Overtone.第53回 「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.8」コンサート・レポート by tendoさん

Posted on 2021/10/11

10月8日開催「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.8」コンサートです。入魂1公演、一期一会の1公演。また前回Vol.7に引き続いてライブ配信もあり、国内外から広く視聴できるコンサートになりました。

今回ご紹介するのは、韓国からライブ・ストリーミング・レポートです。久石譲コンサートがライブ配信されたものは、ほぼ記しているだろうtendoさんです。そして、、久石譲インスタグラムでコメントした&いいね!もらった記念すべき第1号おめでとうございます!(^^) もうフットワークがあっぱれすぎて…とろい僕にはお手上げ。

 

 

久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.8

[公演期間]  
2021/10/08

[公演回数]
1公演
東京・紀尾井ホール

[編成]
指揮:久石譲
室内楽:Music Future Band
バンドマスター:西江辰郎

[曲目]
Nico Muhly: Step Team (2007) *日本初演

Bryce Dessner: Murder Ballades for Chamber Ensemble (2013) *日本初演
1. Omie Wise
2. Young Emily
3. Dark Holler
4. Wave the Sea
5. Brushy Fork
6. Pretty Polly
7. Tears for Sister Polly

—-intermission—-

Arvo Pärt: Fratres for Violin and Piano (1977/1980)

Lepo Sumera: 1981 from “Two pieces from the year 1981” (1981)

Joe Hisaishi: 2 Dances for Large Ensemble (2021) *世界初演
Mov.I How do you dance?
Mov.II Step to heaven

 

 

今回はコンサートのレビューをコンサート直後に一気に書きます。

 

久石譲 presents MUSIC FUTUREコンサートの紹介

もう8回目になりましたね。久石譲のMUSIC FUTUREコンサートは、ミニマル曲をはじめとする様々な現代音楽を紹介するコンサートです。WDO、FOC、MF 久石譲の3大コンサートです。

MFではWDO、FOCと同じく久石譲の新曲がよく初演されます。WDOでジブリアニメの交響組曲シリーズとしてアルバムが発売され、FOCでベートーベン、ブラームスの交響曲がアルバムとして発売されるように、MFでは久石譲 presents MUSIC FUTUREアルバムシリーズも一緒に進行中です。

 

10月20日に発売される『久石譲 presents MUSIC FUTURE V』アルバムもコンサート会場で先行発売されたそうです。本当に羨ましい経験ですね!

 

 

久石譲のインスタグラム

コンサート前には面白いことがたくさんありました。

まず、ツイッターでは@joehisaishi2019アカウントで久石譲の一言インタビュー動画が公開されました。〈現代音楽とは何か。〉〈 コンサートで演奏される曲はどんな曲なのか。〉 簡単な紹介になっています。

 

そして久石譲の個人インスタグラムです。

スタッフによる久石譲の公式アカウントとは別の@joehisaishi_composerという新アカウントです。可能な限り本人によって直接運営されるそうです。とても急なニュースでしたが、写真が掲載されたり削除されたり、はじめごちゃごちゃもありましたが久石譲さんの年代にインスタグラムを運営するというのは本当にすごいですね!

少し自慢しますと、私は久石譲さんの個人インスタグラムの最初のレスと一番目のいいねを頂いた人になりました。

本当に素敵な瞬間でした。

I Want to Talk to Youの実現でした!

その他にもコンサートの貴重なリハーサル映像と久石譲さんが直接書いたいろんなメッセージがありました。日常を垣間見ることもでき、本当に良い経験でしたね。

 

 

そうです。

今からしっかりコンサートのレビューを始めます。 

 

Nico Muhly:Step Team

 

コンサート前に予習できなかった曲でした。Spotifyでも再生されていません。曖昧な曲でしたが、ピアノのスタッカートを中心に曲が進んでいくようでした。途中でトロンボーンが長く噴き出したり、曲が途切れるような進行でした。

 

 

久石譲が指揮途中に指で数字を指さします。理由は分かりませんが、WDO2014でもペンデレツキの曲を指揮する時、似たような指揮をしていたと思います。

その後、久石譲のインスタグラムで聞こえていたメロディが出てきて、雰囲気も明るくなりますね。私も現代音楽にはもう慣れたようで、すぐによく楽しめました。

 

 

久石譲の総譜には、謎の記号があふれていますね。演奏もそうですが、指揮も手強い曲ということでしょう。ところでこの譲報、見てもいいですよね? 私はカメラが近寄ったので見るしかありませんでした。 ^^;

 

 

Bryce Dessner:Murder Ballades for Chamber Ensemble

 

続く曲はMurder Balladesです。第1楽章は、とてもさわやかな雰囲気です。

この曲が演奏された瞬間突然泣き出してしまいました。実は今日は元気が本当にない日でした。疲労度が極限に達していて、また消化もうまくいかなくて、それで気分も良くなかったんですね。心も体も極限に疲れていて大変な状況に、ユーモラスで明るい曲が流れて一瞬緊張がほぐれていろんな感情が来たようです。

コンサートは音楽を完全に楽しむことができる素晴らしい時間だと思います。たとえオンラインストリーミングで楽しむコンサートでもね。そして音楽で伝えられるのは、楽しさとコミュニケーションです。久石譲さんのコンサートでたくさん癒されて、エネルギーももらえた感じでした。

とにかくまたコンサート内容に戻りましょう。

 

 

第3楽章ではピアノに独特な装置をしておいたのかユニークな音がしました。アルバムで聴くのとコンサート・リアルタイムで視聴するのとは、こういった違いではないでしょうか? このようなコンサートを見ていると、音楽家たちの創意性と熱情が感じられます。

 

 

独特な打楽器も登場します。マレットを変え続けながら曲に合わせて演奏する姿が印象的でした。最後の第7楽章も久石譲のインスタグラムでリハーサルの映像として公開された部分でした。本当に強力なエネルギーを感じた曲です。本当に素敵ですね。

 

 

久石譲のMC

 

久石譲がMUSIC FUTUREコンサートを愛していることは彼のMCとしてもわかります。WDOとFOCには久石譲のMCがないのに対して、MFのコンサートには久石譲のMCが外せない感じですね。

オンラインで7回目のコンサートと今回の8回目のコンサートを見たのがすべてですが、雰囲気からして今までも毎回MCをしてきたんじゃないか…という推測です。

日本語なのでほとんど聞き取れないけど、インスタグラムに関する話をしていますね!フォロワー数を誇る彼の姿が本当に… 😁 その中の最初のコメントと最初のいいねが私ですよ!

 

 

Arvo Pärt:Fratres for Violin and Piano

 

アルヴォ・ペルト、そしてレポ・スメラ。 2人ともエソトニアの現代作曲家です。エソトニアはやや馴染みのない国ですが、アルヴォ・ペルトはとても馴染みの名前ですね。レポ・スメラは、最近の久石譲のコンサートによく登場する名前です。休憩後、二人の作曲家の作品が並べられます。

久石譲の指揮なしで、ヴァイオリンとピアノが演奏します。MF Vol.7でも指揮のない曲が登場したのを見て、これも毎シリーズこんなパターンを繰り返してきたのでしょうか。

ヴァイオリンの複雑な独奏の最後にピアノのどっしりした演奏。そしてヴァイオリンとピアノの静かな旋律。

 

 

ピアノの演奏には鍵盤の一番低い音も使われていますね。パターンが繰り返される曲です。おぼろげな愛を語る曲かな? イメージがたくさん見えて、多くの感情が行き交う曲であることは確かです。ヴァイオリンの激しい演奏にはぐりぐりした感情が出て、ヴァイオリンとピアノの静かな演奏にも様々なイメージが浮かぶ曲です。例えば、静かに日光が照らす教会の中とか、夜明けの冷たい風に吹かれながら歩く街とか…。

 

 

Lepo Sumara:1981 from “Two pieces from the year 1981”

 

このピアノ曲、もしかして久石譲が直接演奏しないか。そんな期待を少しだけしたんですが (笑) こんな難しいピアノ曲を演奏する時間に作曲に力を入れたほうがいいですよね!指の健康も考えなければなりません。

 

 

この曲では前の曲とは反対に、ピアノの一番高い音が使われています。大したことではないかもしれませんが、やっぱり面白い要素ですね。電子楽譜を使用しているようですが、原理が少し気になりますね。機会があれば調べてみます。

レポ・スメラの交響曲2番目もそうだったけど、短い音階での執拗に繰り返されるメロディに、独特の雰囲気が感じられますね。ところどころに雰囲気を切り換える、重くて強力な低音も特徴のようです。演奏が終わった後の静寂が本当に良かったです。

 

 

Joe Hisaishi:2 Dances for Large Ensemble

 

いよいよ久石譲の新曲です。

タンタンターンタンターンというリズムが登場するが、これは「The End of the World I.Collapse」での基本リズムと同じです。それぞれの楽器が統一感のない演奏をします。 拍子も違うし、メロディも違うようです。タイトルからも分かるように、ダンスリズムになっているけれど絶対ダンスを踊れない曲を作ってみようという感じの曲です。上と下に音の躍動性を見せる部分は久石譲の『Metaphysica』の第1楽章が浮かびました。

不思議な曲です。前では”統一感のない演奏”と言いましたが、慌ただしい中にどこかに秩序感は感じられます。たぶんリズムを利用したのでしょうが、以前久石譲の『Metaphysica』をレビューしたときも混沌の中に秩序を感じると私は言っていなかったか? いろいろと『2 Dances』の最初の楽章と『Metaphysica』の最初の楽章は共通点がたくさん感じられますね。

第1楽章の演奏が終わると拍手が沸き起こりました。本来は、楽章間の拍手は省略しなければなりませんが、私もこの瞬間に会場にいたら、思わず拍手が沸き起こっていたのではないかと思いました。

 

 

第2楽章の「Step to heaven」は変奏曲形式の曲です。このごろ久石譲がよく作曲するスタイルですね。久石譲の『交響曲第2番』第2楽章である「Variation 14」とイメージが一番重なってみえる曲でした。楽器、拍子、パーカッション、雰囲気が変わり続けながら曲が進んでいきます。曲が急に速くなって、急に停止する場面があります。

 

 

しかし、数秒の静寂後に再び曲が進行しますが、こうした展開も久石譲の『交響曲第2番』第3楽章である「Nursery Rhyme」に見られる構成に似ていると感じました。久石譲のいろんな交響曲の姿が見られる曲だなんて興味深い曲ですね。ピアノ、フルート、ヴァイオリンの曲終わりも格好よかったです。

 

 

続く拍手と挨拶。

久石譲がメンバーたちを一列に並べた後、抜けた人がいないか何度も見回した後、聴衆に向かって挨拶する場面が印象深かったです。

本当にものすごいエネルギーを感じたコンサートです。久石譲さんは本当にすごいですね!この気運のまま!私は活気に満ちた日常をまた過ごすことができそうです。これからの久石譲さんの活躍も本当に楽しみです。

 

2021年10月9日 tendo

 

出典:TENDOWORKS|久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.8 콘서트 리뷰
https://tendowork.tistory.com/76

 

tendo(テンドウ)さんのサイト「TENDOWORKS」には久石譲カテゴリーがあります。そこに、直近の久石譲CD作品・ライブ配信・オフィシャル特別配信をレビューしたものがたくさんあります。ぜひご覧ください。

https://tendowork.tistory.com/category/JoeHisaishi/page=1

 

コンサートを体感しているあいだのtendoさんの心情の流れまで、ぐっと伝わるレポートでじんわり沁みわたってくるものがあります。いつも思うのですが、ほんとよく見てる!よく聴いてる!すごいなあ!を心のなかで連発しながら楽しみました。

ふたつ。tendoさんは韓国でも人気と知名度を誇る久石譲の、スタジオジブリ作品をはじめとした映画音楽以外をもっと国内で広く知ってほしい。そうして個人サイトで発信しています。もし韓国で深く久石譲音楽にハマっていきたいファンにはうれしい道標になりますよね。どんなアクセスと出会いとつながりが待ちうけているか誰もわからない。そのきっかけや機会が存在している、未来へのワクワク感ありますね。

プログラムノートなしに、ここまで深く聴き入っているってすごいです。全作品とも楽曲解説見てないなかで、純粋に音楽だけでどう聴いたのかどう聴こえたのか。合ってる間違ってるなんてない、自分が感じたことこそすべて、胸に大切にしまいたいものです。自分なりの回答をしぼり出すことが経験値アップになることは、何においてもそうですよね。集中力おそるべしです。

 

 

 

こちらは、「コンサート・パンフレット」から久石譲による楽曲解説や、いつものコンサート・レポートをしています。

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

 

reverb.
人のレポートで吸収力アップする実感うれしいですよね(^^)

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪

 

Overtone.第52回 「久石譲指揮 新日本フィル 第637回定期演奏会」コンサート・レポート by tendoさん

Posted on 2021/10/10

9月11,12日開催「久石譲指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 第637回 定期演奏会」です。終演後は、新日本フィル・ファンの熱い感想がSNSに溢れていました。また12日公演は、アーカイブ有料配信も期間限定(9/22-9/28)で視聴でき、多くの人が楽しめたコンサートとなりました。

今回ご紹介するのは、韓国からライブ・ストリーミング・レポートです。WDO2021のコンサート・レポートも対訳させてもらいました。国内外でのライブ配信の実現が、国内外のファンレポートも叶えてくれてうれしいかぎりです。それにしても深堀りな考察に対訳ににらめっこ。

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 #637

[公演期間]  
2021/09/11,12

[公演回数]
2公演
9/11 東京・すみだトリフォニーホール
9/12 東京・サントリーホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:崔文洙

[曲目]
新日本フィル創立50周年委嘱作品
久石譲:Metaphysica(交響曲第3番) *世界初演
I. existence
II. where are we going?
III. substance

—-intermission—-

マーラー:交響曲 第1番 ニ長調 「巨人」

 

 

はじめに

今回の公演では久石譲の新作である3番目の交響曲が世界初演され、マーラーの最初の交響曲が演奏された。交響曲第2番についてのレビューをしてから2ヶ月も経っていないけれど、3番目の交響曲を映像とともに聴くことができるのは久石譲のファンとして非常に嬉しかった。3番目の交響曲もやはり見逃さずに、きちんとレビューしてみようと思う。

 

Joe Hisaishi : Metaphysica (Symphony No.3)

久石譲の3番目の交響曲で、Metaphysicaはラテン語で形而上学という意味を持っている。形而上学は、さまざまな意味で使われる言葉だが、久石譲のプログラムノートによれば、形而上学が存在と知識を理解する学問であるように、今度の交響曲も音の運動性だけで構成された楽曲を目標にすると記している。交響曲の第1楽章と第3楽章のタイトルは形而上学で使われる用語を使っているのがおもしろかった。

実は、マーラーという作曲家も死と形而上学について一生をかけて悩み、追求した作曲家である。形而上学に対するマーラーと久石譲の”全く異なるアプローチ”は、確実に異なる性格の2つの交響曲を作っている。

 

I. existence

 

新日本フィルハーモニー交響楽団の50周年を記念して委嘱された、そして新しいシーズンの始まりとなる曲にふさわしい、6台のホルンの壮大な演奏で始まる。祝典の雰囲気が感じられる。このメロディは最初の楽章のメインテーマである。

巨大な飛行機が離陸のために滑走路を走ることさえ省略して高く昇ってしまい、青空を自由に飛び回るような感じの曲だった。私がそのような飛行機になったと空想して自由に身を任せれば、混沌の中の平和が訪れる不思議な曲だった。

この曲に混沌の中で秩序が感じられるのは、拍子のためではないかという気がする。久石譲がプログラムノートで明らかにした「休符を含む16分音符3つ分のリズムがすべてを支配し、その上でメロディ的な動きが変化している」という説明は完璧に理解するのは難しいです。

複雑で速いリズムが落ち着きを取り戻し、すぐに激情的に揺れ動く。この時、7台のホルンが一斉に楽器を高く持ち上げて演奏する。

 

 

マーラーの交響曲を意識した視覚的な効果かもしれない。 音響的な効果もあると思う。再び激しくなり、クライマックスに進んだ後、久石譲が拳を握ると同時に、急いで締めくくられる。

 

 

II. where are we going?

 

弦楽器がテーマを提示している。前の楽章とは対照的に、比較的落ち着いてゆったりとした速度の聴きやすいメロディである。

 

 

久石譲の指揮棒を見ると、こういう雰囲気では指揮棒を手放したまま素手で指揮するのが見られる。

 

第2楽章もやはり、主題となるモチーフが繰り返されるミニマル曲だ。木管楽器、そして金管楽器が次々と登場し、感情的に盛り上がる。久石譲が指揮棒を再び持ち出す。その後しばらくして、曲の雰囲気が変わる。 拍子が早くなってメロディーが変化している…? 実際には全くそうではない。同じフレーズのメロディの拍子が圧縮されて変奏されただけだ。

 

 

第2楽章の中間部にQuartetのパートもある。面白い構成だ。

 

大太鼓、ティンパニ、スネアドラムなどのパーカッションが以後、曲の雰囲気を盛り上げる。そこにボール(gong)とチューブラーベルが合わさって素晴らしい雰囲気だ。グロッケンシュピールのきらめく音も聴こえる。そのように絶頂に達してからトロンボーン、トランペット、ホルンなどが主題を見事に演奏して最後に弦楽器が再びテーマを静かに繰り返して終わる。まるで世の中の美しさを語っているような楽章だった。

 

 

III. substance

 

第3楽章は再び混沌としている。非常に爆発的な音を立てて始まる。ド、ソ、レ、ファ、シ♭、ミ♭! 2オクターブをまたぐ音域を一気に飛び越える。第1楽章の「existence」よりずっと激烈で速い。

宇宙にロケットを立て続けに打ち上げた後、宇宙を遊泳するような雰囲気になったり、再び混沌がやってくる。そのように雰囲気が何回も変化する曲になっている。

曲の核心となっている6つの音を2回押し込むように演奏する部分もある。ド!ソ!レ!ファ!シ♭!ミ♭!その部分から久石譲のミニマル曲である『DEAD』のような感じをうけた。

その後も静かだと思うと、ドンドンと騒がしい雰囲気になり、また続いていたずらな雰囲気に流れていく。この時、欠かせないウッドブロックが登場し、思わず笑みを浮かべた。

マーラーの交響曲第1番の第4楽章は、静かになったり爆発したりを繰り返して感情を極限に達するさまが似ている感じもうけた。

 

 

7台のホルンが第1楽章の時のように再び空を飛び始め、曲の終盤に向かっている。第3楽章の最初のように、2オクターブを越える音域を一気に飛び越える爆発的なロケットを相次いで発射して(?)仕上げられる。

 

 

〈Metaphysica〉は2番目の交響曲と同じく音の運動性と論理のみを重視して作曲された曲だと思いますが、はるかにリズムが複雑で、スピード感や音の動きが強烈だった。結論として〈Metaphysica〉は大規模な編成にふさわしく強力さを見せてくれた交響曲だと思う。特に最後の楽章は混沌して爆発的な雰囲気に圧倒され、曲を聴いてから何日も寝込んだ…ではなかったが、それほどインパクトの強い曲だった。

 

 

G.Mahler : Symphony No.1 in D Major ‘Titan’

第1楽章の徐々に夜が明けるような雰囲気や、カッコウの音と呼ばれる4度下りから、前に演奏された久石譲の〈Metaphysica〉とは克明に異なる二つの交響曲の性格を把握することができた。

 

 

舞台の外から聞こえるトランペットの音。楽譜に「in sehr weiter Entfernung aufgestellt(非常に遠い距離に配置する)」という指示のため、トランペット奏者は舞台の外で演奏した後、舞台に入場するところも見ることができる。

 

交響曲を書く前に作曲されたマーラーの歌曲「さすらう若者の歌」のテーマが頻繁に登場したり、第2楽章にはオーストリア民謡のレントラー舞曲が登場し、第3楽章では有名なボヘミアン民謡「Jacques Frere」(フレール・ジャック)を葬送曲風にパロディにして演奏するなど、マーラーの独特さを時代を超えて感じることができた。

最も圧巻だったのは第4楽章だった。 若いマーラーの苦しみが感じられる凄まじい始まりは地獄のテーマだ。続いて、長く美しく演奏される第2主題は天国のテーマだ。

 

 

第1楽章でトランペットが舞台の外で演奏した序奏(Introduction)と天国のテーマが出会い、喜びを感じることができる。この時、ホルンの8人の奏者が全員立ち上がり、強力な演奏を披露する。(ホルンの後ろで演奏するトロンボーンは、この瞬間のために今まで待機していたのだ)

 

 

〈Titan〉でホルンを持ち上げて演奏する姿と、〈Metaphysica〉でホルンを持ち上げて演奏する姿、そして〈Titan〉の最後の楽章と〈Metaphysica〉の最後の楽章。妙に共通点が見えるような二つの交響曲ですが、感情を最大限に排除したままの論理、音の運動性のみを追求した〈Metaphysica〉と、森の静かな朝の雰囲気や様々な感情を感じることができた〈Titan〉。大編成の豪華なオーケストラに久石譲の新作、マーラーの交響曲まで。本当に楽しいコンサートだった。

 

 

おわりに

2021年は《ミニマル・ミュージックの年》だ。『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2 』に収録されたミニマル曲、『Minima_Rhythm IV』、「I Want to Talk to You」「Symphony No.2」「Symphony No.3」、そして10月のMUSIC FUTUREコンサートでの「2 Dances」まで。これから久石譲がさらに交響曲4番、5番、6番などを順番に出し始めるのか、それとも様々な編成のミニマル曲を作るのか楽しみだ。

 

2021年9月25日 tendo

 

出典:TENDOWORKS|히사이시조 – 신 일본 필 교향악단 제637회 정기 연주회 리뷰
https://tendowork.tistory.com/75?category=721068

 

tendo(テンドウ)さんのサイト「TENDOWORKS」には久石譲カテゴリーがあります。そこに、直近の久石譲CD作品・ライブ配信・オフィシャル特別配信をレビューしたものがたくさんあります。ぜひご覧ください。

https://tendowork.tistory.com/category/JoeHisaishi/page=1

 

もし僕がジョン・ウィリアムズをわりとリアルタイムに追いかけていると仮定します。日本にいると情報も積極的に自らキャッチしにいかないとわからない。くわえて映画音楽ジャンル以外で自作品もここまで追えるかな。最新コンサートのライブ配信があるとわかっても、そのうちCDになったときにでも、そう思ってしまわないかな、そんなことを思ったりします。

それだけに、久石譲の映画音楽ジャンルと変わらないかそれ以上に、凄まじい熱量と行動力をもって追いかけている。リアルタイムに久石譲音楽を浴びている。すごいなあ!うれしいなあ!だからもっともっと紹介したいなあ! そんな気持ちあります。

 

 

 

こちらは、「コンサート・パンフレット」から久石譲による楽曲解説や、いつものコンサート・レポートをしています。

 

 

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

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みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

 

reverb.
音楽も言葉もニュアンスって大切。だから翻訳も丁寧にしたいと。

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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Info. 2020/12/04 映画『赤狐書生 (Soul Snatcher)』(中国)音楽:久石譲 【10/9 Update!!】

Posted on 2020/11/25

12月4日中国公開の映画『赤狐書生 (Soul Snatcher)』の音楽を久石譲が担当していることが公開されました。本国では映画予告映像と久石譲インタビュー、レコーディング風景をおりまぜた映像が公開されました。 “Info. 2020/12/04 映画『赤狐書生 (Soul Snatcher)』(中国)音楽:久石譲 【10/9 Update!!】” の続きを読む

Info. 2022/10/08-12 「久石譲 シンフォニック・コンサート スタジオジブリ宮崎駿作品演奏会」(フランス3都市) 開催決定!! 【10/8 Update!!】

Posted on 2019/09/29

2022年10月8-12日、久石譲によるスタジオジブリ宮崎駿監督作品演奏会がフランスの3都市、リール、ナント、ボルドーにて開催決定!

2017年6月パリ世界初演、「久石譲 in パリ -「風の谷のナウシカ」から「風立ちぬ」まで 宮崎駿監督作品演奏会-」(NHK BS)TV放送されたことでも話題になりました。 “Info. 2022/10/08-12 「久石譲 シンフォニック・コンサート スタジオジブリ宮崎駿作品演奏会」(フランス3都市) 開催決定!! 【10/8 Update!!】” の続きを読む

Info. 2021/10/01 久石譲「I Want to Talk to You ~for string quartet, percussion and strings~」FOC Vol.3 (長野公演)より 動画配信

Posted on 2021/10/01

2021年7月8,10日開催「久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICS Vol.3」コンサートより、久石譲の新曲「I Want to Talk to You ~for string quartet, percussion and strings~」が動画配信されました。ぜひご覧ください。 “Info. 2021/10/01 久石譲「I Want to Talk to You ~for string quartet, percussion and strings~」FOC Vol.3 (長野公演)より 動画配信” の続きを読む

Overtone.第51回 「久石譲指揮 新日本フィル 第637回定期演奏会」コンサート・レポート by ふじかさん

Posted on 2021/09/28

9月11,12日開催「久石譲指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団 第637回 定期演奏会」です。終演後は、新日本フィル・ファンの熱い感想がSNSに溢れていました。また12日公演は、アーカイブ有料配信も期間限定(9/22-9/28)で視聴でき、多くの人が楽しめたコンサートとなりました。

今回ご紹介するのは、ふじかさんのコンサート・レポートです。もう6回目にもなります(プレッシャーになってない?!その話はのちほど)。予習していないとここまで書けないかも、そんな全体から細部まで遠近法なレポートお楽しみください。

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 #637

[公演期間]  
2021/09/11,12

[公演回数]
2公演
9/11 東京・すみだトリフォニーホール
9/12 東京・サントリーホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:崔文洙

[曲目]
新日本フィル創立50周年委嘱作品
久石譲:Metaphysica(交響曲第3番) *世界初演
I. existence
II. where are we going?
III. substance

—-intermission—-

マーラー:交響曲 第1番 ニ長調 「巨人」

 

 

新日本フィル 第637回定期演奏会(指揮 久石譲)の模様をレポートさせて頂きます。

2021年9月11日14:00開演 すみだトリフォニーホール

 

残暑の残る9月中旬、新日本フィルの新シーズン開幕と新日本フィルのComposer in Residence and Music Partner というポジションに就任した久石さんが就任祝いを兼ねてのコンサートが開催されました。

今回はマーラーの『Symphony No.1』を軸に久石さんの新作『Symphony No.3』を世界初演という、とても重厚なプログラムが組まれました。まだまだコロナ禍の影響の真っただ中にいる、昨今マーラーの”巨人”がこの世の中にどのように響くのか…とても期待にあふれるコンサートになりました。

 

チケットもぎりを過ぎ、ホワイエに入るとトリフォニーホールから新日本フィルへ豪華な花束が贈られていました。ホール内へ入ると、今回は巨大編成のオーケストラのためか、ステージの端ギリギリまで椅子が置かれています。1st ヴァイオリン16人の巨大編成。超大作の2曲がホールにどのような響きで伝わるのかワクワクしてきました。

 

 

Joe Hisaishi『Metaphysica(Symphony No.3)』

1楽章 existence

独特のリズムにホルンのメロディからスタート。口ずさみにくいような複雑なメロディと交錯するリズムからは、高速で螺旋階段を昇っていくような印象を受けました。その後、冒頭のメロディを変容させながら、弦楽、金管へと受け継がれていきます。低音弦のピチカートが現れるあたりからは『Contrabass Concerto』の様な雰囲気の箇所も。

中間部の息の長いヴァイオリンメロディからはクラシックの要素も取り入れられたのかなと感じるところもありました。後半に向かうにつれ、増えてゆくパーカッションからは『The East Land Symphony』の1楽章に通ずる世界観も。

 

2楽章 where are we going?

前作の『Symphony No.2』の1楽章と同じような雰囲気のタイトルを持つ本楽章。浮遊感と虚無感を感じるような独特なメロディが全体を構成していきますが、どこかクラシカルな響き。交響曲における緩急楽章を意識したのかなと思いました。しかし、冒頭で提示されたメロディは変奏をしていき、『Symphony No.2』の2楽章に共通した空気を感じさせます。ミニマルの交響曲なので、あるモチーフを繰り返しながら変容していくというところは一貫されているようでした。

 

3楽章 substance

久石さんの力強い振りとともに、響く2音の和音。その後、ミニマル特有のパルスと弦楽器のうねりで進行していきました。弦楽が下から上へと上昇していく様子からは、『弦楽オーケストラのための螺旋』や『5th Dimension』、打楽器が一定のリズムを刻む様子からは『The End of The World』の1楽章のような印象も。終盤に向かうにつれリズムとメロディが幾重にも重なり、独特なグルーヴ感を感じさせ、そのまま力強くフィナーレへと向かいました。

 

コンサートで聴いた様子を箇条書きでメモし、その後配信で一度確認しながらレポートを書きましたが、たくさんの要素が緻密に構成された本楽曲はなかなか感想を書くのが難しく、箇条書きになってしまいました。

『Symphony No.2』と似たような変奏部分の要素はあり、『The East Land Symphony』のような重たく、緊迫した様子も少なく、純粋な音の追求の作品であるということは伝わってきましたが、これから音源化されたものを何度も繰り返し聴いて自分の中に取り入れていきたいと思う作品でもありました。

 

 

休憩

 

 

Gustav Mahler:『Symphony No.1 in D major”Titan”』

1楽章 Langsam.Schleppend.Wie ein naturlaut.

短・長とも感じさせない弦楽の長い和音の上に、木管の4度音程の下降が次々と紡がれ、遠くから聴こえるファンファーレの華やかな音色。それに続くカッコウの鳴き声のような音色。ホルンのふくよかな音色。短い冒頭からすでにたくさんの要素を詰め込んだ超大作がどっしりとスタートしました。主題へと向かうための半音階的な低音弦のフレーズもジリジリと迫ってくるような雰囲気にワクワクが膨らみます。

それから続く主題のメロディ。牧歌的で明るいメロディから幸福感が伝ってきました。今回も冒頭主題の繰り返しはきっちりと再現。2度目の主題は1度目とはまったく異なった音色で聴こえるのは、毎回不思議に感じます。

中間部から暗・明をいったり来たりしながら、終盤へ向かっていく様子はとても高揚感に包まれました。終盤のティンパニとオケとの掛け合いは少しテンポ感は速めでスッキリとフィニッシュへ向かいました。

 

2楽章 Kraftig bewegt,doch nicht zu cshnell

舞曲的な出だしのパートは速めのテンポ感で演奏されると思いきや、どっしりとした低音弦のリズムから。少しタメがある感じがして、大股でステップを踏む感覚。楽しい雰囲気のメロディを聴いていると、顔もほころんでしまいました。

中間部へと向かうホルンソロからは、ここからは雰囲気が大きく変わるよ!というような合図を送るような久石さんが印象的でした。ゆったりとした3拍子が印象的な中間部は美しいメロディをじっくりと聴かせてくれるとともに、恒例の対向配置から聴こえてくるヴァイオリンの掛け合いがさらに華やかに聴こえてきます。再び前半の主題に戻るとどっしりとした演奏へ。久石さんの指揮も大きな身振りで全体を引っ張っていきました。

 

3楽章 Feierlich und gemessen,ohne zu schleppen

有名な民謡のメロディで始まるこの楽章、少しテンポ感は速めで小切れよくコントラバスのソロから始まりました。久石さんの『Symphony No.2』の3楽章と共通した要素を感じられる本楽章。メロディが次々と折り重なる部分はミニマル的なアプローチも感じることができました。

途中から出てくる木管の副旋律をひょいっと拾い上げるような指揮をしているのも印象的でした。この楽章でも中間部では非常に美しいメロディが特徴的ですが、こちらもじっくりと聴くことができました。再び冒頭の主題に戻ると、さらに要素が追加されていて、視覚的にも音楽的にも楽しめました。

 

4楽章 Sturmisch bewegt-Energisch

3楽章から絶え間なく演奏される本楽章。久石さんの大きな振りとともに、嵐のような激しい旋律が上下します。この楽章は同じような波形のフレーズが次々と現れて構築されていくので、ミニマル的なアプローチがよく似合いました。冒頭の激しいパートから一転して、中間部は弦楽によるメロディはより優雅に、情熱的に。久石さんも大きく身体を動かして、全体に指示を出していきました。

一度主調のD-Durが顔をのぞかせ、小さな盛り上がりを見せたあと、1楽章の再現が始まります。ここまで全体を通しての体感時間あっという間で、ここの再現で「もう終わりか!」と思ってしまいました。

ここからは言うまでもなく、怒涛の展開を魅せてくれます。ヴィオラの怪しげなメロディから、一気に炸裂する金管のファンファーレ。再び主調のD-Durに転調したのち、金管が主音から下降してゆく華やかなメロディをふんだんに聴かせて、迫りくるような大迫力のコーダ。圧倒的な迫力に泣きそうになってしまいました。身体が熱くなるような熱い演奏でフィナーレまで一気に駆け抜けていきました。

 

 

会場からは惜しみない拍手が続きました。久石さんもそれに答えるようにいつもより時間をかけじっくりと楽団員へと称賛の拍手を送ります。久石さんに拍手が向けられると照れてしまって、オーケストラの奥のほうへ隠れていってしまうシーンも(笑) 最後は客席に大きくバイバイと手を振ってステージを去りました。

長年の信頼とさらなる音楽の進化へと向かう久石さんと新日本フィルの皆様。今後のコンサートにも更なる期待が膨らむ就任記念コンサートになりました。

 

2021年9月27日 ふじか

 

 

 

とてもボリュームいっぱいのレポートでしたね。

久石譲作品、ふじかさんのレポートはいつも他作品が引き合いに出されています。久石譲の作曲活動の点と点が線になっているような気がしてきます。また聴いていない新作でも、おのずとイメージしやすくなりますね。でも似てる似てないじゃないんですよね。作風として同じベクトルを感じる、たぶんそんな表現に近いんじゃないかなあ、と僕なんかは勝手に共感しています。その作品につながったんだ!? ハッと驚くこともままあります。

マーラー作品、ふじかさんは毎回予習されているんですよね。いつもコンサートが近づくと予習ツイートが流れてくるので、そうだ僕もしなきゃと思い出すほどです。そして音源だけじゃない、スコア片手に予習しているときもある。これにはまいった。とてもとても及ばない。コンサートを最大限に楽しみたい!最大限に浴びて吸収したい!、、、言わなくても伝わってきます。

 

こぼれ話。

コンサート会場でお会いして話すことできました。コンサート・レポート、なんか書くの当たり前とか思ったり…プレッシャーになっていたりしませんか?コンサートを純粋に楽しめていますか? そんな質問に「自分の記憶の整理もできるので楽しく書かせてもらってます」と笑顔でひと言。ありがとうございます!

そして独り言のように、「これってアーカイブ配信見てから書いたほうがいいかなあ」と真剣な眼差しで一点を見つめてた瞬間が印象的でした。それもあってコンサートから間を置いたこのタイミングで送ってくれました。コンサート、書く、観る聴く、書くまとめる。けっこう時間とられる工程だと思います。でも、それだけ自分のなかに染みこんでいくことも多い、と僕も信じています(笑)。

 

”コンサートで聴いた様子を箇条書きでメモし、その後配信で一度確認しながらレポートを書きましたが、たくさんの要素が緻密に構成された本楽曲はなかなか感想を書くのが難しく、箇条書きになってしまいました。”

 

レポート中にありましたが、すごく同感です。視聴してはじめてわかったこともあるし確認できたこともある。けれど、なかなか感想を書くのは難しい。僕は最初からさじを投げて、視聴前にコンサートレポートを一旦終わらせてしまいました。追記しようとも思ったけれど、部分でしかないんですよね、ちょっとしたことの追加に終わる。それなら世界初演の瞬間の感想のまま、今はさわらないでおこうと。急いでわかることもないし、わかりっこないし。音源化されてスコア化されて、ゆっくり味わっていきたい作品ですね。

 

 

いつも楽しいツイートもチェックです。好きな音楽ジャンルでFFつながりたくなるかも(^^)

ふじかさん
@fujica_30k

 

 

こちらは、「コンサート・パンフレット」から久石譲による楽曲解説や、いつものコンサート・レポートをしています。

 

 

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

 

reverb.
ちょっとした反応やリアクションあると書いた人はとってもうれしいです(^^)

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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Disc. 白石光隆 『ニーノ・ロータと久石譲 ピアノ作品集』

2021年9月25日 CD発売 MM-4097

 

聴き終えて胸に深いものを残す

映画音楽の分野で極めた業績と名声によって、作曲家、ひいては音楽家としての全体像が見えにくくなっている。そんな人物がいるとすれば、イタリアの生んだニーノ・ロータ、そして日本の久石譲はさしずめ最右翼の存在ではないだろうか 。奇しくも共通点を持つ2人の音楽に共感を寄せるピアニストが、深々と響く美音によって、彼らの魅力を解き明かしてくれる。耳にはいたって優しく、しかし聴き終えて胸に深いものを残す。 そんな楽の音が刻み込まれ たアルバムだ。 (木幡 一誠)

(メーカーインフォメーションより)

 

 

久石譲作品はもちろん全曲において、オリジナル楽譜/音源をもとに演奏されている。クレジットもないように独自に編曲された曲はない。とても忠実で丁寧なピアノカバー作品になっている。純粋な聴きくらべを味わうことができる。

とりわけ「人生のメリーゴーランド」「Oriental Wind」の2曲はピアノ愛好家こそうれしい収録といえる。この2曲は久石譲によるピアノソロが録音されていないからだ。オリジナルアルバム『FREEDOM PIANO STORIES 4』(2004)で聴けるのはピアノと弦楽のアンサンブル。そしてピアノ譜『FREEDOM PIANO STORIES 4 -オリジナル・エディション-』はそれをもとにピアノソロ用に直したしたもの。本盤白石光隆のピアノ演奏は、このオリジナル楽譜を忠実に再現している。これは必聴というほかない。リスニングにお手本に。またひとつ聴く楽しみと弾く楽しみを運んでくれるアルバムの登場はこよなくうれしい。

 

 

 

 

 

 

 

ニーノ・ロータ
1. 15の前奏曲より 第2番
2. 15の前奏曲より 第6番
3. 15の前奏曲より 第9番
4. 15の前奏曲より 第10番
5. 15の前奏曲より 第13番
6. 戯れるイッポーリト
7. 子どものための7つの小品より 第1番 ジャンプとゲーム
8. 子どものための7つの小品より 第4番 小さな階段
9. 子どものための7つの小品より 第7番 アクロバット

久石譲
10. One Summer’s Day
11. HANA-BI
12. Ashitaka and San
13. Innocent
14. The Wind Forest
15. 人生のメリーゴーランド
16. Oriental Wind

ニーノ・ロータ
17. アマルコルド
18. 8 1/2
19. 甘い生活

ピアノ:白石光隆