shaking Anxiety and Dreamy Globe” for Two Violoncellos

原曲は2012年、Hakujuギターフェスタ委嘱作品として作曲した。ギターの開放弦を使ったリズミックな楽曲に仕上がり、2014年には僕が企画する現代の音楽シリーズ Music Future Vol.1 においてマリンバ2台のためにRe-Composeした。

そして2022年知り合いの西村朗氏よりこの由緒ある会への作曲の機会をいただき2台のチェロの曲を書こうと張り切っていたのだが、パンデミックのために延期されてきた海外のコンサートが再開し、チェコ・フランスツアー、北アメリカツアー、ニューヨークのRadio City Music Hall(6000人×5日間)などを行なっていくうちにコロナに感染。かなりの作曲依頼を抱えていたが全てに遅延が生じて作曲が間に合わなくなった。この会への参加も断念せざるを得ないと考えたが、特にヨーロッパで人気の若手グループ”2 Cellos”の演奏を聞いて本楽曲を再びRe-Composeするアイデアが浮かんだ。しかし時間がなかったこと、新たなアイデアがいることなど考慮し、最も信頼する作曲家長生淳氏に編曲を依頼した。チェロの開放弦を利用することなど打合せした上で彼に全て任せた。

そして仕上がった楽曲は別の楽曲に生まれ変わり、躍動感あふれるミニマルの反復と複雑な変拍子を用いた原曲の構成はさらに立体的に、そして人間的になったと僕は考えている。

曲名は、アメリカの詩人ラッセル・エドソン (1935-2014) が生命の宿る瞬間を表現した一節による。

[久石]

(曲目解説PDF「オンラインプログラム日本語」より 抜粋)

 

 

初演:2022年12月9日 東京文化会館
演奏:古川展生(チェロ)、富岡廉太郎(チェロ)

 

本公演についての詳細、動画配信、特別対談などについて

 

 

About 久石譲:揺れ動く不安と夢の球体

Shaking Anxiety and Dreamy Globe
[2台ギター版] *
初演:2012年8月19日 Hakujuホール
演奏:荘村清志、福田進一
[2台マリンバ版]
2014年9月29日 よみうり大手町ホール
演奏:神谷百子、和田光世

 

 

 

Info. 2022/12/08 英キングズ・シンガーズ 3年ぶり来日公演、久石譲提供の楽曲初披露(産経ニュースより)

Posted on 2022/12/08

英キングズ・シンガーズ 3年ぶり来日公演、久石譲提供の楽曲初披露

英国のアカペラグループ、ザ・キングズ・シンガーズが12月8日、3年ぶりの日本ツアーをスタートさせた。宮崎駿監督の長編アニメーション映画音楽を手掛け、世界でも人気が高い作曲家・久石譲氏の委嘱作品が今回、初めて披露される。16日までのツアーで、東京、大阪、広島、長野など7都市をめぐる。 “Info. 2022/12/08 英キングズ・シンガーズ 3年ぶり来日公演、久石譲提供の楽曲初披露(産経ニュースより)” の続きを読む

Info. 2022/12/02 特別対談企画【久石譲×西村朗】第3回:21世紀の音楽と作曲家の思惑(全音楽譜出版社)動画公開

Posted on 2022/12/02

2022年12月9日開催「第28回 四人組とその仲間たち」コンサートです。今回のゲスト作曲家として久石譲出演予定です。その連動企画として貴重な作曲家対談が実現しています。そのラスト第3回です。ぜひご覧ください。 “Info. 2022/12/02 特別対談企画【久石譲×西村朗】第3回:21世紀の音楽と作曲家の思惑(全音楽譜出版社)動画公開” の続きを読む

Info. 2023/03/30 「CINEMA:SOUND JOE HISAISHI IN CONCERT」久石譲コンサート(ウィーン)開催決定!!

Posted on 2022/12/02

2023年3月30日、久石譲コンサートがオーストリア・ウィーンで開催されます。共演はウィーン交響楽団です。

当初この公演日は、アレクサンドル・デスプラによる映画音楽コンサートが予定されていました。予期せぬスケジュールの都合により2024年3月1日に延期されることになりました。そこへ登場したのが久石譲コンサート、新しいニュースで合わせて発表されました。 “Info. 2023/03/30 「CINEMA:SOUND JOE HISAISHI IN CONCERT」久石譲コンサート(ウィーン)開催決定!!” の続きを読む

Overtone.第85回 モチーフ「Honor of Kings」

Posted on 2022/11/27

ふらいすとーんです。

Overtone モチーフです。

きれいに考えをまとめること、きれいに書き上げることをゴールとしていない、メモのような雑文です。お題=モチーフとして出発点です。これから先モチーフが展開したり充実した響きとなって開けてくる日がくるといいのですが。

 

モチーフ「Honor of Kings」

2022年6月久石譲が新曲を提供したゲーム「王者栄耀 / Honor of Kings」です。主人公をテーマにした曲「The Road to Glory」を書き下ろしています。ニュース・インタビュー・楽曲・Music Videoなどについてはインフォメーションしています。

 

 

久石さんの話じゃないんです、ごめんなさい。この時に別のテーマ曲も発表されました。ほかの作曲家による書き下ろし曲です。同じタイミングでキャッチすることになったので一緒によく聴いていました。とても好きなテイストでぐっとくる、すっと入ってくる。なかなか紹介できる音源がなかったんですけどこれならいいかな。レコーディング風景MVみたいになっています。

「星垂平野」
「桑木為引」
「满山风起」
作曲・編曲:古川毅

Sang Qi – Theme Music 桑启 主题音乐 桑木为引/星垂平野 | 王者荣耀 Honor of Kings Original Game Soundtrack (約7分半)

from TiMi Audio Lab YouTube

 

3曲はひとつのモチーフからのバージョン違いです。うち2曲が紹介されています。1曲目「桑木為引」イントロから「タララ、ラーラー」のくり返しです。ずっと、ずっと、ずっと。静かに入ってくるコーラスパート(00:30-)も、膨らんでくるストリングスパートも(00:50-)。素材の一品盛りというかこれしか使ってない。どうしてなぜか惹き込まれる。

2小節たらずのモチーフは、言ったイントロも00:30-も00:50-も小節の頭から鳴っています。1拍目にメロディが始まる。それがどっこい間奏を挟んだ01:40-から位置がずれています。「タララ」が前の小節に引っかかって助走して「ラーラー」からが小節の頭になっています。この効果は絶大ですね。メロディの音符も「タララ」と駆け上がってきて「ラーラー」が一番高い音だから、山を描くように1拍目にピークを迎えて。(言葉にするとわかりにくいことも聴いたらわかりやすいと思います)…ホルンの高鳴るオブリガードもきれいです。

 

さて進んで。

2曲目「星垂平野」も同じモチーフからできています(03:40-)。メロディのずれについては1曲目と同じような展開をしていきます。調性も違うけど、1曲目とはコードワークが違うので、メロディに添えられているハーモニーががらっと変わっています。平たく言うと、1曲目のほうが強い2曲目のほうが優しい雰囲気に聴こえます。クロテイル(アンティークシンバル)も映っていましたね(04:50前後)。久石譲『THE EAST LAND SYMPHONY』2.Airにも登場するキラキラした音です。

メロディの位置がずれるだけで、それを支えるハーモニーの変化も誘導する。和声がずれることで雰囲気も変化する。曲想からの第一印象はとてもアジアな雰囲気かなと思います。選びぬかれた素材を使って料理するやり方はハリウッド音楽もそうです。ひとつのテーマ、ひとつのモチーフで、フルコース作ってみせる。この曲も聴けば聴くほどハリウッドサウンドというか、アジアを越えてファンタジーな広がりをもっています。とても職人技の光る一曲です。

 

 

さて変わって。

紐解いてみると、このゲーム音楽すごい布陣です。ハンス・ジマー&ロアン・バルフェが数曲参加していたり。そう『トップガン マーヴェリック』のコンビです。あとは映画音楽常連のハワード・ショアとか。すごいパワーです。すごいマネーです。こちらは日本でもデジタルリリースされていてサブスクもあります。

 

Honor of Kings Collector’s Edition (2020)

 

 

さて変わって。

2022年10月最新はアレクサンドル・デスプラさんです。久石譲とも親交のある作曲家です。映画『ハリー・ポッターと死の秘宝』の音楽担当もしています。そこで麻衣さんも歌っています。2曲書き下ろしていて、それをフルサイズつなげたレコーディング風景MVみたいになっています。

「千色云中 Alsahraa」
「瀚海图兰 Karaturam」
Music by Alexandre Desplat

Alexandre Desplat | 2022 Concept Theme Music Alsahraa & Karaturam|Honor of Kings Original Soundtrack (約7分)

from TiMi Audio Lab YouTube

 

1曲目もすごくいい、こっちがメインたぶん、だけど飛ばします。2曲目「瀚海图兰 Karaturam」(03:00-)です。デスプラさんは、映画サントラもたくさん手がけていますが、その繊細な音の組み立てが特徴です。この曲なんてもう聴いてアンテナにビビッとこなかったら久石譲ファンじゃない、ん?なにかおかしい。

序奏は木笛や独奏チェロを絡ませながら悠々とした大陸的なメインメロディから(03:00-)。勇壮なリズミックになって、はいイチ・ニンマリ(04:10-)。厳しい表情から一転して明るく開ける転調に、はいニ・ニンマリ(04:50-)。さらに二段構えの躍動転調に、はいサン・ニンマリ(05:00-)。一貫して同じメインメロディを繰り返しながら魅力的な伴奏音型に、はいヨン・ニンマリ(05:30-)。力強い管楽器のメロディユニゾンに、絶妙な不協和音のスパイスに、はいゴ・ニンマリ(05:45-)。和太鼓もうまく使って鼓動に、はいロク・ニンマリ(06:05-)。悠々としたメロディにかたときもリズムを忘れないオーケストレーション、最後はジャン!と終わって、はいナナ・ニンマリ。きっとそうなります。

 

メイキング(インタビュー)

Alexandre Desplat | Behind the Scenes of Alsahraa & Karaturam | Honor of Kings Original Soundtrack (約5分)

 

 

王者荣耀 游戏原声 2022 千色云中赛年 概念主题音乐 Alexandre Desplat

※Unreleased in Japan (Only in China)

 

 

さて追加になった。

2022年11月開催イベント「2022共創之夜」にて「久石譲:光之奇旅 (The Road to Glory)」がオーケストラパフォーマンスされました。このゲーム音楽から3曲演奏されたうちの1曲目です。テンポ速いなあ、ライブらしくていい、そんな思って楽しんでいました。そして、その3曲目に演奏されているのは、デスプラさんの1曲目「千色云中 Alsahraa」です。ぜひ紹介したMV動画とLIVE動画どちらも楽しんでみてください。

 

 

 

 

 

いろいろ聴くとおもしろいですね。

そんなモチーフでした。

それではまた。

 

reverb.
久石さんのお仕事のおかげで出会えた曲たち♪

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪

 

Info. 2022/11/23 舞台版「となりのトトロ」がイギリスで大ブレイクしているワケ(PRESIDENT onlineより)

Posted on 2022/11/23

ハムレット超えの劇場新記録…舞台版「となりのトトロ」がイギリスで大ブレイクしているワケ

ジブリの世界観を守ったミュージカル化が大成功

青葉 やまと
フリーライター・翻訳者 “Info. 2022/11/23 舞台版「となりのトトロ」がイギリスで大ブレイクしているワケ(PRESIDENT onlineより)” の続きを読む

Disc. 久石譲 『久石譲 presents MUSIC FUTURE VI』

2022年11月23日 CD発売 OVCL-00795

 

久石譲主宰 Wonder Land Records × クラシックのEXTONレーベル
夢のコラボレーション第6弾!未来へ発信するシリーズ!

久石譲が“明日のために届けたい”音楽をナビゲートするコンサート・シリーズ「ミュージック・フューチャー」より、アルバム第6弾が登場。”現代の音楽”を堪能する極上のプログラムと銘打たれた2021年のコンサートのライヴ録音です。北欧エストニアの作曲家レポ・スメラとアルヴォ・ペルト、アメリカの作曲家ブライス・デスナーとニコ・ミューリー、そして久石譲の作品から、多種多様な「リズム」の楽しさを発見することができることでしょう。日本を代表する名手たちが揃った「ミュージック・フューチャー・バンド」が奏でる音楽も、高い技術とアンサンブルで見事に芸術の高みへと昇華していきます。EXTONレーベルが誇る最新技術により、非常に高い音楽性と臨場感あふれるサウンドも必聴です。「明日のための音楽」がここにあります。

ホームページ&WEBSHOP
www.octavia.co.jp

(CD帯より)

 

 

アルバムに寄せて 松平 敬

「継続は力なり」という言葉がある。常套句と言ってもよいほどによく知られたこの言葉をいきなり投げかけられても、「何を今さら」と感じる人がいるかもしれない。しかし、実際に何かを長年続けてきた人こそが、この言葉の本当の重みを実感を込めて感じることができるだろう。その中には当然、本ディスクの主人公、久石譲も含まれるはずだ。

さてこのディスクは、久石譲がプロデュースするコンサート・シリーズ「MUSIC FUTURE」の最新のライヴ録音を収めたもので、本盤が6作目のアルバムとなる。コンサートそのものは、初回の2014年から年1度のペースで行われており、(少しややこしくなるが)ここに収められたのは2021年10月の8回目のコンサートになる。

何らかのコンサート企画を継続していくことは本当に大変だが、それがこのコンサート・シリーズのコンセプトである「世界の最先端の”現代の音楽”を紹介する」内容となると、そのハードルはさらに高くなる。例えばあるコンサートで5曲演奏するとして、その5曲を選ぶために、その何倍もの候補曲を検討しなくてはならないことは容易に想像できるだろう。そして、このようなプロセスを毎年続けなくてはならないのだ。企画のマンネリ化を避けつつ良い作品を見つけ出すためには、常に世界中にアンテナを張り巡らせておかなくてはならない。これらのことから逆算すれば、プロデューサーである久石譲の本企画にかける熱意が並々ならぬことも理解できるだろう。特に今回のコンサートは、コロナ禍の只中に行われ、それまで予想できなかった更なる制約がコンサート運営を困難にしたはずであるが、そうした状況にもかかわらずコンサート会場へ駆け付けた多くのファンに熱気に影響されてか、演奏そのものも、いつも以上に熱のこもったものとなっている。

今回のディスクで特徴的なのは、アルヴォ・ペルト、レポ・スメラというエストニア出身の二人の作曲家が取り上げられていることだ。MUSIC FUTUREではこれまで、ミニマル・ミュージックを切り口として数多くの作品が紹介されてきたが、そのプログラムの多くを占めるのは、ミニマル・ミュージックの開祖というべきライヒ、グラスなど、アメリカ人作曲家による作品である。そこから遠く離れた北欧のエストニアは、ミニマル・ミュージックと一見イメージが結びつきにくい。しかし、作品を実際に聴けばそのつながりは明らかである。特に、日本ではほとんど無名と言ってもよいスメラのピアノ曲『1981』における、さりげなく入り組んだリズム構造をノスタルジックな響きと交錯させるアイデアが興味深い。

エストニアの2作品での静謐な音調に対し、残りの収録曲では、作品ごとに異なるリズムへのアプローチが面白い。

ニコ・ミューリー作品では、頻繁に休符が挟まれることで生まれるリズムの不規則性が、独特なグルーヴ感を生み出す。ブライス・デスナー作品では、アメリカの古い大衆音楽から発想されたリズムが、その土臭さを保ったままカラフルなオーケストレーションによって展開される。そして、このコンサートが初演となった久石譲の『2 Dances for Large Ensemble』は、そのタイトルからリズムへのこだわりが明らかだ。第1楽章は、いきなり前のめりなリズムから始まるが、それに輪をかけるような超高速パッセージが頻出するなど、演奏者には極めて高度な演奏能力と集中力が求められる。ほとんど演奏不可能にも思える複雑なスコアを圧倒的なテンションえ演奏してしまうMusic Future Bandの超絶技巧は、本ディスク最大の聴きどころである。ところで、このような作品が生まれた背景には、奏者に対する作曲家からの絶対的な信頼がある。そしてその信頼感を培ったのは、このコンサート・シリーズでの長年の共演経験である。これこそまさに「継続は力なり」であろう。

(まつだいら・たかし)

(CDライナーノーツより)

 

 

曲目解説

久石譲:2 Dances for Large Ensemble

「2 Dances for Large Ensemble」は2020年12月9日から東京近郊の仕事場で作曲をスタートした。11月の後半にMUSIC FUTURE Vol.7が行われ好評を得た後である。その時の作曲ノートには「2楽章形式で約22分、Rhythm Main」と書いている。ほとんどその通りに作品はできたのだが、大きく違う点がある。元々のアイデアは2管編成約60人を想定していた楽曲だった。

2020年12月はまだ新型コロナ禍の真っ只中にいた。舞台上の蜜を避けるためオーケストラの3管編成、約90人の楽曲はほとんど演奏できない状況にあった。つまり、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスはできるが、マーラー、ブルックナーなどの後期ロマン派や20世紀前半の作品、例えばプロコフィエフ、ショスタコーヴィチなどは全く演奏できない状況にあった。「現代の音楽」を演奏したいと考えている僕としては、懸命にその編成でできる楽曲を探したのだが、ほとんどない有様だった。そこで2管編成で演奏できる楽曲、このようなパンデミックの状況でも演奏できる楽曲を作ろうというのがそもそもの発想だった。

僕は日記のように毎日作った楽曲を、あるいは途中経過をコンピューターに保存しているので、楽曲の成立過程を簡単に見ることができる。2 Dancesは12月はら翌2021年1月の中旬までかなり集中して作っていたのだが、その後飛び飛びで行った形跡はあるが、だいぶ飛んで8月の中旬からまた集中して作曲している。これは交響曲第2番と第3番を締切の関係で先に作らなければならなかったことやコンサートなど他のことをするため一時中断したということである。ちなみに2020年から2021年にかけて2つの交響曲を書いたことは本当に嬉しいことであり、ある意味奇跡的なことでもある。少なくとも僕にとって。MUSIC FUTUREに向けて仕上げることは春先に決めていたように思われるが、そういう曖昧に考えたことなどは残念ながらコンピューター上には残らない。

「2 Dances for Large Ensemble」はダンスなどで使用するリズムを基本モチーフのようにして構成している。そのため一見聴きやすそうだが、かなり交錯したリズム構造になっているため演奏は難しい。これはMFB(Music Future Band)の名手たちへの信頼があって初めて書けることである。また使用モチーフを最小限にとどめることでリズムの変化に耳の感覚が集中するように配慮したつもりである。またMov.2では19小節のかなりメロディックなフレーズが全体を牽引するが、実はそこにリズムやハーモニーのエッセンスが全て含まれている。その意味では単一モチーフ音楽=Single Musicといえる。

最後に2 Dancesはダンスのリズムを使用した楽曲であるが、これで踊るのはとても難しいと思う。もし踊る人がいたら、僕は、絶対観てみたい。

久石譲

 

レポ・スメラ:1981 from “Two pieces from the year 1981”

「1981」は、エストニアの作曲家レポ・スメラ(1950-2000)の最も有名なピアノ曲「1981年から2つの小品」の第1曲で、「The Piece from the Year 1981」と題されることもあります。世界初演は、1981年3月15日にエストニアのタリンで、ケルスティ・スメラによって演奏されました。第2曲は「Pardon, Fryderyk!」。このピアノ曲はこれまで2千回以上、世界中で演奏されている作品であり、トム・ティクヴァ監督のドイツ映画『プリンセス・アンド・ウォリアー(原題:Der Krieger und die Kaiserin)』のサウンドトラックとして起用されたことでも知られています。

 

ブライス・デスナー:Murder Ballades

ああ、私の話を聞いてください、嘘は言いません。
ジョン・ルイスがどのようにして可哀想なオミー・ワイズを殺したか。

マーダー・バラッドとは、ヨーロッパの伝承をルーツにした、血なまぐさい殺人事件を歌で語る曲のスタイルです。この伝承はのちにアメリカに伝わり、独自のものとして発展しました。デスナーはこれらのバラッドの魅惑的な旋律、暴力的なストーリー、演奏スタイルからインスピレーションを得て、オリジナルの作品を作りました。「Omie Wise」、「Young Emily」、「Pretty Polly」は、古典的な曲からヒントを得た曲。一方、「Dark Holler」は、デスナー自身によるメロディで、クローハンマー・バンジョーをイメージしたサウンドで描かれています。「Brushy Folk」は、南北戦争時代のマーダー・バラッドやフィドルをもとにした曲。「Wave the Sea」「Tears for Sister Polly」は、アメリカ音楽が持つ奇妙な側面、そしてその奥深さから紡ぎ出されたオリジナル作品です。

ブライス・デスナー(1976-)は、作曲家、エレクトリック・ギタリスト、芸術監督として活躍し、作品にはバロック音楽や民俗音楽、後期ロマン主義やモダニズム、ミニマリズム、ブルースなどを取り入れています。今回の「Murder Ballads」は、アメリカの室内楽アンサンブルのエイト・ブラックバード(eight blackbard)とルナパークから委嘱を受け、2013年4月5日にオランダのアイントホーフェン音楽堂で初演されました。

brycedessner.com

 

アルヴォ・ペルト:Fratres for Violin and Piano

「Fratres」(ラテン語で「兄弟」の意)は1977年に作曲され、ティンティナブリ様式の音楽が認められてから膨大に生み出された作品の一つです。この曲は当初、さまざまな楽器で演奏可能な、決まった楽器編成のない3パート構成の音楽として作曲され、1977年にペルトの同志である古楽器グループ、ホルトゥス・ムジクスによって初演されました。

「Fratres」はまた、ソロ楽器のためのバリエーションを加えた曲としても編曲されています。その中で最初となるのが、ザルツブルク音楽祭の委嘱を受け、ヴァイオリンとピアノのために書かれたもので、1980年の同音楽祭において初演されました。(今回演奏されるのはこのバージョンです。)

構造的には、繰り返される打楽器のモチーフで区切られた変奏曲となっています(打楽器のない編成の場合は、ドラムのような音を模倣します)。曲全体を通し、異なるオクターブから始まって繰り返されるテーマが聞こえてきます。徐々に動く2つのメロディラインと、短三和音の音符上を動くティンティナブリの主声部による3つの声部をはっきりと認識することができます。また、全体を通し、響くような低いドローンを伴っています。高度な技術を要する独奏楽器のパートが、繰り返される3部構成のテーマに新たなレイヤーを加え、変化する要素と不変の要素によるコントラストが強調されます。アルヴォ・ペルトの曲は一見シンプルに聞こえますが、声部の動き、メロディやフレーズの長さ、拍子の変化など、厳格な数学的な法則によって支配されています。

Arvo Pärt Center

 

ニコ・ミューリー:Step Team

ステッピング(Stepping)は、声だけでなく全身を使う軍隊を模したダンスです。高度な振り付けと正確さが必要とされますが、表現の自由度が高く、そのため多くのエネルギーを要します。

この曲はシカゴ交響楽団のMusicNOWのために作曲したものですが、あまり繊細にせず、点描画的な手法を避け、9人の奏者が一つのチームとして機能することで単一のリズムを刻みます。シカゴ交響楽団がニューヨークに来るたび、金管楽器によるステーキハウスのような重厚なサウンドに感銘を受けていたので、この曲ではバス・トロンボーンをハーモニーや叙情的な素材のガイド役として起用しています。

曲のある時点で、リズミカルなユニゾンが崩れ始め、個々の奏者やグループがパルスに対して遅くなったり、速くなったりします。一方、バス・トロンボーンは、セクション間の変化を告げる統一的な役割を担っています。散漫なパルスに続き、金管セクションは他の楽器を整列させるよう導きます。そして、バス・トロンボーンとピアノのデュエットは他のプレーヤーによる装飾を伴いながら幕を閉じます。

Nico Muhly

 

※曲目解説は、2021年10月8日 MUSIC FUTURE Vol.8プログラムノートより転載

(CDライナーノーツより)

 

 

補足)収載にあたりコンサートパンフレットから一部の添削・修正がされています。文章的なもの。それもふまえてここではCDライナーノーツのほうを掲載しています。

 

 

ミュージック・フューチャー・バンド
Music Future Band

2014年、久石譲のかけ声によりスタートしたコンサート・シリーズ「MUSIC FUTURE」から誕生した室内オーケストラ。現代的なサウンドと高い技術を要するプログラミングにあわせ、日本を代表する精鋭メンバーで構成される。

”現代に書かれた優れた音楽を紹介する”という野心的なコンセプトのもと、久石譲(1950-)の世界初演作のみならず、ミニマル・クラシックやポストクラシカルといった最先端の作品や、日本では演奏機会の少ない作曲家を取り上げるなど、他に類を見ない斬新なプログラムを披露している。これまでに、シェーンベルク(1874-1951)、ヘンリク・グレツキ(1933-2010)、アルヴォ・ペルト(1935-)、スティーヴ・ライヒ(1936-)、フィリップ・グラス(1937-)、ジョン・アダムズ(1947-)、デヴィット・ラング(1957-)、マックス・リヒター(1966-)、ガブリエル・プロコフィエフ(1975-)、ブライス・デスナー(1976-)、ニコ・ミューリー(1981-)などの作品を取り上げ、日本初演作も多数含む。”新しい音楽”を常に体験させてくれる先鋭的な室内オーケストラである。

(CDライナーノーツより)

 

 

 

本盤は、シリーズで初めてコンサート・プログラムの全作品が収録されている。

 

 

「久石譲:2 Dances」のことは、ふたつのレポートでわりとたっぷり語っている。この作品は本盤収録のアンサンブル版とのちに初披露されたオーケストラ版とがある。どちらも初演時コンサートライブ配信が叶い、時間をおいてプログラムから抜き出したこの作品のコンサート映像が久石譲公式チャンネルより公開されている。その案内も下記にまとめている。

ライブ配信の映像および音質のクオリティはすこぶる高い。それだけで満足にたる。が、やはり音源として仕上げられた本盤の録音品質には敵わない。ライブらしい臨場感とパフォーマンスに、精緻を極めた音の配置、バランス、生き生きとした鋭い音像。心ゆくまで堪能したい。

 

 

 

 

久石譲
Joe Hisaishi (1950-)
2 Dances for Large Ensemble (2021) [世界初演]
1. 1 How do you dance?
2. 2 Step to heaven

レポ・スメラ
Lepo Sumera (1950-2000)
3. 1981 from “Two pieces from the year 1981” (1981)

ブライス・デスナー
Bryce Dessner (1976-)
Murder Ballades for Chamber Ensemble (2013) [日本初演]
4. 1 Omie Wise
5. 2 Young Emily
6. 3 Dark Holler
7. 4 Wave the Sea
8. 5 Brushy Fork
9. 6 Pretty Polly
10. 7 Tears for Sister Polly

アルヴォ・ペルト
Arvo Pärt (1935-)
11. Fratres for Violin and Piano (1977/1980)

ニコ・ミューリー
Nico Muhly
12. Step Team (2007) [日本初演]

久石譲(指揮)
ミュージック・フューチャー・バンド
西江辰郎(バンドマスター、ソロ・ヴァイオリン 11)
鈴木慎崇(ソロ・ピアノ 11)

2021年10月8日 東京・紀尾井ホールにてライヴ収録

 

JOE HISAISHI presents MUSIC FUTURE VI

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by Music Future Band
Live Recording at Kioi Hall, Tokyo, 8 Oct. 2021

Produced by Joe Hisaishi
Recording & Balance Engineer: Tomoyoshi Ezaki
Assistant Engineers: Takeshi Muramatsu, Masashi Minakawa
Mixed and Mastered at EXTON Studio, Tokyo

and more…