Posted on 2022/08/18
2022年7月23~29日開催「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022」コンサートより、久石譲「MKWAJU」が特別配信されました。ぜひご覧ください。 “Info. 2022/08/18 久石譲「MKWAJU」WDO2022より 特別配信” の続きを読む
Posted on 2022/08/18
2022年7月23~29日開催「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022」コンサートより、久石譲「MKWAJU」が特別配信されました。ぜひご覧ください。 “Info. 2022/08/18 久石譲「MKWAJU」WDO2022より 特別配信” の続きを読む
Posted on 2022/08/18
2022年7月14日開催「久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICS Vol.5」コンサートより、久石譲の新曲「2 Dances for Orchestra」が特別配信されました。ぜひご覧ください。 “Info. 2022/08/18 久石譲「2 Dances for Orchestra」FOC Vol.5より 特別配信” の続きを読む
Posted on 2022/08/18
2022年8月13~18日開催「Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki/スタジオジブリ宮崎駿監督作品演奏会」(ニューヨーク)です。合唱団MasterVoicesでコンサートに参加した人による記事です。
原文に忠実であるために、オリジナルテキストそのままをご紹介します。ウェブ翻訳などでお楽しみください。 “Info. 2022/08/18 久石譲 ジブリコンサート in NY 記事(Web The Workprint より)” の続きを読む
Posted on 2022/08/15
ふらいすとーんです。
怖いもの知らずに大胆に、大風呂敷を広げていくテーマのPart.3です。
今回題材にするのは『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集 1997-2011』(2010/2012)です。
村上春樹と久石譲 -共通序文-
現代を代表する、そして世界中にファンの多い、ひとりは小説家ひとりは作曲家。人気があるということ以外に、分野の異なるふたりに共通点はあるの? 村上春樹本を愛読し久石譲本(インタビュー記事含む)を愛読する生活をつづけるなか、ある時突然につながった線、一瞬にして結ばれてしまった線。もう僕のなかでは離すことができなくなってしまったふたつの糸。
結論です。村上春樹の長編小説と短編小説と翻訳本、それはそれぞれ、久石譲のオリジナル作品とエンターテインメント音楽とクラシック指揮に共通している。創作活動や作家性のフィールドとサイクル、とても巧みに循環させながら、螺旋上昇させながら、多くのものを取り込み巻き込み進化しつづけてきた人。
スタイルをもっている。スタイルとは、村上春樹でいえば文体、久石譲でいえば作風ということになるでしょうか。読めば聴けばそれとわかる強いオリジナリティをもっている。ここを磨いてきたものこそ《長編・短編・翻訳=オリジナル・エンタメ・指揮》というトライアングルです。三つを明確な立ち位置で発揮しながら、ときに前に後ろに膨らんだり縮んだり置き換えられたり、そして流入し混ざり合い、より一層の強い作品群をそ築き上げている。創作活動の自乗になっている。
そう思ったことをこれから進めていきます。
![]()
今回題材にするのは『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集 1997-2011』(2010/2012)です。
インタビューごとに、その時書き上げた本・翻訳した本などが話題の中心になっています。それだけにピンポイントに深い内容です。約20本近く収録されていますが、海外インタビューが半数以上を占めているのも特異です。日本ではあまり質問されないような角度(聞きにくいこと出てこない視点など)で飛び交っているのもおもしろいです。
いろいろなインタビューをわざわざまとめて一冊の本にする、多方面に拡散されたものを集める、親切だなと思います。そのニーズがたしかに存在する、すごいことだなと思います。2012年文庫化の際にインタビューが1本追加収録されているので、単行本とはタイトルの年表記が異なっています。
自分が読んだあとなら、要約するようにチョイスチョイスな文章抜き出しでもいいのですが、初めて見る人には文脈わかりにくいですよね。段落ごとにほぼ抜き出すかたちでいくつかご紹介します。そして、すぐあとに ⇒⇒ で僕のコメントをはさむ形にしています。

”それ以来僕の小説はどんどん分厚くなっていきました。そしてストラクチャーはどんどん複雑になっていった。新しい小説を書くたびに、僕は前の作品のストラクチャーを崩していきたいと思います。そして新しい枠を作り上げたいと。そして新しい小説を書くたびに、新しいテーマや、新しい制約や、新しいヴィジョンをそこに持ち込みたいと思います。僕はいつもストラクチャーに興味があるんです。ストラクチャーを変えたら、それにつれて僕は自分の文体を変えなくてはなりません。文体を変えたら、それにつれて登場人物のキャラクターをも変えなくてはなりません。同じことばかりいつまでもやっていたら、自分でも飽きてしまいます。僕は退屈したくないのです。”
~(中略)~
⇒⇒
ある創作家にとっては、自分のオリジナリティその一点を極めていくという道もあると思います。村上春樹さんのように、ある意味で自分の作家性をどんどん解体していくことで、より新しく多くのものを取り入れ強固なものにしていく。久石譲さんもまたこれと同じような道、そんな気もしています。たぶん、変化を希求しているし、変化することは自然なことなんです。
![]()
”翻訳って、手を入れれば入れるほどよくなるものだから、改訳できる機会があるというのは、翻訳者にとってはありがたいことなんです。単行本と文庫と全集とで、少しずつ訳が変わっているものもあります。三十代のときに訳したものは、僕もけっこう若いし、今読み返してみると、訳文にも不思議な若々しさみたいなものがある。カーヴァーの全体像がまだよく見えていないので、ちょっとニュアンスが違っているところもあって、それはそれで面白いんだけど、全集というかたちになると、やはり統一感みたいなものは必要になってきますよね。これからもまた機会があれば少しずつヴァージョンアップしていきたいと思います。”
~(中略)~
⇒⇒
これを読みながら、多くの指揮者が年齢を重ねるごと同じ作品に向き合いなおしていること、少し理解が深まりました。たとえばカラヤンも40代の頃と70代の頃の指揮とではずいぶん違います。あるいは、指揮者がベートーヴェン交響曲の中からひとつを扱っていた頃と、全集としてまとめあげるようになった頃とでは、経験と解釈も変わっていてしかり。そんなことも思いました。作曲家の作品を順番に追っていくことで見えてくることもあるのかな、とか。
訳が若い、指揮が若い、ピアノ演奏が若い。たしかにそういうふうに感じることってあります。不思議です。そこへ年齢を重ねた新テイクも並んで、溌溂と円熟を比べることができることの幸せってたしかにあります。
![]()
”僕はそれは非常にありがたいことだと思うんですよ、実際の話。そんなふうに同じ本を二度三度くり返し読んでくれる人って、今の世の中にそんなにいないですからね。情報が溢れかえったこんな忙しい時代に。作者としてはただもう感謝するしかない。しかし、僕がこんなこと言うのはなんだけど、何度読み返したところで、わからないところ、説明のつかないところって必ず残ると思うんです。物語というのはもともとがそういうもの、というか、僕の考える物語というのはそういうものだから。だって何もかもが筋が通って、説明がつくのなら、そんなのわざわざ物語にする必要なんてないんです。ステートメントとして書いておけばいい。物語というかたちをとってしか語ることのできないものを語るための、代替のきかないヴィークルなんです。極端な言い方をすれば、ブラックボックスのパラフレーズにすぎないんです。
僕はだからこそ、できるだけ読みやすい文章で小説を書きたいと思うんです。そしてできることなら時間を置いて読み返してほしい。それだけの耐久性のあるタフな文章を僕は書きたいと思っています。
このあいだブライアン・ウィルソンが日本に来て、『スマイル』ツアーをやって、聴きに行ったんだけど、僕はライブで、『スマイル』というアルバムが目の前で、頭から順番通りに実際に演奏されるのを見て、それで初めて「そうか、うーん、『スマイル』というのはこういう音楽世界だったんだ!」と理解できたところがあったんです。はたと膝を打つところがあった。一九六六年くらいに基本的に作られたアルバムで、これまでにいろんなかたちでずいぶん繰り返し聴いてきたんだけど、でも全体像が僕なりに正確に理解できるまでに、結局四十年くらいかかってるわけです。そういうのってすごいことですよね。『ペット・サウンズ』にもそういうところがありますよね。これも理解できるまでにずいぶん歳月がかかりました。僕は『ペット・サウンズ』とか『スマイル』の中の曲の多くも、出てきたときにリアルタイムで聴いているわけだけど、それから四十年近く、実人生をかけて少しずつ理解できていたという実感があります。そういう意味合いでは、ブライアン・ウィルソンという人の提出する「物語性」の強烈さというか、「文体」の強靭さ、その奥行きの深さに、同じ表現者として感じるところはあります。”
~(中略)~
⇒⇒
ちょっと長い引用になってしまいました。とても気に入っているところです。”物語というかたちをとってしか語ることのできないものを語るための~”。ということは、同じく「音楽というかたちをとってしか語ることのできないものを語るための~」になりますね。たしかに。
もうひとつ、アルバムを理解できるまでに40年近くかかったという実体験のお話。これ、好きなアーティストあるあるエピソードだと思います。久石譲アルバムもそう。今になって初めて気づくことってたくさんあります。
![]()
”そうですね。音楽はいろんな意味で僕を助けてくれます。二十代のときにはジャズの店を経営していて、来る日も来る日も朝から晩までジャズを聴いていました。音楽は僕の身体の隅々まで染み込んでいたと言っていいかもしれません。そして今もそこに留まっています。二十九歳のときに小説を書こうと思ったとき、僕には小説の書き方がわかりませんでした。それまで日本の小説をあまり読んだことはなかったし、だからどうやって日本語で小説を書けばいいのか、見当もつきません。でもあるとき、こう思ったんです。良い音楽を演奏するのと同じように、小説を書けばそれでいいんじゃないかと。良き音楽が必要とするのは、良きリズムと、良きハーモニーと、良きメロディー・ラインです。文章だって同じことです。そこになくてはならないのは、リズムとハーモニーとメロディーだ。いったんそう考えると、あとは楽になりました。そして『風の歌を聴け』という作品を書き上げました。楽器を演奏するのと同じような感じで書いたんです。僕の文章にもし優れた点があるとすれば、それはリズムの良さと、ユーモアの感覚じゃないかな。それは今に至るまで、僕の文章について基本的に変わらないことだという気がします。”
~(中略)~
⇒⇒
小説の書き方が音楽にあるっておもしろいですね。さらっと読むと、よくわかるとも思うんですけれど。じゃあ説明してと言われたら実はすごく難しい。たぶん、とても深いことなんです。
![]()
”人称による書き分けというのはとても大事なので(少なくとも僕にとっては大事なことなので)、短編小説でいろいろと試してみます。そして長編小説で何をすればいいのか、どんなことができるのか、と考えます。いわば実験台のようなものです。ヴォイスのあり方や、視点の動きを、あれこれと実地に試験してみます。喩えは物騒だけど、軍隊が局地戦で兵隊の性能や、戦略の有効性を実地に試してみるのと同じように。僕の場合は、短編小説でまず何かを試し、中編小説でそれをさらに進展させ、最後に万全のかたちで長編小説に持ち込みます。はっきり言ってしまえば、長編小説が僕にとっての主戦場なのです。だから短編小説を書くときには、そのたびにテーマを決めて、いろんな新しいことをやってみます。短編小説で失敗しても傷は小さいけれど、長編小説で失敗すると命取りになります。”
~(中略)~
⇒⇒
よく語られる内容で、同旨Part.1にもあります。
ちょっと見方を変えて。ということは、短編小説での実験はある種むき出しでもある。万全に扱えるようになった長編小説のときには、きれいに整えられ巧みに隠さたりもしている。習得極め操れるようになる前の短編小説には、ありありと刻まれたさまや勢いのようなものがあるのかもしれない。
久石譲のMFコンサートで意欲的に発表される中規模の新作しかり、自らのシステムで進化させる単旋律(Single Track Music)手法しかり。小さな曲や小さな編成から試されながら、手応えと磨きあげをもって交響作品にまでなっています。逆方向から見ると、シンプルなSingle Track Music手法は中規模作品でありありとむき出しに刻まれている、に等しいです。うん、すごくよくわかる。
![]()
”僕は二十九歳になるまでまとまった文章を書いたことがありませんでした。ただ音楽を聴いて、本を読んでいました。自分で何かを書きたいとは思っていませんでした。でも二十九歳になって突然に、何かを書きたくなったのです。書き方なんて分かりませんでした。どうやって小説を書けばいいのか分からなかったのです。それで考えたのが、音楽を演奏するみたいに書けるのではないか、ということでした。僕はピアノを弾きましたから。僕に必要だったのは、リズムとハーモニーと即興性(インプロヴィゼーション)でした。即興性ということから僕は多くを学んだと思います。ちょうどメロディーを即興で演奏するように、僕は物語を書きます。僕はジャズが大好きですが、ジャズというのは即興の音楽です。僕にとっては、書くことも即興の一種です。自分が自由でなくてはなりませんから。だから、もしあなたが僕の本を読みながらそこに音楽を聴きとってくれるとしたら、僕はとてもうれしいです。多くの人から音楽について、僕の作品のテーマであるとか作品の意味を表しているとか言われますが、僕はテーマにせよ意味にせよ、何かの目的を持って音楽のことを書いているわけではありません。テーマや意味はそんなに重要な問題ではありません。僕にとって大切なのは、僕の物語を通じてあなたが音楽を聴きとってくれることなのです。
そうです。音楽がなくてはいけません! もしその文章にリズムがあれば、人はそれを読み続けるでしょう。でももしリズムがなければ、そうはいかないでしょう。二、三ページ読んだところで飽きてしまいますよ。リズムというのはすごく大切なのです。”
~(中略)~
⇒⇒
よく語られる内容で同旨あります。
![]()
少し追加します。
テーマからは横道になりますけれど、とても印象に残っているページです。
”バッハとモーツァルトとベートーヴェンを持ったあとで、我々がそれ以上音楽を作曲する意味があったのか? 彼らの時代以降、彼らの創り出した音楽を超えた音楽があっただろうか? それは大いなる疑問であり、ある意味では正当な疑問です。そこにはいろんな解答があることでしょう。
ただ、僕に言えるのは、音楽を作曲したり、物語を書いたりするのは、人間に与えられた素晴らしい権利であり、また同時に大いなる責務であるということです。過去に何があろうと、未来に何があろうと、現在を生きる人間として、書き残さなくてはならないものがあります。また書くという行為を通して、世界に同時的に訴えていかなくてはならないこともあります。それは「意味があるからやる」とか、「意味がないからやらない」という種類のことではありません。選択の余地なく、何があろうと、人がやむにやまれずやってしまうことなのです。
二十世紀の末から、二十一世紀の初めにかけて、僕が一連の小説を書いたことにどのような意味があったのか、それは後世の人が判断することです。時間の経過を待つしかありません。ただ僕としては、意味があるにせよないにせよ、「書かないわけにはいかなかったんだ」ということなのです。”
~(中略)~
⇒⇒
正座して読みたい。かぶせるコメントもない。
「クラシックで音楽は完成してるからそれしか聴かない」「ロックはあの時代がピークだからそれだけ聴いておけばいい」なんて人もいるようで。今の時代を生きているのに、ほんともったいない。
”小説に関しても、他のことに関してもそうだけど、「誤解の総体が本当の理解なんだ」と僕は考えるようになりました。『海辺のカフカ』に関して読者からたくさんメールをもらって実感したことは、そこにはずいぶんいろんな種類の誤解やら曲解やらがあるし、やたらほめてくれるものもあれば理不尽にけなすものもあるんだけど、そういうものが数としてたくさん集まると、全体像としてはものすごく正当な理解になるんだな、ということでした。そこには、ちょっと大げさにいえば、感動的なものがありました。だから逆にいえば、僕らは個々の誤解をむしろ積極的に求めるべきなのかもしれない。そう考えると、いろんなことがずいぶんラクになるんですね。他人に正しく理解してもらおうと思わなければ、人間ラクになります。誰かに誤解されるたびに、見当違いな評が出るたびに、「そうだ。これでいいんだ。ものごとは総合的な理解へと一歩ずつ近づいているんだ」と思えばいいんです。逆にいえば、小説家というのは、あるいは小説というのは、そんなに簡単に正確にぴっと外から理解されてしまっては、むしろ困るんじゃないかと。そんなことになったら、僕らはもうメシを食っていけなくなるんじゃないかと。”
~(中略)~
⇒⇒
一つの正解を求めるのとは別ものです。ここで語られているのは、答え合わせじゃなくて理解を深めるということ。たった一つの意見が一般論になってしまう危険性を対にみたときに、相当数の意見があってこそ総合的に複合的に立体的にその解はつくられていく。たとえ誤解が含まれていたとしても、意見の数が多いということはとても大切なことなんです。
多くの人に愛されているスタジオジブリ作品。見た人の数だけ受けとめ方があって、それが飛び交ってぶつかって磨かれて。だから、今多くの人たちが共有して理解を深めることができている。そういう感じのことだと思います。だからね…音楽だって語らなければ理解は深まらない、いかに言葉にすることが難しい芸術だからといって…諦めてはいけない。
(以上、”村上春樹文章”は『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集 1997-2011』より 引用)
![]()

今回とりあげた『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集 1997-2011』。村上春樹さんの作家としての姿勢や人となりを見てとれる内容です。本書あとがきには、”作家はあまり自作について語るべきではないと思っている” と書かれています。でもやっぱりファンとしてはいろいろ知ってより深く楽しみたい。
”あるいはまたその物語が生まれた事情や経緯に、多くの読者は興味を抱かれるかもしれない。執筆に関わるちょっとしたエピソードを披露して、それなりに楽しんでいただけるかもしれない。しかるべき時期に、そのような付随的なことがら、あるいは周辺事情を著者が気軽に語ることも、作家と読者との関係の中で、ある程度必要であるかもしれない、とも思う。それも僕がインタビュー依頼に応じる理由のひとつだ。”
あとがきにはこうもありました。さすがよくわかってらっしゃる!長いキャリアのなかファンをつかんできた秘訣はここにもありそうです。
-共通むすび-
”いい音というのはいい文章と同じで、人によっていい音は全然違うし、いい文章も違う。自分にとって何がいい音か見つけるのが一番大事で…それが結構難しいんですよね。人生観と同じで”
(「SWITCH 2019年12月号 Vol.37」村上春樹インタビュー より)
”積極的に常に新しい音楽を聴き続けるという努力をしていかないと、耳は確実に衰えます”
(『村上さんのところ/村上春樹』より)
それではまた。
reverb.
ある目的をもって再読すると読むごと新しい発見がありますね。

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number]
このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪
Posted on 2021/11/03
2022年1月6日、久石譲コンサートがフィンランドのヘルシンキで開催されます。共演はヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団です。 “Info. 2023/01/06,07 「LOPPIAISKONSERTTI – HISAISHI」久石譲コンサート(ヘルシンキ)開催決定!! 【振替 8/12 Update!!】” の続きを読む
Posted on 2022/08/12
アメリカで最も有名な新聞ニューヨーク・タイムズに久石譲が取り上げられました。ウェブ版・新聞の両方に掲載されました。ちょうど世界ツアーでニューヨーク公演を5day敢行している期間にあたります。
原文に忠実であるために、オリジナルテキストそのままをご紹介します。ウェブ翻訳などでお楽しみください。
The Composer Who Turns Hayao Miyazaki’s Humane Touch Into Music
Joe Hisaishi’s scores have helped make Studio Ghibli films indelible. But in concert, the works stand on their own. That’s because “it’s about emotion,” he says.

“Watching a film is a whole different thing from hearing the music in concert, which gives the audience a different experience,” Joe Hisaishi said. (photo:Dai Niwa)
Aug. 12, 2022, 10:00 a.m. ET
Alfred Hitchcock and Bernard Herrmann, Sergio Leone and Ennio Morricone, Steven Spielberg and John Williams: Some of the greatest filmmakers have cultivated enduring, mutually enriching relationships with musicians. The decades-long partnership between the Japanese animation master Hayao Miyazaki and the composer, pianist and conductor Joe Hisaishi certainly belongs in this hall of fame.
Hisaishi first worked with Miyazaki on the eco-minded science-fiction feature “Nausicaa of the Valley of the Wind,” released in 1984. He has scored every Miyazaki feature since then, composing wonderfully evocative soundtracks for such favorites as the family fable “My Neighbor Totoro” (1988); the tale of young-girl independence “Kiki’s Delivery Service” (1989); the period epic “Princess Mononoke” (1997); and the Academy Award-winning “Spirited Away” (2002), a gem about a headstrong little girl that was the runner-up on The New York Times’s list of the 25 best films of the 21st century so far.
This week, longtime fans and newcomers alike will be able to hear excerpts from those scores and more, when Hisaishi, 71, leads the American Symphony Orchestra in “Music From the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki,” a series of concerts at Radio City Music Hall starting Saturday. (The performers will also include the MasterVoices choir and the Brooklyn Youth Chorus, as well as the singers Amanda Achen and Mai Fujisawa, who is Hisaishi’s daughter.)
While excerpts from the movies will be projected on a giant screen, Hisaishi’s concerts stand on their own and are not meant to be simply compilations of classic scenes backed by a live ensemble.
“Watching a film is a whole different thing from hearing the music in concert, which gives the audience a different experience,” the composer said through an interpreter in a recent video conversation.

Though Hisaishi’s concerts include clips from films like “My Neighbor Totoro,” they go well beyond compilations of classic scenes. (photo:Laurent Koffel/Gamma-Rapho, via Getty Images)
Indeed, Hisaishi built the set list as if he were putting together a single large composition, citing Mahler symphonies as a source of inspiration. “For example, the first movement is ‘Nausicaa,’ the second movement is ‘Kiki,’ the third is ‘Princess Mononoke,’ and so on,” he said.
Hisaishi (who was born Mamoru Fujisawa but goes by a stage name) is also known to make slight tweaks for concerts. “The images are screened so that you relive the emotions you had watching the film,” Marco Bellano, who teaches the history of animation at the University of Padua, Italy, said in a video chat. “But at the same time when Hisaishi plays these compositions in concert, they are not exactly in the same shape, the same arrangements they have in the films. There is a piece from ‘Porco Rosso’ called ‘Madness’ that is identical in the soundtrack and one of the concert versions, but many other pieces are completely different. It’s really remarkable how he really cares about offering a new experience.”
Rest assured that the changes are not drastic and that the concerts preserve the Hisaishi touch. Taken out of “My Neighbor Totoro,” “The Path of the Wind” (which brings to mind another great Japanese musician, Ryuichi Sakamoto) retains its tender melancholy, while “Bygone Days,” from “Porco Rosso” (1992), is still just as wistful live, halfway between jazz and French chanson.
For James Williams, the managing director of the Royal Philharmonic Orchestra in London, Hisaishi’s contributions are a perfect match for Miyazaki’s universe. “When you see those films, there’s a certain humanity about the story lines, and that’s absolutely reflected in Joe’s music,” said Williams, whose orchestra recently recorded an album of Hisaishi’s compositions. “It connects with people, regardless of their culture, and that’s really powerful. What Joe has done is somehow retain that integrity of Japanese culture, brought in that Western tonal system and found a way for the two to retain their identities in perfect harmony.”
A distinctive appeal of Miyazaki’s films is that they trust viewers, no matter how young, to figure things out on their own. Partly, this means not using music to reinforce character traits or telegraph expected responses from a viewer. Fortunately, this suits Hisaishi. “The music does not need to match every character,” he said. “Rather, it’s about emotion, something the character might be feeling. And at the very deepest of a movie, the music doesn’t need to tell anything related to the character or even the feelings,” he continued. “There’s already something that the audience might be feeling just watching the film.”
“Castle in the Sky,” released in Japan in 1986, neatly illustrates the way the Miyazaki-Hisaishi approach — which also involves knowing when not to score a scene — is different from that commonly found in American animation. In 1999, Hisaishi not only reworked his existing score for that film’s American release, by Disney, but he vastly expanded it, adding music in scenes that previously did not have any.

For the American release of “Castle in the Sky,” Hisaishi reworked and expanded the score used in the Japanese version. (photo:Studio Ghibli)
Hisaishi also refrains from recycling catchy musical phrases over and over within the same movie. “From ‘Howl’s Moving Castle’ on, you find more this idea of leitmotif, but it’s different from the Hollywood style, where the leitmotif appears very clearly and is very easy to remember,” Bellano said. “With Miyazaki and Hisaishi, that melody appears when it’s needed and is not repeated many times.”
Hisaishi does write stand-alone pieces, including symphonies, and has worked with other feature-film directors — most famously Takeshi Kitano, for whom he scored such 1990s high-water marks as “Sonatine,” “Fireworks” and “Kids Return.”
“I started my career as a minimal composer,” Hisaishi said, “and I use more my melodic side in Miyazaki movies and my minimalist side in Kitano movies — they are closer to what originally drew me to music, style-wise.”
Still, it is his work with Miyazaki that has placed him solidly on the international music map.
Over the decades, the two men developed an intricate working method involving a lot of back and forth. Early in the production process, Miyazaki would give Hisaishi an idea of the story, some sketches, sometimes just a few words. Based on those meager elements, the musician would come up with a so-called image album (which would receive a commercial release down the line). “For ‘Princess Mononoke,’ an early word Miyazaki-san mentioned was tension, as in an arrow’s tension,” Hisaishi said, using the Japanese honorific. He added that this inspired him to write a piece that “eventually became the title theme.” Once the film was ready, Hisaishi would write the score, which could also be released in a symphonic suite version.
The composer has not slowed down. In fact, being home during the pandemic further spurred his creativity — and led to an epiphany of sorts that Hisaishi evoked in terms that felt Miyazakian.
“It took me seven years to write my first symphony, but in 2020 and 2021, I finished two,” he said, referring to “Dream Songs” and “Songs of Hope.” That experience “made me realize I have a mission as a composer. People watch this changing world and are so disappointed: Where is happiness? What is going on? Look at what’s going on in Ukraine,” he continued. “This is not something we expected to happen again in the 21st century. As a composer, I need to see the world as it is, but I also can’t be disappointed: We do need hope for the future.”
A version of this article appears in print on Aug. 13, 2022, Section C, Page 1 of the New York edition with the headline: Follow the Emotions For a Humane Touch
出典:The Composer Who Turns Hayao Miyazaki’s Humane Touch Into Music – The New York Times
https://www.nytimes.com/2022/08/12/movies/studio-ghibli-composer-joe-hisaishi.html

Posted on 2022/08/11
クラシック音楽誌「音楽の友 2022年8月号」(7月15日発売)に掲載された久石譲と宮田大の対談です。[連載] 宮田 大 Dai-alogue~音楽を語ろう コーナーの第3回ゲストとして久石譲が登場しました。
連載
宮田大 Dai-alogue~音楽を語ろう
Vol.3 ゲスト:久石譲
今回のゲストは作曲家・指揮者として世界的に活躍の久石譲さん。久石作品に大きな影響を受けてきたという宮田と、チェリスト宮田を高く評価する久石で、話しは大いに盛り上がった。それぞれが受けてきた音楽教育では共通点もあった。作曲家、演奏家それぞれの視点で、「作曲家、演奏家の音の個性とは?」などについて語る。
名演は作曲家と演奏家によって生み出される
二人の意外な共通点
宮田:
自分は久石さんの音楽が大好きなんです。たぶん最初に触れたのは、映画『天空の城ラピュタ』。1986年公開なので、自分と同い年なんです。学生時代には、監督もされた『Quartet カルテット』(2001年)を観て、その影響で仲間と弦楽四重奏を組みました。
クラシックの作品も聴いています。《DA・MA・SHI・絵》が大好きで、ずっと聴いているんですよ。だから今日はちょっとドキドキしています(笑)。
久石:
ほんとう!? それは嬉しい。娘の麻衣が宮田さんと親しくさせてもらっていて、宮田さんは現代音楽にも興味があると聞いたから、ああいうのを書いて、一緒に演奏したいと思っているんですよ。チェロは、いくつから始められたんですか。
宮田:
3歳からです。母がヴァイオリン、父がチェロの指導者だったので。
久石:
すごいですね。うちは親が化学の先生だから、音楽はまったく無縁でしたよ。地元が長野県だったので4歳から鈴木鎮一ヴァイオリン教室やスズキメソードで学びましたが、小さいころは耳から音楽を学ぶことが多かったので、楽譜を読むのに苦労しました。
宮田:
スズキで習われたんですか。うちは両親がスズキの先生なので、やっぱりまず耳から。
久石:
まず耳からなので、覚えるのは早くなったんだけど、譜面を見て弾くっていうのは、なかなかうまくいかなかった。
宮田:
自分は、今でも譜読みするときは指番号をぜんぶ自分で書いて、暗号のようにその番号を見て、あとはピアノとかクレッシェンドとかを確認しながら弾くスタイルになっていますね。自分のスタイルができたので、初見は苦手でも楽譜に書いてあることを時間をかけてしっかりと理解でき、今では私にとって最高のスタイルです。
久石:
仲間だな。スズキ・メソードは、海外での評価が圧倒的に高いんですよね。
宮田:
大人数で演奏する楽しさは、そこで学びました。だから今でも、いろいろなかたとアンサンブルするのが楽しいんです。
自分ではわからない「自分の音」
久石:
自分はチェロの音色がとても好きなんですよ。オーケストレーションをしているときにも、決めどころでチェロを使ったりします。
宮田:
いいところでチェロが鳴るので、嬉しいです(笑)。
ところで、いつも本番前に聴く久石さんの曲があるんです。『紅の豚』の《ポルコ・ロッソ》。あれを毎回聴くんです。そうするとすごく視野が狭まってくるというか、あれこれ頭が働いていたのが落ちついてきて、今からお客さんにこんな演奏をしたいとか、そうしたエゴがなくなってきて、今音楽を楽しみたいという気持ちにしてくれる曲なんです。
久石:
なるほど。
宮田:
いろいろな作品を聴かせていただいて思うのですが、ぜんぶ、”久石さんの音楽”じゃないですか。私もよく、お客さんや先生がたから、「宮田さんの音は宮田さんの音だってとてもよくわかるね」と言っていただけて、すごく嬉しいんですけど、どういうものが自分の音なのかは、自分ではわからない。久石さんご自身ではどう感じていらっしゃいますか。
久石:
やっぱり自分ではわからないですよね。もちろん、自分の曲は聴いたらわかる。昼間作った曲は夜にはもう完全に忘れていますけれどね。作り続けるためには忘れるのがいちばん大事で、空っぽにしないといけないから。そういう意味では忘れちゃうんだけど、どこかで鳴っていたら、僕の曲だってわかります。
それから、僕の曲を誰かがアレンジしたものもわかるんだけど、下手だなと思うことがあります(笑)。僕をメロディ作家だと思っている人は、メロディがあれば成立すると考えがちですが、シンプルなメロディにするためには、ほんのちょっとしたコードの差、ちょっとしたリズムの差などでアクセントをつけているんです。だから、メロディだけを抽出してアレンジしても、うまくいかないんです。
宮田:
そこに秘訣があるわけですね。
演奏家が補うことで作品が活かされる
久石:
ただ、その一方で、技術的にいちばん初歩の段階で素朴に歌う田舎のおばあちゃんに勝てるかって言ったら、僕は絶対勝つとは言えないんだよね。そこに音楽の怖さがあって、自分の歌いかた、自分の音で勝負できるという強い自信を持たないと、本当には勝負できないよね。
宮田:
日本人が今のコンクールになかなか優勝できないのは、そういうところかもしれません。
久石:
コンクールまでは勝てるんじゃないの?
宮田:
以前は上手であれば評価されたんですが、最近のコンクールは、個性もすごく評価される流れになっているんです。チェロでも、上手なのは当たり前で、さらに個性がある人が強い。今はYouTubeのような動画共有サイトで往年の巨匠の演奏を見て、真似をすることはできる。技術があるから真似はできるんです。でも自分がない。借り物ではなくて、本当のあなたはどんな音楽をしたいのかということを、これからは問われますね。
久石:
作曲をする立場で言うとね、最後、楽譜に表情記号を書くときには、じつはもう頭がクタクタになっているんです。そこまでの段階で、モティーフの構成に心身ともに全力を尽くしちゃっているから、もう譜面を見たくない状態なんです。クレッシェンドがどこから始まるかなんて、どっちだっていいよと言いたいぐらい。
演奏家は、基本的に作曲家が書いたものを大事にする。それは正しい。大事なんだけど、同時に作曲家の側が限界を感じながら書いているところもあるんです。そうすると、演奏家に補ってもらわないとできない部分が相当あるわけです。それをわかってくれて、一緒に演奏してくれる、作品を活かしてくれる演奏家と出会うことが、作曲家はいちばん嬉しいんです。
クラシックの過去の名曲だって、演奏の視点を変えれば、まだまだできることはあるし、そうしなきゃいけない。同じことの繰り返しでは古典芸能になってしまうけれど、身のまわりのことや現代の世界のことなどを反映させることは十分可能だと思います。宮田さんとは新曲だけでなく、クラシックの曲でもぜひ共演してみたいですね。
宮田:
喜んで。ドヴォルジャークの「チェロ協奏曲」など、ご一緒したいです!
取材・文=山崎浩太郎 写真=ヒダキトモコ
Column 3
映画を観て、聴いて感じてきたこと
私の好きなことの一つが、映画を観る&聴くことです。観るという表現に聴くという表現をなぜ加えたかというと、映画に使われる音楽が大好きで、観ていると同時に音楽も楽しんでいるからです。映画は、クラシック音楽、ジャズ、タンゴ、などのいろいろなジャンルの音楽が使われたり、映画のために作曲された新作が使われたりと、音楽の時代とジャンルを超えて一つの作品の中で表現されます。垣根をつくらず、良いと思った音楽を取り入れている映画の世界は、私にたくさんの刺激を与えてくれました。
私はいつも演奏する際に、どの作品にも物語を感じ、喜怒哀楽の感情表現や、世界中の景色をイメージするようにしています。映画を観て聴くことにより、頭の中のイメージの図書館がたくさん増えていきます。
特に久石譲さんは、私にたくさんの感情を与えてくださったかたです。映画のなかの人物が「どう悲しいのか、どのように嬉しいのか、なぜそのような感情が生まれたのか」を久石さんの音楽から感じた経験は、私の音楽人生の大切なコアになる部分を形成しています。
これからの演奏会でも、クラシック音楽だけではなく、いろいろなジャンルの中に生き続けているすばらしい作品をたくさん取り上げていきたいと思います。
(文=宮田大)
(「音楽の友 2022年8月号」より)

from 久石譲本人公式インスタグラム
音楽の友 2022年8月号
特集
NIPPON・オーケストラ譚―過去から現在、そして未来へ
(奥田佳道/池田卓夫/佐渡 裕/片桐卓也/岡部真一郎/水谷川優子/山崎浩太郎/井形健児/西濱秀樹/桑原 浩/小倉多美子/セバスティアン・ヴァイグレ/山田治生/山本祐ノ介/三光 洋/下野竜也/堀江昭朗)
現在活動している日本のオーケストラは、第二次世界大戦後から高度経済成長期にかけて創設されたものがほとんどだ。2022年、そのオーケストラのいくつかが創立50周年等の記念年を迎えた。この機会に日本のオーケストラの創設期から現在までをたどり、今後の行くべき方向性を考えてみようと思う。
●[Interview]篠崎史紀(vn)が語る演奏への信念(ふかわりょう/堀江昭朗)/[対談]篠崎史紀×ふかわりょう(堀江昭朗)
●[新連載]小林愛実ストーリー(1)(小林愛実/高坂はる香)
●[Report]第22回別府アルゲリッチ音楽祭&マルタ・アルゲリッチ(p) 東京公演3夜(澤谷夏樹/渡辺 和/池田卓夫/山田治生)
●[Report]ウィーン・フィルのサマーナイトコンサート2022(中村伸子)
●[Report]シャルル・デュトワ&新日フィルが48年ぶりの共演(長谷川京介)
●[Report]室内楽の饗宴 サントリーホール「チェンバーミュージック・ガーデン 2022」(山田治生)
●[Report & Interview]アリス=紗良・オット ~「エコーズ・オブ・ライフ」公演で描きたかったストーリーとは?(池田卓夫/伊熊よし子)
●[連載]楽団長フロシャウアーかく語りき「ウィーン・フィル、わが永遠のオーケストラ」(17)(ダニエル・フロシャウアー/渋谷ゆう子)
●[連載]宮田 大 Dai-alogue~音楽を語ろう(3) ゲスト:久石譲(作曲・指揮)(山崎浩太郎)
●[連載]山田和樹「指揮者のココロ得」(3)(山田和樹)
●[連載]マリアージュなこの1本~お酒と音楽の美味しいおはなし(24)/口福レシピ― ゲストに捧げる(3)―〈ゲスト〉大西宇宙(Br)(伊熊よし子)
●[連載]ショパンの窓から(15) ―フェルディナンド・ヒラー(川口成彦)
●[連載]わが友ブラームス(8) ゲスト:森野美咲(S)(越懸澤麻衣)
●[連載]和音の本音(24)― ロマン派のゆくえ(清水和音/青澤隆明)
●[告知]読者招待イヴェント「明日の巨匠は誰だ!」観覧者募集
別冊付録:コンサート・ガイド&チケット・インフォメーション
ほか

2024.12.27 追記

Posted on 2022/08/04
7月23~29日開催「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022」です。今年は国内5都市5公演&国内海外ライブ配信です。予定どおりに開催できることが決して当たり前じゃない今の状況下、出演者も観客も会場に集まることができた。まだまだ足を運べなかった人もいます。昨年に引き続きの開催&ライブ配信に喜んだファンはいっぱいです。今年も熱い夏!
久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022
[公演期間] 
2022/07/23 – 2022/07/29
[公演回数]
5公演
7/23 東京・すみだトリフォニーホール 大ホール
7/25 広島・広島文化学園HBGホール
7/26 愛知・愛知県芸術劇場 コンサートホール
7/28 静岡・アクトシティ浜松 大ホール
7/29 大阪・フェスティバルホール
[編成]
指揮・ピアノ:久石 譲
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
バンドネオン:三浦一馬
ソロ・コンサートマスター:豊嶋泰嗣
[曲目]
久石譲:水の旅人
久石譲:FOR YOU
久石譲:My Lost City for Bandoneon and Chamber Orchestra
Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon
—-intermission—-
久石譲:MKWAJU
久石譲:DA・MA・SHI・絵
久石譲:交響組曲「紅の豚」
Symphonic Suite Porco Rosso
Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon
—-encore—-
One Summer’s Day (for Bandoneon and Piano)
World Dreams
[参考作品]
さて、個人的な感想はひとまず置いておいて、会場で配られたコンサート・パンフレットからご紹介します。
ご来場の皆さん、2022年のWORLD DREAM ORCHESTRA(WDO)に来ていただきありがたく思っています。
本日演奏する交響組曲「Porco Rosso」とバンドネオンとオーケストラのための「My Lost City」について少し解説します。
「Porco Rosso」は宮﨑駿監督の映画「紅の豚」に書いた音楽をもとに交響組曲として再結成し、「My Lost City」は僕のソロアルバムとして発表した作品をバンドネオンと小オーケストラの楽曲として新たに構成し直しました。バンドネオン奏者の三浦一馬さんは僕の作品「The Black Fireworks」というとてつもなく難しい楽曲を演奏してもらいましたが、今回はもっとバンドネオンにふさわしい楽曲なので彼も安心して演奏できるのではないかと思っています、、、たぶん。
両作品とも1929年から始まった世界大恐慌の時代を舞台にしていて、方や当時のアメリカの象徴的作家であり破滅的な人生を送ったスコット・フィッツジェラルド、方や豚の風態を変えてしまったポルコと一見無関係に思える二人がそれぞれの主人公です。それは人が人でいられた時代から、そうで無くなった時代に馴染めなかった、あるいは否定した男たちの話です。
両作品ともバブルの時代の1992年に発表されました。個人的な思いとしてはバブルに浮かれている人たちへの警鐘の意味もありました。
これは誰にも言っていないことですが、イメージアルバムの「Porco Rosso」と「My Lost City」を同時に宮﨑さんにお送りしたら、「逆にしてほしいな」と言っていたそうです。つまり「My Lost City」を「Porco Rosso」の映画に使いたいということでした。冗談なのか本気なのか当時は意味がわからなかったのですが、今は少しわかります。宮﨑さんが「Porco Rosso」の音楽に求めていたのはもっと大人の、しかもパーソナルな音楽だったのかもしれません。その片鱗が「Madness」です。「My Lost City」の中の曲としてレコーディングしたのですが宮﨑さんがどうしても使いたい、ということで映画でも使用しています。だから今回は両作品で演奏します。
こんな秘密書いてもいいのかな?誰にも言わないでください、、、、
そして2022年の今、まるで「風の谷のナウシカ」の腐海に住むように我々はマスクを着用し、21世紀に起こるとは誰もが想像すらしなかったロシアによるウクライナ戦争が勃発しています。しかも信じられないくらいアナログで!
「僕たちはどこに行くのか?」という問いが「My Lost City」のテーマであり「Porco Rosso」のように豚になることで世間と距離を置くことが一つの答えかもしれません。しかし「飛べない豚はただの豚だ!」という明快な言葉が全ての答えであり、「しっかり生きる」ことが僕たちに一番必要なことだと僕は思います。
もう1つ大事なことがあります。それは大林宣彦監督へのオマージュです。2020年春に他界された大林監督とは公私ともにお付き合いさせていただきました。冒頭の「水の旅人」「FOR YOU」それに「My Lost City」の中では映画「ふたり」「はるかノスタルジー」からそれぞれ「Two of Us」「Tango X.T.C.」を演奏します。これらの作品はどれも大林監督の人を慈しむ思いが込められている素晴らしい映画であり、僕にとっても重要な音楽作品です。今日演奏できることはとても幸せです。
2022年7月
久石譲
(「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022」コンサート・パンフレットより)
ここからはレビューになります。
今年のWDOもオール久石譲プログラム!スタジオジブリ作品交響組曲プロジェクト『紅の豚』、さらに時代をフラッシュバックするような珠玉の名曲たち。さて、今回は未知の新作が並ばなかったこともあって浮足立ったふわふわ感想もセーブできます。若い客層や新しいファンの集う場にもなっているWDOコンサートです。作品ごとにその経歴を振り返りながら少し落ちついて(ほんとに?!)ご紹介していきたいと思います。
水の旅人
映画『水の旅人 -侍KIDS-』(1993/大林宣彦)よりメインテーマ「Water Traveller」です。大きなメロディ、独特なハーモニーの流れ、咆哮する金管楽器、大きな水しぶきのようなシンバルやドラ。壮大な序曲のようにコンサートでも開幕を飾ることの多い曲です。ファンにとっては北極星のような曲のひとつだと思います。いろいろな音楽に触れて、いろいろな年月が流れて。でも、振り返ったらいつもそこに定点で輝いている曲。そうだったそうだったよね、久石譲の音楽の魅力ってこういうことだよね、って今の自分の居場所や方角から測ってくれるもの。
ファン投票にによって選ばれた楽曲を久石譲指揮・ロンドン交響楽団でレコーディングした『Melodyphony メロディフォニー ~Best of JOE HISAISHI〜』(2010)に収録されました。変わらぬ人気を現すように全世界リリースのベスト盤『Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi』(2020)に同音源が入っています。変わらぬなかに進化もあります。WDO2014以来のプログラムとなりましたが、本公演は1分弱ほどテンポが速くなっています。久石譲のテンポ処理やアクセントなどは、たしかに最新版となって輝きも磨かれています。
FOR YOU
映画『水の旅人 -侍KIDS-』(1993/大林宣彦)より主題歌です。「あなたになら…/中山美穂」として生まれたこの曲は英語版「I Believe In You」もあります。器楽版のタイトルは「FOR YOU」オーケストラ版のほかヴァイオリン&ピアノのデュオ版もあります。切なくて涙が溢れる久石メロディもあれば、この曲のように温かくて涙が溢れる久石メロディもあります。ピュアにハートウォーミングにまっすぐに。
宮﨑駿・北野武・大林宣彦監督作品より厳選された曲をロンドン・フィルと共演した『WORKS・I』(1997)に収録されました。全世界リリース第2弾となるベスト盤『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2』(2021)に同音源が入っています。久石譲の曲はチェロとホルンがいいところでいい感じに鳴るんだよ(誰の声?!)。そのとろけるようなスウィートな音たちに包まれる一曲です。2007年以来の登場にやられちゃいましたね。そんななかにも、中盤以降大きく金管楽器の出番が増えています。トランペットやトロンボーンあたり、Water Travellerとセットでみると厚みのバランスもとれているような気しますね。
大林宣彦×久石譲
久石譲が語ったこと、大林監督が語ったこと、一緒に作り上げた作品たち。それから、WDO2022プログラムを象徴しているようなもうひとつ、1990年代のテーマ”HOPE”について。いろいろなエピソードがここまでの時間をつくっています。よかったら見てください。

My Lost City for Bandoneon and Chamber Orchestra
1992年映画『紅の豚』と同年に発表された久石譲オリジナルアルバムです。長いキャリアのなかで、久石譲本人も代表作のひとつだと公言しているほどの完全結晶。それは、巷に定着しつつあった”久石メロディ”を大きく凌駕して”久石譲というジャンル”を大きく拡げてみせた時代の渾身作です。紅の豚×My Lost CityがWDO2022で並ぶ双璧!
本公演で披露されたのはバンドネオンと小オーケストラのための約23分の作品です。アルバム『My Lost City』(全11曲)の8曲からなる組曲のような構成になっています。
Prologue
映画のオープニングのようです。なにかを予感させるプロローグ。洗練のストリングスが秀逸すぎます。霧のたちこめるニューヨーク、マンハッタン。
漂流者~Drifting in the City
My Lost Cityのテーマともいえる旋律がバンドネオンによって奏でられた瞬間、ぎゅっと胸を締めつけられたファンはきっと多いと思います。もうコンサートで聴けることはないかもしれないとまで思いつめてしまっていたあのメロディがホールを観客を僕を震わせている。再会とか久しぶりなんて軽く簡単に言えないたくさんのものを含んだ想いが一気に溢れ出そうになります。
三浦一馬さんの演奏すばらしかったです。どの曲もメロディの歌わせ方が絶妙なんです。バンドネオン特有の音の立ち消え方ってあります。弦楽器はすーっと音が持続するしピアノはポンと音が減衰する。そのちょうど中間のいい塩梅みたいに、音の立ち上がり方も鋭かったりそっと入ったり、音の消え方もパッと勢いまま切ったりそっと消えいったり。だから、ああこんなにバンドネオンって合うんだってこの曲も魅せられてしまった。
原曲からは、前半と後半とテーマが1コーラスずつカットされています。中間部の「Solitude~in her‥」パートもカットされています。原曲にはないオーケストレーションの継承についてはまたあとに。
Jealousy
ジャズタンゴと昭和ロマンをブレンドさせたような不思議な魅力をもった曲です。それはそのまま、1920年代のアメリカと日本をクロスオーバーさせて音楽的にあぶり出してみせた、と思うとかなりかっこいい一曲です。翻弄される魅惑さとそこに漂う危うさ、溺れてしまうともう元には帰れない。
原曲からは、サクソフォンがクラリネットになっていたり、ピアノよりもビブラフォンに振れていたりと、フィーチャーされる楽器が変わったことで雰囲気も印象も新しい魅力です。とりわけ、バンドネオンとクラリネットの組み合わせはこの作品全体のポイントのひとつ。この曲でいうと、お互いにセッションするように掛け合ったりしています。音が重なるときの魅力も以降の曲で魅せてくれます。
Two of Us
映画『ふたり』(1991/大林宣彦)より。主題歌で監督とデュエットしている歌曲版はタイトル「草の想い」です。久石譲アルバムでもオーケストラ版やアンサンブル版などあります。バンドネオンと久石譲ピアノでたっぷりと歌い、つづいてコンサートマスターのヴァイオリンも加わる三重奏を基調としています。弦楽オーケストラがやさしくそっと寄り添っています。コンサートでは、バンドネオンとヴァイオリンのソロをエスコートするところまでが久石譲ピアノでした。
原曲からは、チェロがバンドネオンへ、中間部のピアノソロはカットされています。それから『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』(2001)に収録されたバージョンは、チェロ・ヴァイオリン・ピアノのトリオです。『Songs of Hope』に同音源が入っています。ソロ楽器とアンサンブルするピアノパートの雰囲気はこのときに生まれ変わっています。【HOPE】Piano&Strings版と本公演のピアノはそれを継承した近いものです。
Madness
My Lost City×紅の豚、両作品で演奏された曲です。ピアノがバンドネオンになっています。それだけのようにも見えますが、オーケストレーションは別モノです。こちらでは、バンドネオンと相性のよいオーボエやクラリネットで旋律を分け合い、金管楽器は厚くなるからなるべく抑えて、打楽器からはシロフォンやグロッケンで彩りを加えています。バンドネオンが負けてしまわないように。使われている楽曲パートも少し短くなっています。
原曲からは、と言いたいところですけれど、近年演奏されるMadnessはもうこのオリジナルからは大きく離れています。ベースとなっているのは「交響組曲 紅の豚」にも登場する、みんなそれが自然になっている大迫力Madnessです。そこからこの組曲用に厚みが直されています。狂気の進化論はまたあとに。
冬の夢
この曲をコンサートで聴ける日がくるなんて。
原曲からは、チェロ・ピアノ・ストリングスとさながらPiano&Strings版だったものが、チェロはバンドネオンへ、そして木管楽器・金管楽器も入って色彩豊かになっています。内声や対旋律の美しい『Symphonic Best Selection』のオーケストレーションをふまえたものが聴ける日がくるなんて。
だけど、だけどどうしても言いたい。この曲はシューベルトなんですチェロなんです。その雰囲気をもった曲だと思っています。だからチェロとストリングスをメインとした曲想のほうがよかった。組曲のすべてでメインにバンドネオンを据えること、休める曲があってもいいこと。Two of Usのチェロがバンドネオンに置き換わるのとは異にすると思うんだけどな、僕の偏愛です。
Tango X.T.C.
映画『はるか、ノスタルジィ』(1992/大林宣彦)よりメインテーマです。久石譲のタンゴはいたく官能的です。ジャジーに展開していく後半のバンドネオンのアドリブも快感です。そしてこのパートでクラリネットと同じ旋律をユニゾンで奏でています。まるでひとつの楽器のように音色が溶け合っていて、こんな味わいの音になるんだと舌鼓を打ってしまいます。
原曲からは、もともとバンドネオンをフィーチャーした曲、楽曲構成もフルサイズで披露されました。フルオーケストラ版は、ホーンセクションのダンシングな合いの手も華やかで、そちらは『Songs of Hope』にも入っています。ダイナミックです。さておき、本家本元バンドネオンでこの曲が聴けるコンサートは、かなりかなり久しぶりですし、この先もなかなか(x2)ないと思いますよ。
My Lost City
表題曲です。曲が大きく展開していく「漂流者~Drifting in the City」とは異なり、メインメロディを丁寧に紡いでいって、終結部は「Prologue」と対をなすエピローグのような曲想になっています。
原曲からは、ピアノで1コーラス、ヴァイオリンで1コーラスと2回テーマを奏したあとに終結部に入ります。コンサートではピアノで1コーラスにバンドネオンが絡みながら終結部へ(東京・配信)、ヴァイオリンで1コーラスにバンドネオンが絡みながら終結部へ(広島以降)と変わっています。個人的には、My Lost Cityのテーマはピアノで紡いでこそ、「漂流者~Drifting in the City」でバンドネオンが奏していたぶん「My Lost City」最後はピアノでこそ締めてほしかった、そう思っています。
この曲、”出だしの音型を決めるのに10日以上悩んだ”っていうエピソードがあるんです。出だしだけでです。だから、久石さんがピアノで弾く姿、久石譲ピアノでおもむろに紡ぎだされていく音こそ、この曲そのものだ、と僕は強く思っているのです。東京公演/ライブ配信のあの瞬間は、当時メロディが生まれる瞬間そのすべての時間がつまっていた、と僕は強く思っているのです。
もうひとつ。これまでアルバム『My Lost City』の代表曲は「漂流者~Drifting in the City」と思っていました。それは変わりないのですが、なぜ同じメロディの表題曲「My Lost City」があっさりしてるのかなとも思っていました。たまたまコンサート前に一曲ずつ文章にしていたときにハッとしました。
「Prologue」という一曲があるなら「Epilogue」という一曲があっていい。でもなぜか「My Lost City」という曲のなかにエピローグ的曲想が含まれている。表題曲なのに。シングルカットしてもアルバムのエンディングが入ってきちゃう感じ。…いや違う!! ひとつの時代の終焉、1920年代の終わり、バブル崩壊。そしてマイ・ロスト・シティ、いち時代に生活した場所やひとつの故郷を失うこと。「My Lost City」という一曲には、そんな終わりが象徴的に含まれていたんだ、だからエピローグ的曲想が内包されているんだ。という結論へ1992-2022、30年の時を経て今思う。遅かったですか、そうじゃないですか、まだわかっていませんか。
作品至上主義
アルバム『My Lost City』からどうしてこの曲が選ばれたのか、選ばれなかった曲との違いは。コンサート直前に《号外》で楽曲レビューしたなかにもヒントあるかもしれません。よかったら見てください。
「My Lost City for Bandoneon and Chamber Orchestra」は、「Two of Us」と「Jealousy」を除いて全て曲順とおりに構成されています。いかにコンセプトもストーリーも揺るぎないものがある、ということがわかってきます。コンサート・パフォーマンスだけなら、こっちのほうが盛り上がりやすいとか、観客が拍手のタイミングに迷わないとか、いろいろあるのかもしれません。でも、難しくてもそこにあるのは作品至上主義です。ライヴが求めるかたちではなく作品が求めるかたち。
小オーケストラ
コンサートを聴けばわかるんですけれど、バンドネオンをフィーチャーした時点で小オーケストラ(室内オーケストラ)だったんですね。弦8型です。通常オーケストラの編成の大きさだと12-14型になります。『Symphonic Best Sellection』のようなフルオーケストラにできなかった理由はここにあります。ラージオーケストラだと大きな音の時にバンドネオンが押され気味になってしまいます。「Madness」も厚みを回避することで対峙しています。
それでも「漂流者~Drifting in the City」の展開部のホルンの対旋律は『Symphonic Best Sellection』からもってきていますし、「冬の夢」の美しいホルンの対旋律なんかも同じです。『My Lost City』から『Symphonic Best Sellection』で拡大したものが、バンドネオンと小オーケストラのためにブラッシュアップされたものそれが本公演で聴けたものです。だから三つそれぞれに作品の味わいかたがあります。もしいつかの機会に音源化されるなら、ぜひとも現在入手しにくい2つのアルバムもあわせて復刻してほしい。そうしないと…ファンたちは…根無し草のように落ち着き場所を知らない漂流者のまま…。


ー休憩ー
……
休憩時間を使って。
久石譲×三浦一馬は、2017年開催「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.4」で共演しています。そのときに書き下ろされた新作が「室内交響曲 第2番《The Black Fireworks》」です。直前になって想定していなかったタンゴをモチーフにした終楽章も追加されるなど燃焼度の高い作品です。『久石譲 presents MUSIC FUTURE III』(2018)にライヴ音源収録されています。
そのタイミングで雑誌対談も実現し久石譲はこんなことをむすびに語っていました。
”今回は始まりです。だからやりたいんですよ。オケとやる。小さいオケでもいい。オケで演奏することになったら、そこでやんなきゃいけないのが、コンチェルトを作る。そうすると今の音は当然フィーチャーする楽器対オケになりますよね。ですから、そういう方法を取るなり、なんかでまた是非書きたいなと。”
「My Lost City for Bandoneon and Chamber Orchestra」は、ひとつのアイデアとして実ったバンドネオン・コンチェルトともいえますね。


休憩ベルが鳴る。
……
MKWAJU
ムクワジュアンサンブル版(1981)をオーケストラ版に再構成したもの(2009)が『Minima_Rhythm』(2009)に収録されました。全世界リリース第2弾となるベスト盤『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2』(2021)に同音源が入っています。タイトルは「MKWAJU 1981-2009」です。
本公演は、サクソフォンがバスクラリネットやホルンとほかの楽器に置き換わっています。一般のオーケストラ編成にサクソフォンはありません。広くどのオーケストラでも演奏できるように改訂されているんだと思います。また、盛り上がるクライマックスのコンゴやティンパニも強調されているように聴こえ、より大地的な印象をうけました。それじゃなくても日本では2010年ぶりの披露です。久石譲指揮の対向配置にかかるとこの曲も魅力が倍増していることがよく実感できました。楽器編成のこともあり(もしかしたら細かい修正もかかっているかもしれない)年数表記もなくなった「MKWAJU」はたしかに進化を遂げた曲になっています。
DA・MA・SHI・絵
近年コンサートでよく演奏される曲です。その魅力もよく語られている曲です。
交響組曲「紅の豚」
Symphonic Suite Porco Rosso
けっこう鼻を大きく膨らませてずっと待ち望んでいたファンは多い。けっこう鼻を大きく膨らませて当日を楽しみにしていたファンは多い。
構成楽曲はサウンドトラックからいうと「4. 帰らざる日々」「1 .時代の風 -人が人でいられた時-」「7. Flying boatmen」「10. Fio Seventeen」「6. セリビア行進曲(マーチ)」「8. Doom -雲の罠-」「15.アドリアの海へ」「12. Friend」後半「14. 狂気 -飛翔-」「4. 帰らざる日々」の順からなる約21分の作品です。少しピックアップします。
帰らざる日々
サウンドトラックでは「帰らざる日々」「セピア色の写真」「Porco e Bella」「失われた魂~LOST SPIRIT~」前半「Porco e Bella~Ending~」後半、イメージアルバムでは「真紅の翼」「マルコとジーナのテーマ」で聴ける『紅の豚』メインテーマです。武道館コンサート/世界ツアー版では「帰らざる日々/Bygone Days」となっているピアノソロからジャジーなアンサンブルに展開していく曲です。WDO2015で抜粋披露された「il Porco Rosso」はその前半部分ピアノ(+弦楽ver.)です。『The End of the World』(『Dream Songs』)に収録されています。交響組曲オープニングはそのピアノからイントロのみ奏されます。
時代の風 ~ Doom
「時代の風」チェロの弓で強く弦を叩く奏法がとても効果的でした。「Fio Seventeen」オーボエの奏でるメロディにハープやシロフォンをうまく重ねて、原曲マンドリンの雰囲気やトレモロ感を演出していました。つづく原曲ギターのアルペジオなんかも、ピアノや第2ヴァイオリン・ヴィオラのピッツィカートでうまく表現されていました。「セリビア行進曲」ピッコロやフルートの軽やかな装飾フレーズが加えられていてすぐに耳がいきます。
アドリアの海へ/Friend
映画ストーリーや使われたシーンに合わせて2曲をつないでいるというよりも、もともと同じテーマからなる曲、Friendのテーマとして再構成したものだと思います。
狂気 -飛翔-
Madnessです。久石譲アルバム『My Lost City』から監督の熱望で使用された一曲です。その嗅覚の鋭さとセンスに脱帽!もし久石譲があのシーンに新曲を書き下ろしていたらここまでの狂気はあったのか?!純度の高い化学反応で爆発しています。久石譲の作家性がジブリ作品に色濃く反映された転換点ともいえます。
『My Lost City』のピアノ&弦楽オーケストラにシンセサイザーも馴染ませていたものが原曲です。『WORKS・I』(1997)木管楽器は高鳴り金管楽器は炸裂し打楽器は跳ねるフルオーケストラへ。そこからスネアも加わり疾走感アップしたものが「久石譲 in 武道館」コンサート(2008)です。これを聴き親しんだ人も多いと思います。コンサートでも2011年まで一時代の定番曲でした。継承したものがWDO2015で披露され『The End of the World』(『Dream Songs』)に収録されています。今世界ツアー版で駆け巡っているのもこちらです。組曲の一部となったMadnessは短縮版になっています。
帰らざる日々(終曲)
もしも曲名をわけるならオープニングのほうは「Bygone Days」、こちら終曲は「il Porco Rosso」となるのでしょうかどうでしょうか。組曲オープニングでイントロのみ奏したピアノソロが再び導入からメロディへと流れていきます。WDO2019ではアンコールでピアノソロを抜粋披露していますし世界ツアー版でもおなじみのピアノパートです。ちょっと混乱しそうですが、ここで披露されたのはWDO2015版、『The End of the World』(『Dream Songs』)に収録されているピアノ+弦楽ver.を継承したものです。ここまでは曲序盤のお話。交響組曲版は、フリューゲルホルン・ソロやトランペット3奏者によるアドリブリレーをスタンディング演奏で聴かせてくれます。エレガントいっぱいに華やかさを極めたあとは久石譲ピアノによるエンディングになります。東京・広島公演を経て、名古屋公演からは序盤にフィンガースナップが追加されていたり、アウトロに美しく繊細なストリングスが添えられています。
『紅の豚』は根強いファンをもつ作品です。みんな大好き『となりのトトロ』などとは一種異なる、この作品を好きと言っている人は好きが強い、そんなイメージあります。それには到底及びませんがそれでもどうしてこの曲が入っていないの!?どうして順番が違うの!?と消化不良なところがありました。「遠き時代を求めて」「Porco e Bella~Ending~」「ピッコロの女たち」、メロディの際立つかつ映画シーンも印象的な曲が入っていない。もちろん、ここも好きな人によって候補曲が入れ替わってくると思います。
映画を見返しました。選曲や曲順の意図をつかみたくて。「セリビア行進曲」は2回流れていました。物語前半の軍隊パレードと物語終盤の決闘のはじまり。店主のセリフに「戦争で稼ぐ奴は悪党さ。賞金で稼げねぇ奴は能無しだ」というのが前半にあります。一方で戦争、一方で決闘。どちらもお祭り騒ぎにしていることへの嘲笑やシニカルさを含んでいるのかもしれません。その能天気さをさらに強調するような、組曲に書き加えられたピッコロやフルートの装飾フレーズ。そんなことを思い消化促進を図っているところです。
ツアー終了後にファン5人集まって座談会しました。もし叶うなら「Porco e Bella~Ending~」「遠き時代を求めて」この2曲を組曲に加えてほしいという強い要望になりました。たった5人の意見がどのくらい『紅の豚』ファンの賛同を得られるかは自信ありません。でも共感得られると直感は信じています。
ーアンコールー
One Summer’s Day (for Bandoneon and Piano)
アンコールにバンドネオンの再登場は大歓迎です。また違った夏の景色が見られた気分でした。チリチリした夏というか残暑感あるというか。ああ、こういうのも素敵だなと素直に思ってすっと沁みわたっていきます。タンゴのイメージの強いバンドネオンも、この曲にかかるとなんとも日本的な情感が生まれるものです。とても不思議でした。夏の終わり、虫の鳴き声、線香花火。移りゆく時間のグラデーションとピアノとバンドネオンの揺らぐ音色のグラデーション。とても素敵でした。
この曲は、世界ツアー版「One Summer’s Day」がベースになっています。麻衣ヴォーカル&久石譲ピアノによるもの。1番はピアノをメインにしてメロディを掛け合っています。歌詞のないヴォカリーズパートがバンドネオンです。2番はヴォーカルをメインに「いのちの名前」が日本語詞で歌われます。ここではバンドネオンがたっぷりと歌っています。
世界ツアー版では麻衣さんが参加しない公演のとき、1曲目の「One Summer’s Day」はおなじみ久石譲ピアノソロ版、開催地ヴォーカリストが2曲目の「Reprise ふたたび」のみを歌うこともあります。そういうこともあるのかないのか、歌曲版「いのちの名前」をつなげていますが曲名は「One Summer’s Day」で統一されているんだろうと思います。
それはそうと、こんなことができてしまってどうしますか!?これから先も多彩なソリストを迎えたコンサートがつづくと思います。チェロとのデュオ?!クラリネットもいける?!いろいろな可能性が輝きだしてしまいました。「Departures」はチェロと一途に、こちら「One Summer’s Day」はカラフルに、珠玉のデュオピースとなっていくかもしれませんね。すごいときめく。
World Dreams
WDOのテーマです。久石譲いわく「国歌のような格調あるメロディ」は、近年空を越えて海外オーケストラとも共演の歩みをはじめた一曲です。またコンサートに行けた、またコンサートで会えた、WDOコンサートには欠かせない一曲です。
原典『World Dreams』(『Songs of Hope』)、合唱版『The End of the World』、対向配置『Spirited Away Suite』、組曲版『Symphonic Suite “Kikiʼs Delivery Service”』、WDO2021版『Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021』と各アルバムに収録されています。
コンサートを聴いてとても引っかかって上の4つの音源を聴いていました。ラスト1分間弱の箇所を何回も何回も何回も聴きくらべていました(コワイ)。1コーラスをひとかたまりとするとその後半部分のところベルが入ってくる箇所です。トランペット、トロンボーン、ホルンなんかがメロディをハモりながら奏でているところです。会場や配信のどちらを聴いたときにも、今までよりも重いな、と直感で感じました。だから音源をグルグル聴きまわしていました。譜面変わった?いっしょ?このパートの重厚感は強調されているように感じています。
この曲は大きな改訂を経ることなく、いくつもの演奏が音源化されてきました。コロナ禍での開催となったWDO2021版が収録された『Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021』と、本公演WDO2022(ライブ配信音源)に共通している重みと聴こえました。大きな夢、明るい希望を描きながらも、今に照らし返したパフォーマンスになっている。踏ん張ったもの、重く強い願いのようなものが込められていると感じました。同じスコアを使いながら、今の世界を反映したアプローチで届けようとしている久石譲指揮。そう思うと年ごとに収録していることの意味が浮き立ってくるように思えてきます。僕の錯覚かどうかぜひいろいろ聴いてみてください。常に時代を映した鏡といえる曲です。時間の架け橋となってこれからも一緒に歩んでいく曲です。
今年のWDOコンサートも全公演SOLD OUT!全公演スタンディングオベーション!とてもとても熱い夏でした。新しいファンの生まれる場所にもなっていると感じています。会場の客層をみても感想の溢れるSNSをみても。「初めてのコンサート」はもちろん「曲名が知りたい」そんなキーワードもますます増えている。One Summer’s Dayのピアノイントロでどよめきが起こる。海外公演では象徴的だった光景がここ日本でも。はじめましてのファンが増えているたしかな証。
WDO2022コンサートの感動の余韻を日常生活へ持ちこもう。プログラムからもたくさん収録されているふたつのワールドベスト盤は入門編として太鼓判のおすすめです。久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋では、どのオリジナルアルバムに収録されていたのか、久石譲ファンの一口コメントで曲の魅力や思い出まで、たっぷりとご紹介しています。お気に入りの曲からどんどん巡って広がっていきますように。

「Water Traveller」「il porco rosso」「Madness」「One Summer’s Day」収録

「FOR YOU」「TWO OF US」「Tango X.T.C.」「MKWAJU 1981-2009」「DA・MA・SHI・絵」「il porco rosso」「World Dreams」収録
『紅の豚 サウンドトラック』もお忘れなく。
コンサート・パンフレットはWDO2021に引き続き販売はなく観客に配布されるものになっていました。各会場特設販売コーナーでは、ベストアルバムCDや最新スコアなどが並んでいました。新譜『Symphonic Suite “Princess Mononoke” 2021』(7月20日発売)もタイミングよくSNSで感想と一緒に写真をよく見かけました。販売コーナーは長い行列でしたもん。すごい。
WDOオリジナルTシャツのデザイナー丹羽マリアさん。SNSで見つけることができたので紹介させていただきます。


Theme
「集合した個体の”バランス”から産まれる
豊かなハーモニーに”無限の可能性”と世界の夢を乗せて」
from 丹羽マリア公式インスタグラム
https://www.instagram.com/artemaria061/
テーマにつづいて解説もあります。ぜひオリジナルテキストご覧ください。丹羽さんといえば、ピンときた人は鋭い、とても素敵なデザインです。久石譲ベートーヴェン交響曲全集の写真ほか丹羽大さん撮影です。とてもアーティスティックなご家族なんですね。
~お願い~
最終日の大阪公演の際、Tシャツ販売はありませんでした。ツアー中の状況をキャッチしていたファンはたくさんいます。確実にゲットしたいと早くから会場へ向かった人はいます。行ってみたらなかった。売切れてたことよりも事前にアナウンスがなかったことがとても残念です。そんな思いをした人が数十人、数百人といるかもしれない、これは小さいくすぶりではないと思います。せっかくのコンサートなのに心証が悪くなる。久石譲さんサイドも新日本フィルさんサイドも。そんなことは誰も望んでいないのに。どちらからでもいいので主催運営側として「本日の販売はありません」たったひとつのSNS発信してくれるだけでショックはだいぶん軽減できたかもしれません。せっかくのコンサート、小さいことではありますが、その小さいことの積み重ねでファンは楽しみをエネルギーにしています。関係者のみなさま、どうぞ今後の参考にしていただけたら幸いです。
みんなの”WDO2022”コンサート・レポート、ぜひお楽しみください。
&
JOE HISAISHI & WORLD DREAM ORCHESTRA 2022 東京公演 (コンサートレポート)
from Sho’s PROJECT OMOHASE BLOG 改 seconda
僕はショーさんのコンサート・レポートで育ってきたファンのひとり。そのくらいいつ読んでも楽しく心地よい安心感すらあります。会場の雰囲気からコンサートを追体験できるようなわかりやすいレポートのファンです。これからも書いていこう!と宣言してくれているので、これからも楽しみにしています。いろいろな人の感想が聞けるのって、自分が何人分もの楽しみ方をできたみたいでほんとうれしい。感動をどんどん吸収して感動がますます膨らんで。
2022.08.18 追記

(up to here, updated on 2022.08.18)
リハーサル風景/バックステージ


ほか
リハーサル風景動画もあります
from 久石譲本人公式インスタグラム
https://www.instagram.com/joehisaishi_composer/

ほか
from 新日本フィルハーモニー交響楽団公式ツイッター
https://twitter.com/newjapanphil

ほか
from 三浦一馬公式ツイッター
https://twitter.com/KazumaMiura_


ほか
from 三浦一馬公式インスタグラム
https://www.instagram.com/kazumamiuraofficial/
風物詩になっている。久石譲WDOコンサートにいけば体験できるスタンディングオベーションも再び!!次はこの光景のなかにいるかもしれない、次はこの光景をつくっているひとりかもしれない!
公演風景
【WORLD DREAM ORCHESTRA 2022】
ツアー初日東京公演、ありがとうございました!配信アーカイブも1週間ご覧いただけます。https://t.co/3osUaWicg7 pic.twitter.com/2kxouS53vI— 久石譲コンサート2025 (@joehisaishi2025) July 23, 2022
【WORLD DREAM ORCHESTRA 2022】
ツアー2日目、広島公演終了!熱い拍手、ありがとうございました!明日は久しぶりの名古屋へ。 pic.twitter.com/qVwGqddBfv— 久石譲コンサート2025 (@joehisaishi2025) July 25, 2022
【WORLD DREAM ORCHESTRA 2022】
ツアー3日目!久しぶりの名古屋は熱かった!ありがとうございました! pic.twitter.com/8jQWfikbqZ— 久石譲コンサート2025 (@joehisaishi2025) July 26, 2022
【WORLD DREAM ORCHESTRA 2022】
ツアー4日目は浜松!響き渡る拍手、ありがとうございました!明日はいよいよ大阪でファイル! pic.twitter.com/ZV9N7mbjGQ— 久石譲コンサート2025 (@joehisaishi2025) July 28, 2022
【WORLD DREAM ORCHESTRA 2022】
ツアー完走!最終日は熱狂の大阪でした!皆様くれぐれもお身体を大事に。またお会いできる日まで! pic.twitter.com/flp7mbpJzW— 久石譲コンサート2025 (@joehisaishi2025) July 29, 2022


from 新日本フィルハーモニー交響楽団公式ツイッター
https://twitter.com/newjapanphil
最後まで読んでいただきありがとうございます。


Posted on 2022/08/03
7月23~29日開催「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022」です。今年は国内5都市5公演&国内海外ライブ配信です。予定どおりに開催できることが決して当たり前じゃない今の状況下、出演者も観客も会場に集まることができた。まだまだ足を運べなかった人もいます。昨年に引き続きの開催&ライブ配信に喜んだファンはいっぱいです。今年も熱い夏!
今回ご紹介するのは、おなじみふじかさんです。ご紹介するバリエーションが尽きてしまうくらい、いつもありがとうございます!さすが多彩な久石譲コンサートに足を運びつづけている、体感するものや感想がよりパーソナルなものになっていると感じてきます。ぐっと深く広がりをもった宝物の音楽体験。初めての久石譲コンサートから13年か、こちら26年くらい。ポテンシャルの差を感じてしまう(苦笑)こんなにたくさんのこと聴けないと思っている人も大丈夫ですよ。これから少しずつ一歩ずつ触れていけば、きっと音楽は豊かに響いてくれます。
久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022
[公演期間] 
2022/07/23 – 2022/07/29
[公演回数]
5公演
7/23 東京・すみだトリフォニーホール 大ホール
7/25 広島・広島文化学園HBGホール
7/26 愛知・愛知県芸術劇場 コンサートホール
7/28 静岡・アクトシティ浜松 大ホール
7/29 大阪・フェスティバルホール
[編成]
指揮・ピアノ:久石 譲
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
バンドネオン:三浦一馬
ソロ・コンサートマスター:豊嶋泰嗣
[曲目]
久石譲:水の旅人
久石譲:FOR YOU
久石譲:My Lost City for Bandoneon and Chamber Orchestra
Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon
—-intermission—-
久石譲:MKWAJU
久石譲:DA・MA・SHI・絵
久石譲:交響組曲「紅の豚」
Symphonic Suite Porco Rosso
Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon
—-encore—-
One Summer’s Day (for Bandoneon and Piano)
World Dreams
[参考作品]

WDO2022浜松公演の様子をレポートさせて頂きます。
2022年7月28日 アクトシティ浜松 大ホール 18:30開演
今年のWDOは『My Lost City』と『紅の豚組曲』の2本柱を軸にプログラムされました。4月にコンサート情報が発表になった際は、久石さんファン界隈の中では驚きと喜びに溢れました。そしてようやく待ちに待った公演の7月。
今回は初日の東京公演の様子が配信されました。そのため、7月23日の東京公演の様子を配信でじっくりとチェックした後、7月28日の浜松公演を実際に行って公演を観るといういままでにない楽しみ方もすることができました。
久石さんの長年のキャリアの中で、音楽の街である静岡県浜松市でのコンサートは初だったのではないでしょうか? 新日本フィルとしては、5月に50周年記念ツアーにて、同じくアクトシティ浜松での演奏会が実施されていたようです。
チケットもぎりを通過し、会場内へ入るとステージにはすでにピアノがセッティング済み。いままでのコンサートは指揮台すぐ横のやや上手よりに鍵盤が来るように置かれることが多かったですが、今回はステージのほぼ中央にピアノが置かれていた印象があります。
座席につくと、ピアノの高橋さん用のピアノの調律中でした。調律が終わり、しばらくするとオーボエの神農さんがステージで練習されており、『漂流者』のメロディが時折聴こえてきて、その時点で期待でワクワクが止まりませんでした。
18:30すぎに続々と楽団メンバーも集結し、いよいよチューニングがスタート。暫しの静寂ののちに、久石さんが登場しました。ちなみにアクトシティ浜松の大ホールの下手には扉が二つあり、奥側の扉はコントラバス群で通り抜けが難しいこともあってか、久石さんは、客席に近い扉から出入りをする形なり、そちらの扉にはスポットライトも当たっていました。
Joe Hisaishi『Watar Traveller』
ピアノとハープのイントロのち、フルートが加わり、その後炸裂する大迫力のオーケストラの音色。コンサートの1曲目には相応しい祝典序曲のような力強さもある大迫力の楽曲からスタートです。WDOでは2014年以来、8年振りに披露されました。
テンポは少し速めで、全体的にキレがあり、とてもカッコいい演奏に仕上がっていました。サビの主旋律のメロディももちろん、同時に流れるホルンの副旋律も壮大で本当に好きな楽曲の一つです。中間部での野津さんによる美しいフルートソロには本当にうっとり。弦楽のパートでは、各パートに「さあここだよ!」という感じに次々と指示を飛ばす久石さんの姿もありました。終盤では銅鑼が加わり壮大に元気よくフィニッシュ!
この曲、私が初めて久石さんのコンサートに行った時の「ミニマリズムツアー2009」の時も演奏されていました。その時は、音源を持っていなくて(※メロディフォニーもまだ出ていません)まったく知らない曲でしたが、その力強さに圧倒されたのを今でも覚えています。その当時は導入のピアノソロを久石さんが演奏していた時代でもありました。初めての久石さんのコンサートに参加したときの楽曲を13年経て、再び堪能できるということも感慨深かったです。
Joe Hisaishi『FOR YOU』
前曲と同じく映画『水の旅人』より選曲。ホルンの導入からフルートの美しいメロディ、そしてチェロがそのメロディをさらに紡いでいきます。冒頭のフルートソロは、野津さんではなく渡辺さんが演奏されるところも見どころの一つだと思います。サビではヴァイオリンのメロディが花開き、本当に美しい久石さんのメロディを堪能できます。音色の使い方から、なんとなく印象派的な感じも受けるこの楽曲。今年4月に行われた新日本フィルとの「すみだクラシックへの扉」での印象派クラシックの指揮の成果も出ているような、本当に彩豊かな演奏でした。
浜松公演では拍手が鳴りやまず、ここで久石さんは再度袖から登場。普段とは違う出入り口から登場する久石さんも少し照れたのか、頭をポリポリと掻きながら再度ステージに登場されていました。
次の楽曲へしばし舞台替えとなります。
Joe Hisaishi『My Lost City』
いよいよ今回の2本柱のひとつ、『My Lost City』の始まりです。拍手喝采の中、バンドネオンの三浦さんと久石さんが登場しました。
『Prologue』
朧げなストリングの音色で一気に『My Lost City』の世界へと誘います。ヴァイオリンの乾いたような高い音色から、渦巻くような弦の旋律。スーッと伸びていく和音の先に響く音色は…
『漂流者~Drifting in the City』
バンドネオンのソロが、寂し気なメロディを紡いでいきます。もう本当に美しかった。原曲ではピアノの音色が印象的で、個人的にはどこかピアノの音色は俯瞰するような形で聴こえていました。それが今回はバンドネオンに置き換わることによって、リアルで、その物語の主人公が鼻歌で歌っているような雰囲気も感じました。それにしてもピアノの旋律しか似合わないと思い込んでいたこのメロディが、こんなにバンドネオンがはまることも衝撃的でした。
『Jealousy』
ここでまさかのこの曲!確かに原曲でもバンドネオンがフィーチャーされてましたが、まさか生で聴けるとは!!ピアノの高橋さんによるジャージーなメロディも堪能できました。バンドネオンの三浦さんはうっとりとした表情で時折笑顔で演奏されていたのも印象的でした。クラリネットのマルコスさんの音色も色っぽくてとっても素敵でした。曲の終わる部分では久石さんの指揮台を降り、ピアノの前で指揮をしていました。
『TWO OF US』
久石さんのピアノの伴奏に合わせ、バンドネオンの三浦さんがメロディを奏でていきます。続いてはコンマスの豊嶋さんによるヴァイオリンソロ。どちらも甲乙つけがたい美しさ。そして、バンドネオンとヴァイオリンが絡みつつ演奏していくシーンでは、豊嶋さんと三浦さんがアイコンタクトで息を合わていました。まるで「すみだクラシックの扉」でのコンマスのチェさんとソリストのリーウェイさんがアイコンタクトを取っているのを彷彿とさせる瞬間でした。
『Madness』
こちらもバンドネオンがメインメロディへと進化をした『Madness』。武道館や世界ツアーでの構成を元にしたショートバージョンのアレンジでしたが、より濃密な構成になっていました。
『冬の夢』
まさかこの曲も聴けるなんて思っていませんでした。原曲ではチェロがフィーチャーされているので、構成から外れるのではないかと予想していましたが、どんどん予想を裏切っていきます。中盤のバンドネオンソロになる箇所では、2ndVnかピアノはわかりませんが、音量を抑えて抑えて!と二度ほど指示する久石さん。その後の盛り上がりでは大きく!新たに指示もされていました。
『Tango X.T.C.』
もともとバンドネオンがフィーチャーされているので、力強さ、色気に圧倒されました。ここでも三浦さんが笑顔で演奏されているのも印象的でした。中間部でのピアノの高橋さんによるスケール的なピアノ伴奏も美しくて、カッコ良かったです。終盤ではパーカッションも入り、ジャージーなパートへ。
『My Lost City』
組曲の最後の曲は、原曲CDでも最後を飾るこの楽曲。東京公演では久石さんのピアノで始まっていましたが、浜松公演では豊嶋さんソロヴァイオリンに差し替えられていました。その後、冒頭の『Prologue』と同じパートを回想し、バンドネオンが音色を加えながら、静かに楽曲が終わりました。
改めて8曲で構成された今回の組曲の完成度は本当に高くて、本当に感動しました。なんとも贅沢な時間で、体感時間は本当に数分だった気がします。今回、このような形で改めて作品として残されたことにより、今後のコンサートでの演奏機会が増えることを期待するとともに、この感じでいけば、『Etude』もソリストを迎えて、新たな久石流ピアノコンチェルト作品も再現可能では?と妄想も膨らみました。
ー休憩ー
Joe Hisaishi『MKWAJU 1981-2009』
国内演奏ではこちらもかなりお久しぶりになる楽曲。2010年のアジアツアー以来でしょうか? 2台のマリンバの導入のちに、マルコスさんによるバスクラの音色。そこから始まるズレてズレて、たまに合って、またズレにズレまくる同じ旋律がぐるぐると円を描いてくような演奏。もう本当に聴いていて楽しい!ヴァイオリンの掛け合いになるパートも対向配置になっているため、右、左とヴァイオリンの音色が行ったり来たりするのも楽しいです。各パートもどんどん折り重なっていき、最後はダンッ!とフィニッシュです!
Joe Hisaishi『DA・MA・SHI・絵』
ここ数年、よくプログラムに組まれることが多くなったこの楽曲。新日本フィルとは3月4月の演奏会でもセットリスト入りしていました。今回は座席が3列目だっとこともあり、久石さんの指示が細かく各パートへ手の先から飛んでいくのもしっかりとみることができました。3月4月でも演奏してきた甲斐があってか、今回の完成度もさらにグッと高まっている気がしました。テンポは3月に比べて速かった感じがします。
個人的な話になりますが、先日「Just ear」というソニーのオーダーメイドイヤホンを購入しました。耳の型を取る前にどういう音の構成にするかを決める段階があるのですが、そこでの視聴をこの『DA・MA・SHI・絵』をチョイスしてみました。コンサートで実際にこの曲を聴くと、ステージのあちらこちらからそれぞれの音色が、立体的に渦を巻くように聴こえてきます。その生で聴いた感じが近い音のプリセットを選ぶのにこの曲を試しに聴いてみた…というこぼれ話です。
Joe Hisaishi『Symphonic Suite Porco Rosso』
2本柱のうちのもうひとつ。いよいよ『紅の豚組曲』の登場です。
『帰らざる日々(イントロピアノソロ)』
次の曲の『時代の風』から楽曲がスタートするかと思いきや、久石さんのピアノソロからの導入でびっくりしました。ノスタルジーを感じる印象的なピアノソロで『紅の豚』の世界へと誘います。
『時代の風~人が人でいられた時~』
ピアノを弾き終わって、ミニマルを感じさせる弦楽の音色に、力強い低弦の刻み。木管の愉快なメロディ。サントラでしか聴いてこなかった曲がどっと、目の前に押し寄せてきました。生で聴くと、体に伝わってくるドンドンドンドンという音色に圧倒されました。
『Flying Boatment』
チューバの佐藤さんによる力強い前奏に続き、トランペットのメロディが、あの少し間抜けな空賊の様子をいきいきと表現しています。途中の渡辺さんによるピッコロのソロも美しく、楽しげです。
『Fio-Seventeen』
フルートの野津さんによる導入から始まります。原曲ではここにマンドリン的なメロディが入っていましたが、今回の組曲ではその音色をなんとハープで表現。ハープでこんな再現の仕方ができるんだとびっくりしました。中盤のホルンとストリングが絡む部分は久石さんの雄大で伸びやかなメロディを堪能できます。終盤はテンポアップし、少しスリリング若干タンゴを感じさせるような雰囲気で終わります。
『セリビア行進曲』
こちらも賑やかな行進曲。大股でずんずんと歩くような2拍子に金管やパーカッションの音色が彩りを添え、愉快な一曲です。
『Doom~雲の罠~』
前曲の雰囲気とは一変、暗い雰囲気の導入から始まります。その後はハバネラを感じさせるような舞曲のような雰囲気。二ノ国のサントラの『水の都』に近い雰囲気があります。
『アドリアの海へ』
マルコスさんの伸びやなかなクラリネット音色に終始うっとり。日常を感じさせるようなさわやかで明るい雰囲気のこの曲も組曲に取り込まれたこともうれしく思いました。ワルツ調の3拍子の曲ですが、浜松公演では明らかに伴奏の3拍目を弱く演奏しているような感じでした。なにかの意図があるのでしょうか?
『Friend(後半)』
ハープから始まってストリングスが入り、少し暗い雰囲気を感じさせるこの曲は、『風立ちぬ』のサントラより、『菜穂子(会いたくて)』を連想してしまいます。
『Madness』
前半の『My Lost City』内ではバンドネオンメロディで演奏されていたものが、こちらでは満を持して久石さんのピアノにて披露されてました。東京公演の配信時では、若干オケとのズレもあり心配な箇所もありましたが、浜松公演ではピタリと演奏されていてとてもカッコよかったです。中盤のピッコロとオケとの掛け合いの部分も聴いていて楽しいんですよね。後半では再度久石さんがピアノに戻り、オケとの掛け合いへ。
『帰らざる日々』
冒頭のイントロ同様に久石さんのピアノがメインに、今回は優しくストリングスが包み込むようなアレンジに。浜松公演では久石さんのソロパートに、金管・木管メンバーによるフィンガースナップが追加されていました。前半の構成はWDO2015の際のものと類似していたと思います。
久石さんが指揮台へ戻ると、今度は転調し、ジャズパートへ。こちらは『Piano StoriesⅢ』の『il Porco Rosso』の後半を元にアレンジされていたと思います。フリューゲルホルンやトランペットがジャージーなメロディを次々とバトンをつなぐように演奏していました。盛り上がりのピークを迎えたのちに、再度『帰らざる日々』のメロディが顔を出し、久石さんが再度ピアノへ。
アウトロを久石さんが演奏するとともに、ピアノを包み込むように、まるでポルコの魔法が解けるかのような繊細なストリングスが浜松公演では追加されていました。
演奏が終わると拍手喝采。ここで何度かのカーテンコールのちに、恒例となった各楽器担当への拍手タイム。そして、Encoreへと移ります。
再度バンドネオン演奏用の椅子と譜面台が用意されたのち、三浦さんと久石さんが登場。久石さんが長く息を吐きながら、ピアノへ向かい譜面を用意しているのが印象的でした。
Encore1『One Summer’s Day』
アンコール1曲目は、バンドネオンとピアノによるスペシャルバージョンな『One Summer’s Day』。イントロからしばらくは久石さんのソロが続きますが、そこから三浦さんバンドネオンが入り、ピアノとバンドネオンが代わる代わる音色を紡いでいきます。中間部ではテレビ放送内で披露された「ラミレラーミレミ」というメロディがこちらでもしっかりと継承。
2番では久石さんは伴奏に徹し、三浦さんがソロのメロディを奏でていきました。終盤では再度久石さんによるアウトロのピアノソロ。最後はバンドネオンがスーッと息の長い音色とピアノが絡んでとても美しかったです。
Encore2『World Dreams』
WDOコンサートに来たら、この曲は絶対外せません。今回も最後のアンコールに披露。もう何回も何回もコンサートで聴いてきたのに、毎年変わる世の中の情勢に合わせて、この曲の聴こえ方もまったく変わってきます。
今年の演奏はより「世界の夢」を表現しているような感じがして、よりグッとくるものがありました。最後のチューブラーベルズの音が、より希望へ、平和へと歩みを照らす鐘の音に響いたように聴こえたのは私だけではないはずです。来年もこの曲が聴けますように。
演奏が終わると拍手喝采。その後の恒例の弦楽の皆様との腕合わせは、浜松公演では豊嶋さんと1st Vnの方のみで省略バージョンで終わりました。割と早めに楽団の皆様も退場しましたが、その後久石さんが再度豊嶋さんと三浦さんの三人で再登壇。
会場は一気に盛り上がり、スタンディングオベーションへ。ここのホールは4階席までありますが、すべて総立ちになるととても迫力がありました。お三方が深々と礼をしたのちに、ステージを後にしました。
大盛り上がりの浜松公演も無事に終了しました。
2022年8月1日 ふじか

曲ごとに丁寧でわかりやすい感想はすでに周知のとおりですね。WDO2022は初日から最終日に進むなかで修正が加えられている珍しいパターンです。ライブ配信では聴けなかった箇所があります。大きくは3つ、『My lost City』終曲のピアノからヴァイオリンへの変更、『Porco Rosso』終曲のピアノソロでのフィンガースナップ追加と、同曲アウトロでの弦楽追加です。そのあたりにも注目しながらもう一度読み返してみるとおもしろいですよ。
それから。
『漂流者』”その物語の主人公が鼻歌で歌っているような雰囲気”!なるほどとても新鮮でした。そんな発想のセンスなかったから、ぐっと物語が立ち上がってきますね。『アドリアの海へ』そうでしたね、テンポもゆっくりになって抑揚がついていましたし、後ろ髪をひかれるような、後ろにもたれかかった3拍子になっていました。軽快にワルツのリズムをキープしていた東京公演とは変わっていたと思います。カーテンコールの肘タッチはどの公演もコンマスとだけだったかもしれません。プログラム2時間いっぱいいっぱいでしたもんね。スタオベになる瞬間は肘タッチのときかご三人再登壇のときか、このあたりは総立ちタイミングが会場ごとに違ったかも。僕も肘タッチコーナーがつづくと思ってたから立ち上がるタイミング出遅れ組になってしまった。イヤホンうらやましいです。新しいオーディオ装置を買ったとき、初めての車を運転するとき、ここぞと選んでしまう曲のエピソードよくわかります。スマホを替えたときとかはもうそんな儀式的なことしなくなったけど。パーソナルなお返事のように書いてしまいました。みなさんもリプでどうぞ(笑)
静岡公演
【WORLD DREAM ORCHESTRA 2022】
ツアー4日目は浜松!響き渡る拍手、ありがとうございました!明日はいよいよ大阪でファイル! pic.twitter.com/ZV9N7mbjGQ— 久石譲コンサート2025 (@joehisaishi2025) July 28, 2022
こちらは、いつものコンサート・レポートをしています。


「行った人の数だけ、感想があり感動がある」
久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。
みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。
reverb.
コンサートレポートはいつでも大歓迎です!書いてみようかなと思ったらお待ちしています!

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number]
このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪
Posted on 2022/08/02
7月23~29日開催「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022」です。今年は国内5都市5公演&国内海外ライブ配信です。予定どおりに開催できることが決して当たり前じゃない今の状況下、出演者も観客も会場に集まることができた。まだまだ足を運べなかった人もいます。昨年に引き続きの開催&ライブ配信に喜んだファンはいっぱいです。今年も熱い夏!
今回ご紹介するのは、韓国からライブ・ストリーミング・レポートです。1-2週間ぶり!?(FOC Vol.5)の登場です。コンサート鑑賞のアングルとユーモアに拍車かかっています。楽しみにしている人きっと多いんじゃないかなと思います。僕もまだ答え合わせできていない箇所あるくらい…どうぞお楽しみください!
久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2022
[公演期間] 
2022/07/23 – 2022/07/29
[公演回数]
5公演
7/23 東京・すみだトリフォニーホール 大ホール
7/25 広島・広島文化学園HBGホール
7/26 愛知・愛知県芸術劇場 コンサートホール
7/28 静岡・アクトシティ浜松 大ホール
7/29 大阪・フェスティバルホール
[編成]
指揮・ピアノ:久石 譲
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
バンドネオン:三浦一馬
ソロ・コンサートマスター:豊嶋泰嗣
[曲目]
久石譲:水の旅人
久石譲:FOR YOU
久石譲:My Lost City for Bandoneon and Chamber Orchestra
Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon
—-intermission—-
久石譲:MKWAJU
久石譲:DA・MA・SHI・絵
久石譲:交響組曲「紅の豚」
Symphonic Suite Porco Rosso
Original Orchestration by Joe Hisaishi
Orchestration by Chad Cannon
—-encore—-
One Summer’s Day (for Bandoneon and Piano)
World Dreams
[参考作品]

はじめに
今年の夏もWDOがやってきた!FOCコンサートの一週間後にまたコンサートを見ることができるようになった!WDO2022コンサートもリアルタイムでストリーミングされ、韓国をはじめ世界中で楽しむことができた。コンサートの余韻が消えない。到底我慢できない!それで、今回のコンサートも自然にレビューすることになった。
W.D.O.の紹介
World Dream Orchestraは、久石譲の最も代表的なコンサートシリーズだ。韓国にも来韓して素敵な演奏を披露したことがある。(W.D.O.2017) 特に2008年の「久石譲 in 武道館」をはじめ数多くの公演を行い、2015年から新しいプロジェクトでスタジオジブリアニメーション音楽を交響組曲として進行している。2022年の交響組曲は紅の豚だ!
今回のコンサートは何度も嘆声をあげた。最初の嘆声は、舞台セッティングを見た時だった!

はじめから久石譲のメインピアノがセットされた!ということは、交響組曲ではない曲でも久石譲のピアノパートがあるということなのか?
落ち着こう···まだ下手な判断は早い。舞台のスペースが足りなくて先にセッティングされた場合もある。ピアノ演奏があるならピアノに楽譜を置くんじゃないかな?

楽譜を置いた!! しかも結構分厚いね!!まだチューニングも始まる前なのに、そうやってもう2回も嘆声をあげた。
Joe Hisaishi:Water Traveller

久石譲の以前のコンサートプログラムを見ると、「Water Traveller」と「FOR YOU」で始まる場合も多かった。オープニング曲にぴったりの素敵な曲だ。特に金管楽器の音が魅力的だった。久石譲がオーケストラに向けて連続で力強くパンチを放って締めくくり。曲が終わった後の静寂が本当に良かった。
Joe Hisaishi:FOR YOU

「水の旅人 侍KIDS」の主題歌の器楽バージョンとなる曲だ。メロディーメーカーの久石譲らしい本当に素敵な曲だ。「WORKS・I」または久石譲ベストアルバムVol.2(Songs of Hope)に収録されたものと似たバージョンだが、今回のコンサートのために金管楽器のフレーズが少し追加されたことが分かった。
今回のコンサートには、私が大変な時期を過ごした時に慰めになった大切な曲がたくさん演奏されたが、この曲のEnglishバージョンである「MELODY Blvd.」アルバムの「I Believe In You」も力になる素敵な曲の一つだった。
「水の旅人 侍KIDS」は、久石譲と親しくしていたAbey Road StudiosのミキシングエンジニアMike Jarratt氏と最後に一緒にした作品だったというエピソードがある。「My Lost City」も彼と一緒にしたアルバムなので、つながる面があるようだ。「地上の楽園」アルバムも大変だった時に大きな慰めを与えてくれたアルバムだが、このアルバムの「HOPE」という曲にも「Water Traveller」のいくつかのメロディーが入っている。
Joe Hisaishi:My Lost City for Bandoneon and Chamber Orchestra

「My Lost City」は1992年発売された久石譲のソロアルバムだ。宮崎駿がこのアルバムを聴いて「紅の豚」に数曲使ったというのは有名なエピソードだ。私が一番好きなアルバムだが、すでに生産中止となり、ストリーミングでも聴くことができない。(まだ中古市場で手に入れることはできる。)
今回のコンサートのためにバンドネオンを中心にアルバムが再構成された。バンドネオンの演奏者はMFコンサートで「The Black Fireworks」を完璧に演奏した三浦一馬さんだ。はじめに弦楽を中心に演奏される曲は「PROLOGUE」。 続いて演奏される曲は「DRIFTING IN THE CITY」だ。
暖かい音色のバンドネオンの雰囲気が本当に素敵だった。Chamber Orchestraでオーケストラの規模を縮小したのは、バンドネオンを際立たせるためではないかと考えた。

続いて演奏された曲は「JEAROUSY」。アルバムでも元々バンドネオンがメインになる曲で、コンサートで演奏されたことはほとんどない。バンドネオンのビブラート奏法が印象的だった。 うん?!演奏が終わって、急にピアノに向かう久石譲さん?!

続いて演奏された曲は、私の涙腺を刺激するその曲。「TWO OF US」です。WDO2017の韓国公演でも涙を流した曲だ。ピアノとバンドネオンの音色が本当によく似合っていた。

コンサートのマスター豊嶋泰嗣さんのヴァイオリンまで乗せて本当に幻想的だった。ヴァイオリンとバンドネオンの合奏もとても素敵だった。
そして次の曲は、Madness?!
やっぱり意表を突く久石譲だ。「紅の豚」でも演奏されるので除外されると思っていたが、「My Lost City」でも欠かせない「Madness」だと思っていたのだろうか。少し短いバージョンだったが、バンドネオンバージョンの「Madness」が演奏された。

「Madness」の演奏が終わってピアノを弾くために降りてくる久石譲?!一歩下がって再び指揮台に立ち、次の曲である「WINTER DREAMS」が演奏される。なぜこのような間違いが発生したのかは、後に「Symphonic Suite “PorcoRosso”」でわかりました。😂
「WINTER DREAMS」もピアノの伴奏が変化する部分がある。コンサートでアルバムとの違いを見つける楽しみ!これがコンサートの魅力だ。

次の曲は「Tango X.T.C.」この曲も大変な時にたくさん慰めになった大切な曲だ。 XTC、すなわちecstasy、恍惚そのものである曲だ。バンドネオンが演奏する「Tango X.T.C.」をコンサートとして見ることができてとても幸せだった。
シンバルが演奏する部分からが個人的に一番好きな部分だ。この曲が終わる最後の部分にマリンバが追加されている。 気づきましたか?!

そうやって終わるようにみえたが、予想外にまたピアノを弾き始める久石譲!「My Lost City」アルバムの最後の曲でタイトルとなる曲「MY LOST CITY」をピアノで演奏する!
「JEAROUSY」と同じくコンサートで演奏されたことが非常に稀な曲だった。短いバージョンだったけど、本当にびっくり選曲だった。(ピアノ楽譜が分厚い理由があった…)
そうして1992年に生まれたアルバム収録曲がバンドネオンに合わせて選曲、再構成され、まるでアルバム全体が一曲だったかのように生まれ変わった。
WDOコンサートでは「Asian Symphony」、[Woman]、[Hope]、[mládí] など過去のアルバムの名曲がコンサートプログラムに引き続いて登場している。これからもこのようなコーナーが続いたらいいな。例えば、Piano Stories シリーズはどうですか? 😊
Joe Hisaishi:MKWAJU

インターミッションが終わって最初の曲は本当に久しぶりに聴くミニマル曲「MKWAJU(ムクワジュ)」!久石譲の原点となる重要な曲である。以前、TENDOWORKでレビューしたことがある。
参照:히사이시조 – MKWAJU :: TENDOWORK
「MKWAJU」は2台の爽やかなマリンバで始まる。サックスは最近あまり編成しないため、バスクラリネットに置き換えられている。暑い夏を涼しくするミニマルサウンド!対向配置で聴くMKWAJU!
この曲もアルバムと違って聞こえる部分がある?トライアングルが追加された部分があります。見つけることができますか? 😂

ここでまたハプニングがあった。次の曲である「DA・MA・SHI・E」の楽譜が用意されていなかったこと!突発的な状況だったが、楽譜を受け取って拍手を誘導する久石譲だった。2011年の韓国公演で通訳が緊張しすぎて泣きそうな声を出した時を思い出した。このような場面がすべてライブコンサートの醍醐味ではないだろうか。(私はリアルタイムストリーミングだが。本当にリアルタイムという体感ができた。)
Joe Hisaishi : DA・MA・SHI・E

オランダの画家エッシャーのだまし絵をモチーフに作曲された曲だ。(タイトルのDA・MA・SHI・Eもだまし絵を日本語ローマ字表記にしたものだ。)だまし絵がどこに目を置くかによって同じ絵なのに別の絵に見えるように、この曲も耳を傾ける部分が低い音なのか高い音なのかによって、その時その時違うように聴こえるのが魅力だ。後半部の金管楽器が噴き出す部分はいつ聴いても本当にかっこいい!
「Water Traveller」はアルバム「Melodyphony」の初曲として収録された曲、「MKWAJU」と「DA・MA・SHI・E」はアルバム「Minima_Rhythm」に収録された曲。どちらもロンドンのAbey Road Studiosで録音されたアルバムだ。今回のコンサートの序盤にどこか暗い雰囲気が感じられるのはそのような理由からだろうか。
そして次は今日のハイライト、Symphonic Suite “PorcoRosso”!
Joe Hisaishi:Symphonic Suite “Porco Rosso”
この曲はいくつかの印象的な場面を中心にレビューしようと思う。

始まりと同時にピアノに座る久石譲!「Bygone Days」のテーマとなる「Il Porco Rosso」の導入部がピアノソロで演奏される。最初からピアノ演奏だなんて!すごく良かった!

しかし、曲がこれ以上長く続くことはなかった。この重要な曲がこんなにすぐ終わるの? 物足りなさを後にして、「紅の豚」の最初のトラックにつながる。この曲は「My Lost City」の「1920~AGE OF ILLUSION」から変形した曲で、私が大好きな曲の一つだ!
実は「1920~AGE OF ILLUSION」が原曲になるという事実を知って、勢い購入した中古CDを皮切りに本当に本格的な久石譲のファン活動が始まった。だから個人的に意味のある曲だ。
その後はサウンドトラックの中から数曲が選曲されて演奏される。サウンドトラックより短くなったり、順番が少し変わる部分もあるようだが、サウンドトラックで聴く時とは異なり、曲の間に柔らかく自然につながっていてとても良かった。

「紅の豚」の6番目のトラックである「セルビア行進曲」には、ピッコロにサウンドトラックとは異なるフレーズが追加されているが、とても軽快で溌溂としていて笑みがもれた。

そしていよいよ始まった「Madness」演奏!久石譲が「Madness」のピアノ・スタッカート部分を演奏する!WDO2015の時との楽曲と似ているが、タンタン-タタ!と演奏する部分のハーモニーが変化していた。オーケストラとピアノがやりとりするシーンは本当に好きなシーンだ。かつて、どれだけ「Madness」に心酔していたか分からない。この曲をライブで聴けてとても良かった。

そうして、Symphonic Suiteが仕上がると思ったが、再びひねった! また久石譲がピアノに向かう!そして「Il Porco Rosso」を再び演奏する。最初に短く演奏したのが終わりではありませんでしたか? さすが!
「My Lost City」での久石譲の勘違いがまさにこの部分のせいだったのだろう。「Madness」は今回のコンサートで2回演奏される。リハーサルの後半で「紅の豚」の「Madness」に続けて「Il Porco Rosso」を演奏したはずの久石譲だ。だから勘違いしたに違いない。 😂
今回の「Il Porco Rosso」はしっかりと演奏が続く。ヴァイオリンが空を突くように高い音を出す部分があるが、本当にとても良かった。ここからが本当のハイライトだ。

フリューゲルホルンがメインメロディーをかっこよく演奏し、コンサート会場は巨大なジャズバーに変わった。この部分からは曲を新しく書き込んだ部分のようだった。本当に素敵でエレガントな雰囲気を出している。隣のトランペットも立ち上がって演奏し、再びフリューゲルホルンが受け継いで演奏するが、オーケストラの演奏が尋常ではなかった。
生まれて初めて聴くメロディーが登場し、慌てながらもうっとりしているが、急激に拍子が速く変わると、再び雰囲気が変わった。

ピアノがメインテーマをまた演奏するのに、久石譲が動きだし、拍子がだんだん遅くなって···。

またピアノに向かう!!!
今日は本当にどうしたの!!!
続いて「Il Porco Rosso」の最後の部分をピアノで演奏する久石譲。冒頭の演奏と首尾一貫した。ここでは泣き出してしまった。「Spirited Away Suite」のときと似た演出だったが、全く予想できなかった。とても素敵な演奏だった。演出と構成もとても良かった。特に、最後のハイライトの瞬間は本当に素敵で華やかでした。
ベートーヴェン、ブラームスの交響曲を指揮し、自身の交響曲も3曲も作曲したおかげだろうか。ますます完成度が高くなり感情を掘り下げるように構成も緻密になるようだ。以前の交響組曲とは異なり、サウンドトラックから多くの変化が起き、新しく付け加えたりもしたのも印象的だった。
実は、WDO2021をはじめとする最近のコンサートでは、久石譲のピアノの比重が減り続けていた。残念ながら久石譲の年齢と指の負傷のお知らせのため理解するしかなかったし、短くても演奏してくれたことにも感謝していた。そんな状況で「My Lost City」をはじめ「Madness」「Il Porco Rosso」まで、ファンを十分に満足させる久石譲の演奏は本当に感激した。
Encore

アンコールは「One Summer’s Day」と「World Dreams」だった。それなら…公演前に見たツイッターはやっぱりネタバレだったのだろうか! 戸惑って少し裏切られた感じが…(今は削除されたツイートだ。)
「One Summer’s Day」はふだんコンサートでアンコールでよく演奏される曲だが、バンドネオンが添えられて本当に違う雰囲気になった。アンコールも久石譲のピアノって!とても幸せでした。
「World Dreams」は、WDOのテーマとなる重要な曲。WDOの毎公演ごとに欠かさず演奏される曲であるうえ、最近はアルバムごとに該当年度のライブ音源をきちんと収録している。ここで鳴るチューブラーベルが本当にいい。
最後のアンコールでこの曲が演奏されるとさよならを告げる惜しい感じだが、初期の頃にいつも最初の曲として演奏されたように、次の出会いを約束する曲かもしれない。
今回のコンサートは、長く記憶したい最高のコンサートだった。往年の名曲が一堂に会したうえ、コンサートで聴くことができないと思っていた曲をたくさん聴くことができて良かった。何よりまた久石譲のピアノが多くなってよかった!何度もびっくりしてコンサートが終わった後も落ち着くのが本当に大変だった。
来年には必ず韓国で直接聴くことができれば良いと思う。ぜひお越しください…!!
2022年7月29日 tendo
出典:TENDOWORK|히사이시조 & 월드 드림 오케스트라 2022 콘서트 리뷰
https://tendowork.tistory.com/89

今回もテンション高めおもしろかったですね!tendoさんのコンサート・レポートはいつも完成が早い。WDO2022は初日公演がライブ配信されて最終日まで一週間ほどの時間がありました。ツアー完走したらレポートを公開するという気配りも忘れないなか…早々と書き上げたtendoさんはたぶんコンサートが終わる時間を見計らって予約投稿してたんです(笑)待ちきれなかったでしょうね!
ライブ配信をリアルタイム視聴している瞬間に思ったことや気づいたことそのまま、まるで瞬間冷凍したように高い鮮度で封されている。だから臨場感あってホットに楽しめるんだろうなと思います。視聴しながらメモしてるのかな? 体感したテンションのままキープして文章に出せるってうらやましい。
本公演も楽曲の変化のことからステージでの微細な気づきまでアンテナMAXでした。僕も訳しながら驚きながら後でチェックしようととても忙しい。楽しい悲鳴です。もしも、WDO2022コンサートに行けなかった人やライブ視聴できなかった人が、これから先このレビューを見る日がきたら、きっと残念!悔しい!を連発するでしょうね。魅力をたっぷり詰めこんだコンサート・レポートありがとうございます!
tendo(テンドウ)さんのサイト「TENDOWORKS」には久石譲カテゴリーがあります。そこに、直近の久石譲CD作品・ライブ配信・公式チャンネル特別配信をレビューしたものがたくさんあります。ぜひご覧ください。
https://tendowork.tistory.com/category/JoeHisaishi/page=1
東京公演/Live Streaming
【WORLD DREAM ORCHESTRA 2022】
ツアー初日東京公演、ありがとうございました!配信アーカイブも1週間ご覧いただけます。https://t.co/3osUaWicg7 pic.twitter.com/2kxouS53vI— 久石譲コンサート2025 (@joehisaishi2025) July 23, 2022
こちらは、いつものコンサート・レポートをしています。


「行った人の数だけ、感想があり感動がある」
久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。
みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。
reverb.
これからもライブ配信の機会が増えるといいですね!

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number]
このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪