久石譲のミニマル曲を聴くときは最近打楽器に耳を傾ける方だが、キラキラしたグロッケンシュピール、トライアングルや欠かせないウッドブロックの音もあった。特に、後ろにあるカウベルが注目を集めた。 久石譲の「The East Land Symphony」や「Deep Ocean」に使われた楽器だ。(2017年の韓国公演でも見たうれしい楽器だ。)
なんとか紛らわしさや誤解は極力回避してほしいです。たとえば、music for promotionとかused from Trailer songとかused by promotional musicとか、、小さくてもいいのでクレジットしてほしい、映像の隅っこのほうでもいいので。こんな提案はいかがでしょう。
DISC 1
01. To The Stars
02. Encounter
03. Cosmic Drone Gateway
04. I Put All That Away
05. A Trip To The Moon
06. Terra Incognita
07. Ex Luna Scientia – Requiem
08. Journey Sequence
09. The Rings Of Saturn
10. The Wanderer
11. Erbarme Dich
12. Forced Entry
13. Preludium
14. Resonantia
15. Let There Be Light
16. Ursa Minor – Visions
17. Event Horizon
18. Musurgia Universalis
19. You Have To Let Me Go
DISC 2
01. Tuesday (voiceless)
02. Opening
03. Briefing
04. Space Journey
05. Rover Ride
06. Pirate Attack
07. Orbs
08. Underground Lake
09. Trip To Neptune
10. Says
Music by:
マックス・リヒター
except
ローン・バルフ(DISC 2: Track2-9)
ニルス・フラーム(DISC 2: Track10)
メインテーマの別アレンジ曲はほかにもあります。「10. The Wanderer」、「1.To The Stars」とまったく同じじゃないかと聴き流してしまいそうですが、微細な音像バランスの違いがあります。並べて聴くとわかりやすいです。「10. The Wanderer」はコントラバスとチェロのレベルが強調されていて、後半に進むにつれかなり低弦によった音響になっています。同じ音源からミキシング調整して、ニュアンスの差異を出しているんじゃないかなと思います。こういうところ、マックス・リヒターの心理下に忍びこんでくる巧みさ。たぶん聴く人は、低音のことを意識していなくても、Track1.か10.か無意識にどちらが好みか選んでいる。そんな気がします。
「19. You Have To Let Me Go」、シンセサイザー重低音を土台に、澄みきったコーラスと弦楽オーケストラになっています。さきほどの「10. The Wanderer」とは変わって、高音・高弦を中心としたつくりになっています。彼方まで光がうすく伸びていきそうな果てしない広がりを感じます。
もともとは『3つの世界 / Three World』(2017)というバレエのために制作された音楽です。そのアルバムからの同曲音源をそのまま使っています。映画『アド・アストラ』で再び使用するにあたって、原曲頭30秒間のナレーションや波のSE音をきれいにカット処理しているので、映画サントラ盤では「1.Tuesday(Voiceless)」という表記になっています。
Ad Astra – Score by Max Richter | Pt. 1 JOURNEY (約3分)
全曲ともメインテーマ「1.To The Stars」のような楽器編成を基調としています。ピアノ&ストリングスやプラスシンセサイザーの楽曲たちです。マックス・リヒター音楽の大きな特徴になっている独特な重低音シンセサイザー。強いアクセントで出ているときもあれば、実はどんな曲にもうっすらと入ってるじゃないかなと思うことあります。「1.To The Stars」弦楽オーケストラ曲ですが、もしかしたら低音シンセを人の耳にはなかなか聴こえない配合でブレンドしてるんじゃないかなとか。低音波?無意識下?潜在的心地よさみたいなものを感じてしまっているのかもしれません。好んで聴いているのか、好まされてしまっているのか。
このサントラ音楽は「2021 NHK プロフェッショナル 庵野秀明 エヴァンゲリオン」でも何曲か使用されてました。とても効果的かつ印象的に。[Disc1] 「2.Encounter」「9. The Rings of Saturn」「14.Resonantia」& [Disc2] 「Tuesday (Voiceless)」。今回ふれていない曲ばかりです。ぜひサントラ聴いてみてください。思い出す曲あるかもしれません。
マックス・リヒターは、作品のほとんどをロンドンAir Studiosで録音しています。久石譲作品でいうと『WORKS・I』や『水の旅人 -侍KIDS- オリジナル・サウンドトラック』が同じスタジオです。さらには、『アド・アストラ サウンドトラック』のコーラスはLondon Voicesです。久石譲作品でいうと『Minima_Rhythm』収録の「The End of the World III.Beyond The World」や『Melodyphony』収録の「Orbis」のコーラスはLondon Voicesです。ご縁あります。……だから?!…なに?!…、えっと、しっかり名門を選びぬいて作品をのこしてきた、ということを言わせてください。
「1.Psychogeography」は、前作「1. All Human Beings」の別アレンジ曲です。「3.Follower」は、前作「3.Journey Piece」の別アレンジ曲です。ほかにも、Track.8-10などは曲名からみて別バージョンのそれとわかるものもあります。もしかしたらたぶん、スコアを深く読み解くことができれば、もっと2アルバム作品の構造的つながりや有機的な結びつきがわかってくるのかもしれません。
もしかしたら、これからもヴァリエーションがふえていく、新たに発展していく、そんな曲なのかもしれません。もしかしたら、代表曲「On The Nature Of Daylight」のように、映画をはじめ使われるメディアが増殖していく、そんな曲なのかもしれません。マックス・リヒターにとって、大切なテーマを秘めた一曲であることは、たしかなようです。
好きな国、気になる地域の音楽から聴いてみるのもいいと思います。ちょっとした旅行気分ですね。メモからほかの楽器のことをいうと、BGM5 Puerto RicoやBGM6 Andaluciaはギター、BGM10 Buenos Airesはタンゴ、BGM20 Limaはカスタネット、BGM21 Bulgariaはブルガリアン、そんな特徴あったと思います。
久石譲キャリア初、世界同日リリースのベストアルバム『Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi』は2020年2月に届けられました。世界共通盤(各国盤に対訳ライナーノーツ封入)、デジタル配信、収録曲と連動した新しいミュージックビデオの公開など。これまでの活動を集大成してお祝いしたいような永久保存盤の登場でした。
それから約1年半。ベクトルを同じくした第2弾ベストアルバム『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi』が2021年8月にリリースされました。
【Disc1】
01. ANGEL DOLL (映画『キッズ・リターン』より)
02. la pioggia (映画『時雨の記』より)
03. il porco rosso (映画『紅の豚』より)
04. Lost Sheep on the bed
05. FOR YOU (映画『水の旅人 侍KIDS』より)
06. White Night
07. DA-MA-SHI-E
08. Departures -memory- (映画『おくりびと』より)
09. TWO OF US (映画『ふたり』より)
10. Rain Garden
11. Friends (TOYOTA「クラウン マジェスタ」CMソング)
12. Summer (映画『菊次郎の夏』より)
13. Les Aventuriers
14. Kids Return (映画『キッズ・リターン』より) ※初収録
【Disc2】
01. Links
02. VIEW OF SILENCE
03. Nocturne
04. Silence (住友ゴム工業「デジタイヤ プレミアム VEURO」CMソング)
05. MKWAJU 1981-2009
06. Ashitaka and San (映画『もののけ姫』より)
07. The Rain (映画『菊次郎の夏』より)
08. DEAD for Strings, Perc., Harpe and Piano: 1. D.e.a.d
09. Tango X.T.C. (映画『はるか、ノスタルジィ』より)
10. The Little House (映画『小さいおうち』より)
11. HANA-BI (映画『HANA-BI』より) ※初収録
12. Silencio de Parc Güell
13. WAVE
14. World Dreams
この曲もCM曲として始まった曲だ。上品で洗練された雰囲気の曲です。『PIANO STORIES II ~The Wind of Life~』のアルバムに収録されたオーケストラバージョンも良いと思う。子供の頃一緒に遊びまわった友達よりは、大人になってお酒を一杯飲む友達の感じがする、そんな曲。(tendo)
全曲プレイしながらゆっくり読んでみる。好きな曲を選んで、ほかの人はこの曲をどんなふうに思っているのか見てみる。ファンによるライナーノーツのように『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2』を聴くときには思い出してめくってみてほしい。そんなとっておきのOvertoneになればいいなと思っています。
久石譲ベストアルバム『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol.2』発売にあわせて、新たに制作されたMusic Videoたちです。
久石譲ふたつのベスト『Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi』『Songs of Hope: Vol.2』 同曲異編はこの6曲「Summer」「il porco rosso」「Departures」「Kids Return」「HANA-BI」「Ashitaka and San」。ピアノ、アンサンブル、オーケストラほか。聴きわけるほどに味わい奥深い。
タンタンターンタンターンというリズムが登場するが、これは「The End of the World I.Collapse」での基本リズムと同じです。それぞれの楽器が統一感のない演奏をします。 拍子も違うし、メロディも違うようです。タイトルからも分かるように、ダンスリズムになっているけれど絶対ダンスを踊れない曲を作ってみようという感じの曲です。上と下に音の躍動性を見せる部分は久石譲の『Metaphysica』の第1楽章が浮かびました。
第2楽章の「Step to heaven」は変奏曲形式の曲です。このごろ久石譲がよく作曲するスタイルですね。久石譲の『交響曲第2番』第2楽章である「Variation 14」とイメージが一番重なってみえる曲でした。楽器、拍子、パーカッション、雰囲気が変わり続けながら曲が進んでいきます。曲が急に速くなって、急に停止する場面があります。
2021年は《ミニマル・ミュージックの年》だ。『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2 』に収録されたミニマル曲、『Minima_Rhythm IV』、「I Want to Talk to You」「Symphony No.2」「Symphony No.3」、そして10月のMUSIC FUTUREコンサートでの「2 Dances」まで。これから久石譲がさらに交響曲4番、5番、6番などを順番に出し始めるのか、それとも様々な編成のミニマル曲を作るのか楽しみだ。
久石さんの力強い振りとともに、響く2音の和音。その後、ミニマル特有のパルスと弦楽器のうねりで進行していきました。弦楽が下から上へと上昇していく様子からは、『弦楽オーケストラのための螺旋』や『5th Dimension』、打楽器が一定のリズムを刻む様子からは『The End of The World』の1楽章のような印象も。終盤に向かうにつれリズムとメロディが幾重にも重なり、独特なグルーヴ感を感じさせ、そのまま力強くフィナーレへと向かいました。
『Symphony No.2』と似たような変奏部分の要素はあり、『The East Land Symphony』のような重たく、緊迫した様子も少なく、純粋な音の追求の作品であるということは伝わってきましたが、これから音源化されたものを何度も繰り返し聴いて自分の中に取り入れていきたいと思う作品でもありました。