Info. 2023/10/12 日本センチュリー交響楽団 2024-25 シーズンラインナップ発表 久石譲指揮コンサート開催!!

Posted on 2023/10/12

【日本センチュリー交響楽団 2024-25シーズンラインナップ発表!!】

平素は日本センチュリー交響楽団にご愛顧、ご支援を賜りまして誠にありがとうございます。 “Info. 2023/10/12 日本センチュリー交響楽団 2024-25 シーズンラインナップ発表 久石譲指揮コンサート開催!!” の続きを読む

Info. 2023/10/12 久石 譲、全米総合アルバムチャート「ビルボード200」にて邦人クラシック・アーティストとしては46年ぶりとなる快挙(Webニュース各種より)

Posted on 2023/10/12

久石 譲、全米総合アルバムチャート「ビルボード200」にて邦人クラシック・アーティストとしては46年ぶりとなる快挙

宮崎駿監督映画作品への提供曲で構成された久石譲の新作アルバム『A Symphonic Celebration』が、全米総合アルバムチャートである「ビルボード200」(10月14日付)にて邦人クラシック・アーティストとしては1977年の冨田勲以来46年ぶりとなる、100位内、74位にランクインの快挙を達成したことが明らかになった。 “Info. 2023/10/12 久石 譲、全米総合アルバムチャート「ビルボード200」にて邦人クラシック・アーティストとしては46年ぶりとなる快挙(Webニュース各種より)” の続きを読む

Info. 2023/10/10 スタジオジブリ小冊子「熱風 2023年10月号」久石譲ロングインタビュー掲載

Posted on 2023/10/10

スタジオジブリ小冊子「熱風 2023年10月号」の特集は「君たちはどう生きるか 第2弾」です。久石譲のロングインタビューが掲載されています。25ページに及ぶ音楽エピソードは、みんなが知りたかったことがたくさん、語り尽くしてくれた貴重な内容になっています。 “Info. 2023/10/10 スタジオジブリ小冊子「熱風 2023年10月号」久石譲ロングインタビュー掲載” の続きを読む

Info. 2023/10/03 2025年4月日本センチュリー交響楽団 久石譲 次期音楽監督就任決定!! 【10/4 update!!】

Poted on 2023/10/03

久石譲さん、初の常設オケ音楽監督に…日本センチュリー交響楽団で2025年春

スタジオジブリ作品の音楽などで知られる作曲家の久石譲さん(72)が、大阪府豊中市を拠点とするプロオーケストラ・日本センチュリー交響楽団の音楽監督に就くことがわかった。久石さんが常設オケの音楽監督となるのは初めてで、就任は2025年4月の予定。 “Info. 2023/10/03 2025年4月日本センチュリー交響楽団 久石譲 次期音楽監督就任決定!! 【10/4 update!!】” の続きを読む

Info. 2023/10/02 [TV] NHK BSP/BS4K 「ワイルドライフ 国際共同制作 ディープオーシャン II」音楽:久石譲 放送決定!! 【10/3 update!!】

Posted on 2023/09/25

NHKドキュメンタリー番組「ワイルドライフ」にて「ディープオーシャン II」が放送されます。「シリーズ ディープオーシャン」の音楽は久石譲が担当しています。 “Info. 2023/10/02 [TV] NHK BSP/BS4K 「ワイルドライフ 国際共同制作 ディープオーシャン II」音楽:久石譲 放送決定!! 【10/3 update!!】” の続きを読む

Overtone.第97回 「久石譲指揮 新日本フィル 第651回定期演奏会」コンサート・レポート by ふじかさん

Posted on 2023/09/30

2023年9月9,11日開催「新日本フィルハーモニー交響楽団 第651回 定期演奏会」です。2020年同楽団のMusic Parterとして定期演奏会にも登場するようになっています。2021年には「マーラー:交響曲第1番」と自身の新作「久石譲:Metaphysica(交響曲第3番)」をプログラムしました。今回は「マーラー:交響曲第5番」と自身の新作「Adagio for 2 Harps and Strings」をプログラム、マーラー作品のなかでも有名な「アダージェット」(交響曲第5番第4楽章)と並べらることになった久石譲版アダージェットともいえる作品。

今回ご紹介するのは、ミニチュアスコア片手にふじかさんです(たしかそう、いつもそう)。予習に会場にアーカイブにと余すところなく音楽する日乗ですね。感想や印象に、いろいろな久石譲曲も飛び出すのでおもしろいと思います。見逃さずに、聴きなおしてみたり、お楽しみください。いつもありがとうございます!

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 #651

[公演期間]  
2023/09/09,11

[公演回数]
2公演
9/9 東京・すみだトリフォニーホール
9/11 東京・サントリーホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

[曲目]
久石譲:Adagio for 2 Harps and Strings *世界初演

—-intermission—-

マーラー:交響曲 第5番 嬰ハ短調

 

 

新日本フィル 第651回定期演奏会(指揮 久石譲)の模様をレポートさせて頂きます。

2023年9月9日14:00開演 すみだトリフォニーホール

新日本フィルのナンバリングの定期演奏会に久石さんが指揮者として登場するのは、2021年9月の第637回定期演奏会以来でしょうか。すみだクラシックへの扉としては2022年4月、WDOとしては2023年7月以来の新日本フィルとの共演となります。

コロナでの公演規制、渡航規制等が緩和され、昨年から久石さんは多忙な日々を送っておられます。その一方でクラシックの指揮活動も充実しており、7月にはFOCからブラームス交響曲全集が発売されました。海外オケでもクラシック曲を取り入れることも増えており、ますます活動の幅は広がっていきそうです。

今回の公演では久石さんの新作初演と以前から久石さん自身が度々挑戦してきているマーラーの『Symphony No.5』演奏時間がおよそ70分になる巨大な作品に挑みます。新作ではマーラー『Symphony No.5』の4楽章をイメージした『Adagio』が書き下ろされました。

 

会場へは15分くらい前に到着。本日の公演の巨大ポスターがお出迎えしてくれました。ホール内に入ると、前回の2021年9月公演と同様の巨大編成のオーケストラがステージに広がっていました。

開演時間の14:00を過ぎましたが、一向に始まる気配がなく、ステージには誰も現れず…会場からはすこしざわつきが。10分くらい遅れてようやく弦楽とハープのメンバーが登壇してきました。座席の発券トラブルがあったようで、開演が少し遅れたようです。

今回のコンサートマスターは西江さん。アシスタントコンサートマスターは立上さんが務めます。チューニングののちに、久石さんもステージへ登場。西江さんと握手を交わしたのち、演奏が始まりました。

 

 

・Joe Hisaishi『Adagio for 2 Haprs and Strings』

ハープのミニマル的な繰り返しのフレーズに弦楽の4分音符や2分音符を中心に折り重なるように美しいハーモニーが広がっていきます。まるで移ろいゆく秋の空を感じさせる優雅で繊細で浮遊感のある弦楽の調べ。マーラーの『Adagietto』をリスペクトし作られた作品のため、もっとマーラーよりの作品になると思いましたが、しっかりと久石さんの作風が散りばめられた美しい楽曲となっていました。

楽曲が展開していくと、次第に揺れ動くような旋律が現れて、それが様々なパートで反復されていきます。中間部ではピチカートが次々と現れていきます。先日発売になった『君たちはどう生きるか』サントラの『巣穴』のような雰囲気も感じました。『Encounter』や『弦楽オーケストラのための螺旋』とも似た、弦楽の細かいパッセージが次々と現れて重なっていくような部分も。

終盤では再度冒頭のようなゆったりとした調べにもどりますが、ミニマル曲には欠かせないパルスのような音も聴こえてきます。まるで『Sinfonia』の2楽章の『Fugue』のように。最後はピチカートでボンッと終わりました。

事あるごとに書かれる弦楽オーケストラのための楽曲達。『D.E.A.D組曲』『Sinfonia』『螺旋』『Encounter』『I Want to Talk to You』そして今回の『Adagio』。4声(コントラバスが入るので正確には5声になりますが)は和声学の基本にもなるので、やはり弦楽だけの作品は久石さんの中でも特に大事にしている気がしています。オーケストレーションもこの4声が基本となってくるので、基本に忠実になおかつ、このシンプルな編成で作品性の高いものを残していきたいのかもしれません。『ピアノと弦楽オーケストラのための新作』もいつか楽しみにしています笑

 

何度かのカーテンコールのちに前半は終了です。

 

 

・Gustav Mahler『Symphony No.5 in C-Sharp minor』

Ⅰ.葬送行進曲:精確な歩みで。厳粛に。葬列のように
「マリと子犬の物語」のサントラ『ふるさとの悲劇』にも通ずる、トランペットの悲しい雰囲気のソロから始まります。トランペットの山川さんが美しく、悲しい音のソロをしっかりと響かせ、そこに打楽器隊が加わり、悲壮感が漂う重苦しい雰囲気でスタートです。

重苦しい足取りの葬送行進曲の主題がすぐに聴こえてきます。久石さんもどっしり、ゆっくりと大きな振りで指揮をされていました。金管・木管が盛大に鳴り響くところでは生で聴けるからこそ感じられる大迫力。

後半部、『亡き子をしのぶ歌』からの引用部は、ヴァイオリンのメロディ、複雑に構成された弦楽の内声部、ホルンの対旋律のそれぞれの絡みがとても美しく感じました。終盤は冒頭のトランペットのソロが再び聴こえ、その旋律をフルートが遠くから聞こえるようにして1楽章は終わります。

 

Ⅱ.嵐のように激しく動いて。最大の激烈さをもって
1楽章からはガラッと雰囲気が変わり、怪しげな低音の動きからスタート。タイトルにあるように嵐のような激しい展開が続きます。ほどなく副次部の提示部は抒情的なメロディが聴こえてきます。久石さんは「さあここだよ」「もっともっと」というように指揮棒を振りながら各パートに指示を出していました。

2楽章はいくつも印象的なメロディが聴こえてきて、なおかつ扱う主題・副主題もアレンジが大きく変わって構成されているので、久石さんファンとしてはまるで「坂の上の雲」のサントラのような世界観で聴こえてきます。

終盤では高らかに金管のファンファーレのようなコーラルが聴こえてきて、コーダ部では主題の断片が少しずつ聴こえて、印象的なチューバの音が響き、最後は静かに終わります。

 

Ⅲ.スケルツォ:力強く、急ぎ過ぎずに
ホルンの力強い導入のちに、前の楽章とは雰囲気も大きく変わり、明るいワルツのような3拍子になります。やがて「レントラー」の旋律が聴こえてくると、久石さんも歌うように楽し気な感じで指揮棒を振っていました。

中間部ホルンが悲しい雰囲気のメロディをゆったりと。ここでは久石さんも音色が響くように待つような仕草も。その後に続く、ピチカートでは指揮棒を振らず、右手だけで指揮をしていました。

再びテンポが上がってくると、久石さんも全体を引っ張っていくように力強い指揮に。冒頭主題に戻る前に聴こえてくるホルツクラッパーにもしっかりと指示を出していました。

この交響曲の中で一番長い3楽章。スケルツォ形式とは言われてますが、展開も複雑で、後半部はソナタ形式のように構成しているように感じる箇所も。こんなに複雑な楽章を把握し、細かく指示を出し続ける指揮者の仕事は客席から見ていても苦労を感じる楽章でした。

 

Ⅳ.アダージェット:きわめてゆっくりと
こちらも全楽章とは一気に雰囲気が変わり、ハープの音色に美しい弦楽のハーモニーが響きます。久石さんは、指揮棒を置き、手だけを使ってゆったりと指揮をされていました。

同じ調のためか、『La pioggia』や「おくりびと」の『Beautiful Dead』のような久石さんの既存曲とも密接に関係しているのだと感じました。

癒しの楽章とは思いきや、熱量たっぷり。中間部では迫りくる弦楽の音圧に圧倒されました。久石さんも大きな振りで全体に指示を出していました。

後半で冒頭は1st Vnが演奏していた旋律が再び現れますが、こちらでは2nd Vnがメロディを紡ぎます。対向配置のため、メロディの聴こえてくる位置が変わるだけではなく、ニュアンスも異なった印象を受けました。静かに余韻を残したまま、アタッカで最終楽章へ続きます。

 

Ⅴ.ロンド・フィナーレ:アレグロ-アレグロ・ジョコーソ。生き生きと
前楽章の余韻を破るかのようにホルンの音色が鳴り響きました。1楽章・2楽章の重苦しい雰囲気とは真逆の明るく軽快で牧歌的なメロディが次から次へと爽やかに現れてきました。久石さんも笑顔で楽しそうに指揮をされているのが印象的で、軽やかなステップを踏んでいるようでした。それでもpの音が欲しい時は、身振りを小さく、「繊細な音がほしいな!」という仕草もしていました。

終盤は弦パートが上下に大きく動き回る中、金管のコーラルが盛大に鳴り響き、全パートが演奏し、テンポをアップさせながら、駆けあがっていくような盛大なフィナーレで幕を閉じました。

 

 

演奏が終わると何度かのカーテンコールののちに、恒例の楽団メンバーの紹介へ。

今回大活躍のトランペットとホルンへは盛大な拍手が贈られていました。その後は、こちらも恒例の弦楽の代表メンバーとの握手ですが…今回も対向配置でしたが、コントラバスは上手側への配置。コントラバスへ握手をしに行こうと思った久石さんがですが、下手側に行きそうになり、戸惑う姿も(笑) 今回も拍手喝采の中、演奏会が終わりました。

久石さんが何度か挑戦してきているマーラーの『Symphony No.5』。今回の演奏を聴いて、久石さん自身の作品にも密接に関わってきている楽曲だと思いました。それとともに、暗⇒明と向かう構成には大きなエネルギーを浴びた気がしました。

今後も久石さんと新日本フィルの演奏会は続きます。次回は2024年2月。次回のコンサートも楽しみになりました。

2023年9月27日 ふじか

 

冒頭にも書きましたが、ミニチュアスコア片手にふじかさんです(たしかそう、いつもそう)。予習に会場にアーカイブにと余すところなく音楽する日乗ですね。同名久石譲著書『音楽する日乗』あります。わりとクラシック音楽を中心に楽しくわかりやすく時に難しいまま語ったエッセイをまとめた本です。こうやって久石さんが種をまいたものが、ファンひとりひとりのなかに吸収されて育っていっている、すごいサイクルだな、そんなことを感じたレポートでした。楽しまなきゃもったいない、楽しむためには努力(学び)もときに必要かもしれない、ですね。

当日は、開演前・休憩中・終演後とあうんの待ち合わせで会話をしていました。そのときの第一印象の感想はほとんんど盛り込まれているように思います。そして、丹念にアーカイブ配信を楽しみながら、より深く細かくレポートにしてくれていることがよくわかります。ありがとうございます。

WDOだけじゃなくてクラシック演奏会でもファンたちで集えるようになってきてとてもうれしいです。コンサートに行く楽しみに、またあの人に会えるかな、ここならこの人も来るかな、と想像し楽しみが膨らんでいく感じっていいですね。そんなにがっつりは苦手でも、挨拶くらいの顔合わせ程度でもちゃんと記憶には残るものです。僕もなるべくコンサートに行く時は「行く」と直前にSNSで言うので、もしよかったら、お近づきになれたらうれしいです。

ふじかさんともまたそう遠くない先のコンサートでお会いできることを楽しみにしています。

 

 

 

本公演のプログラムノートや、久石譲の公演前メディア・インタビューなどはこちらにまとめています。

 

 

from 新日本フィルハーモニー交響楽団公式ツイッター

 

 

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

reverb.
コンサート・レポートのページだけまとめてもいい頃かも、僕のあなたのみんなの、充実してきた♪

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪

 

Info. 2023/09/22,29 [TV] NHK Eテレ「スイッチインタビュー テリー・ライリー×久石譲」EP1,2 出演決定!! 【9/30 update!!】

Posted on 2023/09/12

テリー・ライリーと久石譲がEテレ「スイッチインタビュー」で対談、音楽の深淵に迫る

NHK Eテレの「スイッチインタビュー」で、9月22日と29日の2週にわたってテリー・ライリーと久石譲の対談がオンエアされる。 “Info. 2023/09/22,29 [TV] NHK Eテレ「スイッチインタビュー テリー・ライリー×久石譲」EP1,2 出演決定!! 【9/30 update!!】” の続きを読む

Overtone.第96回 「久石譲指揮 新日本フィル 第651回定期演奏会」コンサート・レポート by tendoさん

Posted on 2023/09/30

2023年9月9,11日開催「新日本フィルハーモニー交響楽団 第651回 定期演奏会」です。2020年同楽団のMusic Parterとして定期演奏会にも登場するようになっています。2021年には「マーラー:交響曲第1番」と自身の新作「久石譲:Metaphysica(交響曲第3番)」をプログラムしました。今回は「マーラー:交響曲第5番」と自身の新作「Adagio for 2 Harps and Strings」をプログラム、マーラー作品のなかでも有名な「アダージェット」(交響曲第5番第4楽章)と並べらることになった久石譲版アダージェットともいえる作品。

今回ご紹介するのは、韓国からアーカイブ配信レポートです。今年夏のFOCvol.6やWDO2023はライブ配信がなかったため、久しぶりのうれしい鑑賞、そしてしっかり書き残そうレポートです。いつもありがとうございます!

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 #651

[公演期間]  
2023/09/09,11

[公演回数]
2公演
9/9 東京・すみだトリフォニーホール
9/11 東京・サントリーホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

[曲目]
久石譲:Adagio for 2 Harps and Strings *世界初演

—-intermission—-

マーラー:交響曲 第5番 嬰ハ短調

 

 

はじめに

9月16日、第651回定期演奏会(久石譲指揮・サントリーホール)の公演が有料アーカイブ配信された。F.O.C. vol.6とW.D.O.2023が配信されなかった状況で、どれほど嬉しいニュースだったかわかりません。

今回のコンサートでは久石譲の委嘱新作Adagioとマーラーの交響曲第5番が演奏される。

 

Joe Hisaishi: Adagio for 2 Harps and Strings

 

この曲は久石譲が「マーラー交響曲第5番」のアダージェットにインスピレーションを受けて作曲した曲だ。いつものように、弦楽オーケストラで演奏される曲は指揮棒なしで素手で繊細に指揮する。優雅なハープ2台はまるで天国を思わせるようで、弦楽器はゆったりと平和に祈るように演奏する。まるで瞑想音楽のようにゆったりとくつろげる聴きやすい曲だった。

2台のハープ。久石譲は2台のハープをよく利用する。以前レビューしたFuture Orchestra Classics Vol.3でもレポ・スメラの「交響曲第2番」は2台のハープが一番前に配置されて印象的だった。久石譲の自作曲の中でも日本武道館コンサートでもハープ2台が使われ、その他にも「Another Piano Stories ~The End of the World~」アルバム(2009)と「天人の音楽2018」でもハープ2台が使われた。

弦楽器のスタッカートで雰囲気が少し変わったり、演奏されるフレーズが少しずつずれて、久石譲のミニマル作品の感じが漂う部分も存在する。「マーラー交響曲第5番」はトランペットとホルンの負担が大きい。そのような理由から、この曲が金管楽器の負担を軽減する役割にもなっていたのではないか、という考えもしてみた。だとしたら…のちにハープ2台が入る大規模な交響曲の緩徐楽章に入ってもいいのではないか。

また、楽器の配置が常に使用していた第1ヴァイオリン-チェロ-ヴィオラ-第2ヴァイオリンの順序から少し変わり、第1ヴァイオリン-ヴィオラ-チェロ-第2ヴァイオリンの順序になるヨーロッパ式の配置方法を使用していたことが今回のコンサートの特徴だった。

この曲だけを演奏し、インターミッションの後、本日のメインであるマーラー交響曲が演奏される。

 

Mahler: Symphony No.5

 

「マーラー交響曲第5番」は3部に分けられる。 第1,2楽章が第1部、第3楽章が第2部、第4,5楽章が第3部だ。個人的にはマーラー交響曲5番を「暗黒から光明へ」解釈することに共感する方だが、このような解釈でマーラー交響曲5番を眺めれば1部は暗黒に該当し、暗黒と光明が共存し互いに主導権の戦いをする2部、光明を意味する3部になる。

第1楽章はトランペットのファンファーレで始まる1番目のモチーフ、そしてこのモチーフと対をなす比較的落ち着いた雰囲気の2番目のモチーフが交互に曲を導く。金管楽器の活躍がとても良かった。 第1楽章の5分頃に静かなファンファーレ以後急に雰囲気が激しくなる部分があるが、この部分で歯切れの良いスピードと涼しい展開で耳が本当に楽しかった。

 

 

今回のマーラー交響曲も、途中で演奏者たちがベルアップで楽器を演奏する部分も存在した。 ホルンも上に持ちあげて演奏したりもした。顔を上げて演奏すると楽譜を見るのに難しさはないだろうか?という気もしましたが…視覚的な効果が確かに良かった。マーラーはしっかり観客が最後まで集中できる要素をうまく入れておいたのではないか。

第2楽章は第1部の本論といえる。攻撃的なリズムで始まるが、やはり久石譲の指揮はよどみない速さとスピード感が感じられた。第2楽章も同様に、よりゆったりとした落ち着いた雰囲気で対照的なモチーフが登場し、2つの素材が交互になってポリフォニー的に重なり合ったりする。

第2楽章の面白いポイントは、明るい気運を帯びる長調のコーラルが登場し、曲の雰囲気をしばらく掌握してすぐに墜落し、結局短調に戻ってくる部分だ。 第2楽章が終わる時、二度目に登場するコーラルではホルンの素敵で豊かな音色が圧巻だった。

 

 

第3楽章もホルンがとても重要な楽章だ。 ホルンが第3楽章の始まりを知らせ、明るくて軽快な民俗踊曲であるレントラーで始まる。その後、慌ただしい動きの暗いモチーフが登場するが、すぐに曲は暗い雰囲気になる。

このように第3楽章は暗黒と光明の主導権の戦いが繰り返されるが、曲が暗い雰囲気で落ち続けようとする渦中には雄大なホルンが空から降りてくるように登場し雰囲気を転換させる。

ホルンが大好きな私としては幸せな瞬間の連続だった。

 

 

第3楽章にもピッチカートで演奏される部分があるが、この部分も指揮棒を後ろに折りたたんで指揮するのが見られる。

 

 

第3楽章で登場する珍しい木打楽器。 特異な打楽器もマーラーの交響曲の特徴だろうか。

 

 

第3楽章の終わりにまた空を飛び始めるホルン!!!第3楽章はホルンで始まりホルンの咆哮で終わる。

 

 

映画音楽の作曲家である久石譲にとって重要な楽章となる第4楽章アダージェット。この曲からインスピレーションを受けたAdagioという新作が初演された状況では、第4楽章にさらに期待を持たざるを得なかった。

やはりアダージェットは指揮棒を下ろして素手で指揮する。

アダージェットは死や哲学的意味を含ませるように10分~11分の長さでゆっくり演奏される場合がありますが、久石譲の指揮では9分強の長さで演奏された。久石譲も3部を光明を意味するものと解釈しているのではないか、という推測だ。

美しい旋律に沿って笑いながら指揮する姿は疲れた日常のヒーリングだった。

他の指揮者たちのアダージェットは、ときどき愛の裏の痛みや寂しさもにじみ出る感じだったとしたら、久石譲が指揮するアダージェットは、充満した愛だけを告白するセレナーデそのものだった。

 

最後の楽章である第5楽章は明るい雰囲気が全体を支配した。リズミカルにパン!と鳴る部分やいくつかのモチーフが無邪気に交互に繰り返し登場するのが面白かった。

 

 

コントラバスが弦を力強く引っ張るこの場面はしばらく脳裏に残った。

第5楽章の最後は第2楽章で一時的に登場してすぐ消えたそのコーラルが再び登場し、今度はきちんと明るいエネルギーを存分に発散して交響曲が終わることになる。

 

 

おわりに

今回のコンサートを見ながら、久石譲がベートーヴェン交響曲とブラームス交響曲の全曲を指揮して発売し、自分だけの指揮スタイルをきちんと構築しているという感じを受けた。例えば、アダージェットの速すぎずにスピードを逃さない部分は、ブラームス交響曲1番の再録音をした部分が思い浮かんだ。

実は私はクラシック音楽とはあまり馴染みがなく、今も難しい部分が多い。しかしこの頃はクラシックの楽しさを少しずつ身につけている。難しかったマーラーの交響曲も近づく感じを受けた。特に今回の交響曲5番はアルバムとして発売されることを願う。ブラームスの交響曲第3番のような人生曲の感じだった!

これからはどんなクラシック作品を久石譲の指揮で会うことになるのか、とても楽しみだ。

 

 

2023年9月29日 tendo

出典:TENDOWORK|히사이시조 – 신 일본 필 교향악단 제651회 정기 연주회 리뷰
https://tendowork.tistory.com/92

 

翻訳機能のせいで!?、ごつごつとした文章になることもありますが、なるべく書き換えないようにそのままにしています。単語として最適に翻訳されている言葉なのか、という不安もまたいつもつきまといます。tendoさんの着眼点はもちろん、表現のしかたもとても楽しくて好きなので、tendoさんらしい個性的なレポートが伝わるといいなと思っています。

ウッドパーカッションンは「ホルツクラッパー(スラップスティック)Slapstick」という鞭(むち)みたいですね。マーラー作品では第5番と第6番に登場するみたいです。

楽器配置について。久石譲は対向配置でおなじみです。tendoさんのレポートにもあるとおり、本公演では対向配置のパターンが少し違っています。簡単に言うとヴィオラとチェロが逆になっていて、コントラバスが右側にきています。ひとくちに対向配置といってもそのパターンは複数あって、作品ごとに最適なものを選んでいるのかもしれません。あるいは、久石譲の最新版になっていくのかもしれません。(どうして最新版…直近のグラモフォン録音の配置もこうなっていたからです…定点観測はつづく)

ひとつポイントなのは、チェロとコントラバスはセットで近くに配置されます。上の簡単に言うと~を言い換えると、ヴィオラとチェロが逆になり、それに連動するようにコントラバスもチェロ後方の上手奥になっている、という感じになります。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右対称になる両翼配置を基本として、ヴィオラ・チェロ・コントラバス、それにともなう管楽器群の配置パターンのバリエーションが対向配置にもある、そんな感じだと思います。

 

 

tendo(テンドウ)さんのサイト「TENDOWORKS」には久石譲カテゴリーがあります。そこに、直近の久石譲CD作品・ライブ配信・公式チャンネル特別配信をレビューしたものがたくさんあります。ぜひご覧ください。

https://tendowork.tistory.com/category/JoeHisaishi/page=1

 

 

 

本公演のプログラムノートや、久石譲の公演前メディア・インタビューなどはこちらにまとめています。

 

 

from 新日本フィルハーモニー交響楽団公式ツイッター

 

from Suntory Hall Official Twitter

 

 

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 では、久石譲コンサートのレポートや感想、いつでもどしどしお待ちしています。応募方法などはこちらをご覧ください。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心もちで、思い出をのこしましょう。

 

 

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reverb.
これからもコンサート配信つづくといいですね!

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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