Blog. 「久石譲×日本センチュリー交響楽団 特別演奏会「第九」」コンサート・レポート

Posted on 2025/12/30

2025年12月26,27日「久石譲×日本センチュリー交響楽団 特別演奏会「第九」」が開催されました。今年4月から日本センチュリー交響楽団音楽監督に就任した久石譲のジルベスターコンサート的!年末の特別なひとときです。

 

 

久石譲×日本センチュリー交響楽団 特別演奏会「第九」

[公演期間]  
2025/12/26,27

[公演回数]
2公演
大阪・フェスティバルホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:日本センチュリー交響楽団
ソリスト:森麻季(ソプラノ) 山下 裕賀(アルト) 山本 耕平(テノール) 山下 浩司(バリトン)
合 唱 :日本センチュリー合唱団
オルガン:室住 素子 ※

[曲目]
久石譲:Orbis ~混声合唱、オルガンとオーケストラのための~ ※

—-intermission—-

ベートーヴェン : 交響曲 第9番 ニ短調 Op. 125「合唱付き」

—-encore—-

White Night (for Chorus and Orchestra)

[参考作品]

久石譲 メロディフォニー ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱」 久石譲 PIANO STORIES 2

 

 

 

Program Notes

久石譲:Orbis ~混声合唱、オルガンとオーケストラのための~
I. Orbis ~環
II. Dum fãta sinunt ~運命が許す間は
III. Mundus et Victoria ~世界と勝利

Orbisは2007年の「サントリー1万人の第九」で演奏する序曲として委嘱された。「Orbis」は、ラテン語で「環」や「つながり」を意味する。その後2015年に全3楽章、約25分の作品として仕上げた。

約8年を経ての作曲はスタイルも変化していて多少戸惑ったのだが、ラテン語の言諺で「運命が許す間は(あなたたちは)幸せに生きるがよい。(私たちは)生きているあいだ、生きようではないか」という言葉に出会い第2楽章を完成することができた。第3楽章は「Orbis」のあとに作った「Prime of Youth」をベースに合唱を加えて全面的に改作した。この楽曲も第1楽章と同じく11/8拍子でリズムのドライヴ感が大切である。

もっとも大切に考えたことは明るく前向きな楽曲を作る!ということだが、それはベートーヴェンの「第九」と通じることであり人が生きるということへの讃歌でもある。

久石譲

(「久石譲×日本センチュリー交響楽団 特別演奏会「第九」」コンサート・パンフレットより)

 

「第九について」は柴田克彦氏による解説が掲載されています。

 

 

 

ここからはレビューになります。

 

今年最後の特別演奏会は、弦14型3管編成のオーケストラと混声合唱の総勢約200名という大所帯です。久石譲指揮ならおなじみの対向配置と、作品によって楽器群も細かく入れ替わる豊かな音色パレットを楽しむことができます。

 

久石譲:Orbis ~混声合唱、オルガンとオーケストラのための~

この作品の誕生から進化までの流れは、久石譲の楽曲解説にあるとおりです。今回は全3楽章となった2015年版です。当時その初演を聴いた衝撃と鳥肌は今でも鮮明に覚えています。あれから10年の大いなる沈黙を経て、待望の再演を果たしました。

 

I. Orbis ~環
人気と定番を併せ持ったアルバム『メロディフォニー』(2010)に単一楽章の作品として収録されています。久石譲ファンであることを声を大にするファンのなかには、この曲は絶対好き(外せない作品)!という人が多いです。いろいろなきっかけでファンになって探し聴くうちに必ず辿り着く地点。この曲が好き!って言うなら、ここまでに結構聴いてきてるね、好きのベクトルが近いかもと暗黙の共感が生まれる。そんな楽曲だと思います。

序曲のような楽章は、華やかさと品格があります。変拍子なのに気難しさよりも快感を感じるのはリズムの魔術師久石譲、聴きながら心が躍動していくのがわかります。合唱もバランスといい安定感といい素晴らしかったです。全楽章を通して歌われますが、すべて作詞:久石譲で貫かれた作品というのも稀だと思います。

 

II. Dum fãta sinunt ~運命が許す間は

厳かな楽章です。チューブラーベルズの等間隔で打たれる鐘の音とオルガンの分散和音から始まります。合唱がその流れに静かに乗ります。前楽章とは大きく雰囲気を変えた楽想は、合唱も諭すように語りかけてくるように進んでいきます。次第に濃淡に複雑な混声合唱のハーモニーへと広がり静謐な世界観に包まれます。

この楽章は管楽器はほとんど登場せずに弦楽セクションとオルガンと合唱が主です。後半にはミニマルな伴奏音型を第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンで交互にかけあい、左右対称に位置する音響的な揺らぎと、想いの揺らぎがこちらに近づいてきます。グレゴリオ聖歌やミサ音楽に通じる厳粛さに胸を打たれます。

 

III. Mundus et Victoria ~世界と勝利

勇壮さと威厳に満ち溢れた楽章です。冒頭からエネルギーの漲りに圧倒されます。オーケストラだけでも空中分解してしまいそうなほどの超最高難易度を誇る楽章だと思います。だからかっこいい!混声合唱はオーケストラと対等に拮抗して並走します。だからかっこいい!高みを極めるオーケストラと合唱がぶつかり合い結びつきを強めながら大きな有機体へと膨らんでいく。だからかっこいい!

弦楽セクションが淀みなく引っ張ってくれていると感じました。中間部では第1楽章が再現されます。そしてクライマックスは人間の、命の潜在パワーの爆発です。この楽章を聴いて活力を注入されない人はいないと言い切りたい。

歴代の大作曲家たちは、一歩先の時代を見据えた難易度の作品を書いてきました。現在は十全に演奏できなかったとしても、未来の演奏家たちはクリアするだろう難易度です。Orbis全3楽章版はそういう作品だと思います。だからしびれる!バロックやベートーヴェンの時代を繋ぎながら新次元の世界がここにあります。久石譲の真骨頂といえる作品です。

久石譲を語るうえで欠くことのできないOrbis。これから先はその橋渡しです。演奏、出版、音源の”環”がしっかり結ばれる日を心から期待しています。僕にできることは、音源を聴く、コンサートに行く、感想のリアクションを起こす、この”環”を貫いていきます。

 

 

2015年初演のレポート

 

 

 

ベートーヴェン : 交響曲 第9番 ニ短調 Op. 125「合唱付き」

久石譲クラシック演奏会といえば「第九」そんなイメージも強いかもしれません。演奏回数を重ねている作品ですが2018年NCO以来の久しぶりです。その前には2015年「第九スペシャル」が開催されています。戦後70年にもあたるその年は夏のWDO2015で「祈りのうた」「The End of the World」を、大晦日に「新版Orbis」「第九」をプログラムしています。十年後、戦後80年にあたる今年の夏そして年末に同じ流れのプログラムになった。とても興味深い点と線です。

音楽監督就任1年目の2025/2026シーズンでは、全ての定期演奏会でベートーヴェン交響曲と現代の音楽を組み合わせています。当初発表のなかったこの特別演奏会を加えることでベートーヴェン交響曲ツィクルスが完遂する布陣になりました。

2025
4/13 第5番(下野竜也)
6/12,13 第6番(久石譲)
7/25 第4番(デルヤナ・ラザロワ)
9/26,27 第1番(久石譲)
10/24 第2番(太田弦)
11/28 第7番(アルヴォ・ヴォルマー)
12/26,27 第9番(久石譲)
2026
1/16,17 第3番(久石譲)
2/28 第8番(鈴木雅明)

 

日本では師走感いっぱいの作品です。久石譲指揮による作曲家視点のアプローチは新鮮です。新年に聴いても楽しめるくらいフレッシュです。終演後のSNSにはいろいろな感想・意見が飛びかっていましたが、それだけ多くの日本人に根付いている作品でもありますね。

昔からよく耳にする一般的な第九に比べたら快速快演です。初めて聴いた時は、これがあの第九?同じ第九?と耳が新しくなる感覚でした。譜面にあるものを全て浮き立たせるような明瞭さと、精神性よりも音符と向き合うことを追求した表現は、他の指揮者では拝めない魅力がつまっています。ミニマル・ミュージックをベースとする現代作曲家は、とことんミニマル(それは音型の連なりを積み上げていくように)とリズムに集中して音楽を構築していきます。

小気味良いティンパニや、トランペットからコルネットにするなど、ベートーヴェン時代のピリオド音像も踏襲しながら、現代的な第九を鳴らす手腕はさすがです。ソリストと合唱も迫力があって鼓膜が揺れるほどの喜びでした。先入観からきれいに解放されることができるなら、こんなに好奇心いっぱいな第九はないでしょう。

 

スコア片手にもっと詳しいレビューはthuruさんのコンサート・レポートでお楽しみください。

 

音源もそろってます。手にとってお楽しみください。

 

 

 

 

アンコール

White Night
作曲:久石譲 編曲:宮野幸子

第九のあとにアンコールがある久石譲演奏会は初です。生粋の久石譲ファンなら冬に必ず聴くことになっている名曲です。コンサートでやるなんていつ以来だろう?!調べてみると初めてかもしれない!?あまりにも名曲すぎて一回もコンサートで演奏していないなんて思いもしない。1996年発表から約30年を経て久石譲コンサートでは初です(たぶん)。

冬の定番曲といえば「White Night」、クリスマスに聴きたい曲といえば「White Night」そうなっています。ファンが人にすすめたくなる珠玉のピースです。『Piano Stories II』(1996)に収録されたオリジナル版はピアノと室内楽の美しく温かく上品です。当時からノンタイアップな楽曲のままにいつだって澄んで輝いています。

2008年に歌曲版「ホワイトナイト」としてリトルキャロルのアルバム『The Christmas Album』で歌われました。そして本公演のための合唱+オーケストラ版は宮野幸子さん編曲です。「久石譲 in 武道館コンサート」や「NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲」などでもオーケストレーションを担当した曲があります。久石さんからの信頼も厚いことがわかります。リスナーも安心して心を預けることができます。

全体構成は同じです。優しい合唱の歌声に、ストリングスやハープや木管のやわらかい伴奏が温もりを添えます。ぐっとくるサビのメロディのところでリングベル(鈴)やグロッケンシュピールも結晶のようにキラキラと輝きをましていきます。そうして間奏の旋律はやっぱりホルンでしょう。まろやかに遠く彼方まで響きわたります。思っていたよりも壮大に膨む楽想は、シンバルによってバーンと一面銀世界が広がって、もうそこからは夢見心地で憶えていません。2コーラス目からは合唱もメロディをハモるだけではなく、いくつかの旋律をかけあったりと混声合唱らしい声部構成でした。

スペシャルなアンコールは冬の贈りもの。歌い出しは ”鐘の音が響く 「世界はひとつ」とうたう” の歌詞から始まります。ここからもう涙腺は崩壊しそうになりました。久石譲コンサート2025は、”戦争”という現代を色濃くにじませたプログラムで繋がっていました。日本センチュリー交響楽団との「祈りのうた2025」ツアーでも、「祈りのうた」「The End of the World」「World Dreams」で祈り・警鐘・希望の鐘が鳴り響いていました。そうして2025年を締めくくるにふさわしい鐘の音が響く。

静かにしっとりなイメージかと思ったら、「World Dreams」合唱版のようにメリハリが効いた壮大なナンバーに仕立てられていました。もう感動です。クリスマスはもちろんのこと広く冬の歌として聴ける曲です。「World Dreams」と並ぶ希望や祈りを響かせる曲がまたここに。冬のコンサート定番曲になってほしい、心からそう思いました。夏は「World Dreams」冬は「White Night」素敵すぎます。約30年ぶりに甦るくらいだからどんなことにだって希望はある。

 

 

久石譲 『PIANO STORIES 2』

 

 

ホワイトナイト

鐘の音が響く
「世界はひとつ」とうたう
雪の街にも南の街にも 響きわたる

一年一度の この星の降る夜は
ほほえみと 温もりが
どの窓にもあふれるの

どうかこの夜だけは
小さな私のこころ
すべてのいのち 愛せるように

鐘のうた響け
海の向こうまで

いつの日か世界中が
声あわせるまで

鐘の音が響く
「世界はひとつ」とうたう
西の街にも東の街にも 響きわたる

一年一度の 星の輝く夜には
喜びや 幸せを
どの瞳も映しだすの

*今日も星に祈る 灯を消さないで*

どうかこの夜だけは
大きな君のこころよ
昨日の痛みをゆるせるように

鐘のうた響く
海の向こうまで

いつの日か世界中が
声あわせるのね

作詞:河野清香&小池光子(Little Carol)
作曲:久石譲
編曲:松波千映子

(CDライナーノーツより)

注)*で囲んだ一節だけが歌詞カードから抜けていると思われる。漢字・かな表記は正確ではないかもしれないが補足。

 

リトルキャロル

 

White Night, Joe Hisaishi, Little Carol, 女声合唱

from Little Carol Official YouTube

 

久石譲の曲にはインスト版と歌版とどちらも輝いている名曲がたくさんあります。White Nightも紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。

 

 

ベストアルバム『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2』(2021)にも収録されています。CD会場販売もありました。終演後、ゆっくりした足取りでホールから出てくる観客たちに「アンコール曲のオリジナルが収録されています!」そんな活気ある掛け声があってもよかったくらいです。きっと喜んで列を作る人たちがいたでしょう。

 

スタンディングオベーションもたくさん見られ、とても温かく盛り上がったコンサートでした。海外ファンのテンションの高い歓声にも久石さんは両手でガッツポーズしながら満面の笑みで応えていました。今年一年の疲れをとるどころか歓喜と新たな活力をもらったコンサートでした。ありがとうございました!

 

 

今シーズンの最後を飾るのはこちら。まだ間に合います!

 

 

 

久石譲コンサート2025を振り返ってみると、数年に一度くらいの超特大級のプログラムが勢ぞろいしました。どれか一つでもコンサートに行けたらアタリです。

今年は20本のコンサートレポートを紹介できました。届けてくれたふじかさん、tendoさん、thuruさん!紹介しあってくれたショーさん、Alainさん!どうもありがとうございました。来年も久石譲の音楽を楽しんでいきましょう!

 

 

リハーサル風景

from 日本センチュリー交響楽団公式 X(Twitter) / Facebook
https://x.com/Japan_Century
https://www.facebook.com/JapanCentury

 

 

ほか

from 日本センチュリー合唱団公式X
https://x.com/jcchor2019

 

 

公演風景

from 日本センチュリー交響楽団公式 X(Twitter) / Facebook

 

 

株式会社 獺祭の会長 桜井博志さん(右)も駆けつけていました。

 

from 久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋X(Twitter)
https://x.com/hibikihajimecom

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

 

 

Overtone.第108回 「久石譲×日本センチュリー交響楽団 特別演奏会「第九」」コンサート・レポート by thuruさん

Posted on 2025/12/29

2025年12月26,27日「久石譲×日本センチュリー交響楽団 特別演奏会「第九」」が開催されました。今年4月から日本センチュリー交響楽団音楽監督に就任した久石譲のジルベスターコンサート的!年末の特別なひとときです。

今回ご紹介するのは、初めてコンサート・レポートを届けてくれた今夏からもう4回目のthuruさんです。コンサートを楽しむための予習から、余すところなく感じとったものまでが詰まっています。スコアを読める人だからこその鋭い気づきと分析の宝庫です。ぜひお楽しみください。

 

 

久石譲×日本センチュリー交響楽団 特別演奏会「第九」

[公演期間]  
2025/12/26,27

[公演回数]
2公演
大阪・フェスティバルホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:日本センチュリー交響楽団
ソリスト:森麻季(ソプラノ) 山下 裕賀(アルト) 山本 耕平(テノール) 山下 浩司(バリトン)
合 唱 :日本センチュリー合唱団
オルガン:室住 素子 ※

[曲目]
久石譲:Orbis ~混声合唱、オルガンとオーケストラのための~ ※

—-intermission—-

ベートーヴェン : 交響曲 第9番 ニ短調 Op. 125「合唱付き」

—-encore—-
White Night (for Chorus and Orchestra)

[参考作品]

久石譲 メロディフォニー ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱」 久石譲 PIANO STORIES 2

 

今回は日本センチュリー交響楽団第九特別演奏会の12月27日の様子をレポートさせていただきます。

今年は夏の3大コンサートなど日本での公演数が25回と海外公演の22回を上回る珍しい年となりました。そんな年を締めくくる最後の公演です。

会場の大阪フェスティバルホールは改装され赤を基調としたモダンでゴージャスの内装となっており美しかったです。ホール内には、限定久石ラベルの獺祭特別販売や新シーズンラインナップなども設置されていました。

曲目のOrbisと第九はセットで演奏されることが多いですが、意外にも2018年以来です。コンサートパンフレットには各楽曲の解説と、Orbis全楽章の歌詞(ラテン語、日本語)が掲載されていました。

 

 

久石譲:Orbis for Chorus, Organ and Orchestra

ラテン語で”環”や”繋がり”を意味するこの曲は元々はサントリー一万人の第九のために書かれたオリジナル曲です。そのため合唱も入る第九とたびたび一緒に演奏されてきました。2007年作曲のものですが2015年に組曲として三楽章からなる新版となっており、自分は今回初めて聞きました。

いつものように対向配置で、合唱が入るため打楽器は右端のほうに集中していました。スネアを担当する方のみ指揮台の前に配置されていました。今年の定期のボレロのような感じです。金管はティンパニを挟んでTrp,Hrnが左側、Trb,Tubが右側に配置されていました。指揮台より左側への指示出しが多かったように感じました。

 

第1楽章:Orbis~環
主に合唱とオルガンが中心の3/4拍子の部分とオーケストラによる11/8拍子によって構成されています。合唱部の歌詞は、第九と同じようにいくつかの単語からなっています。

OrbisもそうですしLinksやDeparturesの中間部、坂の上の雲より日本海海戦など2000年代後半から2010年代前半における久石リズムというのはこういった変拍子や独特なリズムがよくみられます。

メロディフォニー版から小さな変化が2つ。1つ目はチューブラーベルのパート譜です。具体的な箇所としては、スコアでいうと81小節目。11/8になる前のオルガンの六連符のさらに前のテノール(Fl,Picc,Ob,Ca,Hrn,Vla)によるアクセントの「Or-bis!」の部分が同じように演奏されていました。188小節目からも同じような再現部がありますがここはスコアに“Tub.Bells”と明記されています。いつもスコアを読み込んでいるからこそ気付いた本当に小さな変化です笑。スコア持っていない方、言語化が下手で申し訳ございません。

小さな変化の2つ目はテンポです。メロディフォニー版より遅めのテンポで始まりました。およそ10分の曲中で2度11/8になる箇所がありますが1回より2回目のほうが早くなっていました。意図されたアップテンポなのか、演奏で盛り上がっている中でのアップテンポなのかどちらかはわかりませんが、どちらにせよ聞く側としてもとても世界観が良くわかる、ノっていける演奏でした。出版スコアでは1回目も2回目もどちらも同じテンポ設定となっています。

少しスコアからしかわからない話をしますね。合唱部は全体通してソプラノ・テノールとアルト・バスがそれぞれ同じリズムで歌っています。途中でアルト、テノール間で半拍ズレていたりとオーケストラのみならず合唱にも難しいことを求めている作品です。オーケストラのほうは言わずもがな。なんだこれはとしか言えません。とんでもない数の16分音符です。果てしない数の音符からなるOrbis。生演奏でしかわからない気づきだだらけでした。

ここからの第2楽章と第3楽章は、音源もなく本当に初聞きだったので内容は薄くなってしまいます。すいません、、、

 

第2楽章: Dum fata sinunt ~運命が許す間は
「(第1楽章の作曲から)約8年を経ての作曲はスタイルも変化していて多少戸惑ったのだが、ラテン語の言諺で、”運命が許す間は(あなたたちは)幸せに生きるがよい。(私たちは)生きている間、生きようではないか”という言葉に出会い第2楽章を完成することができた。」(コンサートパンフレットより)

最初に思ったのは、この曲久石さんっぽくないな、ということです。作風が変化している中でOrbisに続く曲を作るという事で新しい試みだったんじゃないかなと思います。全体の雰囲気は教会のミサ音楽のようで、バッハのフーガのような感じもしました。

3拍子の短調で8分音符のオルガン伴奏から始まります。テンポはAndantino(4分音符=78)くらいだった気がします。オルガン、ストリングス、チューブラーベル、合唱の構成で管楽器の出番はありませんでした。ストリングスはヴィオラ、チェロ、コントラバスが和声を担当し、オルガン→2ndヴァイオリン→1stヴァイオリンの順を何周もするような形で同じ伴奏を繰り返していました。途中よりヴァイオリンの伴奏がトレモロになるなどミニマル的な要素ももちろん入り込んでいました。合唱は第1楽章とは異なり長い詩が歌詞となっているメロディーが中心の美しい旋律でした。女声メロディー→男声メロディー→同一単語を2度繰り返す、の連続です。

「運命が許す間は 幸せに生きるがよい 生きている間、生きようではないか 時は逃げる 時は逃げる」

歌詞より抜粋です。本当はラテン語ですが、少しでも伝わるように日本語訳を載せました。こんな感じで詩の後に2回何か言葉が繰り返されます。この繰り返す部分がユニゾンでした。リズムはナウシカレクイエムとほぼ一緒だったように記憶しています。一番スコアが気になる楽章です。

 

第3楽章: Mundus et Victoria ~世界と勝利
第2楽章からほぼ途切れることなく始まりました。一貫して11/8の第3楽章です。第3楽章の中でも曲調的に3つに分かれているような曲でした。常に合唱がメインのこの楽章は今までの久石さんの楽曲の要素を詰め合わせたような曲でした。

Part1,金管のファンファーレから始まります。弦楽器はポニョの浦の町のような雰囲気でした。合唱は第1楽章と第2楽章の間くらいの単語だけではないけど文章でもないくらいの言葉を歌っていました。イメージは第1楽章に近かったです。

Part2,ここではOrbisのメロディーが再現されていました。調を変えて少し変奏曲のような感じでした。途中から金管のファンファーレ、合唱はタタリ神の咆哮のような合唱も加わりました。

Part3,ヴィオラ、チェロのメロディーから始まります。僕の好きな系統のやつです。ちょっとXparkっぽさもあったでしょうか。Part2からたびたび出てくる金管のファンファーレがだんだん大きくなり盛り上がってアクセントのユニゾンで終わります。DA・MA・SHI・Eのラスト30秒のような盛り上がりでした。

第3楽章は全体通して一言でいうと長調でめちゃくちゃ明るい「Beyond the World」です。

 

久石さんが以前、1つのコンサートで自作と他の作曲家の曲をやるときは自作よりも他作を優先する。とおっしゃっていました。今回、自分も同じで第九ばかり勉強してあまりOrbisのほうに手が回せませんでした。今となってはすごく後悔していますが、新しい感覚で聞けてすごく満足しています。本当に度肝を抜かれました。素晴らしい演奏でした!

Orbisだけでもこんなに長くなってしまいました。うまく言語化できておらず、伝わりにくいかもしれませんが少しでもなんとなくわかれば幸いです。

 

―休憩―

 

ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱付き」

日本ではこの正月によく演奏される、一年を締めくくるこの曲は実に7年ぶりの披露となりました。今回この演奏会に行けるとわかったときから、時間があれば第九の勉強をしてきました。今回の教材は3つ。音源(FOC)、スコア、著書です。久石さん曰く、第九は“無駄をそぎ落とした完璧なスコア”だそうで、自分も勉強をしていく中でたくさんの気づきがありました。また、腕時計をはめて演奏時間も測ってみました。(ちゃんと演奏のほうに大集中しています)タイムは最後に発表します。

※ここからの解説はスコアを確認しながらのほうが120倍わかりやすいです。動画共有サイトやIMSLPなどにのっているので確認してみてください。申し訳ありません、、、

第1楽章:Allegro ma non troppo, un poco maestoso
2ndヴァイオリン、チェロの6連符から始まります。スコアに着目すればするほどベートーヴェンのすごさがどんどんわかってきます。ニ短調ですが数小節、調性が決定されないようにベートーヴェンによって仕掛けられています。小節数でいうと最初のおよそ20小節です。空虚5度というものが使われています。最初に何とも言えない雰囲気にもっていかれる原因です。最初、1stヴァイオリンが「ミラ ラミ」という感じで下がっていくんですがこの2つ目の4分音符がすごい伸びていました。テヌートくらいですかね。音源よりも全体的に解釈が新しくなっている印象でした。

第2楽章:Molto vivace
僕の1番好きな楽章です。解釈関係なく元のテンポ設定が速くてスコアでもついていくのが難しいこの楽章。久石さんはベーレンライター版で二楽章のリピートはすべてやります。「タンタタン,タンタタン,タンタタン」フォルテッシモの轟音で始まります。が、最初は少し抑えめでだんだん大きくなるように調節されていました。中間部のチェロの流れるような旋律は本当に美しいです。久石さんの指揮にのせてどんどん盛り上がっていきました。

第3楽章:Adagio molto e cantabile
木管の旋律から始まります。本当に美しい。その言葉に限る楽章です。ここで寝ちゃう方、まだまだです。見どころ満載ですよ。弦楽器のピチカート、ファゴット、ホルンのソロなど要所に見どころがあります。ホルンのソロ、本当に素晴らしかったです。めちゃくちゃうまい。ホールに響き渡る残響もちょうどよく耳に届いてとても聞きやすかったです。ホールの良さかな?

第4楽章:Finale, Presto(S,森麻季 A,山下裕賀 T,山本耕平 B,山下浩司)
嵐のような轟音を響かせスタートします。チェロとコントラバスのソロです。第1楽章から第3楽章を振り返り、それを否定する形です。途中では歓喜の歌のメロディーも登場します。ふたたび轟音が鳴ったかと思えばバリトンのソロです。マイクも使わずにホール全体に響き渡る声量は本当にすごいです。テノールのソロも同様で男性でもあそこまで高い声を響かせるのは本当に脱帽です!合唱も素晴らしかったです。一般募集の臨時団員も参加していたそうですがそれも全く感じさせない歌声でした。alla marciaでは跳ねるように楽しそうに指揮をされていました。最後の100小節ほどのからの「シラ」(名前でいうとPoco allegro stringendo il tempo, sempre più allegro)のところからは観客の皆さんがスゥーともうクライマックスが来る!と言わんばかりの音にならない深呼吸をしていました。自分もその中の1人です。大団円完璧に決まりました。ちょっと拍手早い人何人かいたかな??それでも本当に素晴らしい演奏でした。

第九全楽章通して変わらないことはいくつかありました。まずは左手の指揮が効いていたことです。左手での指示出しが露骨に演奏に反映されていて、久石さんがやりたかったことは伝わっていたんじゃないかなと思います。そしてもう一つ。音源(FOC)とは表現が変わっていることです。全体的にタメが多く、ここだ!というところで一発ドカンとくる印象でした。(特に第1、2楽章)

今回の演奏時間を発表します。カウント開始は久石さんが1拍目をとった13時55分25秒(推定)です。今回の演奏時間は63分でした。音源から数分伸びています。しかしこの伸びた時間は決して久石さんの個性が薄れたとかではなく、今年1年日本センチュリー交響楽団とベートーヴェンの交響曲を通していく中での新しい気づき、解釈、試みだったんじゃないかなと思います。素晴らしい演奏でした!!!

 

―Encore―
久石譲:White Night (for Chorus and Orchestra)編曲:宮野幸子

まさかの曲です。まず第九にアンコールを持ってくるのかと。過去公演ではアンコールなかったですし、やるとしても合唱版World Dreamsかなと思っていたんですが、ピアノストーリーズⅡよりこの曲でした。本当にまさかの選曲。原曲はピアノを中心としたものですがそれを合唱に置き換える形となっていました。オーケストラの伴奏も途中でタンバリンやトランペットの軽やかなメロディーなどクリスマス感もある編曲が施されていました。一年間頑張ったねと労わってくれるようなそんな曲でした。リトルキャロルの公式YouTubeに女声のみのヴァージョンがアップロードされています。参考程度に聞いてみてください。

激動の2025年を締めくくる今回のコンサート、足を運べて本当に良かったです。新年の国内最初のコンサートは1月16日の定期演奏会です。ハープコンチェルト行きたいですねー。いや行くしかない。日程が合えば行きます。来年以降は個人的に予定がたくさん入っていてもしかすると一度もコンサートに行けないかもしれないのでそんな気持ちで向かった今回の第九でしたが本当に満足です。久石ファンとしてはやっぱり完全版Orbisすごかったです。もっとたくさんの人に聞いてもらいたい。音源化、映像化、全楽章スコア出版、待ってます!!

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました♪

2025年12月28日 thuru

 

オリジナル版Orbisから新版Orbis 第1楽章の微細な変化の気づきもおもしろかったです。第2楽章の深く聴いている様子も、第3楽章の久石譲らしさを浴びている様子も、とても楽しく伝わってきました。

第九も勉強の成果がすごくてただただ脱帽です。スコアや音楽用語がわからなくても雰囲気で伝わってくることもいっぱいある、わかりやすさもまたすごいです。確かに今回の第九は快速感は音源よりも感じなかったかもしれませんね。演奏するたびにアプローチやこだわりも進化していく久石譲指揮を感じるのがコンサートです。

まさか第九コンサートにアンコールがあるなんてびっくりしますよね!今回も最後まで楽しく読ませていただきました。コンサートの翌日にここまでホットで濃厚な感想を届けてくれて感謝です。来年もまた楽しんでいきましょう!

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

「想い書くことで、新しく聴こえる音がある」

コンサートについて語りたいそう願うのは、ほかならぬ私もまた誰かにコンサートや音楽の魅力を教えてもらった一人だからです。

どうぞお楽しみください。

 

 

reverb.
ハープコンチェルト行けるといいですね♪

 

 

 

Info. 2026/06/26 国立音楽大学 創立100周年記念「くにおん100フェス! Grand Gala」久石譲新曲 世界初演!!

Posted on 2025/12/22

国立音楽大学 創立100周年記念 
世界的作曲家 久石譲氏が母校に贈る新曲、世界初演決定!
2026年6月26日「くにおん100フェス! Grand Gala」
サントリーホールにて “Info. 2026/06/26 国立音楽大学 創立100周年記念「くにおん100フェス! Grand Gala」久石譲新曲 世界初演!!” の続きを読む

Info. 2026/08/11-17 「Joe Hisaishi Film Music Concert in New York」久石譲コンサート(ニューヨーク)開催決定!!

Posted on 2025/12/17

2026年8月11日-17日、久石譲コンサートがアメリカ・ニューヨークで開催されます。ラジオシティ・ミュージックホールでの7夜連続公演です。映像と音楽でお贈りするコンサート。スタジオジブリ宮﨑駿作品をはじめ北野武作品や高畑勲作品まで、久石譲の指揮とピアノで名曲たちが一堂に会するフィルム・ミュージック・コンサート! “Info. 2026/08/11-17 「Joe Hisaishi Film Music Concert in New York」久石譲コンサート(ニューヨーク)開催決定!!” の続きを読む

Info. 2026/11/25-12/2 「JOE HISAISHI’S WORLD DREAM TOUR」久石譲コンサート(ドイツ4都市・スイス)開催決定!! 【12/14 update】

Posted on 2025/12/13

2026年11月25日~12月2日、久石譲とロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団でワールド・ドリーム・ツアーを開催します。ドイツ4都市(ベルリン・ミュンヘン・シュトゥットガルト・ハンブルク)とスイス(ルツェルン)を巡ります。 “Info. 2026/11/25-12/2 「JOE HISAISHI’S WORLD DREAM TOUR」久石譲コンサート(ドイツ4都市・スイス)開催決定!! 【12/14 update】” の続きを読む

Info. 2026/01/02,09 [TV] 金曜ロードショー 『千と千尋の神隠し』『かぐや姫の物語』放送決定!!

Posted on 2025/12/12

2026年のお正月はジブリでスタート!1月2日『千と千尋の神隠し』1月9日『かぐや姫の物語』

2026年最初の金曜ロードショーは『千と千尋の神隠し』を放送!
今年の“初ジブリ”はぜひこの放送から! “Info. 2026/01/02,09 [TV] 金曜ロードショー 『千と千尋の神隠し』『かぐや姫の物語』放送決定!!” の続きを読む

Disc. 久石譲 『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行 オリジナル・サウンドトラック』

2025年12月10日 CD発売 SICP-31831

※高品質CD Blu-spec CD2でのリリース
※配信はグローバルで先行配信(2025.9.19)

 

『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』
(原題:A Big Bold Beautiful Journey)

監督:コゴナダ
脚本:セス・リース
音楽:久石譲
出演:コリン・ファレル、マーゴット・ロビー

US公開日:2025年9月19日
日本公開日:2025年12月19日

 

 

もしも人生をやり直せる不思議なドアがあったら?

日本が誇る作曲家・久石譲が初めてハリウッド映画音楽を手がけた『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』。主演は、「スーサイド・スクワッド」シリーズや『ウルフ・オブ・ウォールストリート』など数々の話題作に出演し、『スキャンダル』でアカデミー賞にもノミネートされたハリウッドを代表するトップ俳優、マーゴット・ロビー。全世界で社会現象を巻き起こした『バービー』以来、約2年ぶりの映画出演作としても注目を集めています。また、『イニシェリン島の精霊』でベネチア国際映画祭・最優秀男優賞を受賞し、『アフター・ヤ』で全米映画批評家協会賞主演男優賞を獲得したコリン・ファレルがW主演。名実ともにハリウッドのトップスターの2人を演出するのは、韓国系アメリカ人のコゴナダ監督。スタジオジブリの熱烈なファンとしても知られ、ジブリ作品の音楽で世界的に名高い久石へ本作の音楽を直接オファー。久石のルーツであるミニマル・ミュージックの手法で全曲が作曲されたサウンドトラックにも注目が集まります。また、劇中を彩る挿入歌としてシンガーソングライターLaufey(レイヴェイ)やMitski(ミツキ)の楽曲も収録。

(CD帯より)

(メーカー・インフォメーションより)

 

 

CDライナーノーツには前島秀国氏による楽曲解説5ページが収められている。映画ストーリーと楽曲の関係性、および楽曲ごとの結びつきを久石譲の作曲手法をまじえて具体的に紐解いている。本編未使用楽曲がサントラ盤に収録されていることにも言及している。物語の内容にも深く触れているため映画鑑賞後の深い振り返りとして大いに役立つにちがいない。

 

久石譲コメントのみ紹介する。

「コゴナダさんはインディーズの監督ですが、今回はハリウッド、しかもエンタテインメント作品ということで、ポップスの曲を多用していました。そのため、僕の音楽の曲数はそれほど多くはないですが、それを承知の上でお引き受けしました。映画音楽では、いろいろなタイプの劇伴を書かされることが多いのですが、今回は(曲数が少ないことが幸いして)それをしないで済みましたし、かえってミニマル・ミュージック的な曲で通せたので、嬉しかったです」

(CDライナーノーツより)

 

 

 

レビュー

本編109分、サウンドトラック61分、うち久石譲音楽40分、本編使用は約30~35分。

久石譲コメントにあるとおり音楽は全てミニマル・ミュージックのスタイルで書かれている。演奏はオーケストラの小さい編成そして久石譲によるピアノ。Future Film Orchestraは久石譲のもと結集したFuture Orchestra Classicsから派生している在京オケを中心としたトップ奏者からなる精鋭たちだ。

切り詰められた素材と音色とで豊かな余白を作り出している。控えめという言い方もできるかもしれないが、むしろスペースの広がりを活かしてうまく映画の展開やバラエティに富んだ挿入歌らを有機的に繋ぐ役割を果たしている。不思議なのは感情やエモーショナルの煽動を抑えるはずのミニマル音楽がこの映画の感情移入を助けている。

本作にはポップスをはじめ多くの挿入歌が使用されている。エンドクレジットや海外の情報サイトなども参照すると10曲以上に及ぶ。ただしそのほとんどは1,2分程度しか流れていない。一方で、サントラ収録の書き下ろし含む挿入歌6曲はたっぷりと聴くことができる。映画を彩るにふさわしいナンバーたちだ。

パッヘルベルのカノンを使用したポップス「Full of life / Christine and the Queens」も印象に残っている。

 

「実は2022年にアメリカのテレビドラマの音楽の話があって、これも実はトラウマを受けた青年の話だったんですよ。いわゆる配信系の大作で、まだ台本はなく、ただトラウマを受けた青年の話ということくらいしかわかっていなかった。」

これは映画『君たちはどう生きるか』についての久石譲インタビューからだ。当時日常的に書き溜めていた曲のいくつかは『君たちはどう生きるか』で活かされることになる。もしかするとその時採用されなかったデモ音源らから本作の音楽に活かされた楽曲もあるのかもしれない。ミニマルのスタイルといい音色パレットといい、『君たちはどう生きるか』と『ビューティフル・ジャーニー』は姉妹作品と呼べるほど密接している。二つを合わせて繊細な世界観を扱った壮大な音楽世界として並べ聴くのもまた味わい深い。

サウンドトラックに戻る。本編音楽中「4. Sara and David」前半部のみ、「7. The Lighthouse」後半部のみ、「9. Memory of Dad」冒頭のみ、などとなっていた。トラックから切り貼りしているのではなく、トラックのここしか使っていない、ここまでしか使っていないがあるようだ。きっと他にもあるだろう。

同じモチーフをテーマとした楽曲は、Track-1,5,7、Track-4, 22、Track-12, 19、Track-13, 20, 21でグルーピングすることができる。物語と呼応するように、楽曲を変容させることで結びつきを提示している。

さらに見ていくと「1. Rain」冒頭から流れる「タタタ・タタタ」のモチーフは、様々なトラックで素材の一部として使われていると聴こえる。「9. Memory of Dad」もまたそうだ。そしてこのTrack-9などでは久石譲が提唱する単旋律(Single Track Music)の手法も用いらている。

また本編未使用楽曲は「3. The Point」「6. The Door」「8. Silent」「22. Meet Again」であった。実はサントラ盤をPCに取り込んだとき曲名に”(Bonus Track)”と表記される楽曲がありこれと一致している。ライナーノーツで前島氏は未使用楽曲について「8. Silent」を挙げ言及している。つまりは、『ビューティフル・ジャーニー』サウンドトラックは、久石譲がこの作品のために書き下ろした曲が余すところなく収録されている贅沢な音楽集だ。

 

 

映画鑑賞後のまとめとして、サウンドトラック61分、うち久石譲音楽40分、本編使用は約30~35分ということになる。ハリウッドスタイルでもなく音楽過多・音楽過剰でもなく、久石譲のスタイルをしっかりと貫き、そのうえで映画と観客を繋げている貢献度は極めて大きいと感じた。

原題のA Big Bold Beautiful Journeyは本編セリフでも登場する。日本語字幕には「心に残る壮大な旅」とあった。

 

 

 

メディアレビュー

久石譲初のハリウッド作『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』を読み解く / その選曲が、映画をつくる | カルチャーメディアNiEW(ニュー)
https://niewmedia.com/series/shibasaki/2512abbbj_edski_wrsbs/

 

 

 

1. Rain
2. I’m Not
3. The Point
4. Sara and David
5. A Big, Bold, Beautiful Journey
6. The Door
7. The Lighthouse
8. Silent
9. Memory of Dad
10. High School
11. Mom Passed Away
12. To Her Mother’s Side
13. Memories of Mother
14.The Balloon and the Bear
15. Earth Kiss
16. Couple Fight
17. The Accident
18. Midnight Walk
19. Twin Paths
20. The Childhood Home
21. When I Was Young
22. Meet Again
23. The Risk  Laufey
24. Winter Wonderland  Laufey
25. But Beautiful  Laufey
26. Let’s Dream in the Moonlight (Take 1)  Laufey
27. Let My Love Open the Door  Mitski
28. The Risk (Instrumental)  Laufey

 

Score Composed and Produced by Joe Hisaishi

Conductor / Piano: Joe Hisaishi
Performed by Future Film Orchestra
Voices by Mai Fujisawa and The Philharmonic Orchestra of Tokyo (Track 8)

Manipulator: Yasuhiro Maeda
Recorded by Hiroyuki Akita, Suminobu Hamada
Mixed by Hiroyuki Akita
Mastered by Rob Kleiner
Music Sheet Preparation: Saori Minomo

Recorded at Victor Studio, Tokyo / LANDMARK Studio, Yokohama, Japan, December 17-19, 2024

and more…

 

Info. 2026/06/28 「Joe Hisaishi Film Music Concert in Nîme」久石譲コンサート(ニーム)開催決定!!

Posted on 2025/12/08

2026年6月28日、久石譲コンサートがフランス・ニームで開催されます。ニーム・フェスティバルはフランス南部の都市ニームで毎年夏に開催される音楽・文化イベントです。古代ローマ時代の円形闘技場「ニーム・アレーヌ」をステージにして、ロック・ポップス・クラシック・オペラまで多彩なジャンルで彩る夏の祭典です。2026年は6月11日からスタートします。 “Info. 2026/06/28 「Joe Hisaishi Film Music Concert in Nîme」久石譲コンサート(ニーム)開催決定!!” の続きを読む

Overtone.第3回 羽生結弦×久石譲 「Hope&Legacy」に想う 【12/7 update!!】

Posted on 2017/01/20

ふらいすとーんです。

 

2025.12.07 update

アイスストーリーGIFTもまさに羽生結弦さんにピッタリです!これがちゃんと言いたかったです✨

今日は羽生結弦セットでまとめてみました🎂✨

🎁VIEW OF SILENCE
🎁Asian Dream Song
🎁あの夏へ

羽生結弦さんお誕生日おめでとうございます!talentは才能を表す言葉ですが、欧米では「天賦の才」「特別な能力」「神様からの贈り物」の意味も含んだGIFTもよく使われるとあります!ますますのご活躍をお祈りしています!✨

 

やっぱりこういうのは切り取ったらダメだと思う。魂が抜けちゃう。羽生結弦という映画が作られるなら完全ノーカットで入れて欲しいに値する。広めたくてもトリミングな雰囲気でなんて作品がもったいない。時間も芸術だからね素晴らしいボレロ

羽生結弦さん野村萬斎さんのボレロすごかった!こんなに魂を燃やす作品になるって。スポーツ、エンタメ、アートどんな見方をしても一つ確かなことは本物!!今歴史を作っている瞬間だとびしびし伝わってくる!すごいものを見せていただきました

 

 

2024.04.28 update
これまでのポスト(ツイート)をまとめました。

 

たとえば羽生結弦選手に特別に許可されたといって、広く一般に許可されたことじゃないですね。その楽曲の取り扱いがゆるくなったわけじゃない、転載OKなはずもない。感覚的に勘違いしてしまわないよう気をつけないとですね。祝!GIFTパッケージ化に水を差さないためにも。

 

VIEW OF SILENCE / 久石譲

Asian Dream SongとDVD音源でそろえなかったのはきっと理由がある。ライブのほうはチェロ合奏とピアノ。オリジナルのほうはヴァイオリンら高低の豊かな弦楽合奏の響き。ホプレガのクライマックスでよくわかる。こみ上げてくる涙腺を止めることはできないと。Hope&Legacy

 

VIEW OF SILENCE『PRETENDER』/ 久石譲 #久石譲サブスクあり

PRETENDER=ふりをしている人。強いふり、大丈夫なふり、傷ついていないふり。その中にあるVIEW OF SILENCE、耳をすませる。自分の心をみつめる。まだそこには、いつもそこには、ありたい自分の灯。内なる情熱は消えていない。Hope&Legacy

 

Asian Dream Song 『a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos 2003 ETUDE & ENCORE TOUR-』/ 久石譲

「夢をつかむ者たちよ 君だけの花を咲かせよう」歌詞までしっかり聞こえてきそう。Hope&Legacy脚光のなかDVD再販しないのもったいない….命吹きかえした名演の永久保存版

 

羽生結弦さん、アスリートの顔からさらにアーティストの顔になったと感じます。そして一貫しているプロフェッショナルの顔。これからも<羽生結弦×久石譲>を見たい。そのためにできること。
in simple English .. may be wrong –>

He looks like change from Athlete style to Artist style. and, no change Professional style. Now and forever, we want to see <Yuzuru Hanyu×Joe Hisaishi> special works. Please stop reupload or share on video site and SNS without permission, especially paid distribution. Thank you!

 

もし自分がお願いすることで作曲家さん達にも迷惑をかけている、申し訳ない、もうお願いしづらい、そう羽生さんが思ってしまっていたら。残念ですね。するとこれから待っている将来の素晴らしい作品やコラボたくさんの可能性を消してしまっているかもしれない。未来のために素敵に正しく楽しみたい!

 

久石さんで調べものしてたら羽生さんのOne Summer’s Day動画がたくさん流れてきますね。まあダメですね。もしかしたら(かなり歩み寄って)悪気はないのかもしれない。自分の国のなかでやっている行為、SNSで世界に広がっている意識が希薄、NGな国の文化を理解できていない→

なんなら自国は緩いOKだからNGな国はそっちで閲覧できないように規制したらいい。うーん、もし自分がOKな国側だったらそう思ってしまうかもしれません。世界をまたぐ活躍のエンタメやスーポツ、日本だけが極端に厳しい現状もあります。広く知ってもらうメリットやチャンスもあります。→

今は、ファン同士のアドバイスと、でもつながりギスギスしないように、主催者がアナウンスを徹底する。とにかく英語でのアテンションプリーズを根気強くやる、日本発信のものはダメなんですよと。世界から注目されてるなんで素晴らしいことなんですから🙌素晴らしいままお互い楽しみたい!

 

『Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023 “GIFT” at Tokyo Dome』

2023.02.26

Thank you for <Yuzuru Hanyu × Joe Hisaishi>

Collaboration no.1
“Hope & Legacy”
View of Silence(CD), Asian Dream Song(Live DVD)

Collaboration no.2
“あの夏へ(One Summer’s Day)”
[ENCORE] Pf.solo

 

VIEW OF SILENCE
羽生結弦選手「Hope&Legacy」のおかげで新たな生命とファンを獲得した幸福な曲。今も昔もピアノとストリングスという構成には強いこだわり。久石譲いわく”「内なる情熱」というようなエモーショナルな部分が引き出せたと思う”。至芸の弦音(つるおと)美しい。

 

羽生結弦選手「Hope&Legacy」”View of Silence”。『PRETENDER』CD収録曲ですが、2001年福島「うつくしま未来博」上映作品『4 MOVEMENT』(監督:久石譲)でも使われた曲。この曲には東日本大震災、東北への想いが込めれているのかも。”Asian Dream Song”はスケート始めた頃と夢。象徴的な2曲にのせて。

 

Asian Dream Song
歌曲版サビのないこちら原型。羽生結弦選手のおかげで新たな生命とファンを獲得した幸福な曲。そのスポーツとこの曲に共通するのは、芯の強さと芸術性の高み。いつまでも輝きを失わない。”View of Silence”も収録してほしかったですね。

(up to here, updated on 2024.04.28)

 

 

 

忘れもしない2016年9月半ば。フィギュアスケートの羽生結弦選手が、久石さんの楽曲を使用するというニュースが飛び込んできました。日を追うごとに少しずつ明らかになる情報、久石譲ファンサイトとして楽曲「Hope&Legacy」~(「View of Silence」+「Asian Dream Song」)についてインフォメーションしました。そして更新修正をくり返し、たくさんの人に見てもらうことができました。

初期段階で、僕の推測が間違ってしまいご迷惑をおかけしました。…だって、まさかライヴ盤とレコーディング盤を組み合わせるなんて…すいませんでした。多くのフィギュアファン、羽生選手ファンの皆さんにブログやツイッターで紹介してもらい、その拡散パワーはすさまじいものでした。

「Hope&Legacy」ってこういう曲らしいよ、と紹介してもらうたびに。羽生選手が各大会で演技するたびに、瞬間的にこのファンサイトに大きな波が押し寄せてきます。あらためて、フィギュアスケートの人気、羽生結弦選手の人気に圧倒されています。

ある一日の「久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋」アクセス数です。1日で23,102人、普段の何倍なんだ!? 羽生選手のインフォメーションが17,850人と他を引き離し、他を引き上げて、その関心の高さを数字でも見せつけられました。使用楽曲が収録されたCD/DVD情報も引っ張られるように上位にきています。年間アクセスランキングでもケタ違いでNo.1だったことは言うまでもありません。

 

 

 

 

 

さて、『Hope&Legacy』にはどういう想いが込められているんでしょうか。僕はそこにずっと関心があるんですけど、なかなか羽生選手本人が語っている情報も見つけられず、悶々としています。『なんでこの2曲だったのかな?なんでこの2曲を組み合わせたのかな?』という点に尽きるんです。もちろん久石さんが口を開くこともなく。わかっている情報をパズルのピースのように並べてみました。

  • 「View of Silence」楽曲制作で想いやコンセプトは語られたことがない(久石さん)
  • 1998年は羽生選手がスケートを始めた年、長野パラリンピック冬季競技大会開催年
  • 羽生選手本人の強い希望でこの楽曲が選ばれた

これだけしかない。でもここから紐解いてみます。

  • 「View of Silence」はゼロベースで新しい解釈やイメージをつくることができる
  • 「Asian Dream Song」は「旅立ちの時 ~Asian Dream Song~」ver.として
  • 歌詞の言葉もふくめて特別な想いや思い出があるのかもしれない(合唱曲でもある)

こんなふうに飛躍解釈して…

 

「静寂の景色」、そこはまさに氷の上。何も聴こえてこない沈黙の場所。果てしない夢を抱き、静寂と鼓動で揺れる。「旅立ちの時」、夢を追いかける時。一人の夢、みんなの夢。かつて夢をつかんだ人たちが遺してくれたもの。そして今。自分が夢をつかんで未来に遺していくもの。『Hope&Legacy』。はじまりの場所にふたたび。でもあの時の景色とは違う。いろいろな音が声が想いが聴こえてくる。いつもここから始まる、いつもここへ帰ってくる。そのたびに新しい景色が見える。そしてまた旅立つ時はくる。HopeもLegacyも終わらない、継がれていくものだから。

 

と、勝手に楽曲コンセプトを解釈しました。振付や衣装もふまえて羽生選手ファンは、もっと深い解説ができるのだと思います。見当違いな解釈だったらごめんなさい、大変お粗末さまでした。(^^;)

久石ファンとしては憤慨しているのです。あんな名曲ふたつを切り貼り編集しちゃって…。「Hope&Legacy」を聴くたびに、ふだん向うはずの展開に曲が進まないので、あれっ、とつまずきそうになるのが治りません。そのくらい原曲が染みついちゃってる。

でもこうやって「Hope&Legacy」に新しい解釈と想いを馳せてみると、すっと受け入れられて、新しい聴こえ方がしてくるような気がします。「View of Silence」「Asian Dream song」とは違う、『Hope&Legacy』という作品として、新しい命を得た幸運な楽曲なのかもしれないと。

 

 

久石さんサイドからもう少しタイムスリップ紐解きます。

 

「HOPE」

長野パラリンピックは、アジアで初めて開催される冬季競技大会であり、20世紀最後の大会となります。大きな時代の変わり目の時、開会式は希望「HOPE」をテーマにしました。

そして、このテーマの出発点となったのが、フレデリック・ワッツの描いた一枚の絵「HOPE」です。今回このアルバムに参加して頂いたアーティストには、この絵を見てもらったイメージから新曲を作って頂いたり、演奏して頂いたりしています。

(「長野パラリンピック支援アルバム HOPE」 CDライナーノーツより)

久石譲 『長野パラリンピック支援アルバム HOPE』

 

「HOPE」

ワッツが19世紀の終わりに描いた作品でイギリス・テートギャラリーに収められています。

HOPE 地上の楽園

「Hope」(1886)
GEORGE FREDERIC WATTS
Oil on canvas, 142.4×111.8cm
Tate Gallery (N 01640)

 

地球に座った目の不自由な天女がすべての弦が切れている堅琴に耳を寄せている。でもよく見ると細く薄い弦が一本だけ残っていて、その天女はその一本の弦で音楽を奏でるために、そしてその音を聞くために耳を近づけている。ほとんど弦に顔をくっつけているそのひたむきな天女は、実は天女ではなく”HOPE”そのものの姿なんだって。 -抜粋

 

この絵について(上の抜粋文章)は、書籍『パラダイス・ロスト』(久石譲著)にも、アルバム『地上の楽園』CDライナーノーツにも、同じように記されてします。『地上の楽園』のアルバムジャケットにも使いたかったほどの強い思い入れがあったようです。諸々の事情で叶いませんでしたが、『パラダイス・ロスト』の装丁にはこの絵が使われています。

 

地上の楽園

 

『地上の楽園』(1994)は、約2年近く音楽制作に費やしたオリジナル・ソロアルバムです。長野パラリンピック(1998)までつながっていくテーマ「HOPE」。久石さん自身あの時代を象徴するような、特別な想いがこのテーマと絵に込められているように思います。実際、久石さんが楽曲制作するお部屋には、大きな「HOPE」が壁に飾られています。おそらく今も。

 

 

 

「HOPE & LEGACY 希望と遺産」

長野パラリンピックの開会式は「Hope 希望」をテーマに、閉会式は「Hope & Legacy 希望と遺産」をテーマに行われました。久石さんは式典の総合プロデューサーを務めていました。開会式フィナーレでは、盛大な演出のもと「旅立ちの時 ~Asian Dream Song~」が披露されています。

 

 

久石さんが長野パラリンピック冬季競技大会に込めた想い「HOPE」「HOPE & LEGACY」。それは大会テーマソング「旅立ちの時 ~Asian Dream Song~」として花ひらきました。その同じ年、羽生結弦選手はフィギュアスケートに出会った。咲いた花と、新しい種。この出来事もまた、”希望と遺産”のひとつなのかもしれません。

時を越えて、羽生選手は新しい『HOPE &LEGACY』を、「View of Silence」と「Asian Dream Song」を組み合わせることで、新次元の世界をつくりあげました。新しい解釈が吹き込まれることは、新しい命が吹き込まれることです。

久石さんが作りだしたもの、羽生選手が継いだものと命を吹きこんだもの。世代もジャンルも異なるふたりのプロフェッショナルが、それぞれに抱いた『HOPE & LEGACY』。かけがえのない時の流れを感じます。変わらないもの、変わっていくもの、時代の風にのる『HOPE & LEGACY』そのものなのかもしれない、と。

久石さんの音楽がもっと多くの人に響き希望となりますように。羽生結弦選手の演技が想いが、もっと多くの人に夢と感動をあたえつづけますように。僕らは今、ふたつの光り輝くステージを目の前に、熱狂し歓喜する、めぐまれたオーディエンスです。観客は、未来への語り手として『HOPE & LEGACY』の一役を与えられている、同じ舞台に立つキャストでもあると思っています。

 

 

『HOPE & LEGACY』 からのギフト

この楽曲が僕にくれたもの。1つは、話題をきっかけに多くの人がサイトを訪れてくれたこと。1つは、久石さんファンとのかけがえのない出逢いがあったこと。1つは、久石さんがコンサートでも披露してくれたこと。そう、「久石譲ジルベスターコンサート2016」で、「View of Silence」「Asian Dream Song」が演奏されました。往年の名曲でこそあれコンサート披露されるなんて、約10年ぶりくらいと言っても言い過ぎではありません。

いや、そこはちゃんと調べないといけませんね。「Asian Dream Song」、「久石譲ジルベスターコンサート2008」以来8年ぶり、「View of Silence」、「Joe Hisaishi Concert ~a Wish to the Moon~ Etude&Encore PIANO STORIES 2003」以来13年ぶり、 でした。なんとDVD収録盤あのコンサート以来だったんですね。これだけでも羽生結弦さんに感謝しないといけませんね。コンサートにプログラムしたきっかけ、そのひとつにはなっていると思いますから。そんなスペシャルコンサートについてはレポートしています。

 

「決定盤!フィギュアスケート・ベスト2016-2017」(2016/12/7発売CD)には、「View of Silence」「Asian Dream Song」の2曲がオリジナル版で収録されています。*「Hope&Legacy」としての音源ではありません。また「Asian Dream Song」はFS楽曲ヴァージョンではありません。(リンクURLは貼っていません)

 

同じく楽譜もたくさん出ています。それぞれ1曲ずつとしても、「Hope & Legacy」としても、ピアノ譜はたくさん出版されているみたいですね。ぜひ調べてみてください。

実は「HOPE」には、もうひとつ久石さんエピソードがあります。ありますが、それはまた別の機会に。ちゃんと調べなおしたい、紐解きなおさないといけない。今回は「羽生結弦×久石譲」「Hope&Legacy」に想う。2016年秋以降、いつか記したいと思いながら、ここにようやくOvertoneとなりました。

それではまた。

 

 

2017.7 追記

Web「VICTORY -ALL SPORTS NEWS」に掲載された記事。フィギュアスケート 音響デザイナーの矢野桂一さん、羽生結弦選手や宇野昌磨選手などトップスケーターのプログラム音源の編集を手がけている方です。これまでの仕事内容から、羽生結弦『SEIMEI』そして『HOPE & LEGACY』の誕生エピソードが語られています。プログラム音源ができるまでの各方面での苦労、久石譲から特例として許可を得ることになった経緯など、さすが当事者と関係者ならではの読みごたえのある貴重な秘話です。ジャンルを超えた一流プロたちのそれぞれの想いと共鳴、協力と理解、尽力と厚意によって誕生したフィギュアスケートのためのもうひとつの作品「Hope & Legacy」。関係者による公式のようなエピソードが盛りだくさんで、これまで見えなかったところが少し知ることができて感謝です。

 

 

reverb.
Hope&Legacyを紐解く情報あったら、ぜひ教えてくださいね!お待ちしてます(^^)!!

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪

 

Info. 2023/09/12 [CM] 「キリン よろこびがつなぐ」音楽:久石譲「Summer」使用 O.A.スタート 【12/5 update!!】

Posted on 2023/09/12

キリンビバレッジのCM「よろこびがつなぐ」に久石譲「Summer」が使用されています。映画『菊次郎の夏』(1999)メインテーマとして誕生した曲です。今回のCMは映画サントラ・オリジナル・バージョンです。

キリンはJFAのオフィシャルトップパートナーです。9月12日「キリンチャレンジカップ 2023」にて地上波初O.A.となったのは「サッカー編」です。 “Info. 2023/09/12 [CM] 「キリン よろこびがつなぐ」音楽:久石譲「Summer」使用 O.A.スタート 【12/5 update!!】” の続きを読む