Overtone.第102回 「久石譲スタジオジブリ フィルムコンサート ツアーファイナル」コンサート・レポート by ふじかさん

Posted on 2025/07/24

7月16,17日開催「久石譲スタジオジブリ フィルムコンサート ツアーファイナル at 東京ドーム」です。武道館コンサートから17年ぶりとなったジブリフィルムコンサートは久石譲×ロイヤル・フィルという豪華な日本公演で実現しました。2017年から始まった世界ツアーの集大成であり世紀の凱旋公演です。

今回ご紹介するのは、ふじかさんです。久石譲と共に歩んだ14回目のレポート!さすが過去コンサートの記憶と思い出もたっぷり詰まったレポートに脱帽です。しかも一筆書きしたような勢いは、ライブの余韻どころかライブ直後に鮮やかすぎてただただ楽しい。ぜひお楽しみください。

 

 

Joe Hisaishi Royal Philharmonic Orchestra Special Tour 2025
Studio Ghibli Film Concert Tour Final at Tokyo Dome

[公演期間]  
2025/07/16,17

[公演回数]
7/16 1公演
7/17 2公演
東京・東京ドーム

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:東京混声合唱団/ブルックリン・ユース・コーラス/リトルキャロル
ソプラノ : エラ・テイラー
ヴォーカル:麻衣
マンドリン:マリー・ビュルー
マーチング:陸上自衛隊東部方面音楽隊
      陸上自衛隊第1音楽隊
      海上自衛隊東京音楽隊
      航空自衛隊航空中央音楽隊
      航空自衛隊中部航空音楽隊

[曲目]
風の谷のナウシカ
1. “NAUSICAÄ OF THE VALLEY OF THE WIND”

魔女の宅急便
2. “KIKI’S DELIVERY SERVICE”

もののけ姫
3. “PRINCESS MONONOKE”

風立ちぬ
4. “THE WIND RISES”

崖の上のポニョ
5. “PONYO ON THE CLIFF BY THE SEA”

天空の城ラピュタ
6. “CASTLE IN THE SKY”

紅の豚
7. “PORCO ROSSO”

ハウルの動く城
8. “HOWL’S MOVING CASTLE”

千と千尋の神隠し
9. “SPIRITED AWAY”

となりのトトロ
10. “MY NEIGHBOR TOTORO”

—–encore—-
Ask me why (for Piano and Orchestra)(映画『君たちはどう生きるか』より)
Madness(映画『紅の豚』より)
Ashitaka and San(映画『もののけ姫』より)

[参考作品]

久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~ DVD A Symphonic Celebration

 

*プログラムの楽曲リストは、コンサートページや上のDVD/CD作品ページをご参照ください

 

 

Joe Hisaishi Royal Philharmonic Special Tour 2025 Studio Ghibli Film Concert Tour Final at Tokyo Domeコンサートレポート

 

初日7月16日公演の模様をレポートさせて頂きます。

2025年7月16日 東京ドーム 19:00開演

3月、コンサート情報発表を知り、衝撃が走りました。今年の夏は豪華コンサート3本立て。ジブリフィルムコンサート、ロイヤルフィルとのスペシャルコンサート、祈りのツアー、どれも甲乙付け難い特別なコンサートたち。その中でも特に人気の集中したジブリフィルムコンサートに、幸運にも行くことが出来ました。

前回2008年の武道館公演は行くことが出来ませんでしたが、行けたフィルムコンサートとしては、2011年の大阪城ホールでのチャリティーコンサート公演ぶりとなりました。

 

 

当日、東京の天候は雨が降ったり、強風が吹いたりの悪天候。ですが、入場時間周辺は少し穏やかになり、青空が垣間見えたりする中、会場へ入ることが出来ました。

会場外は、今までにないレベルの人、人、人!!!世の中にはこんなにも久石さんが好きな人がたくさんいるんだなぁ・・・と改めて驚きました。入り口周辺にはコンサートの大型掲示物がたくさん。いつものコンサートとはスケールが違いすぎて、動揺してしまいました笑

手荷物検査、チケットもぎりをすぎて、回転扉を通過すると、そこには大きな「Joe Hisaishi Studio Ghibli Film Concert Tour Final」と書かれた液晶パネルが掲示されていました。

ドーム内に入ると、ものすごい座席の数!大阪城ホールではキャパシティが16,000人くらいでしたが、今回は40,000人収容とのことで、2倍以上!改めて規模の大きさに驚きました。

開演の10分くらい前にスクリーン映像とBGMが流れ始め、特別な時間の始まり。聴いたことのないピアノ曲、『感-feel-』のようなアルペジオが印象的なゆったりとした曲とともに、スクリーンには樹々の絵が映し出されていました。(ふらいすとーんさんに確認したところ、曲名は『Musica del Museo』との事でした)

19時くらいからオーケストラ奏者、合唱隊が次々にステージに登壇。チューニングののちに、笑顔で久石さんがステージへ登場。いよいよコンサートが始まります。

 

 

『NAUSICAA OF THE VALLEY OF THE WIND』

ティンパニの轟音とともに、ナウシカからスタートです。2011年チャリティー公演もこの曲から始まっています。前奏に続き、久石さんがピアノへ移動。近年のコンサートでは中々聴けなかったピアノソロがもう冒頭から始まるという超贅沢な構成。

ここのピアノソロも年代ごとによって若干の違いがあるんですよね。2011年くらいはメロディーに装飾音がついていたり、2014年くらいからはシ♭ードーレーと続くところで左手の伴奏がなくなり両手でメロディのみに。今回は2015年のSymphonic Poem版を継承した感じがしますが、少しリズムが変わっていたりと発見がありました。

合唱が加わり、『ナウシカレクイエム』、『メーヴェとコルベットの戦い』『遠き日々』と次々と名曲が畳み掛けます。大型スクリーンに映し出される映画のシーンとステージ上の生演奏。視覚情報が多すぎて、どこを追って聴けばいいのか若干混乱気味であっという間にフィナーレの『鳥の人』へ。終盤、『風の伝説』へのメロディへと繋ぎ、転調する部分のアルペジオはこのツアーから追加された気がします。

 

『KIKI’S DELIVERY SERVICE』

武道館公演以来、この楽曲は細かく改訂されていて、今回のフィルムコンサートツアーではそれらの集大成なアレンジになっていると思っています。

『海の見える町』ではピチカートから始まり、メロディフォニー版から採用されたメロディの装飾音とターン、伴奏のピアノ、2014年版から採用された木管や弦楽でのメロディの追いかけっこ、2018年版から採用された副旋律や華やかな打楽器パート。各アレンジから良いところがそれぞれ合わさって聴いていてとても楽しい構成に進化しています。

『傷心のキキ』ではスクリーンの映像と曲の悲しさが相まって泣きそうになりました。『母さんのホウキ』は2019年の交響組曲版とほぼ同じと思われ、最後の最後までソロヴァイオリンの技巧的でも美しく響き渡る音色に酔いしれました。

 

『PRINCESS MONONOKE』

武道館から採用されたコーラス入りの豪華アレンジ版。久石さんの右から大きく腕を振るような仕草とともに太鼓の打撃音。『アシタカせっき』からスタートです。コーラスが入る部分から音量もグッと上がり、ステージからの迫力が凄く鳥肌が立ちました。

続く、『タタリ神』では和太鼓の力強い音ともにおどろおどろしい弦楽や木管のうねり、迫り来るような旋律。

『もののけ姫』ではソプラノのエラ・テイラーさんが登場し、日本詞で歌われていました。ワンコーラス後に続く、転調とソプラノが副旋律に回る構成は、久石さんのコンサートでしか聴けない特別なアレンジ。最終盤でのハイツェーでのロングトーンは収録音源よりも長く、圧倒されました。

 

『THE WIND RISES』

世界ツアーからソロ楽器がバラライカからマンドリンへ置き換わりました。今回は青いスーツを着たマリー・ビュルーさんが務め、久石さんのピアノのエスコートともに楽曲が始まりました。何気にこの曲を個人的にコンサートで聴けたのは2014年の長野公演以来だったと思います。

続く『菜穂子』のテーマでは主旋律が久石さんのピアノソロからマンドリンへ変わっています。組曲から採用された副旋律を木管が彩りを添えます。

再び『旅路』へ。スクリーン映像は二郎と菜穂子の2人のシーンを中心に描かれ、繊細で美しいメロディがより際立って聴こえてきました。映画のキャッチコピー“生きねば”というメッセージが改めて心に強く響きました。

 

『PONYO ON THE CLIFF BY THE SEA』

『深海牧場』の導入から始まり『海のおかあさん』へ。再びソプラノのエラ・テイラーさんが歌い上げます。2023年に披露された交響組曲版では合唱バージョンになりましたが、改めてソプラノソロが映える曲だなぁと思いました。こちらも終盤のロングトーンの箇所は音源よりも長かったと思います。

『いもうと達の活躍』で合唱で現れる宗介のテーマも忘れないように。『母と海の賛歌』波の魚に乗って宗介に会いに来るポニョの映像が印象に残ります。

『崖の上のポニョ』は英語詞バージョンで。1番が終わり、2番への間奏で転調していく様子が個人的にはとても気に入っています。2番のピアノソロパートでは2011年時は久石さんがピアノを弾いていましたが、ワールドツアーからは指揮のみになっています。

最終盤、楽曲の終わりとともに、スクリーン映像も映画のラストシーンへと変わり、曲が鳴り止むとともに、映像もしっかり終わるとという演出に心を打たれました。会場も圧倒されたようで、拍手が一際大きかった気がします。

余談ですが、2011年のチャリティーコンサートでは『THE GENERAL』組曲の1楽章と1楽章が取り上げられ、5楽章では爆破のシーンと楽曲がぴたりと合う演出もしていたことも思い出しました。

 

『CASTLE IN THE SKY』

アリーナ内に登場した自衛隊のマーチングバンドの演奏によって『ハトと少年』から始まります。マーチング版の演奏は2017年の交響組曲版ではなく、トランペットとオーケストラのためのWDO版のリズムが元になっています。

続く、『君をのせて』はコーラスのみからスタートして、徐々にマーチングバンドも伴奏に混ざってくる構成に。スクリーン映像は映画本編のオープニングのシーンとなっていました。

最後の『大樹』ではアレンジは違えど、交響組曲版を元にし、さらに合唱が加わる豪華版。コーダ部も一度静かに消えそうになったところから突如駆け上がり、バン!と終わる展開に。

会場内で聞くと、広すぎる会場故に若干の音ズレがあった印象でしたが、改めて配信版は音ズレもなくぴたりハマった演奏になっていました。

 

『PORCO ROSSO』

ここでは1曲まるまる久石さんがピアノを演奏するとても貴重な時間。

ピアノソロも演奏される度に少しずつ変化がありますよね。さらに途中からは音源にも収録されていない、指パッチン付き。やがて金管木管が入ってきてメインメロディーは引き継がれていきます。クラリネットのアドリブ的なパートが終わると、楽曲は終盤へ。最後の部分はピアノの音だけで終わらずに、他のパートも和音を重ねてフィナーレへ。

こちらも余談ですが、2022年の交響組曲のアウトロでの弦楽パートも素敵だったんですが、いまだに収録されず・・・笑 早くこちらも再び聴きたいところです。

曲が終わるとオーケストラのスタンバイのため、久石さんは一旦ステージからはけますが、準備完了し、チューニングが終わるとすぐにステージへ。休憩なしのノンストップ公演です。

 

『HOWL’S MOVING CASTLE』

再びオーケストラ編成での演奏に戻りました。『Symphonic variation ”Merry -Go-Round”』に『Cave of Mind』が加わったアレンジで武道館より演奏されてきていますが、改めて聴くと、このアレンジによってより”ハウルの動く城”の音楽世界観がより完成されたなぁと思います。

『Symphonic variation ”Merry -Go-Round”』の方は序盤に『空中散歩』のシーンで一度完全版のワルツのパートが出てきますが、『Symphonic variation ”Merry -Go-Round”』+『Cave of Mind』ですと、本当に最後まで完全版ワルツが姿を表しません。なおかつ映画本編の内容に沿って楽曲が展開されてきていて、映画そのものも追体験できる交響組曲的な要素も加わっています。

『Cave of Mind』が奏でられると、久石さんがピアノへ・・・そう最後に『人生のメリーゴーランド』の完全ワルツが締めくくりに演奏されます。

この日の公演は久石さんのピアノソロのアレンジが変わりました。メロディのスタートが通常の「レーソーシ♭ー」ではなく、「レーミ♭レド♯レソシ♭レー」という感じで出だしにターンの装飾音がついたお洒落なアレンジでした。『小さいおうち』のワルツを彷彿させるような、少しジャジーな印象を与えるような、そんな演奏でした。

個人的には結構気に入りましたが、配信の最終公演では通常の演奏に戻っていたようです。そこから大団円のワルツが優雅に奏でられて、楽曲はフィニッシュです。

 

『SPIRITED AWAY』

麻衣さんがステージに登場して、前半の『One Summer’s Day』からスタートです。

2017年の世界ツアーが始まった頃はピアノソロのみでしたが、公演を重ねいていくうちにこちらも変化してきて、最終的には麻衣さんのボーカルと久石さんのピアノが入れ替わりながら進む前半、『いのちの名前』の歌詞が歌われる後半の構成となりました。

ちなみにこの久石さんの伴奏で2022年のWDOは三浦さんのバンドネオンをフィーチャーして演奏されていたのも記憶に新しいですよね。

こちらも久石さんが最初から最後までピアノで麻衣さんをエスコート。アウトロには、麻衣さんの高音でのスキャットも新たに加わり、こんなに広大な東京ドームの空間、久石さんのピアノと麻衣さんの歌声のみが響き渡るという贅沢な時間が流れていました。

ここで久石さんがマイクを取って短めですが、MCがありました。

「海外で娘ですとここで紹介するとウケるんです」と言った後、麻衣さんの紹介へ。会場からは温かい拍手に包まれました。そして「皆さん楽しんでますか?」と問いかけた後の拍手を聞き取った後、再び演奏へ戻りました。

後半は『ふたたび』のボーカルバージョン。このアレンジはジブリフィルムコンサートでしか聴くことのできない貴重な楽曲。間奏で聴くことのできる壮大なオーケストレーションも個人的には好きなポイントです。

 

『MY NEIGHBOR TOTORO』

チェレスタやマリンバ、グロッケンが可愛らしく奏でる『風のとおり道』が短く流れた後、明るく快活な『さんぽ』へ。楽器紹介付きの『オーケストラストーリーズ』のアレンジと合唱が融合したバージョンです。冒頭の歌だし、コーラスが通常より早く入ってしまうトラブルのありました。後半は麻衣さんとエラ・テイラーさんが登場し、二人での美しいハモリも聴かせて下さいました。

その後はメインテーマの『MY NEIGHBOR TOTORO』が本編のトリを飾ります。シンプルなメロディを際立たせるための緻密なオーケストレーションが本当に印象的で、曲中3回転調を繰り返していきます。後半の久石さんのピアノソロを際立てるヴァイオリンの副旋律が個人的には本当に好きなポイントです。

In CからIn Bへ半音下がる転調を過ぎて、楽曲はクライマックスへ。トトロのメロディが次々と畳みかけるように壮大なフィナーレでバン!という音でフィニッシュです!個人的には2017年のWDO川崎公演で聴いた以来でしたので、かなり久しぶりな印象でした。

 

ここで本編は終了で、割れんばかりの大きな拍手。その中でいつものコンサートで恒例なオーケストラメンバー、合唱団への紹介&拍手タイム。何度か久石さんの出入りがあったのちに、僕にも拍手して!のような仕草ののちに、久石さんはピアノへ向かいます。

 

 

ENCORE

『Ask me why』

聴き慣れない弦の刻みが始まり、「なんだこの曲は!?」と思った瞬間、馴染みのあるコードGの和音が・・・そうです ”君たちはどう生きるか”よりメインテーマの『Ask me why』のピアノとオーケストラによる新アレンジです。

久石さんのピアノに寄り添うように、弦楽や木管、金管が静かに折り重なっていくとても美しいオーケストレーションで、聞いている瞬間は本当に衝撃で鳥肌が立ち続きました。中間部の間奏では、リズムの波紋の広がりが印象的で、『Sense of the Light』のような雰囲気も感じました。

昨今の”Single Track Music”の要素も取り入れられてようなアレンジに進化したこの楽曲。今後も生で聴ける機会がたくさんあると嬉しい限りです。

終盤のサビでは今までの演奏とは少しリズムが異なる箇所もあり、弦楽の波が広がっていくような副旋律もかっこよく、その後は静かに新たな和音が追加されてフィニッシュでした。

 

『MADNESS』

アンコールは2曲だと思うから、『MADNESS』はやらないだろうな・・・と思っていたら、この曲の演奏が始まりました。久石さんが2度ほど楽曲中にピアノと指揮台を行ったり来たり、国内での演奏は2022年のWDO以来だったと思います。

構成は武道館でのアンコール、交響組曲版と同じ少し短めの構成で、あっという間にフィナーレでした。最後のバン!という音に続け、会場内は爆音とともに、金銀のテープが炸裂。会場内も「あっ!!」という驚きの声で包まれました。

 

『Ashitaka and San』

アンコール最終曲はこちらの楽曲で。武道館の際も演奏されていましたが、世界ツアーからは前半の久石さんのピアノ演奏にオーケストラの伴奏がつき、サントラバージョンに近いアレンジとなりました。最後の一音まで久石さんのピアノを堪能し、後半は指揮台へ、オーボエ、弦楽の間奏に続き、コーラスが加わります。

間奏の間に久石さんからのメッセージがスクリーンに投影されました。

今回は英詞での合唱で、日本詞がそのまま英詞になった印象でした。最後は合唱の美しいハーモニーが希望の音色を奏でて、静かに消えゆくように演奏が終わりました。

 

 

再び会場は割れんばかりの大きな拍手に包まれました。久石さんは何度か舞台袖とステージは行き来したのち、弦楽パートの奏者の方々と握手を交わし、会場に大きく手を振ってステージから去っていきました。

あっという間でしたが、とても濃密だった2時間の公演。近年のコンサートではなかなか見ることができなかった、久石さんのピアノ演奏も堪能でき、大満足なコンサートとなりました。たくさんピアノを弾いていたコンサートで直近で印象に残っているのはWDOツアーの2015年、2017年、2022年でしたが、それらのコンサートよりもピアノを弾いていた印象です。

コンサート後半、ピアノと指揮を行ったり来たりする姿は2010年のアジアツアー、2011年のフィルムチャリティーコンサートあたりも彷彿とさせてくれました。

夏の大きなコンサートはあと2本ほど大きなツアーが控えています。次回は久石さんの最新作が堪能できるサントリー公演。こちらも本当に楽しみです。

2025年7月22日 ふじか

 

photos by ふじか

https://x.com/fujica_30k

 

これから先いつ読んでも瞬時にフラッシュ=バックしそうなレポートありがとうございます。その公演でしか書けない感想、ライブ配信でしか書けない感想がありますね。ふじかさんの鮮やかな16日公演の感想はおそらく大変貴重な記録になるでしょう。みんなが期待する円盤化もどの公演が選ばれるかはわかりません。そうは言っても17日夜の最終公演だろうという予想は誰しもありますよね。そうだからこそ16日公演のレポートは未来への財産です。

僕はふじかさんとコンサート会場でご一緒できたときには、終演後に喫茶しながらお話できる機会もあります。今回はこのコンサート・レポートを読みながらしっかりたっぷりコンサート談話できた気分です。皆さんもそんな気分を味わうことができたならうれしいです。

 

 

 

 

みんなのコンサート・レポート

 

 

公式写真と出演者SNSで綴るコンサート記録!写真計81枚!

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋では、久石譲コンサートのレポートや感想をどしどしお待ちしています。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心持ちで、思い出を残してみませんか。

 

コンサートについて語りたいそう願うのは、ほかならぬ私もまた誰かにコンサートや音楽の魅力を教えてもらった一人だからです。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

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ジブリコンサートの感想を語れるなんて、今しかできないギフトですよ~!いつでもウェルカムしています。

 

 

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Info. 2025/08/05 文春ジブリ文庫 ジブリの教科書21「君たちはどう生きるか」発売決定 【7/24 update】

Posted on 2025/07/16

多彩な論者が多様に語る、映画のこと

宮﨑駿監督最新作にして到達点『君たちはどう生きるか』。重層的な物語の中に、各界のプロフェッショナル達は何を感じ、見出すのか。 “Info. 2025/08/05 文春ジブリ文庫 ジブリの教科書21「君たちはどう生きるか」発売決定 【7/24 update】” の続きを読む

Overtone.第101回 「久石譲スタジオジブリ フィルムコンサート ツアーファイナル」コンサート・レポート by thuruさん

Posted on 2025/07/20

7月16,17日開催「久石譲スタジオジブリ フィルムコンサート ツアーファイナル at 東京ドーム」です。武道館コンサートから17年ぶりとなったジブリフィルムコンサートは久石譲×ロイヤル・フィルという豪華な日本公演で実現しました。2017年から始まった世界ツアーの集大成であり世紀の凱旋公演です。

今回ご紹介するのは、はじめましてですthuruさんです。ライブ配信での鑑賞ですがその解像度とまるでそこにいるような臨場感と体感が伝わってきてすごいです。ぐっと一気に進んでしまいます。そしてこれまでも久石さんの音楽を聴き続けているとわかる着目点や気づきにわくわくします。ぜひお楽しみください。

 

 

Joe Hisaishi Royal Philharmonic Orchestra Special Tour 2025
Studio Ghibli Film Concert Tour Final at Tokyo Dome

[公演期間]  
2025/07/16,17

[公演回数]
7/16 1公演
7/17 2公演
東京・東京ドーム

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:東京混声合唱団/ブルックリン・ユース・コーラス/リトルキャロル
ソプラノ : エラ・テイラー
ヴォーカル:麻衣
マンドリン:マリー・ビュルー
マーチング:陸上自衛隊東部方面音楽隊
      陸上自衛隊第1音楽隊
      海上自衛隊東京音楽隊
      航空自衛隊航空中央音楽隊
      航空自衛隊中部航空音楽隊

[曲目]
風の谷のナウシカ
1. “NAUSICAÄ OF THE VALLEY OF THE WIND”

魔女の宅急便
2. “KIKI’S DELIVERY SERVICE”

もののけ姫
3. “PRINCESS MONONOKE”

風立ちぬ
4. “THE WIND RISES”

崖の上のポニョ
5. “PONYO ON THE CLIFF BY THE SEA”

天空の城ラピュタ
6. “CASTLE IN THE SKY”

紅の豚
7. “PORCO ROSSO”

ハウルの動く城
8. “HOWL’S MOVING CASTLE”

千と千尋の神隠し
9. “SPIRITED AWAY”

となりのトトロ
10. “MY NEIGHBOR TOTORO”

—–encore—-
Ask me why (for Piano and Orchestra)(映画『君たちはどう生きるか』より)
Madness(映画『紅の豚』より)
Ashitaka and San(映画『もののけ姫』より)

[参考作品]

久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~ DVD A Symphonic Celebration

 

*プログラムの楽曲リストは、コンサートページや上のDVD/CD作品ページをご参照ください

 

 

久石譲ジブリフィルムコンサートファイナル東京ドームコンサートレポート

3月、日課の響きはじめの部屋のチェックをしているとなんと待ち侘びた日本でのこのコンサートの決定を受け4か月。胸が高鳴る思いでこの2日間を過ごしました。自分は大切な予定が重なる可能性があったのでチケットは買えず、ライブ配信での視聴となりました。その様子をお届けします。僕の目と耳で得たライブのレポートですので少し誤ったものもあるかもです。

開幕を飾るのはやはり『風の谷のナウシカ』宮崎監督とのタッグ一作目です。全体的に、A Symphonic Celebration(以後ASC)と楽曲に変化は見られませんでしたが全体的にスピードが速かったように感じました。ナウシカに限らず、ライブ配信通して、スネアやタンバリンなど打楽器とマイクが近かったのか、強調して聞こえました。

続くは『魔女の宅急便』スクリーンに作中風景が映るのを確認してから数秒おいて海の見える街がスタートしました。WDO2018を継承したジャジーな演奏でした。久石さんは指揮棒を使わずニコニコで指揮をされていました。武道館さながらの上から指揮台、弦楽器群を見渡すアングルもあり、感動しました!海の見える街から傷心のキキへは拍手もなくスムーズに移り変わりました。かあさんのホウキでは、コンサートマスターがスタンドプレイ。ライトアップされていました。豊嶋さんとはまた違う少し遅めなためのある演奏で僕の目にはすでに涙が、、、

3作目は『もののけ姫』アシタカせっ記のスタートは太鼓ではなくバスドラムでした。太鼓自体は設置されていてタタリ神では使用されていました。タタリ神は久石さん公式インスタにも掲載されていたように、ASCに比べかなりスピードアップされていました。最後のもののけ姫に向かっていく、音の重なりでは上から抑えるような指揮が印象的でした。ここで舞台左からソプラノのエラ・テイラーさんが登場。日本語を上手に歌われていました。海外公演同様、スクリーンには他の作品も歌詞が英語で書かれていました。気づいた違いはASCに比べ、歌詞途中の『もりのせい〜』のところをすごく伸ばしていました(伝われー!)また演奏中、久石とソプラノのアイコンタクトが多かったのが印象的でした。曲が終われば大きな拍手。ソプラノのにっこりでした!

もののけ姫がおわり、スタッフが3人楽譜やマイクを設置すると、マンドリンのマリー・ビュルーさんが登場。『風立ちぬ』が始まりました。こちらも気づくほどの変更はなく、久石さんは伴奏スタートでした。ピアノから指揮へ戻る際のマンドリンはASCに比べ、強くゆっくり演奏されていました。また、足で拍をとりながら笑顔で久石さんとアイコンタクトを取り演奏されていました。

スタッフ3人が楽譜やマイクを片付けると、『崖の上のポニョ』がスタート。海のお母さんはもののけ姫と同じソプラノが歌われました。気づいた点が2箇所。いもうと達の活躍の合唱が『Ah-Ah-』と入るあたり。とても遅く感じました。久石さんはコーラスに向かって指揮をしていました。もう一つ、ポニョのメインテーマの中間部優しくなってASCではトランペットがメロディを奏でていましたが、今回はトランペットは聞こえず、ピッコロのみのように聞こえました。(上手く聞こえなかっただけかも)このパートも遅めでした。そこからラスサビとコーラスが入る際、独特なテンポでした。ジャン!と終わるとこれまでにない割れんばかりの拍手が起きました!

続くは自衛隊の白黒混じる軍服によるマーチング『天空の城ラピュタ』です。3隊合同演奏で、人数も多かったため、かなり編曲されているように感じました。とても安定感がありました。その後のCrying youではASCではハープからスタートでしたが、世界ツアー同様合唱からはじまり、ここでも泣いてしまいました、、、自衛隊も途中で加わり、最後はタメありのフィニッシュです。久石さんのほかに、観客席中央部、そして左右スクリーン前のあたりに自衛隊の指揮者がおり、4拍子で大きく拍をわかりやすく取られていました。そして大樹へ。スネアの刻みが最高でした。途中からコーラスも加わり、ラストは交響組曲と同じ掛け合いをコーラスで行い、ダーンジャジャジャン!と自衛隊が締めてフィニッシュです。そして、マーチングで退場となりました。コーラスが手拍子をはじめ、観客もそれに合わせる形で手拍子をしていました。

スクリーンに鈴木敏夫プロデューサーの書いたメインビジュアルが映し出された後、『紅の豚』演奏メンバーが入場します。海外ツアー同様フィンガースナップもあり、ジャジーな演奏でした。スクリーンに写るジーナをバックにピアノを弾く久石さん。めちゃくちゃかっこよかったです。クラリネットの掛け合いも最高。ラストはアンサンブル全員の和音で終了です。

オケが戻り、チューニングをしたところで『ハウルの動く城』です。ここでなんでもないことですが僕の気になってる事が一つ。Worksバージョンに比べASCやこのライブ配信も所々ファゴットの音がよく聞こえるのが気になる今日この頃です。星をのんだ少年では、ドームの天井が青いライトで照らされ、まるで映画に入り込んだかのような演奏でした。人生のメリーゴーランドでは、久石さんのピアノの後のオーボエソロの後にトランペット?か金管がプッと音を出してしまうハプニングが。これにはワルツを奏でるバイオリン奏者も笑っていました。演奏自体に問題はなく、カメラが揺れるほどの拍手が送られました。演奏後にはソロを吹いたトランペット、ファゴットが立って拍手を受けました。

拍手やめのサインを久石さんがした後、麻衣さんが登場。『千と千尋の神隠し』です。少し喉の調子が悪いように見えましたが素晴らしい演奏でした。ピアノの伴奏は少しアレンジされていましたが、ASCからほぼ変わりはなかったです。最後に麻衣さんが高音を出すパートが追加されていました。ふたたびでは、先ほどよりも大きく歌うので、問題なく素晴らしい演奏が行われました。他の公演ではこのコーナーでMCがあったそうです。

そしてラストの『となりのトトロ』風の通り道に始まり、さんぽへと繋ぎます。さんぽは、ASCと違い、武道館コンサートが継承されており、各楽器スタンドプレイのあとのサックスパートはクラリネットに置き換えられていました。また、打楽器フェーズ、コンマスのヴァイオリンソロもありました。そして海外ツアーと異なり、スムーズにトトロのメインテーマに行くのではなく、拍手挟んで静かにヴァイオリンがトトロのテーマを奏ではじめます。中間部のピアノで無事泣きました。最後の転調部は少し遅くタメがありました。

ここまでが予定されていたセットリストです。ソリスト、自衛隊各隊のお偉いさん?が出てきて久石さんと何度も何度もお辞儀をして、アンコールへ。

1曲目は『君たちはどう生きるか』よりAsk me whyです。何度かピアノソロでは演奏されていましたが、今回はピアノとオケのバージョンでした。最初はオケは和音の伴奏でしたが、途中から16部音符で刻む演奏へと移り変わりました。管楽器はそこまで目立ったパートはありませんでした。(トランペットやフルートくらい)映画通してミニマルでいく。その覚悟を感じた演奏でした。今度サントリーホールで日本初演の交響組曲君たちはどう生きるかの伏線かのようにも感じました。

アンコール2曲目はMadnessです。やはりこの曲といえば赤い照明。ダークな雰囲気で演奏が始まりました。途中ピアノ間に合うのかなとヒヤヒヤしながら聴いていました笑。大きな変更はありませんでしたが、終盤のオケとピアノの掛け合いで少し、ずれが起きてしまいましたが逆にいい味を出していたように感じました。やはり東京ドームという大きな会場での音響の弊害ですね、、、しかし、素晴らしい演奏でした。最後には金銀のテープが勢いよく投下されました!

ラストはアシタカとサン。Madness同様に、パリでのコンサート、ASCではアンコールの2曲は収録されていません。武道館ぶりの合唱付きのアシタカとサンは本当に素晴らしかった。この海外ツアー8年間の集大成であるこのコンサートを締めくくるにふさわしい曲。そして演奏でした。交響組曲に比べて、最初の弦楽器の導入が変わったようにも聞こえました。コーラスは英語。大地に緑が戻りました。ここでもやはり泣いてしまいました。

曲が終われば、割れんばかりの拍手。しかし、観客でスタオベの人は少なく、久石さんがおでこに手を当てて見渡す仕草をすると、笑いが起きながらも観客がたちはじめ、大きな拍手が起きました。また、スクリーンには鈴木敏夫プロデューサーが写り、おぉという歓声もおきました。

凱旋公演となった今回の2日間のコンサート。コンサートホールではないため、音響など、難しいこともあったかと思います。しかしそれをも忘れさせる素晴らしい演奏。久石譲xロイヤルフィル。このタッグは今後も韓国、日本、イギリスでコンサートを行います。自分はサントリーでのライブ配信見るつもりですのでまたレポート書かせていただきます。全世界のジブリそして久石譲ファンが喜べる2日間となったこと。心から嬉しいです!!!!

2025年7月19日 thuru

 

とてもディティールの伝わるレポートありがとうございます。コンサートに行った人なら、もっと言うとライブ配信を見た人なら共感できることもたくさんある視覚的にも音響的にも解像度の高いレポートですね。じゃあ、わからない人にはわからない、そんなことはありません。このライブ配信のレポートは一期一会とても貴重なものです。このときのカメラアングルや音響バランスはおそらくライブ配信(客席から見えるものやスクリーンに映し出されるものとも少し違う)のためだけ、だからです。

これから先めでたく円盤化されたときに(勝手に確定!?)視覚的にも音響的にもさらにブラッシュアップされて完成度もぐっと上がってくると予想しますよね。ひとつだけ、僕もトランペットに関しては会場でも配信でもマイクバランスが小さいと感じるときがありました。公演を経る中で修正がかからなかったということは、なんらかの理由があるのかもしれませんね。特に金管楽器はキンキンと音がハウリングするのを防ぐためとかいろいろあるのかもしれませんね。逆に、昼公演でこの楽器音大きいなと思ったのは夜公演の配信ではうまく調整されていたとも感じました。

とにかくドームですからね、ステージに300人乗ってますからね、コンサートホールの聴き方とは前提が違います。マーチングバンド200人もふくめて贅沢すぎる巨大コンサートです。それはもうテーマパークのように大迫力な空間を楽しみたい。ライブ配信もしてくれて少しでもあの臨場感を体感できただけで心からうれしいですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなのコンサート・レポート

 

 

公式写真と出演者SNSで綴るコンサート記録!写真計81枚!

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋では、久石譲コンサートのレポートや感想をどしどしお待ちしています。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心持ちで、思い出を残してみませんか。

 

コンサートについて語りたいそう願うのは、ほかならぬ私もまた誰かにコンサートや音楽の魅力を教えてもらった一人だからです。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

reverb.
まさかジブリコンサートの感想を語るときが来るなんて、夢だけど夢じゃなかった。

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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